『ニア・リストン』のレリアレッドは、シルヴァー家の末娘で、魔法映像の番組に出演するタレント。
同い年のニアの活躍に奮起し、一方的な対抗心を燃やしている。
負けたくない相手と協力し、破天荒な行動に振り回されながら、仕事仲間として距離を縮めていく。
Web原作第91話までの一部にネタバレあり。
第1章 レリアレッドは何者? シルヴァー家の末娘で同業のタレント
| 人物 | レリアとの関係 |
|---|---|
| ニア | 同い年の同業者。対抗心を燃やす相手 |
| ヒルデトーラ | 魔法映像の普及へ誘う第三王女 |
| エスエラ | 身の回りを支える専属侍女 |
| ラフィネ | 撮影のメイクも支える長姉 |
| リクルビタァ | ニアのファンの次姉 |
| リリミ | 武術に励む三女 |
ニアと同い年の令嬢は、 画面の中でも活躍している
会って早々に張り合ってくるレリアを見ると、
ニアに何かされたのかと気になる。
けれど、二人の関係は恨みから始まってはいない。
レリアレッドは、同い年で番組に出演する
ニアの姿を見て、自分も負けたくないと
奮起した少女。先に相手を知り、
競う気持ちを育ててから本人に会っている。
本名はレリアレッド・シルヴァー。
シルヴァー家の末娘で、シルヴァー領放送局の
タレントとして活動している。
愛称のレリアで呼ばれることもあるため、
名前が違う別人ではない。
ニアとは同じ年に学院へ入る同級生でもあり、
貴族令嬢という立場と、番組へ出演する
仕事の両方が重なる。
この世界の魔法映像、マジックビジョンは、
映像を通して離れた場所の人にも
姿を届けられる仕組みになる。
レリアはその画面に出る側の少女。
ニアと出会ってから突然芸能活動を
始めたわけではなく、初対面の時点で
すでに、自分の領地の番組に出演する
立場を持っている。
アニメ第4話「少女たちの出会い」では、
六歳になったニアが王都へ来て、
レリアとヒルデトーラに出会う。
ニアが学院で初めて会う少女たちにも、
学校の外で続けている仕事がある。
ただの同級生より話が早く進むのは、
三人に魔法映像という共通の活動があるため。
レリアの人物紹介には、年相応の素直さと
活発さが愛されているとある。
ニアの前で見せる強気な態度だけが、
彼女の普段の顔ではない。
負けたくない相手を目の前にして、
いつも以上に肩へ力が入っている可能性も
考えられる。最初の言葉がきついからといって、
誰に対しても敵意を向ける少女とは限らない。
隠れた血筋や別人の魂が、
ここで明かされるわけではない。
レリアの「何者?」への答えは、
家柄と仕事、そしてニアへの対抗心の中にある。
ニアのように外見と魂の来歴が大きく
食い違う人物と並ぶため、彼女にも特別な
秘密があるのかと気になりやすい。
それでも、まず見えてくるのは、
目の前の同い年へ真っすぐ張り合う姿になる。
敵ではないけれど、 簡単には仲良しを認めない
レリアは、ニアを仕事から排除するために
登場する敵ではない。
ヒルデトーラの誘いを受け、三人で
魔法映像を広める活動に加わる。
ライバルと思っている相手と同じ目的へ
動くため、張り合う言葉と協力する行動が、
初めから隣り合っている。
Web原作では、その関係が短い宣言に表れる。
ヒルデトーラの顔を立てて協力すると
伝えた後で、レリアはニアへ
「でもあんたには負けないから」と告げる。
協力するなら競争心を捨てる、
という順番にはならない。
手を組むことと、相手に負けたくないことを、
一緒に抱えている。
ここが少し可愛い。
仲間になるための話をしているのに、
最後の一言だけは譲れない。
自分の気持ちを全部飲み込んで
にこやかに振る舞うほど器用ではない一方、
協力自体を投げ出すほど意地を張るわけでもない。
仕事の話には応じながら、
ニアへの強がりが顔を出す。
ただし、レリア本人の中で、
対抗心の全てが強がりとは限らない。
自分も番組に出ている以上、
良い仕事をしたい気持ちは自然にあるはず。
ニアに会う前から積み上げてきた
自分の時間もある。同い年の有名人と
出会った場面で、自分を小さく見せたくない
という読み方もできる。
ニアの側は、その熱に同じ勢いで応じない。
この温度差が、二人のやり取りを
一方的な口げんかでは終わらせない。
レリアが仕事上の宣言をしているのに、
ニアは別のことを考えている場合がある。
お互いに勝ちたいものまで一致していないため、
かみ合わない会話が生まれていく。
レリアレッドは、ニアの引き立て役として
何も持たずに現れた少女ではない。
自分の仕事があり、応援する人がいて、
家族や侍女との暮らしもある。
そのうえでニアへ張り合うから、
反発する言葉にも本人の生活が重なる。
強気な一言の先に、どんな少女がいるのかが
気になってくる。
第2章 ニアに負けたくない ――対抗心の始まりは画面越しの活躍
先にニアを見ていたレリアと、 初めて会うニア
レリアの対抗心には、二人の間で起きた
大事件より前に、画面越しの出会いがある。
Web原作でエスエラが説明するのは、
魔法映像で活躍するニアを見て、
レリアが奮起したということ。
同い年という条件も重なり、
一方的にライバルと思うようになったと
明かされる。
これは、本人に出会う前から関係が
始まっている状態になる。
レリアにとってニアは、ただの初対面の
少女ではない。顔も名前も知っていて、
自分の仕事を意識させる相手になっている。
一方、ニアにはその積み重ねがない。
二人が同じ場所へ来た時、すでに知っている量も、
感情の温度も違っている。
先に相手を知っている側は、
本人が普通に話しただけでも、
何か含みを感じてしまう場合がある。
自分はこれだけ意識しているのに、
相手は何とも思っていないように見える。
その肩透かしが、レリアの強い言い方を
さらに尖らせている可能性もある。
まだ言葉を交わす前から、
彼女の中では小さな勝負が始まっている。
ただ、ニアがレリアを軽く扱おうと
していると決まったわけではない。
相手が自分を見て奮起したことを知らなければ、
張り合う会話へ自然には入れない。
レリアの勢いに対して、ニアがなぜ急に
そんな話になるのかと戸惑うのも、
二人の持つ情報が違うためと考えられる。
相手の活躍を見て、私も頑張ろうと思う気持ちは、
必ずしも素直な褒め言葉にならない。
悔しさが先に出たり、自分に足りないものを
突き付けられたように感じたりすることもある。
レリアがニアを気にするほど、
目を離せなくなっていると読むこともできる。
無関心な相手には、そもそも
負けたくないと思いにくい。
だからといって、対抗心の全てを
隠れた憧れと言い換えるのも違う。
レリアは実際に自分の活動を持ち、
同じ場所に立っている。
相手を眺めるだけでなく、次は自分が
もっと良くできると思いたい。
その競争心には、ニアへの関心と、
自分の仕事への意地が一緒に
含まれていると考えられる。
同い年の相手だから、 遠くから憧れるだけでは終われない
ニアがずっと年上で、長い実績を持つ相手なら、
レリアの受け止め方も変わったかもしれない。
同い年で、同じように領主の家に生まれ、
番組に出ている。
近い条件がいくつもあるから、
自分とは関係のない遠い存在として
置いておきにくい。
まだ幼い二人にとって、
同い年という近さは大きい。
自分と同じ年の相手が堂々と仕事をしている姿は、
できなくても仕方がないという逃げ道を
狭くする場合もある。
レリアがどこまでそう考えているかは
断言できないものの、年が同じことが
対抗心に影響したと、
エスエラの説明にも含まれている。
しかも、レリアには自分を応援する人がいる。
自分の番組を作る撮影班、身支度を支える姉、
そばにいる侍女。
その中で育つ少女が、他の領地にいる
同い年へ刺激を受ける。
負けたくない気持ちは、自分一人の見栄だけでなく、
支えてくれる人の前で頑張りたい思いとも
重なり得る。
ただ、この段階で、レリアが家族の期待に
押し潰されているとまで話を広げる必要はない。
確認できるのは、ニアの姿に刺激を受け、
自分から張り合っていることになる。
無理に悲しい過去を足さなくても、
近い相手の活躍を前に落ち着かなくなる気持ちは、
すでに会話の中に表れている。
レリアは、ニアに負けないと本人へ言ってしまう。
口に出した分、自分だけが気にしている状態へ
戻るのも難しくなる。
宣言した相手とこれから同じ学院に通い、
仕事でも会う。
その少し気まずい近さがあるため、
初対面の一言が、
その場限りの強い台詞では終わらない。
もしニアも同じように敵意を返していたら、
二人の距離はもっと険しくなっていたかもしれない。
ところがニアの関心は、
レリアが考える競争とずれている。
真剣に張り合いたい側と、
宣言の受け取り方から違う側。
その不釣り合いが、レリアの負けん気を
重苦しい敵対関係にしない。
レリアが画面で見ていたのは、
活躍するニアの姿になる。
学院で出会ってからは、仕事の外で話し、
予想外の言動にも触れていく。
ライバルという短い名前を付けた相手に、
まだ知らない顔がいくつもある。
その発見が増えるほど、最初の対抗心だけでは
収まらない関係へ進んでいく。
第3章 心配されたのに腹が立つ? 初対面でかみ合わない二人
家の心配が、 見下されたように聞こえてしまう
ニアは家の財政を心配しているのに、
レリアは家柄を馬鹿にされたと
受け取ってしまう。
Web原作の初対面には、そんなすれ違いがある。
言葉だけを抜き出すとレリアが突っ掛かっている
ように見えるものの、本人は自分と家を
守るつもりで返していると考えられる。
ニアが尋ねるのは、放送局の建設に
大きなお金を使ったシルヴァー家が
大丈夫かということ。
自分の家でも負担が大きかったと
知っているため、似た事業を始めた相手へ
同じ心配を向けている。
ニアの側には、番組に出る仕事と
家の暮らしが結び付いている。
一方、レリアには、すでにニアを
意識している気持ちがある。
そこで家の余裕を尋ねられれば、
自分たちにはできないと言われたように
聞こえてしまう可能性がある。
内容は財政の話でも、受け取る側では、
相手が自分をどう見ているかという話に
変わっている。
二人の家柄に差があることも、
この言葉を引っ掛かりやすくしている。
Web原作では、リストン家とシルヴァー家は
近い階級に位置しつつ、全く同じではない。
ニアの何気ない問いが、レリアには
上からの品定めのように響いてしまったのかも
しれない。本人の敏感さだけでなく、
家の立場が会話に入り込んでいる。
ここは少し気まずい。
心配して聞いた側は、自分の善意を
説明したくなる。
聞かれた側は、その説明すら
見下された後の取り繕いに感じるかもしれない。
まだ相手を知らない二人だから、
同じ言葉から違うものを受け取ってしまう。
どちらか一方が会話の全体を
見渡しているわけではない。
Web原作の出会いでは、
レリアがヒルデトーラの身分に気付くと、
勢いのある態度から急におとなしくなる
場面もある。ニアへは強く出ても、
誰にでも同じ調子で話すわけではない。
相手の立場を知れば緊張もする。
堂々として見える時にも、
まだ知らないことや驚くことが残っている。
ニアの兄ニールも財政を気にしていると
口を挟むと、レリアの態度は変わる。
ニアはその様子から、兄への好意を感じ取っている。
ただし、これはニアが見るレリアの姿になる。
ニアへの対抗心を最初から恋の嫉妬だけで
説明することはできず、
仕事で刺激を受けたという別の根拠がある。
エスエラの説明で見える、 強い言葉の裏側
家の事情を聞かれたレリアは、
自分一人で詳しく答えるのではなく、
侍女エスエラへ助けを求める。
これは、堂々とした態度の少女にも
知らないことがあると分かる場面になる。
家の代表のように張り合っていても、
家計や事業の細部まで把握した大人ではない。
エスエラの説明によって、
放送局を始めるために家が
資産を動かしていることが分かる。
ニアの心配には、具体的な根拠があったことになる。
それでも、その場でレリアが負けん気を
全て引っ込めるわけではない。
事実の確認と、相手に対する気持ちの
落ち着き方には、時間差がある。
その後に出るのが、
協力はするけれど負けないという宣言になる。
家の事情を踏まえて一緒に活動することは
受け入れる。しかし、ニアに対しては
一言返しておきたい。
話を丸ごと拒否するのではなく、
協力する自分の立場を残しながら、
対抗心も口にしている。
レリアが先へ行った後、
エスエラはニアへ頭を下げ、
主人が対抗心を燃やすきっかけを説明する。
本人が言葉にしない部分を、
そばの大人が補う形になる。
この説明があるため、ニアも突然向けられた
敵意のような態度を、仕事上の
ライバル心として受け止め直せる。
エスエラの役目は、レリアの言葉を
全部正しいことにすることではない。
行き過ぎた発言があれば申し訳ないと伝えつつ、
本人が何に刺激を受けているのかを話す。
相手の不快感を無視せず、
主人の気持ちも置き去りにしない。
その間に立つ人がいることが、
初対面の関係を支えている。
ニールが、レリアはニアの友達によさそうと
見ているのも面白い。
ニアとリノキスの目には気になる態度でも、
兄には別の可能性が見えている。
ただし、この時点で二人の友情が
約束されたわけではない。
険しい挨拶の中にも、
これから付き合える余地が残っている。
レリアの素顔は、強気な台詞の奥に
弱い本音が一つ隠れている、
という単純な形ではない。
仕事への対抗心、家への誇り、初対面の緊張、
兄へ向ける別の表情が並んでいる。
相手によって顔が変わることも含め、
彼女は年相応に気持ちが忙しい少女として
見えてくる。
第4章 素直で活発な少女の素顔 ――姉たちとエスエラとの関係
撮影を支える姉と、 ニアのファンの姉
レリアがニアに張り合っている間も、
彼女の家族全員が同じ方向を
向いているわけではない。
シルヴァー家には、仕事の面から
末妹を支える姉もいれば、
ニアのファンになっている姉もいる。
家の中まで対抗戦になっていないところが、
レリアの日常を少し面白くしている。
長姉ラフィネは、
服飾関係の商会を起こしている仕事熱心な女性。
メイクや身支度の腕もあり、
レリアの撮影を自分で支えている。
レリアが番組に出る時の姿は、
本人の活発さだけで完成しているわけではなく、
近くで整えてくれる人の手も加わっている。
幼い少女が仕事に出る時、
着る物や顔の見え方を考えてくれる家族が
いることは心強い。
ニアに負けないと口にするレリアにも、
ひとりで全部を背負わずに済む部分がある。
ラフィネとの関係からは、
末娘の頑張りを具体的な作業で支える
姉の姿が見える。
家の中に、ニアへ対抗心を持つ末妹と、
ニアに会うのを待ち望む姉がいる。
この並びには、レリアの思い通りに
周囲まで染まらない面白さがある。
家族だから同じ好き嫌いを持つのではなく、
それぞれが別の顔で相手を迎える。
レリア自身も、その中の一人として
ニアと付き合っていく。
次姉リクルビタァは、
家族以外と話すのが苦手な一方、
魔法映像で見たニアの大ファンになっている。
レリアにとっては張り合いたい相手が、
姉にとっては会うだけで緊張するほどの
存在になる。同じニアを見ても、
姉妹で気持ちの向かう先が違っている。
だからといって、レリアが姉に
ニアを好きになってほしくないと思っている、
とまでは言えない。
家族の中にファンがいるという事実は、
そのまま嫉妬の証拠にはならない。
ただ、自分が負けたくない相手の名前が
家でも出る環境は、ニアを意識する時間を
学校の外まで広げていると考えられる。
三姉リリミは武術に励み、
ガンドルフに師事する少女。
姉妹の得意分野は、服飾、絵、武術と分かれている。
レリアを末娘と呼ぶだけでは見えにくいものの、
家にはそれぞれ違う活動をする姉たちがいる。
目の前の相手へ負けん気を向ける彼女も、
その多彩な家族の一人になる。
主人の言葉を受け止め、 必要な時には頭を下げる侍女
レリアのすぐそばにいるエスエラは、
身の回りの世話をするだけの人ではない。
主人を深く敬愛する侍女であり、
天破流という武術の使い手でもある。
Web原作ではレリアへの武術指導にも関わっている。
暮らしと身体の両方を支える、
近い位置の大人になる。
ニアへ向けたレリアの言葉が強すぎる時、
エスエラは後に残って謝る。
本人の代わりに全部話してしまうわけではなく、
まず主人の宣言があり、
その後で背景を補っている。
レリアが自分の気持ちを外へ出すことと、
相手との関係を壊さないことを、
別々に支えているように見える。
ただ、侍女が謝ってくれるから、
レリアは好き勝手に言ってもよいという
話にはならない。
エスエラはニアの側にも配慮している。
主人を大切に思いながら、
主人の言葉で相手が困る可能性も分かっている。
この少し苦労の見える立場が、
レリアの強気な態度を家の外へつなぐ
役目を果たしている。
対するリノキスも、
ニアを非常に大切にしている。
自分の主人をどう扱われるかに敏感な侍女が、
二人の少女のそばにそれぞれ立っている。
本人同士の張り合いだけでなく、
主人の可愛さを巡って侍女同士も
火花を散らすと紹介されているところに、
少し笑ってしまう。
レリアがニアに何か言うと、
ニア本人より周囲のほうが強く
反応する場合もある。
Web原作の初対面でも、リノキスは
主人を悪く言われたことへ敏感に反応している。
レリアからすれば同い年へ返したつもりの
一言でも、周りの大人たちには、
見過ごせない言葉として届く。
こうした関係があるため、
レリアは強い少女として孤立してはいない。
発言を気に掛ける侍女がいて、
撮影を助ける姉がいて、
ニアに全く別の反応を見せる家族もいる。
誰もがレリアの対抗心だけに
付き合うわけではないところが、
彼女を一つの性格で固めない。
ニアといる時は意地を張りやすいレリアにも、
周りから世話をしてもらう末娘としての顔がある。
そこで過ごす時間を考えると、
負けないという宣言も、
完成された自信家の余裕には見えにくくなる。
支えられている少女が、自分でも相手に向かって
立とうとしている言葉として響いてくる。
第5章 強気なレリアも振り回される ――ニアの破天荒さとの温度差
勝負を挑んだつもりでも、 相手は別のことを考えている
レリアが仕事で負けないと宣言しているのに、
ニアは武の勝負ではないと知って拍子抜けする。
Web原作には、そんな受け取り方のずれがある。
言った側は真剣でも、
受けた側は別の期待をしている。
レリアにとっては、張り合う前に
会話の土台を合わせるところから
難しい相手になる。
ニアの内側にいるのは、
かつて神殺しの英雄と呼ばれた武人。
そのため、負けないと言われて連想するものが、
レリアの考える仕事上の競争と違っている。
見た目は同い年の令嬢でも、
同じ経験を持つ少女同士ではない。
この事情を知らないレリアが、
相手の感覚まで読むのは難しい。
ここでレリアを、ニアの本当の強さを知らずに
いきがる子として笑うだけでは、少し寂しい。
彼女が勝ちたいのは腕力の勝負とは限らない。
ニアのほうが別の方向へ考えを
飛ばしている場面もある。
レリアは自分の話をしているのに、
その言葉が相手の中で思いがけない場所へ
着地している。
そのため、強さの差だけでは、
二人の会話の面白さを説明し切れない。
レリアが何を気にしていて、
ニアが今何をしようとしているのか。
その二つが別々に走るため、
同じ会話の中で反応がすれ違う。
張り合いたい相手が、きちんと
張り合ってくれないもどかしさが残る。
ニアは、初対面で少し険しい言葉を
向けられても、仕事に支障がなければ
構わないと考える。
レリアが思うほど、
本人の中では対立が育っていない。
仲良しではないと主張したい側と、
一緒に動けるなら問題ない側。
その差があるから、レリアの勢いが
そのまま関係の険しさにはならない。
もちろん、ニアがおおらかだから
全部うまくいくという話でもない。
相手の拒否や戸惑いを軽く扱って、
行動を先に進めてしまうところもある。
レリアの反発には、単なる意地だけでなく、
ちょっと待ってほしいという困惑も
混じっていると考えられる。
仲良しを否定する間に、 ニアはもう動き出す
Web原作で制服を受け取りに行く場面では、
ニアがレリアの撮影に加わろうとする。
レリアは、まだ仲良くないと反発する。
それに対してニアは、
これから仲良くなればよいという方向へ
話を進める。今どう思っているかより、
次にどうするかを先に決めてしまう。
口で勝負するつもりのレリアに対し、
ニアは相手の手を取って行動へ移る。
この場面は、仲良しの少女が手をつないでいる
という外からの見え方と、
当人の納得の度合いが違う。
レリアが反論する間にも、
周囲には親しい二人のように映ってしまう。
その押しの強さには笑える部分がある一方、
レリアの側へ寄ると、話を終える前に
連れていかれる困り方も見える。
負けたくないと宣言した相手に、
別の種類の勢いで押されてしまう。
本人が用意していた対抗の仕方では、
止めにくい相手になっている。
レリアは自分の言葉を引っ込めるのが
早い少女ではない。
しかし、相手が普通の口げんかに乗ってこなければ、
同じ勢いで言い返しても話は別の方向へ進む。
強く出れば相手がひるむ、
という形にならないため、ニアと一緒にいる時には、
戸惑う顔も出てくる。
外から見た仲良しと、
自分の感じる距離が一致しないのも、
レリアには落ち着かないところになる。
まだそこまで認めていないのに、
周りの話は先へ進む。
ニアに向けた反論には、相手への対抗心に加え、
自分の気持ちを勝手に決めないでほしい
という反応も読み取れる。
この温度差があるから、レリアには
一方的に突っ掛かる顔だけでなく、
周囲と同じようにニアへ驚く顔が生まれる。
ニアを特別な相手として意識しているのに、
その特別さが自分の想像していた方向と違う。
画面で見ていただけでは分からなかった部分に、
直接付き合うことになる。
それでも、振り回されることが、
そのまま相手を嫌いになることへ
つながるとは限らない。
困る、腹が立つ、一緒に仕事をする。
そうした感情と行動が並ぶ関係もある。
レリアとニアの間では、好意か敵意かの
どちらかへ毎回決着を付けずとも、
次の予定が進んでいく。
レリアの負けん気は、ニアと出会って消えるのではなく、
予想外の相手に触れて形を変えていくと考えられる。
言い返すだけでは追い付けず、
無視して終われるほど遠くもない。
強気な少女が、相手のペースに困りながら
同じ場所へ歩いていくところに、
二人らしい距離ができている。
第6章 ライバルでも協力する ――制服姿の撮影で始まる共同作業
| 場面 | レリアの行動 |
|---|---|
| 初対面 | ニアに負けないと宣言する |
| 普及活動 | 三人での協力に加わる |
| 入学準備 | ニアと制服姿の撮影をする |
| 後のWeb原作 | 家へ来るニアの仕事も父に頼む |
協力する約束が、 さっそく目の前の仕事になる
レリアとニアは、仲良くなるためだけに
手を組むわけではない。
三人で魔法映像の普及へ動くという、
具体的な目的がある。
自分たちの番組を見る人が増えることは、
それぞれの活動にもつながる。
好きか嫌いかだけで、
その後の付き合いが決まる関係ではない。
ヒルデトーラの誘いがあることで、
レリアは競争相手を前にしながらも、
協力する立場を持てる。
ニアに譲歩したという形だけにならず、
三人で同じ目標へ向かう話になる。
負けん気を残したままでも、
相手と一緒に仕事をする入口が開いている。
その最初の具体的な形が、
入学準備の撮影になる。
初めて学院の制服を着ることは、
少女たちにとって生活の節目に当たる。
新しい学校へ向かう姿を、
番組を見ている人にも届ける。
放送を広めるという大きな目標が、
身近な一着の制服へつながっている。
アニメ第4話の紹介でも、
ニアとレリアが制服姿で入学準備を
撮影することが示されている。
机の上で協力を約束しただけではなく、
出会って間もない二人がすぐ同じ撮影に入る。
言葉では張り合っていても、
次には同じ画面へ収まる関係になる。
Web原作では、もともとレリア側が
予定していた撮影に、
ニアが加わろうとする流れがある。
レリアにとっては、自分の仕事の場へ、
気にしている相手が急に入ってくることになる。
最初から共同企画として
全部納得していたわけではないところに、
彼女が戸惑う具体的なきっかけがある。
一方、ニアはレリア側の撮影を、
協力関係を早く形にする機会として捉える。
自分の領地の撮影班が近くにいない時でも、
相手の撮影へ加われば映像を届けられる。
レリアが感情の距離を気にしている間に、
ニアはすでに仕事の進め方へ関心を移している。
家族まで加わる撮影が、 二人の距離を動かす
撮影の場には、本人たちだけでなく
家族も関わる。
Web原作では姉たちとニールが見守る形になり、
二つの家の付き合いも一緒に映る。
レリアとニアだけの口げんかなら
簡単に背を向けられても、
家同士の関係がある仕事は、
その場の気分だけでは終わらせにくい。
ただ、家の付き合いがあるから二人は
仲良くしなければならない、
と押し付ける場面としてだけ受け取ると、
本人たちが動く余地が小さくなる。
制服を着るのも、撮影の中で隣へ立つのも、
それぞれの少女になる。
周囲が場を用意しても、
実際のやり取りは本人たちの間で生まれる。
ここで気になるのは、
仲がよく見える映像と、本人たちの気持ちの差になる。
画面の向こうには、まだ反発が残っていることまで
全部は伝わらない。
共演したからすぐ親友になったと
決めることはできない一方、
反発しているから一緒の仕事が
できないわけでもない。
新しい制服を着る姿は、
レリアにとっても、自分の成長を
周囲へ見せる機会になる。
そこにニアが並ぶため、
競争相手と自分の節目を共有することになる。
最初から望み通りの流れではなくても、
一緒にこなした仕事として残る時間は生まれる。
二人の関係にとっては、
気持ちが完全にそろう前に共通の経験が
増えることが大きいと考えられる。
会って話すだけなら、相手への第一印象を
繰り返して終わる場合もある。
撮影へ出れば、相手が現場でどう動くか、
周りとどう話すかを、すぐ近くで知ることになる。
レリアがニアを見て奮起した時には、
画面に映る姿が中心にあった。
共演するようになると、
画面に収まる前後の手間や、
予定を決める強引さまで見える。
同じ相手を、視聴者に近い位置から見る時と、
一緒に仕事をする時とでは、
知ることが変わっていく。
張り合う気持ちがあるからこそ、
相手の仕事へ無関心ではいられない。
一緒に現場へ立てば、腹が立つことだけでなく、
助かることや感心することも
増える可能性がある。
全てがその場で仲直りへ結び付かなくても、
レリアの中のニアは、
初対面より具体的な相手になっていく。
制服姿の撮影は、
二人が対抗心を捨てた証拠ではない。
負けたくないままでも隣へ立ち、
仕事を一つ終えられることが形になる。
強気な宣言の後に残るのが
決裂ではなく共演というところに、
レリアとニアの関係の柔らかさがある。
第7章 負けたくないのに放っておけない ――ニアとの関係の行方
この章は、Web原作第85話・第91話の
シルヴァー家での出来事にも触れる。
画面で気にしていた相手を、 自分の家へ迎えるまで
レリアとニアのその後を考える時、
対抗心がなくなる日を探すだけでは、
二人の変化を捉えにくい。
気持ちを言葉で確かめるより先に、
一緒に過ごす予定が増えていくため。
競う相手という呼び方が残っていても、
相手と会うことが生活の中へ入ってくる。
Web原作の後の展開では、
レリアが家へ戻り、ニアが訪ねてくる予定を
父へ話している。
しかも、ニアも出られる仕事を
入れてほしいと頼む。
会わずに済ませたい相手なら、
仕事まで一緒になるようには頼みにくい。
少なくとも、自分の家や活動の場へ
ニアを迎えることを、
レリアは具体的に進めている。
ここで、最初から全部友情のために
動いていると決める必要はない。
番組の仕事にもつながり、
家同士の関係にも関わる予定になる。
それでも、ライバルだから遠ざけるという
行動にはなっていない。
自分の側へ相手を招き、
一緒にできることを増やしている。
ニアが来ると聞いて大きく動揺するのは、
ファンの姉リクルビタァのほうになる。
レリアは来訪の話を、
家族との会話の中で伝えている。
その温度差も面白い。
姉にとっては緊張する大事件でも、
レリアにとっては、仕事や予定を
相談できるくらい身近な相手に
なりつつあると考えられる。
さらにWeb原作では、
シルヴァー家で姉の絵を見る場面に、
ニアとレリアが一緒にいる。
姉の絵を前に、二人とも
よく分からないという反応を見せる。
同じ相手へ対抗心を燃やすだけでなく、
別のものを前に並んで戸惑う時間がある。
ずっと勝負を続ける関係なら、
相手と同じ反応をすることにも
抵抗が生まれるかもしれない。
ここでは、ニアが分からないものを
レリアも分からないと感じる。
同じ場所に立ち、
同じものへ首をかしげる姿からは、
初対面の険しさとは違う近さが見えてくる。
こうした日常の場面は、
大きな仲直りの宣言より目立ちにくい。
それでも、相手が自分の家にいて、
家族と話し、自分もその隣にいる。
初めは画面の向こうにいたライバルが、
暮らしの中にいる人物へ変わっていることを、
具体的な距離で感じられる。
張り合う言葉の先に、 同じ時間を過ごす二人がいる
レリアの対抗心を、実は最初から
全部好意の裏返しと片付けると、
本人の負けん気が薄くなってしまう。
彼女は本当に、
ニアに負けたくないと思っている。
そのうえで一緒に活動し、家へ迎え、
同じ話題に反応する関係も育っていく。
一方、張り合う言葉が出るたび、
関係が振り出しへ戻るわけでもない。
一緒に撮影したことや、
家族と過ごした時間は残る。
意地を張る場面があっても、
相手を知る前と同じ他人ではなくなっている。
言葉の強さと、二人の間に積み重なったものは、
いつも同じ速さでは動かない。
ニアは、レリアの望む形で
競ってくれるとは限らない。
急に別の話へ進み、
周囲が驚くようなこともする。
そんな相手に困りながら、
レリアは同じ場所で仕事を続ける。
理想通りに反応してくれない相手だからこそ、
最初に想像していたライバル像から
離れていく部分もある。
レリアが見せる素顔は、
負けん気の下に隠れた一つの本音だけではない。
姉に支えられる末娘の顔も、
侍女へ分からないことを聞く顔も、
ニアの勢いに困る顔もある。
強く見せたい時と、
周りを頼る時の両方があるため、
彼女は背伸びをする同年代の少女として
近く感じられる。
ニアのように、
強者との死闘を望む魂を抱えているわけではない。
それでも、自分が続けている仕事で
相手に負けたくない気持ちは、
レリアにとって十分に真剣になる。
物語の大きな力関係とは別に、
本人が譲れない小さな勝負がある。
その勝負を持った少女が、
相手と同じ方向へ進むことも選ぶ。
負けないと言ったから協力できない、
仲良くなったから競えない、
という形にはならない。
レリアは張り合う気持ちを抱えたまま、
ニアと過ごす時間を増やしていく。
初対面で交わす言葉は少し険しくても、
その後の行動は拒絶だけに向かわない。
レリアの宣言には、
相手を追い払うより、同じ場所に
立ち続けたい気持ちも感じられる。
レリアレッドは、ニアの活躍に奮起した
シルヴァー家の末娘で、
同じ仕事をするタレント。
負けないという宣言の奥には、
自分も同じ場所で頑張っているという意地が見える。
そして宣言した後も、
二人の予定は一緒に進んでいく。
言い返しながら隣へ立つレリアの姿には、
勝ち負けだけでは終わらない親しさが
少しずつ混じっている。


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