『片田舎のおっさん、剣聖になるII』第8話でベリルたちを襲った集団は、原作ではハノイ・クレッサ率いるヴェルデアピス傭兵団へつながる。
しかも襲撃の本当の標的はベリルではなくアリューシアだった可能性が高く、その背後にはサラキア王女の輿入れによってレベリス王国との結び付きが強まることを警戒するスフェンドヤードバニア側の思惑が疑われている。
★第1章 結論|ベリルたちを襲ったのはヴェルデアピス傭兵団、狙いはアリューシアだった可能性が高い
| 項目 | 判明していること |
|---|---|
| 襲撃した集団 | ヴェルデアピス傭兵団 |
| 頭領 | 「翠蜂」ハノイ・クレッサ |
| 狙われた可能性が高い人物 | ベリルではなく騎士団長アリューシア |
| 事件の背景 | サラキア王女の輿入れを巡る政治的な動きが疑われる |
| まだ不明な点 | 誰が傭兵団へ襲撃を依頼したのかは断定できない |
第8話の黒コート集団は盗賊ではなく、ハノイ・クレッサら実戦経験豊富な傭兵だった
『片田舎のおっさん、剣聖になるII』第8話では、
夜会を無事に終えたベリルたちが、
フルームヴェルク領から首都バルトレーンへ戻る途中、
黒いコートをまとった集団から突然襲撃を受ける。
前半ではシュステがベリルへ積極的に接近し、
結婚や血筋の話まで飛び出していたため、
帰路で始まる戦闘はかなり唐突に感じられる。
しかも襲撃者たちは、ありふれた盗賊の強さではない。
ベリルだけではなく、
騎士団長アリューシアや護衛の騎士たちまでいる一行へ、
正面から攻撃を仕掛けてくる。
戦いの中ではヴェスパーが重傷を負い、
後に生死を心配されるほど危険な状態へ追い込まれる。
原作で事件後の調査が進むと、
この黒コート集団は
ヴェルデアピス傭兵団でほぼ間違いないと見られる。
ベリルたち自身は、その名前すら知らなかった。
正体を突き止める手掛かりを持っていたのがルーシーである。
襲撃からおよそ三週間後、
アリューシアの団長室へ
ベリル、ヘンブリッツ、ルーシーらが集まって情報を確認する。
そこでルーシーの口から、
ヴェルデアピス傭兵団という具体名が出る。
さらに幹部級として、
「翠蜂」ハノイ・クレッサと、
「対針」の異名を持つ剣士の名まで挙がっていく。
ベリルは、
自分が戦った大剣使いがハノイではないかと考える。
アリューシア側にも双剣を扱う強敵が現れていたため、
第8話の襲撃が偶然の遭遇ではなく、
熟練者を揃えた計画的な仕事だったことが見えてくる。
しかもヴェルデアピス傭兵団は、
名だけの傭兵集団ではない。
かつてエーデルディア王国が帝国との戦争に敗れた後も、
捕捉されず生き延びた戦闘集団につながる者たちだった。
大陸でも強大な軍事力を持つ帝国との戦争を経験し、
その後も戦闘集団として残っている。
ルーシーですら彼らを強者揃いと評価するほどで、
第8話でヴェスパーたちが苦戦したことにも納得がいく。
だから、
「ベリルたちを襲ったのは何者なのか」
という問いへの第一の答えは明確である。
彼らは偶然街道に現れた野盗ではなく、
仕事として人を襲えるヴェルデアピス傭兵団だった。
ただし、
ここでさらに大きな疑問が残る。
傭兵である以上、
誰かが高額な報酬を出して仕事を依頼した可能性が高い。
では、誰を殺すために彼らは動いたのか。
本当の標的はベリルではなく、騎士団長アリューシアだったと見られている
第8話ではベリルも襲撃者と激しく戦うため、
彼自身が狙われていたようにも見える。
今やベリルは騎士団の特別指南役となり、
実力も徐々に国外へ知られ始めている。
しかし原作で事件を振り返る場面では、
襲撃の狙いは
アリューシアだったと見られている。
ルーシーも、その前提で話を進めている。
ここで第8話の見え方が変わる。
ベリルたち一行全体を皆殺しにすることが
最初から最大の目的だったのではなく、
その中にいる重要人物を狙った可能性が高い。
アリューシアは、
ベリルの元弟子というだけではない。
レベリス王国騎士団の団長であり、
国内でも屈指の剣士である。
王国の軍事力を支える中心人物の一人でもある。
そして襲撃が起きた時期には、
サラキア王女の
スフェンドヤードバニアへの輿入れが迫っていた。
アリューシアたちがフルームヴェルク領まで来たこと自体、
この婚姻と無関係ではない。
そのため事件後の話し合いでは、
依頼主として
スフェンドヤードバニア側が疑われる。
ベリル自身も、持っている情報をつなげると
その線が最もしっくりくると考えている。
ただし、
ここは断定できない。
ルーシーもアリューシアも、
情報の裏が取れるまでは
公に決め付けるべきではないという姿勢を取る。
これから王女の婚姻によって
両国の関係を深めようという時に、
「相手国が騎士団長を暗殺しようとした」と発表すれば、
巨大な外交問題になってしまうからである。
だからこそ、
正規軍ではなく傭兵を雇った可能性も浮かぶ。
失敗しても依頼主へ直接つながる証拠を残しにくい。
国家が表に出ず、邪魔な人物だけを消すには都合がいい。
第8話の黒コート集団は、
その場だけの敵キャラクターではない。
誰がアリューシアを消したかったのか。
なぜ王女の輿入れ前に動いたのか。
そこから国家間の暗い思惑まで広がっていく。
そしてさらに面白いのが、
頭領ハノイが後に再び登場した時、
単純な「ベリルたちの敵」としては動かないことである。
襲撃事件だけでは測れない傭兵としての立場が、
この先の物語で見えてくる。
★第2章 第7話から始まっていた輿入れの護衛|帰路襲撃は王女の婚姻と切り離せない
王女の移動経路を確認
フルームヴェルク領へ向かったのは夜会だけでなく、サラキア王女の移動経路を確認するため
第8話の襲撃だけを見ると、
華やかな夜会から首都へ帰る途中で
運悪く危険な集団に遭遇したようにも見える。
しかし第7話まで戻ると、旅そのものに別の役目があった。
ベリルとアリューシアが向かったのは、
フルームヴェルク辺境伯領。
ここはレベリス王国の辺境にあり、
隣国スフェンドヤードバニアとの国境に面している。
二人はそこで開かれる夜会へ招待されていた。
だが公式でも、
夜会への出席だけが目的ではなく、
近く行われるサラキア王女の輿入れに備えた
移動経路の確認も含まれていたことが示されている。
王女が国外へ嫁ぐとなれば、
移動は普通の旅行ではない。
王族を国境まで安全に運び、
途中で襲撃や事故が起きないよう、
騎士団が事前に道を確かめる必要がある。
どこが見通しの悪い場所なのか。
馬車が通りにくい場所はあるのか。
伏兵を置ける場所はないか。
護衛をどこへ配置するかも重要になる。
その確認に、
騎士団長のアリューシアが参加している。
つまり第7話の時点から、
アリューシアはサラキア王女の輿入れを
安全に進める側の重要人物だった。
ベリルも同行する。
さらに騎士たちも加わっているため、
護衛戦力として見ても
簡単に襲える一行ではない。
それにもかかわらず、
帰路で黒コートの集団が待ち受けている。
戦闘能力の高い一行だと分かったうえで
仕掛けてきたと考えるなら、
最初から明確な目的があったと見る方が自然になる。
もし金品だけが欲しいなら、
もっと弱い旅人を選べばいい。
わざわざアリューシアやベリルがいる集団へ
命を懸けて挑む必要はない。
しかも襲撃されたのは、
王女の移動経路を確認した後の帰り道である。
これから本格的な輿入れが始まろうという直前に、
その護衛へ関わる人物が襲われている。
後にアリューシアが標的だった可能性が高いと分かると、
第7話の経路確認と第8話の襲撃が
偶然とは思えない形でつながってくる。
アリューシアを先に排除できれば、王女の輿入れを守るレベリス側の戦力を大きく削れる
なぜアリューシアが狙われたのか。
まだ依頼主が確定していない段階では、
全てを言い切ることはできない。
ただ彼女の立場を見ると、狙う価値は非常に大きい。
アリューシアは騎士団長であり、
本人の戦闘力も極めて高い。
ベリルの弟子たちの中でも
早くから大成した人物で、
王国の軍事面でも無視できない存在である。
もしサラキア王女の輿入れを
妨害したい勢力がいるなら、
王女本人をいきなり襲うよりも、
その周囲にいる強力な護衛を
先に減らす方が動きやすくなる。
王女本人への襲撃なら、
失敗した時点で
国家間の敵対行為として扱われかねない。
婚姻外交を壊す意図も露骨に見える。
一方で、
アリューシアが帰路で
正体不明の傭兵に襲われた形なら、
依頼主を隠しやすい。
事件の裏に国家がいることを証明するのも難しくなる。
原作でも、
事件後にアリューシアたちは
スフェンドヤードバニアとの間へ
不用意な火種を作らないよう慎重に動いている。
怪しいからといって、
相手国をすぐ非難することはできない。
証拠を探しながら、
同時に迫る輿入れにも備えなければならない。
剣だけでは解決できない局面へ入っていく。
そして第8話の襲撃が
本気だったことを示すのがヴェスパーの負傷である。
事件後、次の街で待機していた魔術師と医師の処置によって、
どうにか一命を取り留めている。
つまり第8話で
「死んだのではないか」と感じるほどの描写だったのは、
大げさではない。
原作でも本当に命の境をさまようほどの傷だった。
全快には長い時間が必要となり、
すぐ以前の職務へ戻れる状態でもない。
ヴェルデアピス傭兵団が
警告だけを目的に軽く攻撃したのではないことが分かる。
そしてベリル自身も、
襲撃者ハノイの強さを強く意識する。
後に事件について話し合う中でも、
ハノイや別の剣士が
相当な手練れだったことを思い返している。
第7話では、
王女の輿入れに備えて道を確かめた。
第8話では、
その帰路で護衛側の一人が死にかける。
この二つを続けて見ると、
輿入れ本番が簡単に終わるとは思えなくなる。
だから第8話の襲撃は、
「旅先から帰る途中に強敵が出た」というだけの事件ではない。
サラキア王女の婚姻を巡る危険が、
初めて実際の流血として現れた場面でもある。
さらにその襲撃を請け負ったハノイたちが、
後には王子と王女を守る側へ現れる。
ここまで追うことで、
ヴェルデアピス傭兵団が
国家への忠誠ではなく依頼で動く集団だという部分まで見えてくるのである。
★第3章 ヴェルデアピス傭兵団とは何者?ハノイ・クレッサが率いる実戦慣れした集団
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 頭領 | 大剣を扱うハノイ・クレッサ |
| 背景 | 戦争を経験し、生き残った実戦慣れした者たち |
| 立場 | 特定国家の正規軍ではなく依頼で動く傭兵 |
| 強さ | ベリルやアリューシアがいる一行にも正面から仕掛けられる |
| 厄介な点 | 傭兵を使えば依頼主と実行犯の関係を隠しやすい |
第8話の襲撃者は、街道の盗賊ではなく戦争を生き延びた傭兵たち
第8話でベリルたちを襲った集団は、
後にヴェルデアピス傭兵団だと判明する。
頭領はハノイ・クレッサ。
大剣を扱う実力者である。
この集団が危険なのは、
単に人数が多いからではない。
かつてエーデルディア王国に関わり、
帝国との戦争を生き延びた者たちが集まっている。
つまり彼らは、
初めて人を斬る者たちではない。
戦場で生き残るための動きや、
複数人で相手を追い込む戦い方を知っている。
第8話で、
ベリルやアリューシアがいる一行へ
ためらわず仕掛けたのも、
それだけの自信があるからと考えられる。
普通の盗賊なら、
騎士団長を含む武装集団を見た時点で
避ける方が自然である。
しかしハノイたちは逆に襲ってくる。
さらにヴェスパーが、
命を落としてもおかしくないほどの傷を負う。
この結果だけでも、
襲撃者の技量が高かったことは明らかである。
事件後、
ベリルたちは相手の情報を集める。
そこで名前が挙がるのが、
ヴェルデアピス傭兵団だった。
ルーシーも彼らを知っており、
その背景や実力を語る。
ベリル自身も、
自分が戦った大剣使いが
ハノイ・クレッサではないかと結び付けていく。
この場面によって、
第8話の襲撃が偶発的な事件ではなくなる。
依頼を受けて動く傭兵が、
明確な標的を持って接触した事件として見えてくる。
傭兵だからこそ、依頼主を隠したまま暗殺に使いやすい
ヴェルデアピス傭兵団の立場を見ると、
なぜ正規軍ではなく彼らが使われたのかも見えてくる。
彼らは、
特定の国へ忠誠を誓う騎士団ではない。
報酬や契約によって、
戦う相手を決める傭兵である。
もしスフェンドヤードバニア側の誰かが、
アリューシアを排除しようと考えたとしても、
自国の兵士を直接動かすのは危険である。
捕まれば、
所属から依頼元を疑われる。
サラキア王女の輿入れ直前なら、
一気に外交問題へ発展しかねない。
しかし傭兵を使えば、
依頼主と実行犯の間に距離を作れる。
失敗しても、
国家が直接命じた証拠を残しにくい。
ここでヴェルデアピス傭兵団の存在が効いてくる。
強い。
実戦経験がある。
しかも国軍ではない。
第8話の襲撃者としては、
非常に都合のよい集団である。
ただし、
ハノイ自身がサラキア王女の輿入れを
憎んでいたわけではない。
後の行動を見ると、
彼は依頼によって立場を変える人物である。
だから第8話の敵役として重要なのは、
ハノイが悪人なのかどうかではない。
誰が彼へ依頼し、
何を成功させようとしたのかにある。
★第4章 なぜアリューシアが狙われた?サラキア王女の輿入れと政治的な思惑
| アリューシアの立場 | 襲撃側から見た影響 |
|---|---|
| レベリス王国騎士団長 | 失えば王国側の軍事的損失が大きい |
| 国内屈指の剣士 | 王女襲撃を考える側には大きな障害になる |
| 輿入れ経路の確認に参加 | 本番の護衛にも深く関わる可能性が高い |
| 王女本人ではない | 直接王女を襲うより外交問題として表面化しにくい |
| 依頼主は未確定 | 疑わしくても証拠なしでは相手国を非難できない |
標的がベリルではなくアリューシアなら、襲撃の時期にも筋が通る
第8話では、
ベリルも襲撃者と激しく戦う。
そのため最初は、
ベリル自身が標的だったようにも見える。
だが原作で事件後の話が進むと、
狙われていたのは
アリューシアだった可能性が高いと考えられる。
アリューシアは、
レベリス王国騎士団長。
しかも単なる指揮官ではなく、
本人の戦闘力も極めて高い。
サラキア王女の輿入れが近い時期に、
そのアリューシアを排除できれば、
レベリス側の護衛力を大きく落とせる。
第7話でアリューシアたちが、
フルームヴェルク領まで出向いたのも、
王女の移動経路を確認する目的があった。
その帰りに襲撃されている。
偶然の盗賊被害と考えるより、
輿入れに関わる人物を狙った仕事と見る方がつながる。
もし王女本人を襲えば、
誰の目にも婚姻を壊そうとした事件に見える。
しかし護衛側の騎士団長を先に消せば、
表向きは別件の襲撃として扱える余地がある。
だからアリューシアは、
攻撃側から見ると非常に厄介な存在だったと考えられる。
強い。
立場がある。
王女の護衛にも関われる。
その人物が消えれば、
輿入れを巡る状況は大きく変わる。
スフェンドヤードバニア側が疑われても、証拠なしでは動けない
事件後、
ベリルたちは依頼主についても考える。
そこで最も疑わしいと見られるのが、
スフェンドヤードバニア側である。
ただし、
怪しいからといって
すぐ相手国を犯人扱いすることはできない。
これからサラキア王女が嫁ぐ相手国である。
その時期に
「そちらが騎士団長を暗殺しようとした」
と発表すれば、婚姻そのものが崩れかねない。
そのためアリューシアたちも、
裏を取りながら慎重に動く。
戦闘では敵を倒せても、
政治では証拠なしに剣を抜くことはできない。
この部分が、
第8話の襲撃を単純な復讐話にしない。
誰かを捕まえれば終わる事件ではなく、
国家間の関係まで考えながら進まなければならない。
しかも襲撃そのものは、
軽い警告では済んでいない。
ヴェスパーは重傷を負い、
命の瀬戸際まで追い込まれている。
つまり依頼した側が、
本気で誰かを排除しようとしていた可能性は高い。
そして後になると、
襲撃を率いたハノイが
サラキア王女やグレン王子を守る側へ現れる。
ここで初めて、
第8話の襲撃者と
その依頼主を分けて考える必要が出てくる。
ハノイが一貫して王女の敵なら、
後の行動とはつながらない。
だが傭兵として仕事を受けただけなら、
別の依頼で立場が変わっても不自然ではない。
第8話で本当に怖いのは、
ハノイたちの強さだけではない。
彼らを使って、
アリューシアを消そうとした人物が
まだ表へ出ていないことである。
★第5章 【ネタバレ注意】ヴェスパーは死亡した?長期療養から復職するまで
深い傷を負い、その場では生死も心配される状態になる
すぐに騎士へ復帰できる状態ではなく、長い療養へ入る
仲間が先に戻っても、ヴェスパーはまだ十分に動けない
長期療養で落ちた筋力を戻し、騎士として再び鍛錬を始める
ヴェスパーは死亡せず、再び騎士として戻ってくる
「死んだのでは」と見えたのは大げさではなく、原作でも長期離脱するほどの重傷だった
第8話の襲撃で、
特に衝撃が大きかったのが
ヴェスパーの負傷である。
一目見て無事では済まないと分かるほど深い傷を負う。
ベリルやアリューシアが同行していても、
完全には被害を防げなかった。
それだけでも、
ヴェルデアピス傭兵団の戦闘力が
普通の襲撃者とは違うことが分かる。
原作では、
ヴェスパーの容態は実際に
命の瀬戸際と表現できるほど重かった。
その場を生き延びても、
すぐ騎士へ戻れる状態ではない。
一方のフラーウは、
肩を負傷しながらも
比較的早い段階で訓練へ復帰する。
二人の回復速度には大きな差が出る。
後にベリルがハノイと再会した時にも、
ヴェスパーはまだ職務へ戻っていない。
まともに身体を動かすことさえ難しく、
元の生活へ戻れるかも分からない状態だった。
だからベリルは、
ハノイを目の前にすると
第8話の襲撃を簡単には過去の出来事として扱えない。
王子と王女を守る必要がある最中でも、
ヴェスパーとフラーウの負傷が頭に浮かぶ。
ハノイの襟首をつかみ、
仲間がどれほど傷ついたかをぶつける。
ここでベリルにとって、
あの襲撃が単なる一戦ではなかったことが伝わってくる。
しかもハノイは、
ヴェスパーの名前さえ覚えていない。
襲撃した側にとっては、
あくまで仕事の中で戦った相手の一人だった。
この温度差が強烈である。
ベリルにとっては、
弟子や仲間が死にかけた事件。
ハノイにとっては、
依頼を受けて行った戦闘の一つに過ぎない。
第8話でヴェスパーが倒れた場面は、
ヴェルデアピス傭兵団が
本気で標的を仕留めに来ていたことを示す傷跡として、
その後まで残り続けるのである。
ヴェスパーは長い療養を経て復帰するが、以前の身体へ戻るには時間が必要になる
ヴェスパーは死亡しない。
しかし、
生存したから軽傷だったという話でもない。
後の原作で再登場した時には、
襲撃からかなり時間が経っている。
それでもようやく
動いてよいところまで回復した段階だった。
長く伏せていたため、
身体も以前より細くなっている。
騎士として鍛えていた筋肉が落ち、
そこからもう一度身体を作り直さなければならない。
それでもヴェスパーは、
復職の手続きを済ませ、
再び鍛錬へ戻ろうとする。
重傷そのものより、
ここから騎士へ戻る姿も描かれていく。
ベリルも、
あの容態から生き延びただけでなく、
職務へ戻れたことを素直に喜ぶ。
第8話の傷がどれほど深刻だったかを知っているからこその反応である。
この復帰まで見ると、
帰路の襲撃が一話だけの危機ではなかったことが分かる。
ヴェスパー一人の人生を
長期間止めるほどの被害を残していた。
だから後にハノイと共闘する場面でも、
ベリルが簡単に信用しないのは当然である。
今は同じ方向へ剣を向けていても、
以前の傷が消えたわけではない。
★第6章 【ネタバレ注意】ハノイはなぜ後に王子と王女を守る側へ回るのか
| 時期 | 立場 | 何をした? | なぜ変わった? |
|---|---|---|---|
| 第8話周辺 | 敵側 | ヴェルデアピス傭兵団を率いてアリューシアたちを襲撃 | 受けた依頼に従って行動 |
| 後の再登場 | 護衛側 | グレン王子とサラキア王女を守る側へ回る | 別の依頼・契約に従って行動 |
ハノイが突然改心したわけではない。
傭兵であるため、敵味方の基準は「誰を好きか」ではなく、その時に受けている依頼や契約で変わる。
再登場したハノイは、今度はグレン王子とサラキア王女を守る仕事を受けていた
第8話でベリルたちを襲ったハノイは、
後の原作で意外な形で再登場する。
今度は敵としてではなく、
グレン王子とサラキア王女を
守る側に近い立場で現れる。
ベリルは、
大剣を持つ男を見た瞬間に
フルームヴェルク領からの帰路で戦った相手だと気付く。
アリューシアも同じように警戒する。
当然である。
少し前まで自分たちを襲い、
ヴェスパーを死にかけるほど追い込んだ傭兵団の頭領が、
今度は王子と王女を守ると言って現れた。
ハノイ自身は、
グレン王子とサラキア王女を守る依頼を
受けていると説明する。
ベリルには、
すぐ信用できる話ではない。
それでも現場では、
王子と王女を危険な場所から離脱させる必要がある。
別の人物からもハノイたちは使えると告げられ、
ベリルたちは強い警戒を残したまま共に動く。
ハノイは、
自分たちが通ってきた安全な経路へ
一行を誘導する。
第8話で敵だった人物が、
今度は逃げ道を作る側へ回る。
この変化を見ると、
ハノイが急に善人になったようにも感じる。
だが本人の言葉を聞くと、
もっと単純で冷たい仕組みが見えてくる。
「それはそれ、これはこれ」|ハノイにとって戦いは個人的な恨みではなく仕事だった
ベリルは再会したハノイへ、
ヴェスパーとフラーウが
第8話の襲撃で負傷したことをぶつける。
ところがハノイは、
その二人をほとんど覚えていない。
さらに自分の側でも、
ジュールとワンディスという仲間を失ったと話す。
それでも、
ベリルたちを恨んではいない。
自分たちが襲撃を仕掛け、
そこで仲間が死んだことも含めて
仕事の結果として受け止めている。
ハノイの感覚では、
前の依頼と今の依頼は別である。
以前はアリューシアたちを襲う仕事。
今は王子と王女を守る仕事。
だから昨日の敵と
今日一緒に戦うこともできる。
そこへ個人的な復讐心を
強く持ち込まない。
ベリルにとっては、
到底すぐには受け入れられない考え方である。
仲間が死にかけた事件を、
仕事だったからで済ませることはできない。
しかしこの場面によって、
ヴェルデアピス傭兵団の立場がはっきりする。
彼らはスフェンドヤードバニアへ
絶対的な忠誠を誓う騎士ではない。
依頼を受け、
報酬と契約に従って動く傭兵である。
そのため依頼主が変われば、
剣を向ける方向も変わる。
第8話で彼らを見た時には、
サラキア王女の輿入れを邪魔する敵に見える。
だが後の再登場まで追うと、
本当に見るべきなのはハノイ個人の敵意ではなく、
その時に誰が彼らを雇っているのかだと分かる。
だからハノイの再登場は、
第8話の襲撃を否定する展開ではない。
むしろ傭兵団が
国家でも正義でもなく、
仕事によって立場を変える集団だったことを
最も分かりやすく見せる場面なのである。
★第7章 ハノイは敵か味方か|ヴェルデアピス傭兵団は依頼で立場が変わる
アリューシアたちを襲撃
グレン王子とサラキア王女を守る側へ
「その時に誰が傭兵団を雇ったのか」が重要
アリューシア襲撃を依頼した人物は誰なのか
第8話の襲撃だけで見れば敵だが、その後まで追うと単純な悪役では終わらない
第8話でのハノイは、
ベリルたちから見れば明確な敵である。
帰路を襲い、
ヴェスパーへ致命傷に近い重傷を負わせた。
しかも狙いはアリューシアだった可能性が高い。
そのため最初の印象だけなら、
ヴェルデアピス傭兵団は
王女の輿入れを邪魔する危険な集団に見える。
実際、ベリルたちも事件後に強く警戒している。
ところが後にハノイが再登場すると、
その立場は大きく変わる。
今度はグレン王子とサラキア王女を
危険から逃がす側へ入り、
ベリルたちとも同じ方向へ動くことになる。
ここで重要なのは、
ハノイがベリルへ謝罪して仲間になったわけではないことだ。
ヴェスパーを傷つけた過去が消えたわけでもない。
ただ受けている仕事が変わった。
ハノイたちは、
王国へ仕える騎士ではない。
特定の国家へ忠誠を誓って動く軍人でもない。
依頼を受け、
その契約に従って剣を振るう傭兵である。
だから前回の仕事では、
アリューシアを襲う側に立つ。
別の仕事では、
王子と王女を守る側に立つ。
ベリルから見れば、
そんな割り切りは簡単に受け入れられない。
ヴェスパーが長い療養を必要とするほど傷ついた以上、
昨日の敵をすぐ信用できるはずもない。
それでも危機の中では、
ハノイの戦闘力が必要になる。
過去の因縁を抱えたまま、
同じ敵へ剣を向ける状況が生まれる。
ここに、
第8話から続くハノイの面白さがある。
悪人だから襲った。
善人になったから助けた。
そんな単純な変化ではない。
その時に誰から何を頼まれたか。
どの契約を守るのか。
それがハノイたちの立場を決めている。
だからヴェルデアピス傭兵団を見る時は、
「敵か味方か」だけでは足りない。
今どの依頼で動いているのかまで見ないと、
行動のつながりが見えにくいのである。
第8話の襲撃で本当に怖いのは、ハノイ本人より彼らを雇った側が見えないこと
ヴェルデアピス傭兵団の正体が分かれば、
第8話の謎が全部解けるわけではない。
むしろ本当に重要なのは、
その傭兵団へ仕事を出した人物である。
ハノイたちは、
依頼があるから動く。
ならばアリューシアを襲わせた側がいる。
そこまで辿らなければ、
事件の根は残ったままである。
しかも時期は、
サラキア王女の輿入れ直前だった。
第7話では移動経路を確認し、
第8話ではその帰路で騎士団長が狙われる。
この流れを見ると、
襲撃を単なる偶然とは考えにくい。
王女の婚姻によって
何かを失う勢力が動いた可能性が浮かぶ。
ただしベリルたちも、
証拠なしに相手国を断定しない。
怪しいからといって
スフェンドヤードバニア全体を敵扱いすれば、
輿入れそのものが壊れかねない。
だから剣で勝つだけでは終わらない。
誰が傭兵団を雇ったのか。
何を防ごうとしていたのか。
そこを探る必要がある。
そしてハノイが後に王子と王女を守る側へ回ることで、
なおさら依頼主の存在が重要になる。
ハノイ自身が一貫して婚姻を潰そうとしていたなら、
後の行動とはつながらない。
しかし傭兵として仕事を受けていただけなら、
第8話の襲撃と後の護衛は両立する。
剣を向ける先が変わったのは、
思想が変わったからではなく契約が変わったからである。
だから第8話で
「ベリルたちを襲った集団は何者なのか」と気になった時、
答えはヴェルデアピス傭兵団という名前だけでは終わらない。
頭領はハノイ・クレッサ。
狙いはアリューシアだった可能性が高い。
背後には輿入れを巡る政治的な思惑が疑われる。
そして後には同じハノイが王子と王女を守る側へ回る。
この一連を追って初めて、
第8話の襲撃が
一話限りの強敵登場ではなかったと分かる。
本当に見るべきなのは、
ハノイが敵か味方かではない。
その剣を誰が雇い、
どこへ向けさせているのか。
そこにサラキア王女の輿入れを巡る
大きな暗闘が隠れているのである。


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