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【片田舎のおっさん剣聖II】前副団長ヒンギスに何があった?ロゼの前任者が王族襲撃へ回った末路

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ヒンギスはロゼの前に教会騎士団副団長を務めていたが、いつの間にか騎士団を離れ、グレン王子を狙う教皇派の襲撃側へ回っていた。
第10話でガトガが彼の不在を濁した場面は、後の王族襲撃へつながる伏線であり、剣と弓の両方を扱う元副団長が今度は騎士団の敵として現れる。
子供たちを利用されて追い詰められたロゼとは違い、ヒンギスは自ら教皇派へ与した可能性が高く、この差がガトガの二人への態度にもはっきり表れている。

※ここからは『片田舎のおっさん、剣聖になる』第1期終盤と、原作で明らかになるヒンギスの行動に触れます。

  1. 第1章 前副団長ヒンギスは教会騎士団を離れ、王族襲撃側へ回った
    1. ロゼの前任だった元副団長は、第1期終盤で敵側の人物として浮上する
    2. 元副団長だけあって、剣だけでなく弓まで扱う危険な実力者だった
  2. 第2章 第10話でガトガが「色々あって」と濁した人物がヒンギス
    1. アリューシアはロゼより先に、前副団長ヒンギスの不在へ気付いていた
    2. 「前副団長が消え、ロゼが座った」という交代が、後の王族襲撃へつながる
  3. 第3章 ヒンギスはなぜ教会騎士団を離れた?
    1. ロゼのように追い詰められたのではなく、自分の考えで教皇派へ加わった可能性が高い
    2. ガトガが「元身内でも仕留める」と決めたことが、ヒンギスの立場を示している
  4. 第4章 第11〜12話の王族襲撃でヒンギスは何をした?
    1. 大量の刺客と弓兵を使い、グレン王子たちの護衛を遠近両方から崩しにかかった
    2. ベリルが王族を守り、ガトガがヒンギスへ向かう二手の戦いになった
  5. 第5章 ガトガはなぜヒンギスを自分で仕留めようとした?
    1. 元副団長だからこそ、ガトガは「身内の不始末」として自分で決着を付けようとした
    2. 返り血を浴びてヒンギスを担いで戻った姿に、ガトガの覚悟が表れていた
  6. 第6章 ヒンギスとロゼは同じ「裏切り者」ではない
    1. ロゼは子供たちを人質に取られたが、ヒンギスは自分の思想で教皇派へ加わった可能性が高い
    2. ガトガがロゼを庇い、ヒンギスを首謀者として扱ったことで二人の差が決定的になる
  7. 第7章 ヒンギスの転落は、教会騎士団内部の亀裂を映していた
    1. 前副団長まで教皇派へ回ったことが、組織の内部まで揺らいでいた証になる
    2. ヒンギスの不在、ロゼへの交代、王族襲撃までが一本につながっていた

第1章 前副団長ヒンギスは教会騎士団を離れ、王族襲撃側へ回った

ロゼの前任だった元副団長は、第1期終盤で敵側の人物として浮上する

前副団長ヒンギスに何があったのか。
結論から言えば、
ヒンギスはスフェンドヤードバニア教会騎士団を離れた後、
グレン王子たちを狙う襲撃側へ回った人物である。
しかも元副団長だけあって、単なる下っ端の刺客ではない。

第1期第10話の時点では、
ヒンギス本人はすでに教会騎士団の列にいない。
ガトガの隣に立っていたのは、
新たに副団長となったロゼ・マーブルハートだった。
この時点ではヒンギスが何をしたのか詳しく語られず、
名前だけが不自然に残されている。

その違和感が形になるのが、
グレン王子とサラキア王女を巡る護衛任務が本格化してから。
第11話以降では黒装束の刺客が次々と現れ、
捕らえた者からも背後関係を十分に聞き出せない。
王族を狙う側に、かなり深く事情を知る人物がいることが見えてくる。

そして原作では、
ガトガ自身がベリルへ襲撃犯の正体について話す。
「昨日の襲撃は元身内の仕業だ」と告げ、
その相手がロゼの前に副団長を務めていたヒンニスだと明かす。
教会騎士団を率いる側だった男が、
今度は王族護衛を崩す側へ回っていたのである。

これはロゼのケースとは少し違う。
ロゼも第12話で王族襲撃へ加担するが、
孤児院の子供たちを利用され、
逃げ道を失った状態でベリルへ剣を向けている。
ヒンギスについては、
同じ形で人質を取られていたとは考えにくい。

原作でベリルやロゼが振り返る限り、
ヒンギスは自分なりの考えを持って教皇派へ加わった可能性が高い。
だからこそガトガの態度も厳しい。
元副団長だから事情を聞いて助けようとするのではなく、
再び姿を現したなら自分の手で仕留めるとまで言い切っている。

元副団長だけあって、剣だけでなく弓まで扱う危険な実力者だった

ヒンギスが厄介なのは、
教会騎士団の内部事情を知っているだけではない。
元副団長まで務めた実力者で、
剣を使えるうえに弓の扱いにも長けている。
接近戦だけを警戒すれば済む相手ではなかった。

王族護衛が襲撃を受けた場面では、
刺客が数を頼りに押し寄せるだけでなく、
遠距離から矢まで降ってくる。
ベリルたちは目の前の敵を捌きながら、
さらに飛来する矢の軌道まで警戒しなければならない。
護衛側の負担は一気に増していく。

そこでガトガが気付く。
剣も弓も扱えるヒンギスなら、
この遠距離攻撃を指揮していてもおかしくない。
実際に弓兵は敵味方の区別すら十分にせず、
前方で戦う刺客を巻き込む勢いで矢を放ってくる。
王族へ一発でも届けば目的を果たせるような攻め方だった。

ベリルはこのままでは持たないと判断し、
ガトガへ弓兵を潰すよう頼む。
ガトガは一度ためらうものの、
前線をベリルたちへ任せ、
自分はヒンギス側を叩くために突っ込んでいく。
元団長と元副団長が、完全に敵味方へ分かれた瞬間でもある。

その後ガトガは、
返り血と傷だらけの鎧で戻ってくる。
そして肩には一人の男を担いでいた。
それがヒンギスであり、
元副団長だった男はガトガによって戦闘不能にされ、
王族襲撃側として捕らえられる。

つまりヒンギスに起きたことは、
「副団長を辞めた」というだけではない。
教会騎士団の中枢から外れ、
王族を狙う側へ移り、
最後にはかつての団長ガトガと敵対するところまで進んだ。
第10話で名前だけ消えていた人物が、
第12話へ向かう襲撃の裏で再び姿を現したのである。

第2章 第10話でガトガが「色々あって」と濁した人物がヒンギス

アリューシアはロゼより先に、前副団長ヒンギスの不在へ気付いていた

ヒンギスの伏線は、
第1期第10話の顔合わせですでに置かれている。
スフェンドヤードバニア教会騎士団長ガトガが、
レベリス側の騎士たちと合流した場面。
ベリルがガトガへ挨拶する横で、
アリューシアは別の人物がいないことに気付く。

そこでアリューシアが尋ねたのが、
前副団長ヒンギスの所在だった。
ガトガが来るのであれば、
当然その隣にいるはずの人物として名前を出している。
つまりヒンギスは以前から、
他国の騎士団長であるアリューシアにも知られるほどの立場だった。

しかしガトガの返答ははっきりしない。
視線を泳がせるような反応を見せ、
ヒンギスについては「色々あって」とだけ濁す。
そして詳しい事情を話さないまま、
現在の副団長として隣にいるロゼを紹介する。

この時のロゼは、
ガトガから妹分のように扱われ、
背中を叩かれて抗議するような柔らかい登場をしている。
ベリルにとっても久しぶりの元弟子との再会で、
場面全体は懐かしさの方が強い。
そのため、ヒンギス不在の不自然さは一度奥へ引っ込む。

だが後から見返すと、
ガトガが言葉を濁したこと自体が大きい。
普通の異動や退職であれば、
ここまで歯切れの悪い返答をする必要はない。
元副団長について詳しく触れたくない事情が、
この時点ですでに教会騎士団内部に存在していた。

さらにロゼが副団長へ就いていることも、
単なる昇進だけではない。
ヒンギスが抜けた穴を埋める形で、
ロゼが新しい副団長になっている。
つまり第10話のロゼ紹介は、
同時にヒンギスがすでに正常な形で騎士団に残っていないことも示していた。

「前副団長が消え、ロゼが座った」という交代が、後の王族襲撃へつながる

第10話だけを見れば、
ヒンギスの名前は一度出て終わる。
ところが第11話以降、
王族を狙う刺客が本格的に動き始めると、
その名前が別の意味を持って戻ってくる。

黒装束の刺客が市街へ入り込み、
グレン王子とサラキア王女の周囲へ近づく。
捕まった刺客は情報を残さず、
襲撃は一度失敗しても止まらない。
単純な盗賊や傭兵ではなく、
内部事情を知った者が計画へ関わっている可能性が高まっていく。

そこでガトガがベリルへ伝えるのが、
襲撃側に元身内がいるという事実。
その名前として再びヒンギスが出る。
第10話で所在を濁された前副団長が、
今度は王族を狙う側の中心人物候補として浮上する。

ガトガにとっても、
これは単なる敵討伐では済まない。
ヒンギスはかつて自分の下で副団長を務め、
教会騎士団の内部を知る人物。
警備体制や騎士の動き方、
王族護衛でどこに隙が生まれやすいかまで理解している。

だからガトガは、
ヒンギスが出た場合は自分が始末するとベリルへ告げる。
アリューシアにもすでに情報を伝え、
元身内の不始末を自分の責任で片付けようとする。
第10話で名前を濁した時とは違い、
この時点では完全に敵として覚悟を決めている。

後にガトガは、
実際にヒンギス側の弓兵へ突入し、
戦闘を終えて戻ってくる。
肩に担がれたヒンギスは気を失っており、
かつて副団長だった面影より、
王族襲撃側の捕虜という立場が前面に出る。

第10話では、
ヒンギスが消えた席へロゼが座っていた。
第12話へ向かう頃には、
そのヒンギスが王族襲撃側に立ち、
ロゼ自身も別の事情から王子を狙う側へ追い込まれている。
短期間に二人の副団長が相次いで騎士団から外れることになる。

原作ではさらに後、
ベリルが教会騎士団の近況を知った際、
ヒンギス、ロゼ、その次の副団長と、
短期間で副団長が何度も交代したことを気にしている。
ガトガにとっては、
組織内部の亀裂を立て続けに突き付けられた形だった。

だから第10話の「ヒンギスは?」という一言は、
名前だけの小ネタではない。
前副団長が姿を消し、
その席へロゼが入り、
消えた本人が後に王族襲撃側から現れる。
後から見返すと、教会騎士団内部で何かが壊れ始めていたことを最初に知らせる場面なのである。

第3章 ヒンギスはなぜ教会騎士団を離れた?

ロゼのように追い詰められたのではなく、自分の考えで教皇派へ加わった可能性が高い

ヒンギスが教会騎士団を離れた経緯について、
本人が細かな事情を語る場面は多くない。
しかし第1期終盤と原作で判明する情報をつなぐと、
ロゼとはかなり違った形で教皇派へ加わった人物だったことが見えてくる。
少なくとも、同じ事情で無理やり動かされていた可能性は低い。

この違いがはっきり出るのが、
王族襲撃が終わった後のベリル、ガトガ、ロゼの会話。
重傷を負ったロゼをガトガが肩に担ぎ、
もう片方には捕らえたヒンギスを抱えた状態で、
一行は襲撃の背後にいた人間について確認していく。

ロゼは孤児院の子供たちを人質に取られていた。
自分が失敗すれば子供たちが危険になると告げられ、
王子暗殺へ協力するしかない場所まで追い込まれている。
ベリルに斬られた後でさえ、
まず気にしていたのは自分の傷より子供たちの所在だった。

そこでベリルは、
ヒンギスもロゼと同じように脅されていた可能性を考える。
元副団長まで務めた人物なら、
教皇派に弱みを握られて従わされた可能性もあり得る。
だがロゼの返答から、
二人が同じ立場ではなかったことが見えてくる。

ロゼとヒンギスは襲撃側として協力関係にはあった。
しかし密に連携していたわけではなく、
ロゼと同じ条件を突き付けられた者たちは、
すでに命を落としている可能性が高いと彼女は考えていた。
そこにヒンギスは含まれていない。

この話を聞いたベリルは、
ヒンギスについて別の可能性へ行き着く。
誰かを人質に取られたからではなく、
自分自身の思想によって教皇派へ賛同したのではないか。
だからガトガも、ロゼとヒンギスを同じようには扱っていない。

ガトガはロゼについて、
子供たちが人質にされていた事情を考慮し、
王族襲撃の首謀者をヒンギスとする形で救おうとする。
一方のヒンギスについては、
そこまでして庇おうとする様子を見せない。
元副団長でありながら、自分で選んだ側へ立ったと見ているからである。

ガトガが「元身内でも仕留める」と決めたことが、ヒンギスの立場を示している

ヒンギスが単なる離職者ではなかったことは、
ガトガの態度を見るとさらに分かりやすい。
第10話ではアリューシアから所在を尋ねられても、
ガトガは「色々あって」と詳しい話を避けていた。
まだ他国の騎士へ簡単に話せる内容ではなかった。

しかし王族襲撃が始まると、
そんな曖昧な態度ではいられなくなる。
ガトガはベリルへ、
今回の襲撃には元身内が関わっていると明かし、
ヒンギスが姿を現した場合は自分が相手をすると決める。

ヒンギスはかつて、
自分のすぐ下で副団長を務めていた人物。
騎士団の戦い方も、
内部の人間関係も、
ガトガ自身の力量まで知っている。
それだけに、敵側へ回った時の危険性も普通の刺客とは違った。

ガトガが厳しくなるのは、
単に裏切られた腹立ちだけではない。
教会騎士団は本来、
特定の思想ではなく国と民を守るためにあるというのがガトガの考え。
後の会話でも、王権派か教皇派かより、
騎士団として国を守ることを優先する姿勢を示している。

その団体の副団長だったヒンギスが、
教皇派へ傾き、
王族を狙うために騎士団で培った力を使った。
ガトガから見れば、
職務上も個人的にも見過ごせる行動ではない。
だから元部下であっても、自分の手で止める覚悟を決めていた。

ヒンギスが騎士団を離れた背景には、
スフェンドヤードバニアで深まっていた王権と教皇側の対立がある。
ロゼはその争いへ巻き込まれた人物だったが、
ヒンギスはむしろ自ら片方へ足を踏み入れた可能性が高い。
ここが二人の元副団長を分ける大きな境目になる。

第4章 第11〜12話の王族襲撃でヒンギスは何をした?

大量の刺客と弓兵を使い、グレン王子たちの護衛を遠近両方から崩しにかかった

王族襲撃が本格化すると、
ヒンギスの厄介さは元副団長という肩書だけではなくなる。
ベリルたちの前には黒装束の刺客が大量に現れ、
グレン王子とサラキア王女を囲む護衛陣へ正面から押し寄せる。
前回の襲撃より数が明らかに多い。

ベリルは先頭の刺客を斬りながら、
妙な違和感にも気付いている。
人数は増えているのに、
一人一人の力量は以前の刺客ほど高くない。
質の高い人材が足りない分、
数を揃えて護衛側を疲弊させる攻め方に変わっていた。

さらに危険だったのが弓兵。
遮蔽物の少ない場所で王子と王女を守るため、
ベリル、アリューシア、ヘンブリッツは護衛対象から大きく離れられない。
接近する刺客を斬りながら、
遠くから飛んでくる矢まで見なければならなくなる。

一本でも王族へ届けば終わる。
ベリルが飛来した矢を叩き落とすと、
ガトガもすぐ遠距離攻撃へ気付き、
周囲へ矢を警戒するよう叫ぶ。
その時ガトガの口から、
ヒンギスが剣だけでなく弓も使えることが語られる。

元副団長なら、
近接戦だけに長けていたわけではない。
遠距離兵を動かし、
護衛陣の外側から圧力を掛けることもできる。
ガトガはこの攻撃を見て、
ヒンギスが弓兵を指揮している可能性を強く疑う。

しかも矢は、
前方で戦っている刺客まで巻き込んで飛んでくる。
実際に黒装束の男へ味方側の矢が突き刺さるほどで、
王子へ当てるためなら自軍の損害も構わない攻め方だった。
護衛側は時間が経つほど不利になる。

ベリルが王族を守り、ガトガがヒンギスへ向かう二手の戦いになった

このままでは矢を防ぎ切れないと見たベリルは、
ガトガへ弓兵を叩くよう求める。
王族の周囲にはベリル、アリューシア、ヘンブリッツが残り、
ガトガだけを遠距離攻撃側へ向かわせる。
防御の人数を減らしてでも、弓を止める必要があった。

ガトガも一度はためらう。
自分が離れれば、
グレン王子とサラキア王女を守る人数はさらに減る。
しかし刺客と矢を同時に受け続ければ、
いずれ護衛のどこかに穴が開く。
ベリルへ王族を任せ、巨体を生かして前線の外へ飛び出す。

ここで第10話の伏線が回収される。
「あいつはどうした」と尋ねられ、
ガトガが言葉を濁していた元副団長。
そのヒンギスを止めるため、
今度はかつての団長本人が敵陣へ向かう。

ベリル側では、
大量の刺客を相手にしながら別の異変も起きていた。
前衛に出ているロゼの場所から、
妙に多くの刺客が抜けてくる。
ベリルは昔の弟子だからこそ、
ロゼの力量ならこの程度を通すはずがないと気付く。

つまり同じ戦場で、
二人の副団長経験者が別々の形で王族襲撃へ関わっていた。
ヒンギスは襲撃側を動かす人物として遠距離攻撃に関与し、
ロゼは孤児院の子供たちを盾に取られ、
わざと刺客を通す側へ追い込まれていた。

やがてガトガは戦場へ戻ってくる。
傷と返り血を受けた姿で、
肩には意識を失ったヒンギスを担いでいる。
元副団長と元団長の戦いは、
ガトガがヒンギスを制圧する形で決着した。

その後、
ガトガはヒンギスを王族襲撃の首謀者として扱う方向へ動く。
一方でロゼについては、
人質を取られて巻き込まれ、
応戦中に負傷したという形へ持っていこうとする。
二人への扱いの差はここではっきりする。

ヒンギスは教会騎士団副団長だった力と経験を、
今度は王族を追い詰めるために使った。
だから彼に「何があったのか」を追うと、
単に騎士団を辞めた人物の話では終わらない。
国を守る側にいた実力者が教皇派へ移り、
かつての仲間へその力を向けるところまで転じた人物なのである。

第5章 ガトガはなぜヒンギスを自分で仕留めようとした?

元副団長だからこそ、ガトガは「身内の不始末」として自分で決着を付けようとした

ヒンギスが王族襲撃へ関わっていると分かった時、
ガトガはベリルへ「元身内の仕業だ」と伝え、
相手がロゼの前に副団長を務めていたヒンギスだと明かす。
そのうえで、ヒンギスが現れた場合は、
自分が責任を持って仕留めるとまで言い切っている。

この言葉には、
単なる敵討伐とは違う重さがある。
ヒンギスは教会騎士団の末端ではなく、
かつてガトガのすぐ下で副団長を務めていた人物。
騎士団の方針も戦い方も知る、文字通り元身内だった。

第10話でアリューシアからヒンギスの所在を聞かれた時、
ガトガは詳しい事情を語らず、
「色々あって」とだけ濁していた。
その時点ですでに、
普通の退職や異動では済まない事情を抱えていたことが分かる。

ところが王族襲撃が始まると、
もう曖昧な態度ではいられない。
刺客はグレン王子を狙い、
捕らえられた者たちも情報を残さず自害する。
元副団長がその側へいるなら、
ガトガ自身が止めなければ騎士団の信用まで崩れる。

実際に第12話へ向かう戦いでは、
刺客の群れに加えて遠方から矢が降り注ぐ。
ガトガはヒンギスが剣だけでなく弓も扱えることを知っており、
弓兵を指揮している可能性へすぐ行き着く。
元上官だからこそ、敵となったヒンギスの手札まで分かっていた。

ベリルは、
このままでは刺客と矢の両方を防ぎ切れないと判断する。
そこでガトガへ弓兵を潰すよう頼み、
自分たちがグレン王子とサラキア王女を守る。
ガトガは護衛を離れる危険を承知しながら、
ヒンギス側へ向かって前線を突き抜けていく。

返り血を浴びてヒンギスを担いで戻った姿に、ガトガの覚悟が表れていた

戦闘が続く中、
ガトガはやがてベリルたちのもとへ戻ってくる。
鎧には傷と返り血が残り、
その肩には意識を失ったヒンギスが担がれている。
元団長と元副団長の戦いは、
ガトガがヒンギスを制圧する形で終わった。

ガトガがここまで厳しかった背景には、
彼自身の騎士団観もある。
王権派か教皇派かという思想より、
国と民を守ることが騎士団の役目だと考えている。
だから副団長だったヒンギスが、
政治的な側へ傾いて王族襲撃へ力を使ったことを許せなかった。

ヒンギスは、
教会騎士団で身につけた剣術や弓術だけでなく、
組織内部を知る経験まで襲撃側へ持ち込んだ。
ガトガから見れば、
育てた戦力がそのまま国を危険へさらす力へ反転したことになる。
だから他人へ始末を任せず、自分で止める必要があった。

第10話で名前を濁したガトガが、
第12話ではヒンギスを自分の手で倒して戻る。
この変化を見ると、
ガトガにとってヒンギスの反逆がどれほど重かったかが分かる。
元副団長という過去があるからこそ、
最後まで「元仲間だから見逃す」という選択はしなかったのである。

第6章 ヒンギスとロゼは同じ「裏切り者」ではない

ロゼは子供たちを人質に取られたが、ヒンギスは自分の思想で教皇派へ加わった可能性が高い

王族襲撃では、
ヒンギスだけでなくロゼもベリルたちと反対側へ立つ。
二人とも教会騎士団の副団長経験者であり、
グレン王子を危険へさらした。
表面だけを見れば、
同じように騎士団を裏切った人物にも見える。

しかし二人がそこへ至った経緯は違う。
ロゼは孤児院の子供たちを人質に取られ、
自分が任務へ逆らえば子供たちが危険になる状況へ追い込まれていた。
第12話でベリルへ剣を向けた時も、
自分の命より子供たちを守ることを優先している。

戦闘後、
ベリルはヒンギスも同じように脅されていた可能性を考える。
だがロゼは、
ヒンギスとは協力関係にはあったものの、
自分と同じ条件で動いていたとは見ていなかった。
同様に脅されていた者たちは、すでに命を落としている可能性が高かった。

そこからベリルが考えるのが、
ヒンギスは自分の思想で教皇派へ賛同していたのではないかということ。
誰かを人質に取られて仕方なく動いたのではなく、
王権と教皇側の対立の中で、
自分自身が教皇派を選んだ可能性が強くなる。

だからガトガの二人への態度にも差が出る。
ヒンギスには、
自分で仕留めると明言するほど厳しい。
一方でロゼについては、
王子襲撃へ加担した事実を知りながら、
何とか極刑を避けさせようとする。

ガトガがロゼを庇い、ヒンギスを首謀者として扱ったことで二人の差が決定的になる

戦いが終わった後、
ガトガは重傷のロゼと捕らえたヒンギスを両方担いで歩く。
そこで問題になるのが、
王子暗殺へ加担したロゼをどう扱うかだった。
普通に考えれば、極刑まであり得るほど重い罪である。

それでもガトガは、
首謀者をヒンギスとし、
ロゼは事件へ巻き込まれて応戦中に負傷した形へ持っていこうとする。
事実をそのまま出せばロゼが助からないため、
何とか救える道を作ろうとしていた。

ベリルも、
同じ副団長経験者なのに扱いが違いすぎることを疑問に思う。
そこで明かされるのが、
ガトガとロゼが義理の兄妹だったこと。
ガトガはロゼが幼い頃から知っており、
単なる団長と副団長以上の関係にあった。

ただし身内だから何でも許すわけではない。
ガトガは、
孤児院の子供たちの事情がなければ、
自分がロゼを斬っていたとまで言う。
ロゼ自身もその覚悟はしていた。
庇うのは罪を軽く見ているからではなく、利用された事情を知ったからである。

一方のヒンギスには、
同じように庇える材料が見えてこない。
元副団長として騎士団を知りながら教皇派へ回り、
刺客や弓兵を使って王族を襲撃した。
ガトガから見れば、
自分で選んだ行動として責任を取らせるしかない人物だった。

だからヒンギスとロゼは、
「二人とも裏切った」で一括りにはできない。
ロゼは守りたい子供たちを利用されて道を外し、
ヒンギスは自分の思想で教皇派へ傾いた可能性が高い。
この違いが、ガトガの処遇と二人のその後を大きく分けたのである。

第7章 ヒンギスの転落は、教会騎士団内部の亀裂を映していた

前副団長まで教皇派へ回ったことが、組織の内部まで揺らいでいた証になる

ヒンギスの件を単独の反逆として見ると、
一人の元騎士が道を外れた話で終わる。
しかし第1期全体を振り返ると、
もっと大きいのは教会騎士団の中枢にいた人物まで、
王権と教皇側の対立へ巻き込まれていたことである。

ヒンギスは末端の騎士ではない。
ガトガの下で副団長まで務め、
他国の騎士団長アリューシアにも名前を知られていた人物。
その立場の人間が教皇派へ傾き、
最終的にグレン王子を狙う襲撃へ関わった。
騎士団内部の亀裂は、かなり深い場所まで入り込んでいた。

第10話でアリューシアがヒンギスの不在に気付き、
ガトガが「色々あって」と濁した場面も、
後から見ると単なる人事の話ではない。
すでに元副団長との関係は壊れ、
その穴を埋める形でロゼが副団長になっていた。
表面上は新しい体制でも、内部では問題が進行していた。

さらに第11話から第12話では、
そのヒンギスが王族襲撃側から現れる。
元副団長として知っている戦術や人員の動かし方を使い、
刺客だけでなく弓兵まで投入する。
一度は国を守る側で使っていた技量が、
今度は王族を追い詰める力へ変わっている。

そしてロゼまで、
別の事情から同じ戦場で王族を危険へさらす側へ回る。
前副団長ヒンギスが自ら教皇派へ傾き、
現副団長ロゼは孤児院の子供たちを利用されて追い込まれる。
理由は違っても、二代続けて副団長経験者が騎士団の外へ押し出された。

ここまで続けば、
単なる個人の失敗だけでは片付かない。
騎士団内部で誰を信じるのか、
国を守るとは何なのか、
教皇派と王権側の対立へどこまで関わるのか。
組織そのものが不安定になっていたことが見えてくる。

ヒンギスの不在、ロゼへの交代、王族襲撃までが一本につながっていた

ヒンギスの記事で最も重要なのは、
最後に倒された場面だけではない。
第10話で名前だけ出て、
本人がいない。
その席にロゼが座っている。
その数話後、消えていた本人が王族襲撃側から現れる。

この流れがあるから、
第10話の「ヒンギスは?」という短い会話が効いてくる。
その時点では視聴者も、
副団長が交代した程度に受け取りやすい。
しかし後から見返せば、
ガトガが事情を言いたがらなかった時点ですでに異常が始まっていた。

さらにヒンギスが捕らえられた後、
今度はロゼまで副団長の立場を失っていく。
ガトガにとっては、
前任者も後任者も短期間で騎士団から外れたことになる。
原作でも後に、副団長が立て続けに交代した状況が意識される。

だからヒンギスに「何があった?」という疑問は、
単に退職理由を知るだけでは終わらない。
前副団長が教皇派へ移ったこと、
ガトガが自分の手で止めたこと、
その後ロゼまで騎士団から外れたことまで見ると、
スフェンドヤードバニア内部の対立が騎士団そのものを壊していたことが分かる。

ヒンギスは、
国を守る側の中枢にいた人物だった。
それが最後には、
同じ国の王族を狙う側へ回り、
かつての団長ガトガに制圧される。
立場の反転が大きいからこそ、
彼の転落は教会騎士団内部の異常を象徴する出来事になっている。

第10話で空席になっていた副団長の座。
そこへ入ったロゼ。
第12話で敵として戻ったヒンギス。
この三つをつなげて見ると、
「前副団長が消えた」という小さな違和感が、
後の王族襲撃へ続く最初の警告だったことが分かるのである。

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