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【片田舎のおっさん剣聖II】「動く死体」の正体!大聖堂を襲った人影は何者?誰が操っている?

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大聖堂へ押し寄せた人影は暴徒ではなく、すでに死亡した人間の身体へ魔力をまとわせて動かした「動く死体」だった。
ベリルがすぐ異常へ気付けたのは、第1期でレビオス司教が死者蘇生の研究から生み出した操られた死体と、ほぼ同じものを実際に斬っているからである。
しかも今回の死体は単独で暴れたのではなく、暗殺者を王族へ近づける壁として大量投入され、その背後にはモーリス教皇側の計画がつながっていく。

※ここからは『片田舎のおっさん、剣聖になるII』第10話と、第1期第6話の内容に触れます。

  1. 第1章 大聖堂を襲った人影の正体は「動く死体」
    1. 暴徒ではなく、すでに死亡した人間の身体が魔力で動かされていた
    2. 斬っても止まらないため、ベリルたちは「倒す」より機能停止を優先した
  2. 第2章 ベリルはなぜ一目で普通の人間ではないと分かった?
    1. 第1期第6話で、レビオス司教が動かした死体を実際に斬っている
    2. 第1期では「死者蘇生の失敗作」だったものが、第2期では兵力として大量投入された
  3. 第3章 動く死体は生き返った人間なのか?
    1. 蘇生ではなく、死体へ魔力をまとわせて外から動かしている
    2. 死体は完全な操り人形ではないが、襲う方向はある程度指定できる
  4. 第4章 誰が動く死体を操っている?
    1. 第10話直後では教皇派が最有力で、モーリス教皇の不在も不自然だった
    2. 動く死体だけでは王族を仕留めきれないため、最初から合成獣まで用意されていた
  5. 第5章 なぜ大量の死体を大聖堂へ送り込んだ?
    1. 目的は死体だけで王族を倒すことではなく、護衛をその場へ縫い付けることだった
    2. 「死体を斬る」と「人間を見抜く」を同時に要求する二重攻撃だった
  6. 第6章 第1期のレビオスと第2期の大聖堂襲撃はどうつながる?
    1. 第1期では死者蘇生の研究だったものが、第2期では王族暗殺の戦力へ変わっている
    2. 大聖堂の外へ被害が広がったことで、死体が最初から「消耗品」として扱われていたことも分かる
  7. 第7章 動く死体は前座で、その先に合成獣まで用意されていた
    1. 大聖堂の人影を止めても、王族襲撃そのものは終わっていなかった
    2. モーリス教皇の名が出たことで、死体・暗殺者・合成獣が一つの計画へつながる

第1章 大聖堂を襲った人影の正体は「動く死体」

暴徒ではなく、すでに死亡した人間の身体が魔力で動かされていた

第10話で大聖堂へ雪崩れ込んできた人影は、
普通の暴徒でも教会騎士でもない。
すでに死亡している人間の身体を、
魔力によって外側から動かしている「動く死体」だった。
ベリルも、その動きを見た瞬間に生者ではないと判断している。

最初に異常が表れるのは、
大聖堂の拝廊側から騒ぎが聞こえた直後。
外を守っていた教会騎士が侵入者を止めようとするが、
剣を受けても相手はひるまず、
警告を最後まで言い切れないまま群れへ呑み込まれていく。

扉が破られると、
大量の人影がそのまま内部へ流れ込む。
相手は傷を負っても痛みで止まらず、
腕を斬られても前進を続ける。
通常の対人戦なら有効な一撃が、
ほとんど制止につながらない状態だった。

そのためベリルは、
迎撃に出ようとするアリューシアへすぐ注意を飛ばす。
狙うのは腕や肩ではなく、
胴体か下半身。
相手を傷つけるのではなく、
身体そのものを動かせない状態へする必要があった。

これは大聖堂へ侵入した人影が、
本人の意思で戦っていないことともつながる。
恐怖で退くことも、
痛みで剣を止めることもない。
すでに死んでいる身体だからこそ、
人間相手の常識が通用しない。

しかも厄介なのは数だった。
一体一体の戦闘技術だけを見れば、
ベリルやアリューシアが苦戦するほどではない。
だが止まりにくい死体が大量に押し寄せ、
中央にはグレン王子とサラキア王女がいる。
単純に前へ出て殲滅すれば済む戦いではなかった。

サラキア王女も状況を見て、
アリューシアへ即座に護衛を命じる。
グレン王子が突然の襲撃へ驚く一方で、
サラキアは自分だけでなく周囲まで守るよう指示を出す。
婚姻の儀で静まり返っていた大聖堂が、
数十秒で完全な戦場へ変わっていく。

斬っても止まらないため、ベリルたちは「倒す」より機能停止を優先した

動く死体への対処で重要なのは、
人間を倒す感覚のまま戦わないこと。
生きた相手なら、
深手を負わせれば動きが鈍り、
痛みや失血によって戦闘不能になる。
しかし死体には、その前提がほとんどない。

ベリルがアリューシアへ
胴体か下半身を確実に切り捨てるよう伝えたのもそのため。
脚を失えば前進できず、
胴体を大きく断てば身体を支えられない。
痛覚ではなく、構造そのものを壊して止める戦い方になる。

実際、
教会騎士たちは最初の接触でこの違いへ対応できていない。
人間を制圧する感覚で斬りかかり、
相手が止まらないことに戸惑う。
その間にも群れは押し込み、
正面の通路を埋めるように大聖堂内部へ広がっていく。

ベリルが有利だったのは、
この異常な敵を初めて見たわけではないこと。
大聖堂の人影を見た時、
彼の中ではすぐ第1期第6話の記憶がよみがえる。
レビオス司教が木箱から動かした死体と、
動き方がほぼ同じだったからである。

違うのは規模だった。
第1期では、
狭い場所で数体の死体を相手にした。
今回は王族の婚姻が行われる大聖堂へ、
数え切れないほどの死体が投入されている。
過去に隠れて行われていた異常が、
今度は公の場へ兵力として持ち込まれた形だった。

だから大聖堂の人影は、
単なるゾンビのような新しい魔物ではない。
第1期からすでに存在していた
「死体を外側から動かす技術」が、
さらに大規模に利用されたものだったのである。

第2章 ベリルはなぜ一目で普通の人間ではないと分かった?

第1期第6話で、レビオス司教が動かした死体を実際に斬っている

ベリルが大聖堂で迷わず対処できた背景には、
第1期第6話「片田舎のおっさん、死者と対峙する」での経験がある。
この回でベリルは、
スフェン教のレビオス司教が続けていた
死者蘇生に関わる研究へ直接踏み込んでいる。

事件の発端は、
ミュイを利用していた「宵闇の魔手」だった。
彼らが身につけていた魔装具はスフェンドヤードバニア製で、
背後にはレビオス司教がいることが判明する。
レビオスは魔装具を流す代わりに、
死体を集めさせていた。

目的は、
スフェン教で最高位の奇跡とされる死者蘇生の再現。
レビオスは単に遺体を隠していたのではなく、
死者を再び動かすための素材として集めていた。
その中には、
ミュイが探していた姉の遺体まで含まれていた。

ベリルがレビオスのもとへ踏み込むと、
司教は祝詞を唱え、
木箱に収めていた死体を次々と動かす。
そこにいたのは、
生き返って意思を取り戻した人間ではない。
死人の身体だけが不自然に動き、
ベリルへ襲い掛かってくる光景だった。

ベリルにとって最も重かったのが、
その中にミュイの姉と思われる女性がいたこと。
探し続けていた家族が、
本人の意思とは無関係に利用され、
敵として目の前へ出されている。
それでも止めるには斬るしかなかった。

この経験があるから、
第10話の大聖堂でも判断が速い。
斬られても止まらない。
痛みへの反応がない。
人間らしい恐怖や躊躇も見せない。
それだけでベリルには、過去に見た死体と同系統だと分かる。

第1期では「死者蘇生の失敗作」だったものが、第2期では兵力として大量投入された

レビオスが目指していたのは、
本来なら「死者を蘇らせる奇跡」だった。
しかし実際にベリルが見たものは、
死者本人が戻ってきた状態ではない。
身体だけを動かし、
命令に従わせるような不完全な結果だった。

ベリルも事件後、
あれを本当の蘇生とは考えていない。
死者蘇生の奇跡を再現しようとして、
死体だけが動く状態になった。
少なくとも、
元の人格や意思まで戻った存在ではなかった。

そこが大聖堂の人影とも一致する。
大量の死体は、
自分で考えて王族を襲っているわけではない。
一定方向へ押し寄せ、
障害物があればそのままぶつかり、
止められても身体が動く限り前進を続ける。

さらに第10話では、
第1期より使い方が明らかに変わっている。
レビオスの時は研究対象に近かったものが、
今度は王族暗殺へ投入する大量戦力になっている。
死者蘇生の失敗作が、
実戦用の兵器に近い形で利用されているのである。

ベリルにとって不気味なのは、
同じ技術が再び出てきたことだけではない。
第1期でレビオスを止めても、
死体を動かす仕組みそのものが消えたわけではなかった。
スフェンドヤードバニア側のどこかに、
その技術や知識が残っていたことになる。

だから大聖堂へ押し寄せた人影を見た時、
ベリルは「新しい魔物」とは考えなかった。
第1期で自分が直接斬った、
あの死者たちの延長にあるものだと見抜いた。

一度は地下や閉ざされた場所で行われていた禁忌が、
今度はグレン王子とサラキア王女がいる婚姻の場へ大量投入される。
第1期第6話を覚えていると、
大聖堂の人影は突然出てきた敵ではなく、
過去の事件がさらに危険な形で戻ってきた存在だと分かるのである。

第3章 動く死体は生き返った人間なのか?

蘇生ではなく、死体へ魔力をまとわせて外から動かしている

大聖堂へ押し寄せた人影を見て、
「死人が生き返ったのか」と感じるのは自然である。
しかし原作でプリムが説明した内容を見ると、
あれは死者が本来の命を取り戻した状態ではない。
死体へ魔力をまとわせ、外から無理やり動かしているものだった。

第10話の大聖堂では、
サラキア王女が脱出後に「あれは何だったのか」と尋ねる。
そこで答えるのが、
ヴェルデアピス傭兵団の魔術師プリム。
彼女は死体へ魔力を纏わせて動かす魔術の一種だと説明する。

つまり、
死体の中に元の人格が戻ったわけではない。
自分の意思で王族を憎み、
自分の判断で剣を向けているわけでもない。
身体だけが外部の魔力によって動かされ、
一定の方向へ進ませられている状態に近い。

その証拠に、
大聖堂では斬撃を受けてもほとんど怯まない。
普通の人間なら腕を斬られれば反射的に止まり、
深手を負えば動きも鈍る。
しかし動く死体には、
痛みによる制止がほとんど働かなかった。

ベリルがアリューシアへ、
胴体か下半身を確実に断つよう指示したのもそのため。
相手の戦意を奪うのではなく、
脚を失わせる、
身体を支えられなくするという物理的な方法で止める必要があった。

ここは第1期第6話のレビオス司教事件とも同じ。
あの時もレビオスは、
死者蘇生の奇跡を再現しようとして死体を動かした。
だがミュイの姉を含む死者たちは、
以前の人格を取り戻して話し始めたわけではない。

ベリル自身も、
事件後にあれを完全な死者蘇生とは見ていなかった。
本当に死者が生き返ったのであれば、
意思も感情も記憶も戻るはず。
ところが実際には、
身体だけが命令に従うように動く不完全な結果だった。

死体は完全な操り人形ではないが、襲う方向はある程度指定できる

大聖堂の動く死体には、
もう一つ重要な特徴がある。
まったく無秩序に周囲すべてを襲っているわけではない。
原作でベリルは、
死体の群れに紛れていた暗殺者が襲われていなかったことへ気付く。

もし死体が完全に暴走しているだけなら、
暗殺者も巻き込まれるはず。
ところが実際には、
黒装束の暗殺者は群れの中を利用して王族へ近づいている。
少なくとも味方と標的を大まかに分ける程度の指向性は持たせられると考えられる。

ただし、
一人一人を細かく識別しているわけではない。
大聖堂を脱出した後、
周辺の街路でも被害が広がっている。
大量投入した死体を、
完全に精密操作できているわけではなかった。

だから仕組みとしては、
剣士一人一人を遠隔操作するような高度なものではない。
「この方向へ進め」
「この集団を襲え」
という程度の命令を与え、
あとは魔力で身体を動かし続ける形に近い。

この雑さが、
逆に兵器として厄介だった。
細かな判断はできなくても、
痛みを感じず、
恐怖もなく、
身体が壊れるまで前進し続ける。
大量に投入すれば、護衛側の体力と注意を確実に削れる。

第1期では、
レビオスが死者蘇生研究の結果として死体を動かしていた。
第2期では、
その技術が「人を蘇らせる研究」ではなく、
王族を追い詰める戦力へ変わっている。
同じ禁忌でも、使われ方が大きく変質していたのである。

第4章 誰が動く死体を操っている?

第10話直後では教皇派が最有力で、モーリス教皇の不在も不自然だった

大聖堂の動く死体を、
誰が直接操作していたのか。
第10話の時点では、
ベリルたちも術者本人をその場で捕まえたわけではない。
だから「誰が一体ずつ動かしていたか」までは断定できない。

ただし、
事件全体の背後についてはかなり絞られていく。
最も大きいのが、
スフェン教教皇モーリス・パシューシカの存在。
婚姻の儀当日、
本来なら重要な立場にいるはずの教皇が大聖堂へ姿を見せていなかった。

グレン王子とサラキア王女という、
両国の王族が同じ場所へ集まる式典。
しかもスフェンドヤードバニア側の宗教儀礼として行われる以上、
教皇が日程を知らないとは考えにくい。
その本人だけが襲撃現場から外れていた。

大聖堂を脱出した後、
さらに決定的な情報を出すのがホワイト・メイデン。
ハノイから合成獣の情報源を尋ねられた流れで、
それまでほとんど声を発していなかった彼女が、
初めて「モーリス・パシューシカ」の名を口にする。

グレン王子が、
今回の凶行は教皇が主犯なのかと問い返す。
ホワイト・メイデンは、
言葉を重ねず静かに肯定する。
ここで動く死体、暗殺者、教皇不在という別々の違和感が一本へつながる。

ベリルも、
教皇が主犯なら説明がつくと考える。
以前ルーシーから聞いていた、
王権派と教皇派の対立。
婚姻の儀へ教皇が出なかったこと。
そして禁忌である死体操作が大規模に使われたこと。

ただし重要なのは、
「モーリス本人がその場で死体一体ずつを直接操っていた」
とまでは描かれていないこと。
教皇側の計画として準備され、
術者や協力者を介して動かされた可能性も残る。
黒幕と現場の操作者は分けて考える必要がある。

動く死体だけでは王族を仕留めきれないため、最初から合成獣まで用意されていた

モーリス教皇側の関与を強くするのが、
大聖堂襲撃の次に用意されていた戦力である。
大聖堂を抜けたベリルたちへ、
ハノイが「合成獣が都市へばら撒かれる」と伝える。
動く死体だけで計画は終わっていなかった。

グレン王子は合成獣について、
過去の犯罪記録で見た禁忌だと説明する。
獣や魔物を継ぎ合わせ、
魔力によって動かす存在。
人間の死体を動かす術と発想がよく似ている。

アリューシアも、
ここで敵の狙いを考え直す。
大聖堂にはベリル、
アリューシア、
ヘンブリッツをはじめ戦える者が複数いた。
動く死体と暗殺者だけでは、
王族を確実に仕留めるには火力が足りない。

それほど重大な襲撃を仕掛ける側が、
一段目だけで終わるとは考えにくい。
死体の群れで大聖堂を混乱させ、
暗殺者を潜り込ませ、
それでも王族が逃げた場合は次の戦力を投入する。
その二の手が合成獣だった。

この流れを見ると、
動く死体は偶然暴走した禁忌の産物ではない。
王族暗殺計画の中へ、
最初から戦力として組み込まれていた。
だからこそ大量に準備され、
婚姻の儀という時刻に合わせて投入された。

第1期のレビオス司教は、
死者蘇生という目的から死体を動かしていた。
第2期では、
同じ系統の禁忌が王権派を排除する手段へ使われている。
研究の失敗作だったものが、
政治的な攻撃手段へ転用された形である。

大聖堂を襲った人影を誰が操っているのかという疑問は、
単独の術者探しだけでは見えてこない。
死体、暗殺者、合成獣、
そして婚姻当日に姿を消したモーリス教皇。
これらをつなげると、
動く死体は教皇側が進める大規模な王族襲撃の一手だったことが分かるのである。

第5章 なぜ大量の死体を大聖堂へ送り込んだ?

目的は死体だけで王族を倒すことではなく、護衛をその場へ縫い付けることだった

大聖堂へ投入された動く死体は、
一体一体の戦闘力だけを見れば、
ベリルやアリューシアが止められないほど強い相手ではない。
実際、ベリル自身も数こそ多いが、
一体あたりの脅威は高くないと見ている。

それでも戦況が厳しくなったのは、
中央にグレン王子とサラキア王女がいたから。
ベリル一人なら正面突破できても、
王族二人を守りながら、
大量の死体を押し退けて外へ出るのは難しい。

敵側が狙ったのは、
まさにこの護衛側の自由を奪うことだった。
正面の身廊へ死体を大量投入し、
ベリルたちを王族の周囲へ固定する。
倒しても倒しても前から押し寄せれば、
護衛はその場を簡単に離れられない。

さらに大聖堂には、
王族だけでなく外交官や聖職者も残っている。
トラキアスたちを完全に見捨てることもできず、
イブロイも当初は保護対象に近かった。
ベリルは戦える者と戦えない者を見極めながら、
中央の身廊だけは絶対に抜かせない形で戦うことになる。

ここへ暗殺者が混ざる。
動く死体へ意識を向けた瞬間、
黒装束の人間が群れを抜けて王族へ接近する。
ベリルは動きの違いを見抜いて止めたが、
一人でも見落とせば短剣がグレン王子へ届く距離だった。

つまり死体の群れは、
単純な主力戦力ではない。
護衛側の視界と体力を奪い、
王族の周囲を混乱させ、
本物の暗殺者を近づけるための巨大な壁として使われていた。

「死体を斬る」と「人間を見抜く」を同時に要求する二重攻撃だった

この攻撃が厄介なのは、
敵をすべて同じ方法で処理できないこと。
動く死体なら、
腕へ一撃入れただけでは止まらない。
脚や胴体を断ち、
身体そのものを動けなくする必要がある。

一方、
その中へ紛れ込んだ暗殺者は生身の人間。
ベリルへ短剣を向け、
攻撃を防がれると首へ狙いを変える。
相手の反応を見て、
その場で次の行動を選んでいる。

ベリルは右手首を掴み、
腹部へ剣を突き込んで暗殺者を止める。
その直後には再び死体の群れへ対応する。
同じ見た目の人影が押し寄せる中で、
死体か人間かを瞬時に見分けなければならない。

第1期の王族暗殺未遂でも、
ベリルはグレン王子を狙う刺客を止めている。
ただしあの時は、
基本的に生身の敵を見極めればよかった。
今回はその前へ大量の死体が置かれ、
護衛を消耗させる仕掛けが一段増えている。

しかも死体は、
暗殺者本人を襲っていない。
ベリルもその点へ気付き、
完全に無差別で動いているわけではないと考える。
少なくとも、
王族側へ向かうよう大まかな方向付けはされていた。

だから大聖堂へ大量の死体を送り込んだ狙いは、
「ゾンビの群れで全員を倒す」ほど単純ではない。
王族をその場へ留め、
護衛の注意を分散し、
暗殺者が近づける時間と空間を作る。
物量そのものを暗殺の仕掛けへ変えた攻撃だったのである。

第6章 第1期のレビオスと第2期の大聖堂襲撃はどうつながる?

第1期では死者蘇生の研究だったものが、第2期では王族暗殺の戦力へ変わっている

大聖堂の動く死体を考えるうえで、
第1期のレビオス司教事件は外せない。
レビオスが続けていたのは、
スフェン教に伝わる死者蘇生の奇跡を再現する研究だった。
そのためには当然、実験へ使う死体が必要になる。

第1期では、
「宵闇の魔手」が消えても問題になりにくい人間を集め、
レビオスのもとへ送り込んでいたことが判明する。
ルーシーも、
死者蘇生を試すなら死体が必要になる以上、
犠牲者がどこへ消えたのかを問題視していた。

ベリルたちが踏み込んだ先で、
その嫌な予感は現実になる。
レビオスは祝詞を使い、
木箱に収めた死体を動かす。
そこにはミュイの姉と考えられる遺体まで含まれ、
死者本人の意思とは無関係にベリルへ襲い掛かってきた。

事件後、
ベリルはイブロイへ、
レビオスが使ったものは死者蘇生の奇跡の出来損ないだったと報告する。
完全に生き返ったわけではなく、
死体だけが操られて動く状態。
第1期の時点ですでに、
大聖堂襲撃へつながる技術の原型は存在していた。

ただし第1期では、
まだ研究の失敗作という印象が強かった。
レビオス自身が死者蘇生へ執着し、
その結果として異常な死体が生まれていた。
ところが第2期では、
同じ仕組みが明確に戦力として使われている。

大聖堂へ送られた数は、
レビオス事件とは比べものにならない。
一体や数体を動かす実験ではなく、
建物の入口を塞ぎ、
街の周辺へまで被害を広げるほど大量に準備されている。
禁忌の研究が、組織的な軍事利用へ一段進んだ形になる。

大聖堂の外へ被害が広がったことで、死体が最初から「消耗品」として扱われていたことも分かる

ベリルたちが翼廊から脱出すると、
異常は大聖堂の中だけで終わっていない。
外の大通りへ出た段階で、
周囲から悲鳴や怒号が響いている。
ハノイたちが待機していた場所にも、
すでに複数の動く死体が倒されていた。

ベリルも、
あれだけの数を投入した以上、
大聖堂の構内だけで収まるはずがないと考える。
暗殺者を襲わなかったことから、
ある程度は行動の方向を与えられる。
それでも一人一人を精密に識別できるほどではない。

結果として、
王族と無関係の市民まで巻き込まれる。
ここから分かるのは、
操る側が死体そのものを大切な戦力として扱っていないこと。
必要なのは精密な兵士ではなく、
混乱と被害を広げる消耗品だった。

この使い方は、
レビオスの研究目的とも大きく違う。
第1期のレビオスは、
死者蘇生という結果そのものを求めていた。
第2期の襲撃側は、
死者を生き返らせたいのではない。
動けばそれでよく、壊れるまで王族側へ押し付ければ目的を果たせる。

さらにその後、
ハノイから合成獣の存在まで知らされる。
グレン王子の説明では、
複数の獣や魔物をつなぎ合わせ、
魔力で動かす禁忌。
死体を動かす術と、
発想そのものがかなり近い。

ここまで来ると、
第1期と第2期の事件は別々の怪事件ではなくなる。
死体を集め、
魔力で無理やり動かす。
その技術が残り、
今度は王族暗殺と教都混乱のために大量利用される。

第1期では閉ざされた場所で行われていた禁忌。
第2期では、
婚姻の儀が行われる大聖堂と、
その周囲の市街地へまで投入される兵器。
規模が拡大したことで、
レビオス事件が過去の一件では終わっていなかったことが見えてくる。

ベリルが大聖堂で人影を見た瞬間、
すぐ過去の死体へ結び付けたのもそのため。
彼にとっては、
一度斬った異常が再び現れただけではない。
第1期で止めた禁忌が、
さらに危険な形へ変わって戻ってきた場面だったのである。

第7章 動く死体は前座で、その先に合成獣まで用意されていた

大聖堂の人影を止めても、王族襲撃そのものは終わっていなかった

ベリルたちが大聖堂の動く死体を突破しても、
教都の危機はそこで終わらない。
翼廊側から脱出して外へ出た時点で、
大通りの各所から悲鳴や怒号が聞こえ、
すでに大聖堂周辺まで混乱が広がっていた。

ここでハノイたちが持ち込むのが、
さらに危険な「合成獣」の情報。
動く死体とは別に、
複数の獣や魔物をつなぎ合わせ、
魔力で無理やり動かす存在まで用意されていると判明する。

グレン王子も、
合成獣という言葉にはすぐ反応する。
過去の記録に残る禁忌として知っており、
自然に生まれた魔物ではなく、
人の手で作られた異常な存在だと理解している。

ここまで来ると、
大聖堂へ送られた動く死体の役割も見え方が変わる。
あれだけで王族を確実に仕留めるのではなく、
まず護衛側を大聖堂へ縫い付け、
疲弊させ、
混乱の中で暗殺者を近づける第一段階だった。

それでも王族が脱出した場合、
次に合成獣を使う。
大聖堂内部では死体と暗殺者、
外へ出ればさらに別の異形が待つ。
最初から一つの攻撃だけに頼らず、
複数の手段を重ねた計画だったことが分かる。

第1期のレビオス司教事件では、
死体を動かす禁忌そのものが中心だった。
第2期では、
その技術が単独で使われるのではなく、
暗殺者や合成獣と組み合わされている。
禁忌が一種類の研究から、実戦用の体系へ変わっていた。

モーリス教皇の名が出たことで、死体・暗殺者・合成獣が一つの計画へつながる

大聖堂を脱出した後、
ホワイト・メイデンが初めて重要な名前を口にする。
その名が、
スフェン教の最高指導者モーリス・パシューシカ。
ここでグレン王子も、今回の襲撃との関係を強く疑い始める。

婚姻の儀では、
本来なら教皇自身が祭壇へ立つ予定だった。
ところが当日は姿を見せず、
代わりにダートレス大司教が式を進めている。
そして王族二人が同じ場所へ揃った瞬間、
大量の動く死体が大聖堂へ投入された。

さらに死体の群れには暗殺者が紛れ、
外では合成獣まで準備されていた。
一つ一つを別事件として見るより、
最初から王権側を一気に崩すための連続攻撃と考える方が自然になる。

重要なのは、
モーリス本人が大聖堂で死体一体ずつを直接操作していた、
という単純な構図ではないこと。
術を使う者、
暗殺者を動かす者、
合成獣を準備する者が別にいても、
計画全体の方向を決める側は存在する。

その中心として、
ホワイト・メイデンがモーリスの名を挙げる。
第1期でレビオスが進めていた死者蘇生の禁忌、
第2期で大量投入された動く死体、
さらに次に控える合成獣。
別々に見えた異常が、教皇側の動きによって一本につながっていく。

だから大聖堂を襲った人影の正体を知るだけでは、
この事件の全体像までは見えない。
人影は確かに動く死体だった。
しかし、その死体は目的そのものではなく、
王族暗殺と教都混乱を進めるための最初の駒だった。

第1期では、
死者蘇生を求めた結果として生まれた異常。
第2期では、
王族を追い詰めるために大量投入される兵力。
そしてその先には、
さらに大きな破壊力を持つ合成獣まで控えている。

「大聖堂を襲った人影は何者だったのか」という疑問を追うと、
答えは動く死体だけでは終わらない。
誰がその技術を残し、
誰が大量に利用し、
何のために王族の婚姻へぶつけたのか。
そこまで見ることで、第1期から続いていた禁忌が第2期の大規模襲撃へ発展したことが分かるのである。

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