アトーフェがルーデウスを親衛隊へ誘ったのは、単に魔力が多いからではなく、目の前で戦える人間を自分の基準で認め、強い者を配下へ加えることを当然と考えているから。
アトーフェ親衛隊は普通の騎士団とは違い、戦いを好む不死魔王に付き従い、ムーアを中心に実戦で動く戦闘集団でもある。
だからルーデウスが親衛隊入りを断ると、アトーフェにとっては会話で終わる問題ではなく、「なら戦って決める」という流れへ変わっていく。
第1章 アトーフェはなぜ急にルーデウスを親衛隊へ誘う?戦える人間を気に入ったから
ナナホシを助けに来ただけなのに、アトーフェの中では「親衛隊に入れ」へ話が変わる
第10話「不死魔王との謁見」で、
ルーデウスがアトーフェの城へ来た目的は、
親衛隊へ入るためではない。
病に倒れたナナホシを助けるため、
魔界大帝キシリカの力を借りようとして、
魔大陸まで探しに来ただけだった。
ところがキシリカを見つけた直後、
アトーフェ親衛隊の黒鎧たちに囲まれる。
「キシリカを渡せ」と迫られ、
エリナリーゼが拒否できるのか確認すると、
兵士たちは一斉に剣を抜く。
この時点でもルーデウスたちは、
完全にアトーフェ側の都合へ巻き込まれている。
さらに城へ連れて行かれ、
不死魔王アトーフェ本人と対面すると、
話はもっと予想外の方向へ進む。
ナナホシの病気について相談したい。
キシリカを連れて帰りたい。
ルーデウス側の目的はそこなのに、
アトーフェは突然、
自分の親衛隊へ入るよう求めてくる。
ここで大切なのは、
アトーフェにとってこの勧誘が
冗談でも嫌がらせでもないこと。
ルーデウスが断ると、
「なんで断る」と本気で驚く。
普通なら相手にも家庭や仕事があると考えるところだが、
アトーフェの中では別の考え方が動いている。
強い。
戦える。
見込みがある。
それなら自分のところへ来ればいい。
アトーフェにとって、
気に入った戦士を配下へ加えることは
かなり自然な選択になっている。
だからルーデウスの事情とのズレが大きい。
ルーデウスには、
ラノアに帰る家がある。
シルフィとロキシーがいる。
子供たちもいる。
ナナホシを助けるという目的も残っている。
そんな状態で突然「親衛隊になれ」と言われても、
簡単に了承できるはずがない。
しかしアトーフェは、
その家庭事情まで細かく考えて勧誘していない。
目の前にいるルーデウスを見て、
戦える人間だと判断する。
気に入ったなら仲間にする。
この単純さがあるから、
第10話の会話は急に噛み合わなくなる。
ルーデウスの魔力だけではなく、仲間と一緒に戦えるところまで見ている
アトーフェがルーデウスへ目を付けるのは、
単に大量の魔力を持っているから、
というだけではない。
第10話の戦いでは、
ルーデウス一人だけでなく、
ザノバやエリナリーゼも動く。
相手の動きを見ながら、
それぞれが自分の役割で戦っている。
ルーデウス自身も、
剣士のように正面から殴り合うタイプではない。
距離を取る。
魔術を撃つ。
相手の耐久力を見る。
通じる攻撃を選ぶ。
必要なら仲間と連携する。
これまで何度も、
一人では勝てない相手をそうやって越えてきた。
第2期の転移迷宮でも同じだった。
第22話「親」では、
パウロたちと迷宮の主へ挑み、
ルーデウスは魔術で援護しながら戦う。
前衛が敵を引きつけ、
自分が攻撃を通す。
一人の力だけではなく、
仲間がいることを前提に戦っていた。
アトーフェの価値観では、
こうした戦い方も人間の力に含まれる。
後にアトーフェ側からも、
人族は技術や武具、
仲間まで使って戦うものだと認める言葉が出る。
素手で一対一に勝てなければ価値がない、
という見方ではない。
だからルーデウスが、
剣士のような肉体を持っていなくても関係ない。
魔術が使える。
状況を読める。
仲間も使える。
危険な相手を前にしても逃げるだけではない。
アトーフェから見れば、
十分に「戦える人間」になる。
ここが第10話の勧誘につながる。
ルーデウスは、
自分がアトーフェに仕えるようなことを
何もしていないつもりだった。
しかしアトーフェ側は、
すでに戦士として品定めしている。
だから本人の目的とは関係なく、
「親衛隊に入れ」という話が始まってしまう。
しかもルーデウスが断ることで、
アトーフェはさらに興味を失うどころか、
別の方法で決めようとする。
話して納得できないなら、
戦えばいい。
その勝負で相手を認め、
自分の側へ加えればいい。
この考え方が、
第10話後半の戦闘へそのままつながっていく。
第2章 なぜ断っただけで戦いになる?アトーフェは勝負で相手を認める
ルーデウスには当然の拒否でも、アトーフェには「なぜ嫌なのか」が分からない
ルーデウスからすれば、
親衛隊入りを断るのは当然だった。
ナナホシを助けたら、
ラノアへ帰らなければならない。
家にはシルフィやロキシーが待っている。
研究や家族との生活を捨て、
魔大陸の魔王へ仕えるつもりなど最初からない。
ところがアトーフェは、
その拒否を簡単には受け入れない。
自分の親衛隊へ入れる。
強い相手なら歓迎する。
それなのになぜ断るのか。
本人の中では、
むしろルーデウスの方が不思議なことを
言っているような反応になる。
第10話の面白いところは、
この二人が最初から別の常識で話していること。
ルーデウスは、
相手の意思を確認して所属を決める感覚。
アトーフェは、
戦える者を見つけたら自分の側へ置きたい感覚。
同じ「親衛隊」の話でも、
二人が想像している重さがまるで違う。
しかもアトーフェは、
言葉で何時間も説得するタイプではない。
断られた。
納得できない。
それなら戦う。
勝負を通して相手を確かめる。
第10話で謁見から戦闘へ移る流れも、
この性格を知ると急な話ではなくなる。
これは過去のアトーフェにもつながっている。
彼女自身、
戦って相手を認める人生を送ってきた。
後に夫となる初代北神カールマンも、
最初から恋人だったわけではない。
実際に戦い、
アトーフェを倒した人物。
アトーフェにとって勝負は、
相手を見るための大きな基準になっている。
だからルーデウスにも、
同じような基準を当てる。
肩書はどうでもいい。
魔術師だから駄目でもない。
家族持ちだから特別扱いするわけでもない。
目の前で戦えるか。
自分が認める相手なのか。
そこを勝負で確かめようとする。
親衛隊への勧誘は「就職」ではなく、アトーフェの仲間にされる話に近い
「親衛隊」と聞くと、
王や魔王の近くを守る護衛集団を想像しやすい。
城を守る。
主君を警護する。
命令を受けて任務へ向かう。
もちろんアトーフェ親衛隊にも、
そうした役目はある。
ただ第9話から第10話を見ると、
もっと戦闘集団としての色が強い。
キシリカを発見すれば、
すぐ現場へ向かう。
エリナリーゼが拒否を口にすれば、
親衛隊は一斉に剣を抜く。
アトーフェの命令が出れば、
戦う準備へ迷わず移る。
つまりルーデウスが誘われたのは、
安全な城勤めではない。
戦いを好む不死魔王の側へ入り、
アトーフェが動けば一緒に動く集団。
本人が争いへ飛び込むなら、
親衛隊もその後ろを追う。
かなり実戦寄りの所属になる。
ルーデウスにとっては、
ますます入れない場所でもある。
第1期では魔大陸から
エリスを故郷へ返すために戦った。
第2期ではゼニスを救うために
危険な転移迷宮へ入った。
第3期でも、
ナナホシを助けるという目的があって
アトーフェの城まで来ている。
ルーデウスは、
戦いそのものを求めて旅をしているわけではない。
守りたい人がいる。
助けたい相手がいる。
そのために必要なら戦う。
対してアトーフェは、
戦うこと自体にかなり前向き。
ここでも二人の生き方が大きく違う。
だから「親衛隊に入れ」という言葉は、
ルーデウス側からすると
生活を丸ごと変えるほど重い。
ラノアを離れる。
家族と離れる。
アトーフェに従う。
戦いが起これば参加する。
軽い勧誘では済まない。
一方のアトーフェは、
そこまで深刻に考えていない。
強い奴がいる。
自分は気に入った。
なら親衛隊へ入れ。
断るなら勝負する。
この単純な流れで動いている。
だから第10話で、
ナナホシ救出の話から突然
親衛隊入りへ飛んだように見える。
でもアトーフェの中では、
途中で話が変わったわけではない。
目の前のルーデウスを見て、
「こいつは自分の側に置きたい」と判断した。
その瞬間から、
彼女にとっては親衛隊の話が本題になっていた。
第3章 アトーフェ親衛隊とは何者?黒鎧で動く不死魔王の戦闘集団
キシリカを見つけた瞬間に現れ、拒否されると一斉に剣を抜く
アトーフェ親衛隊が、
ただ城の中で魔王を守る護衛ではないことは、
第9話からすでに見えている。
ルーデウスたちがようやくキシリカを見つけた直後、
黒い鎧を着た兵士たちが現れ、
キシリカを渡して城へ来るよう要求する。
ルーデウス側には、
ナナホシを助けるという事情がある。
キシリカの力を借りなければ、
ドライン病への手掛かりが得られない。
だから簡単に引き渡すわけにはいかない。
そこでエリナリーゼが拒否できるのか確認すると、
親衛隊はほとんど迷わず剣を抜く。
この反応だけでも、
親衛隊の立場はかなり分かりやすい。
交渉役として来ているだけではない。
アトーフェの命令を実行するために来ており、
相手が従わなければ戦闘へ移る。
言葉で止まらないところまで含めて、
不死魔王の直属部隊になっている。
しかもルーデウスは、
彼らをただの雑兵とは見ていない。
黒鎧で統一され、
動きにも迷いが少ない。
一人だけ強いのではなく、
複数人が同時に動くことを前提にしている。
第10話でアトーフェ本人が前へ出た後も、
背後には親衛隊という集団が残っている。
ここが怖いところになる。
アトーフェ一人なら、
ルーデウスたちも相手の動きを見て対策を考えられる。
しかし親衛隊まで同時に動けば、
前衛を抑える者、
魔術師へ詰める者、
逃げ道を塞ぐ者と役割を分けられる。
数まで含めて戦われると、
ルーデウス側の負担は一気に増える。
第10話では、
ザノバやエリナリーゼもルーデウスと一緒にいる。
それでも相手は、
不死魔王本人だけではない。
親衛隊まで含めて一つの勢力。
だからルーデウスが親衛隊入りを迫られた時、
単なる「魔王の部下にならないか」という軽い誘いではなくなる。
アトーフェのそばにいる者は、
必要ならその場で剣を抜き、
魔王が戦えば一緒に戦う。
それが親衛隊。
城の警備兵というより、
アトーフェ自身の戦いに付き従う
実戦部隊と見る方が近い。
親衛隊長ムーアは、アトーフェの勢いを現実の戦いへ変える人物
親衛隊の中で特に重要なのが、
ムーアという人物になる。
アトーフェは、
考えるより先に動くことが多い。
気に入った相手がいれば誘う。
断られれば怒る。
戦いたくなれば前へ出る。
その勢いを実際の部隊として動かすのがムーアたち親衛隊になる。
つまり親衛隊は、
アトーフェの命令を聞くだけの集団ではない。
魔王が何をしようとしているのかを察し、
必要な位置へ動き、
周囲を固める。
アトーフェ本人が豪快だからこそ、
その周囲には状況を見て動ける者が必要になる。
第9話でのキシリカ確保も、
まさにその形。
アトーフェ本人が街まで探しに来るのではなく、
親衛隊が先に動く。
対象を見つける。
囲む。
要求を伝える。
拒否されれば武器を構える。
魔王の意思を、
現場で実行する役目を担っている。
後の戦いでも、
親衛隊はアトーフェと切り離せない。
アトーフェが前へ出れば、
親衛隊もその後に続く。
魔王だけを倒せば、
周囲がすぐ解散するような集団ではない。
長く仕えているからこそ、
本人の性格も戦い方も理解している。
ルーデウスが親衛隊へ入るということは、
この中へ入ることになる。
ムーアたちと並び、
アトーフェの命令で動く。
必要なら知らない土地へ向かい、
敵を見つければ戦う。
ラノアで家族と暮らす現在とは、
まったく違う生活になる。
だから親衛隊入りは、
肩書を一つ増やすだけではない。
住む場所も、
仕える相手も、
日々の行動も変わる。
ナナホシを助けたら家へ帰るつもりだったルーデウスに、
突然そんな生活を差し出している。
断るのが自然なのは、
ここまで見ればさらに分かりやすい。
第4章 なぜ親衛隊入りを断ると戦いになる?アトーフェは勝負で決めようとする
アトーフェにとって「嫌なら仕方ない」ではなく「なら戦おう」になる
ルーデウスが親衛隊入りを断った時、
アトーフェが簡単に引かないのは、
相手の気持ちを理解できないからだけではない。
彼女自身が、
大事なことを勝負で決めてきた人物だから。
言葉だけで納得できなければ、
実際に戦って確かめようとする。
第10話でも、
ルーデウスは親衛隊へ入るつもりがないと伝える。
普通の勧誘なら、
ここで話は終わる。
しかしアトーフェは終わらせない。
自分が気に入った相手なのに、
なぜ拒否するのか。
そこで相手を諦めるより、
戦う方向へ進んでしまう。
ルーデウスからすれば、
かなり困る展開になる。
ナナホシを救いたい。
キシリカの協力を得たい。
できれば無事にラノアへ帰りたい。
アトーフェと勝負することは、
最初の予定にはまったく入っていない。
しかしアトーフェ側には、
その予定は関係ない。
目の前に戦える人間がいる。
自分は気に入った。
なら親衛隊に加えたい。
断られた。
それなら力で決める。
考え方が一直線だから、
会話から戦闘への距離が非常に短い。
ここはアトーフェの過去ともつながる。
彼女は後に夫となる
初代北神カールマンとも戦っている。
最初から信頼関係があったわけではない。
実際に剣を交え、
自分を倒した相手を認め、
そこから関係が変わっていく。
だからアトーフェにとって、
戦うことは必ずしも憎しみではない。
相手を見る。
力を知る。
認める。
その先で仲間にする。
普通の人間なら会話で済ませるところを、
アトーフェは勝負で確かめようとする。
ルーデウスが拒否したことで、むしろ「どこまでやれる奴か」を見られる
親衛隊入りを断ったルーデウスは、
そこでアトーフェとの関係を切れたわけではない。
むしろ拒否したことで、
直接戦うところまで進んでいく。
アトーフェから見れば、
気に入った人間が自分の誘いを断った。
なら実際に戦って、
どれほどの相手なのか確かめればいい。
ルーデウスは、
正面から剣だけで戦える人物ではない。
距離を作る。
魔術を撃つ。
相手の動きを見る。
仲間と位置を合わせる。
第2期第22話の転移迷宮でも、
パウロたち前衛と役割を分けて
迷宮の主へ攻撃を通している。
第10話でも、
一人で格好良く勝つことより、
生き残るために使えるものを使う。
ザノバの頑丈さ。
エリナリーゼの前衛能力。
自分の魔術。
周囲の状況。
そうしたものを合わせて戦うのが、
ルーデウスのこれまでの戦い方になる。
アトーフェも、
人族が仲間や武具を使うこと自体を
卑怯だとは考えない。
人族には人族の戦い方がある。
技術も装備も仲間も、
その人物が持っている力の一部。
だからルーデウスが剣士ではなくても、
評価の対象から外れない。
この点が、
親衛隊へ誘われたことともつながる。
アトーフェが欲しいのは、
自分と同じ戦い方をする人間ではない。
戦場で役に立つ。
簡単には折れない。
必要なら仲間を使ってでも勝とうとする。
そこを見ている。
だから勧誘を断った後の戦いは、
単なる罰ではない。
アトーフェにとっては、
「本当に親衛隊へ入れる価値があるか」
を確かめる勝負にもなる。
ルーデウスからすれば迷惑でも、
アトーフェ側では筋が通っている。
そしてこの価値観は、
後の二人の関係にも残る。
戦った結果、
相手を認める。
一度認めれば、
敵味方の形まで変わる。
第10話で突然始まった親衛隊勧誘は、
その場だけの変な会話ではなく、
アトーフェが昔から続けてきた
「戦って相手を見る」という生き方そのものだった。
第5章 アトーフェはルーデウスの何を気に入った?魔術だけではない
大量の魔力より、「仲間と一緒に戦える人間」として見られている
アトーフェがルーデウスへ興味を持ったのは、
魔力量が多いからだけではない。
第10話で実際に向き合うと、
ルーデウスは一人で正面から殴り合わず、
ザノバやエリナリーゼと役割を分け、
通る攻撃を探しながら戦っている。
その戦い方そのものが、
アトーフェの目に入っている。
ルーデウスは昔から、
自分一人ですべてを解決するタイプではない。
第1期の魔大陸では、
ルイジェルドが前へ出て、
エリスが接近戦を担当し、
自分は魔術で援護する形を何度も取ってきた。
三人で危険な依頼を抜け、
故郷を目指して進んだ経験が、
今の戦い方にも残っている。
第2期の転移迷宮でも同じ。
第22話「親」では、
パウロたちが迷宮の主へ接近し、
ルーデウスは後方から魔術を撃つ。
ゼニスを救うという目的のために、
誰が一番強いかではなく、
全員が何をできるかを組み合わせて戦っていた。
第10話でも、
アトーフェの大きな身体を見て、
無理に剣で張り合うようなことはしない。
距離を取る。
相手の動きを見る。
魔術を試す。
仲間の位置を確認する。
ルーデウスにとっては、
危険な相手へ生き残るための普通の戦い方になる。
アトーフェは、
こうした人族の戦い方そのものを否定しない。
後の場面でも、
技術。
武具。
仲間。
使えるものを全部使って戦うのが
人族の強さだと認めている。
だからルーデウスが、
自分一人ではアトーフェへ勝てないとしても、
それだけで評価が下がるわけではない。
仲間を使える。
魔術を選べる。
危険な相手へ向かえる。
その全部をまとめて、
「戦える奴」と見ている。
ここが、
ルーデウスが親衛隊へ誘われた大きなところ。
アトーフェは、
剣士だけを集めたいわけではない。
自分の側に置いた時、
戦場で使える人間かどうかを見る。
ルーデウスは、
魔術師として十分に目立つ存在だった。
怖がって逃げるだけではなく、必要ならアトーフェ本人へ向かえる
アトーフェが気に入るのは、
力の大きさだけではない。
目の前に不死魔王がいても、
必要なら戦うところまで進めるか。
ルーデウスは慎重ではあるが、
守りたい相手がいる時には逃げ続けない。
第1期第21話「ターニングポイント2」では、
オルステッドとの圧倒的な差を前にしても、
ルーデウスは魔術を使って抵抗した。
結果はほとんど一方的。
胸を貫かれ、
命を落としかけるほどの敗北になった。
それでも危険な相手へ魔術を向けた経験は、
現在のルーデウスにも残っている。
第2期の転移迷宮でも、
パウロを失った直後だからといって
その場から逃げることはできなかった。
ゼニスを助けるため、
迷宮の主へ攻撃を続ける。
怖いかどうかより、
今ここで何をしなければならないかを優先する。
ルーデウスは、
そういう場面を何度も越えてきた。
第10話でも目的は同じ。
ナナホシを助ける。
キシリカを連れて帰る。
そのためにアトーフェとぶつかる必要があるなら、
戦わざるを得ない。
最初から勝負を求めていなくても、
必要な場面では魔王本人へ向かう。
アトーフェから見れば、
こういう相手は分かりやすく魅力的になる。
強そうな魔術師がいる。
仲間も使える。
危険な相手を前にしても、
必要なら戦う。
それなら自分の側へ置きたい。
親衛隊への勧誘が出るのも、
彼女の感覚では自然になる。
逆にルーデウス側からすると、
かなり迷惑な評価でもある。
本人は戦士として認められたいわけではない。
家へ帰りたい。
家族と暮らしたい。
ナナホシを助けたい。
そこへアトーフェだけが、
「こいつは使える」と別の目で見ている。
だから二人の会話は噛み合わない。
ルーデウスは、
今の生活を続けたい。
アトーフェは、
戦える相手を見つけたら仲間にしたい。
どちらも自分の感覚では自然だから、
親衛隊入りを巡る騒動が大きくなっていく。
第6章 親衛隊に入ったらどうなる?アトーフェの配下として戦い続ける生活
城を守るだけではなく、アトーフェが戦えば親衛隊も一緒に出る
アトーフェ親衛隊へ入った場合、
ずっと城の中で警備するだけでは済まない。
第9話から見ても、
親衛隊は命令が出れば街へ出る。
キシリカを探す。
対象を見つける。
囲む。
拒否されれば剣を抜く。
かなり現場へ出る部隊になる。
しかも仕えている相手が、
不死魔王アトーフェ。
本人が安全な場所から指示だけを出すタイプではない。
気になる相手がいれば自分で前へ出る。
戦いたくなれば戦う。
勝負が始まれば、
親衛隊もその後ろへ続く。
後の戦いでも、
この形は変わらない。
強敵が現れた時、
アトーフェは長い相談を続けるより、
自分が先頭に立って飛び出していく。
そこで親衛隊へ
自分について来るよう命じる。
ムーアたちも、
そのまま戦場へ向かう。
つまり親衛隊になるということは、
アトーフェの戦いへ付き合うことでもある。
どこへ行くのか。
誰と戦うのか。
安全なのか。
毎回じっくり相談してから決める生活ではない。
魔王が動けば、
部下も動く。
ルーデウスには、
この生活がかなり合わない。
第3期の現在は、
ラノアに家がある。
シルフィがいる。
ロキシーがいる。
子供たちがいる。
大学や魔術研究もあり、
ナナホシとの研究にも関わっている。
そこからアトーフェの城へ移り、
親衛隊として暮らすなら、
今までの日常を大きく変えなければならない。
家族と離れる可能性もある。
戦いのたびに呼ばれる。
アトーフェの命令が出れば、
危険な場所へ行くことになる。
第10話でルーデウスが断るのは、
アトーフェを嫌っているからだけではない。
そもそも人生そのものが合わない。
ルーデウスは、
戦うために生きているわけではない。
家族を守るため、
必要な時に戦う。
そこがアトーフェとの大きな違いになる。
「親衛隊になれ」は、今の家族生活を捨てて魔王へ仕えろに近い
親衛隊入りを軽い誘いに見てしまうと、
ルーデウスがなぜ即座に断るのか分かりにくい。
しかし実際には、
所属先を少し変えるような話ではない。
暮らす場所。
仕える相手。
戦う相手。
毎日の行動。
全部が変わる可能性がある。
第2期でルーデウスは、
ようやくシルフィと再会し、
結婚して家を持った。
その後ロキシーも家族へ加わり、
ゼニスもラノアへ連れて帰る。
第1期の転移事件から長く失われていた
「家族と暮らす日常」を、
ようやく取り戻してきた。
第3期でナナホシを助けようとしているのも、
その生活の延長にある。
空中城塞へ行く。
病気の原因を探る。
キシリカを探すため魔大陸まで向かう。
危険な行動はしているが、
目的が終われば家へ戻るつもりで動いている。
そこへアトーフェから、
「これからは自分の親衛隊になれ」と言われる。
ルーデウス側からすれば、
今まで作ってきた生活を置いて、
突然魔王の配下になれという話。
ナナホシ救出とはまったく別の問題になる。
しかも親衛隊の生活は、
平穏とはかなり遠い。
アトーフェは不死魔族。
自分は大きな傷を負っても戻れる。
だから普通の人間より、
戦いへ出ることへの抵抗も小さい。
その感覚に親衛隊も付き合う必要がある。
ルーデウスは不死ではない。
胸を貫かれれば死にかける。
第1期でオルステッドに倒された時も、
第2期の転移迷宮でも、
死と隣り合わせの場面を経験してきた。
家族ができた今は、
無意味に危険へ飛び込む立場でもない。
だから「入ったらどうなるの?」への答えは、
アトーフェの近くで働ける、
というだけではない。
不死魔王の配下になり、
親衛隊と共に動き、
魔王が戦う場面では自分も戦う。
今のルーデウスには、
かなり重い選択になる。
そしてアトーフェは、
その重さをルーデウスと同じようには見ていない。
自分が気に入った。
親衛隊に入れ。
一緒に戦えばいい。
本人の中では、
それくらい自然な話になっている。
だから第10話の親衛隊勧誘は、
二人の考え方の違いが一番よく出る場面でもある。
戦える者は仲間にしたいアトーフェ。
家族との生活を守りたいルーデウス。
同じ勝負を前にしていても、
欲しいものがまったく違う。
その差が、勧誘から戦闘へ進む流れをさらに面白くしている。
第7章 親衛隊入りを断ったことで、逆にアトーフェとの関係が始まる
配下にはならなかったが、戦ったことでアトーフェはルーデウスを認める
第10話でルーデウスは、
アトーフェから親衛隊へ誘われても、
そのまま受け入れることはしない。
家族との生活があり、
ナナホシを助けるという目的もある。
だから親衛隊入りを断り、
結果としてアトーフェ本人と戦う流れへ進んでいく。
普通なら、
ここで勧誘は完全に失敗したことになる。
断られた。
戦った。
なら関係も終わる。
しかしアトーフェの場合は逆で、
実際に戦ったことで、
ルーデウスという人間をさらに強く認めるようになる。
アトーフェは昔から、
言葉だけで相手を見る人物ではない。
自分を倒した初代北神カールマンを認め、
その後は夫婦となり、
北神流まで学んでいる。
第10話でも同じように、
相手がどこまでやれるのかを勝負の中で確かめようとする。
ルーデウスも、
アトーフェと同じ戦い方をするわけではない。
剣だけで正面から押し切らない。
魔術を使う。
仲間と動く。
相手の隙を探す。
自分が持っているものを全部使って、
勝つ方法を考える。
その姿は、
アトーフェから見れば十分に人族らしい戦い方になる。
一対一の力だけで判断せず、
技術も武具も仲間も含めて、
その人物が持つ力として見る。
だからルーデウスが自分と同じ魔王型の戦士でなくても、
戦える相手として認めることができる。
ここで面白いのは、
親衛隊入りを断ったこと自体が、
関係を切る結果にはならなかったこと。
むしろ断ったから戦う。
戦ったから互いの力を知る。
力を知ったから、
後の関係へつながっていく。
第10話の時点では、
アトーフェが上から
「親衛隊になれ」と言っている。
ルーデウスは、
その命令へ従う立場に見える。
しかし二人の関係は、
このまま固定されるわけではない。
後には「配下になれ」と言ったアトーフェ自身がルーデウス側へ回る
この先の原作では、
ルーデウスとアトーフェの立場が
大きく変わる場面がある。
最初はアトーフェが、
ルーデウスを自分の親衛隊へ入れようとしていた。
ところが後には、
アトーフェ自身がルーデウスへ力を貸す側へ回る。
ここでも、
アトーフェの考え方は変わっていない。
戦う。
勝敗が決まる。
相手を認める。
認めたなら、
その結果を受け入れる。
第10話で見せた一直線な価値観が、
後の関係でもそのまま続いている。
だからアトーフェは、
負けた後まで延々と恨み続けるタイプではない。
自分が認めた勝負なら、
その結果を受け入れる。
強い相手を見つければ、
最初は自分の配下へ置きたがる。
逆に自分が負ければ、
相手を認めて力を貸すこともできる。
この性格を知ると、
第10話の「親衛隊になれ」も
単なる身勝手な命令ではなく見えてくる。
アトーフェなりの最大級の評価でもある。
どうでもいい相手なら、
わざわざ自分の側へ置こうとはしない。
戦える人間として気に入ったからこそ、
親衛隊という話が出ている。
もちろんルーデウス側からすれば、
それでも迷惑な勧誘には変わらない。
家族がいる。
ラノアへ帰りたい。
ナナホシを助けたい。
突然魔王の配下になる余裕などない。
その事情をアトーフェが理解してくれないから、
第10話の騒動が大きくなる。
ただ結果として、
この一件は無駄にはならない。
ルーデウスはアトーフェという人物を知り、
アトーフェもルーデウスを覚える。
親衛隊入りは成立しなくても、
「戦って認めた相手」という関係が残る。
後にルーデウスが、
さらに大きな敵と向き合う時、
アトーフェのような存在が力を貸す意味は大きい。
第10話では敵に近い位置にいた魔王が、
後には同じ側で戦う可能性を持つ。
その始まりが、
あの親衛隊勧誘だったと見ることもできる。
だから「なぜ急に親衛隊へ誘ったのか」を追うと、
答えは第10話だけでは終わらない。
アトーフェは、
戦えるルーデウスを気に入った。
自分の側へ置きたかった。
断られたから勝負した。
その勝負を通じて相手を認めた。
そして「親衛隊へ入ったらどうなるのか」を見ると、
アトーフェと共に戦う生活が待っている。
城を守るだけではない。
魔王が動けば親衛隊も動く。
危険な戦場へ出ることもある。
家族との生活を持つルーデウスには、
簡単に選べる道ではない。
第10話の親衛隊勧誘は、
突然出てきた変な命令に見える。
でもアトーフェの価値観を知ると、
強い相手を見つけたから仲間にしたい、
断るなら戦って確かめたい、
認めた相手とはその後も関係が続く、
という一本の流れでつながっている。
最初は、
「ルーデウス、お前がオレの配下になれ」
という形だった。
しかしその関係は、
後には逆方向へ動いていく。
だから親衛隊入りを断った第10話は、
アトーフェとの関係が終わった場面ではない。
むしろ二人が互いを知り、
長く続く関係が始まった場面になる。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
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