ヴェルデアピス傭兵団は、ただ金で雇われる寄せ集めではなく、エーデルディア王国と帝国の戦争をくぐり抜けた者たちにつながる実戦型の傭兵集団。頭領は「翠蜂」ハノイ・クレッサで、ベリルやアリューシアがいる一行へ正面から襲撃を仕掛けられるほど、所属する剣士の水準も高い。
さらに重要なのは、彼らが特定国家の騎士ではなく契約で動く傭兵だということ。第8話では敵として現れながら、後にはハノイがグレン王子とサラキア王女を守る側へ回るため、「悪の組織」というより、その時に誰から何を依頼されたかで剣の向きが変わる集団です。
第1章 ヴェルデアピス傭兵団とは?
ハノイ・クレッサが率いる実戦経験豊富な傭兵集団
ヴェルデアピス傭兵団は、
『片田舎のおっさん、剣聖になるII』で新たに登場する武装集団。
頭領は大剣を扱うハノイ・クレッサ。
さらに二刀流のクリウ・ライバーク、
魔術師プリムなど複数の強者が所属している。
第8話では、
夜会を終えてフルームヴェルク領から首都バルトレーンへ戻るベリルたちが、
黒い衣服をまとった集団から突然襲撃を受ける。
最初だけ見れば、
街道で獲物を待っていた盗賊のようにも見える。
しかし戦闘が始まると、
その印象はすぐに崩れる。
ベリルの前には巨大な大剣を使う男が立ち、
アリューシア側にも二刀流の強敵が現れる。
護衛側には騎士団長アリューシアまでいるのに、
襲撃者たちは正面から引かない。
しかも戦闘の被害は大きい。
レベリオ騎士団のヴェスパーたちも襲われ、
一歩間違えば命を落としてもおかしくないほどの負傷者まで出る。
数だけを頼りに押してくる野盗ではなく、
一人一人が戦場で人を倒す術を知っている。
後に襲撃事件を振り返る場面では、
ルーシーから「ヴェルデアピス傭兵団」という名前が出る。
ベリルだけでなく、
アリューシアやヘンブリッツもその名前を知らない。
レベリス王国では広く知られた集団ではなかった。
一方のルーシーは、
彼らの出自まで知っている。
さらに傭兵団には、
頭領ハノイ・クレッサだけでなく、
異名を持つほどの剣士が所属していることにも触れる。
ここで第8話の襲撃が、
突然現れた無名集団によるものではないと分かる。
団長ハノイは、
「名誉に背を向けた傭兵の長」と呼ばれる人物。
大剣を振るうだけでなく、
高い身体能力そのものを戦闘へ組み込む。
ベリルを相手にしても好戦的な態度を崩さず、
強者との戦いを避ける人物ではない。
クリウ・ライバークは、
二刀を使って素早く戦場を動く剣士。
重い一撃で押し込むハノイとは違い、
機動力を生かして敵へ近づく。
同じ傭兵団でも、
一種類の戦い方だけに偏っていないことが分かる。
さらにプリムは魔術師として後方を担当する。
自然へ働きかける魔法を使い、
前衛で戦うハノイたちを支援する。
大剣。
二刀流。
魔術。
役割を分担できるだけの人材が揃っている。
つまりヴェルデアピス傭兵団は、
腕の立つ剣士を何人か集めただけの小集団ではない。
接近戦を担当する者。
高速戦闘を得意とする者。
後方から魔術で支える者。
複数の戦い方を組み合わせられる実戦型の集団になる。
しかも彼らは、
国家へ所属する騎士ではない。
レベリオ騎士団のように、
国王や国民を守ることを第一にする組織とは立場が違う。
依頼を受け、
報酬を得て、
その契約のために戦場へ出る。
ここがヴェルデアピス傭兵団を理解する上で重要になる。
第8話ではベリルたちを襲ったため、
登場時だけなら敵。
しかし彼ら自身が、
レベリス王国を滅ぼそうとしているわけではない。
誰から仕事を受けたのか。
どの人物を守るのか。
どこまで報酬を払う相手なのか。
その条件によって、
同じ剣が次には別の方向へ向く。
ヴェルデアピス傭兵団とは、
単なる悪党集団ではない。
ハノイを中心に、
戦争を経験した強者たちが集まり、
国家ではなく契約を基準に戦う傭兵団。
第8話の襲撃だけでは見えない、
かなり厄介な戦闘集団になる。
第8話の黒コート集団は単なる盗賊ではなかった
第8話の帰路襲撃が怖いのは、
相手が最初からベリルたちの戦力を承知した上で、
攻撃を仕掛けているように見えるところ。
護衛団の中には、
レベリオ騎士団長アリューシアがいる。
さらにベリルまで同行している。
普通の盗賊なら、
騎士団の一行だと分かった時点で避ける。
ましてアリューシアほどの剣士がいれば、
命を捨てるようなもの。
ところが黒衣の集団は、
逃げるどころか複数の方向から戦闘を仕掛ける。
ハノイはベリルの前へ出る。
巨大な大剣を振り回しながら、
ベリルの剣へ正面から食らいつく。
相手が強いと分かっても、
怯えて距離を取るのではなく、
むしろ戦意を高めるような態度を見せる。
別の場所では、
アリューシアも強敵と斬り合う。
騎士団長だけをベリルへ任せ、
他の者が雑兵を片付けるような戦いではない。
襲撃側にも、
強者へ強者をぶつけられるだけの人員がいる。
さらに護衛騎士まで狙われ、
ヴェスパーらが重傷を負う。
この場面からも、
襲撃者が相手を威嚇して終わるつもりではないと分かる。
実際に戦闘不能へ追い込み、
目的達成まで進むだけの覚悟で動いている。
だから後からヴェルデアピス傭兵団という名前を聞くと、
第8話での異様な強さにも納得がいく。
彼らは街道で初めて剣を抜いた者たちではない。
戦場で生き残り、
人間同士の殺し合いを経験してきた者たちだった。
ベリルも、
自分が戦った大剣使いの特徴から、
ルーシーが語るハノイと結び付けていく。
アリューシアが戦った相手にも、
傭兵団の強者と一致する特徴がある。
襲撃は偶然ではなく、
戦力を割り振った仕事だったと見えてくる。
ここが盗賊との最大の違いになる。
金品を奪えればいいのではない。
相手を見つけ、
必要な人物へ戦力をぶつけ、
依頼された仕事を遂行する。
戦いそのものが職業になっている。
ヴェルデアピス傭兵団という名前が出てきた時、
ベリルたちが警戒するのもそのため。
敵の名前が判明したから安心できるのではない。
むしろ、
これほどの戦力を雇える人物が裏にいると分かってしまう。
第8話で見えていたのは、
傭兵団の剣だけ。
その剣を誰が買ったのかは別の問題として残る。
だからヴェルデアピス傭兵団の登場は、
単なる新しい強敵の追加ではなく、
王国を巡る政治的な争いまで物語へ引き込んでいく。
第2章 ヴェルデアピス傭兵団はどこから来た?
エーデルディア王国と帝国の戦争を生き延びた者たち
ヴェルデアピス傭兵団が、
なぜ第8話であれほど強かったのか。
その答えは、
彼らが関わってきた土地と戦争にある。
元をたどると、
エーデルディア王国へつながる者たちになる。
エーデルディアは、
サリューア・ザルク帝国との戦争に敗れた国。
敗戦後は独立した王国として残ることができず、
帝国側へ組み込まれていく。
かつて国として存在した場所が、
戦争によって立場そのものを変えられている。
帝国は、
ガレア大陸でも大きな軍事力を持つ国。
侵略戦争を繰り返し、
領土を拡大してきた。
その帝国と実際に戦い、
敗北したのがエーデルディアだった。
普通なら、
敗戦した側の軍は解体される。
武器を取り上げられる。
生き残った兵士も捕らえられ、
それまで所属していた軍隊としては動けなくなる。
戦争が終われば、
戦士としての居場所まで失う者が出る。
しかしエーデルディア側には、
帝国から捕捉されず生き延びた戦闘員がいた。
そうした者たちへつながるのが、
ヴェルデアピス傭兵団になる。
つまり彼らは、
平和な時代に金目的で剣を覚えただけの集団ではない。
実際の戦争を知っている。
軍隊同士の戦闘を知っている。
味方が死ぬ場面も、
敵を倒さなければ自分が死ぬ状況も経験している。
第8話で見せた容赦のなさも、
その背景を考えるとかなり印象が変わる。
ベリルの弟子たちは、
剣士として非常に強い。
アリューシアも騎士団長まで上り詰めた実力者。
しかしヴェルデアピス傭兵団は、
道場や試合の強さだけを基準に生きてきた者たちではない。
勝てなければ死ぬ。
仲間を失っても次の戦闘へ進む。
撤退する時は生き延びることを優先する。
そうした戦争独特の判断を、
身体へ染み込ませている者が多い。
だからベリルたちの一行へ攻撃した際も、
正々堂々と一対一の決闘を申し込むわけではない。
複数の戦力を使い、
相手を分断し、
それぞれが仕事を遂行する。
騎士の名誉より、
目的達成を優先する戦い方になる。
団長ハノイ自身も、
名誉より傭兵という生き方を選んでいる人物。
依頼を引き受けた以上は仕事を果たす。
一方で、
より良い利益をもたらす依頼者を選ぶ。
騎士とは価値基準そのものが違う。
クリウも同じように、
名誉や肩書より、
自由に動ける傭兵という立場を選んでいる。
国の規則へ縛られず、
自分の腕を武器にして生きる。
エーデルディア敗戦後の環境を考えると、
傭兵という道へ流れることにもつながりが見えてくる。
つまりヴェルデアピス傭兵団は、
国を持たない戦士たちが、
それでも戦闘能力を捨てずに生きる場所とも言える。
王国が敗れても、
剣の腕までは消えない。
軍がなくなっても、
戦場を知る人間は残る。
その力を、
国家へ忠誠を誓う騎士ではなく、
報酬と契約で売る。
そこから、
現在のヴェルデアピス傭兵団という姿へつながっている。
国を失っても戦う力を残した集団になった
エーデルディアが敗北した後、
その土地は以前と同じ王国ではなくなる。
しかし、
国家が消えたからといって、
そこにいた戦士全員が消えるわけではない。
戦争を生き延びた者には、
次にどう生きるかという問題が残る。
剣しか持たない者。
戦闘経験を積み過ぎた者。
他の仕事へ簡単には戻れない者。
そうした人間にとって、
傭兵は現実的な生き方になる。
戦争で身に付けた技術を、
そのまま収入へ変えられるから。
ヴェルデアピス傭兵団が厄介なのは、
その戦力が国家から独立していること。
レベリオ騎士団なら、
勝手に外国へ行って誰かを暗殺することはできない。
国の命令。
外交。
騎士団の規律。
複数の制約がある。
しかし傭兵団は違う。
依頼を受ける。
報酬を確認する。
危険と利益を計算する。
条件が合えば、
国家同士の争いへも入り込める。
第8話の襲撃でも、
その性質がはっきり出ている。
黒衣をまとい、
身元を隠して攻撃する。
もし捕まらなければ、
誰が依頼したのかまでたどることは難しい。
依頼主から見れば、
非常に便利な存在になる。
自国の騎士団を動かせば、
失敗した時に国家の関与が表へ出る。
しかし傭兵なら、
表面上は国と切り離したまま戦闘を起こせる。
しかもヴェルデアピス傭兵団には、
強さまである。
金だけで集めた素人ではなく、
帝国との戦争をくぐり抜けた者たちにつながる。
依頼主を隠しながら、
騎士団長級へ攻撃を仕掛けられる戦力を投入できる。
それだけに、
ベリルたちにとって怖い相手になる。
一度撃退したから終わりではない。
傭兵団が存在する限り、
別の依頼者が別の仕事を持ち込むこともある。
実際、
傭兵という立場では、
昨日の敵が今日も敵とは限らない。
逆に、
昨日まで何も関係のなかった人物が、
新しい依頼の標的になることもある。
ヴェルデアピス傭兵団を見ていると、
「どこの国の敵なのか」だけでは捉えにくい。
彼ら自身が領土を奪いたいわけではない。
王位を狙っているわけでもない。
自分たちの戦力を商品として生きている。
だから第8話で彼らが敵として現れたことと、
ヴェルデアピス傭兵団そのものが悪の組織であることは、
同じではない。
彼らにとって襲撃は、
個人的な復讐ではなく仕事として成立している。
戦争で国を失った者たちが、
戦争で身に付けた強さを持ったまま、
今度は国家の外から戦争や政治へ関わる。
それがヴェルデアピス傭兵団の危険なところ。
第8話でベリルたちが戦ったのは、
単なる黒衣の襲撃者ではない。
滅びた側の戦争経験を受け継ぎ、
国家へ縛られず、
報酬次第で剣を向ける方向を変えられる戦闘集団だった。
第3章 頭領ハノイ・クレッサはどれほど強い?
「翠蜂」の異名を持つ大剣使い
ヴェルデアピス傭兵団の中で、
まず中心になるのが頭領ハノイ・クレッサ。
異名は「翠蜂」。
巨大な大剣を持ちながら、
それを重そうに扱うのではなく、
本人の身体能力ごと前へ押し出すような戦い方をする。
ベリルが最初にハノイと斬り合った時も、
単純な力任せでは終わらない。
大剣の重量を生かしながら、
間合いへ強引に入り、
ベリルへ真正面から圧力を掛ける。
一撃でもまともに受ければ、
普通の剣士では立っていられない。
しかもハノイは、
相手が強いと分かっても後ろへ引かない。
むしろベリルほどの相手を前にして、
戦意を失うどころか、
真正面から戦い続ける。
この好戦的な気質も、
長く戦場で生きてきた人間らしい部分になる。
後にルーシーが傭兵団について語った時、
名前を知っていた幹部級の一人として、
「翠蜂」ハノイ・クレッサを挙げている。
つまりハノイは、
ただ現在の団長だから有名なのではない。
個人の戦闘力そのものが、
外部へ知られる水準にある。
ベリルも、
自分が戦った大剣使いとその特徴を結び付ける。
ここで第8話の相手が、
単なる傭兵団の一兵士ではなく、
頭領本人だったと分かる。
普通なら、
頭領は後方へ残り、
部下へ指示を出してもいい。
しかしハノイは違う。
自分で大剣を持ち、
強敵がいる前線へ出る。
部下を守る指揮官というより、
自分自身が傭兵団最大級の戦力になっている。
その強さは、
後のスフェンドヤードバニアでの戦いでも見えてくる。
ハノイは再び巨大な大剣を持って現れ、
今度はベリルたちと同じ側で戦場へ入る。
敵だった時と武器も戦い方も変わらない。
変わったのは、
剣を向ける相手だけになる。
大聖堂周辺では、
動く死体や異常な敵が次々に現れる。
普通の兵士なら、
混乱の中で動くだけでも難しい。
それでもハノイは、
前線へ飛び出し、
障害物ごと押し切るような力を見せる。
扉や壁面が壊れるほどの力もあり、
ベリル自身が、
あれほどの力で殴られれば一撃で戦闘不能になりかねないと見るほど。
大剣だけが強いのではなく、
それを扱う本人の筋力と耐久力が異常に高い。
さらに後の戦闘では、
強烈な攻撃を受けても戦線へ残る。
アリューシアやプリムが一撃で動けなくなるほどの攻撃が飛び交う中でも、
ハノイの耐久力は別格として見られている。
剣技だけでなく、
倒れにくさまで含めて戦士として完成度が高い。
ここがベリルとは少し違う。
ベリルは、
相手の動きを読み、
剣筋を見切り、
必要最小限の動きで勝つ剣士。
一方のハノイは、
戦場そのものへ身体を投げ込み、
多少の危険も踏み越えて進む戦士になる。
ハノイ自身も、
ベリルへ「戦士には向いていない」と語る。
それはベリルが弱いという話ではない。
剣士としての技量は認めている。
しかし、
戦場で前だけを見て進み続ける精神性は、
自分たち傭兵とは違うと見ている。
その言葉からも、
ハノイがどんな場所で生きてきたのかが分かる。
勝負の美しさ。
剣士としての名誉。
そうしたものより、
戦場で生き延びて仕事を果たすことを優先する。
だからハノイは、
ヴェルデアピス傭兵団の象徴に近い。
巨大な大剣。
異常な身体能力。
戦場慣れした判断。
強敵へ怯まない精神。
団員たちが彼を頭領としているのも、
その実力を見れば納得しやすい。
ベリルと正面から斬り合える時点で普通の傭兵ではない
ハノイの強さを分かりやすくするのが、
ベリルと正面から戦えていること。
ベリルはすでに、
レベリオ騎士団長アリューシアを育て、
複数の高位剣士から認められている人物。
本人だけが自分を普通のおっさんだと思っている状態になる。
そのベリルへ、
真正面から大剣を振るえる。
一撃を避けられて終わるのではない。
相手の剣技を見ながら、
何度も攻撃を続ける。
この時点で、
ハノイが一般的な傭兵の水準ではないと分かる。
もちろん、
純粋な剣技だけならベリルの方が上。
ベリルは相手の癖を見抜き、
刃の流れを読み、
少しずつ勝ち筋を作る。
ハノイの大剣へも、
真正面から力比べをするのではなく、
技術で対応していく。
それでもハノイは、
一方的に倒されない。
大剣の間合い。
振り抜く速度。
体格。
耐久力。
それらを合わせることで、
ベリルにも簡単には処理できない相手になる。
この戦いを見ると、
ヴェルデアピス傭兵団が恐れられる背景も分かる。
頭領一人だけで、
王国でも最上位に近い剣士へ圧力を掛けられる。
しかも団内には、
ハノイとは別系統の強者までいる。
さらにハノイは、
自分だけで戦うことにも固執しない。
プリムと組む時は、
魔術師の援護を受けながら敵へ向かう。
傭兵団として必要なら、
一対一の勝負へこだわらず、
最も勝ちやすい組み合わせを選ぶ。
この辺りも、
騎士や剣士とは少し違う。
強者だから単独で戦うのではない。
勝つためなら仲間と組む。
仕事を果たすためなら、
戦い方そのものを変える。
ハノイが強いのは、
大剣を振るう腕力だけではない。
戦場で何を優先するかがはっきりしている。
敵を倒す。
味方を生かす。
依頼を完遂する。
その判断を迷わず取れる。
だからベリルと戦った後、
次の場面では共闘まで成立する。
ハノイにとって、
一度剣を交えた相手だから永遠に敵という感覚は薄い。
契約や状況が変われば、
剣を向ける方向も変わる。
この切り替えの速さまで含めて、
ハノイは傭兵団の頭領らしい人物。
強い。
荒っぽい。
でも、
ただ戦うことしか考えていないわけではない。
誰と戦えばいいのか。
誰を守れば仕事になるのか。
どこへ戦力を回すべきか。
そこまで見ながら動く。
ヴェルデアピス傭兵団を理解する時、
まずハノイを見ると分かりやすい。
彼の戦い方そのものが、
この集団の性格を表している。
第4章 ヴェルデアピス傭兵団にはどんな強者がいる?
クリウは「対針」の異名を持つ双剣使い
ヴェルデアピス傭兵団が厄介なのは、
ハノイ一人だけが強いわけではないところ。
ルーシーが知っていた幹部級として、
ハノイと並んで名前を挙げるのが、
「対針」クリウ・フルバークになる。
第8話の襲撃では、
アリューシアが双剣使いと戦う。
ベリルが巨大な大剣を持つハノイと対峙した一方、
アリューシア側には、
速度と手数を生かす剣士が回されている。
ここで傭兵団の戦力配分が見える。
大剣使いを一人だけ送り込み、
残りは数で押すわけではない。
ベリルにはハノイ。
アリューシアにはクリウ。
強者へ幹部級をぶつけている。
クリウは、
二本の剣を使う。
アリューシアのように、
一本の剣を精密に扱う騎士とは戦い方が違う。
左右から攻撃を重ね、
相手へ防御と判断を何度も要求する。
一撃の重さなら、
ハノイの大剣が目立つ。
しかしクリウは、
一度受ければ終わる重量ではなく、
細かな攻撃を連続させて相手を崩す。
同じ傭兵団の剣士でも、
方向性がかなり違う。
この差があるから、
相手側は対応しにくい。
ハノイへ通用した戦い方を、
そのままクリウへ使うことはできない。
距離。
速度。
刃の数。
間合いの作り方。
全てが変わる。
アリューシアは、
レベリオ騎士団長。
ベリルの弟子の中でも、
剣術の完成度が高い人物。
そのアリューシアへ、
幹部級の相手としてぶつけられる時点で、
クリウも相当な実力者になる。
ルーシーも、
傭兵団の幹部全員を知っているわけではない中で、
ハノイとクリウの名前は把握していた。
国外でも名前が知られるほど、
戦場で実績を積んでいると見ていい。
そしてクリウも、
後には傭兵団の仕事の中で再登場する。
その時もハノイだけが動くのではなく、
団員として別の役目を担う。
ヴェルデアピス傭兵団は、
頭領が全部処理する組織ではない。
強い敵には強い団員を当てる。
魔術が必要なら魔術師を出す。
護衛が必要なら人数を割る。
仕事内容に応じて、
複数の戦力を使い分けられる。
ここが、
小規模な盗賊団とは大きく違う。
リーダーだけ倒せば終わるのではない。
ハノイを止めても、
クリウがいる。
別方向から別の戦力が来る。
だからベリルとアリューシアが、
同時に別々の強敵と戦う状況になる。
ヴェルデアピス傭兵団は、
一人の英雄へ頼る集団ではなく、
複数の実力者を抱えた戦闘組織になる。
プリムの魔術まで加わることで戦い方の幅が一気に広がる
そして傭兵団の戦力をさらに広げるのが、
桃色の髪をした魔術師プリム。
ハノイやクリウが前へ出る剣士なら、
プリムは別の位置から戦場を動かす。
後の大聖堂での場面では、
プリムが濃い霧を発生させている。
必要な時には、
ハノイの指示で霧を消す。
つまり単純に攻撃魔術を撃つだけではなく、
周囲の視界や状況そのものを変えられる。
戦場で視界を奪えることは大きい。
敵から姿を隠す。
移動を助ける。
相手の判断を遅らせる。
護衛対象を逃がす。
剣士だけでは作れない状況を、
魔術師一人で用意できる。
しかもプリムは、
異常な魔術現象についても判断できる。
大聖堂周辺で動く死体を見た時も、
それが魔術によって動かされている可能性を説明する。
戦闘だけでなく、
魔術そのものの知識を持っている。
これはベリルたちにない能力になる。
ベリルとアリューシアは、
近づいて斬ることに関して非常に強い。
しかし相手が魔術を使い、
直接剣を当てにくい状況を作ってきた場合、
剣士だけでは対応しにくい。
そこでプリムが入る。
魔術現象を見る。
状況を変える。
前衛を支援する。
必要ならハノイと二人で一体の強敵を受け持つ。
後の戦闘では、
ハノイとプリムが組んで強敵へ向かう場面もある。
大剣使いと魔術師。
真正面から押す者と、
後ろから状況を作る者。
組み合わせとしてかなり厄介になる。
プリムがいることで、
ヴェルデアピス傭兵団は、
剣士ばかりの集団ではなくなる。
近距離。
高速戦闘。
広範囲への干渉。
複数の戦闘距離を持てる。
しかもハノイ、
クリウ、
プリムは、
同じ考え方を持つ駒ではない。
それぞれが自分の役目を理解し、
必要な場面で動く。
だから団長が細かく一手ずつ命令しなくても、
戦場で対応できる。
大聖堂でベリルが、
ハノイの胸倉を掴んだ場面も印象的。
周囲にはクリウやプリム、
他の傭兵たちもいる。
それでも誰もすぐにベリルへ襲いかからない。
騎士団なら、
団長へ手を出した相手を止めようとする場面。
しかし彼らは、
ハノイが自分で処理できると見ているのか、
必要のない介入をしない。
ベリルも、
その精神性が自分たちとはかなり違うと感じている。
この場面からも、
ヴェルデアピス傭兵団が、
戦場で自立した者たちの集まりだと分かる。
全員が頭領へ守られているのではない。
頭領だから何でも守るわけでもない。
自分の命と仕事を、
自分で扱える者が集まっている。
だから彼らは強い。
ハノイだけを警戒すればいいのではない。
クリウもいる。
プリムもいる。
さらにルーシーですら全員を把握していないほど、
他にも団員がいる。
ヴェルデアピス傭兵団という名前が上がった時、
本当に怖いのは一人の強敵がいることではない。
違う能力を持つ実戦経験者が複数いて、
仕事内容に応じて組み合わせを変えられること。
第8話でベリルたちが苦戦したのも、
偶然強い剣士が二人いたからではない。
頭領。
双剣使い。
魔術師。
それぞれが別の役目を持つ。
そこまで揃って初めて、
ヴェルデアピス傭兵団という一つの戦力になっている。
第5章 なぜ国家の騎士ではなく傭兵として動く?
正規軍と違い、依頼主を表へ出さずに危険な仕事を受けられる
ヴェルデアピス傭兵団が、
国家の騎士団ではなく傭兵という形を取っていることには大きな違いがある。
騎士団なら、
誰の命令で動いたのか。
どの国が兵を出したのか。
戦闘が起きた時点で国家同士の問題になりやすい。
レベリオ騎士団を見ても分かる。
アリューシアやヘンブリッツたちは、
個人の判断だけで外国へ行き、
誰かを襲撃することはできない。
国王や王家との関係。
騎士団としての命令。
外交上の立場まで背負っている。
ところが傭兵団は違う。
国家の正式な軍隊ではない。
仕事を依頼した人物から報酬を受け取り、
その契約に従って動く。
表面上は、
依頼主と戦闘を切り離すことができる。
フルームヴェルク領からの帰路で、
ベリルたちを襲った時もそう。
黒衣をまとった集団が、
囮まで使いながら進路を塞ぐ。
そこには国旗もない。
正規軍の紋章も掲げていない。
誰の兵なのかを外見だけでは判別できない。
もしスフェンドヤードバニアの正規兵が、
レベリス王国の騎士団長アリューシアを襲えば、
事態は一気に外交問題へ進む。
国が国を攻撃したと受け取られるからだ。
しかし実行役が傭兵なら、
依頼主を証明できない限り国へ直接たどり着きにくい。
ベリルたちが襲撃後に困ったのもここ。
強い集団だった。
計画的だった。
明らかに誰かから仕事を受けているように見える。
それでも、
誰が彼らへ金を払ったのかまではその場で分からない。
ルーシーが、
国家の所属ではない戦力として傭兵団へ行き着くのも自然になる。
レベリス王国の騎士を襲うほど危険な仕事なら、
普通の冒険者や盗賊では割に合わない。
失敗すれば国を敵に回す。
成功しても追われる可能性がある。
だからこそ、
相当な金を積まなければ動かない。
逆に言えば、
それだけの金と覚悟を持つ依頼主が背後にいる。
ヴェルデアピス傭兵団の名前が判明したことで、
襲撃事件そのものより、
誰が彼らを雇ったのかが次の問題になっていく。
ここが傭兵の便利さであり怖さでもある。
依頼主は剣を振らない。
現場にも出ない。
自分の部下すら動かさない。
それでも金さえ払えば、
ハノイやクリウのような強者を相手へぶつけられる。
ヴェルデアピス傭兵団は、
その仕組みを成立させられるだけの実力を持つ。
弱い傭兵なら、
アリューシアを襲う依頼など受けても成功しない。
しかし彼らには、
ベリルやアリューシアと戦える人材がいる。
だから政治的な争いへ利用された時、
非常に危険になる。
表では婚姻。
外交。
宗教。
王家同士の関係が動く。
その裏で、
名前を出せない仕事だけを傭兵団へ渡すことができる。
第8話の襲撃が、
ただの旅途中の戦闘では終わらないのはそのため。
ヴェルデアピス傭兵団が出てきたことで、
誰かが正面から兵を動かせない事情を抱えていると見えてくる。
暗殺にも護衛にも使えることが傭兵団の強み
傭兵という立場の大きな特徴は、
戦う相手が固定されていないこと。
騎士なら、
守る国がある。
守る王家がある。
敵国が決まれば、
その相手と戦う。
しかしヴェルデアピス傭兵団は、
契約そのものが基準になる。
昨日襲った相手を、
今日も襲うとは限らない。
逆に、
以前は何の関係もなかった人物を、
次の依頼で守ることもある。
この性質は、
ハノイの態度にもよく出ている。
ベリルと斬り合った時、
個人的な恨みを見せているわけではない。
強い相手との戦いには興奮する。
しかし仕事の対象として剣を向けている面が大きい。
だから戦闘が終わった後も、
ベリル個人への復讐へ執着しない。
次の依頼が変われば、
また別の場所へ行く。
傭兵にとって重要なのは、
誰を憎んでいるかではなく、
今どの契約を受けているかになる。
これは暗殺や襲撃だけに便利なのではない。
護衛でも同じ。
強い戦士を雇いたい。
正規軍だけでは足りない。
国外で自由に動ける戦力が欲しい。
そういう時にも傭兵団は使える。
ヴェルデアピス傭兵団には、
ハノイだけでなく、
クリウやプリムのような複数の戦力がいる。
一人の要人を守る。
複数方向を警戒する。
霧で姿を隠す。
敵を正面から止める。
仕事に応じて配置を変えられる。
だから傭兵団は、
殺すための集団ではない。
戦う技術を売る集団になる。
その技術を、
襲撃へ使うか。
護衛へ使うか。
戦争へ使うか。
決めるのは契約内容になる。
ここを押さえておくと、
後にハノイたちが別の立場で現れても不自然ではない。
「以前は敵だったのに、なぜ助けるのか」
ではなく、
「今度は守る仕事を受けた」
と考えれば行動が一本につながる。
ヴェルデアピス傭兵団が怖いのは、
悪人だからではない。
強い者たちが、
国家への忠誠ではなく契約で動いていること。
そして十分な報酬を払える人物なら、
その力を別の方向へ向けられることになる。
ここから先は原作漫画のネタバレを含みます。アニメの先を知りたくない方はご注意ください。
第6章 第8話では敵だった傭兵団が後に護衛側へ回る
ハノイはグレン王子とサラキア王女を守る仕事を受ける
原作先まで進むと、
ヴェルデアピス傭兵団の性質が最も分かりやすく出る場面がある。
第8話では、
ベリルたちの帰路を襲ったハノイたちが、
今度はグレン王子とサラキア王女を守る側へ現れる。
この再登場は、
ベリルから見ても簡単に信用できるものではない。
少し前まで、
ハノイたちは自分たちを襲っていた。
囮の馬車まで使い、
騎士たちへ重傷者を出した相手。
その人物が突然、
王子と王女を守ると言い出す。
大聖堂周辺が混乱する中、
ハノイは手勢を連れて現れる。
巨大な大剣を持った姿は、
以前ベリルへ襲いかかった時とほとんど変わらない。
サラキア王女からすれば、
突然現れた武装集団が敵なのか味方なのか判断できない。
そこでハノイ自身が、
王子と王女を守る仕事を受けていると明かす。
以前は襲撃者。
今度は護衛。
同じ人物が、
まったく反対の立場で戦場へ出てくる。
ベリルが疑うのも当然になる。
あれほど危険な襲撃をした相手。
しかも以前の事件には、
スフェンドヤードバニア側の政治的な思惑が疑われている。
そんな傭兵団が、
今度は王権側の中心人物を守ると言う。
しかしその場では、
イブロイもハノイたちを信用してよいと告げる。
ベリルは完全に納得できないままでも、
王子と王女を脱出させることを優先する。
そこで初めて、
ヴェルデアピス傭兵団と同じ方向へ戦う状況になる。
ここでハノイが、
過去の襲撃について深く謝罪して仲間入りするわけではない。
ベリルと友情を結んだから助けに来たわけでもない。
単純に、
現在受けている仕事が変わっている。
だから行動も迷わない。
前回はベリルたちへ大剣を向けた。
今回は王子と王女へ迫る敵へ大剣を向ける。
ハノイ本人の戦い方は変わらない。
契約によって標的だけが変わっている。
この場面を見れば、
ヴェルデアピス傭兵団を悪の組織として扱えないことがよく分かる。
敵側の兵士なら、
王権派を守る仕事へ回ること自体が裏切りになる。
しかし傭兵なら、
新しい契約を受けただけになる。
そしてハノイたちの戦力は、
護衛側へ回っても非常に大きい。
動く死体が周囲へ現れ、
大聖堂内外が混乱する。
その中で、
ハノイたちは王子と王女を逃がすための戦力として動く。
以前ベリルたちを苦しめた強さが、
今度は守る側で使われる。
ここまで反転すると、
傭兵団の立場がかなり分かりやすくなる。
敵味方ではなく契約で剣を向ける方向が変わる
ヴェルデアピス傭兵団を見ていると、
「敵から味方になった」という言い方では少し足りない。
ハノイが改心したわけではない。
自分の過去を悔いて、
ベリル側へ寝返ったわけでもない。
傭兵として、
受けている仕事が変わった。
それが一番近い。
だからハノイの中では、
前回の襲撃と今回の護衛が大きく矛盾していない。
ベリル側からすれば話は別。
仲間を負傷させた相手。
自分とも斬り合った相手。
突然「今度は守る」と言われても、
簡単には信用できない。
この温度差が面白い。
ベリルは過去の出来事を人間関係として見る。
ハノイは、
戦場と契約として見る。
同じ襲撃でも、
二人の受け止め方がかなり違う。
ハノイにとって、
前回は襲う仕事だった。
今回は守る仕事。
だから必要なら、
以前の標的だったベリルと同じ戦場に立つ。
そこで余計な私怨を持ち込まない。
この切り替えは、
傭兵としては非常に合理的になる。
昨日の依頼主に忠誠を誓い続ければ、
新しい仕事を受けられない。
一度戦った相手を永遠に敵と決めれば、
行動できる範囲が狭くなる。
国家へ所属しないからこそ、
契約が終われば関係も変わる。
ヴェルデアピス傭兵団が、
敗戦後も独立した戦闘集団として生き残れた背景にも、
この柔軟さがある。
さらに後になると、
ヴェルデアピス傭兵団と思われる黒衣の者たちが、
教都に残っていることも語られる。
完全にレベリス王国側へ加入したわけではない。
グレンたちと行動する局面があっても、
あくまで独立した傭兵団として残る。
ここでも、
「味方になった」というより、
一時的に敵ではなくなっていると見る方が近い。
王子と王女を守る。
ベリルと同じ敵へ向かう。
それでもレベリオ騎士団の一員になったわけではない。
だからヴェルデアピス傭兵団の動きを追う時、
一番見るべきなのは、
その時誰と戦っているかだけではない。
誰から何の仕事を受けているのか。
そこを見ると、
敵味方が入れ替わるように見える行動もつながる。
第8話では襲撃者。
後には王子と王女の護衛。
この二つの場面は、
矛盾しているのではない。
むしろ両方を見ることで、
ヴェルデアピス傭兵団がどんな集団なのかがはっきりする。
彼らは正義の騎士ではない。
悪の軍団でもない。
戦場で磨いた力を、
契約によって売る者たち。
だから依頼が変われば、
昨日敵だった相手の隣でも剣を振るう。
ヴェルデアピス傭兵団を知るうえで、
この変化はかなり重要になる。
ハノイたちの本当の怖さは、
どちら側にいるか分からないことではない。
十分な実力を持つ集団が、
契約次第でどちら側にも立てることにある。
第7章 ヴェルデアピス傭兵団は敵なのか?
レベリス王国へ敵意を持つ組織とは限らない
ヴェルデアピス傭兵団は、
第8話でベリルたちを襲撃したため、
最初は明確な敵として登場する。
黒衣で姿を隠し、
騎士団へ大きな被害まで出した以上、
危険な集団であることは間違いない。
ただし、
そのまま「レベリス王国を狙う敵組織」と考えると少し違う。
ハノイたちは、
王国そのものへ恨みを持って動いているわけではない。
レベリオ騎士団を滅ぼしたいわけでも、
ベリル個人へ復讐したいわけでもない。
彼らが動く基準は、
国家への忠誠ではなく契約。
だから第8話では、
依頼された仕事としてベリルたちを襲う。
その契約が終われば、
同じ相手を追い続ける必要もなくなる。
実際、
原作先ではハノイたちがグレン王子とサラキア王女を守る側へ回る。
以前なら、
ベリルの前へ大剣を振り下ろしていた。
今度は、
同じベリルと近い立場で敵へ向かう。
この変化を見ると、
ヴェルデアピス傭兵団を善悪だけで分けるのが難しい。
襲撃したから悪。
護衛したから善。
そう単純に変わったわけではない。
やっていることは、
最初から傭兵としての仕事になる。
ハノイ自身も、
ベリルへ特別な忠誠を持つようになるわけではない。
アリューシアの部下にもならない。
グレン王子へ永続的に仕える騎士になるわけでもない。
仕事の期間だけ、
その人物を守る側へ立つ。
だからベリルたちにとって、
ヴェルデアピス傭兵団は信用しやすい相手ではない。
今は味方でも、
次の依頼まで同じ立場とは限らない。
報酬や契約が変われば、
また違う場所へ向かう可能性がある。
しかし反対に、
一度敵対したから永遠に敵というわけでもない。
ここが普通の敵組織との大きな違い。
戦闘が終われば、
人間関係まで完全な敵対へ固定されない。
ベリルも、
ハノイを相手にした時、
ただの殺人者としてだけ見ているわけではない。
戦いの中で相手の力量を見る。
後に同じ場へ立った時も、
警戒しながら必要な協力は受け入れる。
ハノイ側も、
ベリルの強さを知っている。
一度刃を交えたからこそ、
どれほど危険な剣士かも分かっている。
その相手と再び会った時、
無意味に決着をつけようとはしない。
この距離感が、
ヴェルデアピス傭兵団らしい。
敵にもなる。
味方にもなる。
しかし、
どちらへ回っても所属そのものは変わらない。
つまり彼らは、
レベリス王国へ敵意を持つ軍隊ではなく、
必要とされる場所へ戦力を売る独立集団。
第8話で敵だったことと、
組織そのものがレベリス王国の敵であることは、
分けて考える必要がある。
本当に注目したいのは「今は誰が雇っているか」
ヴェルデアピス傭兵団を見る時、
一番重要なのは、
ハノイが誰を殴っているかだけではない。
その時、
誰が彼らへ仕事を与えているのか。
ここを見ると行動が一気に分かりやすくなる。
第8話では、
ベリルたちを襲う。
だから表面だけなら敵。
しかし、
その背後には依頼主がいる。
ハノイたち自身が、
ベリル一行を選んで襲ったわけではない。
つまり本当に危険なのは、
傭兵団へ金を払い、
騎士団長やベリルへ攻撃を仕掛けさせられる人物。
ヴェルデアピス傭兵団の登場によって、
戦闘そのものより、
裏側で誰が動いているのかが問題になってくる。
後に護衛側へ回った時も同じ。
ハノイが突然善人になったからではない。
今度は、
グレン王子やサラキア王女を守る仕事を受けている。
依頼が変わったから、
剣を向ける方向も変わる。
この性質があるため、
ヴェルデアピス傭兵団が登場した時は、
「また敵が来た」と考えるだけでは足りない。
誰の利益になる行動なのか。
誰が金を出せる立場なのか。
その先まで見たくなる。
しかも彼らは弱い傭兵ではない。
ハノイ。
クリウ。
プリム。
複数の実戦経験者がいる。
だから依頼主からすれば、
かなり大きな切り札になる。
普通の刺客なら、
アリューシア一人で止められる可能性が高い。
しかしヴェルデアピス傭兵団なら、
ベリルとアリューシアを同時に足止めできる。
その間に別の目的を進めることも可能になる。
だから彼らへ仕事を頼める人物は、
金だけでなく、
相応に大きな目的を持っていると考えられる。
単なる個人的な喧嘩のために、
これほどの戦力を雇う必要はない。
一方、
護衛へ使えば非常に頼もしい。
ハノイが前へ出る。
クリウが別方向を抑える。
プリムが魔術で周囲を支える。
少人数でも、
戦場全体へ影響を出せる。
敵に回れば厄介。
味方に回れば強力。
この両方が成立するからこそ、
ヴェルデアピス傭兵団は印象に残る。
彼ら自身が、
物語の最終的な悪役というわけではない。
しかし、
政治や戦争の裏側で、
強い者を必要とする人物が現れるたび、
再び名前が出てきてもおかしくない。
だから「ヴェルデアピス傭兵団とは?」への答えは、
ハノイ率いる強い傭兵集団というだけでは足りない。
エーデルディアの戦争を生き延びた者たちにつながり、
大剣使い、双剣使い、魔術師まで抱え、
国家ではなく契約で動く実戦集団になる。
そして一番大きな特徴は、
敵味方が固定されていないこと。
第8話ではベリルたちを襲う。
後には王子と王女を守る。
それでも彼ら自身の生き方は変わっていない。
ヴェルデアピス傭兵団が出てきた時、
見るべきなのは「敵か味方か」だけではない。
今は誰が雇っているのか。
何を守らせているのか。
誰を排除させようとしているのか。
そこまで見ることで、
ハノイたちが登場する場面は、
単なる戦闘ではなく、
その背後で動く人物や国家の思惑まで見えてくる。


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