オルステッドは七大列強第二位「龍神」と呼ばれる世界最強級の人物だが、その本質はただ強い敵ではなく、ヒトガミを倒すため同じ時代を何度も繰り返してきた存在にある。
初登場ではルイジェルドやエリスを圧倒し、ヒトガミの使徒と見たルーデウスまで殺しかけるが、その後は敵対を越えてルーデウスを配下へ迎え、家族を守る最大級の後ろ盾になっていく。
オルステッドの正体、強さ、呪い、七大列強第二位、ループ、ヒトガミとの関係を一本につなげると、『無職転生』後半で彼がなぜ中心人物になるのかが見えてくる。
※ここからは『無職転生』第1期「ターニングポイント2」を中心に、第3期へつながるオルステッドの情報にも触れます。大きな原作ネタバレは後半の章で扱います。
★第1章 オルステッドとは何者?七大列強第二位「龍神」
| 項目 | オルステッド |
|---|---|
| 肩書き | 龍神・七大列強第二位 |
| 初登場時 | ルーデウスたちを圧倒する最大級の強敵 |
| 最大の敵 | ヒトガミ |
| 抱えている秘密 | 呪い・魔力回復の制約・時間のループ |
| ルーデウスとの関係 | 敵対 → 再戦 → 配下へ迎える → 共闘 |
白い髪と金色の三白眼を持つ、世界でも最上位に位置する龍神
オルステッドとは、
『無職転生』の世界で「龍神」の名を持つ男であり、
世界最強の七人を並べた七大列強では第二位。
ルーデウスが旅の途中で初めて遭遇した時点から、
普通の強者とは明らかに扱いが違っていた人物である。
初登場は第1期第21話「ターニングポイント2」。
ルーデウス、エリス、ルイジェルドの三人が、
魔大陸からアスラ王国方面へ戻る旅の途中、
赤竜の下顎と呼ばれる険しい山道で一人の男とすれ違う。
そこで最初に異常を見せたのはルイジェルドだった。
数百年を戦場で生き、
赤竜の群れを相手にしても冷静だったスペルド族の戦士が、
オルステッドを視界へ入れただけで身体を強張らせる。
エリスも呼吸を乱し、恐怖を隠せない。
ところがルーデウスだけは、
二人ほど強い恐怖を感じない。
そのため相手がどれほど危険なのか理解できず、
いつもの調子で受け答えを続けてしまう。
この時点ではルーデウス自身も、目の前の男が龍神だとは知らない。
さらに不気味なのは、
オルステッドの方が三人を知っていること。
ルイジェルドを見ればスペルド族だと理解し、
エリスについてもボレアス家の娘として認識している。
まだ名乗ってもいない相手の情報を、
当然のように口にしていく。
しかしルーデウスを見ると、
初めて反応が変わる。
「ルーデウス・グレイラット」という人物だけは知らない。
パウロやゼニスなどグレイラット家の人間を知っているような口ぶりなのに、
その息子であるルーデウスだけがオルステッドの知識から抜け落ちていた。
この違和感は、
後に明かされるオルステッドの正体へ直結していく。
彼が単に情報収集へ長けた人物だから、
ルイジェルドやエリスを知っていたわけではない。
オルステッド自身が特殊な時間の中を生きているからこそ、
本来この時代に現れる人物や出来事を知っていた。
最初は最大級の敵に見えるが、本当に倒そうとしている相手はヒトガミ
赤竜の下顎での会話が決裂するきっかけは、
ルーデウスが「ヒトガミ」という名前を口にしたことだった。
オルステッドはそれまで、
三人へ積極的に敵意を向けていない。
危険な雰囲気こそあっても、すれ違って終わる可能性はあった。
しかしルーデウスが、
夢の中へ現れて助言を与えるヒトガミについて話すと、
オルステッドの態度が一変する。
ルーデウスをヒトガミの使徒と判断し、
その場で排除すべき存在として扱い始める。
ここだけ見ると、
オルステッドは主人公を突然殺そうとする最大級の敵。
実際、ルイジェルドもエリスも倒され、
ルーデウス自身も胸を貫かれて死の寸前まで追い込まれる。
初見では完全に敵役として描かれている。
ただしオルステッドが憎んでいるのは、
ルーデウス個人ではない。
彼が敵視している中心はヒトガミであり、
ヒトガミと接触し、その助言を受けて動く「使徒」を危険視している。
ルーデウスも、その一人だと思われたにすぎない。
この点は、
後の二人の関係を考えると非常に重要になる。
最初の遭遇でルーデウスを殺しかけた男が、
物語後半ではルーデウスと同じ目的へ向かい、
最終的には家族まで含めて守る側へ回る。
つまりオルステッドを
「ルーデウスを殺した強敵」だけで見ると人物像を見誤る。
七大列強第二位という戦闘力以上に、
ヒトガミを倒すという目的を持ち、
そのために長い時間を戦い続けていることが彼の中心にある。
第1期第21話で、
ヒトガミの名だけに異常な反応を見せた場面は、
後から振り返るとオルステッドという人物を最初から表していた。
ルーデウスとの敵対も、
七大列強としての戦いも、
すべてヒトガミとの長い対立へつながっているのである。
★第2章 オルステッドはなぜこれほど強い?
ルイジェルド、エリス、ルーデウスをほぼ一人で圧倒した「ターニングポイント2」
オルステッドの強さを最も分かりやすく示したのが、
第1期第21話での戦闘。
この時のデッドエンドは、
決して弱い三人組ではない。
特にルイジェルドは、数百年間戦い続けてきたスペルド族の歴戦の戦士だった。
そのルイジェルドが、
オルステッドへ先手を取って攻撃する。
恐怖を感じながらもルーデウスとエリスを守るため、
槍を構えて一気に間合いへ入る。
ところがオルステッドは、ほとんど苦戦する様子を見せない。
槍の軌道を読み、
最小限の動作で攻撃をかわし、
反撃でルイジェルドを沈める。
数百年の実戦経験を持つ戦士が、
技を出し切る前に制圧される。
ここでオルステッドと通常の一流戦士との差が一気に示される。
次に飛び込むのがエリス。
この時点のエリスも、
魔大陸からの旅で大量の実戦を経験している。
ルイジェルドから戦闘を教わり、
剣神流の使い手として以前とは比較にならないほど成長していた。
それでも届かない。
オルステッドは剣を抜く必要すらなく、
エリスの攻撃を処理して戦闘不能へ追い込む。
ルイジェルドとエリスという近接戦の二人が、
短時間で続けて倒される。
残ったルーデウスは、
距離を取って魔術を撃つ。
無詠唱で魔術を連発でき、
魔力量も桁外れ。
魔大陸では多数の魔物を倒し、
赤竜相手にも大規模な攻撃を使えるほど成長していた。
ルーデウスは岩砲弾を始め、
自分が使える高威力の魔術をぶつける。
それでもオルステッドは、
攻撃を見切りながら接近してくる。
近距離へ入られた時点で、
魔術師であるルーデウスには決定的に不利になる。
最後は、
オルステッドの手がルーデウスの胸を貫く。
心臓を破壊され、
大量の血を吐いてその場へ倒れる。
ルーデウスが「自分は死ぬ」と理解するほど、完全な敗北だった。
七大列強第二位でも、現在の戦闘力をそのまま表した「二番目の強さ」ではない
オルステッドは七大列強第二位。
ただし、
この順位だけを見て「世界で二番目に強い」と単純に理解すると少し違う。
七大列強の順位は、
現在生きている人物を毎回戦わせて決めるランキングではない。
上位には、
第一位の技神ラプラス、
第二位の龍神オルステッド、
第三位の闘神と続く。
しかし七大列強という制度そのものが古く、
石碑に刻まれた順位も過去の戦いや条件を引き継いでいる。
特にオルステッドは、
剣術だけを極めた人物ではない。
剣神流、
水神流、
北神流を含めた幅広い戦闘技術を知り、
魔術や体術、
相手の能力への知識まで組み合わせて戦う。
ターニングポイント2でも、
それがはっきり見える。
ルイジェルドには槍へ対応し、
エリスには剣へ対応し、
ルーデウスには魔術へ対応する。
敵によって戦闘方法を変えても、
ほとんど隙が生まれない。
さらに厄介なのが、
オルステッドが多くの人物の能力を事前に知っていること。
赤竜の下顎では、
ルイジェルドやエリスについて初対面とは思えないほど知識を持っていた。
これは戦闘でも大きな優位になる。
普通の強者なら、
初めて戦う相手の技を見ながら対応する。
オルステッドの場合、
相手がどんな人物で、
どんな技を習得し、
将来どこまで成長するかまで知っている場合がある。
純粋な身体能力だけではない強さを持っている。
ただし、
オルステッドにも無制限に力を使えない事情がある。
本人が抱える呪いによって、
消費した魔力の回復速度が極端に遅い。
そのため本来は、必要のない戦闘で大技を乱発したくない立場にある。
第21話で三人を相手にしながら、
可能な限り体術や最低限の攻撃で処理しているように見えるのも、
単なる余裕だけではない。
力を温存し、
本当に必要な戦いへ残すという事情も後から見えてくる。
それでもルイジェルド、
エリス、
ルーデウスの三人を短時間で壊滅させた。
しかも後には、
この時より遥かに成長したルーデウスが準備を重ね、
魔導鎧まで使って再び挑むことになる。
第1期で描かれた圧倒的な敗北は、
オルステッドの強さの入口にすぎない。
七大列強第二位という肩書きだけではなく、
ほぼ全分野の戦闘技術、
膨大な経験と知識、
そしてヒトガミを倒すため蓄積してきた戦闘能力を合わせた存在だからこそ、
『無職転生』でも世界最強級と呼べるのである。
| 相手 | 得意分野 | オルステッドの対応 |
|---|---|---|
| ルイジェルド | 槍・数百年の実戦経験 | 槍を読み、短時間で制圧 |
| エリス | 剣神流・近接戦 | 剣を抜かず攻撃を処理 |
| ルーデウス | 無詠唱魔術・遠距離攻撃 | 魔術を崩しながら接近し、胸を貫く |
剣士だけ、魔術師だけに強いのではなく、相手ごとに戦い方を変えられるのがオルステッドの強さ。
★第3章 なぜ皆がオルステッドを怖がる?二つの呪いと秘術
| 制約 | 起きること | 物語で見える影響 |
|---|---|---|
| 恐怖・嫌悪を受ける呪い | 多くの生物が本能的に恐れる | ルイジェルドやエリスまで初対面で萎縮 |
| 魔力回復の極端な遅さ | 大量消費した魔力が戻りにくい | 必要以上の大技を避け、魔力を温存する |
強さに弱点があるというより、「人と関係を作りにくい」「力を無制限に使えない」という二方向の制約を背負っている。
第1期第21話でルイジェルドとエリスが震えたのは、実力差を察しただけではない
オルステッドの異様さが最初に出るのは、
戦闘が始まってからではない。
第1期第21話「ターニングポイント2」で山道ですれ違った瞬間、
ルイジェルドとエリスの方が先に顔色を変え、
身体を強張らせている。
特にルイジェルドの反応は異常だった。
魔大陸で何百年も戦い続け、
巨大な魔物や多数の敵を相手にしてきた男が、
まだ剣も拳も向けられていない段階で緊張を隠せない。
単なる「強者の気配」だけでは説明しにくい反応である。
エリスも同じだった。
普段なら強い相手ほど前へ出る性格なのに、
オルステッドを前にすると明らかに萎縮する。
一方のルーデウスだけは、
二人ほどの恐怖を感じず、
相手と普通に会話を続けてしまう。
この差の正体が、
後に明かされるオルステッドの呪い。
彼には世界中の生物から、
強い嫌悪や恐怖を向けられやすくなる呪いが掛かっている。
相手が理屈で判断する前に、身体が「近づくな」と反応するような性質を持つ。
だからルイジェルドも、
オルステッドの実力を正確に測ったから震えたわけではない。
実際に戦う前から呪いの影響を受け、
本能的な警戒を強制されていた。
エリスの異常な緊張も、同じところから来ている。
逆にルーデウスは、
この呪いの影響をほとんど受けない。
第21話では本人にも分からない違和感として残るが、
後にヒトガミは、
ルーデウスがこの世界の外から来た存在だからではないかと推測している。
だから山道での会話も成立した。
もしルーデウスまでルイジェルドと同じ恐怖を受けていれば、
ヒトガミについて不用意に話すところまで進まなかった可能性もある。
呪いが効かないという特殊性そのものが、二人の関係を始めた要因にもなっている。
もう一つの制約は魔力回復の遅さで、圧倒的に強くても全力を乱発できない
オルステッドには、
周囲から恐れられる呪いとは別に、
戦い方を大きく制限する秘術がある。
それが魔力回復速度の極端な遅さ。
普通の魔術師のように、消耗した魔力が短期間で戻らない。
この制約は、
オルステッドの強さを見るうえで非常に重要になる。
彼は膨大な魔力と高度な魔術を使えるが、
一度大量消費すると取り戻すまで長い時間がかかる。
だから無意味な戦闘で大技を使うこと自体が損失になる。
第21話のターニングポイント2でも、
ルイジェルドへ巨大な魔術を撃つわけではない。
槍の軌道を読み、
急所を正確に打ち、
必要最低限の動作で意識を奪う。
エリスにも水神流の返し技に近い動きで攻撃を処理している。
ルーデウスとの戦いでも、
最初から最大火力をぶつけてはいない。
予見眼を使うルーデウスへ接近し、
呼吸を潰し、
魔術には乱魔を使って発動そのものを崩す。
相手の手札を一つずつ消しながら、最小の消耗で倒している。
これは単なる余裕ではない。
本当に戦うべき相手が別にいるからこそ、
日常的な戦闘で魔力を浪費したくない。
オルステッドの最終目的はヒトガミ討伐であり、
そのための魔力を長期間維持しなければならない。
しかも秘術には、
魔力回復を犠牲にする代わりに、
ヒトガミの目から逃れやすくなる性質と、
大まかな未来を把握する力まで含まれている。
強さを得るためだけの制約ではなく、
ヒトガミとの戦いを成立させるために背負っている代償だった。
つまりオルステッドには、
「誰からも恐れられる」という対人関係の呪いと、
「魔力が極端に戻りにくい」という戦闘上の制約がある。
世界最強級なのに一人で動き、
必要以上に力を使わない姿には、
この二つが常に影響しているのである。
★第4章 ※原作ネタバレ オルステッドの正体は初代龍神の息子
約2000年前の古代龍族で、転生法によって現在の時代へ送られた
オルステッドの正体は、
現在の時代に生まれた普通の人間ではない。
原作でルーデウスへ明かされるのは、
彼が古代龍族の血を引く存在であり、
初代龍神の息子だという事実である。
しかも年齢だけが長いのではない。
転生法と呼ばれる方法によって、
太古の時代から現在へ送られてきた。
ルーデウスが事情を聞いた時、
オルステッド自身はおよそ2000年前から来た存在だと説明している。
ここまで分かると、
第21話で初対面のはずの人物を知っていた異常も少し見え方が変わる。
オルステッドは単なる情報通ではなく、
長大な歴史と特殊な時間の流れを背負っている。
普通の人間とは、経験の積み方そのものが違う。
初代龍神の時代には、
現在より遥か以前からヒトガミとの対立が存在していた。
そして初代龍神は、
最終的にヒトガミへ到達しようとする中で命を落とす。
その因縁が、次代の龍神たちへ引き継がれることになる。
二代目以降の龍神が背負う大きな使命は、
ヒトガミを倒すこと。
オルステッドもその系譜にいる。
七大列強第二位として強者を探して歩いているのではなく、
父の代から続く戦いを終わらせるために現在を生きている。
だから第21話で、
ヒトガミの名を聞いた瞬間だけ反応が変わった。
ルーデウス個人を知らなくても、
ヒトガミと接触している人物だと分かれば、
自分の長い戦いを妨害する「使徒」の可能性が出てくる。
あの殺意は、2000年以上前へ遡る因縁の延長だった。
ヒトガミを倒すことが古代龍族の悲願であり、オルステッドの行動はすべてそこへ集まる
オルステッドを理解するうえで、
最も重要なのは「何をしたい人物なのか」である。
強さを証明したいわけでも、
世界を支配したいわけでもない。
最終目標は一貫してヒトガミを倒すことにある。
この目的が分かると、
それまで謎だった行動にも線が通る。
ヒトガミの使徒を警戒する。
歴史上の重要人物を把握する。
無駄な魔力消費を避ける。
将来必要になる人物や出来事を監視する。
オルステッドにとって、
一つ一つの戦闘は最終決戦へ向けた途中経過。
だからルーデウスと初めて遭遇した時も、
敵だから殺したかったのではない。
ヒトガミの使徒なら、自分の計画を壊す可能性があるから排除しようとした。
ところがルーデウスは、
オルステッドが知る歴史に存在しない人物だった。
エリスもルイジェルドもパウロも知っているのに、
ルーデウスだけ知らない。
この一点が、後のオルステッドにとって極めて大きな意味を持つ。
本来なら存在しない人物が、
ヒトガミと接触し、
しかも歴史を次々と変えていく。
オルステッドから見れば、
ルーデウスは危険な未知数であると同時に、
何度繰り返しても突破できなかった未来を変える可能性そのものでもあった。
第21話では、
ナナホシの言葉を受けてオルステッドがルーデウスを治療する。
一度は胸を貫いて殺しかけた相手を、
そのまま放置せず生かした。
この小さな選択が、後に二人の関係を大きく変えていく。
オルステッドの正体が初代龍神の息子だと分かると、
七大列強第二位という肩書きだけでは見えなかった人物像が出てくる。
彼は現在だけを生きている最強の戦士ではない。
古代龍族の悲願を背負い、ヒトガミを倒すためだけに長い時間を進んできた龍神なのである。
七大列強第二位だからヒトガミを追っているのではなく、古代龍族から引き継いだ使命が先にある。
★第5章 オルステッドはなぜ同じ時代をループしている?
その何度ものループに存在しなかったのがルーデウス。だから初遭遇時、オルステッドだけが彼を知らなかった。
甲龍暦330年から約200年間を繰り返し、ヒトガミを倒せなければ最初へ戻される
オルステッドが持つ最大の秘密が、
同じ時代を何度も繰り返していること。
原作でルーデウスへ明かした内容では、
開始地点は甲龍暦330年の冬。
中央大陸北部の名もない森から約200年間をやり直している。
この200年間の中でヒトガミを倒せなければ、
オルステッドは強制的に最初の地点へ戻される。
途中で誰かに殺された場合でも同じ。
記憶だけを保持したまま、
再び甲龍暦330年から人生を開始する。
だから第1期第21話「ターニングポイント2」で、
初対面のエリスやルイジェルド、
さらにパウロまで知っていた。
彼にとって彼らは、
過去のループですでに何度も存在を確認してきた人物だった。
誰がどこで生まれるのか。
どの人物が将来どこへ向かうのか。
どの国で政変が起き、
誰が王となり、
どの人物がラプラス復活へ関わるのか。
オルステッドは失敗するたび、その情報を次へ持ち越してきた。
ところが赤竜の下顎で一人だけ知らなかったのがルーデウス。
オルステッドはエリスを知り、
ルイジェルドを知り、
パウロについても知っているのに、
「ルーデウス・グレイラット」という名前だけ記憶に存在しなかった。
これは情報収集の漏れではない。
過去のループでは、
現在と同じルーデウスが存在していなかったから。
オルステッドが何度も見てきた歴史へ、
突然それまでいなかった人物が入り込んだことになる。
第21話を最初に見ると、
何でも知っているオルステッドの方が不気味に見える。
しかしループを知った後では逆。
彼から見れば、
歴史に存在しないルーデウスの方が未知の存在だった。
しかもその未知の男が、
オルステッド最大の敵であるヒトガミと会っている。
だからルーデウスが
「たまに夢に出てくる」と答えた瞬間、
オルステッドの警戒が殺意へ変わった。
未知の存在とヒトガミの使徒という二つが重なったのである。
何度繰り返しても勝てなかったからこそ、ルーデウスの存在が初めて大きな変化になる
オルステッドは、
ループしているから無敵というわけではない。
むしろ何度繰り返してもヒトガミを倒せず、
そのたびに最初へ戻っている。
成功しているなら、そもそも現在までループは続いていない。
過去の経験を持ち越せるため、
次の周回では失敗を避けられる。
しかし一つを直せば、
別の場所でヒトガミが使徒を動かす。
歴史を知っているオルステッドと、
未来を見ながら人間を操るヒトガミの戦いが何度も続いてきた。
その中で今回のループだけ、
ルーデウスという予定外の人物が現れる。
ナナホシも本来の歴史には存在せず、
二人がオルステッドの知る流れへ入り込んだことで、
過去にはなかった出来事が次々に発生していく。
後にはオルステッド自身も、
ルーデウスの存在を利用して未来を変えるようになる。
アリエルの王位継承、
パックスの動向、
ラプラス復活へ向けた人物配置まで、
これまでの知識へルーデウスという新しい戦力を組み込んでいく。
つまり第21話で
「ルーデウスだけ知らない」と口にした場面は、
単なる謎めいた台詞ではない。
何度も同じ歴史を見てきた男の前へ、
初めて大きな誤差が現れた瞬間だったのである。
★第6章 オルステッドとヒトガミはなぜ敵対している?
オルステッドのループそのものが、ヒトガミを倒すために作られた秘術だった
オルステッドがヒトガミを敵視するのは、
個人的な相性の悪さではない。
初代龍神の時代から続く因縁であり、
二代目以降の龍神にとって
ヒトガミ討伐は古代龍族から受け継がれた悲願になっている。
初代龍神は、
ヒトガミへ確実に到達するための秘術を残した。
その一つが、
オルステッドが使っているループ。
死んでも記憶を残し、
200年以内に目的を果たせなければ最初へ戻る。
だからオルステッドにとって、
一周の人生そのものがヒトガミ攻略の試行になる。
誰を生かすか。
誰を王にするか。
どの人物をどの時期に動かすか。
最終的にヒトガミへ届く歴史を作るため、何度も同じ時代を試している。
さらにヒトガミは、
自分自身が表へ出て戦うとは限らない。
夢の中へ現れ、
未来の断片や助言を見せ、
それを信じた人物を「使徒」として利用する。
本人は善意で動いていても、結果としてオルステッドの計画を壊すことがある。
第1期のルーデウスも、
まさにその状態だった。
魔大陸でヒトガミから助言を受け、
ルイジェルドと出会い、
シーローンではリーリャとアイシャへたどり着く。
ルーデウス自身はヒトガミの目的など知らない。
しかしオルステッドから見れば、
ヒトガミと接触して助言を受ける人物は危険。
過去のループでも、
そうした使徒によって計画を何度も狂わされてきた。
だから第21話でルーデウスを見逃せなかった。
ヒトガミは使徒を使って歴史を動かし、オルステッドはその未来を一つずつ潰していく
ヒトガミとの戦いが厄介なのは、
敵が一人では済まないこと。
ヒトガミはその時々で別の人物へ働き掛け、
オルステッドの計画に必要な人物を殺したり、
政治や戦争の流れを変えたりする。
原作後半では、
アリエルの王位継承を巡る戦いでもその構図が出る。
ルーク、
ダリウス、
北帝オーベール、
水神レイダなど、
誰が使徒なのかをオルステッドとルーデウスが疑いながら進む。
オルステッドは過去のループから、
誰がどの時期に何をするかを知っている。
それでも今回のループでは、
本来なら使徒にならなかった人物までヒトガミが利用する。
ルーデウスが歴史を変えたことで、
ヒトガミ側の打ち手も過去とは変わっているからである。
さらに後には、
ギースという大きな見落としまで判明する。
オルステッドは何度もループする中で、
ギースを疑い、
場合によっては殺したことまであった。
それでも彼がヒトガミの使徒だとは見抜けなかった。
ギースは、
過去のループで追い詰められても正体を明かさなかった。
そのためオルステッドは、
彼を「歴史通りに動く人物」だと思い込んでいた。
何度も繰り返している男にも、
ヒトガミ側が隠し続けた駒があったのである。
だから両者の戦いは、
単純な最強対決ではない。
オルステッドは200年単位で歴史を組み直し、
ヒトガミは未来視と使徒によってその道を潰す。
戦場だけでなく、人物関係や王位継承まで含めた長い攻防になっている。
そして今回のループで、
その均衡へ入り込んだのがルーデウス。
ヒトガミの助言を受けながら、
後にはオルステッド側へ立ち、
これまで存在しなかった行動を次々と起こしていく。
オルステッドにとってルーデウスは、
最初は排除すべき未知の使徒だった。
しかし後には、
何度繰り返しても届かなかったヒトガミへ近づくための、
最大の変化へ変わっていく。
第21話で始まった二人の敵対は、
だから物語全体から見ると入口にすぎない。
オルステッドとヒトガミの長い戦いへ、
ルーデウスという歴史にいなかった人物が加わったことで、
それまで失敗し続けたループが初めて別の方向へ動き始めるのである。
| オルステッド | ヒトガミ | |
|---|---|---|
| 持っている強み | 過去のループの記憶 | 未来を見て助言する力 |
| 人の動かし方 | 重要人物を生かし、必要な位置へ導く | 使徒へ助言し、歴史を別方向へ動かす |
| 代表例 | アリエルの即位を支援 | ルークやダリウス側へ介入 |
| 今回の大きな変化 | ルーデウスを配下にできた | 過去にないルーデウスの行動を警戒 |
★第7章 オルステッドとルーデウスは敵からどんな関係になる?
最初はヒトガミの使徒として殺しかけた相手を、後には自分の配下へ迎える
オルステッドとルーデウスの関係は、
第1期第21話の初遭遇だけを見れば、
ほとんど「殺す側」と「殺される側」で終わっている。
ルーデウスがヒトガミの名を口にしたことで、
オルステッドは使徒と判断し、胸を貫いて瀕死まで追い込んだ。
その場ではナナホシの言葉もあり、
オルステッドが治療して命をつなぐ。
しかしルーデウスに残った印象は、
世界でも最上位の怪物に一方的に殺された恐怖だった。
その後もしばらく、名前を聞くだけで警戒する相手になる。
ところが物語が進むと、
二人は再び正面から戦う。
ヒトガミの助言に従ったルーデウスが、
家族を守るためオルステッドを倒そうと決意し、
今度は準備を重ねた上で自分から待ち伏せを仕掛ける。
この再戦では、
第21話とは状況がまるで違う。
ルーデウスは魔導鎧を用意し、
遠距離から高威力の魔術を撃ち込み、
一発で終わらせるのではなく、
オルステッドの接近を防ぐ前提で戦闘を組み立てている。
それでもオルステッドは止まらない。
強力な魔術を突破し、
距離を詰め、
ルーデウスが用意した攻撃を一つずつ潰していく。
第1期から成長したルーデウスが、
全力で準備してもなお届かない強さが改めて示される。
ただしこの再戦は、
第21話のようにルーデウスが殺されて終わる戦いではない。
エリスが合流し、
ルーデウスも最後まで家族を守るため戦い続ける。
その姿を見たオルステッドは、
彼を単なるヒトガミの駒として切り捨てなくなる。
そしてルーデウス自身も、
ヒトガミの言葉だけを信じて戦う立場から離れていく。
オルステッドと直接話し、
何度も歴史を繰り返してきたこと、
ヒトガミを倒すため動いていること、
自分の家族を無意味に狙っているわけではないことを知る。
その結果、
ルーデウスはオルステッドの配下になる道を選ぶ。
最初に胸を貫いた相手へ頭を下げ、
今度は同じ側でヒトガミと戦う。
二人の関係が最も大きく反転する場面である。
オルステッドは上司であり共闘者となり、最後にはルーデウスの家族まで守る側へ回る
配下になった後の関係も、
単なる「最強の上司と部下」では終わらない。
ルーデウスはオルステッドの知識を使い、
オルステッドはルーデウスの行動力や人脈を使う。
お互いに足りない部分を補う関係へ変わっていく。
オルステッドは、
過去のループから世界の出来事を大量に知っている。
一方ルーデウスは、
今回の歴史でしか起きていない変化を作れる。
この二人が組むことで、
「未来を知っている者」と「未来を変える者」が初めて同じ側に立つ。
アリエルの王位継承でも、
その関係ははっきり出る。
オルステッドは過去の知識から重要人物や危険人物を示し、
ルーデウスは実際に現場へ入り、
アリエルや仲間たちと動いて歴史を変える。
一人だけでは届かない場所へ、二人で踏み込んでいく。
さらにルーデウスにとって大きいのは、
オルステッドが家族へ敵意を向けないこと。
最初はヒトガミの使徒として自分ごと排除されると思っていたが、
配下になった後は逆に、
ルーデウスの家族を守る側へ回っていく。
この変化は、
オルステッド本人にとっても大きい。
呪いの影響で多くの人間から恐れられ、
長いループの中でも他者と深い関係を作りにくかった。
そんな彼の周囲に、
ルーデウスを通じて少しずつ人間関係が増えていく。
ルーデウスの子供たちも、
オルステッドを単なる恐怖の対象として見ない。
彼が世界最強級の龍神であることより、
父親の上司であり、
時に家族のそばへいる人物として接するようになる。
第21話で、
ルイジェルドとエリスが身体を強張らせ、
ルーデウスだけが普通に会話していた場面。
あの時は呪いが効きにくい特殊性にすぎなかった。
しかし後から見ると、ルーデウスだからこそオルステッドとの距離を縮められたとも言える。
そしてオルステッドも、
ルーデウスを単なる便利な駒として扱うだけではなくなる。
危険な任務へ送りながらも、
必要な情報や装備を与え、
家族を守るというルーデウスの最優先事項も尊重する。
二人の始まりは最悪だった。
ヒトガミの名を出しただけで殺されかけ、
ルーデウスにとってオルステッドは恐怖そのものだった。
その相手へ今度は自分から挑み、
敗れ、
さらにその後は同じ側へ立つ。
この反転こそ、
オルステッドという人物を理解する最後の鍵になる。
彼は主人公を倒すためだけの最強キャラではなく、
ヒトガミとの長い戦いを終わらせるために、
ルーデウスという予定外の存在を受け入れた人物でもある。
オルステッドとは何者なのか。
七大列強第二位の龍神。
初代龍神の息子。
同じ時代を何度も繰り返す者。
ヒトガミを倒すために200年単位で戦い続ける者。
そしてルーデウスにとっては、
最初に自分を殺しかけた最大級の敵でありながら、
後には同じ未来を目指す上司と共闘者になり、
家族まで守る最大級の後ろ盾へ変わっていく。
この関係の反転まで追うことで、オルステッドという人物像がようやく一本につながるのである。
ヒトガミの使徒と判断し、ルーデウスを瀕死にする
オルステッドはルーデウスの家族まで守る側になる
「殺しかけた敵 → 上司 → 共闘者 → 家族の後ろ盾」という反転が、二人の関係で最も大きなポイント。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。
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