5年後のルナは、クレンとアリシアに守られていた赤子からハイデンの若き王へ成長し、今度は失踪した二人を自分から捜しに行く側へ変わっている。
クレンとアリシア失踪後の世界では四大魔獣王の均衡まで崩れ、ルナはサラサとソルセインを目指し、透明化を使って幽霊船へ潜入するほど前線へ出る王になった。
そしてクレバテスの核を発見したことで、5年後編は単なる成長後日談ではなく、「自分を守ったクレンとアリシアを今度はルナが取り戻す」物語へ反転している。
第1章 5年後のルナはどうなった?ハイデンの若き王になっていた
赤子だったルナは、クレンとアリシア失踪後にハイデン王へ成長した
5年後のルナは、
もはや誰かに抱かれて運ばれる赤子ではない。
クレンとアリシアが姿を消してから5年が経ち、
ハイデンの若き王として国を背負う立場になり、
自分の意思で二人の行方を追っている。
原作12巻では、
ルナがオーグの女王サラサと共に旅へ出る。
目的地はソルセイン。
かつてクレンとアリシアが通った神学校を目指し、
最初に荒くれ者の国ベントへ入っていく。
重要なのは、
ルナが王座に座って報告を待つだけではないことだ。
国を治める立場になっても、
行方不明になったクレンとアリシアを捜すため、
自分から国境を越えて動いている。
第1期のルナは、
首都ハイドラートがクレバテスに襲われた時、
瀕死の小姓から魔獣王へ託された赤子だった。
王位継承権を持っていても、
泣くことと手を伸ばすことしかできなかった。
そのルナが5年後には、
ハイデンを代表する「王」になっている。
しかもサラサと並んで旅を続けるため、
単なる王位継承者ではなく、
物語の前線へ立つ人物へ変わっている。
5年後のルナは、
クレンとアリシアに守られていた赤子から、
ハイデンの若き王へ成長し、
今度は失踪した二人を自分から捜しに行く側へ変わっている。
クレンとアリシアは死亡確定ではない――5年後も「捜す相手」として残っている
「5年後」と聞くと、
クレンとアリシアが死亡し、
ルナだけが成長した未来にも見える。
だが原作12巻の紹介では、
二人は「姿を消した」とされ、
ルナは行方を捜している。
つまり5年後編の出発点は、
二人の死を受け入れた後日談ではない。
どこかにいる可能性が残るまま、
所在不明になったクレンとアリシアを、
成長したルナが追う物語である。
ここが、
第1期から見て大きな反転になる。
第1幕ではアリシアが蘇生され、
クレンが人属の姿を取り、
二人が赤子ルナを守って旅を始めた。
第12幕では、
月の山へ帰ろうとするクレンを見て、
ルナが大泣きする。
アリシアは戦いながら、
ルナの成長を見届けたいと思ったのではないかと、
クレンへ問い掛ける。
その直後、
ルナは震える足で立ち上がり、
必死に涙をこらえながらクレンへ歩き出す。
クレンはその姿を目にして、
人属への興味を失いかけた状態から、
再びルナの側へ残る選択へ引き戻される。
5年後は、
その構図が完全に逆になる。
今度はクレンとアリシアがいない。
かつて二人へ手を伸ばすしかなかったルナが、
自分の足で二人を追う側に回る。
クレンとアリシア失踪後の5年間は、
ルナにとって「守ってくれる二人を失った時間」である。
それでも王として立ち、
二人を捜し続けていること自体が、
赤子時代から最大の成長になる。
5年後は平和な後日談ではない――ルナは崩れた均衡の中で王になった
ルナが王になった5年後は、
クレンたちの戦いが全部終わり、
平和になった世界ではない。
原作12巻では、
四大魔獣王の均衡が崩れた世界で、
人属の存続そのものが再び危機へ近づいている。
第1期では、
クレバテスが人類殲滅へ傾くこと自体が、
最大の危機だった。
13人の勇者が月の山へ攻め込み、
その結果クレバテスは、
ハイドラートまで攻め落としている。
第2期では、
もう一柱の魔獣王ヴォーデインが前面へ出る。
クレンは人属の姿のまま戦い続け、
最後にはクレバテスとしての力を取り戻し、
ヴォーデインとの死闘へ入る。
そうした四大魔獣王同士の衝突を経た後、
5年後の世界では均衡そのものが崩れている。
つまりルナは、
安定した王国を受け継いだ若き王ではない。
しかも旅の先では、
東の魔獣王ラスウェルによる人属殲滅まで動き始める。
13巻ではルナ自身が、
クレバテスの核へ繋がる情報に触れ、
再び魔獣王級の争いの中心へ近づいていく。
5年後のルナは、
平和になった国で成長した王ではない。
クレンとアリシアを失い、
四大魔獣王の均衡まで崩れた世界で、
ハイデンを背負いながら前線へ出る王になっている。
第2章 赤子だったルナが王になるまで|クレンが守った「人の世界で生きる道」
ルナは最初から王候補だった――クレバテスへ託された時点で王位継承権を持っていた
ルナが5年後に王となったのは、
突然選ばれたからではない。
第1期の時点から、
ルナはハイデン王家の血を引き、
王位継承権を持つ赤子として描かれている。
首都ハイドラートが崩壊する中、
瀕死の小姓がクレバテスへルナを託す。
人属を滅ぼそうとしていた魔獣王へ、
人属の未来を担う赤子が渡されるところから、
物語そのものが始まっている。
クレバテスは、
巨大な本来の姿では人間社会を歩けない。
そこでルナを託した小姓の姿を模し、
人属の少年「クレン」として行動するようになる。
魔獣王が赤子を育てるために人の姿へ降りてきた形である。
一方のアリシアは、
13人の勇者としてクレバテス討伐へ挑み、
一度は死亡する。
だがクレバテスの魔血によって蘇生され、
不死に近い身体となって、
ルナを守る側へ回っていく。
この三人の関係は、
最初から家族として始まったわけではない。
人類を滅ぼしかけた魔獣王、
一度殺された勇者、
王位継承権を持つ赤子が、
必要に迫られて一緒に旅を始める。
5年後のルナ王誕生には、
第1幕から伏線がある。
王家の赤子を、
人類を滅ぼそうとした魔獣王と、
一度死亡した勇者が守り抜くという、
逆説的な旅が王位まで繋がっている。
ハイデンが滅びればルナは王になれない――第6幕でクレンの目的が明確に変わる
第1期第6幕では、
ルナの将来に直結する事実が、
アリシアからクレンへ伝えられる。
ハイデンは王と首都機能を失い、
隣国ボーレートから侵攻を受けていた。
ここでアリシアは、
ハイデンがボーレートに支配されれば、
ハイデン人であるルナは王になれないと説明する。
赤子を生かすだけでは、
「人の世界で生きる」ことにはならない。
この言葉によって、
クレンが守る対象も変わる。
ルナ本人を抱えて敵から逃がすだけなら、
月の山へ連れ帰ることもできる。
だがそれでは人属の王としての未来を失う。
だからクレンは、
ハイデンそのものを残す必要に迫られる。
自分が一度壊した国を、
今度はルナの将来のために守るという、
大きな逆転がここで起きる。
第7幕では、
ボーレートの上位魔道士ナイエが、
ルナへ魔術適性があるかを調べようとする。
これは単なる赤子の能力確認ではなく、
王家の血筋かどうかを見抜くための試験でもあった。
つまりルナは、
物語途中から急に王候補になったのではない。
ボーレート側もその血筋を警戒し、
ハイデン側も王統の存続へ関わる存在として扱っている。
クレンが守ったのは、
ルナの生命だけではない。
ハイデンという国そのものを残し、
ルナが将来「人の王」として立てる場所まで、
戦いながら守ろうとしていた。
第11幕で「王になる者」の宿命まで突き付けられる――ルナは王家の儀式からも逃れられない
ルナの王位が、
単なる血筋だけでは済まないことを示すのが、
第1期第11幕である。
クレンはハイデン王と対峙し、
ルナが王家の炉へ入れられようとする場面へ立ち会う。
王は、
自分の孫であるルナを、
まるで物のように炉へ入れようとする。
クレンはその行為を見て、
人属の世界では孫をゴミのように殺すことが、
普通なのかと問い掛ける。
そこで語られるのが、
ハイデンで王になる者に課されてきた、
古来からの習わしである。
ルナは王家に生まれたからこそ、
生存そのものまで王統の仕組みに組み込まれている。
その頃トアラは、
アリシアから我が子ルナが生きていると知らされる。
危険を承知で王家の炉へ向かい、
母親としてルナを取り戻すため、
戦場の只中へ飛び込んでいく。
ここでルナは、
クレンに守られる赤子であると同時に、
トアラの息子であり、
ハイデン王家を継ぐ存在だと、
複数の立場が一気に重なる。
5年後にルナが王となった背景には、
ただ王家の血があっただけではない。
王家の炉という古い制度、
トアラの救出、
クレンの介入を越えて、
生き残った王位継承者だったという積み重ねがある。
第12幕でルナは初めて自分の足でクレンを引き止める――成長の起点になる場面
第1期最終話の第12幕では、
5年後のルナへ繋がる象徴的な場面がある。
クレンは人属そのものへの興味を失い、
ルナを残して、
月の山へ帰ろうとする。
それを見たルナは、
声を上げて大泣きする。
アリシアはドレルと戦いながら、
クレンがルナの目を見て、
成長を見届けたいと思ったのではないかと問い掛ける。
するとルナは、
まだ安定して歩けない身体で、
二本の足を震わせながら立つ。
涙をこらえ、
クレンの方へ一歩ずつ歩き始める。
ここで初めて、
ルナは誰かに運ばれるだけではなく、
自分からクレンへ近づく。
小さな一歩だが、
クレンの選択を変えるほどの力を持つ。
この場面を5年後から振り返ると、
非常に綺麗な対比になる。
第12幕では数歩歩くだけだったルナが、
5年後にはハイデンを離れ、
国を越えて二人を捜す旅へ出る。
ルナの成長は、
第12幕の「クレンへ向かって歩く」場面から始まっている。
5年後の旅は、
その小さな一歩が、
自分で世界を進む王の行動へ拡大した姿でもある。
第2期ではクレンがルナ専属の魔術教師になる――二人の関係は「保護」から「教育」へ進んだ
第2期第1幕では、
長い戦いの末に、
王太后トアラとルナが再会する。
クレンたちはルナを保護した功績を認められ、
トアラから褒美を受ける。
そこでクレンが望んだのが、
ルナ専属の魔術教師になることだった。
ただ生かしておくのではなく、
ルナが成長した後、
自分の力で生きられるよう教える側へ進もうとする。
ただしルナへの教育開始は3歳から。
それまで約2年間、
クレンはアリシアと共に、
ボーレートの神学校ソルセインへ通うことになる。
この設定が、
5年後編で強く響いてくる。
ルナが二人を捜して向かう場所も、
クレンとアリシアが過ごしたソルセインだからである。
クレンにとってソルセインは、
ルナへ魔術を教えるために学んだ場所。
ルナにとって5年後のソルセインは、
失踪したクレンとアリシアの痕跡を追う場所へ変わる。
第1期ではクレンがルナを抱いて運び、
第2期では将来の教師になるため学び、
5年後にはルナ自身が二人の足跡を追う。
三つの時期を並べると、
守る側と守られる側が完全に反転している。
第3章 クレンとアリシアはいつ消えた?第2期最終回から5年間の空白
ヴォーデイン戦では終わらない――本当に危険だったのは勝利した直後だった
第2期第13幕「真の勇者」で、
アリシアは第二の試練を突破し、
顔に第二の紋章を浮かべる。
その力で裏のミレアを追い詰め、
表と裏に分かれていた二人の王女を元の一人へ戻す。
そこで残る最大の敵が、
魔獣王ヴォーデインである。
アリシアたちが元の世界へ戻ると、
遠く沖にはトアの都が浮かび、
その戦場でクレンとの再会へ辿り着く。
ところが、
再会したクレンは無事ではない。
少年の身体はヴォーデインに踏みにじられ、
炎で焼かれ、
地面へ倒れたまま動かない。
アリシアはその光景を見て、
第二の紋章を得た直後の状態でヴォーデインへ斬りかかる。
しかし魔獣王同士の力量差は大きく、
攻撃を押し返され、
逆に吹き飛ばされる。
そこで焼かれていたクレンが、
人属の少年ではなく、
魔獣王クレバテス本来の姿へ戻る。
巨大な尾を伸ばし、
ヴォーデインの身体を一気に貫く。
この時点ではクレンは死亡していない。
炎で焼かれた少年姿から本来の魔獣王へ戻り、
自分でヴォーデインへ致命的な反撃を行っている。
本当の異変は、この勝利の後に起きる。
クレバテスの心臓を奪われた瞬間、アリシアまで同時に倒れる
ヴォーデインとの死闘が終われば、
クレンとアリシアはようやく生還したように見える。
長かったソルセインの夜も明け、
第二の試練、
ミレア、ヴォーデインまで一気に決着する。
だが物語は、
そのまま日常へ戻らない。
戦闘が終わった直後、
ザザックがクレバテスへ接近し、
生命の中枢ともいえる心臓を奪う。
ここが、
炎で焼かれた場面とは決定的に違う。
少年姿を焼かれた時は、
クレン自身が本来の姿へ戻り、
すぐにヴォーデインを倒す力を残していた。
心臓を奪われた後は、
同じような即時復帰が描かれない。
しかも異変はクレンだけで終わらず、
離れた場所にいたアリシアまで、
同時に身体の力を失うように倒れる。
第1期第1幕で、
アリシアは13人の勇者の一人として月の山へ向かい、
クレバテスに敗れて一度死亡した。
その彼女を再び動かしたのが、
クレバテス自身の魔血である。
第3幕では、
吊橋から落下して大量の血を失い、
普通なら助からない状態になっても死亡しない。
ただし無傷ではなく、
血を失えば身体は動かなくなる。
彼女の生命はクレバテスの魔血と深く結び付いている。
だから、
クレバテスの心臓強奪と同時に
アリシアまで倒れたことには重みがある。
単なる仲間の負傷ではなく、
二人の生命関係そのものへ異変が届いた場面になる。
クレンとアリシアの失踪は、
「二人で旅へ出た」ような穏やかな別離ではない。
ヴォーデインを倒した直後、
クレバテスの心臓が奪われ、
魔血で生きるアリシアまで倒れたところから始まっている。
5年後も戻らない――公式でも二人は「死亡」ではなく「姿を消した」存在
その後、
物語は一気に5年後へ進む。
原作12巻では、
「クレンとアリシアが姿を消した日から5年」とされ、
二人の死が確定した形では扱われていない。
成長したルナは、
ハイデンの若き王になっている。
それでも二人を過去の人物として弔うのではなく、
オーグの女王サラサと共に、
現在も行方を捜して旅へ出る。
この5年間という長さが重要である。
クレンは第1期第12幕で、
月の山へ帰ろうとした時でさえ、
歩き始めたルナを見て残る側へ戻っている。
第2期第1幕では、
さらに自分からルナ専属の魔術教師になることまで望んでいる。
人属へ興味を失っていた魔獣王が、
ルナの成長を見届ける立場を、
自分で選ぶところまで変わっていた。
そのクレンが、
何の説明もなく5年間戻らない。
アリシアも同時に姿を消している。
だから単なる旅立ちや気まぐれではなく、
最終回で起きた心臓強奪の異常が長期間続いていると見る方が自然になる。
5年後編で確定しているのは、
クレンとアリシアが「死亡した」ことではない。
二人とも5年間戻らず、
成長したルナが今も捜している。
この生死不明の空白そのものが最終章の大きな謎になる。
第4章 5年間で世界はどう変わった?四大魔獣王の均衡が崩れた
クレンが消えたことで、魔獣王同士の均衡まで揺らぎ始める
5年後の世界で変わったのは、
ルナの年齢と立場だけではない。
原作12巻では、
四大魔獣王の均衡が崩れた世界で、
人属の生存を懸けた新たな戦いが始まる。
第1期の時点では、
クレバテスは西の魔獣王として、
人属にとって絶対的な脅威だった。
13人の勇者が挑んでも倒せず、
怒ればハイドラートそのものを滅ぼすほどの力を持っている。
第2期では、
そのクレバテスと、
別の魔獣王ヴォーデインが直接衝突する。
ソルセインを巡る戦いは、
人属同士の戦争だけではなく、
魔獣王同士の均衡まで動かす事件へ拡大する。
最終的に、
ヴォーデインはクレバテスの尾で貫かれる。
そして勝った側のクレバテスも、
直後に心臓を奪われ、
5年後まで表舞台から姿を消す。
つまり、
一つの戦いで魔獣王級の存在が二柱とも、
以前と同じ状態ではいられなくなった。
人属から見れば、
巨大な抑止力と脅威の配置そのものが崩れたことになる。
5年後の世界が不安定なのは、
クレンがいないから寂しいという話ではない。
クレバテスとヴォーデインの激突を境に、
四大魔獣王が互いを牽制していた均衡そのものが崩れている。
ルナは王になったが、国へ閉じこもれる状況ではない
その不安定な世界で、
ルナはハイデンの若き王になっている。
第1期では王家の炉へ入れられかけ、
母トアラとクレンに救われた赤子が、
今度は国を背負う立場へ進んだ。
だが、
王になったから安全な城で暮らしているわけではない。
クレンとアリシアの行方を追うため、
自らハイデンを離れ、
サラサと共にソルセインを目指す。
最初に訪れるのは、
絶対の「掟」が支配するベントである。
荒くれ者たちの国を通り、
複数の国と勢力を横断しながら、
二人の痕跡へ近づいていく。
ここには、
第1期との明確な反転がある。
以前のルナは国境を越えるたび、
クレンやアリシアに抱かれ、
危険から隠される側だった。
5年後は、
王でありながら旅へ出る。
自分を守った二人がいない世界で、
自分自身が選択し、
人と交渉し、
危険地帯へ入る立場へ変わっている。
ルナの即位は、
物語が安定した証拠ではない。
むしろ守護者だったクレンとアリシアを失った世界で、
幼い王自身が外へ出なければならないほど、
問題が残された状態でもある。
オーグではサラサも女王へ――二人の少女が国家を背負う側に変わった
ルナと旅をするサラサも、
5年前と同じ立場ではない。
彼女はオーグの女王となり、
ルナと並んで国家を背負う人物へ成長している。
第2期までのサラサは、
大人や周囲の事情へ巻き込まれながら、
自分の立場を模索する側だった。
だが5年後には、
ルナと同じく王として、
国の外へ出て行動する。
二人が一緒にいることは、
単なる仲の良い少女同士の旅ではない。
ハイデン王とオーグ女王という、
二つの国の最高位にいる者が、
同じ目的で移動していることになる。
しかも目指す先は、
クレンとアリシアが深く関わったソルセイン。
第2期で戦争、三国協議、
秘密の部屋、ヴォーデイン戦まで集中した場所へ、
次世代の二人が戻っていく。
5年前は、
クレン、アリシア、ロッド、
ミレア、各国使節が動かしていた舞台だった。
5年後には、
その後を受けたルナとサラサが、
同じ世界の核心へ近づいていく。
クレンとアリシア失踪後の世界では、
守られていた子供たちが成長し、
ルナはハイデン王、
サラサはオーグ女王として、
前世代が残した問題を引き受ける側へ移っている。
東の魔獣王ラスウェルまで動き、人属全体が再び殲滅の危機へ近づく
5年後編が、
単なるクレン捜索の後日談で終わらないことは、
東の魔獣王ラスウェルの動きからも分かる。
原作13巻では、
ラスウェルが人属を滅ぼす方向へ大きく踏み込む。
人属側には、
「群青の津波」と呼ばれる脅威が迫る。
各国はそれぞれ対抗を迫られ、
ルナ自身も、
ラスウェルとの対話を望みながら、
戦う覚悟まで固めていく。
ここで思い出されるのが、
第1期冒頭のクレバテスである。
13人の勇者に襲撃された魔獣王は、
人属そのものを見限い、
一度は殲滅へ動いた。
そのクレバテスを止めたのが、
赤子だったルナの存在だった。
今度は成長したルナが、
別の魔獣王による人属殲滅を前に、
自分で言葉と戦いの両方を選ぶ側になる。
クレンが姿を消したことで、
かつて人属を観察していた魔獣王の視点も失われている。
だからルナ自身が、
人属と魔獣の間で何を選ぶのかが、
以前より直接的に問われる。
5年後のルナが背負うのは、
クレンとアリシアの捜索だけではない。
四大魔獣王の均衡が崩れ、
ラスウェルが人属殲滅へ動く世界で、
人属の王として生存そのものを選び取る役目まで背負っている。
5年間の空白は「二人がいない時間」ではなく、次世代が前へ出るための時間だった
クレンとアリシアが消えた日から、
世界は5年間止まっていたわけではない。
その間にルナは成長し、
ハイデンの王となり、
サラサもオーグの女王になる。
一方で、
四大魔獣王の均衡は崩れ、
人属を取り巻く危険はむしろ大きくなる。
クレバテスが消えたことで、
全てが安全になったわけではない。
第1期では、
クレンとアリシアがルナを守る。
第2期では、
二人がソルセインへ入り、
魔術、王家、勇者伝承、
ヴォーデインの過去へ踏み込んでいく。
その二人がいなくなった後、
5年後の物語では、
ルナとサラサが自分たちで国を越え、
ソルセインを目指し、
魔獣王の問題まで直接引き受けていく。
5年間で最も大きく変わったのは、
世界からクレンとアリシアが消えたことだけではない。
二人が守っていた子供たちが王となり、
今度は自分たちで世界の危機へ向かう世代交代が起きている。
第5章 ルナはなぜサラサと旅をする?二人とも「守られる王女」から王になった
5年後の旅は私情だけではない――ハイデン王とオーグ女王が同じ目的で動く
クレンとアリシアが姿を消してから5年、
ルナはハイデンの若き王となり、
サラサもオーグの女王として国を背負っている。
その二人が城へ残るのではなく、
自分たちでソルセインを目指して旅へ出る。
目的は明確で、
5年間戻らないクレンとアリシアの行方を追うこと。
だが二人が王である以上、
これは家族同然の相手を捜す私的な旅だけではなく、
二つの国の未来にも関わる行動になる。
第1期のルナは、
ハイドラート崩壊の中でクレバテスへ託された赤子だった。
第2期までのサラサも、
大人たちの政治や勇者伝承に巻き込まれる側だった。
それが5年後には両者とも国家を代表する立場へ進んでいる。
しかも世界では、
クレバテスとヴォーデインの死闘後に、
四大魔獣王の均衡そのものが崩れている。
クレンを捜すことは、
一人の失踪者を見つける以上に、
失われた魔獣王の動向を確かめる意味まで持つ。
ルナとサラサの旅は、
幼い頃に自分たちを守った大人を捜す旅でありながら、
同時に二人の若い王が、
崩れた世界の均衡へ自分から踏み込む旅にもなっている。
最初に入るのはベント――安全な王道ではなく「掟」が支配する荒くれ者の国
二人がソルセインへ向かう途中、
最初に訪れるのがベントである。
ここは絶対の「掟」が支配する荒くれ者たちの国であり、
王である二人を歓迎して守ってくれるような、
安全な通過地点ではない。
第1期のルナなら、
危険な土地へ入る前に、
クレンやアリシアが抱き上げ、
敵から遠ざける側だった。
5年後はその保護者がいないまま、
自分自身で危険な国へ入っていく。
ここで重要なのは、
ルナが王になったことで、
行動範囲が狭くなっていないことだ。
むしろ王としての責任を背負ったまま、
自分の目で情報を確かめ、
二人の足跡を追う側へ変わっている。
サラサも同じで、
オーグ女王という立場を持ちながら同行する。
二人とも護衛されるだけの王女ではなく、
判断する側、
危険へ踏み込む側へ移っている。
旅の方向がソルセインなのも重い。
第2期でクレンとアリシアが学び、
ミレア、勇者伝承、ヴォーデインの過去へ近づいた土地を、
今度は成長したルナが逆に辿っている。
ベントからソルセインへ向かう道は、
単なる移動経路ではない。
かつてクレンとアリシアが危険を越えてルナの未来を守った道を、
5年後はルナ自身が二人を取り戻すために進んでいる。
サラサと組むことで、ルナは「一人の王」ではなく次世代の連携へ進む
ルナが一人で旅をせず、
サラサと行動している点も重要になる。
二人とも若い王であり、
それぞれ別の国を背負いながら、
同じ失踪事件と世界危機へ向き合っている。
第2期までの世界では、
国家間の思惑が衝突し、
王族、神学校、勇者伝承、
各国の使節が複雑に絡み合っていた。
その延長線上で5年後の二人は、
国境を越えて協力する側へ回る。
この関係は、
クレンとアリシアの旅にも重なる。
あの二人も最初から信頼し合っていたわけではなく、
魔獣王と元勇者という正反対の立場から、
ルナを守る一点で行動を共にした。
5年後のルナとサラサも、
ただ仲が良いから一緒にいるのではない。
二人とも王として、
自分の国へ戻れば責任がある。
それでも外へ出るだけの危機が目の前にある。
だから二人の同行は、
次世代が前世代の足跡を追うだけでなく、
国家同士が新しい関係を作る場面にもなる。
クレンが消えた世界で、
人属側がどう連携するかという問題にも繋がる。
5年後のルナは、
誰か一人に守られる存在ではない。
サラサと対等に並び、
王同士で判断し、
国境を越えて動くところまで成長している。
第6章 5年後のルナは何ができる?透明化で幽霊船へ潜入するまで成長
王になっただけではない――ルナは自分で危険区域へ入れる行動力を持つ
5年後のルナを見て、
最も変化を感じるのは肩書だけではない。
原作13巻では、
サラサと共に透明化の能力を使い、
空を飛ぶ幽霊船へ自ら潜入している。
第1期のルナは、
自分で戦闘へ参加できる存在ではなかった。
敵が迫ればクレンかアリシアが守り、
危険な場所では抱きかかえられ、
生存そのものを大人へ委ねていた。
第12幕でようやく、
去ろうとするクレンへ向かって、
震える足で数歩歩く。
その小さな一歩が、
5年後には空飛ぶ船へ潜入する行動力まで伸びている。
しかも幽霊船は、
観光目的で乗り込む場所ではない。
クレンとアリシアの行方へ繋がる情報を求め、
何が待つか分からない場所へ、
自分たちから近づいていく。
5年後のルナは、
「王になった赤子」ではなく、
自分で危険へ入り、
必要な情報を取りに行ける人物へ成長した。
第1期の受動的な立場とは完全に逆になっている。
透明化を使って幽霊船へ――正面突破ではなく潜入を選べるようになった
13巻でルナとサラサが使うのが、
透明化の能力である。
二人は姿を隠しながら、
空中を移動する幽霊船へ入り込み、
内部の情報を探っていく。
ここで見えるのは、
単純な戦闘力だけではない。
クレンのように圧倒的な力で敵を粉砕するのではなく、
見つからずに侵入し、
状況を確認してから動くという、
別の戦い方を選んでいる。
第1期から第2期にかけて、
ルナはクレンとアリシアの戦いを間近で見てきた。
クレンは力で押し切れる存在でも、
人属社会では正体を隠し、
クレンという少年の姿で動いていた。
アリシアも、
正面から剣を振るうだけではなく、
ルナを守るために敵の意図を読み、
逃走、交渉、潜入に近い判断を重ねている。
5年後のルナは、
そうした生存判断を自分で使う側にいる。
透明化は、
派手な必殺技としてだけではなく、
王が自分で情報を掴むための能力として機能する。
クレンを捜す旅で、
ルナ自身が探索役まで担っていることが分かる。
赤子時代のルナは、
危険から隠される側だった。
5年後は自分の意思で姿を消し、
敵地へ入り込む側になる。
透明化そのものが、立場の反転を象徴している。
幽霊船でザザックと対峙――探していたクレンが「核」として捕らわれていると知る
幽霊船へ潜入したルナとサラサは、
そこでザザックと対峙する。
さらに二人が知るのが、
クレバテスの核が、
その船に捕らわれているという事実である。
ここで、
5年間の捜索が大きく進む。
それまでルナにとってクレンは、
生死さえ確定しない失踪者だった。
だが幽霊船の内部で、
クレバテスへ直接繋がる存在が見つかる。
第2期最終盤では、
ヴォーデインを倒した直後、
ザザックがクレバテスへ近づき、
生命の中枢である心臓を奪う。
同時にアリシアまで倒れ、
そこから二人は長い空白へ入った。
5年後にルナが見つける「核」は、
この最終幕の異変を、
現在へ再接続する手掛かりになる。
失踪が偶然ではなく、
クレバテスの生命そのものを巡る事件だったと、
再び前面へ出てくる。
しかも見つけたのは、
大人たちから報告を受けたルナではない。
自分で旅をし、
自分で透明化して船へ入り、
自分の目で情報へ辿り着いたルナである。
5年後のルナは、
クレンを「待つ」段階から、
クレバテスの核へ自力で辿り着く段階まで進んだ。
ここで物語は、
失踪者捜索からクレン奪還へ性質を変え始める。
クレバテスを見つけた直後にラスウェル襲来――ルナは人属全体の危機へ放り込まれる
クレバテスの核へ辿り着けば、
あとは救出だけに集中できるようにも見える。
だが13巻では、
その直後にさらに大きな危機が発生する。
東の魔獣王ラスウェルが動き出す。
ラスウェルは、
人属を殲滅する方向へ踏み込み、
エドセア大陸を覆い尽くす規模の
「群青の津波」を発生させる。
危機は一隻の幽霊船から大陸全体へ広がる。
これは、
第1期冒頭のクレバテスと重なる。
13人の勇者に襲撃されたクレバテスは、
人属そのものに失望し、
ハイドラートを滅ぼして人類殲滅へ傾いた。
当時、
その流れを止めるきっかけになったのが、
赤子のルナだった。
人属を理解する価値があるのかを、
クレバテスに考えさせた存在でもある。
5年後は逆に、
成長したルナ自身が、
別の魔獣王による人属殲滅へ向き合う。
守られる赤子だった人物が、
人属側の王として魔獣王の判断と対峙する構図になる。
クレンを見つけた直後、
ルナは個人的な奪還だけに集中できない。
ラスウェルの「群青の津波」によって、
ハイデン王として人属全体を守る判断まで同時に迫られる。
5年後のルナは「クレンの代わり」ではない――クレンとは別の方法で前へ進む
ルナが成長したからといって、
クレンと同じ魔獣王級の力を持ったわけではない。
巨大な尾で敵を貫き、
国一つを滅ぼせるクレバテスとは、
戦い方も役割もまったく違う。
だから5年後編では、
ルナがクレンの後継者として、
力で全てを解決する物語にはならない。
サラサと協力し、
透明化で潜入し、
情報を集めながら前へ進む。
第1期では、
クレンが人属を理解するためルナを観察した。
第2期では、
ルナの将来の教師になるため、
自分からソルセインで魔術を学ぼうとする。
その教えを受けるはずだったルナが、
5年後にはクレンの不在を埋める側へ立つ。
ただし同じ力を真似するのではなく、
人属の王として別の方法を選んでいる。
だから彼女の成長は、
「強くなった」の一語だけでは足りない。
王として判断し、
仲間と組み、
潜入し、
失踪者の痕跡を追い、
魔獣王の危機まで受け止める成長である。
5年後のルナは、
クレンの力を受け継いだ存在ではない。
クレンとアリシアに守られた経験を抱えたまま、
自分の立場、自分の能力、自分の判断で、
二人を取り戻す側へ進んでいる。
第7章 5年後のルナが二人を捜すことが、物語の最初と最後をつなぐ
第1幕では守られる赤子だったルナが、最終章では自分から二人を捜しに行く
『クレバテス』の始まりを振り返ると、
ルナは自分で何かを選べる人物ではなかった。
ハイドラート崩壊の最中に生まれたばかりの赤子で、
瀕死の小姓からクレバテスへ託され、
生きるか死ぬかまで他人の判断へ委ねられていた。
クレバテスは、
13人の勇者に挑まれた怒りから、
人属そのものを滅ぼそうとしていた。
その魔獣王の手へ、
人属の未来を背負う王家の赤子が渡されるところから、
物語の方向そのものが変わり始める。
アリシアも、
第1幕ではクレバテス討伐へ向かった勇者であり、
一度は彼の力で死亡する。
しかし魔血によって蘇生され、
今度はルナを守る側へ入り、
魔獣王と元勇者が同じ赤子を守る旅が始まる。
この時のルナは、
クレンの腕に抱かれ、
アリシアに庇われ、
山賊や魔術師から隠される側だった。
それが5年後にはハイデン王となり、
クレンとアリシアの行方を追って国境を越える。
物語の最初では、
クレンとアリシアがルナを生かすために進んだ。
最終章では、
そのルナが二人を取り戻すために進む。
守る側と守られる側が完全に反転している。
第12幕の「最初の一歩」が、5年後には国境を越える旅へ変わった
第1期第12幕では、
クレンが人属への興味を失い、
ルナを置いて月の山へ帰ろうとする。
その背中を見たルナは大泣きし、
アリシアは戦いながらクレンへ問い掛ける。
本当にルナの成長を、
見届けたいと思わなかったのか。
その言葉の直後、
ルナは震えながら二本の足で立ち、
涙をこらえながら、
自分を置いていこうとするクレンへ向かって歩き始める。
ほんの数歩でしかない。
それでも、
それまで誰かに運ばれるしかなかった赤子が、
初めて自分の意思で相手へ近づいた瞬間だった。
クレンもその姿を見て、
完全に人属から離れることをやめる。
ルナの成長そのものが、
魔獣王の判断を変えた場面であり、
二人の関係が「保護対象」だけではなくなる。
5年後のルナは、
その最初の一歩を遥かに越えている。
ハイデンを出て、
サラサと共にベントを通り、
ソルセインを目指して二人の痕跡を追う。
第12幕では、
ルナがクレンへ向かって数歩歩いた。
5年後は、
そのルナが国を越え、
失踪したクレンとアリシアへ向かって歩き続ける。
成長の線が最終章まで一本で繋がっている。
第2期ではクレンが「教える側」になるはずだった――その約束が失踪で断ち切られた
第2期第1幕では、
長い戦いの末に、
王太后トアラとルナが再会する。
クレンたちはルナを守った功績を認められ、
褒美を受ける立場になる。
そこでクレンが望んだのが、
ルナ専属の魔術教師になることだった。
ただ命を守るだけではなく、
将来のルナへ知識と力を教える側へ進もうとする。
関係は「保護」から「教育」へ変わっていた。
ただし教育開始は3歳から。
それまでの約2年間、
クレンはアリシアと共に、
神学校ソルセインで魔術を学ぶことになる。
この流れを知っていると、
5年後にルナがソルセインを目指すことは重い。
クレンが自分を教えるために学んだ場所を、
今度はルナがクレンを捜すために訪れるからである。
しかも、
その教師になる約束は果たされないまま、
クレンとアリシアは姿を消す。
ルナにとってソルセインは、
二人の不在を埋める手掛かりでもある。
クレンは、
ルナが成長した時に教える側へ立つはずだった。
だが失踪によってその未来は途切れ、
5年後のルナは、
自分を教えるはずだった相手の痕跡を追う側へ変わった。
幽霊船でクレバテスの核へ辿り着き、5年間の捜索が「奪還」へ変わる
原作13巻で、
ルナの旅は大きく進む。
サラサと共に透明化を使い、
空飛ぶ幽霊船へ潜入し、
ザザックと対峙するところまで辿り着く。
そこで明かされるのが、
クレバテスの核が、
幽霊船に捕らわれているという事実である。
5年間、
所在すら分からなかったクレンへ、
初めて具体的な手掛かりが繋がる。
第2期最終盤では、
ヴォーデインを倒した直後、
クレバテスの心臓が奪われ、
同時にアリシアまで倒れる。
この異変が、
5年後の失踪へ直結していた可能性が強くなる。
ルナは、
誰かから「クレンはここにいる」と教えられて待っていたわけではない。
ハイデンを出て、
サラサと旅を続け、
危険な幽霊船へ自分で侵入した末に、
クレバテスの核へ到達する。
この瞬間から、
二人を捜す旅は性質を変える。
ただ生死を確かめる段階ではなく、
クレンを取り戻せる場所と対象が見え、
「捜索」が「奪還」へ近づいていく。
5年間の空白を越えて、
ルナはついにクレバテスの核へ辿り着く。
第1幕で自分を生かした魔獣王を、
今度は成長したルナが救い出す側へ回るのである。
アリシアも「過去の人」ではない――13巻で眠る存在として再び中心へ戻る
クレンだけでなく、
アリシアも5年後編で物語から消えてはいない。
原作13巻では、
眠るアリシアの前にナイエが立つことが、
明確に示されている。
つまりアリシアは、
5年間行方不明だったまま、
死亡確定した人物として処理されていない。
眠った状態で存在し、
ナイエとの接触によって、
再び現在の物語へ引き戻される。
第1期のアリシアは、
クレバテスに殺され、
魔血で蘇生した「屍の勇者」だった。
その後も大量出血で身体が動かなくなりながら、
魔血によって生命を繋いできた。
だから第2期最終盤で、
クレバテスの心臓強奪と同時に倒れたことは、
単なる気絶では片付けにくい。
彼女の生命そのものが、
クレバテスの状態と深く結び付いている可能性を残している。
5年後編では、
ルナがクレバテスの核を追い、
別の場所では眠るアリシアが再び動き始める。
失踪した二人の物語が、
別々の地点から同時に戻ってくる構図になる。
5年後の物語は、
クレンだけを取り戻す話ではない。
クレバテスの核と眠るアリシア、
二つの線が再び動き出し、
ルナが失った二人の帰還へ近づいていく。
ルナはクレンの代用品にならない――人属の王として別の答えを出す
ルナが成長したからといって、
クレバテスと同じ力を持つわけではない。
国一つを滅ぼし、
ヴォーデインと正面衝突できる魔獣王の力を、
そのまま継承した存在ではない。
だから最終章のルナは、
クレンの代わりとして世界を支配するのではなく、
人属の王として別の方法で前へ進む。
サラサと協力し、
透明化で潜入し、
相手と話す余地を探しながら戦いを選ぶ。
ラスウェルが人属殲滅へ傾いた時も、
ルナはただ討伐だけを選ぶ存在ではない。
人属と魔獣の対立そのものへ向き合い、
対話を望みながら、
必要なら戦う覚悟も持つ王へ成長している。
これは、
赤子ルナを見て人属を観察し始めたクレバテスの問いを、
今度はルナ自身が引き受ける形でもある。
人と魔獣は共存できるのか。
人属は生き残る価値があるのか。
5年後のルナは、
クレンの力を継ぐ人物ではない。
クレンがルナを通して見ようとした「人属の価値」を、
今度は人属の王として自分の行動で示す側へ進んでいる。
5年後のルナを見ると、『クレバテス』が誰の成長物語だったのかまで変わって見える
第1幕だけを見れば、
物語の中心はアリシアとクレバテスに見える。
一人は勇者として敗れ、
一人は人類を滅ぼそうとした魔獣王。
その二人を結び付けたのが赤子ルナだった。
しかし最終章まで進むと、
ルナは単なる「物語を動かした赤子」ではなくなる。
王となり、
国を離れ、
クレンとアリシアを捜し、
幽霊船へ入り、
クレバテスの核へ辿り着く。
第1期では、
ルナが生きるために二人が戦った。
第2期では、
クレンがルナの教師になるためソルセインへ学びに行った。
5年後は、
二人が戻るためにルナ自身が動いている。
だから5年後編は、
時間を飛ばした後日談ではない。
第1幕から積み重ねてきた
「赤子を守る物語」を反転させ、
「赤子だった王が守った二人を取り戻す物語」へ変える最終段階になる。
5年後のルナは、
ハイデン王になっただけではない。
クレンとアリシアに守られた記憶を背負い、
今度は自分が二人を取り戻す側へ立つ。
その反転こそ、5年後編で最も大きく変わった部分である。


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