3期で気になる北方遠征は、ベリルが騎士団の新人たちと北方都市へ向かう、原作小説第8巻の出来事。
そこで再会する幼馴染の大隊長は、弟子たちが知らない、少年時代のベリルを知る人物だ。
「剣聖」と呼ばれる前の彼を知る友人との再会が、今のベリルをどう見せるのかをたどる。
第1章 3期の北方遠征とは?幼馴染の大隊長は誰?
※ここからは原作小説第8巻に登場する人物と、北方遠征の序盤に触れる。
原作小説第8巻では、ベリルたちが北方都市ヒューゲンバイトへ向かう
北方遠征とは、アリューシア率いるレベリオ騎士団が、
新人騎士を連れて北方都市ヒューゲンバイトへ向かう行事だ。
ベリルも特別指南役として一行に加わり、王都を離れる。
出版社の原作小説第8巻の紹介にも、この遠征と、
そこで幼馴染の大隊長に再会する出来事が記されている。
気になるのは、これが教都での戦いとは異なる出発だということ。
第2期では、ベリルたちは隣国スフェンドヤードバニアへ渡り、
アリューシアやロゼたちと共に危険な戦いに巻き込まれた。
北方へ向かう時は、騎士団が新しく迎えた者たちを連れている。
今度は目の前の敵を追うより、若い騎士を育てる務めが中心になる。
原作では出発前、ベリルが自宅でミュイに声を掛ける。
ミュイは普段の外出を見送るように、ベリルを送り出した。
教都へ行った頃には、家に残す彼女が気掛かりだったベリルも、
今回は家族として暮らす日々を背に、仕事へ向かっている。
第1期でアリューシアに連れ出された時とは、帰る場所も違う。
行き先のヒューゲンバイトは、北方を預かる大きな都市だ。
ベリルたちは道中で村に立ち寄り、野営を重ね、
現れた魔物に対処しながら石造りの関所へたどり着く。
都市にはレベリオ騎士団の部隊が駐屯しており、
その大隊を率いる人物が、一行を迎えることになる。
ただし、北方遠征を「3期で放送される物語」と
既に決まったように受け取るのは早い。
第3期の制作は発表されているが、描く範囲はまだ明らかではない。
ここでたどる遠征と再会は、原作小説にある先の出来事だ。
その境目を押さえると、幼馴染がなぜ気になる存在か見えてくる。
大隊長はケーニヒス・フォルセ――ベリルが「ケニー」と呼ぶ幼馴染
ヒューゲンバイトに駐屯する大隊長の名は、
ケーニヒス・フォルセ。ベリルは彼を「ケニー」と呼ぶ。
アリューシアが二人を引き合わせる場面では、
大隊長がベリルの名を聞いて、すぐに言葉を続けられなくなる。
ベリルも相手の名を聞き、まさかここで会うとはと思う。
先に大きく動いたのはケーニヒスの方だった。
騎士団の大隊長らしい挨拶をする前にベリルへ歩み寄り、
本当に本人なのかと声を上げ、その肩をつかむ。
ベリルも改まった肩書では呼ばず、「ケニー」と返した。
再会した二人の反応を前に、アリューシアは事情を知らずに驚く。
ベリルを知る人は、第1期から何人も登場してきた。
アリューシアは師匠を王都へ迎えに来た弟子であり、
スレナもフィッセルも、剣を教わった時間を覚えている。
だがケーニヒスは、ベリルと同じ故郷で育った友人だ。
弟子の目を通さず、若い頃の彼をそのまま知っている。
それだけに、二人が我に返った後の挨拶も印象深い。
ケーニヒスは特別指南役として、ベリルを迎え直す。
ベリルも相手を大隊長として呼び、礼を返す。
言葉こそ仕事中のものに戻ったのに、二人とも笑っている。
昔の呼び名と今の肩書が、一度の再会で重なったからだ。
北方遠征で出会うのは、新たにベリルへ教えを請う弟子ではない。
故郷を出て騎士になった友人が、別の場所で大隊長になっていた。
第1期、村から王都へ来たベリルは、弟子の成長に驚き続けた。
今度は同じ時代を過ごした友人と、遠く離れた都市で向き合う。
その顔を見た時に何を話すのかが、この遠征の楽しみになる。
第2章 騎士団は北方へ何をしに行く?
新人騎士を連れ、王都の外で経験を積ませる遠征
北方遠征の目的は、原作でアリューシアがベリルに話している。
新人騎士を長距離の遠征に慣れさせること。
ヒューゲンバイトの駐屯部隊と顔を合わせること。
さらに、北方に危険があれば現地の騎士と共に対処すること。
三つが重なった行事で、ただの視察旅行ではない。
第1期の初め、ベリルは王都の騎士団で剣を教えるようになった。
しかし騎士の仕事は、修練場で強い剣を振るうだけでは済まない。
第2期のサラキア王女をめぐる出来事でも、
護衛する相手と共に移動し、隣国で状況を見極める必要があった。
新人たちも今後、王都の外で務めを果たすことになる。
この遠征には、新人を教える先輩騎士たちも同行する。
アリューシアは団長として全体を率い、
ベリルは特別指南役として、若い騎士の動きを見る。
剣の腕だけでは補えない移動や野営の経験を、
実際の行程の中で積ませる形だ。
北方都市への顔見せにも、はっきりした役目がある。
ヒューゲンバイトの騎士も、同じレベリオ騎士団の一員だ。
新人が王都で顔を知る上司だけを見ていては、
別の土地で共に動く時、現地の指揮をすぐにはつかめない。
北方の大隊長や部隊と会うこと自体が、騎士の経験になる。
ベリルが教都から戻った後、騎士団には新しい顔が加わった。
第1期から彼を知る騎士たちとは、積み重ねた時間が違う。
新人の目には、特別指南役という肩書が先に映るだろう。
そのベリルが旅先で剣をどう見て、何を教えるのか。
遠征は若い騎士にとって、師を知る機会にもなる。
道中の野営と魔物への対処が、演習前から騎士たちを試す
原作で一行は、出発してすぐ北方都市へ着くわけではない。
村落を通り、宿を取れない場所では野営をし、
道中に現れた魔物にも対処しながら進んでいく。
都市で予定される演習を待つ前から、
新人には周囲を見て動く場面が訪れている。
ベリルにとっても、北へ向かうのは初めてだ。
これまで訪れたフルームヴェルク領や隣国は南にあった。
馬車の中では遠征の務めを承知しながら、
北方の料理や海の幸にも期待を寄せている。
危険に備える剣士であり、知らない土地を楽しむ旅人でもある。
その変化は、ビデン村で暮らしていた第1期のベリルを
思い出すと、いっそう鮮明になる。
当時はアリューシアから王都へ来るよう告げられ、
騎士団の指南役など自分には荷が重いと戸惑っていた。
今はミュイに見送られ、自分の役目で新しい土地へ向かう。
ヒューゲンバイトが大きな都市であることにも目を向けたい。
ベリルが馬車から見た関所は、石造りで警備兵もいる。
背後には山脈があり、周辺には魔物の危険もある。
ベリルの故郷でも、山に住むサーベルボアへの対処は欠かせなかった。
北方の駐屯部隊も、人々の暮らしを守るためにいる。
到着後の新人に必要なのは、王都で覚えた動きを
そのまま見せることだけではない。
知らない土地の道を知り、現地の騎士に従い、
仲間と食事や休息を取りながら、次の行動に備えることだ。
ベリルたちが長い道を進む場面から、遠征はもう始まっている。
そして関所を越えた先で、ベリルを待っていたのがケーニヒスだ。
新人には頼るべき現地の大隊長として紹介される人物が、
ベリルには故郷で共に過ごした「ケニー」でもある。
騎士団の仕事として始まった遠征が、思いがけない再会へつながる。
二人の昔を知ると、到着時の驚きはさらに大きくなる。
第3章 ケーニヒスはベリルをいつから知っている?
※ここからは、原作で明かされる二人の少年時代と、
北方都市で交わす会話に触れる。
弟子になる前、故郷で一緒に剣を振っていた友人
ケーニヒスは、ベリルの道場で学んだ弟子ではない。
同じ村で育ち、子供の頃に木剣を振って遊んだ友人だ。
ベリルは父モルデアの道場で剣術を習っていたが、
稽古を離れて剣を振る時の相手は、主にケーニヒスだった。
師匠と弟子の関係になる前から、互いの剣を知っている。
この違いは、ベリルの周囲を思い返すと大きい。
第1期で彼を迎えに来たアリューシアをはじめ、
スレナやフィッセルは、教わった日々を胸に師匠と再会した。
ケーニヒスが覚えているのは、道場を継ぐ前のベリルだ。
木剣を持って自分に向かってきた少年を、今も知っている。
しかもケーニヒスは、ベリルの道場へ通おうとしなかった。
北方都市の酒場で昔話になった時、ベリルがその件を尋ねると、
人から習った剣で成り上がるのは嫌だったと打ち明ける。
ベリルにとっては、友達と一緒に習えば楽しかったはずの剣。
ケーニヒスにとっては、自分の力で道を開くための剣だった。
習っていないから弱かったわけでもない。
ベリルの記憶では、ケーニヒスの剣は我流ながら、
思いがけない所から攻めて相手の不意を突くのが巧かった。
相手の動きを読む目があった少年時代のベリルも、
対応する技が追いつかず、彼には何度も負けている。
今のベリルは、相手の動きを見て剣を合わせる使い手だ。
だが少年時代には、攻めが来ると気づいていても、
それを止められない相手が身近にいた。
ケーニヒスと木剣を交えた記憶は、完成された「剣聖」の
姿だけを知る人には見えない、ベリルの過去につながる。
ケーニヒスも、昔の力だけで大隊長になったのではない。
少年の頃から大物になりたいと口にし、村を出た後は、
傭兵たちに頼み込んで、その仕事に付いて回った。
やがてレベリオ騎士団の入団試験に挑み、二度落ちる。
それでも受け続け、騎士になって北方の部隊を率いるに至った。
酒場でこの歩みを聞くベリルは、旧友の顔を思い浮かべながら、
目の前の大隊長がどんな年月を越えたのかを知っていく。
ケーニヒスが知るベリルには、道場の木剣を振る少年がいる。
ベリルが知るケーニヒスには、勝気で腕の立つ村の友達がいる。
二人とも、別れてからの約三十年は、その夜初めて聞くのだ。
再会した途端に「大隊長」と「指南役」の顔が崩れる
再会の場面は、北方の騎士が並ぶ駐屯所の前で始まる。
大隊長の号令が響き、騎士たちは一斉に姿勢を正す。
アリューシアが出迎えをねぎらい、相手も団長へ礼を返す。
ベリルの前にいるのは、部隊をきちんと動かす指揮官だ。
そこで互いの名を聞き、二人の視線が止まる。
ケーニヒスはベリルへ歩み寄り、肩をつかんで確かめる。
ベリルも旧友を「ケニー」と呼び、驚きを隠せない。
先ほどまで整っていた団長と大隊長の挨拶の中へ、
村で一緒に遊んだ頃の呼び名が急に入り込む。
その場にいたアリューシアだけが、二人の関係を知らない。
もちろん、遠征の一行を迎える仕事は続いている。
ケーニヒスは気を取り直して特別指南役へ挨拶し、
ベリルも大隊長として彼に応じる。
だが言葉を改めても、互いの顔には笑みが残った。
久々に会った友人を、肩書だけで呼び続けるのは難しい。
駐屯所へ移る途中にも、昔と今の話が行き交う。
ケーニヒスは部下のジラに荷と馬の世話を命じ、
その剣筋と、人を率いる力までベリルに話す。
ベリルは、彼が人と剣を見て語る立場になったことに驚く。
一方のケーニヒスも、ベリルが弟子を取ったと聞いて驚く。
さらに、アリューシアもその弟子の一人だと知ると、
ケーニヒスは目の前の友人を改めて見直す。
自分が仕える騎士団長の師匠が、村で木剣を交えた相手だった。
ベリルもまた、旧友が北方都市の大隊長だとは知らなかった。
互いの知らない年月が、短い会話の中で次々と現れる。
第4章 幼馴染との再会で、アリューシアは何を見る?
団長の部下が、敬愛する師匠を昔の呼び名で呼ぶ
アリューシアは、ベリルとケーニヒスの顔を見比べる。
二人が突然、旧知の仲として話し始めたからだ。
彼女にとってベリルは、村へ迎えに行って以来、
騎士団の特別指南役として共に働いてきた師匠である。
その師匠を、直属の部下が昔から知っていた。
ベリルが同郷の友人だと説明しても、驚きは残る。
村を出たきり会っておらず、再会は約三十年ぶり。
アリューシアも道場で過ごしたベリルとの時間を持つが、
ケーニヒスが知るのは、彼女が弟子になる前のベリルだ。
同じ人を慕う二人でも、見てきた年月が異なる。
それでもアリューシアは、二人の会話をすぐには遮らない。
ケーニヒスが道場のことを尋ね、ベリルが今の暮らしを話す間、
団長としての次の指示を少し待っている。
ベリルも、彼女が事情を察してくれたと受け取る。
やがてアリューシアが声を掛けると、皆が職務へ戻る。
駐屯所の案内では、二人の立場がはっきり見える。
ケーニヒスは談話室、指揮所、修練場へ一行を導き、
アリューシアは設備を見て、管理の行き届いた点を認める。
昔の友人同士がいても、団長と大隊長の仕事は続く。
ベリルだけが、どちらにどう話すべきか少し戸惑っている。
夜にはアリューシアが、ケーニヒスと翌日以降を打ち合わせる。
旧友との再会に驚いた彼女も、遠征を率いる務めを果たす。
その後、ベリルとケーニヒスは酒場でようやく腰を落ち着ける。
駐屯所では聞けなかった約三十年の話を、
エールと海鮮料理を前に交わしていく。
友人の前でだけ見せるベリルの反応が、師弟の距離を変える
酒場でケーニヒスは、アリューシアの話も持ち出す。
打ち合わせの席で彼女がベリルを高く買っていたことに気づき、
旧友へ、その様子を遠慮なく伝えるのだ。
ベリルは大げさに褒められるのを好まないため、
自分のいない所で何を話したのかと、困った顔になる。
ケーニヒスの話は、やがてアリューシアの好意にも及ぶ。
ベリルは突然踏み込まれ、口にしていたエールをこぼす。
騎士団長を相手に、軽々しく噂にしてよい話ではない。
しかしケーニヒスは、彼女の様子を見たままに話し、
ベリルもその視線に気づいていないわけではないと認める。
ここでベリルが口にするのは、アリューシアへの敬意と、
かつて教えた弟子であることへのためらいだ。
幼い頃から剣を教えた相手だからこそ、
年齢差や師弟関係を抜きにして考えることができない。
ケーニヒスは友人として、その胸の内を直接聞く。
ケーニヒスにも、村を出た後に築いた暮らしがある。
彼が結婚していると聞くと、今度はベリルが驚く番だ。
子供の頃に木剣を振っていた友人は、騎士団で働き、
この北方都市で妻と暮らす男にもなっていた。
昔のまま話せる二人でも、過ごした年月は確かに違う。
第1期でアリューシアが村を訪ねた時、
ベリルは弟子の出世を喜びながら、自分には大役だと戸惑った。
北方の酒場では、その師弟関係をどう受け止めるか、
幼馴染に問われて自分の言葉で答えている。
ケーニヒスは、師匠として振る舞うベリルだけでなく、
友人だからこそ話せる迷いまで聞いたのである。
第5章 北方でベリルとケーニヒスはどう動く?
※ここからは、原作に描かれた北方演習の場面に触れる。
現地の指揮を執る大隊長と、新人を見守る特別指南役
ヒューゲンバイトに着いても、一行の移動は続く。
目的地は都市の南西にあるアフラタ山脈の北端だ。
ケーニヒスに率いられ、騎士たちは数日かけて進み、
馬車が通れる麓で止まって活動拠点を作る。
そこから先は徒歩で山へ入ることになる。
ケーニヒスは拠点に着くと、各班へ設営を命じる。
作業が済んだ班には休息を取らせ、周囲の偵察へ出す。
数日間とどまる以上、寝る場所だけ作れば済まない。
水と食料を確保し、近くに危険な魔物がいないか調べる。
新人騎士の仕事は、剣を振る前から始まっている。
遠征全体を預かるのは騎士団長アリューシアだ。
それでも、設営から偵察まで現場の号令は大隊長が出す。
ベリルがその点を尋ねると、アリューシアは、
王都の騎士が別の指揮官とも動けるようにするため、
遠征先の騎士へ現場を任せるのだと教える。
新人にとって、普段の上司とは違う声に従う経験は大きい。
北方には北方の騎士がおり、危険な場所も彼らが知る。
もし王都から来た者だけで動き続ければ、
同じ騎士団でも、離れた部隊と連携できない。
ケーニヒスの指示を聞くこと自体が、今回の訓練になる。
ベリルは設営中の新人を見て、手を出したくなる。
だがアリューシアは、任せて待つことを勧めた。
ビデン村なら、道場で自分が剣を取って手本を示せる。
この場では騎士が自力で拠点を作る必要がある。
待って見守ることも、指南役に求められる務めだ。
山麓へ着いた時、ベリルは空模様を気に掛ける。
故郷でクルニやヘンブリッツと山へ入った際には、
天候が崩れそうだと分かり、帰還を優先した。
雨に遭えば足場も視界も失われる。
若い騎士の演習で、避けられる危険を招く必要はない。
野営地でも、ベリルは雨の心配をする。
アフラタ山脈は人が自由に踏み込める場所ではない。
強い騎士が揃っていても、激しい雨の中で、
道を見失えば新人を守り切れない。
剣の腕だけで済ませないのが、今回の遠征だ。
周囲の偵察には、ベリルとケーニヒスが小隊を連れる。
アリューシアと残りの騎士は拠点を守る。
もし指揮官が全員同じ方向へ出れば、
拠点で異変があった時に動けなくなる。
隊を分けた場面にも、遠征を率いる者の判断が見える。
酒場では少年時代の話に笑っていた二人が、
翌日には部隊と共に危険を確かめに行く。
ケーニヒスは道を知る大隊長として人を動かし、
ベリルは若い騎士の働きに目を配る。
同じ場所へ向かっても、二人が担う仕事は違う。
演習の場面で見える、二人が別々の道で培った剣と判断
偵察中、一行は山麓で二頭のボアに出会う。
ケーニヒスの指示で小隊が前へ出て、
ベリルが剣を抜く前に二頭を仕留めた。
新人だから何もできないわけではない。
彼らが自分たちで動けたことを、ベリルも認める。
倒した獲物は、拠点へ持ち帰って食料にする。
新人たちは血を抜き、肉を取るために腹を開く。
強い臭いに手を止めた騎士もいた。
町の修練場なら剣を振れても、
山では食事を得るところまで自分たちの仕事になる。
ボアに対処した小隊は、自分たちで獲物も運ぶ。
食料が増えた喜びと、解体する手間が一緒に来る。
食べるまでが仕事だと知る新人の姿を、
村で狩りを経験してきたベリルが見守る。
都市の修練場と山麓とでは、学べることが違う。
ベリルは村にいた頃から、獲物を扱ってきた。
だが、臭いに戸惑う新人を責めることはない。
騎士には違う土地で育った者が集まる。
一人が知らない作業も、別の仲間には経験がある。
剣の強さとは別の力が、野営地で役に立つ。
さらに山中へ進むと、二頭のグリフォンが現れる。
新人たちは円形に固まり、守りを作った。
空から急降下する相手は、ボアとは危険の大きさが違う。
ここは経験を積ませるために無理をさせず、
ベリルとアリューシアが前に出る。
ベリルを狙った一頭は、急降下して前脚を伸ばす。
彼は正面に残らず横へかわしながら、脚を斬る。
もう一頭がアリューシアへ向かうと、
彼女は相手の下へ入り、剣で仕留めた。
傷を負った一頭も退き、新人に負傷者は出ない。
新人が対処できる時には、剣を抜かずに見守る。
相手が変われば、前に出て仲間を守る。
北方でベリルに求められたのは、
いつでも自分が勝つことより、その見極めだった。
ケーニヒスも現場を預かる者として同じ隊を見ている。
グリフォンとの戦いを終えたベリルは、
先に自分の剣を確かめるのではなく、騎士の無事を問う。
新人たちは防御の態勢を崩さず、負傷者もいない。
勝ったことより、連れて来た全員が立っていることが、
指南役には大切な結果になった。
木剣を交えた少年時代には、ケーニヒスが
意外な攻めでベリルを負かしたこともあった。
今の二人は剣で優劣を決めるために並んでいない。
ケーニヒスは新人を率い、ベリルはその成長を助ける。
長い年月を経た友人同士の、北方での立ち位置だ。
二人が働く場所にも違いがある。
ケーニヒスは北方の道と騎士の持ち場を知り、
ベリルは剣を振る者の動きを見る。
どちらかの経験だけでは、遠征は進まない。
子供の頃に違う剣を振った二人は、今も違う力を出す。
第6章 この再会は、これまでのベリルとどうつながる?
第1期、アリューシアの迎えで故郷を離れた日のベリル
第1期第1話、ベリルはビデン村の道場にいた。
そこへアリューシアが訪ねて来て、
騎士団の特別指南役に推薦したことを告げる。
村で年を重ねるつもりだった彼には、
王都で騎士を教える仕事など思いもよらなかった。
王都で弟子たちに会うたび、その戸惑いは続く。
アリューシアは騎士団長、スレナは名高い冒険者だ。
ベリルは成長を喜びながらも、
そんな弟子たちに自分の教えることが残るのかと考える。
周りの評価と、本人の自信には隔たりがあった。
ケーニヒスには、その肩書が付く前の姿がある。
ベリルが父モルデアの下で剣を習い、
道場の外では木剣を持って遊んでいた頃を知る。
だから北方で会った時、彼もまた驚いた。
昔の遊び相手が、騎士団長の師匠になっていた。
ベリルの方も、北方の大隊長が友人とは知らない。
少年時代のケーニヒスは村を飛び出し、
傭兵に付いて回った後、騎士団を目指した。
入団試験に二度落ちても挑戦をやめず、
今は部下を率いて北方都市を守っている。
第1期からベリルは、立派になった弟子に驚いてきた。
ケーニヒスとの再会では、驚くのが一方だけではない。
二人とも少年の相手を知り、大人になった相手を知らない。
村を離れてからの約三十年が、
騎士の挨拶と、その後の会話で少しずつ埋まる。
原作で北方へ出る朝、ベリルは家からミュイに声を掛ける。
彼女は普段の外出と同じように送り出した。
第1期に村を離れた時とは、帰る先も異なる。
王都で家族として過ごす日々を持ったうえで、
今度は指南役の仕事へ向かっている。
ケーニヒスが見るのは、村から突然呼ばれた男ではない。
家に待つ者がおり、教える新人がいるベリルだ。
とはいえ話し始めれば、昔と同じ呼び名が出る。
仕事と暮らしが変わっても、
旧友の前では無理に立派な師匠を演じずに済む。
第1期第6話で、ベリルはミュイの姉をめぐり、
自分で剣を振らなければならない場面に立った。
今、家でミュイと暮らすことは、
その出来事を忘れて済ませた結果ではない。
彼女の顔を見て出発できる毎日を築いてきた。
故郷へ戻った第2期のベリルには、
父モルデアに見せる顔と、ミュイに見せる顔がある。
北方でケーニヒスと会えば、さらに別の顔が出る。
子供の頃を覚えている相手の前では、
今の自分がどれだけ変わったか隠しようもない。
第2期の隣国での戦いを経て、昔の友人に会う今のベリル
第1期第10話では、昔の弟子ロゼとの再会がある。
彼女は隣国の教会騎士団で副団長になっていた。
第12話にはベリルとロゼが剣を構え、
師と弟子だった二人が、それぞれの立場で向き合う。
再会しても、教えた過去は二人から消えない。
第2期のベリルは、村へ帰って父と再び話し、
王都から隣国へも渡って弟子を助ける。
故郷を離れて終わりではなく、
道場で過ごした日々が新しい土地へつながっていく。
北方都市で会うケーニヒスも、同じ村にいた人物だ。
ただしケーニヒスを前にすると、師弟の関係がない。
アリューシアには今も「先生」と呼ばれ、
ロゼにも剣を教えた日の記憶がある。
ケーニヒスはベリルから剣を習わず、
遊びの木剣で彼に勝ったことまで覚えている。
酒場でその頃を話すと、ケーニヒスは、
道場へ通わなかった当時の考えも明かす。
ベリルは子供の頃には聞けなかった話を、
大隊長になった友人から初めて聞く。
昔を知っていても、知らないことが残っていた。
逆にケーニヒスは、ベリルの元弟子が
自分の上司アリューシアだと知って驚く。
第2期までベリルの剣を見てきた彼女には、
指南役を信頼する積み重ねがある。
ケーニヒスには、その間の出来事を聞く時間が必要だ。
ベリルも酒場で、友人が騎士になるまでを聞く。
村を出た後に傭兵たちと過ごし、
試験に落ちても騎士を目指し続けた。
目の前の号令と部下の動きには、
自分の知らない年月が詰まっていた。
ケーニヒスも故郷を出て、北方で暮らしてきた。
部下の動きを見て、必要な時には大声で指示を出す。
ベリルはその場面を実際に見て初めて、
酒場で聞いた騎士としての年月が、
どんな仕事につながっているかを知る。
遠征で二人が並ぶ時、少年時代の勝敗はもう関係ない。
ベリルは新人に教える立場で剣を持ち、
ケーニヒスは北方の騎士を率いる。
それぞれが村を出てから得たものを持って、
同じ仲間を無事に帰すために働いている。
二人に共通するのは、村で剣を振った日を
過去の笑い話として消していないことだ。
酒場では木剣の話ができ、山では別々の仕事をする。
一緒にいた少年時代と、離れていた三十年。
その両方を持って、今の友人として話せる。
第7章 北方遠征は3期で描かれる?注目したい場面は?
※ここからは、原作小説第8巻の出来事を踏まえ、
第3期で描かれる可能性のある場面に触れる。
制作決定は発表済み――北方遠征の映像化範囲は続報を待つ
アニメ第3期の制作は発表されている。
一方、北方遠征を描くか、放送はいつか、
原作のどこまで進むかは明らかになっていない。
ケーニヒスが登場するのは原作小説第8巻の展開だ。
今の段階では、登場を確定したこととしては語れない。
教都での戦いを終えた後、第8巻には、
アリューシアの新たな剣と騎士団の入団試験がある。
そこから新人を連れた北方への遠征へ進む。
第3期がこの流れをたどるなら、
剣と新人の二つが、北方へ向かう前の手掛かりになる。
まずアリューシアの剣には、第2期からの続きがある。
隣国での戦いによって、以前の餞別の剣を失った。
ベリルが彼女のために次の武器を考える出来事は、
大隊長との再会より前に置かれている。
北方で剣を振る姿を見るには、その経緯も気になる。
新人騎士についても、顔を知ってから遠征を見たい。
演習で設営し、先輩の指示を受ける若者には、
入団試験を経てそこに立った時間がある。
ベリルが彼らをどこまで知り、何を教えてきたかで、
北方へ連れていく時の見え方も変わってくる。
原作に先の場面があるからといって、
第3期でそこへ何話かけるかまでは分からない。
第8巻の前半を丁寧に描く形も、
遠征まで進んで旧友との再会を見せる形も考えられる。
見通しを立てるなら、まず新たな剣と新人に注目したい。
遠征の出発前には、ベリルの家での短い場面がある。
ミュイに声を掛けて外へ出る姿は、
第1期第1話の突然の王都行きとは異なる。
アリューシアに連れ出された男が、今は自分の仕事へ行く。
小さな朝の場面からでも、その変化が伝わる。
北方都市も、ただ名前の出る目的地ではない。
石造りの関所があり、街を守る駐屯所がある。
王都の騎士とは別に、この土地で働く騎士がいる。
彼らを率いる大隊長がベリルの幼馴染だったことが、
遠征先へ着いてから初めて分かる。
ベリルは北へ向かう前、海にも関心を寄せている。
馬車で都市に入ると、風の湿り気に気づく。
ビデン村には海がなく、本人は実物を見たことがない。
友人との再会だけでなく、初めて訪れる土地への
率直な好奇心も、この旅にはある。
もし描かれるなら、旧友だと気づく一瞬が見逃せない
北方遠征が描かれるなら、駐屯所前の出迎えを見たい。
現地の騎士が並び、大隊長の号令で姿勢を正す。
アリューシアが馬車を降り、部隊の指揮官と挨拶する。
この時のケーニヒスは、
ベリルの友人より先に、北方を預かる騎士として現れる。
ベリルは相手の姿を見ても、まだ旧友と気づかない。
アリューシアに紹介され、名を聞いて立ち止まる。
ケーニヒスもベリルの名を聞き、顔を見直す。
隊列と挨拶がきちんと整った場所だからこそ、
二人だけが驚く瞬間が際立つ。
ケーニヒスはベリルへ近づき、肩をつかむ。
ベリルも彼を、昔の呼び名で呼び返す。
隣にいるアリューシアは、
なぜ自分の部下が師匠を知っているのか分からない。
三人が持つ情報の違いも、場面を楽しくする。
アリューシアは道場で教わった頃のベリルを知る。
ケーニヒスは、さらに前の木剣で遊んだ頃を知る。
一方、ベリルは騎士団長になった弟子も、
大隊長になった友人も、目の前で初めて見てきた。
再会が続く作品でも、三人の関係はこれまでと違う。
アリューシアが再会を見守る時間も大切だ。
師匠と部下が昔からの友人だと知らされ、
驚きながらも、すぐに二人を引き離さない。
その後で遠征の予定を確かめ、仕事に戻る。
師匠を慕う姿と団長としての姿が同時に見える。
ケーニヒスが仕事の挨拶に戻った後も、
二人は友人だと分かる顔のまま話す。
部下へ指示を出せば頼れる大隊長で、
ベリルへ話しかければ村で一緒に遊んだケニーだ。
その切り替わりが描かれたら、彼の人柄も伝わる。
ケーニヒスは北方の職務を離れて現れる友人ではない。
旧友に会った後も、部下の名を呼び、荷を運ばせる。
ベリルにとって、懐かしい相手の現在を知るのは、
昔話を聞く時だけではない。
目の前で働く姿を見る時でもある。
酒場の会話も、昔話だけでは終わらない。
ケーニヒスは友人が師匠になったことを聞き、
ベリルは彼が二度の不合格を越えたことを聞く。
会わなかった年月を埋める言葉があるから、
翌日に一緒に働く二人の姿を見たくなる。
北方の酒場では、ケーニヒスが料理を勧める。
ベリルが旅の前から期待していた海の幸だ。
昼間は大隊長と指南役として働いた二人が、
夜は料理を前に村を出てからの話をする。
その距離の変化にも目を向けたい。
二人は子供の頃、木剣で勝ち負けを決めた。
北方で再会した後は、それぞれ人を預かる。
剣の上達だけでなく、誰とどこで生きてきたかが、
相手の顔を見ることで初めて分かる。
その時間が、今回の再会を特別なものにする。
第3期でケーニヒスが現れるかは、続報を待ちたい。
もし北方へ進むなら、再会だけで終わらず、
昔の友人と今の仲間として何を話すかが楽しみだ。
ベリルが「剣聖」と呼ばれるようになった後で、
その前のベリルを知る人物が姿を見せる。
片田舎のおっさん、剣聖になるIIまとめ
『片田舎のおっさん、剣聖になるII』の記事を、大聖堂襲撃・モーリス教皇とスフェン教・ロゼとホワイト・メイデン・ハノイとヴェルデアピス傭兵団・アリューシア・スレナ・ミュイなどに分けてまとめています。
ベリル、アリューシア、ロゼ、ハノイ、モーリス、ガトガ、ヴェスパー、スレナなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。


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