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【片田舎のおっさん剣聖II】モーリス教皇はなぜ王子と王女を殺そうとする? 婚姻を潰したい理由

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モーリス教皇が狙ったのは、グレン王子個人だけではない。サラキア王女との婚姻が成立すれば、グレンの王位継承が安定し、レベリス王国との結び付きまで生まれるため、王権派の未来そのものが強固になる。
だから婚姻の儀当日に死体兵と暗殺者を投入し、脱出後にも合成獣を用意して、二人を同時に排除しようとした。
つまりモーリスが潰したかったのは結婚式ではなく、グレン王子とサラキア王女が次代の王権を支える未来だった。

  1. 第1章 モーリス教皇はなぜ王子と王女を殺そうとした?婚姻で王権派が強くなるから
    1. 狙われたのは二人の恋愛ではなく、婚姻後に生まれる強い王権だった
    2. グレンとサラキアを同時に失えば、王権派は後継者と外国との結び付きを一度に失う
  2. 第2章 グレン王子はなぜ以前から狙われていた?第1期から続く王権派排斥
    1. 第2期の大聖堂襲撃より前から、グレンの周囲では暗殺の動きが始まっていた
    2. 第1期では王子一人、第2期では王子と王女を同時に狙うほど攻撃が拡大した
  3. 第3章 サラキア王女との婚姻で何が変わる?レベリス王国がグレン王子の後ろに付く
    1. サラキアは「王子の恋人」ではなく、レベリス王家そのものを背負う王女だった
    2. 婚姻成立後は、グレンの王位継承とサラキアの立場が互いを支える
  4. 第4章 なぜ婚姻の儀当日を狙った?二人を同時に排除出来る最大の機会
    1. 大聖堂ならグレンとサラキアが必ず同じ場所へ現れる
    2. 大聖堂を脱出されても合成獣を投入したことで、狙いが「式の中止」ではないと分かる
  5. 第5章 死体兵だけで終わらなかったのはなぜ?合成獣まで用意した執念
    1. 大聖堂から逃げられる可能性まで考え、最初から二段目の攻撃が用意されていた
    2. モーリス本人が「四体では少なかった」と語り、偶然の怪物ではなかったと分かる
  6. 第6章 なぜ婚姻式を中止させるだけでは足りない?婚約そのものを消したかった
    1. 大聖堂を襲っただけでは、グレンとサラキアの関係そのものは壊れない
    2. 二人が生き残れば、王位継承と外国王家との結び付きがそのまま残る
  7. 第7章 二人が生き残った後、モーリスが恐れた未来がそのまま実現する
    1. グレンは王太子となり、王権派の次代がはっきり固まっていく
    2. サラキアも王太子妃となり、二国の婚姻関係は消えなかった

第1章 モーリス教皇はなぜ王子と王女を殺そうとした?婚姻で王権派が強くなるから

狙われたのは二人の恋愛ではなく、婚姻後に生まれる強い王権だった

モーリス教皇がグレン王子とサラキア王女を狙ったのは、
二人の婚姻が成立すると王権派の立場が強まり、
教皇派がこれまで保ってきた影響力に対して、
さらに大きな対抗軸が出来るからだ。
単に結婚式を嫌ったという話ではない。

グレンはスフェンドヤードバニアの第一王子であり、
王権側の将来を担う人物として存在している。
そこへレベリス王国第三王女のサラキアが嫁げば、
グレン個人の立場だけではなく、
王家同士の結び付きまで一気に強まる。

サラキアの父グラディオ国王も、
以前からこの婚姻を軽く見てはいなかった。
サラキアをグレンのもとへ嫁がせる予定だと明かした時、
スフェンドヤードバニアが教皇派と王権派に割れた、
不安定な状態であることまで問題にしている。

だからサラキア専属のロイヤルガードまで編成した。
単なる姫の旅行ではなく、
内戦状態に近い隣国へ王女を送り出す以上、
王女個人を守る戦力が必要だと判断したのである。
婚姻には最初から政治的な危険が付いていた。

第2期で実際に婚姻の日を迎えると、
その重要性がさらに見えてくる。
場所はスフェン教にとって重要な大聖堂で、
しかも年明けの祝いに定められた日に、
王子と王女が正式に夫婦の契りを交わす。

ところが本来なら、
宗教国家の頂点にいるモーリス教皇が出席してもおかしくない場面で、
当の教皇だけが姿を見せない。
ベリルやアリューシアも、
予定されていた人物が不在であることへ違和感を持つ。

それでも婚姻の儀は進み、
グレンとサラキアは祭壇の前へ並ぶ。
二人は夫婦として互いを支えることを誓い、
銀色の指輪まで用意されている。
国家間の約束が形になる直前まで進んでいた。

ここで大聖堂襲撃が始まる。
動く死体が押し寄せ、
その中には生身の暗殺者まで混ざり、
祝福されるはずだった婚姻の場が、
一瞬で王子王女の命を奪う戦場へ変わる。

偶然の襲撃と見るには、
時機があまりにも出来過ぎている。
王子と王女が確実に同じ場所へ集まり、
護衛も式典へ意識を向け、
王権派の未来を象徴する儀式が行われる。
二人を同時に狙うには絶好の機会だった。

グレンとサラキアを同時に失えば、王権派は後継者と外国との結び付きを一度に失う

モーリス側にとって厄介なのは、
グレン王子だけを排除すれば済む状況ではなくなったことだ。
サラキアとの婚姻が成立すれば、
王子の背後にはレベリス王家との結び付きが生まれる。

サラキアは一般貴族の娘ではない。
レベリス王国国王グラディオの実娘であり、
王家の人間としてスフェンドヤードバニアへ嫁ぐ。
二人の結婚は、
二国間の関係そのものにも影響する。

しかもレベリス王国側は、
サラキアを送り出して終わりではない。
王国守備隊の精鋭を中心に、
専属のロイヤルガードまで作ろうとしていた。
王女を通して隣国へ一定の力が届く形になる。

教皇派から見れば、
王権派を排除する機会は狭くなっていく。
グレンが若いうち、
サラキアとの婚姻が完全に根付く前、
王位継承が固まり切る前ならまだ動ける。
時間が経つほど状況は不利になる。

だから大聖堂襲撃は、
グレン一人だけを狙う暗殺より規模が大きい。
王子と王女を同じ場所で巻き込み、
婚姻そのものを破壊し、
その先に生まれる政治的な結び付きまで断とうとする。

さらに第11話では、
大聖堂から二人が脱出しても攻撃は終わらない。
死体兵を突破した先に、
今度は合成獣という別の戦力まで用意されている。
一度逃げれば助かる襲撃ではなかった。

ここまで徹底していることからも、
狙いが単なる式典妨害ではないと分かる。
婚姻の儀を中止させるだけなら、
大聖堂を混乱させるだけでも目的は達成出来る。
それでも王子王女を追い続けている。

モーリスが止めたかったのは、
グレンとサラキアが夫婦になる一日だけではない。
グレンが王権側の後継者として立ち、
サラキアとレベリス王国がその後ろへ加わる。
その未来そのものが教皇派には脅威だったのである。

第2章 グレン王子はなぜ以前から狙われていた?第1期から続く王権派排斥

第2期の大聖堂襲撃より前から、グレンの周囲では暗殺の動きが始まっていた

グレン王子が命を狙われるのは、
第2期の婚姻の儀が初めてではない。
第1期でレベリス王国を訪れていた時点から、
すでに王子の周囲には不穏な動きがあり、
ベリルたちも事件へ巻き込まれている。

当時のグレンは、
隣国から来た王族としてレベリス王国へ滞在していた。
表向きには友好的な使節であり、
サラキアとも親しい関係を築いていたが、
その裏側では王子の命を狙う計画が進んでいた。

そこへ深く関わったのがロゼである。
ベリルの元弟子だったロゼは、
スフェンドヤードバニア教会騎士団副団長という立場にあり、
本来なら王子を守る側へいてもおかしくない人物だった。

しかし孤児院の子供たちを守りたいという弱みを利用され、
与えられた情報を信じたまま、
グレン王子を危険にさらす側へ追い込まれる。
ベリルとも剣を交えることになり、
事件が単純な外国人暗殺ではないと見えてくる。

その背後では、
教会騎士団前副団長ヒンギスの存在も浮かぶ。
教国の外で起きた事件なのに、
スフェンドヤードバニア内部の教会関係者が絡み、
王子の排除を進めていた形になる。

ここが第2期へつながる重要な点である。
グレンは婚姻が決まったから突然狙われたのではない。
王権派を担う王子という立場そのものが、
以前から教皇派にとって邪魔だった可能性が高い。

第1期では国外滞在中を狙われた。
王国の中心から離れ、
警護体制も普段とは異なる場所で排除しようとした。
しかしベリルたちの介入によって、
グレンは生き延びている。

そして第2期になると、
サラキアとの婚姻が目前まで進む。
以前よりグレンの政治的な価値は高まり、
王権派にとっても、
教皇派にとっても無視出来ない存在になっていく。

第1期では王子一人、第2期では王子と王女を同時に狙うほど攻撃が拡大した

第1期と第2期を比べると、
グレンを巡る攻撃の規模が明らかに変わっている。
以前は暗殺計画の中心にグレンがいたが、
第2期ではサラキア王女まで一緒に標的となる。

これはグレンを取り巻く状況が変化したからだ。
第1期では、
まだ「スフェンドヤードバニアの王子」であることが、
最大の政治的価値だった。

しかしサラキアとの婚姻が現実になると、
グレンはレベリス王家と直接結び付く。
王子を排除する問題が、
教国内の権力争いだけでは済まなくなる。
外国王家との関係まで絡み始める。

第10話から第11話の大聖堂襲撃は、
その直前を狙った攻撃になる。
夫婦の契りが公に結ばれる日なら、
グレンもサラキアも確実に同じ場所へいる。
二人を別々に探す必要がない。

さらに式の場には、
両国関係者や騎士、
スフェン教の聖職者まで集まっている。
そこで王子王女が命を落とせば、
人的被害だけではなく、
王権側の威信まで大きく傷付く。

それでも二人は、
ベリルやアリューシア、
イブロイ、
ヴェルデアピス傭兵団らの助力で大聖堂を脱出する。
すると襲撃側は、
そこで作戦を終わらせない。

次に出てくるのが合成獣である。
死体兵による大聖堂襲撃を突破されても、
さらに別の怪物を教都へ放つ。
王族が生き延びる可能性まで想定した、
二段目の攻撃が準備されていた。

この執拗さを見ると、
モーリス側が本当に止めたかったものが見えてくる。
婚姻式を台無しにするだけなら、
最初の大聖堂襲撃だけでも十分だった。
それでも二人の命を追い続けている。

第1期では、
グレン王子という王権派の若い中心人物を消す。
第2期では、
そのグレンと結ばれるサラキアまで一緒に消す。
二つの事件は規模こそ違っても、
同じ方向へ向かっている。

つまり婚姻の儀で起きた襲撃は、
突然始まった新しい争いではない。
第1期から続いていたグレン排除の動きが、
サラキアとの婚姻によってさらに切迫し、
王子王女を同時に狙う規模へ拡大した事件なのである。

第3章 サラキア王女との婚姻で何が変わる?レベリス王国がグレン王子の後ろに付く

サラキアは「王子の恋人」ではなく、レベリス王家そのものを背負う王女だった

モーリス側から見た時、
サラキア王女との婚姻が厄介なのは、
グレンに愛する相手が出来るからではない。
レベリス王国第三王女との結婚によって、
グレンの背後へ外国王家との正式なつながりが生まれるからだ。

サラキアは第1期から、
単なる隣国の貴族令嬢として描かれていない。
レベリス王国国王グラディオの娘であり、
王宮内部でも明確な身分と立場を持つ。
グレンとの関係も一時的な交流ではなく、婚姻へ向かって進んでいた。

グラディオ自身も、
娘をスフェンドヤードバニアへ嫁がせることに、
かなりの警戒を見せていた。
相手国では教皇派と王権派の対立が続き、
王族が政治争いへ巻き込まれる危険まであるからだ。

そのためサラキアには、
専属のロイヤルガードまで用意される。
第2期でベリルたちがフルームヴェルク方面へ向かったのも、
輿入れを控えた王女の安全と、
移動経路を含む周辺状況を確かめる意味があった。

つまり婚姻は、
王子と王女が式を挙げれば終わる話ではない。
レベリス側も王女を送り出すために護衛を整え、
グレン側も迎え入れる準備を進めている。
国家同士が時間をかけて作った関係だった。

これが成立すれば、
グレンの立場は教国内だけでは完結しなくなる。
王権派の後継者候補である第一王子の後ろに、
隣国レベリス王家との婚姻関係が加わる。
教皇派がグレンを排除する難度は一段上がる。

もし婚姻後にグレンへ何かあれば、
単なる教国内の権力争いでは済まない。
サラキアの夫が狙われたことになり、
レベリス王国側も無関係ではいられなくなる。
モーリス側には外交上の負担まで増えることになる。

だから婚姻前は、
教皇派にとって残された大きな機会だった。
まだ二国の結び付きが完全な形になる前に、
グレンとサラキアの双方を排除出来れば、
王権派の将来を大きく崩すことが出来る。

婚姻成立後は、グレンの王位継承とサラキアの立場が互いを支える

この婚姻が政治的に重いことは、
事件後の二人を見るとさらに分かりやすい。
大聖堂襲撃を生き延びたグレンは、
やがて王太子として王位継承第一位の立場を固める。

サラキアも、
単なる婚約者のままでは終わらない。
王太子となったグレンの妃として、
スフェンドヤードバニア王家の中へ正式に入っていく。
二人の婚姻が王権の将来へ直結した形になる。

モーリス側から見れば、
これは最も避けたい展開だったはずだ。
グレン一人なら、
まだ若い第一王子として排除を狙う余地がある。
しかし婚姻後は、王太子と外国王女の夫婦になる。

しかもサラキアの実家は、
ベリルたちが暮らすレベリス王国である。
王女が嫁いだ先で危険に遭えば、
父グラディオが完全に無関心でいるとは考えにくい。
王権派には国外との接点まで生まれる。

第1期でグレンがレベリス王国を訪れた時には、
まだ王子個人を狙うことが出来た。
ところが第2期では、
そのレベリス王国との関係そのものが、
サラキアとの婚姻によって制度的な結び付きへ変わろうとしている。

ここがモーリスにとって時間的な限界だった。
式が終わり、
サラキアが正式に王家へ入り、
グレンの後継者としての立場が固まれば、
王権派を切り崩す機会は急速に減っていく。

だからサラキア王女も標的になる。
彼女自身が教皇へ何かしたからではない。
彼女がグレンと結ばれることによって、
王権派の未来へ外国王家という新しい支柱が加わるからだ。

モーリスが恐れたのは、
一人の強い王子ではない。
グレンの王位継承、
サラキアとの婚姻、
レベリス王国との外交関係が、
一つのまとまった力になることだったのである。

第4章 なぜ婚姻の儀当日を狙った?二人を同時に排除出来る最大の機会

大聖堂ならグレンとサラキアが必ず同じ場所へ現れる

モーリス側が婚姻の儀当日に動いたことには、
非常に現実的な利点がある。
普段のグレン王子とサラキア王女は、
常に同じ場所にいるわけではない。
護衛体制もそれぞれ異なっている。

ところが婚姻の日だけは違う。
二人は夫婦の契りを交わすため、
同じ時刻に、
同じ大聖堂へ、
必ず姿を現さなければならない。

しかも場所は事前に決まっている。
予定変更さえなければ、
王子王女がどこを通り、
どこに立ち、
いつ儀式が始まるのかまで予測しやすい。
暗殺側から見れば極めて狙いやすい日になる。

第10話では、
ベリルたちも婚姻の儀へ参列するため大聖堂へ入る。
サラキアは花嫁として現れ、
グレンも祭壇側へ立ち、
大勢の人々が二人の門出を見守っている。

そして儀式が進み、
互いに誓いを交わす段階へ入る。
銀色の指輪まで用意され、
二人の関係が公のものとして成立しようとする。
その直後に空気が一変する。

大聖堂内部へ、
本来なら歩けないはずの死体が押し寄せる。
参列者が混乱し、
騎士たちは王族を守りながら応戦し、
祝福の場が一瞬にして戦場へ変わる。

さらに厄介なのは、
敵が動く死体だけではないことだ。
死体兵の群れに生身の暗殺者まで混ざり、
誰が単なる死体で、
誰が意思を持って王族を狙っているのか分かりにくい。

これは数で押し潰すだけの攻撃ではない。
混乱を起こし、
護衛の注意を分散させ、
その隙に王子王女へ近付く。
式典という人の多い場所を逆に利用した戦い方だった。

大聖堂を脱出されても合成獣を投入したことで、狙いが「式の中止」ではないと分かる

もしモーリスの目的が、
婚姻の儀を失敗させることだけなら、
大聖堂が混乱した時点でかなり達成出来ている。
式は続行不能となり、
参列者も避難し、
婚姻の晴れ舞台は完全に破壊された。

それでも攻撃は終わらない。
ベリルたちは、
イブロイやハノイたちの協力を得て、
グレン王子とサラキア王女を大聖堂から連れ出す。
ここで王族は最初の包囲を突破している。

ところがハノイから、
さらに合成獣が投入されることを知らされる。
大聖堂で仕留められなかった場合まで想定して、
次の戦力が用意されていたことになる。

合成獣は、
死体兵とは比較にならないほど巨大で、
一般の騎士が簡単に止められる相手ではない。
獣やモンスターを無理に組み合わせた異形が、
教都そのものへ放たれる。

つまり王子王女が、
大聖堂から逃げれば終わるようには出来ていない。
建物の中では死体兵と暗殺者、
外へ出れば合成獣。
逃走経路まで含めて二段階の危険が待っている。

この構造を見ると、
狙いが婚礼の中止ではないことは明白になる。
式を潰すだけなら、
二人が大聖堂を出た後まで追撃する必要はない。
モーリス側は二人そのものを消そうとしている。

さらに大聖堂という場所を使ったことには、
象徴的な打撃もある。
王権派の次代を担う王子と、
外国から嫁ぐ王女が、
スフェン教の重要施設で命を落とす。

成功していれば、
王権側は後継者を失い、
レベリス王国との婚姻関係も消え、
婚姻を祝う場そのものまで惨劇として残る。
政治的な損失は非常に大きい。

だから婚姻の儀当日は、
モーリス側にとって単なる日程上の偶然ではない。
グレンとサラキアを確実に同じ場所へ集め、
王権派の未来を象徴する瞬間ごと叩ける、
最も効率の良い機会だったのである。

第5章 死体兵だけで終わらなかったのはなぜ?合成獣まで用意した執念

大聖堂から逃げられる可能性まで考え、最初から二段目の攻撃が用意されていた

第11話で見えてくるのは、
モーリス側が大聖堂の死体兵だけに、
王子王女の殺害を賭けていたわけではないことだ。
グレンとサラキアが脱出する可能性まで考え、
その先に合成獣まで用意していた。

大聖堂では最初に、
大量の動く死体が参列者の中へ雪崩れ込む。
ベリルは第1期でレビオス司教が使った死体を思い出し、
通常の人間と同じ感覚で斬っても止まらないと判断する。
胴体や脚を大きく断ち、行動不能にする必要があった。

さらに厄介なのは、
死体兵の中へ生身の刺客まで混じっていることだった。
前方の死体だけに注意を向ければ、
意思を持って動く暗殺者が王子王女へ接近出来る。
護衛側の判断を遅らせるための構成になっている。

それでもベリル、
アリューシア、
ホワイト・メイデンらが前線を支え、
イブロイの判断もあって脱出経路が作られる。
そこへハノイ率いるヴェルデアピス傭兵団まで加わり、
グレンとサラキアは大聖堂の外へ出ることに成功する。

普通の暗殺計画なら、
ここで襲撃側の失敗になる。
標的は包囲を突破し、
護衛の人数も増え、
王宮へ向かって移動を開始している。
ところが今回の事件では、まだ終わらない。

ハノイから知らされるのが、
教都へ合成獣がばら撒かれるという情報だった。
グレン王子もその言葉へ強く反応し、
過去の文献や犯罪録で見た禁忌だと説明する。
複数の生物を繋ぎ、魔力で動かす異形である。

つまりモーリス側は、
死体兵で王子王女を仕留め損ねた後まで見ている。
建物の中では数と混乱で押し込み、
外へ逃げれば巨大な合成獣をぶつける。
一つの失敗で終わらない攻撃になっていた。

ベリルが以前、
魔術師学院地下で遭遇した巨大な異形を思い出すのも当然だった。
一体だけでも一般人には危険な存在が、
今度は複数教都へ放たれる。
王族だけでなく市民まで巻き込む規模に広がっている。

モーリス本人が「四体では少なかった」と語り、偶然の怪物ではなかったと分かる

合成獣とモーリスのつながりは、
後の本人の言葉によってさらに濃くなる。
ベリルとロゼがモーリスへ辿り着いた後、
スレナやアリューシアも現場へ合流し、
教皇を取り囲む形になる。

その状況を見たモーリスは、
合成獣でもう少し押し込めると思っていたこと、
さらに四体では少なかったかという趣旨まで口にする。
ここで投入数まで本人が把握していたことが分かる。

教都へ偶然怪物が現れ、
後から情報を聞いただけの人物なら、
「四体」という数まで自分の失敗として語る必要はない。
少なくともモーリスが、
合成獣投入計画の内側にいたことを示す発言になる。

さらに彼は、
時間が残されていなかったことにも触れる。
ここが今回の婚姻との関係で重要になる。
もっと準備出来れば戦力を増やせたが、
王子王女の婚姻日までに動く必要があったことを思わせる。

つまりモーリス側にも、
好きな時に攻撃出来る余裕があったわけではない。
婚姻が成立し、
グレンとサラキアの立場が固まる前に、
何としてでも結果を出す必要があった。

だから死体兵だけでは足りない。
暗殺者だけでも足りない。
大聖堂を逃げられた場合に備え、
禁忌の合成獣まで投入する。
それほど今回の婚姻を止める価値が高かったのである。

しかも合成獣は、
王族だけを器用に狙う兵器ではない。
教都の街中へ放てば、
一般市民や騎士、
建物まで被害を受ける可能性が高い。
モーリスはその危険まで承知で使っている。

ここまで来ると、
王子王女への執着が個人的な嫌悪ではないと分かる。
多少の被害を出してでも、
グレンとサラキアが生き残り、
婚姻後の王権を形成する未来を止めたかった。

大聖堂の死体兵は第一段階。
その包囲を突破した先の合成獣が第二段階。
二重に攻撃を用意していたこと自体が、
モーリスにとって二人の生存が、
どれほど不都合だったかを示しているのである。

第6章 なぜ婚姻式を中止させるだけでは足りない?婚約そのものを消したかった

大聖堂を襲っただけでは、グレンとサラキアの関係そのものは壊れない

モーリスが本当に欲しかったのが、
婚姻式の中止だけだったと考えると、
第11話以降の執拗な追撃は説明しにくい。
実際、大聖堂が襲撃された時点で、
儀式そのものは正常に続けられない状態になっている。

祭壇の前にはグレンとサラキアが並び、
互いに生涯支えることを誓うところまで進んでいた。
銀の指輪も用意され、
王族と参列者の前で、
二人の関係が公に形になる寸前だった。

そこへ死体兵が押し寄せれば、
婚礼の場としては完全に崩壊する。
参列者は逃げ、
騎士たちは戦闘へ入り、
祝福の儀式どころではない。
式典妨害だけなら、この時点で十分成功している。

しかし二人が大聖堂を出ると、
攻撃はさらに続く。
合成獣まで投入されていることから、
狙いが「今日だけ結婚出来なければよい」ではないと分かる。
二人そのものを消さなければ目的を果たせない。

なぜなら式を一度潰しても、
グレンとサラキアが生きていれば、
婚約関係そのものは残るからだ。
日程を変え、
警備を強化し、
改めて二人を正式に結び付けることが出来る。

実際その後、
大聖堂での婚姻の儀には邪魔が入ったものの、
グレンとサラキアの関係は破棄されていない。
時間が経つと、
グレンは王太子として王位継承第一位の立場を固める。

アリューシアも後に、
グレンが王太子として署名した書状を見せ、
国内だけでなく国外に対しても、
彼が揺るぎない次代の王であることを示す段階へ進んだと説明する。

サラキアについても、
婚姻の儀が襲撃されたからといって、
レベリス王国へ戻って関係を解消したわけではない。
法律上はグレンの妻となり、
王太子妃という立場へ移っている。

つまりモーリスが式だけ潰しても、
最終的には止めたい未来が実現してしまう。
だから標的は儀式ではなく、
グレンとサラキア本人でなければならなかった。

二人が生き残れば、王位継承と外国王家との結び付きがそのまま残る

グレンだけが生き残った場合でも、
王権派には後継者が残る。
サラキアだけが生き残った場合でも、
レベリス王国との婚姻計画を巡る外交的な問題が残る。
二人とも生き残れば、なおさらである。

だからモーリス側から見れば、
最も都合が悪いのは、
二人が揃って事件を生き延びることだった。
王子は王位継承を固め、
王女はその妃として残り、
両国の結び付きまで消えない。

後にグレンが、
「王子」ではなく「王太子」と呼ばれるようになることが、
その結果を象徴している。
王太子は単なる王の息子ではなく、
次代の王として第一順位に立つ人物である。

しかもグレンは、
自国内だけでその呼称を使うのではない。
レベリス王国へ送る正式な書状にも、
王太子として署名するようになる。
国外に対しても王位継承者であることを明確に示している。

サラキアも、
レベリス王国第三王女だけではなく、
スフェンドヤードバニア王太子妃という立場を得る。
二人の婚姻は、
単なる恋愛関係ではなく、
国家間の関係として定着したことになる。

これこそモーリスが、
婚姻前に止めたかった未来だったと考えると分かりやすい。
王権派の次代が決まり、
そこへレベリス王家との婚姻関係が加われば、
教皇派が王権を揺さぶる余地は小さくなる。

そのため大聖堂で死体兵を使い、
王子王女が逃げれば合成獣を投入する。
式が壊れたかどうかではなく、
二人が生存している限り攻撃を続ける構造になっている。

結果的には、
モーリスの狙いは達成されない。
グレンもサラキアも生き残り、
後には王太子と王太子妃として、
王権側の将来を支える立場へ進んでいる。

だから第11話の襲撃を見る時は、
「モーリスが結婚式を邪魔した」と見るだけでは足りない。
止めたかったのは式典ではなく、
その先に出来上がる新しい王権の形だった。

グレンが次代の王となり、
サラキアがその隣に立ち、
レベリス王国との関係まで残る。
二人を殺そうとした執拗な攻撃は、
その未来を根元から断つためのものだったのである。

第7章 二人が生き残った後、モーリスが恐れた未来がそのまま実現する

グレンは王太子となり、王権派の次代がはっきり固まっていく

モーリスが止めたかった未来は、
大聖堂襲撃の後にむしろ具体的な形で実現していく。
グレンは事件を生き延び、
王子という立場からさらに一段進み、
王太子として王位継承第一位の地位を固めていく。

これは単なる呼び名の変化ではない。
「王子」は王の子であることを示すが、
「王太子」は次代の王として、
継承順位の中心へ立ったことを意味する。

大聖堂襲撃以前のグレンは、
教皇派と王権派が対立する中で、
まだ排除出来る若い王子でもあった。
第1期では国外滞在中を狙われ、
第2期では婚姻の儀そのものを襲われている。

しかし二度の危機を越えた後、
グレンの立場は弱まるどころか逆に強くなる。
事件を生き延び、
王族としての正統性を残し、
サラキアとの婚姻関係まで維持した。

後には正式な書状でも、
グレン自身が王太子として署名するようになる。
つまり国内だけでなく、
レベリス王国を含む国外に対しても、
次代の王として扱われる段階へ進んだことになる。

モーリス側から見れば、
これは最も避けたい展開だった。
グレンを若い王子の段階で排除出来れば、
王権派の後継を揺らす余地があった。
しかし王太子として地位が固まれば、状況は大きく変わる。

王権派には明確な次代が生まれ、
周囲の騎士や貴族も、
誰を次の中心として見るか判断しやすくなる。
王位継承の不安定さを利用して、
内部を切り崩す余地も小さくなる。

だから大聖堂襲撃は、
結果としてモーリスの望んだ方向とは逆へ進んだ。
グレンを消すどころか、
彼が次代の王として立つ流れを、
より明確にする事件になっていったのである。

サラキアも王太子妃となり、二国の婚姻関係は消えなかった

さらにモーリスにとって痛いのは、
サラキア王女との関係まで残ったことである。
婚姻の儀は襲撃で壊されたが、
二人の関係そのものは破綻していない。

サラキアはレベリス王国第三王女として、
父グラディオ国王のもとから送り出された人物である。
その婚姻が維持されれば、
グレンの背後にはレベリス王家とのつながりが残る。

後にグレンが王太子となると、
サラキアもその妃として、
王太子妃の立場へ入っていく。
二人の婚姻は個人同士の約束を越え、
国家間の結び付きとして定着していく。

ここまで進めば、
教皇派が二人を切り離すのは難しい。
グレン一人を排除する問題ではなく、
レベリス王国との外交関係まで巻き込むことになる。
サラキアの存在そのものが、王権側の外部との接点になる。

しかも第2期の一連の事件では、
レベリス王国側の人間も深く関わっている。
ベリルやアリューシアたちは、
サラキアの安全を守るために動き、
結果としてグレン王子まで救うことになる。

つまり教皇派が恐れていた、
「王権派とレベリス側が結び付く形」は、
婚姻だけでなく実際の戦闘を通しても強まった。
命を救われた経験まで含めて、
両国の関係は事件前より深くなっていく。

モーリスは、
婚姻の儀を壊せば未来を止められると考えた。
しかし式典は壊れても、
二人の関係は残った。
王子も王女も生き残り、
その先の地位までむしろ安定していった。

結果を見ると、
モーリスが最も避けたかった未来がそのまま実現している。
グレンは王太子となり、
サラキアは王太子妃となり、
レベリス王国との結び付きも消えない。

だからモーリスが、
王子と王女を執拗に狙ったことには、
単なる個人的な敵意以上のものがあった。
二人が生き残れば、
王権派の次代が固まり、
さらに外国王家との関係まで安定する。

大聖堂の死体兵も、
その後の合成獣も、
最終的にはその未来を止めるための手段だった。
しかしどちらも二人を排除出来ず、
王権派の将来そのものを消すことは出来なかった。

つまりモーリスが本当に恐れていたのは、
婚姻式そのものではない。
グレン王子とサラキア王女が生き残り、
次代の王とその妃として並び立つ未来だった。

そして物語は、
まさにその未来へ進んでいく。
第11話の襲撃を最後まで追うと、
モーリスの狙いだけでなく、
なぜ二人の生存が王権派にとって決定的だったのかまで見えてくるのである。

片田舎のおっさん、剣聖になるIIまとめ

『片田舎のおっさん、剣聖になるII』の記事を、大聖堂襲撃・モーリス教皇とスフェン教・ロゼとホワイト・メイデン・ハノイとヴェルデアピス傭兵団・アリューシア・スレナ・ミュイなどに分けてまとめています。
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