『MAO』の摩緒は術者として力がありながら、百火や華紋たちと同じ後継者候補には入っていなかった。
その違和感を追うと、摩緒は競争へ参加する弟子ではなく、五色堂で兄弟子たちに狙わせるための「生贄」として置かれていたことが見えてくる。
さらに後の真相まで踏み込むと、御降家の師匠と猫鬼の思惑が重なり、摩緒だけが最初から別の役割を背負わされていた。
第1章 結論|摩緒は後継者になれなかったのではなく、最初から「候補とは別の役目」だった
才能不足で外されたわけではなく、五色堂では最初から生贄として置かれていた
摩緒が御降家の後継者候補に入っていなかったのは、
単純に「兄弟子たちより弱かったから」ではない。
900年前の五色堂で摩緒に与えられていた立場は、
後継者を目指して競う側ではなく、
兄弟子たちから狙われる側だった。
ここが、
摩緒の過去で最も異様なところになる。
同じ御降家で術を学んでいた弟子なのに、
百火や華紋たちとは、
最初から同じ競争の席に座っていない。
後継者候補たちは、
師匠の跡を継ぐ可能性を持って五色堂へ集められる。
一方の摩緒は、
その候補者たちが倒すべき存在として組み込まれている。
つまり摩緒自身の将来を選ぶ場ではなかった。
だから、
「摩緒は後継者候補に選ばれなかった」
という言い方だけでは少し弱い。
選考から漏れたのではなく、
そもそも別の用途で五色堂へ置かれていた。
御降家時代の摩緒は、
まだ若い末席の弟子。
兄弟子たちと比べれば経験も浅く、
術者として完成していたわけではない。
それでも、
何もできない無力な少年ではなかった。
現在の摩緒を見れば、
そのことはかなり分かりやすい。
大正時代では陰陽師として怪異と戦い、
呪いを受けながらも生き続け、
900年前から続く猫鬼との因縁を追っている。
火を使う百火。
木の術を操る華紋。
金の術を持つ白眉。
水に関わる真砂や不知火。
御降家にはそれぞれ得意分野を持つ術者たちがいた。
摩緒もまた、
その中で術を学んでいた一人。
だから後継者候補から外れていたことを、
能力だけで説明しようとすると、
後の実力とどうしても噛み合わなくなる。
むしろ五色堂で見えてくるのは、
摩緒の強さとは別の問題。
師匠が摩緒をどう扱おうとしていたのか。
さらにその裏側で、
猫鬼が摩緒へ何を求めていたのかという部分になる。
五色堂へ集められた兄弟子たちは、
互いに緊張した状態に置かれる。
誰が後継者になるのか。
誰が生き残るのか。
そこには通常の修行とは違う、
不穏な空気が流れていた。
その中心へ、
摩緒が「候補者」として入るのではない。
倒すべき標的として置かれる。
この時点で、
摩緒だけ明らかに扱いが違う。
もし本当に才能がないだけなら、
後継者候補に入れなければ済む。
わざわざ五色堂へ呼び、
兄弟子たちと同じ場へ置く必要はない。
それでも摩緒は、
その場所へ連れてこられた。
ここに、
単なる後継者選びとは別の意図が見えてくる。
摩緒は競争に負けた弟子ではなく、競争そのものを動かすために使われた
後継者争いという言葉だけを聞くと、
候補者同士が術の強さを競い、
最も優れた人物が選ばれるようにも思える。
しかし五色堂で起きたことは、
そんな単純なものではない。
摩緒を呪い殺す。
その行為が、
後継者をめぐる条件へ組み込まれている。
つまり候補者たちは、
摩緒という一人の弟子を標的にするよう仕向けられていた。
ここで摩緒は、
自分の実力を証明して候補へ上がる立場ではない。
兄弟子たちから生き延びれば評価される、
という仕組みでもない。
最初から「殺される可能性を背負う側」に置かれている。
それは、
後継者争いの参加者よりも危険な立場。
候補者たちは勝てば先へ進める可能性がある。
けれど摩緒には、
勝って後継者になる道そのものが用意されていない。
だから摩緒の過去を見る時、
「候補になれなかった可哀想な弟子」
と考えるだけでは足りない。
彼は、
別の目的のために利用された人物だった。
しかも本人は、
すべてを知らされたうえで納得して参加したわけではない。
師匠や兄弟子たちの思惑が交錯する中へ、
摩緒自身も巻き込まれていく。
五色堂で何が起きたのか。
誰が摩緒を狙ったのか。
誰が本当に後継者になろうとしていたのか。
その記憶も、
後の摩緒にとって完全には明確ではない。
だから900年後になっても、
摩緒は過去を追い続ける。
自分へ猫鬼の呪いがかかったこと。
御降家が崩壊したこと。
紗那を失ったこと。
それらが同じ夜へつながっている。
第1話から摩緒が猫鬼を追っているのも、
単なる妖退治ではない。
自分がなぜあの夜に選ばれ、
なぜ900年間も呪われて生きることになったのか。
その出発点を追う行動でもある。
後継者候補ではなかった。
けれど五色堂にはいた。
しかも中心に近い場所で、
兄弟子たちから命を狙われる立場にいた。
この矛盾こそ、
摩緒の過去を見る大きな入口になる。
才能がなかったから外されたのではない。
最初から候補者たちとは違う役目が与えられていた。
摩緒は、
御降家の未来を継ぐ側ではなく、
その後継者争いを動かすために使われる側だった。
そしてその扱いが、
猫鬼との900年に及ぶ呪いへつながっていく。
第2章 摩緒は本当に力がなかった?末席でも術者として無能だったわけではない
御降家では末席でも、摩緒には怪異へ立ち向かえるだけの素質があった
摩緒が後継者候補に入っていないと聞くと、
まず浮かぶのは、
「当時は弱かったのではないか」という疑問になる。
確かに900年前の摩緒は、
現在ほど完成された陰陽師ではない。
御降家の中では末席。
周囲には、
摩緒より経験を積んだ兄弟子たちがいる。
華紋や百火たちは、
それぞれ自分の五行の術を身につけている。
そう考えると、
摩緒が候補外だったこと自体は、
一見すると不自然ではない。
まだ若い。
経験が浅い。
兄弟子たちに比べれば、
後継者としての評価も低かった可能性はある。
ただ、
それだけで五色堂での扱いを説明することはできない。
弱い弟子なら、
候補から外して修行を続けさせればいい。
わざわざ命を奪われる立場へ置く必要はない。
しかも摩緒は、
後の時代で確かな実力を見せている。
猫鬼の呪いという特殊な事情を抱えながら、
怪異と戦い続け、
大正時代では陰陽師として活動している。
菜花と出会った後も、
さまざまな怪異へ向き合う。
呪いを見抜く。
術を使う。
相手の正体を探る。
単純な力押しだけではなく、
陰陽師としての知識も使っている。
もちろん、
900年間も生きていれば、
その間に術を磨いた部分は大きい。
現在の強さをそのまま900年前へ持ち込んで、
「当時も兄弟子より強かった」とは言えない。
それでも、
最初から何の才能もなかった人物が、
偶然ここまで来たわけでもない。
御降家で術を学び、
怪異と向き合う基礎を持っていたからこそ、
後の摩緒へつながっている。
だから末席という立場は、
「無能」の証明ではない。
兄弟子たちの方が先に修行を積み、
高い術を持っていたという、
当時の順番に近い。
そして御降家には、
摩緒以外にも個性的な術者がいる。
百火は火。
華紋は木。
白眉は金。
真砂や不知火は水へ関わる。
それぞれ得意とする術が違い、
単純な一列の順位にはしにくい。
摩緒がその中でどの位置だったのかも、
「末席だから最弱」と決めるほど単純ではない。
現在の摩緒を見るほど、「弱いから生贄になった」という説明では足りなくなる
現在の摩緒は、
ただ長生きしている人物ではない。
900年前の事件を追いながら、
自分自身で怪異へ立ち向かっている。
猫鬼の呪いを受けた身体には、
大きな危険もある。
完全に自由な状態ではない。
それでも摩緒は、
呪いに飲み込まれず行動を続けている。
さらに菜花が猫鬼の呪いへ巻き込まれたことで、
自分と同じものを背負う存在として彼女を守ろうとする。
ここにも、
御降家時代から続く摩緒の性格が見える。
自分が何者なのか。
なぜ猫鬼に選ばれたのか。
900年前に誰が何をしたのか。
摩緒はそれを知るために、
長い年月を使ってきた。
もし本当に、
ただ力がなくて候補から外された弟子だったなら、
五色堂の事件の中心に摩緒が置かれていること自体がおかしい。
師匠や猫鬼が、
わざわざ彼を利用する必要も薄い。
つまり摩緒には、
別の価値があった。
後継者としての評価とは違う価値。
そこへ猫鬼が目をつけたことで、
五色堂の立場も特別なものになっていく。
ここが、
兄弟子たちとの最大の違い。
百火や華紋たちは、
後継者候補としての価値を見られている。
摩緒は、
まったく別の方向から必要とされていた。
だから、
候補に入っていないことが、
才能の低さを示しているとは限らない。
むしろ後の真相を知るほど、
「摩緒だけ違う目的で見られていた」と考えた方がつながりやすい。
御降家の末席。
まだ若い弟子。
後継者争いの候補外。
表面だけなら、
兄弟子たちより格下に見える。
しかし五色堂では、
その末席の摩緒を中心に状況が動く。
誰が摩緒を殺すのか。
摩緒に何が起きるのか。
そこから御降家そのものが崩壊へ向かっていく。
つまり、
本当に重要だったのは肩書きではない。
誰が後継者候補だったかという表の序列より、
摩緒がなぜその場へ置かれたのかの方が大きい。
現在の摩緒は、
その答えを知らないまま900年生きてきた。
だから猫鬼を追う。
御降家の過去を探る。
昔の兄弟子たちと再会するたび、
失われていた情報が少しずつ戻ってくる。
第1話から続く猫鬼との因縁も、
五色堂の後継者争いも、
別々の話ではない。
摩緒が生贄へ回されたことを追うと、
その二つが同じ過去へ集まっていく。
摩緒は、
弱いから選ばれなかったのではない。
後継者とは違う役割へ、
最初から組み込まれていた。
その事実こそ、
御降家時代の摩緒を見直すうえで、
最も大きな違和感になっている。
第3章 五色堂に呼ばれた兄弟子たちと、摩緒だけが違った
百火たちは後継者候補として呼ばれ、摩緒だけはその競争の外側にいた
900年前の御降家で、
後継者をめぐる空気が大きく変わるのが五色堂。
百火をはじめとした兄弟子たちは、
師匠の跡を継ぐ可能性を持つ者として、
この場所へ呼び集められていく。
ここだけを見ると、
優秀な弟子たちを集めて、
後継者を決めるための場にも見える。
長く修行してきた者の中から、
最も相応しい一人を選ぶような形だ。
しかし、
摩緒だけは立場がまったく違った。
同じ御降家の弟子でありながら、
後継者候補として兄弟子たちと競うために、
五色堂へ入ったわけではない。
摩緒に用意されていたのは、
「誰より優れた術を見せろ」という試験ではなかった。
自分も後継者を目指し、
百火たちと競い合う場でもない。
むしろ兄弟子たちから、
命を狙われる側へ置かれていた。
この違いはかなり大きい。
百火たちは、
危険な争いへ巻き込まれているとはいえ、
少なくともその先には「後継者」という立場がある。
勝ち残った先に得るものが存在する。
一方の摩緒には、
その先が用意されていない。
五色堂を生き延びれば、
次は摩緒が後継者候補になる。
そんな話ではない。
つまり同じ場所にいても、
摩緒だけ参加しているものが違う。
兄弟子たちは後継者争い。
摩緒は、
その争いの中へ投入された標的だった。
ここを見れば、
「摩緒は候補から落とされた」という感覚とも違ってくる。
候補として評価された結果、
力不足で外されたのならまだ分かる。
しかし五色堂では、
最初から候補者とは別の位置へ置かれている。
だからこそ、
摩緒の扱いには作為がある。
偶然候補に入れなかった。
年齢が若かった。
末席だった。
それだけでは説明し切れない。
わざわざ五色堂へ入れる。
しかも兄弟子たちが集まる場所へ置く。
そこまでして摩緒を使う必要があった。
この時点で、
師匠が摩緒に別の役割を持たせていたことが見えてくる。
同じ御降家の弟子なのに、「狙う者」と「狙われる者」へ分けられていた
五色堂の怖さは、
兄弟子たちがただ競争していたことではない。
同じ屋敷で暮らし、
同じ師匠の下で修行した者たちが、
突然まったく違う立場へ振り分けられたことにある。
百火たちは、
候補者として集められる。
その中で誰が上なのか。
誰が後継者になるのか。
互いを警戒せざるを得ない状況へ入る。
そこへ、
摩緒が置かれる。
摩緒は兄弟子たちにとって、
一緒に競う候補者ではない。
別の条件を満たすために、
狙うべき存在へ変えられてしまう。
昨日まで、
同じ御降家にいた弟子。
顔も知っている。
会話をしたこともある。
そんな相手へ、
呪いを向けることを求められる。
摩緒から見れば、
さらに異常な状況。
自分が何をしたわけでもない。
誰かを蹴落としたわけでもない。
後継者を奪おうとしたわけでもない。
それなのに、
五色堂へ入った瞬間、
自分が争いの中心へ置かれる。
しかも自分は、
後継者として何かを得られる側ではない。
この構図を見ると、
御降家の後継者争いが、
単なる実力試験ではなかったことが分かる。
術者として優秀な者を選ぶだけなら、
摩緒を標的にする必要はない。
百火と華紋を戦わせる。
術の力量を比べる。
五行の力を試す。
普通なら、
それでも後継者を選ぶことはできる。
それなのに摩緒が必要だった。
ここが、
五色堂最大の違和感になる。
しかも当時の摩緒は、
現在のようにすべてを知っているわけではない。
なぜ自分がそこにいるのか。
なぜ兄弟子たちが自分を狙うのか。
その裏に何があるのか。
知らないまま、
命だけが危険にさらされる。
御降家の末席だった摩緒にとって、
五色堂は自分の人生が突然別の方向へ曲げられた場所でもある。
そしてこの夜に、
猫鬼まで絡んでくる。
御降家の崩壊。
紗那の死。
摩緒自身への呪い。
後の900年間につながる出来事が、
同じ夜へ集まっていく。
だから五色堂を見る時、
摩緒が後継者候補ではなかったことは、
小さな設定ではない。
候補者たちと摩緒が、
最初から別の目的で配置されていたことを示している。
兄弟子たちは、
後継者をめぐって争う。
摩緒は、
その争いのために狙われる。
この不自然な分け方こそ、
後に明かされる御降家の秘密へつながっていく。
第4章 なぜ摩緒を殺せば後継者になれる?五色堂の仕組みそのものが異常だった
「摩緒を呪い殺すこと」と後継者選びが結びついている時点で普通ではない
五色堂の後継者争いで、
最も不自然なのは、
摩緒を殺すことが条件へ入っているところ。
術の巧さを競う。
怪異を倒す。
師匠から試験を受ける。
そうした選び方とはまったく違う。
摩緒は、
後継者候補ではない。
それなのに、
誰が摩緒を呪い殺すのかが、
候補者たちの争いへ結びついている。
普通に考えれば、
かなり奇妙。
摩緒を倒せるほど強い者なら後継者に相応しい、
という単純な腕試しとも違う。
摩緒自身は、
兄弟子たちより圧倒的に強い怪物ではないからだ。
当時の摩緒は末席。
経験も兄弟子たちより浅い。
もし実力を測るだけなら、
もっと強い怪異を用意した方が、
術者としての力量を比べやすい。
それでも、
標的は摩緒だった。
つまり重要なのは、
「摩緒に勝てるか」ではなく、
「摩緒を殺すこと」そのものだった可能性が高くなる。
ここまで来ると、
後継者選びの名目自体が疑わしくなる。
本当に師匠は、
最も優秀な弟子を選びたかったのか。
それとも別の目的があり、
後継者争いはそのために使われたのか。
五色堂へ集められた者たちは、
それぞれ違う五行の術を持っている。
火。
木。
水。
金。
土。
御降家で長く修行してきた実力者たち。
その中へ、
末席の摩緒を置く。
そして、
その摩緒を呪い殺すことへ、
後継者という大きな褒美を結びつける。
こうすれば、
候補者たちは摩緒を意識する。
本来なら弟弟子だった相手が、
突然自分の未来を左右する存在へ変わる。
同門同士の関係が、
一気に殺し合いへ近づいてしまう。
後継者争いに見せながら、実際には弟子たちを特定の行動へ追い込む仕掛けだった
五色堂で起きたことを見ていると、
師匠がただ静かに結果を待っていたようには見えない。
候補者たちへ条件を与え、
その条件によって、
弟子たち自身を動かしている。
「後継者になれる」
その言葉には大きな力がある。
長く御降家で修行してきた者なら、
師の跡を継ぐことを意識していてもおかしくない。
そこへ、
摩緒を倒すという条件が加わる。
自分から弟弟子を殺そうとは思わない人物でも、
後継者争いの中へ放り込まれれば、
判断を狂わされる可能性がある。
実際、
真砂のように、
人を呪い殺すことを拒む者もいる。
つまり候補者全員が、
喜んで殺し合いへ参加していたわけではない。
それでも、
五色堂という状況から簡単には逃れられない。
師匠から呼ばれ、
後継者候補とされ、
その場へ集められている。
拒否すること自体が、
御降家の掟へ逆らう行為にもなりかねない。
この状況は、
弟子の強さを見る試験というより、
誰がどんな行動を取るのかを、
強制的に引き出す場にも見える。
摩緒は、
その中心に置かれた。
自分から後継者を望んだわけではない。
兄弟子たちと争おうともしていない。
それなのに、
周囲の選択を変えるための存在として使われる。
だから摩緒を生贄と呼ぶ時、
単に「殺されそうになった人」というだけでは足りない。
後継者候補たちを動かすために、
最初から犠牲にされる位置へ置かれた人物という方が近い。
しかも、
五色堂で起きたことは、
その夜だけでは終わらない。
摩緒は猫鬼の呪いを受け、
普通の人間とは違う身体になる。
御降家も崩壊し、
兄弟子たちもそれぞれ別の道へ散っていく。
紗那を失う。
摩緒自身も、
何が起きたのか分からないまま長い年月を生きる。
そして900年後になっても、
五色堂の真相を追い続けることになる。
ここまで大きな結果を残した以上、
あの後継者争いを、
単なる師匠の跡目争いとは見にくい。
なぜ摩緒だったのか。
なぜ摩緒を殺すことが必要だったのか。
なぜ候補者たちを五色堂へ集めたのか。
その疑問を追うと、
師匠だけではなく猫鬼の存在まで近づいてくる。
第1話から摩緒を縛っていた猫鬼の呪い。
900年前の御降家の崩壊。
そして五色堂で、
摩緒だけが生贄として置かれていたこと。
これらは、
別々に起きた事件ではない。
摩緒がなぜ標的だったのかを追うことで、
少しずつ同じ一点へつながっていく。
五色堂は、
後継者を選ぶだけの場所ではなかった。
少なくとも摩緒にとっては、
自分の人生を900年間変えてしまう仕掛けが動き出した場所だった。
第5章 なぜ摩緒だけが生贄だった?師匠と猫鬼の「賭け」がすべてを変える
後継者争いの裏には、師匠と猫鬼が互いの「駒」を争う勝負があった
五色堂で摩緒だけが、
後継者候補とは違う立場に置かれていたことには、
さらに深い事情があった。
表向きには御降家の後継者争い。
しかし、その奥では師匠と猫鬼が別の勝負をしていた。
猫鬼は、
もともと普通の妖ではない。
人の身体を乗っ取って生き、
陰陽道の禁書を喰らったことで、
寿命を操る術まで身につけた危険な存在だった。
そして御降家の師匠は、
そんな猫鬼の力へ目をつけていた。
排除したいだけではない。
自分の式神として使役できれば、
非常に強大な力を手に入れられる。
そこで師匠と猫鬼の間に、
一つの賭けが成立する。
師匠が勝てば、
猫鬼を使役する。
逆に猫鬼が勝てば、
御降家そのものを差し出す。
ここまで来ると、
五色堂の後継者争いの見え方が一変する。
兄弟子たちを集めたのは、
単に次の当主を決めるためではない。
師匠自身が猫鬼との勝負へ使う、
強い「駒」を選び出す目的があった。
五色堂には、
御降家でも実力を認められた弟子たちが集められる。
彼らを互いに争わせ、
最後まで残る一人を選ぶ。
つまり後継者選びであると同時に、
人間を使った蠱毒のような場でもあった。
師匠にとって必要なのは、
最も強く残った一人。
自分の側の駒として、
猫鬼へ対抗できる存在だった。
ここで、
第4章まで感じていた違和感がつながる。
なぜ摩緒を倒すことが、
後継者争いへ絡んでいたのか。
なぜ末席の摩緒まで、
五色堂の中心へ置かれていたのか。
摩緒は、
師匠が選ぶ側の駒ではなかった。
猫鬼が選んだ側にいた。
だから最初から、
百火たちと同じ立場ではなかった。
これなら、
摩緒が後継者候補ではなかったことにも筋が通る。
候補から落とされたのではない。
そもそも、
別の陣営へ組み込まれていた。
摩緒は猫鬼側の「駒」だったから、候補者ではなく標的へ回された
猫鬼が選んでいたのが、
摩緒だった。
ここが五色堂の出来事を理解するうえで、
最も大きな部分になる。
猫鬼にとって摩緒は、
ただの若い弟子ではない。
自分が身体へ入り込み、
新しい器として利用するための候補だった。
つまり猫鬼は、
摩緒自身の術者としての地位を見ていたのではない。
後継者になれるか。
兄弟子より強いか。
そうした御降家内部の評価とは、
別のところから摩緒を選んでいた。
師匠側には、
五色堂で生き残る弟子たちがいる。
猫鬼側には、
摩緒がいる。
ここで初めて、
900年前の後継者争いが、
師匠と猫鬼の賭けへつながって見えてくる。
摩緒が兄弟子たちから狙われるのも、
ただ「弱い弟子を犠牲にしよう」という話ではない。
猫鬼が選んだ相手だからこそ、
師匠側の者たちとの争いへ組み込まれていく。
摩緒本人からすれば、
あまりにも理不尽。
自分は猫鬼との賭けを持ちかけていない。
御降家を賭けた覚えもない。
兄弟子たちを殺して後継者になろうともしていない。
それなのに、
大人たちが始めた勝負の中で、
自分の命だけが使われる。
師匠にとっても、
猫鬼にとっても、
弟子一人の人生より賭けの方が優先されている。
ここに御降家の怖さがある。
摩緒たちが信じていた師匠は、
弟子たちを守るだけの存在ではなかった。
自分の目的のためなら、
彼らを互いに争わせるところまで踏み込んでいる。
しかも兄弟子たちも、
真実を完全に知ったうえで参加していたわけではない。
後継者争いと思っていたものの奥に、
師匠と猫鬼の勝負が隠れていた。
だから五色堂では、
誰も自分の人生を完全には選べていない。
後継者を目指す者。
争いを拒む者。
逃げようとする者。
それぞれ違う思いを持っていても、
大きな仕掛けの中へ入れられていく。
その中で最も特殊だったのが摩緒。
師匠側の後継者ではなく、
猫鬼が選んだ側の人物だった。
だからこそ、
「才能があるのに候補ではなかった」という疑問も、
単純な能力差では説明できない。
御降家内部の評価より前に、
摩緒には別の役割が与えられていた。
後継者になる人物ではない。
猫鬼が利用する人物。
その違いによって、
摩緒だけ五色堂で別の運命を背負わされていた。
第6章 猫鬼はなぜ摩緒を狙った?「器」として選ばれていたことが後継者争いにつながる
猫鬼が欲しかったのは後継者ではなく、自分が入り込める摩緒の身体だった
猫鬼が摩緒を選んだところまで来ると、
もう一つ疑問が出てくる。
なぜ数多くの御降家の弟子の中で、
摩緒だったのか。
猫鬼にとって重要だったのは、
御降家での序列ではない。
後継者候補に入っているかどうかでもない。
自分が宿ることのできる、
新しい「器」になるかどうかだった。
猫鬼は、
人の身体を乗っ取って生きる存在。
だから自分に適した身体を得られるかどうかは、
生き続けるうえでも非常に重要になる。
その器として、
猫鬼が目をつけたのが摩緒だった。
摩緒は師匠から見れば末席に近い弟子でも、
猫鬼から見れば価値がまったく違った。
ここが、
御降家での評価と猫鬼の評価が食い違うところ。
兄弟子たちは、
術の実力や経験によって後継者候補になる。
摩緒は、
身体そのものを猫鬼に狙われる。
つまり、
同じ御降家の中にいても、
見られている部分が違う。
百火なら火の術。
華紋なら木の術。
真砂なら水の術。
兄弟子たちは、
それぞれ術者としての力量が重視されている。
摩緒だけは、
それとは別のところで価値を持つ。
猫鬼が入るための器。
この役割があったからこそ、
後継者候補になっていない摩緒まで、
五色堂の争いへ引き込まれていく。
猫鬼からすれば、
摩緒を手に入れられれば、
自分の新しい身体を得られる。
そして師匠との賭けにも、
自分側の駒として使える。
摩緒本人は、
そんな事情を知らない。
なぜ自分が選ばれたのか。
なぜ兄弟子たちの争いの中にいるのか。
何も分からないまま、
猫鬼の標的になっていく。
この構図を知ると、
第1話から続いていた「猫鬼はなぜ摩緒を呪っているのか」という疑問にも、
900年前から答えが続いていたことが分かる。
猫鬼との因縁は、
御降家が崩壊した後に偶然生まれたものではない。
五色堂の時点ですでに、
摩緒は狙われていた。
五色堂の戦いと猫鬼の呪いは、最初から一つの出来事だった
現在の摩緒を見ると、
猫鬼の呪いは彼の人生そのものへ食い込んでいる。
身体には猫鬼が宿り、
普通の人間とは違う状態になっている。
そして約900年間、
猫鬼を追い続けている。
第1話の段階では、
そこに大きな謎がある。
なぜ摩緒が900年前から生きているのか。
なぜ猫鬼に呪われたのか。
なぜそこまで猫鬼を追い続けているのか。
物語が進み、
五色堂の過去が見えてくると、
その出発点が少しずつ分かってくる。
後継者争いがあった。
摩緒は生贄として利用された。
その場に猫鬼がいた。
そして猫鬼自身が、
摩緒を自分の器として狙っていた。
つまり、
後継者争いと猫鬼の呪いは、
別々の事件ではない。
同じ五色堂の仕掛けから伸びている。
師匠は、
猫鬼を使役しようとした。
猫鬼は、
御降家を手に入れようとした。
その勝負へ、
弟子たちが使われた。
兄弟子たちは、
人間の蠱毒のような争いへ入れられる。
摩緒は、
猫鬼の器として狙われる。
誰が勝っても、
弟子たちだけが無傷で帰れるような勝負ではない。
そして五色堂には、
互いに争わなければ死ねないほどの異常な呪いまで関わってくる。
御降家崩壊後も兄弟子たちが900年生き続けている背景には、
あの夜に仕掛けられたものが残っている。
だから現在の百火や華紋たちが、
900年前から生きていることも、
単なる長寿の術だけでは片づけられない。
五色堂で始まった呪いそのものが、
彼らの時間を止めている。
摩緒もまた、
別の形で猫鬼と結びつけられた。
その結果として、
900年後の大正時代まで生き続ける。
そして菜花まで、
現代で猫鬼の呪いへ巻き込まれる。
第1話ではまったく別の時代にいる少女だった菜花が、
摩緒と同じ呪いを受けたことで、
900年前の因縁へつながっていく。
ここまで来ると、
摩緒が後継者候補ではなかったことは、
決して小さな設定ではない。
むしろ物語全体の出発点に近い。
御降家では末席。
兄弟子たちより経験も浅い。
後継者候補にも入っていない。
それでも猫鬼だけは、
摩緒を選んでいた。
猫鬼が欲しかったのは、
御降家で一番偉い弟子ではない。
自分が入り込める器だった。
だから摩緒には、
兄弟子たちとは違う価値があった。
そしてその選択によって、
摩緒の人生は900年間変わってしまう。
もし摩緒が、
普通に候補外だっただけなら、
五色堂を離れて終わったかもしれない。
けれど猫鬼に選ばれていたから、
争いの中心へ引きずり込まれた。
後継者候補ではない。
それなのに、
誰より深く御降家崩壊へ巻き込まれている。
この矛盾こそ、
摩緒の過去で最も重要なところ。
才能が足りなかった人物ではなく、
最初から別の目的で選ばれていた人物だった。
だから900年後の摩緒が、
猫鬼を追い続けていることにもつながる。
自分の人生を変えた相手。
御降家を崩壊へ導いた存在。
そして自分を「器」として選んだ存在。
五色堂で摩緒が生贄にされた瞬間から、
摩緒と猫鬼の長い因縁は、
すでに始まっていた。
第7章 摩緒が後継者候補ではなかったこと自体が、御降家最大の違和感だった
「才能がなかったから」では、五色堂で摩緒だけが特別扱いされたことを説明できない
摩緒が後継者候補ではなかったことを、
単純に実力不足だけで考えると、
どうしても説明できない部分が残る。
本当に力が足りないだけなら、
五色堂の争いから外しておけばいい。
それなのに摩緒は、
後継者候補たちと同じ夜、
同じ五色堂の中へ置かれている。
しかも競争へ参加する側ではなく、
兄弟子たちから狙われる側として。
ここが最大の違和感になる。
候補ではない。
なのに重要。
末席に近い。
なのに争いの中心へ置かれる。
普通の後継者選びなら、
この扱いはかなり不自然。
優秀な弟子を比べるだけなら、
摩緒を巻き込む必要はない。
さらに後の真相まで見ると、
この不自然さにも筋が通ってくる。
摩緒には、
後継者候補とは別の価値があった。
猫鬼から「器」として狙われていたこと。
つまり御降家内部での評価と、
猫鬼から見た摩緒の価値は、
まったく同じではなかった。
兄弟子たちは、
術者としての力を見られる。
誰が後継者にふさわしいのか。
誰が最後まで残れるのか。
そこへ注目が集まる。
摩緒は違う。
猫鬼にとっては、
後継者になれるかどうかより、
自分が入り込める相手なのかどうかが重要だった。
だから摩緒だけ、
最初から別の役目を背負わされる。
候補者ではない。
それでも五色堂に必要とされる。
この矛盾は、
摩緒が弱かったからでは説明できない。
むしろ、
別の目的で選ばれていたからこそ、
同じ舞台へ入れられたと見る方が自然になる。
摩緒だけ別の役目だったと分かると、御降家崩壊の見え方まで変わってくる
五色堂の夜は、
ただ後継者選びに失敗して、
御降家が崩壊したという話ではない。
師匠。
猫鬼。
後継者候補たち。
そして摩緒。
それぞれが、
同じ場所でまったく違う目的を持っていた。
師匠は、
自分の側の駒を選ぼうとする。
猫鬼は、
自分の器として摩緒を狙う。
兄弟子たちは、
後継者争いへ巻き込まれる。
その中で摩緒だけは、
自分の意思とは無関係に、
他者の思惑へ組み込まれていく。
後継者になりたいわけではない。
猫鬼の器になりたいわけでもない。
兄弟子たちと殺し合いたいわけでもない。
それでも、
摩緒の身体と命が、
大きな賭けの中心へ置かれる。
ここまで見ると、
摩緒は「候補から外された弟子」ではなく、
「別の目的で利用された弟子」と考えた方が近い。
そして、
その扱いが900年後まで続く。
猫鬼の呪いを受け、
普通の人間とは違う時間を生き、
自分がなぜ選ばれたのかを追い続ける。
第1話で菜花と出会った時にも、
摩緒の中には900年前の事件が残っている。
菜花が猫鬼の呪いに触れたことで、
過去の因縁が再び現在へつながってくる。
摩緒にとって五色堂は、
ただ昔の修行場ではない。
自分の人生が、
自分の知らないところで決められた場所。
なぜ自分だったのか。
なぜ猫鬼に選ばれたのか。
なぜ後継者候補ではないのに、
あの場へ置かれたのか。
その疑問を追っていくと、
御降家そのものの異常さが見えてくる。
弟子を育てる場所だったはずなのに、
最後には弟子同士を争わせる。
さらに一人を生贄へ回し、
猫鬼との賭けにまで利用する。
だから御降家崩壊は、
偶然起きた惨事ではない。
五色堂の仕組み自体に、
すでに崩壊へ向かう危うさがあった。
その中心に、
摩緒がいた。
ただし摩緒は、
中心人物になりたくてそこへ立ったわけではない。
誰かに選ばれ、
誰かに利用され、
気づいた時には逃げられない位置へ置かれていた。
これが、
後継者候補ではなかった摩緒の本当の重さになる。
才能がないから候補外。
それだけなら、
ここまで900年の因縁にはならない。
実際には、
候補外だったからこそ別の役目を与えられた。
そしてその役目が、
猫鬼の呪いと御降家崩壊へ直結した。
だから「摩緒はなぜ後継者候補ではなかったのか」を追うと、
最後には摩緒個人の実力ではなく、
御降家が弟子たちをどう扱っていたのかという問題へたどり着く。
摩緒は、
後継者になれなかった人物ではない。
最初から、
後継者争いとは別の場所に置かれていた人物だった。
その違いを知ると、
五色堂の夜も、
猫鬼の呪いも、
900年後の摩緒の戦いも、
すべて一つの過去から続いているように見えてくる。
MAOまとめ
『MAO』の考察・キャラ解説・猫鬼の呪い・五色堂・アニメ感想記事をまとめています。
摩緒、菜花、猫鬼、百火、華紋、不知火、白眉、玄武、乙弥など記事一覧はこちら。
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