ホワイト・メイデン=ロゼは、単独で教都を嗅ぎ回っただけではなく、元教会騎士団副団長として持つ内部知識と、正体を隠した現在の情報網を組み合わせてモーリス教皇まで追っていた。
しかもベリル自身が「一介の傭兵では入手不可能」と考えており、ロゼには強力な協力者がいた可能性が極めて高いが、その人物は現時点では明示されていない。イブロイとの接点、義兄ガトガ、教会内部の人脈を追うことで、ホワイト・メイデンがどうやって合成獣の情報まで掴んだのかが見えてくる。
第1章 ホワイト・メイデンの協力者は誰?現時点で分かっていること
ロゼは一人で教皇と合成獣まで辿り着いたわけではない
ホワイト・メイデン=ロゼの情報量は、
一介の傭兵として考えると明らかに多すぎる。
彼女は大聖堂襲撃の危険を把握しているだけでなく、
その後に投入される合成獣の存在まで掴み、
さらに事件の奥にモーリス教皇がいることまで見抜いていた。
教都へ来てから偶然集めた情報だけでは説明しにくい範囲である。
この不自然さにはベリル自身も気付いている。
原作第213話では、ホワイト・メイデンが持つ情報について、
流れの傭兵一人で集められる内容ではないと考え、
背後に強力な協力者がいる可能性へ辿り着いている。
つまり「協力者がいるのではないか」という疑問は、
読者側だけの推測ではなく作中でも示された論点になる。
特に決定的なのが、
ロゼが合成獣の存在を事前に知っていた点だ。
モーリス側が何を準備し、
大聖堂での動きが失敗した後に何を投入するのか。
そこまで把握するには表向きの噂や街中の聞き込みでは足りず、
計画へかなり近い場所から情報を得る必要がある。
しかもロゼは、
情報を知っているだけではなく実際の行動へ利用している。
ヴェルデアピス傭兵団のハノイたちが動けた背景にも、
ホワイト・メイデン側から渡された情報が絡んでいる。
自分だけが真相へ近づくのではなく、
必要な相手へ情報を流して状況そのものを動かしていた。
ここから見えるのは、
ホワイト・メイデンが単独潜入型の人物ではないということだ。
仮面を付けて正体を隠し、
必要以上に言葉を発さず、
フリーランス傭兵として表を動きながら、
裏では別の情報経路を使っている可能性が高い。
その協力者候補として最初に浮かぶのがイブロイである。
第11話周辺ではロゼとイブロイが、
初対面とは思えない距離感で動いている。
ベリルも二人が以前から関係を持っていた可能性へ気付き、
イブロイが情報源なのではないかと疑っている。
ただし、そこで話は終わらない。
イブロイはバルトレーン側の司教であり、
スフェンドヤードバニア内部の最深部まで、
自由に情報を取れる立場とは考えにくい。
教皇が密かに進める合成獣計画まで把握できるのかとなると、
イブロイ一人だけでは情報経路として弱いのである。
つまり現時点で最も妥当なのは、
「ロゼには協力者がいる可能性が極めて高いが、
その人物が一人なのか複数なのか、
そして誰なのかまでは明かされていない」という見方になる。
イブロイは有力な接点の一人だが、
その奥に別の教会内部人脈が存在する可能性も残っている。
ベリルがイブロイだけでは足りないと考えたところが重要
ベリルが優れているのは、
ロゼとイブロイが知り合いらしいという事実だけで、
すぐに「協力者はイブロイだ」と決めなかった点だ。
ホワイト・メイデンが持つ情報の深さと、
イブロイが置かれている立場を照らし合わせ、
それだけでは説明がつかないと考えている。
もし必要な情報が、
大聖堂で襲撃が起きるという程度なら、
イブロイから伝わっていても不自然ではない。
しかしロゼが知っているのは、
モーリス教皇が何を企み、
そのためにどんな存在を準備し、
次にどんな手段へ出るのかという内部情報に近い。
ここでロゼの過去が効いてくる。
彼女はホワイト・メイデンとして突然現れた傭兵ではなく、
もともとスフェン教の教会騎士団副団長だった。
教会内部の命令系統や人間関係、
騎士団と聖職者の力関係を知ったうえで、
現在は正体を隠して再びその内部へ接近している。
だから情報網も、
現在のホワイト・メイデンとして一から作ったとは限らない。
ロゼだった頃に知り合った人物、
ガトガを通じて接点を持った人物、
教会騎士団に残る旧知の者など、
過去の人脈を水面下で使っている可能性がある。
そしてロゼ自身は、
その情報源を簡単には明かそうとしない。
後にベリルから情報の出所を尋ねられても、
内容に自信がないから口を濁すのではなく、
情報経路そのものを伏せている。
これは協力者の存在を守っているようにも見える行動だ。
したがってホワイト・メイデンの協力者を考える時は、
「イブロイか、ガトガか」という一人当てに絞るより、
元副団長ロゼが残していた教会内部の人脈まで含めて見る必要がある。
彼女の情報収集は一人の密偵としての活動ではなく、
過去の立場を利用した情報網として見る方が自然なのである。
第2章 ロゼはどうやって情報を集めた?元教会騎士団副団長という過去
ホワイト・メイデンになる前から、ロゼは教会の内側を知っていた
ロゼの情報収集力を理解するうえで、
最も重要なのが元教会騎士団副団長という経歴だ。
彼女はスフェン教について外から調べ始めた人物ではなく、
かつて組織の中枢に近い場所で働き、
命令を受けて実際に剣を振るっていた側の人間だった。
前シーズンでは、
ロゼが教会騎士として王族を巡る事件へ深く関わっている。
表向きは教会の命令へ従う立場だったが、
その内部では王権と宗教勢力の対立が進み、
現場の騎士たちにも複雑な命令が下りていた。
ロゼ自身もその混乱へ巻き込まれ、
教会が一枚岩ではないことを身をもって知ることになる。
ここが普通の傭兵との大きな差だ。
教都へ入った後に、
誰が偉いのかを一から調べる必要がない。
教皇と司教、
教会騎士団の命令系統、
王族との緊張関係など、
何を調べれば危険な動きへ辿り着けるのかを最初から知っている。
さらにロゼは副団長だったため、
単なる末端騎士より接触できる人間の幅が広い。
上層部から降りてくる命令だけでなく、
現場側の不満や噂、
どの人物が誰と近いのかという人間関係まで、
長く所属していれば自然に蓄積されていく。
だからホワイト・メイデンとなった後も、
情報収集の起点が一般人とは違う。
街の噂を手当たり次第に集めるのではなく、
「誰なら知っている可能性があるか」
「どの部署の動きが不自然か」
「教皇派が何を隠したがるか」という、
狙う場所を最初から絞ることができる。
この知識があるからこそ、
大聖堂で起きる表の事件だけでなく、
その奥にある合成獣計画まで追えたと考えやすい。
ロゼにとって教都は未知の敵地ではなく、
かつて自分が所属していた組織の延長線上にある場所だったのである。
正体を捨ててホワイト・メイデンになったこと自体が情報収集に向いていた
ロゼが情報を集められたもう一つの要因が、
「ロゼ」という名前を表から消していることだ。
現在の彼女は仮面を付け、
ホワイト・メイデンという名を使い、
言葉もほとんど発さずに傭兵として活動している。
元教会騎士団副団長だった面影を意図的に消している。
もしロゼの名前のまま教都へ戻れば、
教会側からすぐに警戒される可能性が高い。
前シーズンの事件を生き延び、
教会内部の事情まで知っている元副団長が現れれば、
何を調べに来たのかと疑われるのは当然である。
その時点で情報源も監視されかねない。
一方でホワイト・メイデンなら、
表向きは所属を持たない流れの傭兵として動ける。
依頼を受けて教都へ来たようにも見え、
過去の教会人脈との接触も、
ロゼ本人だと気付かれなければ追跡されにくい。
仮面は顔を隠す以上の役割を持っている。
前シーズンで教会騎士団の裏側を経験したロゼだからこそ、
組織から情報を抜く危険性も知っている。
誰か一人が露見すれば、
その人物だけでなく周囲まで処分される可能性がある。
だから情報源をベリルへさえ明かさない姿勢にも、
単なる秘密主義以上の事情が見えてくる。
また義兄ガトガとの関係も無視できない。
前シーズンの事件後、
ガトガはロゼを単純に敵として切り捨てず、
教会側の異常そのものへ目を向けている。
ロゼが現在も教会内部の事情を追える背景には、
こうした過去から続く人間関係が残っている可能性がある。
重要なのは、
ロゼが突然情報通になったわけではないことだ。
副団長時代に蓄えた内部知識があり、
前シーズンで教会の異常を経験し、
正体を消して動ける立場を作り、
そのうえで旧知の人物や協力者を利用している。
その積み重ねがあったから、
ホワイト・メイデンは大聖堂襲撃の表側だけでなく、
モーリス教皇と合成獣へつながる情報まで掴めた。
「ロゼはどうやって知ったのか」という疑問の答えは、
優秀な密偵だったからではなく、
元教会騎士団副団長だった過去そのものにあるのである。
第3章 イブロイは協力者なのか?二人が以前から知り合っている不自然さ
ベリルも、ホワイト・メイデンとイブロイの接点を疑っている
ホワイト・メイデンの協力者候補として、
最初に名前が浮かぶのがイブロイである。
原作第213話では、ベリル自身が、
ロゼとイブロイがすでに知り合っているような雰囲気へ気付き、
情報収集の背後に彼がいる可能性まで考えている。
単なる読者側の推測ではなく、作中でも示された疑問だ。
この場面で重要なのは、
ベリルがホワイト・メイデンの正体を知っていることに加え、
彼女が今どれほど異常な情報量を持っているかも理解している点だ。
大聖堂では動く死体が投入され、
その混乱を抜けて王子グレンと王女サラキアを移動させる途中、
ハノイがさらに「合成獣が都市へ放たれる」と告げる。
サラキアが「なぜそこまで知っているのか」と問うと、
ハノイは自分が直接仕入れた情報ではなく、
仮面の女から聞いたものだと明かす。
その瞬間、同行者の視線が一斉にホワイト・メイデンへ集まり、
彼女自身も否定せず静かに首を縦へ振る。
情報の出所がロゼだったことが、ここで表へ出るのである。
さらにロゼは、
普段なら声で身元が割れることを避けているにもかかわらず、
ここではついに「モーリス・パシューシカ」と口にする。
グレン王子から見ても衝撃的な名前であり、
教皇本人が一連の凶行の中心にいると示した瞬間だった。
顔だけでなく声まで隠してきたロゼが、
正体露見の危険を承知で発言するほど確信を持っていたことになる。
ところがベリルは、
その情報の深さに別の違和感を持つ。
ホワイト・メイデンとなったロゼには、
すでに教会騎士団副団長だった頃の職位も権限もない。
いくら元内部関係者で土地勘や人脈があっても、
流れの傭兵という現在の立場だけで、
教皇の禁忌研究まで辿り着くのは難しい。
そこでベリルが思い出すのがイブロイとの関係だ。
二人が初対面らしくないこと、
イブロイ側もホワイト・メイデンを完全な部外者として扱っていないこと。
こうした態度まで含めると、
イブロイがロゼへ情報を流していたと考える余地は確かにある。
ただし、ここでベリルは断定しない。
イブロイが接点の一人であることと、
イブロイだけですべてを知れたことは別だからだ。
むしろこの違いを見抜いているところに、
ホワイト・メイデンの情報網の大きさが見えてくる。
イブロイ一人では「モーリス教皇と合成獣」まで説明し切れない
イブロイ説が完全な答えにならない最大の原因は、
彼が持つ権限の範囲にある。
ベリルも第213話で、
バルトレーン側の司教であるイブロイが、
スフェンドヤードバニアの裏事情へそこまで精通できるのか、
という疑問を持っている。
必要なのは普通の宗教事情ではない。
モーリス教皇が王族排除のため何を準備しているのか、
禁忌である合成獣が存在すること、
さらに動く死体だけで終わらず、
第二の手まで用意されていること。
これは教会内部でも限られた者しか触れられない情報である。
しかもロゼは、
合成獣の存在だけを漠然と聞いたのではない。
ハノイたちへ情報を伝え、
大聖堂襲撃の後にも別の危険が来ると警戒させている。
一方でアリューシアから、
合成獣の数や出現場所まで分かるかと問われると、
ロゼは首を横へ振っている。
すべてを知っているわけでもない点が生々しい。
これはむしろ、
内部から断片的な情報だけが漏れてきた形に近い。
計画の全容を閲覧できる人物なら、
数や配置まで掴めていてもおかしくない。
しかしロゼが知っていたのは、
「合成獣が使われる」「モーリスが関与している」という核心部分。
そこだけが外へ伝わっている。
この状態なら、
イブロイが中継役だった可能性も考えられる。
彼自身がすべてを調べたのではなく、
別の人物から得た情報をロゼへ渡していた。
あるいはロゼが持つ複数の情報源の一つとして、
イブロイが協力していた可能性もある。
第213話でベリルが、
「彼女には協力者がいる。それもかなり強力な」と考えるのも、
まさにこの情報の深さが原因だった。
ロゼ一人でも難しい。
イブロイ一人でも難しい。
だからその背後に、
さらに教会内部へ食い込める人物や人脈が必要になる。
つまりイブロイは、
ホワイト・メイデンの協力者候補として非常に重要だが、
「全部イブロイから聞いた」で終わらせると不自然さが残る。
二人が知り合いであることは、
情報網が存在する証拠の一つ。
本当に知りたいのは、そのさらに奥に誰がいるのかなのである。
第4章 ガトガはどこまでロゼの行動を知っていた?
前シーズンでロゼを切り捨てなかった義兄という立場が大きい
もう一人、
ホワイト・メイデンの協力者候補として外せないのがガトガだ。
ガトガはスフェンドヤードバニア教会騎士団長であり、
ロゼとは単なる団長と副団長ではない。
幼い頃から彼女を知る義兄でもあり、
前シーズンの王族襲撃事件でも最後までロゼを見捨てなかった。
第1期終盤でロゼは、
グレン王子を狙う事件へ加担する立場に追い込まれていた。
しかし彼女自身が教皇派の思想へ染まり、
進んで王族を殺そうとしていたわけではない。
孤児院の子供たちを人質に取られ、
従わなければ彼らが危険に晒される状況で、
選択肢を奪われたまま剣を握らされていた。
ベリルとの戦いでも、
ロゼは完全な敵になり切れない。
かつて剣を教わった先生と向き合いながら、
自分が背負っている事情を簡単には話せず、
それでも戦わなければならない。
あの一連の場面は、
現在のホワイト・メイデンが正体を隠して動く背景にもつながっている。
事件後のガトガも、
ロゼを単純な裏切り者として処理してはいない。
騎士団長という立場では、
王族襲撃へ関わった副団長を無条件で庇うことはできない。
それでも彼女が何に追い込まれていたのかを理解し、
教会側そのものに異常があることへ目を向けていく。
ここが協力者候補として重要になる。
ガトガは教会騎士団長であるため、
イブロイとは違う方向から内部情報へ接近できる。
騎士団員の配置、
人員の異動、
怪しい命令、
教皇派に近い人物の動きなど、
実戦部隊側でなければ分からない情報を持てる立場だ。
しかもロゼの性格も行動もよく知っている。
ホワイト・メイデンとして仮面を付けても、
剣筋や立ち居振る舞いまで含めれば、
ガトガほど近い人物が正体へ気付かない方が不自然にも見える。
だから「ガトガは何も知らなかった」と考えるより、
少なくともロゼが何かを追っていることは察していた可能性が残る。
協力者と断定はできないが、ロゼが動ける余地を残した人物ではある
ただしガトガについても、
現時点で「情報をすべて渡した人物」と断定する材料はない。
ここはイブロイと同じで、
接点の強さと情報提供の事実を分けて見る必要がある。
ガトガはロゼへ最も近い人物の一人だが、
合成獣計画の核心まで知っていた描写はまだ明確ではない。
むしろ注目したいのは、
ガトガが教会騎士団長でありながら、
思想より国と民を守る側へ立っている点だ。
彼は教皇派の命令だから何でも従う人物ではなく、
騎士団そのものが何のために存在するのかを重視している。
ここはロゼとの方向性が大きく重なる。
もし教皇が禁忌の合成獣を用い、
王子グレンや王女サラキアだけでなく、
教都の民間人まで巻き込む計画を進めていたなら、
ガトガにとっても看過できる内容ではない。
ロゼがその計画を追うことと、
ガトガが国民を守ろうとすることは、
最終的な目的の部分では一致する。
だから直接情報を渡していなくても、
ロゼが水面下で動くことを黙認する、
必要以上に追わない、
教会内部で得た断片を indirectly 伝えられる環境を残すなど、
協力には複数の形が考えられる。
ホワイト・メイデンの情報網を、
一人の密告者だけで考えない方が自然なのである。
前シーズンでガトガがロゼを切り捨てず、
彼女が追い込まれた事情まで受け止めたことも大きい。
あの事件を経た二人なら、
教皇派の異常を再び放置するとは考えにくい。
ロゼが正体を消してでも動き続けた背景には、
自分一人ではなく、
まだ信頼できる人物が教会側に残っていた可能性がある。
そしてその候補として、
義兄ガトガほど自然な人物も少ない。
ただし現時点では、
ガトガが情報提供者だったと確定したわけではない。
イブロイ同様、
ロゼの周囲に残った重要な人脈の一人として見るのが妥当になる。
ホワイト・メイデンが不気味なほど情報を持っているのは、
ロゼ一人が万能だからではない。
前シーズンで築いた関係が途切れず、
イブロイやガトガのような人物との接点が残り、
教会内部へ複数方向から近づける余地があった。
その人脈こそ、仮面の傭兵になったロゼ最大の武器なのである。
第5章 なぜロゼは合成獣の存在まで知っていた?
ハノイへ渡していたのは「怪しい動きがある」程度の情報ではなかった
ホワイト・メイデンが持っていた情報の異常さは、
大聖堂を抜けた後の会話ではっきり表れる。
ハノイが一行へ告げたのは、
教都のどこかで騒ぎが起きるという曖昧な警告ではなく、
「合成獣がこの都市にばら撒かれる」という具体的な内容だった。
しかも情報源を問われると、
ハノイは仮面の女から聞いたものだと明かしている。
つまりロゼは、
大聖堂襲撃が起きることだけを知っていたのではない。
動く死体による襲撃が終わった後にも、
さらに別の戦力が投入されることを事前に掴み、
その情報を自分だけで抱えず、
ヴェルデアピス傭兵団へまで渡していたことになる。
事件の一段先を読んでいたのである。
グレン王子は「合成獣」という言葉へ強く反応し、
過去の犯罪録にも残る禁忌だと説明する。
獣やモンスターの死体を継ぎ合わせ、
魔力によって動かす存在であり、
普通の魔獣とは成り立ちそのものが違う。
そんな禁忌が複数投入されるとなれば、
王族だけでなく教都市民全体が危険へ晒される。
そこでさらに異様なのが、
ロゼがその背後の人物まで知っていたことだ。
これまで声で正体が割れることを避け、
筆談を中心にしていたホワイト・メイデンが、
ここでは自ら口を開き、
「モーリス・パシューシカ」と教皇の名を告げる。
声を出す危険よりも、情報を共有する方を優先した瞬間だった。
この場面を見ると、
ロゼが持っていた情報には段階がある。
大聖堂で襲撃が起きる。
その後に合成獣が投入される。
さらにその一連の動きにはモーリス教皇が関わっている。
この三つが別々の噂ではなく、
ロゼの中では一本の事件としてつながっていた。
一方でアリューシアから、
合成獣の数や出現場所まで分かるかと問われると、
ロゼはそこまでは把握していない反応を見せる。
何でも知っているわけではない。
計画の核心には届いているが、
実際の配置や運用までは掴めていない。
この情報の欠け方が、逆に生々しい。
もしロゼ自身がモーリスの計画書を直接見ていたなら、
もっと詳細まで知っていても不思議ではない。
しかし実際には、
「合成獣を使う」「教皇が関わる」という重要部分だけが届き、
具体的な数や場所は分からない。
内部から断片が流れてきたような情報の形になっている。
だから協力者の存在が強く疑われる。
ロゼ一人で外から調べたのではなく、
計画に近い誰かが危険な部分だけを伝え、
ロゼがそれを複数の情報と照合していた可能性が高い。
ホワイト・メイデンの強さは、
剣だけでなく情報をつなげる能力にもあったのである。
実際に現れた合成獣が、ロゼの情報の正確さを証明した
ロゼの話が単なる噂ではなかったことは、
その後の展開が証明している。
教都では実際に巨大な合成獣が出現し、
市民へ襲いかかり、
ベリルたちもそれぞれ別方向へ分かれて対処することになる。
警告された「二の手」が本当に実行されたのである。
ベリルが対峙した合成獣も、
通常の魔獣とは明らかに違っていた。
巨大な身体を持ち、
複数の生物を無理に継ぎ合わせた異形で、
周囲にはすでに犠牲者まで出ている。
ベリル自身も、
自然に生まれた魔物ではなく、
人為的に作られた災害だと受け止めている。
ここまで現実と一致すれば、
ロゼが何となく怪しい噂を信じて動いていたとは考えにくい。
誰かが合成獣を作っているらしい。
もしかすると教都で使われるかもしれない。
その程度の情報ではなく、
実際に投入されることまで知っていたから、
ハノイへ事前に伝えられたのである。
しかもロゼは、
自分だけで合成獣を追う形にはしなかった。
ハノイたち傭兵、
ベリル、
アリューシア、
スレナら別系統の戦力が動けるようになることで、
教都の複数地点へ散った脅威へ対応できる状態を作っている。
情報を持つことより、
その情報を誰へ渡すかまで考えていたことが分かる。
ここで前シーズンとの違いも大きい。
以前のロゼは、
孤児院の子供たちを人質に取られ、
自分一人で事情を抱えたまま動かされていた。
助けを求められず、
敵側の命令へ従うしかない状態へ追い込まれた。
その結果、ベリルとさえ剣を交えることになった。
ホワイト・メイデンとなった現在は逆である。
自分の正体は隠しているが、
危険な情報そのものは必要な相手へ流し、
複数の人物を動かしている。
前シーズンで一人で抱え込んだ失敗を経験したからこそ、
今回は情報を武器として外へ渡しているようにも見える。
つまりロゼが合成獣まで知っていたことは、
単に情報通だったという小ネタではない。
大聖堂襲撃だけを止めても事件は終わらないと理解し、
その次に来る災害まで追い続けていた証拠になる。
ホワイト・メイデンとしての調査は、
モーリス教皇の計画そのものへかなり近づいていたのである。
第6章 なぜロゼは情報源をベリルにも教えなかった?
「分からない」のではなく、「伝えられない」と答えている
ロゼの情報源が重要なのは、
本人が最後までそこだけを明かそうとしないからだ。
合成獣との戦闘が進み、
ベリルとロゼが二人で行動する時間ができた時、
ベリルはずっと気になっていたことを本人へ直接尋ねている。
教皇が黒幕だという情報を、
どうやってそこまで掴んだのかという疑問だった。
ロゼはモーリスについて問われると、
事件の黒幕が教皇であること自体ははっきり肯定する。
さらに教会騎士団が各教会を回り、
現在も調査を続けていることまで説明している。
つまり自分の持つ情報へ自信がなく、
曖昧だから口を閉ざしているわけではない。
ところがベリルが、
その情報をどこから得たのかへ踏み込むと、
ロゼの返答は変わる。
彼女は情報源を否定するのでも、
「自分で調べた」と誤魔化すのでもなく、
ベリルに対してすら「伝えられない」と答える。
ここが非常に大きい。
ベリルはロゼにとって、
昔から信頼する剣の師匠である。
前シーズンで敵対する形になっても、
最後まで彼女を見捨てなかった人物でもある。
そのベリルにさえ言えないとなれば、
単に秘密にしたいという程度では済まない。
話せば誰かが危険になる可能性を考えた方が自然だ。
さらにベリル自身も、
ロゼが確証のない噂だけで動く人物ではないと理解している。
彼女が教皇を黒幕だと言い切る以上、
何らかの裏付けがあるはずだと受け止めている。
だから「ロゼが勘で言っている」という逃げ道もほとんどない。
ロゼが隠しているのは、
モーリスが関与しているという事実ではない。
合成獣が投入されたという事実でもない。
誰がその情報を掴み、
どの経路を通って自分まで届いたのかという部分だけ。
秘密にしている対象が極めて限定されているのである。
この態度から考えると、
協力者は現在も教会内部、
あるいはモーリス側に近い場所にいる可能性がある。
名前を出せば立場が危うくなる。
調査が止まる。
最悪の場合、粛清の対象になる。
だからベリルへも教えられなかったと考えると筋が通る。
正体を隠したロゼが、情報源まで隠す必要があった
ロゼ自身がホワイト・メイデンとして動いていることも、
情報源を伏せる必要性とつながっている。
彼女は顔だけでなく、
普段は声まで隠していた。
グレン王子ら昔の関係者に気付かれれば、
元教会騎士団副団長ロゼが教都へ戻っていることが広まる可能性があるからだ。
実際、大聖堂脱出後に
「モーリス・パシューシカ」と声を出した時も、
ロゼ自身がかなり大きな危険を冒している。
それまで沈黙を守っていた人物が、
教皇の名を伝えるためだけに自分の声を使った。
それほど緊急性が高かったということでもある。
しかし、その後も情報源までは明かさない。
自分の正体が露見する危険は受け入れても、
協力者の正体を露見させることは避けている。
この優先順位を見ると、
ロゼが情報提供者をかなり強く守ろうとしていることが分かる。
前シーズンのロゼは、
孤児院の子供たちを守るために、
自分一人が汚れ役を引き受ける選択をしていた。
大切な人間を危険へ晒すくらいなら、
自分が悪者になることを選ぶ性格だった。
その性質はホワイト・メイデンとなっても変わっていない。
だから今回も、
自分が疑われることより、
情報を渡した人物が危険になることを避けている可能性が高い。
誰から聞いたのかを言えば、
モーリス側から逆算されるかもしれない。
ならばロゼ自身が情報源不明の怪しい傭兵として見られる方が、
協力者を守るには安全になる。
そしてこの秘密主義には、
実際的な利点もある。
情報源が生き残っていれば、
モーリスの次の行動をさらに追える。
一度の事件解決だけでなく、
教会内部に残る問題へ継続して近づくことができる。
情報網を守ること自体が、
次の被害を防ぐ力になるのである。
だからベリルも、
ロゼが「伝えられない」と答えた後は、
無理に聞き出そうとはしない。
事情があることを察し、
彼女の判断を受け入れている。
師弟として信頼があるからこそ、
全部を聞かなくても先へ進めた場面でもある。
ホワイト・メイデンの協力者が誰なのかは、
この時点でも明言されていない。
しかしロゼが情報源だけを頑なに隠し、
内容については確信を持って動いていることから、
背後に守るべき情報提供者がいる可能性はさらに高まる。
「誰なのか」が伏せられていること自体が、
協力者の存在を強く感じさせる描写になっているのである。
第7章 ホワイト・メイデンの正体隠しは「情報を集めるため」でもあった
仮面・偽名・沈黙は、ロゼを過去の立場から切り離すためだった
ホワイト・メイデンという姿は、
単にロゼの生存を隠すためだけの変装ではない。
仮面を付け、名前を捨て、普段は声まで極力出さないことで、
元教会騎士団副団長だったロゼという経歴を、
現在の行動から切り離すことができる。
教会内部を調べるには、この匿名性が大きな武器になる。
もしロゼ本人として教都へ戻れば、
前シーズンの王族襲撃事件を知る者から、
すぐに警戒される可能性が高い。
教会騎士団副団長だった人物が、
今さら何を調べに来たのかと疑われれば、
接触した相手まで監視されかねない。
情報を受け取る前に、人脈そのものが潰される危険がある。
その点、ホワイト・メイデンなら、
表向きは所属を持たない傭兵として動ける。
誰かと接触しても、
元副団長ロゼと教会関係者が会っている形には見えない。
仮面は顔を隠すだけでなく、
協力者との関係まで覆い隠すための道具になっている。
さらにロゼは、
必要な場面以外では声も使わない。
第11話周辺でモーリス教皇の名を伝える時には、
危険を承知で自ら声を出しているが、
それまで沈黙を守ってきたことを考えると、
声から正体を悟られる可能性まで警戒していたと考えやすい。
つまりホワイト・メイデンという存在そのものが、
情報収集に適した状態へ作られている。
元副団長として教会内部の構造を知り、
過去の人脈を持ちながら、
現在は別人としてその周囲へ接近できる。
ロゼだからこそ可能な調査方法だったのである。
重要なのは「協力者が誰か」より、ロゼが一人では動いていなかったこと
現時点で、
ホワイト・メイデンの協力者が誰なのかは、
一人の実名として明かされていない。
イブロイは有力な接点であり、
ガトガもロゼと深い関係を持つ人物だが、
どちらか一人ですべての情報を説明できる材料は足りない。
一方で、
ロゼが完全な単独行動だったと考えるのも難しい。
合成獣の存在、
モーリス教皇の関与、
大聖堂襲撃後にさらに危険が来ることまで掴み、
それをハノイたちへ事前に渡している。
流れの傭兵一人の聞き込みで届く範囲を明らかに超えている。
しかもロゼ本人は、
ベリルから情報源を問われても、
知らないとは答えず「伝えられない」としている。
内容には確信があり、
実際に合成獣も現れた。
隠しているのは情報の真偽ではなく、
その情報がどこから来たのかという経路だけである。
この態度まで含めると、
ロゼには守らなければならない協力者、
あるいは複数の情報源が存在している可能性が高い。
教会内部へ残った旧知の人間、
イブロイを経由した情報、
ガトガの周辺から得られる動きなど、
複数の断片をロゼ自身がつないでいたとも考えられる。
だからホワイト・メイデンの強さは、
剣だけでは語れない。
前シーズンでは孤児院の子供たちを守るため、
一人で事情を抱え込み、
結果としてベリルと敵対するところまで追い詰められた。
しかし現在は、
自分の正体を隠しながらも情報は必要な相手へ渡している。
一人で抱えるのではなく、
協力者を守りつつ、
ハノイたちへ情報を流し、
ベリルやアリューシアが動ける状況を作る。
前シーズンの失敗を踏まえたような動きになっているのも、
現在のロゼを見るうえで重要な変化である。
結局、
ホワイト・メイデンの協力者が誰なのかという疑問は、
まだ一人の名前では決着していない。
ただしロゼが単独で教皇と合成獣の計画を暴いたわけではなく、
過去の教会人脈と現在の協力者を使いながら、
複数の情報をつないでいた可能性は非常に高い。
仮面の下にいるのがロゼだと分かると、
ホワイト・メイデンの行動も別の形で見えてくる。
正体を隠していたのは逃げるためだけではなく、
教会内部へもう一度近づき、
モーリス教皇の計画を追い続けるためでもあった。
その情報網こそ、ロゼが剣とは別に手に入れた最大の武器なのである。
片田舎のおっさん、剣聖になるIIまとめ
『片田舎のおっさん、剣聖になるII』の記事を、大聖堂襲撃・モーリス教皇とスフェン教・ロゼとホワイト・メイデン・ハノイとヴェルデアピス傭兵団・アリューシア・スレナ・ミュイなどに分けてまとめています。
ベリル、アリューシア、ロゼ、ハノイ、モーリス、ガトガ、ヴェスパー、スレナなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。


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