PR

【片田舎のおっさん剣聖II】スレナが行方不明に?最強の冒険者にも救出が必要になった敵

記事内に広告が含まれています。

スレナが行方不明になるのは、アフラタ山脈へ向かった原作小説第9巻の出来事。
最強格の冒険者でも、仲間を連れて山から脱出しようとするたびに敵が現れ、連絡さえ取れなくなる。
ベリルはなぜ自ら捜しに行くのか。スレナを追い詰めた相手と、救出後に残る危険までたどる。

第1章 スレナは本当に行方不明になる?救出が必要なのはなぜ?

※ここからは、原作小説第9巻に登場するスレナの消息不明について触れる。

原作小説第9巻で、依頼先のアフラタ山脈から戻らなくなる

スレナは、原作小説第9巻で行方が分からなくなる。
冒険者ギルドの依頼でアフラタ山脈へ向かった後、
帰る予定の日になっても姿を見せず、連絡もない。
知らせを聞いたベリルは、師として捜索を決意する。
第2期までのアニメで起きた事件ではない。

ここでの「行方不明」は、死亡が確定したという話ではない。
予定を過ぎても帰らず、居場所も安否も分からない状態だ。
原作では後に、スレナは山中で生きていると判明する。
しかし、自分だけが無事なら帰れる状況でもない。
そこに、最強格の冒険者へ救出が必要になった事情がある。

スレナは冒険者ギルドの最上位、ブラックランクだ。
第1期第3話では、彼女が騎士団を訪れ、
新人冒険者を引率する依頼にベリルを誘った。
ギルドで師弟が立ち合うことになった時も、
その双剣を振るう力は新人と同列ではなかった。

第1期第4話には、新人たちを守りながら、
特別討伐指定個体と向き合う出来事がある。
仲間の危険を見過ごさず、戦いの中で動ける人物だ。
だからこそ、そんなスレナが戻らないという知らせは、
単なる予定変更として受け流せない。

出発前のスレナ自身も、今回の調査を軽く見ていなかった。
ベリルを自宅まで訪ね、危険を伴う依頼だと伝える。
相手の正体が確定している討伐ではなく、
まず現地で何が起きているか調べる仕事だ。
危険の全体が見えていないから、彼女が向かった。

ギルドの高位冒険者が戻らず、連絡もできない。
待てば帰ると信じたい一方、待つ間にも時間は過ぎる。
ベリルは第1期から、相手の強さだけで安全を決めない。
スレナが一人で戦えることと、
山で起きた異変を切り抜けられることは別だ。

知らせを運ぶのは、騎士団長のアリューシアである。
普段は修練場で騎士を教えるベリルを呼び出し、
人のいない執務室で内密に告げる。
スレナとの関係を知っているからこそ、
情報が確定する前でも、本人へ伝えたのだ。

彼女の話を聞き、ベリルは席から立ち上がりかける。
アリューシアが落ち着くよう声を掛けても、
膝が細かく揺れるほど動揺は収まらない。
第1期では強敵を前に剣を握った師匠が、
ここでは弟子の居場所さえ分からずにいる。

山へ調査に向かったスレナが、帰らない。
危険な獣と遭遇したか、負傷しているかも不明だ。
最初に判明するのは、帰る予定を過ぎたことと、
いつもの連絡が途切れたことだけである。
誰も彼女の身に何が起きたか答えられない。

スレナは引き際を知らない剣士ではない。
ベリルの家でも、危なければ逃げると話していた。
退く選択を持つ彼女が戻れないなら、
剣を振る前に避難路を失った可能性もある。
ベリルが声を荒げるのも、強さを信じているからだ。

第1期の森では、新人冒険者が先に危険に遭う。
ベリルは自分の身を守るだけでなく、
襲われた新人を助けるために相手へ向かった。
一緒にいたスレナも、仲間への指示を出す。
強敵との戦いでは、守る人数が行動を変える。

スレナ一人の強さでは、同行者を連れて山を脱出できない

後に分かるのは、スレナがただ道に迷ったわけでも、
戦いに負けて倒れたままでもなかったということだ。
山の中で仲間と身を寄せる場所を確保し、
機会を見て脱出を試みている。
しかし外へ出ようとするたび、危険な相手が現れる。

一人で剣を振り、危険をかわす力があっても、
同行する者の歩く速さや体力まで同じにはできない。
自分だけが敵を振り切って下山すれば、
山には仲間が残されてしまう。
スレナは、守る者と一緒に出る道を探していた。

この点は、第1期の森での戦いとつながる。
新人冒険者を連れたベリルとスレナは、
危険な相手を倒すことだけに集中できなかった。
誰が新人を見て、誰が敵に向かうかを考え、
仲間を安全な場所へ動かす必要があった。

スレナはその時、師匠と同じ現場に立てた。
だがアフラタ山脈の依頼では、
ベリルが最初からそばにいるわけではない。
外との連絡が途絶えたまま時間が延びれば、
避難先を確保していても安全とは言えなくなる。

彼女が閉じこもっている間、相手は強く攻めてこない。
ところが脱出を試みると、行く手を阻む。
敵の姿が常に見えるわけではないため、
いつ襲われるかを読み切ることも難しい。
強い剣士ほど、守る相手を危険にさらせない状況だ。

ベリルの救出は、スレナを代わりに戦うためではない。
彼女が守り続けた仲間も含め、
山から戻れる道を作るために必要になる。
最強格の冒険者の消息不明が衝撃的なのは、
剣の強さだけでは解けない窮地だからである。

山中のスレナには、敵を倒せるかだけでなく、
一緒にいる者を連れて外へ出られるかが問われる。
逃げるたびに相手が現れるなら、
本人が攻撃をかわしても仲間は危うい。
避難場所から動けない状況が続く。

ギルドにとっても、最上位の冒険者が戻らないのは異常だ。
単に一人の依頼者から音信がないのではない。
危険な調査を任せた本人から、
予定日を過ぎても報告が届かない。
捜索隊を出す判断には、仕事上の切迫感もある。

しかしベリルの胸中は、肩書から始まらない。
幼いスレナが自分の家で過ごし、
父モルデアの道場で剣を握った日々がある。
今は名の知られた冒険者でも、
彼にとっては無事に帰ってほしい大切な子だ。

第2章 スレナは何を調べに山へ向かった?

出発前、ベリルを訪ねて危険な調査に触れていた

発端は、ベリルが家へ帰った日の訪問にある。
魔術師学院での講義を終え、
ミュイの食事を考えながら歩いていたところ、
玄関の前でスレナが待っていた。
騎士団の仕事を頼む時とは違い、本人へ会いに来た。

ベリルは家へ招き、二人分の茶を淹れる。
すぐに仕事の話だけをするわけではない。
春の気候や、室内に飾った押し花にも話が及ぶ。
普段から危険な依頼へ向かう冒険者が、
出発前に師匠の家で過ごす静かな時間だ。

やがてスレナは、これから危険な調査へ出ると告げる。
ベリルが行き先と期間を尋ねると、
西の広い範囲を調べ、期限も長めだと話す。
冒険者ギルドの依頼なので、
知っていることをすべて明かすわけにはいかない。

危険が確定している討伐ではなく、調査だという。
何がいるか確かめなければ、対処も決められない。
それでもギルドは、最上位のスレナを選んだ。
ベリルが聞けた範囲だけでも、
普段の依頼より慎重に扱うべきことは分かる。

ベリルは同行を頼まれているのか確かめる。
スレナの答えは、手伝ってほしいわけではないというものだ。
拘束が長く、自分で務める仕事でもある。
彼女は助けを求めて訪れたのではなく、
危険な場所へ行くことを師匠に伝えに来た。

第1期第3話では、スレナがベリルを
新人冒険者の引率へ招き、同じ仕事に就いた。
今回は最初から役割が違う。
ベリルも騎士団の特別指南役であり、
ギルドの依頼へ勝手に付いていけない。

それでもベリルが引っ掛かるのは、
最上位のスレナ自身が危険を感じていることだ。
彼女は無理な時は逃げるつもりだと話す。
戦う力を過信せず、生きて戻ることを優先する。
その約束を聞いたうえで、ベリルは送り出した。

スレナが訪れた日は、ベリルも普段通りだった。
講義を終えて家に戻り、夕食の支度を考えている。
そこで待っていた彼女を迎えて茶を出す。
この穏やかな出発前の時間を知っていると、
帰ってこないという一報の重さが増す。

本人がわざわざ知らせたのは、
行き先の詳細を告げるためばかりではない。
仕事へ向かう前に師匠の顔を見ておきたい気持ちも、
茶を飲みながら交わす会話からうかがえる。
ベリルも急がず、彼女の話に耳を傾けた。

西方へ向かうと聞き、ベリルは山脈を思い浮かべる。
しかしスレナは依頼の内容を明かし切らない。
騎士団に属する彼が、ギルドの仕事を
勝手に聞き出してよいわけでもない。
師弟の親しさがあっても、職務には境目がある。

第1期第3話では、スレナが騎士団へ来て、
ベリルを冒険者の引率へ正式に借り受けた。
二人で動くための手順があったから、
その後の森では互いを頼って戦えた。
今回スレナが一人で出ると知り、ベリルは同行しない。

帰還も連絡も途絶え、ベリルが最悪の事態を恐れる

報告が届く日の朝、ベリルは騎士団の修練場にいる。
いつも通り騎士へ声を掛け、稽古を始めるところだ。
そこへアリューシアが来て、
話す場所を変えたいと伝える。
普段の連絡とは違う硬い声に、ベリルも気づく。

執務室では、まず他言しないよう求められる。
冒険者ギルドから入った情報は、
スレナが帰還予定日を過ぎても戻らず、
連絡も取れないというものだった。
何が起きたかは、この時まだ分かっていない。

ベリルは席を立ち、すぐ捜しに行きたくなる。
だが現在地も、けがの有無も分からない。
アリューシアが制止したのは、
何も心配していないからではない。
手掛かりのないまま動けば、捜す側まで危うくなる。

ギルドは捜索隊を編成する予定だ。
一方、騎士団は別の組織の依頼へ、
団長の判断だけで部隊を出すことができない。
国を通じて命令が届くのを待てば時間がかかる。
ベリルが焦るのは、その間のスレナの安否だ。

出発前に、スレナは自分から師匠の家を訪れた。
ベリルは危険な調査だと知りながら、
彼女の判断を尊重して送り出している。
だから帰らないと聞いた時、
ただの連絡違いだと決めつけられない。

第1期第4話で強敵に向かったスレナを知るなら、
彼女の実力を疑う必要はない。
それでも山から戻れないなら、
一人の腕ではどうにもならない障害があるはずだ。
ベリルはその可能性を抱え、捜す手段を求める。

知らせを受けた直後、ベリルが求めるのは
敵を倒す許可より、スレナのいる場所の手掛かりだ。
山のどこにいて、誰と行動し、
なぜ連絡ができなくなったのか。
分からないことの多さが、待つ時間を苦しくする。

ベリルには、別の土地での遠征経験もある。
北方へ行った際は山で天候と魔物を警戒し、
新人騎士を連れて無理に奥へ進まなかった。
今回はその山に、スレナが戻れずにいる。
土地の危険を知るからこそ、長い沈黙を軽く見られない。

3.強いスレナが山中に足止めされたのはなぜ?

仲間を伴う脱出を試みるたび、相手が姿を現す

スレナが帰らなかったと聞けば、まず本人の敗北を想像してしまう。
だが、原作小説第9巻につながる山中の出来事は、剣の腕だけでは決着しない。
スレナはアフラタ山脈の調査中、同行者と共に敵に襲われている。
探索役が命を落とし、残る仲間にも重傷者と軽傷者が出た。
スレナ自身も左肩と腹部を負傷し、仲間を連れて洞穴へ退いた。

ここで気になるのは、スレナが一人なら下山できた可能性だ。
ベリルも合流後、彼女の傷だけなら動けるはずだと見ている。
しかし、重傷者を置いて先へ進めば、その人は山中に残される。
背負って進めば足が鈍り、襲撃を受けた瞬間に守る手が足りない。
最高ランクの冒険者でも、全員を生かして運ぶには限界がある。

洞穴から出る道を探しても、敵は逃走を阻むように現れる。
相手を倒すために前へ出れば、動けない仲間から離れることになる。
仲間のそばに立てば、敵を追い払って山道を確保できない。
スレナの双剣は目の前の攻撃をさばけても、
負傷者を抱えた一行の帰路まで一振りで切り開けるわけではない。

第1期第3話で、ベリルは冒険者ギルドに呼ばれ、
スレナと剣を交えて新人育成の引率役としての腕を示した。
続く第4話では、森で特別討伐指定個体が現れ、
ベリルは新人を守りながら、普段の剣士とは違う敵に苦戦した。
強敵との一戦に、守るべき人が加わる怖さは既に描かれている。

当時の新人は、危険を知らずに森へ踏み込んだ若手だった。
今度のスレナの同行者は、調査に加わった冒険者たちだ。
経験の差はあっても、仲間が傷つけば動きが制限される点は同じ。
森でベリルが新人を置いて逃げなかったように、
山のスレナも仲間を残して自分だけ帰る道を選べない。

しかも今回は、何がどこから来るかを見極めにくい。
第1期の森では危険な個体が姿を現し、剣を向ける相手が見えた。
山では脱出を試みるたびに阻まれ、洞穴へ戻れば襲撃が止む。
前へ進む判断にも、その場に残る判断にも、仲間の命が掛かる。
スレナが足止めされたのは、彼女の強さが消えたからではない。

洞穴にとどまれば襲ってこない、不気味な追い詰め方

洞穴は一行にとって、敵を倒した後の休息場所ではない。
外へ出せない負傷者を守り、次の動きを考えるための避難先だ。
敵がすぐ中まで攻めてこない間は、傷を抱えても持ちこたえられる。
けれど、入り口の先に安全な道がなければ帰還できない。
助かったように見える場所が、そのまま行き止まりになる。

ベリルが洞穴へ近づいたときも、安らげる空気はない。
入り口から奥をのぞこうとした瞬間、暗がりから剣が走る。
スレナは来訪者を敵と見て、とっさに刃を向けたのだ。
ベリルは抜刀が間に合わず、剣の柄を当てて攻撃をしのぐ。
姿を確かめるより先に斬るほど、洞穴の一行は警戒していた。

「先生」と気づいたスレナが驚く場面には、
山中で味方が入り口に立つなど想定していなかった切迫感がある。
同時に、その一撃は負傷後も彼女の腕が鈍っていない証拠だ。
剣を振れる。それでも帰れない。
この二つが並ぶからこそ、山で起きている事態は恐ろしい。

ベリルは山を進む途中、鳥や獣の声が乏しいことにも気づく。
風で木々が揺れているのに、生き物の気配が途切れている。
彼は第1期の森を思い出す。
あのときスレナも、特別討伐指定個体に出会う前に、
周囲の魔物が少ないことを気に掛けていた。

ただし、山の静けさを見ただけで、敵の居場所や行動は決められない。
森の敵は姿を現して襲ってきたが、今回は気配さえつかみにくい。
洞穴に留まる一行を襲わず、脱出の機会を奪っているように映る。
こちらが先に相手を見つけられなければ、
誰を連れて、どの道を通るかという判断も難しくなる。

スレナは第1期で、ベリルを引率役に招けるほどの実力者だった。
そんな彼女が帰還できないとき、問うべきなのは勝敗だけではない。
傷を負った仲間は歩けるのか。敵はいつ姿を現すのか。
洞穴を離れた後、全員を守れる道はあるのか。
救出が必要になるのは、その問いに一人で答えられないからだ。

4.ベリルはどうやってスレナを捜す?

アリューシアと冒険者ギルドを頼り、最後の依頼先へ向かう

スレナの帰還が遅れ、連絡も取れない。
知らせを受けたベリルは、すぐ山へ走り出すわけではない。
まずアリューシアから状況を聞き、冒険者ギルドへ向かう。
スレナが受けた依頼を知らずに山へ入っても、
広大な山脈のどこを探せばよいか分からないからだ。

ギルドの受付で、ベリルはギルドマスターのニダスを訪ねる。
第1期第3話、スレナに頼まれて新人の引率を引き受けた際、
彼はここで立ち合いを行い、ギルドとの接点を得ていた。
以前は思いがけない依頼に戸惑っていたベリルが、
今度はスレナを捜すため、自分から同じ建物に入っていく。

アリューシアが知らせをつなぎ、ギルドが行き先を知っている。
この二人と組織の助けがあって、捜索先は絞られていく。
一方、騎士団と冒険者ギルドにはそれぞれの立場があり、
騎士団の指南役だからといって、捜索隊を自由に動かせない。
ベリルは必要な情報と案内を得て、自らスレナの後を追う。

西方都市ヴェスパタまでの旅にも、かつての出会いが生きる。
道を案内するのは、第1期の森で共に行動したポルタたち三人だ。
あの頃は新人として、スレナとベリルに見守られていた。
今は馬を乗り継ぐ長い道のりで、ベリルを目的地へ運ぶ。
森で守られた若手の成長が、スレナを捜す力になっている。

急いで馬を替えても、ヴェスパタへ着くまで約一週間掛かる。
山にいるスレナたちには、食料や負傷の心配がある。
一日でも早く着きたいベリルが、なお移動を続けるしかない。
この距離があるから、連絡が途絶えたという知らせは重い。
首都で無事を祈る間にも、山中の時間は過ぎていく。

到着後、ベリルはアフラタ山脈へ向かう。
ニダスから聞いた方角を手掛かりにしても、捜す範囲は広い。
人が入りにくい奥地なら、誰かが通った跡が残るかもしれない。
彼は山道に目を凝らし、スレナが進んだ可能性を一つずつ追う。
見つけるまでの手順にも、剣を振るうのとは別の粘りが要る。

第1期の森で共に新人を守った師弟が、今度は山で互いを捜す

第1期第4話の森では、ベリルとスレナは同じ場にいた。
新人の前に特別討伐指定個体が現れたとき、
危険を知る二人がその場で動き、若手を守ることができた。
山では、ベリルが異変に気づいた時点でスレナは遠くにいる。
声を掛け合うことさえできない距離から、救出は始まる。

ベリルには、剣で敵を受け止めた第1期の経験がある。
だが、山で最初に必要なのは剣先ではなく、行き先の見極めだ。
麓から奥へ進み、人が通ったらしい跡を探す。
途中では生き物の気配が薄れ、日も傾いていく。
自分まで道に迷えば、スレナを見つけても連れ帰れない。

この慎重さは、スレナを信じていないからではない。
彼女が負傷しているかもしれず、同行者もいるかもしれない。
見つけた場所から、戻る道まで確保しなければならないのだ。
ベリルは休息を挟みながら進み、
森が妙に静かなことにも注意を向け続ける。

その先で小さな洞穴を見つけ、奥に誰かの気配を感じる。
近づいた彼を迎えたのは、スレナの鋭い一撃だった。
ベリルは攻撃をしのぎ、彼女は相手が先生だと知って声を上げる。
再会できた瞬間にも、二人を囲む危険は去っていない。
あの一撃が、洞穴で過ごした時間の厳しさを伝えてくる。

ベリルが見つけたのは、帰り道を失ったスレナだけではない。
彼女が守り続けている、傷を負った仲間たちもいる。
第1期の森では師弟が並んで新人を守った。
今度は先に仲間を守っていた弟子のもとへ、師匠がたどり着く。
二人が合流したことで、ようやく全員で帰る道を考えられる。

ただ、洞穴を見つけたことと、山を脱出できることは違う。
重傷者をどう運ぶのか。外で待つ敵にどう向き合うのか。
スレナ一人では動かせなかった状況に、ベリルが加わった。
その先に待つのは、行方不明者を見つけて終わる救出ではない。
守る人数を減らさずに山を下りるための、師弟の戦いだ。

5.ベリルはスレナと再会できる?

山中で見つけたスレナは、同行者を守り続けていた

ベリルはアフラタ山脈の小さな洞穴で、スレナを見つける。
入り口をのぞいた途端、暗がりから彼女の剣が走った。
ベリルは抜刀する間もなく、剣の柄で刃を受ける。
相手が先生だと気づいたスレナは驚くが、
再会の喜びだけで洞穴を出られる状況ではなかった。

スレナは左肩と腹部に傷を負い、奥には仲間が二人いる。
もう一人いた探索役は、敵の最初の襲撃で命を落とした。
軽傷のピスケスは話せるものの、パウファードは重傷だ。
ベリルがスレナだけを連れて帰れば、二人が山に残る。
彼女が帰還できずにいた事情を、ベリルは洞穴で知る。

ピスケスは自分たちを残してスレナを逃がしてほしいと言う。
最高ランクの冒険者を生かせるなら、自分は残る覚悟だった。
しかし、スレナは仲間を置き去りにして山を下りたくない。
ベリルも、まず生きている全員を帰す道を考える。
救う人数を減らせば簡単になる、という答えを選ばない。

そのためには、洞穴で増援を待ち続けることもできない。
パウファードの傷は重く、食料や手当ての品にも限りがある。
ベリルは持参したポーション、包帯、食料を渡し、
動ける間に山を抜けるため、三人の力を確かめる。
一番傷の深い仲間をどう運ぶかが、最初の難所になる。

ピスケスはパウファードを背負って走る役を引き受ける。
スレナも万全ではないが、まだ剣を握って戦える。
ベリルは二人の答えを聞き、敵の縄張りを抜けると決めた。
狙いは敵を仕留めて名を上げることではない。
ピスケスの背にいるパウファードまで、生きて山を下りることだ。

第1期第4話の森でも、ベリルは新人を守るため、
特別討伐指定個体の前に立っていた。
あのときは新人に背を向けさせ、自分が敵を引き受けた。
今回も強敵との勝敗より、仲間を帰せるかが先にある。
ただし山ではスレナ自身も傷を負い、重傷者は歩けない。

合流しても終わらない危険と、脱出のために負う傷

洞穴を出ると、ベリルが先頭に立ち、スレナが後方を守る。
その間を、パウファードを背負ったピスケスが進む。
前後から守れば、運ばれる重傷者を中央に置ける。
一方で、見えない敵がどちらから来るかは分からない。
ベリルたちは互いの動きを確かめながら、山道を下る。

スレナが伝えた敵の特徴は、攻撃の瞬間だけ姿を現すこと。
黒く大きい姿も、普段は目で追えない。
やがてベリルは違和感を覚え、ピスケスに伏せるよう叫ぶ。
直後、何もいなかった山肌に巨大な影が現れ、爪を振るう。
ベリルは剣で受けるが、衝撃で体を浮かされる。

着地して見直したときには、もう敵の姿がない。
一撃を受け切っても、次にどこを守ればいいか分からないのだ。
ベリルが警戒を続ける間、ピスケスは人を背負って歩く。
走り急いで足を滑らせれば、二人とも危険にさらされる。
傷ついた一行は、敵だけでなく険しい道にも気を配る。

さらに襲撃を受け、ベリルは左腕に深い傷を負う。
ピスケスが手当てをするが、腕には力が入らない。
スレナは師匠の傷を案じ、表情を曇らせる。
それでもベリルは右手に剣を持ち、歩けることを確かめる。
ここで立ち止まれば、背中のパウファードも助けられない。

やがて周囲に、生き物の気配が戻ってくる。
ベリルとスレナは、異様な静けさに包まれた場所を抜けたと察する。
普通なら魔物のいる山道で気配を感じれば身構える。
ここでは鳥や獣の存在が、敵の縄張りを離れた手掛かりになった。
ただ、山を下り切るまで傷も疲労も消えるわけではない。

後にベリルが目を覚ました場所は、ヴェスパタのギルド出張所だ。
水桶を持って部屋に入ったスレナが、彼の目覚めに気づく。
ピスケスは無事で、パウファードも一命を取り留めた。
洞穴でスレナを見つけた時点では、救出はまだ半ばだった。
三人の無事を聞いて、ベリルはようやく結果を確かめられた。

6.スレナを追い詰めた敵は、ベリルとも関係がある?

若い頃のベリルを打ち負かした相手が、山で再び現れる

山で一行を襲った敵の名は、イド・インヴィシウス。
スレナを傷つけた危険な魔物であると同時に、
ベリルにとっても忘れられない相手だった。
彼は若い頃、この山で同じ敵に遭い、敗れている。
今回の救出には、思いがけず過去との再会も重なった。

当時のベリルは、父から師範の座を継ぐ前だった。
道場で共に学ぶ者との打ち合いには、ほとんど負けない。
父のサーベルボア討伐に同行し、山の一部も知っていた。
自分の剣がどこまで通じるか試したくなり、
その経験を頼りに、知っている範囲より奥へ踏み込んだ。

幼い頃からベリルは目がよく、父にも認められていた。
相手の動きが見えれば、勝てなくても逃げられる。
若い彼には、そう考えるだけの自信があった。
ところがイド・インヴィシウスの姿は、まともに捉えられない。
傷を負い、命からがら山を下りることになった。

目が利くベリルを追い詰めたのは、相手が消えることだけではない。
姿が見えた瞬間、既に巨大な爪が振られている。
山を下る現在のベリルも、剣で初撃を防いでなお吹き飛ばされた。
以前の敗北を思い出すのは、怖がりすぎているからではない。
同じ山で、同じ相手の攻撃を再び受けたからだ。

第1期第3話、ベリルはスレナとの立ち合いで、
冒険者ギルドに剣の腕を示している。
弟子が最高ランクに達しても、師匠の剣は通じた。
その二人がそろっても、山では敵を簡単に倒せない。
かつての敗北が、今なお危険を測る確かな記憶になっている。

しかも若い頃は、傷を負っても一人で逃げ帰れた。
今回はスレナ、ピスケス、パウファードが一緒にいる。
自分だけが攻撃を避けても、仲間に爪が届けば救出は失敗だ。
ベリルが過去より腕を上げたかどうかだけでは決まらない。
三人を守りながら、敵の縄張りを越えられるかが問われる。

師弟が過去に失ったものを抱え、同じ敵へ向き合う

スレナが失ったのは、同行していた探索役の命だ。
彼女は残る二人を守りながら後退したが、傷を防ぎ切れなかった。
ベリルが来ても、亡くなった仲間が戻ることはない。
それでもスレナは洞穴で動ける仲間を守り、
脱出の際には再び双剣を握って後方へ立つ。

ベリルもまた、敵の一撃で左腕を痛める。
剣士にとって、片腕に力が入らないことは軽い傷ではない。
ピスケスに手当てを受けても、すぐ元どおりには動かせない。
先頭で剣を構えるベリルを見て、スレナは心配を隠せない。
助けに来た師匠まで傷ついたことを、喜べるはずがない。

それでもベリルは、誰かのせいにして歩みを止めない。
右手に剣を持てるうちに、全員で縄張りを抜けようとする。
スレナも自分の傷を抱えたまま、背後を警戒し続ける。
二人とも無傷で敵を圧倒する姿にはならない。
傷を負った師弟が、それぞれの持ち場を守って進む。

第1期第4話、森で新人を守ったベリルは、
特別討伐指定個体を前にしても剣を引かなかった。
スレナもその戦いを経て、師匠が危険な場に立つ姿を知っている。
山では、そんな師匠が自分を捜しに来て負傷した。
彼女の心配と、後方を守る剣には、その重さがある。

一方、ベリルが若い頃と違うのは、敵を倒せる保証ではない。
かつては一人で逃げ帰り、苦い記憶を持ち帰った。
今は姿を消す敵に怯む気持ちがあっても、
スレナたちの歩調に合わせ、傷ついた腕を抱えて進む。
彼の剣が向く先には、倒す相手より先に守る人がいる。

師弟は敵を討ち取ってから山を下りたわけではない。
生き物の気配が戻る場所まで、全員で進み切った。
スレナたちが助かった後も、イド・インヴィシウスは山に残る。
ベリルの左腕にも、すぐには消えない傷が残った。
救出の成功は確かだが、敵との決着はまだ先にある。

7.救出の後、スレナとベリルはどうなる?

無事を確かめても、山に残る脅威は消えていない

ベリルがヴェスパタで目を覚ますと、左腕には包帯が巻かれていた。
傷の痛みは少し和らいでも、指先に力が入らない。
剣を握る者にとって、腕が動かない不安は小さくない。
そこへ水桶を持ったスレナが入り、先生の目覚めに声を上げる。
山ではベリルが彼女を捜したが、今は彼女がそばで世話をしている。

ベリルが最初に気にするのは、スレナだけの無事ではない。
パウファードを背負って下山したピスケスはどうなったのか。
意識を失っていたパウファードは助かったのか。
スレナから二人も生きていると聞いて、ようやく息をつける。
洞穴で選んだ「残る全員を連れて帰る」という道が、ここで実を結ぶ。

ただし、最初の襲撃で命を落とした探索役は戻らない。
残る三人を救えたことと、調査隊が受けた被害は別の事実だ。
しかも一行を襲ったイド・インヴィシウスは、山に残っている。
帰還したスレナがもう山へ行かなければ済む話でもない。
西方都市の近くに、姿を消して人を襲う敵がいるからだ。

もう一つ、ベリルの左腕にも答えが必要になる。
山ではピスケスの応急処置を受け、右手で剣を構えて歩いた。
しかし、指が動かないままでは、今後の剣にも関わる。
スレナは腕の立つ魔術師なら治せるかもしれないと願う。
先生を助けたい彼女には、無事に下山しただけで終われない。

そこへヴェスパタを訪れたルーシーが、ベリルの傷を見る。
肩から下の状態を確かめ、治療を引き受けた。
翌朝、ベリルは左腕を動かし、感覚を確かめている。
スレナもその確認に付き合い、二人で剣を扱う状態を見ていた。
山で受けた傷に、ここで一つ答えが出る。

だが腕が動いたからといって、山の危険まで消えたわけではない。
ベリルは若い頃に同じ敵に敗れ、今回はスレナたちも襲われた。
姿を消したまま近づき、爪を振るう瞬間だけ現れる。
一度は全員で逃げ切れても、次に入山する者が助かる保証はない。
救出の後、師弟が再び山へ向かうのは、その脅威が残るためだ。

第1期の「守られた弟子」が、今度は師匠と共に立つ

第1期第3話、スレナはベリルを新人冒険者の引率役に招いた。
ギルドでの立ち合いには、先生の腕を知ってほしい思いがあった。
第4話の森では、新人を守るベリルが強敵の前に立つ。
その頃のスレナにとって、師匠の剣は頼れる力だった。
山の一件でも、先生が洞穴まで来たことが脱出への一歩になる。

けれど今回、助けられるのはスレナだけではない。
ベリルが山を下る途中で倒れると、彼女は先生を背負って運んだ。
ヴェスパタへ戻ってからも付き添い、左腕を案じる。
救出に来た人を、今度は自分が支える。
第1期の森から続く師弟の姿が、ここで少し変わる。

さらにベリルの腕が治った翌朝、二人は町の門で顔を合わせる。
目的は、スレナが閉じ込められた洞穴へ戻ることではない。
山に残るイド・インヴィシウスと、改めて向き合うためだ。
その道にはアリューシアとルーシーも加わる。
一度目の下山で守る側だったスレナが、今度は先生と共に登る。

山へ入った一行は、道中の魔物を退けながら進む。
やがて周囲から生き物の気配が消え、四人は足を止める。
前回、ベリルとスレナが脱出を急いだ場所に戻ってきたのだ。
アリューシアもその異様な静けさを感じ取り、警戒を強める。
誰がどこから襲われるか分からない怖さは、まだ続いている。

スレナは最初の調査で仲間を失い、自身も傷を負った。
ベリルも救出の途中で、剣を握る左腕を痛めている。
二人には敵を軽く見る余地がない。
それでも再び山道を進めるのは、互いの腕を知り、
前回の襲撃で何が起きたかを確かめ合えるからだ。

「スレナは行方不明になるのか」への答えは、
依頼先から戻れず、連絡もできない時間が確かにあった、となる。
「なぜ救出が必要なのか」への答えは、もっと具体的だ。
重傷の仲間を残せないスレナの前に、見えない敵が立ちはだかった。
ベリルが見つけ、師弟で守りながら進んで、初めて帰還できた。

そして物語は、無事に帰れたところで止まらない。
水桶を持って先生の部屋へ入ったスレナは、
次には剣を携え、再び先生と山へ向かう。
守ってもらった記憶も、仲間を守り切れなかった痛みも抱えたまま、
二人が同じ敵の前に立つところまで、山の出来事は続いていく。

片田舎のおっさん、剣聖になるIIまとめ

『片田舎のおっさん、剣聖になるII』の記事を、大聖堂襲撃・モーリス教皇とスフェン教・ロゼとホワイト・メイデン・ハノイとヴェルデアピス傭兵団・アリューシア・スレナ・ミュイなどに分けてまとめています。
ベリル、アリューシア、ロゼ、ハノイ、モーリス、ガトガ、ヴェスパー、スレナなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。

▶【片田舎のおっさん、剣聖になるII】記事一覧ページはこちら

▶ 片田舎のおっさん剣聖IIの記事一覧ページを見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました