シトゥンペの壁は、攻撃を弾く普通の防壁ではなく、ナイトメアフレームの動力へ深く関わるサクラダイトの活動を抑え、接触した兵器を停止させる特殊なエネルギー障壁だった。
そのため黒の騎士団は三年間も北海道へ主力を送り込めなかったが、終盤ではロゼたちがシトゥンペバリアそのものを無効化する作戦へ入り、「壁を正面から壊す」のではなく制御側へ手を入れることで突破口を作る。
「シトゥンペの壁とは?」「サクラダイトを止める仕組み」「どうやって突破した?」「弱点はどこ?」を追うと、北海道が難攻不落だった本当の仕組みまで見えてくる。
第1章 結論|シトゥンペの壁はどうやって突破した?正面破壊ではなくバリアそのものを無効化した
ロゼたちは壁を力任せに壊したのではなく、シトゥンペバリアの機能を止める作戦へ入った
シトゥンペの壁は、
巨大な砲撃を撃ち込めば破壊できる普通の防壁ではない。
ホッカイドウ沿岸部を覆う特殊なエネルギー障壁で、
サクラダイトの活動そのものを抑え、
接触したナイトメアフレームや兵器を停止へ追い込む。
だから突破するには、
壁へ正面から突っ込むより、
バリアを発生させている仕組みそのものを止める必要があった。
第1話「雪解 -Melting Snow-」の時点で、
この壁はすでに三年間、
黒の騎士団によるホッカイドウ解放作戦を阻んでいる。
世界規模の軍事組織になった黒の騎士団が存在するのに、
北海道だけネオ・ブリタニアの占領が続いている。
その最大の障害として、
シトゥンペの壁が最初から置かれている。
黒の騎士団には、
高性能なナイトメアフレーム。
航空戦力。
大型輸送能力。
過去の対ブリタニア戦争を経験した人材。
通常の敵国なら、
部隊を集中させ、
上陸戦や航空作戦で圧力を掛けることができる。
シトゥンペの壁は、
その「戦場へ入る」という最初の段階を潰した。
強い機体を送る。
壁へ近づく。
サクラダイト系の機構が影響を受ける。
出力が低下する。
さらにバリアへ接触すれば、
機体そのものが停止する。
敵ナイトメアと戦う前に、
こちらの武器が使えなくなる危険を抱える。
だから第2話「氷壁 -Ice Wall-」でも、
黒の騎士団本隊が北海道へ雪崩れ込む展開にはならない。
壁の内側にいるロゼとアッシュが、
Zi-アポロを使ってアバシリ強制収容所を奇襲。
七煌星団の黒戸剣成らを救出し、
内部の戦力を少しずつ取り戻していく。
ここが、
シトゥンペの壁攻略の長い前段階になる。
壁を破れない。
なら壁の内側にいる人間を使う。
七煌星団。
ロゼ。
アッシュ。
現地勢力が内側からネオ・ブリタニアを削り、
黒の騎士団は外から支援する。
最初から正面突破とは違う戦い方へ変えざるを得なかった。
第7話以降になると、
黒の騎士団から補給物資や追加人員も届く。
ニーナのような専門家まで加わり、
ダモクレスやフレイヤへの対抗手段も作られる。
しかし、
それでもシトゥンペの壁そのものが残っている限り、
外部戦力を自由に投入できる状態にはならない。
そこで終盤、
第11話ではロゼたちが、
シトゥンペバリア無効化のための作戦へ入る。
ここで初めて、
三年間ずっと「避けるしかなかった壁」を、
直接止める段階へ進む。
敵部隊を倒すだけではなく、
北海道を閉じている仕組みそのものを崩す戦いになる。
重要なのは、
壁そのものを粉砕したわけではないこと。
シトゥンペの壁は、
設備によって維持されるシステム。
なら、
その発生源や制御へ手を入れれば、
巨大な壁全体を物理的に壊さなくても機能を失わせられる。
この発想が突破口になる。
第1話から三年間、
黒の騎士団を止めていたもの。
第2話では、
現地勢力だけで戦わせる原因になったもの。
第7話以降でも、
外部支援を限定していたもの。
終盤でロゼたちは、
ようやくその根本へ手を掛ける。
だから「どうやって突破した?」への答えは、
強力なナイトメアで壁を貫いたからではない。
シトゥンペの壁を、
壊す対象ではなく停止させるシステムとして見た。
正面から防御力を上回るのではなく、
バリアそのものを無効化する作戦へ切り替えたことが、
攻略の核心になる。
三年間破れなかったのは「壁が硬い」からではなく、ナイトメアの強さそのものを奪う仕組みだったから
シトゥンペの壁が厄介なのは、
単純な防御力ではない。
通常のバリアなら、
より強い砲撃。
より大きなエネルギー。
複数方向からの集中攻撃。
そうした方法で限界を探せる。
しかしシトゥンペの壁は、
攻撃する兵器側の性能を先に落とす。
この構造だと、
黒の騎士団が強いほど有利とは限らない。
高性能なナイトメアフレーム。
大出力の武装。
高度な飛行装置。
そうした機体ほど、
サクラダイトを利用した機構へ依存している。
壁の近くでその性能を失えば、
高性能機を持ち込む価値自体が薄くなる。
過去シリーズでは、
ランスロットや紅蓮のような高性能機が、
戦場の常識を変えてきた。
パイロットの能力と機体性能が高ければ、
数的不利をひっくり返すこともできる。
シトゥンペの壁は、
そのコードギアスらしい勝ち方へ、
戦う前から制限を掛ける装置になる。
だから黒の騎士団が、
「もっと強いナイトメアを送ればいい」とはならない。
壁へ触れれば停止。
近づけば出力低下。
その状態でネオ・ブリタニア側の部隊と交戦すれば、
本来なら勝てる相手にも苦戦する。
戦場へ到着した時点で、
こちらだけ不利な条件を背負う。
この仕組みがあったから、
北海道内部では七煌星団の価値が上がった。
彼らは最初から壁の内側にいる。
外から大規模侵入する必要がない。
兵力は少なくても、
ネオ・ブリタニア領内で動けるという一点だけで、
黒の騎士団本隊にはできない役割を持つ。
シトゥンペの壁は、
人を閉じ込めるだけの壁ではない。
外部の巨大戦力を弱くし、
内部の小規模抵抗だけを相手にできる環境を作る。
だからネオ・ブリタニアは、
世界帝国ほどの国力を持たなくても、
北海道を長く支配できた。
そして最後にロゼたちが狙ったのも、
その構造そのもの。
敵軍をさらに倒す。
強い機体を用意する。
そこではなく、
「こちらの強さを奪っている装置」を止める。
三年間破れなかった壁の攻略は、
火力勝負ではなく、
戦場の条件を元へ戻す戦いだった。
第2章 シトゥンペの壁とは何?サクラダイトを止めてナイトメアを無力化する特殊障壁
サクラダイトの活動を抑制し、接触した兵器を完全停止させるところが普通のバリアと違う
シトゥンペの壁は、
物理的なコンクリート壁ではない。
ホッカイドウ沿岸部に設置されたシトゥンペタワーから形成される、
巨大なエネルギー障壁。
最大の特徴は、
バリアに触れた物体を弾き返すことより、
サクラダイトへ作用することにある。
サクラダイトは、
コードギアス世界の軍事技術を支える重要資源。
ナイトメアフレームの駆動。
高性能兵器。
フロートシステム。
各種エネルギー機構。
過去シリーズから、
ブリタニアと日本の戦争そのものへ深く関わってきた。
日本が旧神聖ブリタニア帝国に狙われた背景にも、
サクラダイト資源がある。
富士山周辺をはじめ、
日本は世界有数の産出地域。
旧シリーズでは、
この資源を巡る価値が軍事と政治の両方へ影響していた。
シトゥンペの壁は、
その重要物質を逆に「止める」方向へ利用する。
つまり、
ナイトメアの装甲を破壊する必要がない。
内部のパイロットを倒す必要もない。
動力や制御に深く関わるサクラダイト側へ干渉し、
機体が本来の機能を使えない状態へ落とす。
兵器そのものを壊さず、
兵器として成立しなくする。
ここは、
旧シリーズに登場したゲフィオン・ディスターバーと近い発想がある。
サクラダイトへ干渉し、
ナイトメアフレームの活動を妨害する。
機体性能で上回るのではなく、
相手の動力系そのものを止める。
コードギアスでは以前から使われてきた対ナイトメア戦術になる。
ただしシトゥンペの壁は、
その規模が大きい。
一部の敵機を止める装置ではなく、
北海道沿岸という広大な範囲へ障壁を作る。
黒の騎士団の一個部隊ではなく、
解放作戦そのものを三年間阻めるほどの範囲で機能している。
さらに厄介なのは、
壁へ直接接触しなくても影響があること。
バリア内部では、
サクラダイトを利用した装備のエネルギー効率が悪化し、
高出力装備の使用へ大きな負担が掛かる。
ただ一回通り抜ければ、
すぐ元通りに戦えるという単純な門ではない。
だから、
「じゃあ高速で突っ切ればいい」
とも言い切れない。
通過時に機体が停止すれば、
敵地へ入った瞬間に無防備になる。
仮に何らかの方法で内部へ入れても、
通常よりエネルギー消費が大きければ、
長時間の戦闘や飛行が難しくなる。
空から越える発想にも、
同じ問題がある。
物理的な城壁なら、
高度を上げれば上を通れる。
しかしシトゥンペの壁は、
サクラダイトへ影響するエネルギー領域。
高度だけ変えて簡単に回避できる防壁としては描かれていない。
このため第1話から、
北海道は軍事的な孤島に近い。
海を隔てただけなら近い。
八戸側から見れば、
地理的距離は決して遠くない。
それでもナイトメア戦力を自由に送り込めない。
目の前にあるのに、
軍事的には非常に遠い土地になる。
「誰も通れない壁」ではなく「通ろうとする機械を戦えなくする壁」だから黒の騎士団と相性が悪い
シトゥンペの壁を理解する時、
「絶対に何も通さないバリア」と考えると少し違う。
重要なのは、
機械化された軍事戦力へ強烈な制限を掛けること。
人間一人を物理的に弾き返すより、
ナイトメアや航空兵器を使えなくする方に特徴がある。
だから黒の騎士団との相性が最悪になる。
黒の騎士団は、
世界規模の軍事組織。
強みは、
高性能ナイトメア。
航空戦力。
兵站。
大量の機械化戦力。
そこへサクラダイト活動を抑える壁を置けば、
強みの中心を直接削れる。
逆に、
ロゼや玄蕃のような少人数の潜入。
現地にいる七煌星団。
人間が直接施設へ入り込む作戦。
こうした戦い方の価値が上がる。
第2話のアバシリ強制収容所戦でも、
大艦隊ではなく、
Zi-アポロ一機とロゼの潜入が突破口になる。
物語が進むほど、
この構造は繰り返される。
黒の騎士団が外から支援する。
七煌星団が内側で戦う。
ニーナの技術を入れる。
ロゼが敵施設へ接近する。
アッシュが局所的な戦闘を引き受ける。
大量の兵力より、
必要な人間を必要な場所へ通すことが重要になる。
だからシトゥンペの壁は、
ただ北海道を包む設定上のバリアではない。
『奪還のロゼ』の戦い方そのものを、
大軍同士の正面衝突から、
潜入。
局地戦。
内部工作。
技術戦へ変える装置でもある。
そして弱点も、
この性質の裏側にある。
壁は自然現象ではない。
タワーや制御設備によって維持されるシステム。
どれだけ巨大な障壁でも、
発生源が存在する以上、
そこへ到達して機能を止める余地がある。
黒の騎士団が三年間破れなかったのは、
壁が永遠に無敵だったからではない。
正面から軍事力をぶつける方法が、
シトゥンペの壁に最も相性が悪かったから。
終盤でロゼたちが選んだのは、
その前提をひっくり返す方法になる。
強い兵器で壁へ勝つ。
ではなく、
兵器を弱くする仕組みを止める。
シトゥンペの壁の正体を知ると、
第11話のバリア無効化作戦が、
三年間の戦況を変えるほど重要だったことも見えてくる。
第3章 黒の騎士団はなぜ三年間も突破できなかった?高性能機ほど壁の影響を受けやすい
スザクやカレン級の操縦者がいても、機体そのものが弱体化すれば正面突破は成立しない
黒の騎士団が北海道を三年間も奪還できなかったと聞くと、
単純にネオ・ブリタニア軍の方が強かったように見える。
しかし実際には、
黒の騎士団が持つ最大の強みである高性能ナイトメアと機械化戦力が、
シトゥンペの壁によって戦場へ持ち込めなかったことが大きい。
敵軍へ負ける以前に、
戦う条件そのものを奪われていた。
黒の騎士団には、
旧シリーズから世界最高峰の操縦者がいる。
スザク。
カレン。
さらに各国から集まったナイトメア部隊。
通常なら、
高性能機を先頭へ置き、
後続部隊を送り込み、
一地点へ戦力を集中することで突破口を作れる。
だがシトゥンペの壁の前では、
その戦い方が成立しにくい。
壁へ近づけば、
サクラダイトを使う機構の活動が抑えられる。
機体出力が落ちる。
フロートシステムなど高出力装備も負担が増える。
さらに直接接触すれば、
機体そのものが停止する危険まである。
つまり、
操縦者がどれほど優秀でも、
ナイトメアが本来の性能を出せなければ意味がない。
カレンのように、
機体性能と操縦技量を合わせて大軍を突破するタイプでも、
出力を奪われれば戦い方そのものが変わる。
スザクのような高機動戦も、
機体が正常に動いて初めて成立する。
ここは旧シリーズとの違いが大きい。
『コードギアス 反逆のルルーシュ』では、
ランスロット一機が戦線をひっくり返す場面が何度もあった。
紅蓮も、
カレンの技量と機体性能によって、
数的不利を強引に突破してきた。
強い一機が、
部隊全体の戦況を変える世界だった。
シトゥンペの壁は、
その前提へ直接干渉する。
強い機体を入れる。
その機体が弱くなる。
さらに大量投入すれば、
同じ影響を受ける機体が一斉に増える。
兵力差を広げるほど、
逆に機械化戦力の依存度が高くなる。
第1話「雪解 -Melting Snow-」の時点で、
黒の騎士団が北海道外側に留まり、
七煌星団など現地レジスタンスが内部で戦っているのもこのため。
黒の騎士団が臆病だから動かないのではない。
大軍を入れた瞬間、
本来の戦闘力を失う可能性が高い。
主力を無駄に消耗させるだけになる。
だから北海道奪還は、
旧シリーズのような大規模侵攻ではなく、
現地勢力を使った内部戦へ変わる。
第2話では、
黒の騎士団本隊ではなく、
ロゼとアッシュがZi-アポロ一機でアバシリ強制収容所へ侵入。
少数で局所を叩き、
黒戸剣成らを救出する。
この戦い方は、
シトゥンペの壁が作った戦場条件への適応になる。
大軍を入れない。
必要な機体だけ使う。
内部の情報を利用する。
兵站を小さくする。
敵の中枢だけを狙う。
正面戦争ではなく、
限定された作戦へ変えなければならない。
「黒の騎士団が弱かった」のではなく、黒の騎士団の得意な戦争をさせなかった
黒の騎士団の強みは、
世界規模の連携。
高性能機。
情報共有。
大型輸送。
複数戦線を動かす軍事力。
この全部が、
広い戦場へ自由に入れることを前提にしている。
シトゥンペの壁は、
その前提を北海道周辺で切断する。
一方、
ネオ・ブリタニア側は、
壁の内側で通常通り動ける。
アインベルク。
各地の守備隊。
強制収容所。
ダモクレス。
フレイヤ。
北海道内部には、
すでに自前の軍事施設と戦力が配置されている。
だから戦場条件は最初から不公平。
外側の黒の騎士団は、
壁を越えるだけで弱体化。
内側のネオ・ブリタニアは、
自分たちの補給線と基地を使える。
同じ一機同士が戦っても、
条件が違う。
第7話以降、
黒の騎士団が補給物資や追加人員を七煌星団へ送り込むのも、
この不利を少しずつ埋めるため。
主力全部は送れない。
なら必要な物資だけ。
専門家だけ。
対フレイヤ技術だけ。
内部の戦力が長く戦えるようにする。
ニーナが北海道側へ入る流れも、
同じ発想になる。
彼女は強いパイロットではない。
しかしフレイヤを知っている。
黒の騎士団が持つ「人材の層」を、
必要な場所へ必要な形で渡す。
大軍を送れないからこそ、
専門能力を一点投入する。
つまり黒の騎士団は、
三年間ずっと負け続けていたわけではない。
戦争の入り口を閉じられ、
本来の戦力運用を封じられていた。
その中で、
直接侵攻から間接支援へ戦い方を変え、
内部抵抗を育てるしかなかった。
シトゥンペの壁が厄介なのは、
敵より強い兵器ではなく、
敵の強さを発揮させない兵器だったこと。
黒の騎士団ほど機械化された大軍だからこそ、
この壁との相性が悪かった。
だから「三年間破れなかった」という事実は、
黒の騎士団の弱さを示すものではない。
むしろ、
戦場条件を一方的に変えるシトゥンペの壁が、
どれだけ完成度の高い防衛装置だったかを示している。
第4章 シトゥンペの壁は完全な物理障壁ではない?「通れるのに戦えない」が本当の怖さ
巨大な城壁のように弾き返すのではなく、通過しようとする兵器の機能を奪う
シトゥンペの壁は、
見た目だけなら巨大なエネルギー障壁。
そのため、
普通の防壁のように、
「何も通さない壁」と考えやすい。
しかし本当に厄介なのは、
物体そのものを完全に弾き返すことではない。
この壁は、
サクラダイトへ作用する。
だから問題になるのは、
通過できるかどうかより、
通過した後に戦えるかどうか。
機体が止まる。
出力が落ちる。
高出力装備が使いにくくなる。
敵地へ入った瞬間に、
自分の戦力が大きく削られる。
仮にナイトメアが、
勢いを付けて壁へ突入できたとしても、
接触した段階で停止すれば危険。
北海道側へ押し出されても、
敵陣地の近くで動けない。
パイロットだけが取り残され、
迎撃側から見れば格好の標的になる。
だから、
「通れるなら突破できる」
とはならない。
軍事作戦では、
侵入後に戦闘できることが必要。
到着する。
武器を使う。
移動する。
後退する。
補給を受ける。
この全部が成立して、
初めて侵攻になる。
シトゥンペの壁は、
その中の「機械を正常に動かす」という基礎を壊す。
兵器を物理的に破壊しなくても、
敵軍を戦闘不能へできる。
巨大な砲撃を受け止めるより、
相手側の動力を止める方が効率がいい。
第1話から、
北海道内部で少人数戦が中心になるのも、
この壁の性格と合っている。
ロゼ。
アッシュ。
七煌星団。
彼らは壁の内側にいる。
だから外部から大軍を運ぶ問題がない。
現地にある戦力だけで、
必要な場所へ移動できる。
第2話のアバシリ強制収容所戦も、
まさにその形。
大量の黒の騎士団部隊を上陸させるのではなく、
Zi-アポロ一機。
ロゼの潜入。
アッシュの戦闘。
少人数で施設の中枢だけを潰す。
大規模軍事侵攻には不利。
少人数の潜入には相対的に有利。
シトゥンペの壁は、
戦力の大きさによって有利不利が逆転する装置でもある。
旧シリーズのゲフィオン・ディスターバーと似ているが、北海道全体を包む規模へ拡張されている
サクラダイトを妨害して、
ナイトメアを動けなくする発想自体は、
『奪還のロゼ』で初めて出たものではない。
旧シリーズには、
ゲフィオン・ディスターバーが登場している。
これも、
サクラダイトへ干渉することで、
ナイトメアフレームの活動を妨害する装置だった。
旧作では、
敵ナイトメアを特定範囲で止める。
機体性能の差を消す。
相手の動力へ直接作用する。
力比べではなく、
技術的に戦闘条件を変える兵器として使われた。
シトゥンペの壁は、
この系統をさらに大規模化したような存在に見える。
一つの施設周辺。
一部隊。
局地戦。
その範囲ではなく、
北海道沿岸を長期間覆う。
一時的な妨害装置ではなく、
国境防衛そのものへ組み込まれている。
ここが決定的に違う。
ゲフィオン・ディスターバーなら、
設置場所を探し、
装置を破壊することで対応できる場面もある。
シトゥンペの壁は、
複数のタワーと広域バリアによって、
北海道全体の出入りを制限する。
さらに、
壁の内側で戦う時間が長いほど、
エネルギー問題も重くなる。
高出力装備を多用する。
消費が増える。
補給が必要になる。
黒の騎士団側は、
ただ越えるだけでなく、
越えた後の長時間戦闘まで考えなければならない。
このため、
飛行して上を越える発想も簡単ではない。
通常の城壁なら、
高度を上げれば避けられる。
しかしシトゥンペの壁は、
立体的にエネルギー領域を形成している。
空中戦力も、
サクラダイト依存である限り影響を受ける。
海から回る。
空から越える。
高速で突っ切る。
こうした普通の迂回策が、
根本解決になりにくい。
壁の位置を避けるより、
壁の機能そのものを止めなければならない。
だから終盤の攻略は、
軍事力の増強ではなくシステム停止へ向かう。
壁が存在する限り、
どのルートから入っても同じ問題が残る。
なら、
発生源。
制御設備。
タワー。
そこを狙う方が早い。
シトゥンペの壁は、
「通れない」から強いのではない。
通った後に、
敵の強さを消せるから強い。
しかもその効果を、
北海道沿岸という巨大な範囲で維持できる。
だから三年間、
黒の騎士団は力任せに越えられなかった。
そしてロゼたちは、
最後に「壁を上回る火力」を探すのではなく、
「壁を動かしている仕組み」を止める方向へ進む。
ここに、
シトゥンペの壁の本当の弱点もつながっていく。
第5章 ゲフィオン・ディスターバーとは何が違う?旧シリーズにもあった「サクラダイトを止める兵器」
相手の装甲を破壊せず、サクラダイトへ干渉してナイトメアそのものを止める発想は旧作から続いている
シトゥンペの壁だけを見ると、
『奪還のロゼ』で突然出てきた特殊兵器のように見える。
しかしコードギアスでは以前から、
ナイトメアの装甲へ大火力を撃ち込むのではなく、
サクラダイトへ干渉して機体そのものを動けなくする技術が登場している。
その代表が、
旧シリーズのゲフィオン・ディスターバーになる。
ナイトメアフレームは、
パイロットの技量だけで動く兵器ではない。
高性能な動力。
駆動系。
武装。
ランドスピナー。
後にはフロートシステムまで加わり、
サクラダイトを利用した機構へ大きく依存している。
だから機体を撃破しなくても、
その基盤へ干渉すれば戦闘力を奪える。
旧シリーズでは、
こうした妨害技術を使うことで、
敵側のナイトメアを一斉に機能不全へ追い込む戦い方があった。
相手がサザーランドでも、
高性能な機体でも、
動力側を止められれば同じ。
装甲の厚さやパイロットの腕前を飛び越えて、
「機械として動けるか」という段階へ攻撃する。
これはルルーシュが得意とした戦い方とも重なる。
真正面から、
自軍のナイトメア性能だけで勝つのではない。
地形。
情報。
設備。
敵側の前提条件。
そこへ手を入れ、
戦闘が始まった時点で相手を不利へ落とす。
ナリタ連山でも、
ルルーシュは単純な機体性能勝負ではなく、
地形そのものを利用してコーネリア軍を崩した。
シトゥンペの壁も、
発想としてはその延長線上にある。
「強いナイトメアを倒す」のではなく、
強いナイトメアが強いまま戦えない場所を作る。
ランスロット級の機体であっても、
サクラダイトを使う以上、
活動抑制の影響から完全に自由とはいかない。
ただし、
ゲフィオン・ディスターバーとシトゥンペの壁では、
使用目的と規模がまるで違う。
ゲフィオン・ディスターバーは、
局地的な戦闘で相手の動力を妨害する兵器。
シトゥンペの壁は、
北海道沿岸部に並べたタワーからエネルギー波を発し、
一地域の国境防衛そのものへ組み込んだ巨大システムになる。
公式設定でも、
シトゥンペの壁は、
沿岸部に立つタワーから発せられるエネルギー波によって形成される。
この波がサクラダイトの活性化を抑えるため、
従来兵器は本来の出力を発揮できない。
さらにバリアへ触れれば、
完全停止するところまで効果が強い。
つまりゲフィオン・ディスターバーが、
「戦場の一角で相手の機体を止める兵器」だとすれば、
シトゥンペの壁は、
「北海道へ入ろうとする軍隊全体へ同じ条件を押し付ける防衛網」。
技術思想は似ていても、
使い方が国家規模へ拡張されている。
ブレイズ・ルミナスや絶対守護領域の発展が、局地妨害だった技術を北海道規模の防壁へ押し上げた
シトゥンペの壁が、
旧シリーズ時代から常に使えたわけではない。
公式設定では、
ブレイズ・ルミナスや絶対守護領域などの技術進歩によって、
皇歴2017年以降に実用化へ到達したとされている。
つまり複数世代の防御技術が進歩した結果、
広大な範囲へ安定したエネルギー障壁を作れるようになった。
ブレイズ・ルミナスは、
旧シリーズでも高性能ナイトメアが使った防御装備。
実弾やエネルギー攻撃を、
機体へ直撃する前に防ぐ。
さらに絶対守護領域のような高度な防御技術が登場し、
「機体の前へエネルギー障壁を作る」技術自体が発達していった。
シトゥンペの壁では、
その技術思想を一機の防御へ使うのではなく、
北海道沿岸へ広げる。
一機を守る盾ではなく、
地域全体へ線を引く盾。
しかも単純に砲撃を弾くだけでなく、
サクラダイトの活動まで抑える。
攻撃を防ぐ機能と、
敵兵器を弱体化させる機能が一体化している。
公式設定で興味深いのは、
実用化された後も、
すぐ実戦投入されたわけではないこと。
神聖ブリタニア帝国崩壊後、
世界は平和へ向かい、
この規模の防衛兵器を稼働させる必要が薄れていた。
ところがネオ・ブリタニアが北海道へ侵攻した際、
眠っていた技術を起動する。
だから第1話の北海道は、
古いブリタニア支配が復活しただけではない。
旧帝国時代より進んだ技術まで利用し、
新しい形で封鎖された土地になる。
住民は再びイレヴンと呼ばれる。
支配制度は過去へ戻る。
その一方で、
北海道を閉じる兵器だけは過去以上に進んでいる。
この組み合わせが厄介。
政治的には旧ブリタニアへの逆戻り。
軍事技術では、
旧シリーズ後に完成した新技術。
黒の騎士団は、
かつて倒した帝国と同じ形の支配へ、
以前より厄介な防衛設備を相手に戦うことになる。
しかも、
旧シリーズを経験した黒の騎士団なら、
サクラダイト妨害がどれほど危険か知っている。
「多少出力が落ちても押し切れる」
という種類の相手ではない。
ナイトメアが停止すれば、
パイロットの技量は使えない。
大軍を送り込むほど、
停止した機体と兵員を敵地へ晒す危険まで増える。
だからシトゥンペの壁は、
旧作の技術を知っているほど怖さが分かる装置でもある。
ゲフィオン・ディスターバーで、
一部の機体を止めるだけでも戦況は変わった。
それを北海道沿岸規模で常時展開し、
侵入軍全体へ作用させる。
三年間の封鎖が成立したのも、
単なる巨大バリア以上の技術だったからになる。
第6章 シトゥンペの壁の弱点はどこ?無敵の壁でも発生源と電力を止めれば機能しない
第11話ではノーランドが壁を内陸まで展開し、Zi-アポロまで停止させるほど強力な反面、維持には設備が必要だった
シトゥンペの壁には、
巨大な弱点がある。
どれほど広範囲へ展開できても、
自然に存在する壁ではない。
沿岸部のシトゥンペタワー。
制御設備。
そして稼働させるための電力。
人工的なシステムである以上、
どこかに必ず止められる場所がある。
この弱点が、
第11話「褐襲 -Devastating Force-」で決定的になる。
世界中でロキが人間を襲う中、
ノーランドを止めるためには、
北海道を閉じているシトゥンペバリアまで何とかしなければならない。
ロゼは、
バリア無効化のために新しい作戦を開始する。
しかも第11話では、
シトゥンペの壁の恐ろしさが、
北海道外周だけでは終わらない。
ノーランドがファウルバウトを動かす中で、
シトゥンペバリアが内陸側にも展開され、
ロゼとアッシュが分断される。
外敵を止める国境防衛装置が、
内部の戦場を分断する兵器へ転用される。
アッシュのZi-アポロも、
その影響をまともに受ける。
それまで圧倒的な機動力と戦闘性能で、
アインベルクの強敵と渡り合ってきた機体が、
バリアへ巻き込まれれば沈黙する。
アッシュ本人の腕前ではどうにもならない。
強い機体ほど、
「動かない」という一点で完全に封じられる。
ここで、
第1話から続いてきた壁の設定が、
最後に実戦で突き刺さる。
黒の騎士団が三年間入れなかった。
外部軍が主力を投入できなかった。
その原因になった力が、
今度は主人公側のZi-アポロを直接停止させる。
設定だけで語られていた脅威が、
目の前の機体停止として再現される。
しかし同時に、
壁の弱点も見えてくる。
ノーランドが展開位置を変えられる。
内陸へ出せる。
逆に言えば、
壁は固定された自然現象ではなく、
設備と制御によって操作されている。
なら、
その設備を動かせなくすればいい。
第11話で動き出すのが、
前宮電力を復旧させる作戦。
ロゼたちは、
ただバリアへ砲撃を集中するのではなく、
電力系統。
制御。
施設。
戦場の裏側にあるインフラへ手を入れていく。
ナイトメア同士の勝敗だけでは、
シトゥンペの壁を止められないからになる。
ここは、
第2話のアバシリ戦とも似ている。
アッシュがZi-アポロで外側を突破する一方、
ロゼは内部へ入り、
ギアスを使って管制室を制圧した。
力で全部壊すのではなく、
施設を動かしている中枢を奪う。
ロゼの作戦は、
初期から一貫している。
シトゥンペの壁攻略でも同じ。
外側を覆う巨大バリアだけを見ると、
強敵に見える。
しかしそれを発生させる設備へ視線を移せば、
人間が作った機械になる。
どれだけ巨大でも、
電力がなければ動かない。
制御できなければ、
狙った場所へバリアを展開できない。
最大の弱点は「巨大だから壊せない」壁ではなく、複数設備で維持されるシステムだったこと
シトゥンペの壁を攻略する時、
最も効率が悪いのは、
壁そのものへ力をぶつけ続けること。
北海道沿岸を覆う規模のエネルギー障壁へ、
一機のナイトメアが正面から挑んでも、
必要な出力が桁違いになる。
しかも近づく側のサクラダイトまで抑えられる。
攻撃側だけ出力低下。
防御側は設備から継続供給。
この状態なら、
火力勝負を選んだ時点で不利。
だから見るべきなのは、
「壁はどれほど硬いか」ではなく、
「何が壁を動かしているか」になる。
公式設定でも、
シトゥンペの壁は、
北海道沿岸部に立ち並ぶタワーから発せられるエネルギー波によって形成される。
一枚の巨大な物体が、
海岸線へ埋め込まれているわけではない。
複数の発生設備によって、
バリアという状態を作っている。
なら弱点は明確。
発生設備が止まれば、
バリアも維持できない。
電力が途絶える。
制御系が奪われる。
タワーの機能が失われる。
どこかでシステムの連結が崩れれば、
少なくとも「永遠に破れない壁」ではなくなる。
ここで、
ロゼとアッシュの役割分担も効いてくる。
アッシュは、
動ける状況ならZi-アポロで突破する。
ロゼは、
敵施設。
情報。
指揮系統。
制御側へ手を入れる。
第11話で壁そのものが戦場の中心へ来た時、
最後に必要なのはアッシュの火力だけではなく、
ロゼ型の攻略になる。
黒の騎士団が三年間苦しんだのは、
この弱点へ簡単に近づけなかったからでもある。
タワーは北海道側。
そこへ行くには壁を越える必要がある。
壁を止めたい。
しかし止める設備へ近づくためには、
その壁の内側へ入らなければならない。
入口と弱点が互いを守っている。
だから七煌星団の存在が必要だった。
最初から内部にいる。
ロゼとアッシュも内部で動ける。
黒の騎士団は外側から支援。
この三年間、
外部軍だけでは届かなかった場所へ、
内部勢力が接近できるようになって初めて攻略条件が揃う。
第11話になると、
さらに状況が切迫する。
ロキは北海道だけでなく、
世界各地で人間を襲っている。
ノーランドを倒すには、
北海道内部だけで戦っている時間はない。
シトゥンペバリアを止め、
戦場の分断そのものを解消しなければならない。
そこで壁は、
物語開始時の「北海道へ入れない装置」から、
最終局面の「ノーランドへ到達できない装置」へ役割を変える。
第1話から存在した障害が、
第11話で再び最大級の問題として戻ってくる。
そして攻略法も、
第1話から積み重ねてきた戦い方の延長になる。
強敵を正面から殴り続けるのではない。
内部へ潜る。
設備を奪う。
電力を動かす。
制御へ介入する。
相手が作った有利な戦場条件そのものを壊す。
シトゥンペの壁の弱点は、
「ここだけ装甲が薄い」という一点ではない。
人工設備で維持され、
電力と制御を必要とすること自体が弱点。
だから最後は、
壁より強い武器を作る必要はなかった。
壁を成立させている条件を一つずつ外せば、
三年間破れなかった防壁にも突破口を作ることができた。
第7章 シトゥンペの壁が崩れた時、北海道奪還戦そのものが終盤へ入る
第1話では「外から入れない壁」だったものが、第11話ではノーランドへ届くために越える最後の障害へ変わる
シトゥンペの壁は、
物語の最初から最後まで、
北海道奪還戦そのものを縛っている装置になる。
第1話「雪解 -Melting Snow-」では、
黒の騎士団が三年間も解放作戦を成功させられず、
七煌星団など現地レジスタンスだけが、
壁の内側でネオ・ブリタニアと戦い続けていた。
この時点では、
壁の役割はかなり単純に見える。
外から黒の騎士団を入れない。
北海道内部を孤立させる。
ネオ・ブリタニアが、
世界規模の戦力を持たなくても支配を続けられる環境を作る。
しかし物語が進むと、
その壁が戦況全体へ与えている影響が少しずつ見えてくる。
第2話「氷壁 -Ice Wall-」では、
黒の騎士団本隊が突入する代わりに、
ロゼとアッシュがZi-アポロ一機でアバシリ強制収容所へ奇襲。
アッシュが外側で戦闘を引き受け、
ロゼが内部へ入り、
管制を奪いながら黒戸剣成らの救出へ向かう。
大軍で奪還するのではなく、
少人数で敵施設の中枢を叩く。
これはロゼたちの得意戦法であると同時に、
シトゥンペの壁によって、
大規模侵攻を使えない北海道だから生まれた戦い方でもある。
第7話以降になると、
黒の騎士団から補給物資や追加人員が入り、
七煌星団の戦力も少しずつ厚くなる。
それでも、
外部の主力をそのまま北海道へ入れられるわけではない。
物資。
技術者。
必要な人員。
限られた支援を内部へ送り、
七煌星団が現地で戦う構図は変わらない。
さらにダモクレスとフレイヤまで現れ、
北海道内部の危険は増していく。
壁の外には黒の騎士団。
壁の内側にはアインベルク。
上空にはダモクレス。
そこへフレイヤ。
奪還側は、
外から入れないだけでなく、
内側でも巨大兵器を相手にしなければならなくなる。
だから終盤で必要になるのは、
「敵をもう一部隊倒す」ことではない。
シトゥンペの壁そのものを止め、
三年間続いた分断を終わらせること。
第11話でロゼがバリア無効化へ動くのは、
一つの設備攻略ではなく、
北海道奪還戦の前提そのものを書き換える行動になる。
しかもこの段階では、
ノーランドの計画によってロキが世界各地へ放たれ、
戦場は北海道だけではなくなっている。
人間を無差別に狙うロキを止めるには、
北海道内部で局地戦を続けている時間がない。
ノーランドへ到達するためにも、
シトゥンペバリアによる分断を崩す必要がある。
ここで壁の役割も変わる。
第1話では、
「黒の騎士団を入れない壁」。
終盤では、
「ロゼたちをノーランドへ届かせない壁」。
同じ装置が、
物語開始時と最終局面で、
別の形で主人公たちの前へ立ちはだかる。
だからシトゥンペの壁は、
途中で消える設定ではない。
第1話から置かれた最大の障害が、
第11話で再び戦場の中心へ戻ってくる。
最初に北海道を閉じた装置を、
最後に北海道側の人間が自分たちの手で止める。
この流れが、
奪還戦の大きな節目になる。
壁の無効化で初めて「七煌星団だけが内側で戦う状態」が崩れ、外部戦力と一本につながる
シトゥンペの壁が三年間維持したのは、
北海道の国境だけではない。
味方同士の分断でもある。
外には黒の騎士団。
内側には七煌星団。
どちらもネオ・ブリタニアを倒したいのに、
同じ戦場へ自由に立つことができない。
この分断がある限り、
七煌星団は常に不利。
敵側は、
領地。
守備隊。
アインベルク。
収容施設。
補給網。
国家として戦える。
一方の七煌星団は、
失った兵士や機体を簡単には補充できない。
第2話で黒戸を救出できても、
それだけでは北海道は戻らない。
アインベルクを一人倒しても、
別の騎士がいる。
拠点を守っても、
ダモクレスが出る。
フレイヤがあれば、
一つの勝利を一撃で消される危険まである。
だから第7話以降、
黒の騎士団から補給。
増援。
ニーナのような専門家。
少しずつ外部の力を内部へつなぐ必要があった。
この時点ではまだ、
壁を完全に越えたわけではない。
細い支援線を作り、
七煌星団を延命させている段階になる。
第11話でバリア無効化へ進むと、
この関係が大きく変わる。
それまで、
必要な物だけを少しずつ入れていた。
しかし壁そのものが止まれば、
黒の騎士団側が持つ本来の軍事力を、
北海道戦へ結び付けられる余地が生まれる。
つまり、
七煌星団が突然最強になったわけではない。
黒の騎士団が突然新兵器を手にしたわけでもない。
三年間、
別々に存在していた二つの戦力が、
同じ戦場で機能できる状態へ近づいた。
そこが一番大きい。
この変化を見ると、
シトゥンペの壁の本当の強さも分かる。
敵を直接大量に倒していたわけではない。
黒の騎士団と七煌星団を別々に戦わせ、
本来なら一つになれる戦力を分断する。
その状態を三年間維持したことが、
最大の戦果だった。
だから無効化された時の影響も大きい。
壁一枚が消えるだけではない。
補給。
増援。
航空戦力。
高性能ナイトメア。
外部との連絡。
今まで制限されていた複数の要素が、
一気につながる可能性が生まれる。
北海道奪還戦は、
最初から最後まで、
「どちらの機体が強いか」だけで決まっていない。
第1話では、
壁によって黒の騎士団を切り離す。
第2話では、
その内側で少人数救出戦。
中盤では、
補給と人員を少しずつ通す。
終盤では、
ついに壁そのものを止める。
この流れを追うと、
シトゥンペの壁を突破することが、
単なる一戦の勝利ではないと分かる。
北海道を孤立させていた仕組みを壊し、
内側と外側を同じ戦争へ戻す。
そこで初めて、
三年間続いたネオ・ブリタニア優位の条件が崩れる。
シトゥンペの壁は、
サクラダイトを止める防壁。
しかし物語の中では、
それ以上に、
人と戦力を切り離す装置だった。
だから最後に必要だったのも、
壁より強い兵器ではない。
タワー。
電力。
制御設備。
その仕組みへ手を入れ、
バリアを無効化する。
第1話から北海道を閉じていた条件そのものを消す。
それができた時、
初めて北海道奪還戦は、
「壁の内側だけで耐える戦い」から、
ノーランドへ直接届く最終局面へ進んでいく。


コメント