『チー付与』のミラベルは、暗殺の母に育てられ、若くして一流になった暗殺者。
コーネリアスからグレンダ暗殺を依頼される一方、育ての母との関係にも苦しんでいる。
やがてレインたちの仲間になる彼女を、殺す側から誰かを守る側へ向かう変化とともに追う。
、
漫画7巻までのネタバレあり。
第1章 ミラベルは何者? 暗殺の母に育てられた若き暗殺者
人物 |
ミラベルとの関係 |
|---|---|
暗殺の母 |
育ての親。家業の暗殺を教える |
コーネリアス |
グレンダ殺害を依頼する人物 |
グレンダ |
暗殺の標的となる副ギルドマスター |
レイン |
狙われる側から、後に守りたい仲間へ |
エルシー |
新しい居場所となる青の水晶の長 |
若くして一流になった少女が、 グレンダを狙う
グレンダを狙う暗殺者として現れた
ミラベルを見ると、まず気になるのは、
彼女がどこまで自分の意思で動いているのか
ということ。依頼を受けて人を殺す冷静さと、
育ての母から離れようとする苦しさ。
その両方を抱えているため、敵として
登場した時の姿だけでは、
彼女のことを言い切れない。
ミラベルは、暗殺の母に育てられた
若い暗殺者。年齢に反して一流とされる
腕を持ち、コーネリアスからグレンダ殺害の
仕事を依頼される。偶然事件に巻き込まれた
一般人ではなく、最初から誰かの命を奪う
役目を負って物語に入ってくる人物に当たる。
ここで混同しやすいのが、彼女と
「王獣の牙」の関係になる。グレンダは
同ギルドの副ギルドマスターで、
コーネリアスも所属する冒険者。
それに対してミラベルは、コーネリアスに
雇われた側に立つ。ギルド内部のもめ事に、
外から暗殺という手段を持ち込む
接点になっている。
仲間同士の対立なら、口論や処分で終わる
余地もある。そこへ暗殺者が呼ばれた時点で、
グレンダは知らないところで命を狙われる
立場に変わってしまう。副ギルドマスター
としての力や、周囲からの信頼があっても、
内側から向けられる殺意まで防げるとは
限らない。この不意打ちの怖さが、
ミラベルの登場には伴っている。
一方、若くして一流という肩書から、
本人が仕事に誇りを持っている、
殺すことを楽しんでいる、とまでは
決められない。技術の高さと、その仕事を
続けたいかどうかは別の話になる。
ミラベルの場合は、母から教え込まれた
生き方があるため、上手にできることと、
自分で選んだことが重なっているのかが
引っ掛かる。
暗殺の母という呼び名は強烈で、つい母の
外見や振る舞いのほうへ目が行く。
それでもミラベルにとっては、自分を育てた
身近な親に当たる。恐ろしい暗殺者の弟子
という説明だけなら、逃げたい時に
逃げれば済むように見えるかもしれない。
家族として過ごした時間まで含まれると、
そんなに簡単には割り切れなくなる。
物語が進むと、ミラベルはレインたちの
仲間になる。漫画5巻の紹介でも、
その加入は明かされている。したがって、
彼女を最後まで変わらない敵と受け取る
必要はない。ただ、仲間になる結末が
分かっていても、最初の暗殺依頼まで
無害な出来事に変わるわけではなく、
そこにはグレンダの命が懸かっている。
ミラベルが関わる事件には、コーネリアス
だけでなく、その先でグレンダを慕う人々も
つながっている。目の前の依頼人だけを
見れば一対一の仕事でも、命を奪えば
周囲の関係まで動いてしまう。
彼女が自分で選ぶ生き方を探す話と、
暗殺の結果が消えずに残る話は、
最初から隣り合っている。
彼女の怖さを消さずに、その内側にある
迷いにも触れる。ミラベルを知るには、
敵としての行動と、そこから離れようとする
行動の両方が関わってくる。
敵として現れたミラベルは、 後に仲間になる
ミラベルの変化を考える時、レインが
元のギルドを追放されていることも重なる。
レインは役に立たないと扱われ、
居場所を失った人。それに対して
ミラベルは、殺す技術を持つ者として
育てられている。置かれた状況は違っていても、
人から与えられた評価と自分自身を
切り離しにくいところには、
通じるものがあると考えられる。
もちろん、二人が同じ経験をしたとは
言えない。レインの追放と、暗殺者としての
養育では、失ったものも背負う責任も異なる。
それでも、目の前の相手を能力だけで
扱わない人物に出会うことは、ミラベルが
自分の役目を疑い始めるきっかけになり得る。
強いから勝つという話だけでは
届かない部分が、そこに残っている。
敵が仲間になる展開では、主人公の力に
負けて従う流れもある。ミラベルについて
気になるのは、戦いの勝ち負け以上に、
暗殺を続ける自分しか思い描けなかった
状態から動けるのかという点になる。
仕事を断ったら何が残るのか。
その不安まで消えなければ、新しい場所へ
進む一歩はなかなか踏み出せない。
ミラベルの正体は、誰に育てられ、
誰の依頼でグレンダを狙い、その後に
誰を守るために動くようになるのかという
流れから見えてくる。行動の相手が
変わっていくところに、母から受け取った
生き方を少しずつ離れる過程がある。
ただし、彼女が苦しんでいることと、
暗殺の被害を軽く扱うことは別になる。
ミラベルに寄り添いたくなるほど、
グレンダの側に残されたものも気に掛かる。
救われてほしい人物が、別の誰かを
傷つけている。その引っ掛かりを残したまま
仲間入りを迎えるから、彼女のその後は
明るい一言では片付かない。
若い暗殺者という紹介の先にいるのは、
仕事をこなす腕を持ちながら、
その仕事だけで自分を決められたくない
少女と考えられる。ミラベルを知る入口は、
強さの順位よりも、殺すために
差し向けられた彼女が、やがて守るために
危険へ向かう変化にある。
第2章 暗殺の母は実母? ミラベルを育てた親との関係
実母ではなく、 暗殺を教えた育ての親
暗殺の母は、ミラベルの育ての親
として紹介されている。「母」という
呼び名だけで実の親子と受け取ってしまい
そうになるものの、まず押さえたい関係は
そこになる。ミラベルに暗殺を教えた師でもあり、
暮らしの中で親として接してきた相手でもある。
仕事と家族が、最初から重なっている。
母は代々暗殺稼業を営む家の
有名な暗殺者に当たる。自分だけが始めた
仕事を娘へ無理に押し付けている、
という一代限りの話には収まらない。
母自身も受け継いできた生き方の延長で、
ミラベルに同じ道を歩ませようとする。
その連なりがあるからこそ、
娘がやめたいと願うことは、
母の中では家のあり方を揺らす
申し出にもなり得る。
ただ、代々続いているからといって、
ミラベルがその仕事を続けなければ
ならないことにはならない。母にとって
生活の柱となる技術でも、娘にとっては
人の命を奪う役目になる。
育ててもらった恩と、これから同じ仕事を
するかどうかを、一つの答えで
片付けるのは難しい。
暗殺の母という名前だけを見ると、
家庭の中でも常に怖い顔で命令している
人物を想像しやすい。それでも、
親子の関係は仕事の指導だけでは終わらない。
食事や住まい、帰る場所としての家まで
含まれると、ミラベルが母を拒むことは、
自分の暮らしを支えてきたものから
離れることにもつながる。
ここに、他人同士の師弟関係とは違う
苦しさがあると考えられる。
技術を教える相手なら、その指導を受けるか
どうかを仕事の話として断れるかもしれない。
母が相手になると、断る言葉の中に、
親を悲しませるのではないかという迷いまで
入り込む。暗殺をやめたいという願いが、
家族を捨てたいという宣言に
すり替わってしまいかねない。
血のつながりが明示されていないから、
情まで薄いとは言えない。
むしろ育ての親という関係には、
面倒を見てもらった時間や、自分を
迎えてくれた相手への思いが積み重なる
場合もある。ミラベルの心の中を勝手に
決めることはできないものの、
実母ではないと分かっただけで、
離れる難しさがなくなるわけではない。
家業を継がせる母と、 別の道へ進む娘
暗殺の母を演じる柴田理恵は、
母自身も上の世代の言う通りに家業を続け、
娘にも継がせようとする人物として
捉えている。これは演じ手の解釈になるが、
母がなぜ同じ道を疑わず娘へ渡そうとするのかを
考える手掛かりになる。
娘を育てることと、家の仕事を続けさせることが、
母の中で近い場所にあるのかもしれない。
母の側に事情があると知ると、
簡単に憎めなくなる部分も出てくる。
それでも、その事情で娘の苦しさが
消えることはない。家を守ろうと
一生懸命でいることと、相手が選ぶ余地を
狭めてしまうことは、同時に起こり得る。
悪意だけで動いていない親の言葉ほど、
子どもが拒みにくくなる場合もある。
ここで母をただの怪物にしてしまうと、
ミラベルがなかなか離れられない心も
見えにくくなる。怖い相手なら逃げたいと思う。
その一方で、ずっと自分を育ててきた相手でもある。
この二つが同じ顔をしていることが、
母娘の関係を苦しくしていると考えられる。
母娘の問題が仕事だけで済まないのは、
ミラベルが家業をやめたいと伝える
漫画の場面にも表れる。母は娘を迎える
態度から一転し、暴力を振るって
家の外へ放り出す。帰ってきた娘として
受け入れられることと、暗殺をやめる娘として
受け入れられることが、同じではないと
突き付けられる場面になる。
娘が別の道へ向かう時、母に求めているものは
大げさな称賛とは限らない。
少なくとも、暗殺を続けない自分にも
居場所があると感じられたら、離れ方は変わる。
ところが、家業を継ぐことが親への恩返しと
結び付いてしまうと、仕事をやめる選択まで
裏切りのように感じられてしまう。
ミラベルの場合、母と同じ仕事を十分に
こなせるだけの力があることも、
別の重さになる。一流なのにやめるのか、
教えてもらった技術を捨てるのか。
そんな言葉を本人が実際に受けたかどうかとは
別に、できる仕事をやめたい時には、
その能力自体が引き留める材料になり得る。
けれど、できることが一つあるからといって、
それ以外の人生を選べないわけではない。
ミラベルが別の場所へ向かう展開には、
戦闘の腕を失わずとも、その使い道は
変えられるという広がりがある。
母から受け継いだものを持ったままでも、
母と同じ生き方を繰り返さない選択は
残っている。
親子の問題に決着がつく時、
娘が母より強くなれば全て解けるとは限らない。
腕力で勝てても、認めてもらいたい気持ちまで
消えるわけではないため。
暗殺の母との関係で気に掛かるのは、
その強さより、ミラベルが自分の望みを
母の望みと別のものとして
持てるかどうかになる。
ミラベルにとって母は、倒せば終わる敵と
同じ位置にはいない。自分を育て、
技術を教え、家を与えてきた相手から
離れることになる。その重さを考えると、
仲間になるという後の展開も、
所属先の変更だけでは済まない。
母の許しだけを頼りにせず、自分の行き先を
決め始める出来事として受け取れる。
第3章 母から離れたいのに離れられない ――ミラベルが抱える苦しさ
仕事をやめたい気持ちが、 親への裏切りになる時
人を殺せるほどの技術を持つ少女が、
母との関係では動けなくなる。
その落差に戸惑う。敵の隙を読む力があっても、
家族の前で自分の望みを言い切れるとは限らない。
戦いで身に付けた強さが、そのまま
心の自由を保証してくれないところに、
ミラベルの苦しさがある。
担当する富田美憂も、ミラベルの成長には、
親の支配から離れるという面があると
語っている。明るい掛け合いをする人物で
ありながら、母のことで苦しむ場面もある。
普段の反応だけを見て平気そうに感じても、
その人が家の中で抱える問題まで
軽いとは限らない。
暗殺者として育てられたミラベルにとって、
仕事をやめることは、単に収入の手段を
替えるだけでは終わらないと考えられる。
それまで教わったことや、母から期待されてきた
役目まで問い直すことになる。
別の道を望むたび、自分を育ててくれた相手の
人生まで否定するように感じてしまえば、
言葉は出にくくなる。
外から見れば、母のもとを出たほうが
楽に見える時もある。それでも本人には、
出た後にどこへ行けばよいのかという
現実が残る。住む場所も仕事も、
何をしてよいかの判断まで、長く家に
結び付いていたなら、自由になることには
不安も伴う。離れたい気持ちだけで、
次の生活まで一度に用意できるわけではない。
しかも母は、ミラベルにとって最初から
見知らぬ加害者ではない。
親として暮らしてきた時間がある相手になる。
つらい言葉を受けたとしても、以前の優しさや
世話をしてくれた記憶が思い浮かぶことはある。
そうした入り混じる気持ちまで、
意志が弱いからという一言では片付けられない。
ミラベルを気に掛けたくなるのは、
殺しの技術があるのに泣くから、
という単純な落差だけではない。
自分が嫌なことを嫌だと感じても、
その感覚より母の判断を先に置いてしまう
苦しさが想像できるため。
何を選ぶか以前に、自分が選んでよいのか
という問いから始めなければ
ならないのかもしれない。
母が望む娘でいれば、少なくとも次にすることは
分かる。依頼をこなし、教わった技術を使い、
家業を続ける。その枠を離れると、
正解を示してくれる相手までいなくなる。
苦しい場所にも慣れがあり、
未知の場所には怖さがある。
この釣り合いは、他人が想像するほど
軽くはない。
一流の暗殺者でも、 自分を肯定できるとは限らない
一流という評価は、外から与えられるものになる。
暗殺に成功すれば役立つと認められるとしても、
それは仕事の結果への評価であって、
何もしない自分まで受け入れられているとは限らない。
成果が出せる人ほど、成果を出せなくなった時に
自分の居場所がなくなると感じる場合もある。
ミラベルについても、腕が立つから
自信に満ちているとは考えにくい。
人を殺す能力に結び付いた評価だけを
受け取り続ければ、暗殺をやめた後の自分を
想像しづらくなる。役目を捨てた先に
何も残らないように感じたなら、
本人が別の生き方を望んでも、
すぐには動けない。
漫画の遺跡での出来事では、レインが、
人を殺す役目とは別にミラベル自身の
価値を認めようとする。
彼女が何人殺せるかではなく、
彼女自身へ言葉が向けられる。
これまで役目に結び付いていた評価と違うため、
単に仕事を替えればよいという提案より、
深いところへ触れると考えられる。
レインとの出会いが関わるのは、
その仕事の外側にいる自分へ
目を向けられるかどうかという部分になる。
敵として近づいた相手から、
暗殺の成果とは別の扱いを受ける。
もしそこで、自分が働く道具としてしか
見られていないわけではないと感じられれば、
それまでの基準は揺らぎ始める。
ただ、誰かに優しくされた一度の出来事で、
長く染み付いた考えが全部なくなるとは限らない。
新しい言葉を受け入れたくても、
母の言葉が頭を離れないことはある。
変わりたいと思う時と、元の場所へ
戻りたくなる時が交互に来ても、
それだけで前へ進んでいないとは言えない。
殺しをやめる決意は、優しい言葉を
一つ覚えるだけでは実行できない。
依頼を断り、母と話し、元の生活へ
戻らない行動が必要になる。
レインに肯定されてうれしい気持ちと、
その言葉を信じて本当に動く怖さには距離がある。
ミラベルの変化には、その間を
自分で渡る時間も含まれている。
ここでレインにできるのは、
ミラベルの代わりに人生を決めることではないと
考えられる。母から離れろと新しい命令を
出してしまえば、従う相手が変わるだけにも
なりかねない。別の生き方をしてもよい相手として
接することが、彼女の選択を支えるほうへ
つながる。
ミラベルが自分で行き先を選ぶことには、
母を嫌いになることとは違う難しさもある。
親への思いを全て消せなくても、
同じ仕事は続けたくないと決められる。
好きか嫌いかの二択にできない関係だからこそ、
一緒にいるかどうかも、
それとは別に考える必要が出てくる。
母のもとを離れた後まで見据えると、
彼女に必要なのは、暗殺の仕事をしなくても
続く人間関係になる。失敗したら見捨てられる、
役に立たなければ帰れない。
そんな不安を増やさずにいられる場所があれば、
ミラベルは初めて、自分の望みをゆっくり
確かめられるのかもしれない。
彼女の苦しさは、母を一度拒めたら解決
という形には収まりにくい。
それでも、言えなかった望みを口にし、
自分で選んだ人のそばへ向かう変化は残る。
暗殺者としての仕事ではなく、
ミラベルという一人の人間の行き先が
生まれていくところに、気持ちが引かれる。
第4章 グレンダを狙った依頼 ――ミラベルとコーネリアスの接点
同じギルドにいるグレンダへ 向けられた殺意
グレンダを狙う計画の発端には、
コーネリアスがいる。ミラベルが自分で標的を探し、
個人的な恨みからグレンダへ向かった
という話ではない。コーネリアスが雇い、
殺害を計画する。この依頼主と実行する側の
違いを押さえると、ギルド内部で何が
起きているのかが見えやすくなる。
グレンダは「王獣の牙」の副ギルドマスターに当たる。
冷淡な性格として紹介される一方、
ギルドメンバーからの信頼は厚い。
優しい口調で接する人ではなくても、
組織の中で頼られている人物になる。
その彼女を、同じギルドに所属する
コーネリアスが狙うところに、
外からの襲撃とは違う怖さがある。
組織が弱った時、内部の人間が同じ方向を
向くとは限らない。「王獣の牙」は
レインの強化付与が解除され、
装備の力を失っている。
そこで必要になるのは、まず現状をどう
立て直すかという話になるはず。
しかし、混乱の中でコーネリアスは、
仲間の命を奪う手段へ進んでしまう。
副ギルドマスターの立場なら、
周囲に指示を出したり、ギルドの方針に
関わったりする場面も想像される。
ただ、その権限があるから安全というわけではない。
むしろ、異なる思惑を持つ者にとっては、
従わせにくい相手にもなり得る。
グレンダが狙われる事件は、
地位がそのまま守りにならないことを突き付ける。
ここでコーネリアスの細かな内心まで
一つに決めることはできない。
グレンダへの恐れなのか、自分の計画を
妨げられたくないのか、あるいは複数の思惑が
重なったのか。殺害を企てた事実と、
本人が何をどこまで考えていたかは分けたい。
分からない心の内を足すより、
実際に誰を使って誰を狙ったかが、
この事件の重さを伝えている。
ミラベルは、その内部対立を実際の殺害へ
結び付ける位置にいる。
依頼を受ける側だからといって、
関与が小さくなるわけではない。
コーネリアスに殺意があっても、
それを実行する者がいなければ、
同じ形では事件にならないため。
依頼主と暗殺者は、別の立場から
一つの命へ向かっている。
ミラベルが若いことも、この依頼を軽くしない。
依頼主の側には、自分の狙いを実現するために
彼女の技術を利用する構図がある。
一流の腕があるから大人と対等に
扱われている、とも限らない。
仕事を断る選択や、依頼の中身を問い直す余地が
どれほどあるかは、技量だけでは測れない。
レインを連れ戻す計画と、 殺す計画は違う
同じ時期に「王獣の牙」が進めるのは、
レインを強制的に連れ戻そうとする計画になる。
装備への強化が失われたと知れば、
以前の力を取り戻したくなる。
そのために追放した相手を再び必要とする展開は、
レインからすれば身勝手に映る。
いらないと追い出された後で、
能力だけを取り戻しに来られても、
戻ることをためらってもおかしくない。
ただ、連れ戻すことと殺すことは同じではない。
強化を受け直したいなら、
レインが生きている必要がある。
それに対してコーネリアスは、
光竜の遺跡へ潜入してレインを殺そうとする。
元のギルドに属する人たちでも、
レインへ向ける狙いは
一つにまとまっていない。
この食い違いがあるため、ミラベルを
「王獣の牙が差し向けた暗殺者」とだけ
説明すると、個々の行動がぼやけてしまう。
ギルド全体が同じ殺害方針を選んだとまでは
言えない。少なくともグレンダ暗殺の依頼は、
コーネリアス個人の計画として
押さえるほうが、事件に近い。
遺跡へ向かう顔ぶれにも、
その違いが表れている。
レイン、リリィ、マーガレットには、
過去のクエストや失った人をめぐる問題がある。
コーネリアスとミラベルは、
そこへ別の目的を持って入ってくる。
同じ場所を歩いていても、全員が
同じものを探しているわけではない。
リリィたちが過去の恐怖と向き合おうと
している間に、現在進行形の殺意まで
持ち込まれる。その重なりは落ち着かない。
遺跡の魔物だけに警戒していれば
済む状況ではなく、人間同士の思惑も危険になる。
ミラベルの存在は、冒険の外にあったはずの
暗殺を、すぐそばへ近づけてしまう。
一方で、依頼された仕事と行動を共にする相手が
近づくことは、暗殺者にとっても
変化の入り口になり得る。
名前だけ渡された標的と、会話をして
同じ危険にさらされる相手では、距離が違う。
相手を仕事の対象として見続けられるのか
という問いが、ミラベルにも返ってくる。
グレンダを狙う依頼も、レインを狙う計画も、
命を他人の都合で扱う点でつながっている。
その中にいたミラベルが後にレインを
守ろうとするから、行動の変化が際立つ。
誰かに決められた標的へ向かう姿から、
自分で守りたい人のために動く姿へ、
彼女は別の一歩を踏み出していく。
コーネリアスにとって都合のよい結果と、
ギルド全体の立て直しは、必ずしも重ならない。
グレンダを狙う仕事を追うと、そのずれに
ミラベルが使われていることも見えてくる。
彼女の技術が、依頼主の望む方向へ
差し向けられている。
第5章 グレンダ暗殺は成功した? 狙われた副ギルドマスターの結末
この章は、漫画で描かれる
グレンダの死亡について触れる。
漫画ではグレンダが死亡し、 事件は後まで残る
グレンダは暗殺を免れて後に合流する人物ではなく、
漫画ではコーネリアスの依頼を受けた
ミラベルに殺される。
計画だけが空振りに終わる事件ではないため、
ミラベルのその後を知るほど、
最初に奪われた命のことも気に掛かる。
生死を知りたい疑問への答えは、
グレンダが死亡する、となる。
ただし、誰かが彼女を嫌っていたからという
曖昧な説明では、事件の形が変わってしまう。
命を狙う計画を立てたコーネリアスと、
実行に関わったミラベル。
その二人がいた結果として、
グレンダは戻れない側へ置かれる。
グレンダはレインを追い出した
ギルドの幹部に当たる。
そのため、最初から親しみやすい人物としては
見えにくい。それでも、主人公に厳しく
接する側の人物なら、どんな目に遭ってもよい
ということにはならない。
追放をめぐる問題と、命を奪われることの間には、
大きな隔たりがある。
冷淡な性格と、部下から厚く信頼されていることも、
矛盾せずに並ぶ。人への接し方が柔らかいか
どうかと、苦しい時に頼りになるかどうかは
別になるため。グレンダの死は、
レインから見た元のギルドだけでなく、
そこにいた人々の側にも欠けた場所を作る。
副ギルドマスターという肩書だけなら、
倒される幹部の一人として流れてしまいそうになる。
それでも、その人物を信じていた人がいると
分かれば、死の見え方は変わる。
組織の役職が一つ空くのではなく、
頼っていた相手がいなくなる。
グレンダの事件が後まで尾を引くのは、
その関係も残されるためと考えられる。
ミラベルにとって、依頼は一つの仕事として
終わるかもしれない。しかし被害を受けた側には、
仕事が終わったという区切りは来ない。
誰が頼み、誰が手を下したのかを知らない人には、
不在や疑いが残る。
暗殺という仕事の完了と、
周囲の人の悲しみの終わりは、
同じ時刻には訪れない。
ミラベルとグレンダが、暗殺と無関係な場所で
出会っていたらどうなったかは分からない。
だからこそ、二人の関係が依頼された側と
標的という形に固定されてしまったことがつらい。
相手の暮らしや、誰がその人を待っているかを
知る前に、命を奪う仕事だけが進んでしまう。
ミラベルを救いたい気持ちと、 消えない被害
漫画では、グレンダを慕っていた半分との関係にも、
この事件がつながる。
半分にとって彼女は、失われても構わない
幹部ではない。ミラベルが新しい仲間のために
動く頃にも、グレンダを失った側の時間は
続いている。別の場所で始まった暗殺が、
後の人間関係へ返ってくる形になる。
ミラベルが母との関係に苦しんでいると知ると、
彼女にも別の居場所があってほしくなる。
その気持ちと、グレンダの死がつらいという
気持ちは、同時にあってよい。
どちらかを選ばなければ話を理解できない
わけではない。救われてほしい相手が、
誰かを傷つけた側でもあることが、
彼女を見る時の引っ掛かりになる。
ここで、母に育てられたのだから
全て母が悪いと片付けると、
ミラベル本人の行動が消えてしまう。
反対に、殺した側なのだから苦しさなど
考えなくてよいとすると、彼女がなぜ暗殺を
自分の役目として受け入れてきたのかが
見えなくなる。行為の重さと、
その行為へ至った環境は、両方残っている。
コーネリアスの依頼も、
母から受け継いだ仕事も、
ミラベルの判断に関わる。
それでも、その後に彼女自身が選び直す話が
あるなら、最初の選択まで
他人だけのものにはできない。
自分で動けるようになることは、
自分がしてきたことから完全に
自由になることとは違う。
仲間になる展開があるからといって、
グレンダが無事に生きていることにはならない。
この取り返せなさが、ミラベルの新しい生活に
重さを残している。明るいやり取りが増えるほど、
過去を知らずに見ていた時と同じ気分では
いられない場合もある。
楽しく過ごしてほしいと思いながら、
亡くなった人のことも頭に残る。
一方で、過去に命を奪った人間は
変わってはいけない、とも言い切れない。
変わらずに暗殺を続けることが、
失われた命への答えになるわけでもないため。
新しい生き方を選ぶことと、
過去が消えることを一つにしなければ、
ミラベルの再出発を願う気持ちも、
グレンダを惜しむ気持ちも
置き去りにせずに済む。
後のミラベルが誰かを守るために
危険へ向かう時、その行動は
グレンダを生き返らせない。
それでも、以前と同じ依頼を受け続ける姿とは違う。
変化には限界があり、取り戻せないものがある。
その中でも、次に何をするかは変えられる
というところに、彼女のその後の切実さがある。
グレンダの運命を知った後では、
ミラベルの物語は、母から解放されてよかった
という一言だけでは閉じにくい。
彼女に選ぶ自由が生まれることはうれしい。
けれど、その自由を持てなかった
被害者の時間も戻らない。
二つの気持ちが同じ場面に残るため、
仲間入りの先まで気になってしまう。
生き残った側には、この先の時間がある。
グレンダにはそれが残らない。
その違いを抱えて進むからこそ、
ミラベルが選ぶ次の行動にも、
簡単には消えない重さが伴っている。
第6章 暗殺者のミラベルは、 なぜレインたちの仲間になる?
出来事 |
相手と立場 |
|---|---|
暗殺の仕事 |
コーネリアスの依頼でグレンダを狙う |
新しい仲間 |
漫画ではレインたちに加わる |
半グレへの潜入 |
漫画ではレインから敵の目をそらす |
変化の中心 |
依頼された殺害から、自分で選んだ保護へ |
仕事の標的から、 レインとの別の関係が生まれる
殺すために近づいた相手と、
同じ場所で過ごすようになる。
ミラベルの仲間入りには、
その大きな向きの変化がある。
漫画5巻の紹介は、すでに彼女が
加わった状態から始まっている。
暗殺の母のもとでしか暮らせない人物ではなくなり、
レインたちの隣に居場所を持つようになる。
ただ、仲間という言葉は便利な分だけ、
その前後を短くしてしまう。
敵をやめたら、すぐ安心して毎日を
送れるとは限らない。自分が標的にした相手と
顔を合わせ、同じ時間を過ごすことには、
気まずさや戸惑いも伴うと考えられる。
関係が変わっても、以前の自分まで
消えるわけではない。
レインは、目の前の人を助けようとする
お人好しとして描かれる。
一方で、場が深刻でも奇妙な行動や
ボケを挟む人物でもある。
頼もしい言葉だけを選んで話す、
隙のない保護者ではない。
その少しずれた接し方が、ミラベルにとって
母と同じ評価の枠に戻されない空気に
つながる可能性もある。
役に立てるか、仕事に成功するかという基準で
相手を見るなら、一流の暗殺者は
便利な戦力になる。しかし、レインたちと
過ごすことを戦力の移籍だけにしてしまうと、
ミラベルが得るものは小さくなる。
暗殺の母から離れても、新しい場所で
同じように成果を求められるだけなら、
本人の苦しさは形を変えて続いてしまう。
彼女にとって必要なのは、強いからいてよい
という許可だけではないと考えられる。
働けない時、失敗した時、仕事をしたくない時でも、
話をする相手がいること。
本人がどう過ごしたいのかを、
能力とは別に扱ってもらえること。
そうした関係ができるかどうかで、
居場所の質は変わってくる。
ここで「青の水晶」のギルドマスター、
エルシーの立場も関わってくる。
エルシーは、挫折した冒険者の支えになる
人物として紹介されている。
何かをうまくできる人だけを集める場所とは
違う入口があるため、母の期待する役目から
離れたミラベルにも、そこへ向かう余地が見える。
母の外にも、 帰れる場所ができる
レイン自身が追放を経験していることも、
新しい居場所を考えるうえで外せない。
元のギルドでは不要とされた相手が、
別の場所では日常を送っている。
その姿は、ある場所で与えられた評価が、
人生全体の判定にはならないことを示している。
ミラベルも、母が知っている自分だけで
終わらなくてよいのかもしれない。
もちろん、レインが追放された後に成功したから、
ミラベルも同じように進めると
保証されるわけではない。
技術も経験も、抱えた過去も違う。
ただ、今いる場所の外に人が暮らしていて、
別のつながりを作れるという事実は、
自分だけでは思い描けなかった道を近くする。
母の外へ出ることは、母から教わった技術を
全部失うことではない。
暗殺で身に付けた観察力や警戒心があるなら、
それを誰のために使うかは変えられる。
自分にできることを全て嫌いにならなければ
再出発できない、という話にはならない。
能力を持つことと、その使い道を
他人に決めさせることは別になる。
その変化は、ミラベルが突然別人になることとも違う。
以前から持っていた慎重さも、
危険を見抜く力も、新しい関係の中で
役立つ場合がある。母のもとで育った過去を
なかったことにせず、その先の行動を
選べるようになる。
そこに、彼女らしさを残したまま
変わる道がある。
レインの側も、ミラベルを強い暗殺者として
利用するだけなら、彼女に新しい役目を
渡すことになる。そうではなく、
本人の気持ちや選択が関係の中に残ることが大きい。
守ってもらうために仲間へ入れるのか、
一緒に過ごす相手だから互いを守るのか。
その順序の違いが、
母のもとでの仕事との隔たりになる。
仲間と一緒にいる場面で、毎回過去を告白したり、
感謝を言葉にしたりする必要もない。
普段の会話に混ざり、誰かの変な行動に反応し、
同じ場所へ戻る。
そうした何でもない時間が続くほうが、
仕事をこなした時だけ受け入れられる関係との
違いを、少しずつ感じさせることもある。
もっとも、明るく過ごせるようになったことを、
心の問題が全て解けた証拠にはできない。
笑う時間と母を思って苦しくなる時間は、
一人の中で並んでいてもおかしくない。
ミラベルの仲間入りがうれしいのは、
悩みが一瞬で消えるからではなく、
悩みを持ったまま一人でいなくてよくなるためと
考えられる。
暗殺者をやめることが先にあり、
その後に何者になるかがまだ決まっていなくても、
居場所は必要になる。
次の肩書を用意できた人だけが、
古い役目から離れられるわけではない。
ミラベルが仲間になる展開には、
答えを全て出してから来なくてもよい
関係への希望がある。
彼女とレインたちの関係は、
命を狙う依頼から始まる。
それが後に、自分から相手を守る行動へ
つながっていく。仲間入りは、
その間にある大切な時間になる。
母に決められた仕事をこなすだけでは
出会えなかった相手と、一緒に過ごす日常が
少しずつ積み重なっていく。
第7章 レインを守るために動くミラベル ――母の教えから離れたその後
狙っていた相手を守るため、 単身で半グレのもとへ
ミラベルのその後で大きいのは、
レインを守るために自分から動くことになる。
漫画7巻では、敵の目をレインからそらすため、
半グレの集団へ単身で乗り込む展開が描かれる。
かつて殺す側としてレインへ近づいた人物が、
今度は彼へ危険が向かうのを防ごうとする。
行動の向きが、はっきり逆になっている。
半グレへの接近は、仲間になったから
安全になったという結末ではない。
相手の懐へ一人で入れば、
自分が危険にさらされる。
ミラベルが得たものは、
守られるだけの立場ではなく、
自分で守りたい相手を持つことでもある。
その願いのために、以前とは違う使い道で
自分の技術を動かしている。
ここで、誰かを守るためなら
自分の命を軽く扱ってよい、とまでは言いたくない。
危険な行動ができることと、
自分を大切にできていることは
必ずしも同じではないため。
母の期待に応えようとして働いてきた人が、
次の場所でも役に立つことだけで
自分の居場所を確かめようとする可能性は、
考察として残る。
ただ、レインを狙う依頼と、
この単独行動には明確な違いがある。
前者では、依頼主が標的を決めていた。
後者では、ミラベル自身が守ろうとする
相手のために動いている。
命令に従う能力の高さだけでは説明できない
選択が、彼女の中に生まれている。
仲間を守るために離れる行動は、
周囲から見ると分かりにくくなることもある。
同じ場所に残って助けを求めるほうが、
気持ちは伝わりやすい。
それでも、一人で相手の側へ向かうという
手段を選ぶところには、
暗殺者として危険を引き受けてきた過去が
影を落としているとも考えられる。
そのため、この行動を勇敢という一言だけで
褒めると、少し取りこぼすものがある。
自分が危険に入れば仲間を守れる、
という考えは、彼女の強さを表す一方で、
自分の安全を後へ回す癖にもつながり得る。
守りたい人ができた喜びと、
彼女まで傷ついてほしくない気持ちが
一緒に湧いてくる。
母から離れた後も、暗殺の母が
物語から消えるわけではない。
漫画7巻では、半グレと母の対立も関わってくる。
新しい仲間ができた場所へ、
以前の家族の関係が再び入り込む。
家を出ることと、それまでのつながりが
全部切れることは、同じではないと分かる
展開になる。
一人で乗り込む展開には、
彼女を迎えた側がどう動くかという問題も
返ってくる。ミラベルが誰かを守れる人に
なっただけで終わらず、
ミラベル自身も守られる関係であってほしい。
仲間のために働けることだけが、
新しい居場所の条件になってしまうのは寂しい。
母との関係も過去も抱えたまま、 自分の行き先を選ぶ
ミラベルの変化を、母の言う通りに動く娘から、
レインの言う通りに動く仲間への
交代にしてしまいたくはない。
彼女が自分で行動を選ぶことが大きいのは、
誰に従うかより、何をしたいかが動き始めるため。
母のもとで育った技術を持ちながら、
母とは違う目的へ使う余地が生まれている。
一方で、その新しい選択があるからこそ、
グレンダを殺した過去も彼女自身のものとして残る。
育った環境だけで説明し切れない行動が
できるようになれば、これからの責任も
自分の側へ返ってくる。
自由は、好きな相手のそばにいられる喜びだけでなく、
自分が動いた結果を引き受ける重さも伴う。
ミラベルに幸せになってほしいと思う時、
暗殺の過去を全部忘れた別人に
なってほしいわけではない。
人を傷つけたことをなかったことにせず、
それでも同じ仕事を続ける以外の
暮らしがあってほしい。
その願いは、グレンダの死を軽く扱わなければ
持てないものではない。
暗殺の母との関係についても、
仲直りできれば全てよかった、
と単純には言えない。
娘が自分の望みを口にするたびに
仕事へ戻されるなら、優しい時間があっても
苦しさは続く。ミラベルが母をどう思うかと、
どこで誰と暮らすかは、
別々に選べるものとして残っている。
母が一生懸命家を守ってきたことと、
娘が同じ道を選ばないことは、
両方成り立つ。
ミラベルが別の場所へ向かう展開を、
育ててもらった恩を忘れた行動に縮めると、
彼女自身の望みがまた後ろへ下がってしまう。
親への思いを持ったままでも、
別の人生を生きることはできる。
若くして一流と呼ばれる技術がありながら、
ミラベルは自分の居場所を探すことでは迷う。
その不揃いさが、彼女を遠い世界の
暗殺者だけでは終わらせない。
何かが上手にできるからといって、
自分がどう生きたいかまで分かっているとは限らない。
仕事の腕では解けなかった問いに、
彼女は人との関係の中で向き合っていく。
グレンダを狙う依頼で現れた少女が、
後にレインへ向かう危険を
自分へ引き寄せようとする。
同じ技術を持つ同じ人物なのに、
守ろうとするものが変わっている。
失われた命は戻らない。
それでも次の行動は選び直せるという事実が、
ミラベルのその後を追いたくなる
大きな引っ掛かりになる。
ミラベルは、暗殺の母に育てられた
一流の暗殺者であり、
グレンダ暗殺に関わった人物でもある。
そして、その肩書だけで終わらず、
レインたちの仲間として誰かを守ろうとする。
母から与えられた役目の先に、
自分で選んだ相手と過ごす時間がある。
危険な仕事の成果とは別に、
彼女が無事に帰ってこられる場所も
続いてほしくなる。


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