サスケのアンデッド化は、ただ蘇らせるためではなく、六忍としての戦闘能力を残したままヒルク教会側の戦力として再利用するためだったと考えると、第10話と第11話が一本につながる。
サスケが使ったペンダント、大量のアンデッド、死の穢れ、そして最後の「教会に気をつけろ」は、それぞれ別の謎ではなく、ヒルク教会が死者を兵力として扱っていることを示す手掛かりだった。
さらにサスケが「契の精霊結晶」を追ってヒルク教国へ向かった経緯まで辿ると、なぜ彼が消息を絶ち、敵としてチヨメの前へ戻ってきたのかまで見えてくる。
第1章 ヒルク教会はなぜサスケをアンデッドにした?
六忍の戦闘力を失わせず、死後も使える兵士へ変えるためだった
第11話で明らかになったのは、
サスケが戦いの末に偶然アンデッド化したのではなく、
ヒルク教会の手によって、
意図的に不死者へ変えられていたという事実。
タジエントへ突入したアークたちは、
街を埋めるアンデッドや黒巨人ジャミアントだけでなく、
捕らえられたエルフ族・獣人族を利用した異様な実験の痕跡まで目にする。
その中心にいたのが、
ヒルク教会七枢機卿の一人パルルモ。
アークが彼と対峙したことで、
タジエントで行われていた非道な実験も、
チヨメが追い続けてきたサスケのアンデッド化も、
別々の事件ではなかったことが判明する。
背後にいたのは、どちらもヒルク教会だった。
ではなぜ、
サスケを殺して終わらせず、
わざわざアンデッドとして残したのか。
大きいのは、
サスケが普通の獣人戦士ではなかったこと。
刃心一族の中でも、
精霊結晶を受け継いだ上位戦力「六忍」の一人であり、
チヨメが幼い頃から兄のように慕っていた実力者だった。
アンデッドとなって再登場した後も、
その戦い方には生前のサスケが持っていた技術が残っている。
双剣を使った近距離戦。
風を利用した忍術。
手裏剣を交えながら相手の退路を削る攻撃。
さらに地面だけに頼らず、
空中でも身体の向きを変えるような独特の機動。
姿が変わっていても、
チヨメがサスケだと認識できるほど、
六忍として身につけた戦闘技術そのものは失われていない。
ここが、
ヒルク教会にとって大きな価値になる。
新しい兵士を一から鍛えれば、
武器の扱い、
集団戦、
索敵、
潜入、
暗殺まで習得させるには長い時間が必要。
しかし六忍まで到達したサスケをアンデッド化し、
生前の能力を残したまま支配できるなら、
完成された戦士をそのまま死後の兵力へ組み込める。
サスケは「死体」ではなく、
既に完成していた高性能な戦闘要員として利用されたと見た方が、
第11話までの描写とつながりやすい。
さらに異様なのが、
サスケ自身が戦えるだけではなかったこと。
チヨメたちと対峙した際には、
首元にあるペンダントを利用し、
周囲にいる多数のアンデッドまで動かしている。
これは六忍として知られていたサスケ本来の能力とは、
明らかに性質が違う。
生前のサスケが得意としていたのは、
精霊結晶によって得た忍術と、
そこへ長年の鍛錬を重ねた近接戦闘。
死者を集団で従わせる能力ではない。
つまりアンデッドとなったサスケには、
ヒルク教会側から別の機能まで加えられていた可能性が出てくる。
一人で敵を倒す兵士ではなく、
周囲の死者まで動かす役割を持たされた存在になっていた。
第11話のタジエントでは、
そのサスケだけでなく、
街全体に大量のアンデッドが投入されている。
ジャミアントまで暴れ、
捕らえられた者を利用した実験も進められている。
そこでサスケのアンデッド化までヒルク教会によるものだと分かったことで、
彼一人だけに起きた悲劇ではなく、
教会が生者と死者を戦力へ変える行為の中へ、
六忍サスケまで組み込まれていた構図が見えてくる。
「死の穢れ」が出ていたサスケと、骸骨姿のアークには決定的な違いがある
サスケが普通の状態ではないことは、
正体が完全に判明する前から示されていた。
チヨメたちが追っていた双剣使いからは、
獣人族が感知できる「死の穢れ」が漂っていたからだ。
それまで姿を消していた兄弟子を探し続けてきたチヨメにとって、
再会したサスケが生者ではないという事実は、
見つけた喜びより先に受け止めなければならない現実だった。
この描写で比較対象になるのが、
常に骸骨姿で行動しているアーク。
外見だけを見れば、
アークの方がよほど典型的なアンデッドに見える。
しかし獣人族が感じ取る死の穢れは、
アークからはサスケと同じようには出ていない。
見た目ではなく、
存在そのものが死者側へ変化しているかどうかに差がある。
アークはゲーム時代のアバター姿を引き継ぎ、
肉体が骸骨になっている特殊な存在。
対してサスケは、
一度生者として存在していた身体を、
ヒルク教会側の手によってアンデッドへ加工された。
だからこそ、
チヨメたちはサスケから死の穢れを感じ取り、
本人の戦闘技術が残っていても、
以前と同じ兄弟子ではないことを突きつけられる。
そして第11話で、
ヒルク教会がサスケをアンデッドにした事実まで判明する。
第10話までなら、
なぜサスケだけが死者になったのか、
誰がそこまでしたのかは謎として残っていた。
しかしタジエントで行われる実験とつながったことで、
サスケの身体に起きた異変も、
教会側のアンデッド運用の一部だったことが見えてきた。
ヒルク教会がサスケをアンデッドにしたのは、
兄弟子としての人格を救うためではない。
六忍として完成していた肉体、
忍術、
戦闘経験を、
死後まで教会側の力として利用するため。
第10話で見えたペンダントによるアンデッド操作まで合わせると、
サスケは死後もなお、
ヒルク教会の兵士として働かされていたことになる。
第2章 サスケはなぜヒルク教会の手に落ちた?
始まりはヒルク教ではなく、刃心一族の秘宝「契の精霊結晶」を追ったことだった
サスケが自分からヒルク教会へ所属したわけではない。
その足取りを原作まで遡ると、
彼が追っていたのは、
刃心一族に代々伝わる「契の精霊結晶」だったことが分かる。
チヨメも使用している、
精霊と契約して忍術を扱うための特殊な結晶であり、
六忍の力そのものに直結する秘宝になる。
契の精霊結晶は、
初代ハンゾウから伝えられた非常に限られた品。
一族に残っている数にも限りがあり、
装着した者と精霊を結びつけることで、
チヨメたちは風や水などの忍術を使用できる。
単なる装飾品ではなく、
刃心一族が戦力を維持する上でも重要な存在だった。
しかも一度融合した精霊結晶は、
自由に着脱できる物ではない。
チヨメ自身が説明しているように、
使用者が死亡した後、
遺灰から取り出され、
次の適格者へ受け継がれていく。
六忍という役目と、
その力を次代へ渡していく仕組みそのものに関係する品だった。
サスケが姿を消した背景には、
失われていた精霊結晶の行方を追う目的があった。
後にアークたちが宝物庫の記録を調べると、
サスケがそこへ侵入していたことが判明する。
そして目録には、
刃心一族が探していた物と同じ特徴を持つ、
菱形の宝石が記録されていた。
それこそが、
失われていた「契の精霊結晶」だった。
ところが、
その結晶は既に宝物庫には残っていなかった。
記録には、
以前ヒルク教国への贈答品として渡されたことまで書かれている。
ここで初めて、
サスケの失踪とヒルク教国が直接つながる。
宝物庫へ侵入する。
目録を確認する。
探していた契の精霊結晶が、
ヒルク教国へ送られたことを知る。
その情報を追って、
サスケもヒルク教国へ向かう。
そして、その先で教皇側の手に落ちたと考えられている。
つまりサスケは、
最初からヒルク教会の秘密を暴こうとして潜入したのではない。
刃心一族に失われた秘宝を取り戻すため、
痕跡を一つずつ追った先に、
偶然ヒルク教国があった。
一族のために動いた行動が、
結果として最も危険な場所へ本人を導いてしまったことになる。
チヨメが兄のように慕ったサスケだからこそ、一族の秘宝を放置できなかった
この行動は、
サスケの性格ともつながっている。
チヨメにとって彼は、
六忍の肩書だけを持った先輩ではない。
幼い頃から兄のように接し、
まだ忍者として未熟だったチヨメへ、
技術を教えていた人物だった。
過去には、
手裏剣を上手く投げられないチヨメに付き添い、
本人が形を掴めるまで練習を見ている。
六忍という強者の立場から突き放すのではなく、
年下のチヨメが追いつくまで手を貸す。
だからこそチヨメは、
消息が分からなくなった後も、
サスケを単なる行方不明者として諦めることができなかった。
一方のサスケも、
刃心一族に残された問題を放置しなかった。
失われた契の精霊結晶を追い、
危険を承知で他国の宝物庫へ侵入し、
そこからさらにヒルク教国まで向かっている。
六忍として一族を支える立場にいたからこそ、
失われた秘宝の所在を知った時点で、
引き返す選択をしなかったと考えられる。
その結果、
ヒルク教会側に捕らえられ、
生者として帰ることもできず、
アンデッドへ変えられて再びチヨメの前へ現れる。
だから第10話から第11話のサスケを見る時、
「突然アンデッドの兄弟子が出てきた」と見るだけでは、
彼に起きたことの半分しか見えない。
始まりには、
刃心一族の秘宝を取り戻そうとしたサスケ自身の行動があり、
契の精霊結晶の行方を追った先にヒルク教国があった。
そこへ踏み込んだことで、
サスケ自身が教会の死者利用へ取り込まれてしまった。
そして最後に残した、
「教会に気をつけろ」という警告も、
この足取りを知ると重さが変わってくる。
サスケは噂でヒルク教会を危険視していたのではない。
自分自身がその内部へ入り、
捕らえられ、
命を奪われ、
アンデッドとして利用された当事者。
だから消える直前にチヨメへ残した教会への警告は、
漠然とした忠告ではなく、
自分と同じ場所へ進めば何が待っているかを知った者からの言葉になる。
第3章 サスケのペンダントは何をしていた?
大量のアンデッドを動かす力は、六忍サスケが生前から持っていた能力ではない
第10話でサスケの異常さを決定的にしたのが、
首元に下げていた怪しいペンダント。
黒巨人ジャミアントの赤子を殺して撒き餌にし、
虎人族の集落へ巨人たちを誘導していたことだけでも、
チヨメが知る兄弟子とは大きく変わっている。
さらにサスケはペンダントを使い、
街中に現れた大量のアンデッドまで動かしていく。
ここで分けて考えたいのが、
六忍サスケが生前から持っていた技と、
アンデッド化された後に見せた力。
サスケ本来の戦闘手段は、
双剣、手裏剣、風の精霊術、
そして空中を蹴るように軌道を変える「空歩」。
チヨメが幼い頃から知っている兄弟子の戦い方も、こちらになる。
第10話の屋根上での戦闘でも、
その技量はほとんど失われていない。
チヨメが水の手裏剣を放てば、
サスケは風をまとわせた手裏剣で迎撃。
アリアンが炎の矢を撃ち込み、
さらに上空から炎槍を落として逃げ道を塞いでも、
空歩で足場のない空中から進行方向を変えて攻撃をかわす。
接近すれば、
今度は双剣を抜いて一気に間合いへ入る。
チヨメが最初の斬撃をかわしても、
反対側の刃を続け、
それも短剣で受けられると、
そのまま蹴りへつないで身体を吹き飛ばす。
一つの動きを繰り返すだけの骸骨兵とは違い、
相手の防御へ合わせて次の攻撃を選ぶ判断力まで残されている。
だからこそ、
ペンダントによるアンデッド操作だけが異質に見える。
サスケは六忍として長く活動していたが、
生前に死者を操る術を使っていたわけではない。
チヨメも兄弟子の技として、
アンデッド操作を知っている様子はない。
風忍術を使う時には本人の精霊術が働くのに対し、
大量の死者を動かす場面では、
わざわざ首元のペンダントという外部の道具を利用している。
つまりペンダントは、
サスケ自身の戦闘能力を強化する装備というより、
アンデッドとなった後に与えられた別系統の機能と見る方が自然。
六忍として完成していたサスケの身体へ、
ヒルク教会側が「死者を動かす役割」まで追加したと考えると、
第11話で判明したアンデッド化とのつながりも見えやすくなる。
ペンダントはサスケを蘇らせた物ではなく、「死者を運用する側」がいることを示していた
注意したいのは、
ペンダントをサスケ自身をアンデッド化した道具と、
そのまま同一視しないこと。
第10話で確認できる順序は、
サスケの身体がすでに「死の穢れ」をまとい、
一度命を失った存在になっていることが先。
その状態になったサスケが、
さらにペンダントを使って別のアンデッドたちを動かしている。
つまり、
ペンダントを壊せばサスケが生者へ戻る、
外せばアンデッド化そのものが解除される、
という描写ではない。
サスケ自身を死者へ変えた処置と、
大量のアンデッドへ命令を通す手段は、
少なくとも作中で別の現象として描かれている。
ここが、
第11話のヒルク教会へつながる重要な部分。
タジエントでは、
サスケ一人だけが死者として再利用されていたわけではない。
街中には鎧をまとったアンデッドが大量に現れ、
黒巨人ジャミアントまで兵器のように利用され、
さらに捕らえられた者を使った実験まで行われている。
その中心にいたのが、
ヒルク教会七枢機卿パルルモだった。
後の原作では、
ヒルク教国が大量の不死者軍団を抱え、
鎧の中に骸骨となった死者を入れて兵士として運用していることまで判明する。
死者が偶然一体だけ発生したのではなく、
大量の人骨を兵力へ変え、
命令へ従わせる仕組みそのものが存在している。
サスケがペンダントでアンデッドを動かしていた姿は、
その巨大な仕組みの一端を第10話で先に見せた場面だった。
しかもサスケは、
一般の骸骨兵より利用価値が高い。
自分で考えて戦える。
六忍の忍術を使える。
高速で移動できる。
さらにペンダントによって、
下位のアンデッドまでまとめて動かせる。
ヒルク教会から見れば、
単なる一兵士ではなく、
死者の部隊を連れて行動できる現場指揮官に近い存在へ変えられていたことになる。
だからペンダントで本当に怖いのは、
道具そのものの能力だけではない。
その道具を用意し、
死亡したサスケへ持たせ、
アンデッド軍団まで動かさせた存在が背後にいること。
第10話では名前が見えなかったその相手が、
第11話でヒルク教会へつながったことで、
サスケの首元にあった小さなペンダントまで意味を変えてくる。
第4章 「教国に気をつけろ」は何を伝えようとした言葉だった?
最後まで命令に従うだけなら、サスケはチヨメへ警告を残す必要がなかった
サスケとチヨメの戦いで重要なのは、
アンデッド化されても、
サスケ本人の意識が完全には消えていなかったこと。
第10話ではチヨメが何度「サスケ兄さん」と呼んでも、
以前のような兄弟子としては答えず、
双剣を抜いて本気の敵のように襲いかかってくる。
それだけを見ると、人格そのものを失ったようにも見える。
しかし戦闘が続くにつれ、
チヨメは兄弟子の動きへ違和感を覚える。
サスケは六忍の一人。
幼い頃から共に鍛錬してきたチヨメだからこそ、
本来の実力も知っている。
現在のチヨメが成長しているとしても、
かつてのサスケが本気で殺しに来れば、
もっと厳しい戦いになるはずだった。
それなのに決定的な場面で攻撃が鈍り、
使えるはずの技を出し切らない。
その違和感は、
二人の過去を知るとさらに重くなる。
まだ幼かったチヨメが、
手裏剣を思うように投げられなかった頃、
サスケは年下の妹弟子を置いて先へ行かなかった。
投げ方を教え、
身体の使い方を見せ、
チヨメが形を掴むまで鍛錬へ付き合っている。
両親を失い実の兄弟もいなかったチヨメにとって、
サスケは六忍の先輩以上に、
本当の兄へ近い人物だった。
そのサスケが、
アンデッドとなった後も、
かつてチヨメへ教えた技を使う。
兄弟子として積み重ねた記憶や戦闘技術が、
身体の中から完全に消えているわけではない。
そして最後の決着へ向かうほど、
敵としてチヨメを殺す動きと、
妹を殺し切れないサスケ本人の情が衝突していく。
チヨメは、
兄が戻ってくることを期待して戦ったわけではない。
目の前にいる存在が既に死者であり、
以前のサスケへ戻れないことも理解した上で、
自分自身の手で決着をつける。
他人に倒してもらうのではなく、
妹として慕った兄弟子を、
同じ刃心一族の忍者として送り出すことを選ぶ。
そして消える直前、
サスケ本人の意識がわずかに表へ戻る。
ここで残したのが、
原作では「教国に気をつけろ」という言葉。
記事タイトルでは「教会に気をつけろ」と検索されやすい部分だが、
サスケ本人が最後に示した対象は、
より広い「ヒルク教国」だった。
この一言が、
サスケの死後に始まる調査の出発点になる。
警告の中には、自分をアンデッドにした相手と同じ場所へチヨメを近づけたくない意思が残っている
この言葉が重いのは、
サスケが外からヒルク教国の噂を聞いただけの人物ではないこと。
契の精霊結晶を追い、
実際にヒルク教国へ向かい、
その先で教皇側の手に落ち、
最終的にはアンデッドへ変えられている。
自分の身体で、
あの国の内側に何があるのかを知った当事者だった。
しかもサスケの死後、
チヨメたちは警告を聞き流していない。
刃心一族へ戻ったチヨメは、
ハンゾウへサスケの件を報告し、
兄弟子の葬儀まで行う。
その上で一族は、
「教国に気をつけろ」という最後の言葉が何を指していたのかを調べるため、
サスケが失踪前に通った経路を追うことを決める。
そこで異常な事実が見つかる。
サスケはローデン王国北西部からフェビント湿地を越え、
デルフレント王国方面へ進んでいた。
刃心一族には、
各地へ潜伏する「クサ」と呼ばれる協力者の隠れ家を中継点にして、
遠方まで活動できる独自の連絡網がある。
ところがサスケがヒルク教国方面へ進んだ道を追うと、
その先の中継拠点がことごとく潰されていた。
単に、
サスケ一人が途中で事故に遭った形ではない。
彼が進んだ先で、
刃心一族の情報網そのものが切断されている。
サスケがアンデッドとして戻ったこと。
大量の死霊兵士が現れたこと。
教会内部から異様な存在が姿を見せたこと。
さらにヒルク教国へ続く「道」まで潰されていること。
一つずつだった異変が、
最後の警告を中心にすると同じ方向を向き始める。
後に宝物庫で、
失われた「契の精霊結晶」がヒルク教国への贈答品として送られていた記録まで見つかる。
宝物庫へ侵入したのがサスケだったことも判明し、
彼がその記録を読み、
精霊結晶を追ってヒルク教国へ向かったという経路までつながる。
つまりサスケは、
何も知らずに教国へ迷い込んだわけではなかった。
一族の秘宝を追った。
ヒルク教国へ辿り着いた。
そこで捕らえられた。
命を失った。
アンデッドへ変えられた。
死後まで敵の戦力として利用された。
そして最後に、
自分を追う妹へ「教国に気をつけろ」と残した。
この順番で見ると、
最後の言葉は単なる次回への伏線ではない。
サスケ自身が経験した惨事を、
チヨメへ繰り返させないための警告になる。
敵として動かされている間は、
妹へ事情を説明することもできなかった。
それでも消える直前のわずかな時間に、
危険の中心だけは伝えた。
だからこの一言には、
ヒルク教国への手掛かりと同時に、
アンデッドになっても最後まで消えなかった、
兄としてのサスケの情が残っている。
第5章 ヒルク教会はサスケだけをアンデッドにしていたわけではない
※ここから先は、アニメ第11話以降につながる原作内容を含みます。
ヒルク教会では死者そのものが「補充できる兵力」として扱われている
サスケのアンデッド化を考える上で重要なのは、
彼一人だけが特別な実験対象だったわけではないこと。
第11話のタジエントでは、
街中へ大量のアンデッドが投入され、
黒巨人ジャミアントまで暴れ回り、
捕らえられたエルフ族や獣人族を利用した実験まで行われている。
そこへ七枢機卿パルルモが現れたことで、
サスケに起きた出来事が教会全体の行動とつながってくる。
原作ではさらに、
ヒルク教会がアンデッドを一時的に召喚しているのではなく、
継続して軍隊として保有していることが分かる。
パルルモが教皇のもとへ戻った場面では、
魔晶石の回収へ向かわせていた「死霊騎士」が二体消えたとして、
新しい騎士の補充を求めている。
死亡した兵士を悼むのではなく、
失われた装備や兵器を補うような感覚で扱っている。
そこで教皇タナトスが返す言葉も異様。
新しく一体ずつ探して作れとは言わず、
地下にいる騎士を持っていけばいいと許可する。
つまり大聖堂の地下には、
必要になれば外へ出せるアンデッドが既に確保されており、
七枢機卿へ割り振れる状態になっている。
ヒルク教会にとって死霊騎士は、
偶然生まれた怪物ではなく管理された軍事資源になる。
第1期から見ても、
アークたちは似た存在と既に遭遇している。
風龍山脈を越える途中、
「龍の咢」の地下大空洞へ入った際には、
大量のスケルトンと、
蜘蛛と人を合わせたような四本腕の異形がいた。
普通のアンデッドなら、
その場を彷徨い生者へ襲いかかるだけでも不思議ではない。
しかしあの集団には統率された動きがあり、
明確な役割を持って配置されているように見えた。
後にサスケの件を調べる段階で、
アーク自身もこの記憶を思い返している。
サスケが不死者へ変えられた。
死霊兵士が集団で行動する。
以前にも、
大量のスケルトンとそれを率いる異形を見た。
一つずつなら別々の事件に見えたものが、
ヒルク教国という存在を知ったことで、
同じ仕組みから生まれている可能性を帯び始める。
サスケのペンダントも、
その流れで見ると位置づけが変わる。
一人のアンデッドを強化する珍しい魔道具ではなく、
死霊兵をまとめて動かす仕組みの一部。
実際、
ヒルク教会側では死霊騎士が多数の死霊兵を統率し、
さらにその上に七枢機卿がいる。
死者の軍勢そのものが階層化され、
上位の存在から下位の兵士へ命令を通せる形になっている。
後の原作では、
パルルモ自身が王都を攻める際、
教皇から与えられたアンデッド軍団を使用する。
その数は一体や二体ではなく、
幾百、幾千もの死霊兵。
さらに蜘蛛と人間を融合したような死霊騎士が、
大量の死霊兵を統率する役目を持っている。
第1期でアークたちが地下大空洞で見た異形と、
非常によく似た構造がここで明確になる。
だからサスケだけを見ていると、
「六忍が捕まり、特殊な方法でアンデッドにされた」という一事件に見える。
しかしヒルク教会全体を見ると、
もっと規模が大きい。
死者を作る。
保存する。
上位個体に統率させる。
七枢機卿へ割り当てる。
必要な地域へ投入する。
サスケも、その死者運用の仕組みへ取り込まれた一人だった。
サスケが特別だったのは、アンデッドになる前から完成された戦士だったこと
一般的な死霊兵と、
サスケには大きな差がある。
ヒルク教会が通常使っている兵士は、
人の遺体を利用して数を増やせる。
それに対してサスケは、
生前から六忍として完成した技術を持ち、
アンデッドとなった後も、
その戦闘経験を残していた。
チヨメとの戦いでは、
単純に武器を振り回しているわけではない。
水の手裏剣へ風の手裏剣をぶつけ、
アリアンの魔法射撃を空歩でかわし、
接近戦では左右の双剣を連続させ、
防御された直後に蹴りまでつなぐ。
何十年も鍛えた身体の動きと、
相手の対応を見る判断力が残っている。
つまり同じアンデッドでも、
一般兵を一体増やすのとは価値が違う。
サスケを一体手に入れれば、
六忍になるまで費やされた年月、
刃心一族で習得した忍術、
実戦経験、
暗殺や潜入へ対応できる身体能力まで、
死後の兵力としてまとめて利用できる。
さらにペンダントによって、
周囲のアンデッドまで操る役割を持たされていた。
自分で戦える。
敵の攻撃へ対応できる。
忍術を使える。
その上で下位の死者まで動かせる。
一般の死霊兵を大量に投入する仕組みの中へ、
完成済みの六忍を組み込んだからこそ、
サスケは異常に危険なアンデッドになった。
ヒルク教会がサスケをアンデッドにした背景には、
単なる残虐性だけでは説明できない部分がある。
人を殺して終わりにするのではなく、
死後まで戦力へ変える。
しかも強い者ほど、
生前の能力を残せれば価値が高くなる。
サスケの悲劇は、
ヒルク教会が死そのものを兵力補充へ利用する組織だと示す、
最も分かりやすい実例になっている。
第6章 ヒルク教会のアンデッド軍を動かしているのは誰?
七枢機卿パルルモのさらに上に、死霊軍そのものを作るタナトスがいる
第11話でアークの前に現れるパルルモは、
ヒルク教会七枢機卿の一人。
表向きには高位聖職者であり、
人々の前では信仰を説く立場にいる。
ところがその裏では、
アンデッド軍を所有し、
死霊騎士を配下として使い、
死者を軍事力として動かしている。
しかもパルルモが頂点ではない。
そのさらに上にいるのが、
七枢機卿を束ねるタナトス。
原作では教皇タナトス・シルビウェス・ヒルクとして、
ヒルク教国そのものの実権を握っている。
聖王という王族は存在していても、
実際に国を動かしている中心は、
アルサス中央大聖堂にいる教皇側になる。
パルルモが死霊騎士を失った際も、
補充を求める相手はタナトス。
自分で勝手に新しい死霊騎士を用意するのではなく、
教皇から許可を受け、
地下にいる個体を受け取る。
この場面からも、
アンデッド軍の供給源が、
七枢機卿より上にあることが分かる。
さらに後の原作では、
死霊軍がどのように増やされているのかまで描かれる。
タナトスは、
攻め落とした街の住人の遺体を素材として利用し、
魔石を核にした召喚術で邪霊を憑依させ、
新しい死霊兵を作っていく。
自然に死者がアンデッド化するのを待つのではなく、
遺体へ処置を加え、
一体ずつ人工的に軍勢へ変えている。
しかもこの作業を、
タナトス自身が日常的に行っている。
大量の死体が出れば、
それだけ死霊軍を拡充できる。
街を攻め落とす。
住民が死ぬ。
その遺体から新しい兵士を作る。
次の戦場へ投入する。
戦争そのものが、
ヒルク教会にとって兵力補充の機会にもなっている。
ここまで進むと、
サスケに起きたことも見え方が変わる。
六忍サスケがヒルク教国へ入る。
何らかの形で教皇側の手に落ちる。
生者として戻ることはできず、
アンデッドとなる。
その後はペンダントを持ち、
大量の死者を動かし、
ヒルク教会側の任務へ投入される。
この流れは、
タナトスが死体を軍勢へ変える仕組みと方向が一致している。
ただし、
サスケを具体的に誰がどの方法でアンデッド化したのか、
ペンダントを誰が作り、
誰が首へ掛けたのかまで、
アニメ第11話の段階ですべて細かく説明されたわけではない。
確定しているのは、
サスケのアンデッド化を行った側がヒルク教会であること。
そして原作では、
その教会の頂点にいるタナトス自身が、
死者を人工的に兵力へ変えていることになる。
パルルモ自身も普通の人間ではなく、教会上層部そのものが死者側へつながっている
ヒルク教会の異常さは、
人間の聖職者がアンデッドを利用しているだけでは終わらない。
後の原作でアークたちがパルルモと対峙した時、
チヨメたちは彼から、
サスケと同じ種類の「死の穢れ」を感じ取る。
見た目は普通の人間。
整えた黒髪。
高位聖職者らしい豪華な法衣。
民衆へ声を掛ける時には、
穏やかな笑顔まで浮かべる。
外見だけなら、
サスケのようなアンデッドにはまったく見えない。
ところが腕を切断されると、
流れ出す血からして普通ではない。
さらにアークたちが調べていくことで、
七枢機卿パルルモ自身も、
人間として生きている存在ではないことが見えてくる。
教会上層部が外からアンデッドを操っているだけではなく、
上層部そのものにも死者側の存在が入り込んでいる。
そして頂点のタナトスも、
さらに異様な姿を持つ。
普段は顔を面布で覆い、
教皇の帽子と豪華な法衣を着ているため、
外から素顔を見ることはできない。
しかし後にその正体が露出すると、
面布の下には人間の顔がない。
肉も皮膚もなく、
赤い灯火を眼窩に浮かべた骸骨そのものの姿をしている。
ここでアークとの対比も生まれる。
アークも骸骨姿。
タナトスも骸骨姿。
しかし両者は同じ存在ではない。
アークはこの世界へ来た時からゲームアバターの姿になっており、
死者を素材に軍団を作っているわけではない。
一方のタナトスは、
死霊兵を作り、
七枢機卿へ与え、
街を攻め、
住民の遺体まで次の兵士へ変えている。
第10話でチヨメたちが、
「なぜ骸骨姿のアークからは死の穢れを感じず、
人間のように見えるサスケからは感じるのか」
と疑問を持ったのも、
ここへつながる。
骸骨に見えるかどうかではなく、
その存在がどのように成立しているかが違う。
サスケ。
死霊兵。
死霊騎士。
パルルモ。
そしてタナトス。
階級も姿も違うが、
ヒルク教会の奥へ進むほど、
アンデッドという存在が例外ではなくなっていく。
教会が外から死者を利用しているのではなく、
組織の中枢そのものが、
死者と深く結びついた構造になっている。
だからサスケが最後に残した、
「教国に気をつけろ」という警告は重い。
危険なのは一人の枢機卿ではない。
サスケを捕らえた一部の兵士でもない。
六忍をアンデッドへ変え、
大量の死霊兵を保有し、
死霊騎士を補充品のように配り、
その頂点で教皇自身が新しい死者の軍団を作っている。
サスケが警告した先には、
ヒルク教国という巨大な仕組みそのものが待っている。
第7章 サスケの死から始まった謎は、ヒルク教会そのものへつながる
ペンダント・死の穢れ・最後の警告は、すべて同じ相手を指していた
サスケの一件を最初から追うと、
第10話と第11話で見えた異変は、
別々の小ネタではなかったことが分かる。
チヨメたちの前に現れた双剣使いから漂う死の穢れ。
生前には持っていなかったペンダント。
大量のアンデッドを動かす力。
そして最後に残した「教国に気をつけろ」という警告。
すべての先にヒルク教会がいる。
サスケは、
最初から教会と戦うために動いていたわけではない。
刃心一族の秘宝である契の精霊結晶を追い、
宝物庫へ侵入し、
その結晶がヒルク教国へ贈られていた記録を見つける。
一族のために行動した結果、
自分から教国の奥へ近づくことになり、
その先で消息を絶った。
そして再びチヨメの前へ現れた時には、
以前の兄弟子ではなくなっていた。
身体から死の穢れを放ち、
双剣と風の忍術を使い、
生前の戦闘技術を残しながら、
敵としてチヨメへ襲いかかる。
さらにペンダントを使って、
周囲のアンデッドまで動かす。
ヒルク教会はサスケを殺して終わらせず、
六忍として完成していた能力ごと死後の兵力へ取り込んでいた。
第11話で、
サスケをアンデッドにしたのがヒルク教会だと判明したことで、
ここまでの異変に答えが出る。
死の穢れは、
本当に死者側へ変えられていた証拠。
ペンダントは、
サスケ本来の忍術とは違うアンデッド運用の力。
そして大量の死霊兵は、
サスケ一人ではなく、
教会全体が死者を軍事利用していることを示していた。
さらに原作まで進むと、
この仕組みはもっと大きい。
七枢機卿パルルモは死霊騎士を使い、
失えば教皇へ補充を求める。
その教皇タナトスは、
大聖堂の地下にアンデッドを抱え、
死者の遺体へ処置を加えて、
新しい死霊兵まで作っていく。
ヒルク教会にとって死者は、
弔う対象ではなく、
不足すれば補充できる戦力になっている。
だからサスケだけが、
特別に酷い目へ遭ったわけではない。
むしろサスケは、
ヒルク教会が何をしている組織なのかを、
チヨメたちへ最初にはっきり見せた存在になる。
生前の能力を残したままアンデッドへ変える。
その身体を戦力として使う。
さらに下位の死者まで動かさせる。
六忍だったサスケだからこそ、
教会が強者をどのように利用するのかまで見えてしまった。
「教国に気をつけろ」は、兄として残せた最後の言葉だった
サスケの物語で最後に残るのは、
ヒルク教会の恐ろしさだけではない。
アンデッド化されても、
チヨメへの情まで完全には消えていなかったことも重要になる。
戦闘中のサスケは、
何度呼びかけられても兄弟子として答えない。
双剣を振り、
風忍術を使い、
チヨメを敵として追い詰める。
それでも本来の六忍としての実力を知るチヨメから見ると、
どこかで攻撃を出し切っていない。
殺せる場面で決め切らず、
本人の意識が命令へ抵抗しているような動きが残っている。
それは、
幼いチヨメへ手裏剣を教え、
兄のように面倒を見ていたサスケの姿とつながる。
両親を失ったチヨメにとって、
サスケはただの先輩ではなかった。
六忍として先を歩きながら、
まだ未熟だった妹弟子へ技を教え、
本人が身につけるまで付き合った人物。
だからチヨメも、
敵として現れたサスケを、
ただの怪物として倒すことはできなかった。
最後は、
自分の手で決着をつける。
生前の兄へ戻せない。
このまま教会の兵士として残すこともできない。
だから同じ刃心一族の忍者として、
自分が送り出す。
チヨメがサスケと戦った場面には、
兄弟子へ勝つことより、
死後まで利用されている兄を解放する意味の方が強く残る。
その直後、
サスケ本人の意識がわずかに戻り、
「教国に気をつけろ」と残す。
この一言は、
次の敵を教えるためだけの台詞ではない。
自分が契の精霊結晶を追って教国へ入り、
捕らえられ、
命を失い、
アンデッドへ変えられ、
死後まで利用された。
そのすべてを経験したサスケが、
同じ場所へチヨメを近づけたくないと残した最後の警告になる。
サスケは、
自分が助かるための言葉を残さなかった。
誰が自分を殺したのかを長く説明することもできない。
それでも消える直前に、
妹弟子が次に警戒すべき相手だけは伝えた。
だからサスケ編は、
アンデッドになった兄弟子を倒して終わる話ではない。
契の精霊結晶を追った失踪。
ヒルク教国への足取り。
死の穢れ。
ペンダント。
大量のアンデッド。
ヒルク教会によるアンデッド化。
そして最後の警告。
一つずつ出てきた手掛かりが、
最後にはすべてヒルク教会へ向かう。
サスケの死は、
チヨメにとって兄との別れであると同時に、
アークたちがヒルク教会の奥へ進む入口にもなった。
そして「教国に気をつけろ」という短い言葉だけが、
死者へ変えられても最後まで消えなかった、
サスケ本人の意思として残っている。


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