PR

【無職転生Ⅲ】ロキシーの魔石病は治せなかった?なぜ神級解毒魔術を借りなかった?クリフの祖父でも無理だった事情

記事内に広告が含まれています。

ロキシーの魔石病は、治療法そのものが存在しなかった病気ではない。
神級解毒魔術なら治せたが、その詠唱はミリス大聖堂奥の厳重な秘匿領域にあり、老デウスたちは写本すらできず強奪へ進み、帰還経路まで失って間に合わなかった。
「クリフの祖父は教皇なのに、なぜ借りなかった?」という疑問を追うと、魔族ロキシー、ミリス教団内部の権力構造、時間不足が重なった“救命失敗”だったことが見えてくる

  1. 第1章 結論|ロキシーの魔石病は治せた?神級解毒魔術があれば救命可能だった
    1. 治療法は存在していた|クリフの識別眼で「魔石病」と判明する
    2. 本編のロキシーが助かったのは治療成功ではない|発症する未来そのものを消した
  2. 第2章 なぜ神級解毒魔術を借りなかった?大聖堂の奥にある最高機密だった
    1. クリフでも自由に入れない|大司教級でなければ近づけない場所にあった
    2. 写本すれば済むはずが崩れる|実物は辞書ほど分厚い一冊だった
  3. 第3章 クリフの祖父は教皇なのに頼めなかった?教皇でも何でも自由にはできない
    1. 教皇は絶対権力者ではない|ミリス教団は魔族を巡って二つの派閥に割れている
    2. 相手がロキシーなのも重い|「魔族一人を救う」が教団内部では政治問題になり得る
  4. 第4章 なぜ正式交渉ではなく盗みに入った?ロキシーには時間がなかった
    1. 発熱から足先の結晶化まで進行|病名が分かった時点ですでに猶予が削られていた
    2. クリフ自身が潜入を選ぶほど切迫していた|写本失敗で「盗むしかない」へ変わる
  5. 第5章 神級解毒魔術を手に入れたのになぜ間に合わなかった?
    1. 聖典を持ち出した直後に発見|最短帰還の計画が追跡戦へ変わる
    2. クリフまで毒で倒れる|救命作戦が別の犠牲を生み、時間をさらに奪う
  6. 第6章 ペルギウスや別の治療手段では助けられなかった?
    1. ペルギウスは万能ではない|転移と召喚に強くても神級解毒を使えるわけではない
    2. 上級解毒、時間停止、転移支援でも埋まらない|一個の代案で解決できる事件ではなかった
  7. 第7章 ロキシーは本当に「救えなかった」のか?老デウスが間違えたのは治療ではなく時間だった
    1. 上級解毒から神級解毒の聖典強奪まで、老デウスは救命のために動き続けていた
    2. 老デウスが過去へ来た答え|治療を成功させるより「発症させない」方が確実だった

第1章 結論|ロキシーの魔石病は治せた?神級解毒魔術があれば救命可能だった

治療法は存在していた|クリフの識別眼で「魔石病」と判明する

老デウス世界線のロキシーは、
最初から助ける方法がなかったわけではない。
日記では発熱から始まり、
ルーデウスが上級解毒魔術まで試している。
それでも熱は下がらず、
症状だけが静かに進んでいく。

数日後、
ロキシーの足先が紫色の結晶へ変わる。
ただの高熱ではないと分かり、
ルーデウスは急いでクリフを呼ぶ。
そこで使われたのが、
クリフの持つ識別眼だった。

識別の結果、
病名は「魔石病」と判明する。
しかも治療条件まで同時に見える。
必要なのは神級の解毒魔術。
つまり、この時点で問題は
病名不明ではなく治療手段の入手へ移っている。

ここは非常に重要になる。
ロキシーは原因不明の病で死んだのではない。
上級解毒では足りず、
神級まで上げれば治せる病気だった。
治療法そのものは存在していた。
それでも救命まで届かなかった。

発症直後の流れも重い。
最初は「調子が悪い」と言って学校を休む程度。
ルーデウスも、
また難病なのかと不安になりながら、
まず自分で使える上級解毒を試している。

この時点では、
死が目前にあるようには見えない。
だから一度治療を試し、
効かなければ専門知識を持つクリフへ頼る。
行動としては自然で、
放置していたわけでもない。

ところが足先が結晶化した瞬間、
状況は急変する。
熱だけなら病名を絞り込めない。
紫色の結晶が出たことで、
魔石病という致命的な病が姿を現す。

クリフの診断後、
ルーデウスはすぐ動く。
神級解毒魔術の詠唱を求め、
転移魔法陣でミリス神聖国へ向かう。
同行するのはクリフとザノバ。
シルフィも行きたがるが、
家を守る側へ残す。

この判断からも、
ルーデウスがロキシーを諦めていないことが分かる。
発症を知った後に迷っている時間は短い。
治療法があると分かった瞬間、
その入手へ行動を切り替えている。

だから「なぜ治せなかったのか」を考える時、
最初に外すべきなのが
「ルーデウスが何もしなかった」という見方。
実際には上級解毒、
クリフの診断、
ミリスへの移動まで一気に進めている。

失敗したのは治療意志ではない。
治療法へ届くまでの条件が、
想像以上に重かった。

しかも現在のルーデウスが日記を読む場面では、
穏やかな記録からロキシー発症までの期間は、
老デウスの話と照らして二週間以内と見積もられている。
少し前までペルギウスから召喚魔術を学び、
ザノバと空中城塞の芸術品を見て回っていた。

家族との日常を書いていた記録が、
短期間で救命記録へ変わっていく。
この急転があるため、
発熱した時点で神級解毒まで想定するのは難しい。
最初は一般的な病気として上級解毒を試し、
結晶化を見て初めて魔石病へ辿り着く。

病名特定までの流れに、
大きな怠慢があったわけではない。
病気の正体が見えた時点で、
すでに救命までの時計が進んでいた。

本編のロキシーが助かったのは治療成功ではない|発症する未来そのものを消した

現在世界のロキシーを見ると、
ここを勘違いしやすい。
本編ではロキシーは魔石病で死亡しない。
だが神級解毒魔術を使って
病気を治したわけでもない。

老デウスが過去へ来た目的は、
発症後の治療を成功させることではなかった。
もっと前の分岐を変えること。
地下室へ行く未来、
ネズミが家へ入り込む流れを潰すことだった。

老デウスの日記を読む現在のルーデウスは、
未来で何が起こるかを先に知る。
ネズミが死んでいたこと。
近所で魔石病の猫が出たこと。
その後にロキシーが倒れたこと。

日記を並べると、
発症前から異変の痕跡が続いている。
何でもない日常の中に、
後から見れば危険だった出来事が
少しずつ混ざっていたことが分かる。

この因果を知ったからこそ、
現在世界では治療競争をする必要がなくなる。
ロキシーが倒れてから
ミリスへ走る未来ではなく、
倒れる前に原因側を断つ未来へ変わる。

この違いは大きい。
老デウス世界線では、
病名が判明した時点で既に時間との勝負。
現在世界では、
病気が始まる前に未来を修正できる。

だからロキシーを救えた最大の要因は、
神級解毒魔術を手に入れたことではない。
「発症してから救う」段階へ入らなかったこと。
治療より前に、
病気へ至る流れを消したことになる。

この視点を置くと、
老デウスの悲劇も見え方が変わる。
彼は治療法を知らなかったから失敗したのではない。
治療法を知った時には、
すでに限られた時間しか残っていなかった。

しかも神級解毒魔術は、
自宅にある薬のように即座に使えない。
国外へ移動し、
最高機密に近い詠唱へ辿り着き、
持ち帰ってから初めて治療へ進める。

この距離と手順が、
ロキシーの進行速度と噛み合わなかった。
だからこの記事で見るべきなのは、
「神級解毒魔術なら治る」という一点ではない。

治せる病気だったのに、
なぜ治療へ到達できなかったのか。
その過程にこそ、
老デウス世界線の残酷さがある。

第2章 なぜ神級解毒魔術を借りなかった?大聖堂の奥にある最高機密だった

クリフでも自由に入れない|大司教級でなければ近づけない場所にあった

「クリフの祖父は教皇なのに、
なぜ神級解毒魔術を借りなかったのか」
という疑問は自然に出てくる。
だが日記を見ると、
神級解毒魔術は簡単に借りられる状態ではない。

クリフは、
詠唱がどこに保管されているか知っていた。
場所はミリシオン大聖堂の奥。
しかも本人の説明では、
大司教級でなければ入れない領域にある。

ここで重要なのは、
クリフが教皇の孫であっても、
保管場所へ自由に出入りできないこと。
血縁があるだけで、
最高機密へ無条件に触れられる制度ではない。

もし簡単に借りられるなら、
深夜に忍び込む必要がない。
ルーデウスたちは
正式な貸し出しではなく、
侵入という危険な手段を選んでいる。

この行動そのものが、
通常手続きでは間に合わない状況を示している。
ミリス到着後の判断も速い。
保管場所を確認し、
深夜に大聖堂へ入る。

その場で詠唱を書き写し、
すぐ転移魔法陣で戻るつもりだった。
この計画から分かるのは、
彼らが長期滞在を想定していないこと。
必要な情報だけ取って、
最短で帰還することを優先している。

ロキシーはその間も病床にいる。
症状は止まっていない。
足先の結晶化が確認された以上、
いつ全身へ広がるか分からない。

だから「教皇へ正式に頼めばいい」は、
時間を無視すると簡単に見える。
だが実際には、
許可を得るまでの手続きが
どれだけ掛かるか分からない。

しかも神級魔術は、
誰でも扱える一般知識ではない。
保管場所そのものが
大司教級に制限されている時点で、
教団内部でも厳重に管理されている。

この状況でルーデウスたちは、
政治的な交渉より速度を選ぶ。
深夜侵入という危険を承知で、
治療に必要な詠唱へ直接向かう。

しかも同行しているのは、
ミリス教団と無関係なザノバだけではない。
保管場所を知るクリフ本人も一緒に入る。
教皇の孫という立場を持つクリフまで、
正面からの閲覧ではなく潜入へ加わった事実は重い。

もし祖父へ一言頼めば即日閲覧できるなら、
この選択は不自然になる。
少なくとも日記の記録上、
三人は正式交渉を待つより
夜間侵入の方が早いと判断している。

ロキシーの病状が進む中では、
「許可が下りるか」だけでなく、
「許可を待つ時間」そのものが危険だった。

写本すれば済むはずが崩れる|実物は辞書ほど分厚い一冊だった

潜入計画がさらに崩れたのは、
神級解毒魔術の実物を見た瞬間だった。
ルーデウスたちは当初、
詠唱を書き写せば戻れると考えていた。

つまり想定していたのは、
短時間で複写できる情報量。
紙数枚か、
長くてもその場で写せる程度の術式だった。

ところが実物は違う。
神級解毒魔術の詠唱は、
辞書ほどの厚さを持つ一冊の本だった。
その場で全てを書き写すのは不可能。
潜入時間を延ばせば、
発見される危険も一気に上がる。

ここで三人は、
計画を変更せざるを得なくなる。
写本して持ち帰るのではなく、
本そのものを持ち出す。
つまり情報入手から、
聖典の強奪へ状況が変わる。

この変更が重い。
書き写すだけなら、
侵入が露見しなければ
教団側もすぐには気付かない可能性がある。
だが本そのものを持ち出せば、
紛失した瞬間に異常が明確になる。

実際、
脱出途中で発見される。
そこからは治療法を得る旅ではなく、
追っ手から逃げながら帰還する戦いへ変わる。

しかも目的は戦争ではない。
ロキシーを治すために
一冊の本を持ち帰るだけ。
そのはずだったのに、
最高機密へ触れたことで、
ミリス教団そのものを敵へ回す形になる。

ここが「なぜ借りなかった?」への重要な答えになる。
借りる対象が、
そもそも普通の魔術書ではない。
大聖堂奥へ封じられ、
高位聖職者しか近づけず、
内容も一冊丸ごと必要になる。

さらに最悪なのは、
持ち出せた時点でも
まだロキシーを救えていないこと。
本を手にしただけでは治療にならない。
ラノアへ戻り、
実際に神級解毒魔術を成立させる必要がある。

救命までには、
保管場所へ侵入し、
本を確保し、
追跡を振り切る必要がある。
さらに転移魔法陣へ到達し、
自宅まで戻らなければならない。

しかも潜入前の想定では、
「書き写して戻る」だけだった。
ところが一冊丸ごと持ち出す必要が生じた瞬間、
作戦の危険度が一気に上がる。

聖堂内での滞在時間が伸び、
持ち出した本そのものが証拠となる。
追跡を受ければ、
帰還速度まで落ちる。

老デウスたちは、
治療法そのものには辿り着いた。
だが救命へ必要な距離は、
まだ残っていた。

そしてこの後、
転移魔法陣で奇襲を受ける。
戦闘の余波で魔法陣は破壊され、
最短帰還路まで失われる。

さらにクリフが毒を受け、
意識不明の重体になる。
ロキシーを救うための旅が、
今度は同行者の命まで奪い始める。

この連鎖を見ると、
「なぜ神級解毒魔術を借りなかった?」
という疑問への答えは一つではない。
借りるための自由な権限がなく、
保管場所は最高機密級だった。

しかも写本はできず、
強奪すれば追跡され、
帰還経路まで壊される。
治療法は存在した。
だが、その治療法を
病床のロキシーまで持ち帰ることができなかった。

だから老デウス世界線の悲劇は、
魔石病が絶対治らない病だったからではない。
「治せる」という希望が見えたまま、
その希望へ届くまでの時間を
次々に失っていったことにある。

第3章 クリフの祖父は教皇なのに頼めなかった?教皇でも何でも自由にはできない

教皇は絶対権力者ではない|ミリス教団は魔族を巡って二つの派閥に割れている

「クリフの祖父は教皇なのだから、
神級解毒魔術を借りればよかったのではないか」。
ここはロキシーの魔石病を追うと、
最も引っ掛かりやすい部分になる。
ただしミリス神聖国の内情を見ると、
教皇だから何でも即決できる状況ではない。

後の原作では、
ミリス教団が教皇派と枢機卿派に割れ、
長年激しい権力争いを続けていることが明かされる。
教皇派は魔族迎合派。
枢機卿派は魔族排斥派。
同じ宗教組織の内部で、
魔族をどう扱うかという根本部分から対立している。

しかも枢機卿派には、
神殿騎士団の大半や古いミリス貴族が付く。
教皇派が最大派閥だからといって、
教皇一人の命令ですべてを押し切れるわけではない。
実際、後のミリス編では、
教皇と枢機卿が互いの思惑を読みながら動く。

クリフ自身も、
この権力闘争の危険を身近に知っている。
両親は教団内部の争いに巻き込まれて死亡し、
自身も幼少期には孤児院へ預けられていた。
教皇の孫という肩書は、
安全な特権だけを意味しない。

ラノア魔法大学へ留学した後も、
クリフは卒業すればミリスへ戻り、
祖父の後を継ぐ道を意識している。
しかし後には、
教団内部では敵対者が家族まで狙うと語り、
妻エリナリーゼや息子クライブを巻き込むことを恐れる。

それほど権力争いは現実的な脅威になっている。
この背景を知ると、
「祖父が教皇だから頼めばいい」という発想が、
かなり単純化されたものだと分かる。

神級解毒魔術は、
教皇個人の私物ではない。
大聖堂奥の高位聖職者しか入れない場所で、
教団組織として管理されている。
教皇の孫だからといって、
自由に持ち出せる類のものではない。

しかも治療対象はロキシー。
ミグルド族であり、
ミリス教団の分類では魔族に含まれる。
教皇派なら魔族との融和に比較的前向きでも、
魔族排斥派が強く存在する組織で、
最高機密級の魔術を魔族一人のために持ち出す判断は重い。

教皇が個人的に同情したとしても、
大聖堂奥の秘匿物を外へ出せば、
対立派閥へ攻撃材料を与える可能性がある。
「孫の友人の妻を救うため」という事情だけで、
宗教組織の規則と権力均衡を
即座に無視できるとは考えにくい。

だから老デウスの日記では、
教皇への正式な陳情ではなく、
クリフの案内で夜間潜入を選ぶ。
この行動自体が、
正面から借りる道が簡単ではなかったことを示す。

少なくとも彼らは、
正式手続きを待つより、
直接取りに行く方が早いと判断した。

相手がロキシーなのも重い|「魔族一人を救う」が教団内部では政治問題になり得る

ロキシーが人族の高位貴族なら、
事情は違った可能性がある。
しかし彼女はミグルド族で、
ミリス教団内部では魔族を巡る対立そのものが続いている。
この属性が、
神級解毒魔術の使用をさらに難しくする。

後のミリス編では、
教皇派が「魔族もミリスの下で平等」とする方向。
枢機卿派は、
経典の「魔族は滅ぶべし」という解釈を重視する。
両派の争いは三百年規模で続き、
一時は排斥派が優勢だった時期もある。

ロキシーの救命を正式案件にすれば、
単なる医療判断では終わらない。
最高機密級の神級解毒魔術を、
国外から来た魔族へ使うのか。
その前例を認めるのか。
教皇派が魔族へ便宜を図ったと、
枢機卿派から攻撃されないか。

そうした問題が一気に出る。
しかも病床のロキシーには、
長い政治交渉を待つ余裕がない。
足先が紫色の結晶へ変わった時点で、
病気は見た目にも進行している。

クリフが祖父との血縁を使い、
正式許可を取りに行く道が、
絶対になかったとは断定できない。
日記には、
その交渉を細部まで試した記録はない。

ただし確実なのは、
クリフ自身が保管場所を知りながら、
「大司教級でなければ入れない」と説明し、
最終的に深夜潜入へ同行していること。
教皇の孫である本人が、
正面突破より潜入を選んでいる。

この事実は重い。
クリフはロキシーと無関係な第三者ではない。
ルーデウスの友人であり、
魔法大学では共に時間を過ごし、
識別眼で病名を突き止めた本人でもある。

助けられるなら助けたい側にいる。
そのクリフが、
祖父へ一言頼めば済むなら、
命懸けで大聖堂へ忍び込む必要はない。

しかも発覚すれば、
自分自身の立場まで危うくなる。
それでも侵入したのだから、
通常の許可経路には時間か障壁があったと見る方が自然になる。

ここで「教皇が冷たかったから」と、
単純化するのも違う。
問題は個人の善悪ではなく、
教団が巨大な政治組織でもあること。

教皇には教皇派を背負う事情があり、
枢機卿派には魔族排斥の論理がある。
ロキシー一人を救いたいという、
ルーデウスたちの切迫した感情と、
教団側の制度や派閥争いは最初から時間感覚が違う。

患者側は今すぐ必要。
組織側は簡単に動かせない。
この噛み合わなさが、
神級解毒魔術を知っていながら、
正規の形で借りられなかった背景になる。

第4章 なぜ正式交渉ではなく盗みに入った?ロキシーには時間がなかった

発熱から足先の結晶化まで進行|病名が分かった時点ですでに猶予が削られていた

老デウスの日記を順番に追うと、
ロキシーの魔石病は、
病名が分かる前から時間を奪っている。
最初に出たのは高熱。
ルーデウスは自分で上級解毒魔術を使うが、
症状は改善しない。

この時点では、
魔石病だと断定できる材料がない。
熱だけなら別の病気も考えられる。
だから最初からミリスへ飛び、
神級解毒魔術を要求しなかったこと自体は不自然ではない。

しかし数日が過ぎ、
足先が紫色の結晶へ変化する。
ここで初めて、
普通の病気ではないことが明確になる。
ルーデウスはすぐクリフを呼び、
識別眼で診断してもらう。

結果は魔石病。
さらに神級解毒魔術でしか治せないと判明する。
つまり診断が付いた瞬間、
必要な治療の格まで確定した。
そこでルーデウスは迷わず、
ミリス神聖国へ向かう準備を始める。

同行はクリフとザノバ。
シルフィも行きたがるが、
家を守るため残る。
ここでは「誰かが行けばいい」ではなく、
病名を見抜けるクリフと、
危険な行動にも耐えられる仲間を連れている。

しかも移動手段は、
通常の馬車や徒歩ではない。
転移魔法陣を使う。
それだけでも、
一日でも早く帰ることを優先していると分かる。

ミリシオンへ到着すると、
クリフから保管場所を聞き、
そのまま夜間潜入へ話が進む。
長期交渉の準備も、
政治的な根回しもしていない。

ロキシーが病床にいる以上、
時間を費やす選択そのものが危険だった。
ここを考えると、
「正式に申し込めばよかった」という案には、
許可されるかどうかとは別の問題がある。

いつ許可されるのか分からない。

大司教級しか入れない秘匿領域から、
神級魔術の聖典を閲覧したい。
しかも使用目的は、
国外にいる魔族女性の救命。

教皇派と枢機卿派の調整まで入れば、
即日回答になる保証はない。
一日待つ。
二日待つ。
会議を開く。
責任者へ確認する。

普通の行政なら当然の手順でも、
進行性の魔石病を前にすれば、
その全部が致命的な遅延になる可能性がある。
老デウスたちは、
規則を軽視して盗みに入ったのではない。

少なくとも日記の流れでは、
患者側の時間と教団側の手続きが、
噛み合わないところまで追い詰められていた。

クリフ自身が潜入を選ぶほど切迫していた|写本失敗で「盗むしかない」へ変わる

深夜、
三人は大聖堂へ忍び込む。
この場面での当初計画は、
聖典を盗み出すことではない。
神級解毒魔術の詠唱をその場で書き写し、
必要な情報だけ持って帰ることだった。

この計画なら、
原本そのものを奪わずに済む。
短時間で書き写せれば、
教団との衝突を最小限にできる。
ルーデウスたちも最初から、
ミリス教団を敵へ回したかったわけではない。

ところが保管場所へ辿り着き、
実物を見た瞬間に計画が崩れる。
神級解毒魔術の詠唱は、
短い呪文ではなかった。
辞書ほどの分厚さを持つ、
本一冊分の情報量だった。

その場で全てを書き写すのは不可能。
何時間、何日掛かるか分からない。
長く留まれば発見される。
何よりラノアでは、
ロキシーの病気が進行し続ける。

そこで選べる道は急激に減る。
何も持たず帰る。
何日も潜伏して写す。
あるいは原本を持ち出す。

ルーデウスたちは、
本そのものを持ち出す。
この瞬間に、
「秘密を覗いた侵入者」から、
「聖典を奪った者」へ立場が変わる。

脱出途中で発見され、
追跡が始まる。
予定していた最短帰還は、
この時点で崩れ始める。
それでも聖典を捨てられない。

捨てれば、
ロキシーを救う手段まで失う。
持ち続ければ、
ミリス教団から追われる。
どちらを選んでも危険。
それでも老デウスは、
ロキシーを救える可能性の方を取る。

ここまでの流れを見ると、
クリフが同行している重さも増す。
クリフは教皇の孫であり、
ミリス教団へ戻る未来を持つ人物。
本来なら、
教団を完全に敵へ回す危険は避けたい。

それでも友人の妻を救うため、
大聖堂への侵入に加わる。
病名を識別した本人として、
必要な治療法を知った以上、
時間切れを待つことができなかった。

だから「正式交渉をしなかった」のではなく、
正式交渉へ賭ける時間がないと判断した結果、
潜入という強硬策へ進んだと見る方が流れに合う。

しかも潜入成功で終わらない。
聖典を確保した後にも、
ラノアへ戻る工程が残っている。
転移魔法陣へ辿り着き、
そこから病床のロキシーまで戻らなければ、
神級解毒魔術はただの本でしかない。

この後、
転移魔法陣で奇襲を受ける。
戦闘の余波で魔法陣は破壊され、
予定していた帰還経路そのものが消える。
さらにクリフが毒を受け、
意識不明の重体へ陥る。

ここから救命作戦は、
完全に別の段階へ入る。
ロキシーを救うために持ち出した聖典を抱え、
今度はクリフまで救わなければならない。
しかも一行は、
ミリス神聖国中で指名手配される。

治療法は手元にある。
それでも患者のところへ帰れない。
これが老デウス世界線で起きた、
最も残酷な食い違いになる。

ロキシーの魔石病は、
神級解毒魔術が存在しないから治せなかったのではない。
病名特定までにも時間を使い、
治療法の入手にも時間を使い、
持ち帰る途中でも時間を失った。

だから失敗の中心にあるのは、
知識不足だけではない。
神級解毒魔術へ辿り着くまでの距離と、
ロキシーの病状が進む速度が、
最後まで噛み合わなかったことにある。

第5章 神級解毒魔術を手に入れたのになぜ間に合わなかった?

聖典を持ち出した直後に発見|最短帰還の計画が追跡戦へ変わる

神級解毒魔術の聖典を手にした時点で、
老デウスたちは一度は救命へ近づいている。
病名は判明し、必要な治療法も特定済み。
しかも大聖堂奥まで潜入し、
辞書ほど分厚い原本そのものを確保した。

ここだけ切り取ると、
あとはラノアへ戻って使えばよいように見える。
しかし実際には、
この「持ち出した瞬間」から状況が悪化する。
写本ではなく原本を抱えて逃げるため、
発見された時点で教団側から完全に追われる立場へ変わった。

当初の計画は短時間の潜入だった。
深夜に入り、詠唱を書き写し、
転移魔法陣で戻る。
それならロキシーの病状が進む前に、
最短で帰還できる可能性があった。

ところが実物は一冊丸ごと必要。
その場で写し切れず、
原本を持ち出すしかなくなる。
これで「治療法を得る」作戦が、
「最高機密を奪って逃げ切る」作戦へ変わる。

しかも追っ手から逃げるだけでは終わらない。
聖典を捨てればロキシーを救えない。
持ち続ければ追跡は続く。
三人は治療法を手に入れたのに、
それを患者のもとへ運ぶだけで命懸けになる。

この時点で時間は二重に失われていく。
ロキシーの魔石病は進行する。
一方、ルーデウスたちは追跡を避けながら、
転移魔法陣まで辿り着かなければならない。

そして最悪の場面が来る。
転移魔法陣で奇襲を受け、
戦闘の余波で魔法陣そのものが壊れる。
ここで最短帰還の道が消える。

転移魔法陣は、
通常移動を大幅に短縮できる重要な手段。
過去のベガリット大陸編でも、
転移遺跡の有無が移動時間を大きく左右していた。
だから一枚の魔法陣が壊れることは、
単なる足止めではない。

ロキシーの病床まで戻るための時間が、
一気に伸びることを意味する。

老デウス側は、
ここで「治療法はあるのに帰れない」という
最悪の状態へ落ちる。
病気の正体も分かっている。
必要な魔術も手元にある。
それでも患者へ届かない。

しかもルーデウスたちは、
転移魔法陣の価値を過去から知っている。
ベガリット大陸の迷宮攻略では、
長距離移動そのものが大きな負担となり、
転移遺跡を使えるかどうかで旅程が大幅に変わった。
だから今回も、最短で戻るための帰還路として
魔法陣へ頼る判断は極めて自然だった。

逆に言えば、その魔法陣が壊れた瞬間、
単なる「別ルートを探せばいい」では済まない。
徒歩や通常移動へ切り替えれば、
それだけロキシーの病床へ戻る日数が増える。
別の魔法陣を探すにしても、
追跡を避けながら位置を確保する必要がある。
一枚の破壊が、救命計画全体を崩すだけの重さを持っていた。

クリフまで毒で倒れる|救命作戦が別の犠牲を生み、時間をさらに奪う

転移魔法陣が壊れた直後、
さらに状況は悪化する。
奇襲の中でクリフが毒を受け、
意識不明の重体になる。

ここで老デウスたちは、
ロキシーだけを救えばよい状態ではなくなる。
同行した友人まで倒れ、
その救命も同時に抱えることになる。

クリフは単なる案内役ではない。
ロキシーの病名を識別眼で特定し、
神級解毒魔術の保管場所を知り、
大聖堂潜入にも同行した人物。
救命計画の中心にいた一人が、
帰還途中で動けなくなる。

しかも一行は、
ミリス神聖国中で指名手配される。
顔が出回り、
堂々と町を通ることも難しい。
別の転移魔法陣へ向かおうとしても、
移動そのものが危険になる。

ここで時間はさらに削られる。
ロキシーの病状は待ってくれない。
クリフの意識も戻らない。
追っ手も止まらない。

一つの問題を解決するたび、
次の障害が増える。
病名不明から魔石病へ。
治療法不明から神級解毒魔術へ。
保管場所不明から大聖堂奥へ。
写本不可から聖典強奪へ。
そして帰還直前で転移魔法陣破壊。

救命の道筋は見えているのに、
毎回その一歩先で時間を奪われる。

この流れを見ると、
老デウスが無策だったとは言えない。
むしろ必要な判断は次々にしている。
上級解毒を試し、
クリフを呼び、
病名を特定し、
ミリスへ飛び、
大聖堂へ潜入し、
聖典まで手に入れた。

それでも間に合わない。

ここが「神級解毒魔術があれば治せた」と
「実際にロキシーを救えた」の違いになる。
治療法の存在と、
治療法を時間内に届けられることは別問題だった。

しかもクリフの毒は、
ルーデウス自身にも大きな傷を残す。
逃走戦の中で人を殺し、
手に残る感触へ嫌悪を抱く。
ロキシーを救いたい一心で動いた結果、
友人まで失いかけ、
自分も一線を越えていく。

だからこの救命失敗は、
一つの判断ミスでは説明できない。
政治、秘匿、移動、追跡、戦闘、
転移魔法陣の破壊、クリフの重傷。
複数の障害が連続し、
最後に時間が尽きた。

第6章 ペルギウスや別の治療手段では助けられなかった?

ペルギウスは万能ではない|転移と召喚に強くても神級解毒を使えるわけではない

ロキシーの魔石病を知ると、
次に出やすい疑問が、
「ペルギウスへ頼めばよかったのではないか」。
空中城塞を持ち、転移魔法陣にも詳しく、
十二の使い魔まで従える人物なら、
別の救命手段がありそうに見える。

だがペルギウスが得意とするのは、
召喚、転移、結界に近い領域。
それと神級解毒魔術を使えるかは別問題になる。
少なくとも老デウスの日記では、
ペルギウスが神級解毒を代行できるとは書かれていない。

実際、本編でもペルギウスは、
転移魔法陣を新たに接続したり、
使えなくなった魔法陣を把握したりする。
空中城塞から遠方へ移動する手段としては非常に強い。
一方、それは病気を治す能力とは直結しない。

しかもロキシーについては、
さらに厄介な条件がある。
作者の感想返しでは、
ナナホシへ使われた使徒の時間停止を
ロキシーへ使えなかったのかという問いに、
「魔族なので」と回答されている。

つまりペルギウス周辺の特殊な延命手段まで、
ロキシーにはそのまま転用できない。
時間停止で病気の進行を止め、
その間に神級解毒を探すという逃げ道も、
簡単には成立しなかった。

ここは重要になる。
ナナホシが病に倒れた時には、
時間停止によって症状の進行を抑え、
治療法を探す猶予を作れた。
だから読者から見れば、
ロキシーにも同じことをすればよいように思える。

しかし両者は条件が違う。
ナナホシと同じ延命手段を
ロキシーへ適用できない以上、
老デウス側には「時間を止めて考える」がない。
症状が進む中で、
現実の時間内に神級解毒へ到達するしかない。

ナナホシが倒れた時の流れを思い返すと、
違いはさらに分かりやすい。
彼女の体調悪化では、
ペルギウス側の使徒による時間停止で
まず症状進行を抑える猶予が作られた。
そのうえでルーデウスたちは治療の手掛かりを求め、
魔大陸まで動くことができた。

つまりナナホシ救命では、
「患者の時間を止めてから治療法を探す」が可能だった。
一方、ロキシーではその前提がない。
発熱し、結晶化が始まった後も時間は進み続ける。
同じ世界にペルギウスがいても、
同じ救命手順をそのまま再利用できなかった。

上級解毒、時間停止、転移支援でも埋まらない|一個の代案で解決できる事件ではなかった

別の治療手段を並べると、
なぜ老デウスが追い詰められたかがさらに分かる。
まず上級解毒魔術は、
発症初期にすでに試している。
それでも熱は下がらず、
足先の結晶化まで進んだ。

つまり「もっと早く解毒すればよかった」は通らない。
ルーデウスは自分に使える高位の解毒を、
最初の段階で試している。
それで効かなかったから、
クリフの識別眼へ進んだ。

次にペルギウスの時間停止。
これはロキシーが魔族であるため、
ナナホシと同じようには使えない。
病気の進行を止めて、
何週間でも治療法を探す猶予は作れない。

転移魔法陣についても、
確かにペルギウスは大きな助けになり得る。
しかし転移魔法陣は万能な扉ではない。
片側が壊れれば、
もう一方も効力を失う場合がある。
実際、本編でも接続先の破壊で、
転移不能になる場面が出てくる。

老デウス世界線でも、
まさに帰還直前の魔法陣が破壊される。
どれほど転移知識があっても、
その場で壊れた陣から即座に帰れるわけではない。

しかも聖典を確保した後は、
ミリス教団から指名手配されている。
ペルギウスへ救援を求めるとしても、
そこまで連絡する手段と時間が必要。
クリフは毒で倒れ、
追っ手まで迫っている。

つまり「誰かに頼めばよかった」という
一個の代案では足りない。
上級解毒は効かない。
時間停止は使えない。
神級解毒は最高機密。
聖典は分厚く写本できない。
強奪後は追跡され、
転移魔法陣まで壊される。

この条件が同時に重なる。

さらに老デウス側には、
情報を一つずつ確かめる余裕もない。
通常なら、神級解毒の別の使用者を探す、
教団外に写本がないか調べる、
ペルギウスへ別経路を相談するといった、
複数案を並行して試す余地も考えられる。

だがロキシーは進行性の病床にいる。
一つの案を数日試して失敗すれば、
その数日自体が取り戻せない。
だから最短に見える手段へ賭け、
失敗した時の損失がそのまま致命傷になる。

選択肢が多そうに見えても、
実際には試行回数をほとんど持てなかった。

だからロキシーの魔石病は、
知識があれば簡単に助かる病気ではない。
正しい治療法へ辿り着いた後も、
その術を患者へ届けるまでの
政治的・地理的・時間的障壁が残る。

そして老デウス世界線では、
その障壁を一つずつ越えている間に、
ロキシーの時間だけが減っていった。

ここを押さえると、
「神級解毒魔術を借りなかったから死んだ」
という単純な話ではなくなる。
彼らは借りるより速い道を選び、
実際に聖典まで確保した。

それでも帰ることができなかった。

だから救命失敗の核心は、
治療法を知らなかったことではない。
治療法へ到達するまでの距離が、
ロキシーに残された時間より長かったことにある。

その結果、
現在世界で最も確実な対策は、
発症後に別の治療法を探すことではなく、
魔石病へ至る未来そのものを起こさないことになる。

第7章 ロキシーは本当に「救えなかった」のか?老デウスが間違えたのは治療ではなく時間だった

上級解毒から神級解毒の聖典強奪まで、老デウスは救命のために動き続けていた

ロキシーの魔石病を最後まで追うと、
老デウス世界線で起きたことは、
「治療法を知らずに死なせた」ではない。
むしろ病名が判明してから、
ルーデウスは使える手段を次々に試している。

最初は高熱。
そこで上級解毒魔術を使う。
それでも効かず、
足先が紫色の結晶へ変わると、
すぐクリフを呼んで識別眼で診断する。

魔石病と判明した後も止まらない。
必要なのが神級解毒魔術だと知ると、
クリフ、ザノバと共にミリスへ向かう。
シルフィには留守を任せ、
転移魔法陣まで使って移動時間を削る。

ミリシオンでは、
神級解毒魔術の詠唱が大聖堂奥にあると知る。
大司教級でなければ入れない場所でも、
正式許可を待たず深夜に潜入する。
病床のロキシーに、
長い手続きを待たせられなかったからだ。

しかも潜入後、
その場で写本すれば済むという計画まで崩れる。
実物は辞書ほど分厚い一冊。
短時間で書き写せないため、
原本そのものを持ち出す決断へ進む。

脱出途中で発見されても、
聖典を捨てない。
追っ手から逃げ、
転移魔法陣まで向かう。
奇襲で魔法陣が壊れ、
クリフが毒を受けても、
別の転移魔法陣へ移動しようとする。

その途中でクリフは死亡する。
それでも老デウスは止まれない。
ロキシーを救える可能性が、
手元の聖典に残っているからだ。

そしてようやく、
別の転移魔法陣へ辿り着く。
日記には「あと少し」と残る。
ここまで来れば、
治療へ間に合う可能性がまだあった。

だが帰宅した時、
ロキシーはすでに死亡していた。
身体の半分が結晶化し、
神級解毒魔術の詠唱は間に合わなかった。

この場面が残酷なのは、
治療法を最後まで入手できなかったのではないこと。
聖典は持ち帰った。
必要な術も分かっていた。
それでも患者の時間だけが先に尽きた。

だから老デウスの失敗を、
「もっと早く動けばよかった」で片付けるのも違う。
発熱時には上級解毒を試し、
結晶化後は即座に診断し、
魔石病と分かれば国外まで取りに行っている。

足りなかったのは、
救いたい気持ちでも行動力でもない。
発症してから神級解毒へ到達するまでに、
必要な工程が多すぎた。

病名特定。
ミリスへの移動。
大聖堂への潜入。
聖典確保。
追跡からの逃走。
転移魔法陣への移動。

その一つ一つに時間が掛かり、
ロキシーの魔石病はその間も進み続けた。

老デウスが過去へ来た答え|治療を成功させるより「発症させない」方が確実だった

ロキシーを失った後、
老デウスの人生は大きく崩れる。
クリフも死に、
エリナリーゼとの関係も壊れ、
その後はシルフィまで失っていく。
日記の内容も次第に荒れ、
かつてのルーデウスとは別人のようになっていく。

それでも長い年月の中で、
魔術研究だけは続ける。
重力、電撃、音声、
治癒魔術まで幅広く伸ばし、
転移魔術の研究も深めていく。

その過程で、
ネズミが魔石病の媒介になったことへ辿り着く。
地下室から出たネズミが、
ロキシー死亡へつながった可能性を突き止める。
ここでようやく、
発熱より前の分岐が見える。

さらに老デウスは、
召喚魔術と龍族の遺跡にある魔術を組み合わせ、
過去へ移動できる可能性を考える。
膨大な魔力が必要で、
成功する保証もない。
それでも過去へ戻る決断をする。

ここで重要なのは、
老デウスが再び神級解毒魔術を取りに行くため、
過去へ来たわけではないこと。

伝えようとしたのは、
魔石病のこと。
エリスのこと。
ヒトガミのこと。

つまり未来の自分が選んだ最終手段は、
「今度こそ発症後の治療へ成功する」ではない。
そもそもロキシーを
魔石病にさせない未来へ変えることだった。

現在のルーデウスも、
日記を読んだ後に同じ方向へ動く。
ネズミと魔石病の因果を知り、
未来で起きた悲劇を再現させない。
その後、ロキシー本人の体調も確認し、
元気だと分かってようやく安堵する。

ここには、
老デウスが数十年掛けて得た答えが詰まっている。

魔石病は治せる。

ただし神級解毒魔術が必要。

しかも、その術は遠く、
厳重に管理され、
患者が発症してから取りに行くには
あまりにも時間的危険が大きい。

ならば最も確実なのは、
治療法を早く持ってくることではない。

発症そのものを起こさないことになる。

だから現在世界でロキシーが生きているのは、
神級解毒魔術が改良されたからでも、
教皇から特別に借りられたからでもない。
老デウスが失敗の全経路を知り、
その情報を過去へ持ち帰ったからだ。

この違いこそ、
「ロキシーの魔石病は治せなかった?」
という問いへの最終的な答えになる。

治療不能ではなかった。

だが老デウス世界線では、
治療法が患者へ届く前に時間が尽きた。

そして現在世界では、
その時間勝負へ入ること自体を避けた。

神級解毒魔術を借りなかったことが、
ロキシー死亡の一つの単純な失敗だったわけではない。
借りるにも、見るにも、持ち帰るにも壁があり、
その全部を越える間も病気は進行していた。

老デウスが最後に変えたのは、
治療法ではない。

ロキシーが病床へ倒れるまでの未来そのものだった。

無職転生Ⅲまとめ

『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。

▶【無職転生Ⅲ】記事一覧ページはこちら

▶ 無職転生Ⅲの記事一覧ページを見る

あなたは映画やドラマを思いっきり楽しみたいですか?

 

  • 「観たい映画があっても、配信サービスごとに探すのが面倒…」
  • 「ドラマやアニメを楽しみたいけれど、作品数が少なくてすぐ見終わってしまう…」
  • 「マンガや雑誌まで楽しみたいのに、別々に契約するのは大変…」
  • 「せっかく登録しても、観たい作品が見つからないことがある…」
  • 「休日に何を観るか迷って時間が終わってしまう…」

など、動画配信サービスを利用したいけれど、
自分に合ったサービス選びで悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

家族や友人に相談しても、
自分に合った作品が見つからず困ってしまうこともありますよね。

そんな方に注目されている動画配信サービスが♪

⇒ U-NEXT(ユーネクスト)

 

●U-NEXT(ユーネクスト)の魅力

映画・ドラマ・アニメはもちろん、
マンガや雑誌などの電子書籍まで楽しめる
総合エンタメサービスです。

幅広いジャンルの作品がそろっており、
話題作から定番作品まで楽しめるため、
さまざまなエンタメをまとめて楽しみたい方に人気があります。

さらに、
ライブ配信やスポーツ中継、
韓流ドラマや独占配信作品なども充実しているのが特徴です♪

作品数やジャンルの幅広さが魅力のサービスとして、
多くのユーザーに利用されています。

31日間無料トライアルを実施しています♪

まずは実際に使ってみて、
自分に合った作品を探してみるのも楽しいと思います。

幅広い作品を楽しみたい人には、
使いやすい動画配信サービスですよ♪

⇒ U-NEXT(ユーネクスト)

 

●さらに便利なポイントも!

スマホ・タブレット・テレビなど、
さまざまな端末で視聴できるため、
外出先や自宅など、好きな場所で楽しめます♪

さらに、
独占配信作品やライブ配信も多数あるため、
いろいろなジャンルを楽しみたい方にも向いています。

エンタメ好きの方は、
ぜひチェックしてみてください♪

⇒ U-NEXT(ユーネクスト)

コメント

タイトルとURLをコピーしました