『チー付与』のコーネリアスは、レインと対立した後、その命を狙い、同じギルドのグレンダにも暗殺を企てる。
レインを必要とする「王獣の牙」に対し、彼は連れ戻すことより殺すことへ向かっている。
副ギルドマスターへの裏切りとレインへの殺意を重ねると、ギルドの利益より個人的な恨みを優先した可能性が見えてくる。
漫画のグレンダ死亡に関するネタバレあり。
第1章 コーネリアスはなぜレインに殺意を向けた? 味方まで狙う行動の行き先
| 動く人物・組織 | レインとグレンダへの対応 |
|---|---|
| 王獣の牙 | 弱体化を恐れ、レインを 強制的に連れ戻そうとする |
| コーネリアス | レインを殺そうとし、 グレンダ暗殺も計画する |
| グレンダ | 副ギルドマスターとして ギルド側にいる |
| ミラベル | コーネリアスに雇われる暗殺者 |
| 考察の中心 | 組織の必要と、 個人の恨みは同じではない |
連れ戻したいギルドと、 殺したいコーネリアス
レインがいなくなって困っているのに、
なぜ殺そうとするのか。
コーネリアスの行動を追うと、
まずここが引っ掛かる。
強化を取り戻したいなら、
本人が生きていなければ話にならない。
それでも彼は、レインを連れ帰る方向ではなく、
暗殺者を使って命を狙う方向へ進んでいく。
コーネリアスの殺意は、
ギルドを立て直す仕事より、
レインとの対立で生まれた個人的な恨みを
優先したものと考えられる。
少なくとも、レインを必要とする
「王獣の牙」の方針と、
彼を殺そうとする行動は
同じ目標へ向かっていない。
アニメ第2話では、
コーネリアスがリリィを奪おうとし、
レインが強化付与の解除を告げて
真っ向から対立する。
その後、第4話では、
コーネリアスがミラベルを雇い、
グレンダの殺害を計画しながら、
遺跡に入ったレインの命も狙う流れになる。
この間にあるのは、
単なる仕事上の意見の違いではない。
レインが拒んだことを受け止め、
別の交渉を始めるのではなく、
相手を消す手段が持ち込まれている。
レインからすれば、新しい仲間と歩き始めた先へ、
元のギルドの相手が
殺意を持って追ってくることになる。
ただし、本人の胸の内を
全て読めるわけではない。
恥をかかされた怒り、
強化を失ったことへの苛立ち、
レインに拒まれた不満。
それらがどの割合で殺意へ結び付いたかまでは
断言できない。
対立の後に選んだ行動から、
復讐を優先していると読むのが近い。
大切なのは、ギルドが必要とする結末と、
コーネリアスが望む結末を
一つにしないことになる。
ギルドの名前を背負って現れる人物でも、
その行動がいつも組織の利益を守るとは限らない。
むしろ彼は、同じ組織のグレンダまで
標的にしてしまう。
グレンダまで標的に変わるところが怖い
グレンダは「王獣の牙」の副ギルドマスター。
外から来た敵ではなく、
コーネリアスと同じ側にいる人物になる。
レインへの怒りがあったとしても、
それだけで味方の幹部まで
殺す話へ進むとは思いにくい。
そこへ暗殺が向かうため、
復讐の範囲が予想より広く見える。
公式の第4話紹介でも、
ギルドの混乱に乗じて
グレンダ殺害を計画すると説明されている。
弱体化した組織を助ける動きと、
混乱を利用して人を消す動きが同時にある。
困っているギルドの中で、
全員が同じ立て直しへ動いているわけではない。
グレンダの細かな扱いに対しては、
コーネリアスの計画へ
都合の悪い相手になったのではないか、
と考える余地がある。
しかし、役職を奪いたかった、
秘密を知ったから口封じした、
といった動機を確定事項にはできない。
実際に同じギルドの幹部を狙わせたことだけでも、
裏切りの重さは残る。
ここが落ち着かない。
レインにとって危険な相手が、
元の仲間にとっても安全ではない。
外にいる相手への殺意が、
組織の内側へも伸びている。
コーネリアスの行動は、
敵と味方の線を守った復讐という形には
収まらなくなる。
ミラベルが若い暗殺者として入ってくることで、
計画は口先の脅しだけではなくなる。
自分の怒りを言葉にする段階から、
命を奪う仕事を外へ頼む段階へ移っている。
本人がどれほど大きく見せようとしていても、
誰かを雇った事実は、
殺意を実行へ近づける。
コーネリアスを見ていて残る疑問は、
なぜそこまでしたのかということになる。
レインを嫌う気持ちはあっても、
殺せば失うものまで大きい。
それでも進もうとするところに、
組織の都合より自分の感情が
前へ出た可能性が見える。
レインへの殺意と、グレンダへの裏切りは、
別々の事件として切り離しにくい。
同じ人物が、同じ混乱の中で、
外の相手と内の相手の両方を狙っている。
二つを重ねると、コーネリアスが
何を守ろうとしていたのかが、
かえって分からなくなる。
その不自然さが、この記事の出発点になる。
第2章 対立の発端はリリィ ――レインに拒まれたコーネリアス
一緒に冒険した相手を、 奪われそうになるレイン
レインとコーネリアスの対立は、
強化付与の計算だけで始まるわけではない。
間にいるのはリリィになる。
レインが彼女と冒険をし、
これからも一緒に進もうとした帰り道で、
コーネリアス一行に遭遇する。
リリィは、過去のクエストで
命の危険にさらされて以来、
恐怖から戦えなくなっている。
それでも第2話では、
経験を持つ彼女と、強化付与を使うレインが
力を合わせてドラゴンの危機を切り抜ける。
戦えないから何もできない、
という関係ではない。
その後、リリィが本音を話し、
レインが受け止めて再び冒険へ誘う。
この時間があるため、
帰路で彼女を奪われそうになる場面は、
ただ有能な仲間を取られる話では終わらない。
二人の間で、ようやくできた関係へ
割り込まれる出来事になる。
レインからすれば、
リリィは別の相手へ差し出して
済ませられる存在ではない。
彼女自身が何を感じているかを聞き、
一緒に進もうとした相手になる。
そこへコーネリアスが来ることで、
冒険の帰り道が、
人同士の対立する場所へ変わってしまう。
ここで、リリィを巡る争いを
恋愛の勝敗だけにするのも違う。
公式紹介が示すのは、
レインが彼女を奪われそうになり、
コーネリアスと対立することになる。
誰が女性に選ばれたかという話へ縮めるより、
相手を自分の都合で動かそうとする行動と、
それを拒む行動がぶつかっている。
コーネリアスにとって、
レインは以前と同じように
扱える相手ではなくなっている。
元のギルドでの位置に戻って従うのではなく、
目の前で拒む側に立つ。
その変化が、彼の苛立ちを
強めた可能性がある。
強化解除の告白が、 相手の力の見え方を変える
レインはそこで、
「王獣の牙」の武器や防具への強化を
解除したと告げる。
相手の装備が以前のままではないことを、
はっきり言葉にする。
ギルドを出た後も支え続けている
都合のよい術師ではなく、
自分の力を引き上げた本人として立っている。
また、この場面でレインが告げるのは、
強化を全て解除したということになる。
目の前の口論をきっかけに
初めて全部奪った、と順番を入れ替えると
話が変わってしまう。
追放後に起きていた変化が、
対立の場で相手へ知らされる。
その事実を知ったコーネリアスが、
そこからどう動くかが問題になる。
この告白は、
コーネリアス側の力の見え方も変える。
以前の装備でできたことが、
そのままできるとは限らない。
自分の実力と思っていたものに、
レインの働きが関わっていたと突き付けられる。
その不快さが、
レインへの敵意へ重なったと考えられる。
もちろん、相手が腹を立てたから
レインの言い方が悪かった、
という話にはならない。
追放された後まで、
元のギルドを無条件で強くしておく義務が
あるとは言えない。
強化をやめたことと、
人を殺そうとすることの間には、
大きな隔たりがある。
レインの側から見ると、
力を必要とされていたことに気付いた相手が、
まず敬意を返すのではなく、
強い敵意へ向かってくるように映る。
自分の働きが価値のあるものなら、
なぜ普通に話ができないのか。
ここには、能力だけを求められる苦さもある。
コーネリアスの殺意を考える時、
この対立は、本人が望む力関係を
崩された場面として読める。
相手を従わせるつもりが、
相手から拒まれ、装備の前提まで変えられる。
恨みの向かう先が、問題の中身より、
拒んだ本人へ集まってしまう可能性がある。
ただし、それは内心を説明するための考察になる。
実際に確認できるのは、
リリィを巡って対立し、
レインが強化解除を告げ、
その後に殺害へ向かうこと。
細かな台詞や本人の独白を作らなくても、
この順番から読み取れるものはある。
リリィと一緒にやり直そうとするレインの時間と、
それを恨みに変えて追うコーネリアスの時間が、
同じ出来事から別々に進んでいる。
レインが前へ向かおうとするほど、
元の相手がその背中へ殺意を向ける。
この後味が、次の暗殺計画につながっていく。
第3章 レインを失えば困るのに ――「王獣の牙」が連れ戻そうとする事情
取り戻したいのは、 失われた装備の強さ
レインが必要なら、
生きて戻ってもらうしかない。
「王獣の牙」の側から考えると、
この点は単純になる。
失われた装備の強さを取り戻したい時に、
付与できる本人を殺してしまえば、
その先の相談も交渉も閉ざされる。
第4話の紹介では、
ギルドが強化の解除を知り、
弱体化を恐れてレインを
強制的に連れ戻そうとすると示されている。
単に顔を見たいから探すのではない。
これまでの力を支えていた働きがなくなり、
その穴へ対応しようとしている。
ここで失われたのは、
装備へ付与されていた強化になる。
ギルドメンバーの経験や知識が全部消えた、
と広げる必要はない。
それでも、同じ戦い方で以前の成果を
出せるとは限らなくなる。
自分の力と、外から支えられていた力の境目が、
急に現れてしまう。
冒険者にとって、その差は評判だけでなく、
実際の仕事にも関わる。
以前と同じ力があるつもりで動けば、
見込み違いが生まれかねない。
ギルドが弱体化を恐れるのは、
単なる面子の問題だけではなく、
今までのやり方が通じなくなる不安と
結び付いていると考えられる。
レインの強化が自分の装備を支えていたと知れば、
相手へどんな頼み方をするかが問われる。
元の立場に戻れという命令だけでは、
本人が戻る事情は生まれない。
ギルドが自分たちの損失を急いで埋めたいほど、
その焦りが、レインの生活や選択を
後ろへ追いやってしまう可能性がある。
だからレインを必要とすること自体は理解できる。
しかし、必要になったから連れてくればよい、
という考えに、本人の気持ちは入りにくい。
追い出した後で働きの大きさに気付いても、
レインが同じ場所へ
戻りたくなるとは限らない。
コーネリアスがこの状況で
レインを殺そうとするから、
食い違いが強く見える。
本人を取り戻したい組織の中に、
本人がいなくなればよいと動く者がいる。
同じギルドに属していても、
望んでいる結末までそろっていない。
連れ戻す計画も、 レインに優しいとは限らない
連れ戻す側が正しく、
殺そうとする側だけが間違っている、
という単純な分け方もできない。
ギルドの計画は、
レインを強制的に戻そうとするものになる。
彼の意思を確かめ、
納得してもらって迎えたいという話とは違う。
レインにとっては、
役に立たないと扱われて居場所を失った後で、
今度は能力を必要とされて追われることになる。
求められることが、そのまま
大切にされることにはつながっていない。
戻ってほしいと言われても、
自分自身ではなく、付与の力へ向けられた言葉なら
苦さが残る。
グレンダの側も、
レインを必要とするギルドの立場にいる。
漫画では、レインを連れ戻して
強化を取り戻そうとする動きに関わる。
だから、彼女が狙われたことを、
レインを守る善人が殺された話へ
置き換える必要はない。
彼女にもギルド側の都合がある。
それでも、レインを生かして必要とする方針と、
殺して消そうとする方針は同じにならない。
どちらもレインへ身勝手な要求をしているとしても、
手に入れたい結末が違う。
この違いを残すことで、
グレンダとコーネリアスが
同じ側にいながら衝突し得ることが見えてくる。
相手の能力へ頼っていたと認めることは、
それまでの扱いを問い直すことにもなる。
普通に協力を求めるなら、
自分たちだけでは足りないと
受け入れなければならない。
コーネリアスがその関係へ戻るより、
恨む相手を消すほうへ向いたのなら、
組織の必要と感情が離れてしまう。
ただ、その心理だけで
全てを説明し切れるとは限らない。
強化が戻れば彼自身にも利益はある。
それを捨てて殺害へ進む行動には、
見ている側にも割に合わなさが残る。
本人が自分の損得を丁寧に計算していたと、
無理に整える必要はない。
ギルドが困っていることを知れば知るほど、
コーネリアスの殺意は
合理的な立て直しから遠ざかる。
レインの力を取り戻すための捜索と、
レインを殺すための追跡。
同じ相手を追っていても、
その先に残る未来は逆を向いている。
第4章 副ギルドマスター・グレンダへの裏切り ――同じギルドの仲間を狙った暗殺
幹部の立場も、 内側からの殺意を防いでくれない
グレンダは、レインのように
すでにギルドを出た相手ではない。
「王獣の牙」の副ギルドマスターとして、
内部にいる人物になる。
コーネリアスはその彼女を、
外から雇った暗殺者の標的にする。
自分たちの側の人間へ、
殺しの手段を持ち込んでいる。
人物紹介では、グレンダは冷淡な性格の一方、
ギルドメンバーからの信頼が厚いとされる。
優しい態度で接するかどうかと、
組織の中で頼られているかどうかは別になる。
その彼女が失われれば、
副ギルドマスターという役職の空席だけでは済まない。
組織が弱っている時に、
信頼される人物まで消す。
それは、目の前の強化不足へ対応するどころか、
別の穴を増やす行動になる。
ギルドを守るための暗殺と考えるには、
守られるものより失うもののほうが
目立ってしまう。
副ギルドマスターという呼び名には、
組織を動かす側の印象がある。
ところが暗殺では、その立場へ正面から
異議を唱える手順さえ省かれる。
強い言葉で言い返す余地も、
役職を使って対応する余地も、
命を狙われる場では保証されない。
コーネリアスが持ち込むのは、
内部の議論を途中で断ち切る手段になる。
同じギルドにいるから、
互いを大切にしているとは限らない。
それでも、仕事を共にする相手が
内側から命を狙うことには、
外敵との戦いと違う怖さがある。
地位や顔見知りの関係が、
そのまま安全にはならない。
ミラベルの記事では、
グレンダの死を、暗殺を実行する側から
追うことができる。
コーネリアスの行動から見ると、
依頼の先へ同じギルドの幹部を
差し出したことが中心になる。
自分と相手の間にある組織のつながりより、
暗殺の計画を優先している。
漫画では、グレンダはミラベルに殺される。
計画が口先だけで消えるのではなく、
戻せない被害になる。
コーネリアスにとって一つの障害や
都合の悪い存在と映っていたとしても、
彼女を信頼する側には、
一人の人を失う出来事として残る。
なぜグレンダを選んだのか、 残る不自然さ
ここで気になるのは、
グレンダを殺せばレインへの復讐に
何が有利になるのかということ。
ギルドがレインを連れ戻したいなら、
殺害へ向かう自分の動きとは、
いつか衝突する可能性がある。
その立場の違いから、
グレンダを邪魔と感じたという考察は成り立つ。
ただし、可能性があることと、
細かな動機が確定していることは違う。
彼女に止められたからなのか、
暗殺の仕事を進める過程で選んだのか、
個人的な反感まであったのか。
コーネリアスの全ての内心を、
一つの説明へまとめるだけの材料は足りない。
副ギルドマスターという立場を見て、
次の地位を狙った出世目的と決めるのも早い。
殺した後の権力の使い方まで描かれたのでなければ、
役職がある相手を殺したことだけで、
役職が欲しかったとは言えない。
ここでは計画への関与と、
その結果が中心になる。
口封じという言葉も使いやすい。
しかし、グレンダが具体的にどの秘密を知り、
それを誰へ話すつもりなのかまで確認できなければ、
それ以上の筋書きは足せない。
分かりやすい動機を付けるほど、
本人が選んだ行動の雑さまで
消してしまう場合がある。
むしろ、そこまでの見通しがあったのかという
疑問も残る。
グレンダを消せば、
彼女を信頼する人々がどう反応するか。
ギルドの中へどんな影響が広がるか。
目の前の都合だけで動いたと考えるほうが、
行動の危うさへ近い可能性もある。
グレンダの側へ寄ると、
これは組織の揉め事に巻き込まれただけでは済まない。
自分が関わる方針と違う目的を持つ者が、
外部の殺し手を連れてくる。
話して折り合いをつける相手になるはずの
内部の人間が、命を奪う側へ移ってしまう。
レインへの殺意が個人的な恨みから生まれたとしても、
その恨みの外側にいる人まで被害を受ける。
グレンダへの裏切りが後味を重くするのは、
コーネリアスとレインの対立だけでは
終わらなくなるため。
自分たちの間の問題へ、
別の命を巻き込んでいる。
第5章 ミラベルを雇ったのはなぜ? 正面からの対立が暗殺へ変わるまで
本人の怒りを、 他人の技術で実行へ近づける
コーネリアスは、
レインへもう一度正面から勝負を挑むだけではなく、
暗殺者ミラベルを雇う。
自分が腹を立てているから、
自分の力で決着をつけるという形から離れる。
誰かを殺したいという望みを、
他人の技術に託して実行へ近づける。
ミラベルは、暗殺の母に育てられた
若い一流の暗殺者として紹介される。
依頼された相手へ怒りを持つ必要がなくても、
殺害を仕事として引き受ける立場になる。
コーネリアスの個人的な感情と、
暗殺者の仕事が結び付くことで、
レインへ向かう危険が変わる。
ここで、依頼する側だから
手を汚していないと軽くはならない。
自分が直接実行しなくても、
誰を狙わせるかを決め、
殺害へ向かう手段を用意している。
グレンダへの裏切りも、
実行するミラベルだけの行動としては
切り離せない。
一方、ミラベルを雇った細かな損得まで、
本人が全て説明したと扱う必要はない。
直接の対立より確実に殺したかったのか、
自分の力では足りないと考えたのか。
暗殺者を使う選択から推測はできるが、
一つの内心へ決め付けずに置いておく。
ミラベルからすれば、
コーネリアスとレインの間に積み重なった感情を、
自分も同じように抱える必要はない。
それでも依頼を受ければ、
二人の対立へ実行者として入っていく。
本人同士では終わらなかった不満が、
仕事の形を取って他人へ渡されるところに、
暗殺という選択の広がりがある。
確認できるのは、
相手を生かして交渉する道ではなく、
殺す仕事を依頼する道へ進んだことになる。
レインが拒んだから別の条件を出そう、
という話には向かわない。
自分の都合に応じない相手を、
関係そのものから消そうとする選択になっている。
ここには、けんかの勢いだけでは
片付けにくい時間もある。
怒ったその場で手が出るのとは違い、
別の人へ依頼し、相手の行き先を知り、
追っていく。
感情が落ち着く機会がありそうな間にも、
計画が先へ進んでいるところが不穏になる。
光竜の遺跡へ、 別の目的を持ち込む二人
第4話の紹介では、コーネリアスは
マーガレットから得た情報を使い、
光竜の遺跡へ潜入する。
レインの命を狙うために、
相手が向かう場所の情報を利用している。
偶然同じ遺跡に出くわして再び揉めた、
という話ではない。
ただ、マーガレットとコーネリアスを、
同じ恨みを共有する完全な共犯者と
決める必要もない。
マーガレットには、
姉の死とリリィを巡る事情がある。
情報が渡ったことと、
全員が二つの暗殺計画を
同じように理解していたことは分けられる。
レイン、リリィ、マーガレットにとって、
遺跡へ向かうことには
過去のクエストとのつながりがある。
一方、コーネリアスとミラベルは、
別の殺害目的を持ってそこへ入る。
同じ場所へ進む人々でも、
向かっている答えが違う。
その重なりが落ち着かない。
リリィたちは魔物だけでなく、
過去の恐怖や疑いにも向き合おうとしている。
そこへ現在進行形の殺意まで持ち込まれるため、
遺跡は昔の出来事を知れば
安全になる場所ではなくなっている。
遺跡に危険があることと、
誰かがそこで殺そうとしていることも別になる。
魔物へ備えるつもりで進むレインたちに、
同じ人間からの殺意が重なる。
元のギルドの名前を知っているからこそ、
無関係な敵が襲ってくる時とは違い、
以前の関係が今の危険へ変わった重さが残る。
コーネリアスは、
相手が自分の目の前へ戻るのを待つのではなく、
その相手の新しい行動へ入り込んでいく。
レインの側では、前のギルドを出たことでもう
終わったはずの関係が、
暗殺の計画になって続いてしまう。
離れた相手から追われる怖さがある。
ミラベルが同行することで、
コーネリアスの計画には、
自分一人の判断だけでは動かせない他人も入る。
雇ったからといって、
相手の技術や考え方まで自分のものになるわけではない。
殺しを頼むことで力を得たつもりでも、
別の意思を持つ人間へ頼っている。
これは、レインの強化へ頼っていたギルドとの間にも、
少し通じるところがあると考えられる。
必要な力を外から借り、
その持ち主を自分の都合で扱おうとする。
力を使わせてもらう関係と、
その相手を支配できることは、同じではない。
暗殺へ進んだ選択を、
頭のよい作戦だからと持ち上げる気にはなりにくい。
自分が正面で困る問題を、
他人に殺してもらえば解けると考えるなら、
その後に残る被害や関係までは見えにくくなる。
コーネリアスの計画は、実行へ近づくほど、
本人の周りにも危険を増やしていく。
第6章 二つの暗殺計画は矛盾する? ギルドの利益と個人的な恨み
| 考える立場 | 計画によって起きること |
|---|---|
| ギルドの立て直し | レインの力と、 信頼されるグレンダを失う |
| コーネリアス個人 | 復讐を優先したなら 行動がつながる可能性 |
| レイン | 追放後も元のギルドの相手から 命を狙われる |
| グレンダ | 同じ組織の内側から 暗殺を向けられる |
組織を守る計画として見ると、 失うものが大きい
レインを必要とするギルドの立場から見ると、
コーネリアスの計画には大きな無理がある。
本人を殺せば強化を求める相手を失い、
グレンダを消せば内部の信頼も傷つく。
弱った組織を助けるための計画としては、
減っていくものが多すぎる。
それでも、二つの暗殺が設定の破綻に当たると、
すぐ決めることはできない。
登場人物が自分の利益に合わない行動をすることと、
物語の説明が食い違っていることは別になる。
コーネリアスが冷静にギルド全体を守る人物なら
不自然でも、感情を先に置く人物なら見え方は変わる。
公式の人物紹介でも、
彼は自分の目的のために手段を選ばない
狡猾な人物とされる。
ただし、狡猾だから何でも
先を見通しているとは限らない。
目の前の相手へ勝つための手は使えても、
その手が長い目で自分の首を絞めることまで
考えているとは言えない。
ギルドへ損害が出ると分かっていながら動いたのか、
それともそこまで見えていなかったのかも、
分けて考えられる。
前者なら組織より自分を優先し、
後者なら自分の選択が周囲へ与える影響を見落としている。
どちらにしても、所属する集団の必要を
代表した行動とは言いにくい。
ここで、頭が切れる人物なら
合理的に振る舞うはずと期待すると、
行動が分かりにくくなる。
誰かを利用することにためらいがないのと、
全体の損得を正確に計算できることは違う。
コーネリアスには、他人を使う選択と、
先行きを危うくする選択が並んでいる。
本人の優先順位を、
ギルドの再建よりレインへの復讐に置けば、
二つの標的のつながりは考えやすくなる。
レインを生かして取り戻す動きが、
自分の殺害計画へ干渉するなら、
その内部の人間も邪魔に見えた可能性がある。
ただし、ここでもグレンダ殺害の
細かな動機が確定するわけではない。
考え方の枠を変えると、
行動がどちらへ向いているかを読みやすくなる、
という話になる。
本人の全ての判断を
合理的に説明できたことにはならない。
復讐を先に置くと、 標的の広がりが違って見える
コーネリアスが守りたかったものは何なのか。
ギルドの強さなのか、自分の立場なのか、
レインに拒まれたままではいられない気持ちなのか。
行動の中で強く見えるのは、
少なくともレインとの関係を
普通の協力へ戻そうとしていないところになる。
連れ戻す計画なら、
本人に働いてもらう未来が残る。
殺害計画は、その未来を捨てる。
相手の力をまた借りるより、
相手がいなくなることを選んでいるとすれば、
必要な人間だから大切にするという流れにはならない。
グレンダを狙う行動も、
同じギルドの者だから守るという考えから離れている。
外の相手だけでなく、内側の相手まで、
自分の計画との関係で扱っている可能性がある。
所属が同じというだけでは、
彼の殺意を止める線になっていない。
この見方をすると、二つの暗殺は、
組織のためには矛盾していても、
個人の復讐へ向かう行動としてはつながり得る。
ただし、つながることと納得できることは別になる。
恨んだから殺したい、
邪魔だから消したいという発想に、
被害を受ける側の納得は含まれない。
見ていると、
そこまでして自分に何が残るのかと考えてしまう。
レインもグレンダも失ったギルドが、
彼に都合よく戻るとは限らない。
復讐を果たした後の場所まで守れる計画ではないなら、
目先の怒りへ先の生活を
差し出しているようにも見える。
もちろん、本人が最後まで
同じ感情だけで動くとは限らない。
計画を進める間には、
都合や恐れも変わる可能性がある。
それでも、最初の殺意を抱えたまま、
別の命まで狙うところへ進んだことは残る。
後の事情を足しても、その出発点は消えない。
この記事の矛盾への答えは、
ギルドの利益とコーネリアス自身の望みが、
同じものではないというところになる。
二つを重ねて考えれば、
なぜ必要なレインを殺すのかが分からなくなる。
別々に見ると、組織が困る選択でも、
本人が進めてしまう余地が見えてくる。
その余地があるから、
グレンダへの裏切りは、
幹部同士の方針の違いでは終わらない。
話が合わない相手を、
組織の内側にいるからこそ安全と思わせたまま狙う。
レインへの殺意をたどってきた先に、
味方の立場すら守りにならない怖さが残る。
第7章 レインを取り戻すより、消したかった ――裏切りが残す後味
必要とされた力と、 尊重されない本人の気持ち
レインが追放された後、
ギルドは彼の力が必要と分かる。
それなら、今度は本人を大切にする話へ
向かってもよさそうに思える。
ところが、一方では無理に連れ戻す計画があり、
もう一方では殺そうとする動きがある。
力の価値に気付くことと、
人を尊重することは離れたままになる。
コーネリアスの殺意は、
その中でも強い拒絶になる。
レインに働いてもらう未来を残すより、
本人を消すほうへ向かう。
相手が自分の都合に従わないことを
受け入れられなかったのかもしれない。
少なくとも、レインの意思を
聞き直す道を選んではいない。
ここで、レインが普通に協力していれば済んだと考えると、
追放と新しい生活の重さが消えてしまう。
元の場所を出た人が、
力を必要とされたら
必ず戻らなければならないわけではない。
彼には、新しい仲間と冒険を続ける時間が
すでに始まっている。
リリィと一緒に危機を切り抜け、
本音を聞き、もう一度冒険へ誘う。
その時間へ、元のギルドとの対立が入り込み、
さらに遺跡まで殺意が追ってくる。
レインが新しい関係を作るほど、
以前の相手がそれを壊しに来る形になるのがつらい。
ただ、レインの側が前へ進むからといって、
コーネリアスの問題まで解けるとは限らない。
相手に忘れられたくない、
自分を拒んだまま先へ行かせたくない。
そんな読み方はできても、
本人の内心を全て埋めることはできない。
確認できるのは、
相手を追って命を狙う行動になる。
その行動へグレンダが巻き込まれることで、
対立は当人同士の範囲を越える。
レインとコーネリアスが折り合わないことだけでは
説明し切れない被害が、
同じギルドの中へ出てしまう。
個人的な恨みの先に、
無関係ではいられなくなる人が増えていく。
グレンダの死は、 依頼が終わっても消えない
グレンダは、レインを追い出した側のギルドにいるため、
主人公に近い仲間としては見えにくい。
それでも、彼女を信頼していた人がいる。
コーネリアスにとって都合の悪い相手かどうかと、
その人が周囲にとって何者かは、
同じ尺度では測れない。
漫画でグレンダが殺される展開は、
暗殺の依頼が成功したという言葉だけでは閉じない。
副ギルドマスターを失った人々には、
何があったのか、
誰が関わったのかという問題が残る。
依頼主と実行者の間で終わる仕事でも、
被害を受けた側の時間は続いている。
ミラベルのその後を知っていくと、
彼女にも別の生き方があってほしいと思う場面が出てくる。
その気持ちがあっても、
グレンダの死が消えるわけではない。
同じように、コーネリアスに後の事情があっても、
最初に外部の暗殺者を使った関与まで小さくはならない。
失われた信頼は、
装備の強化のように同じ物を
付け直せば済む話ではない。
グレンダを失った側が何を感じるかは、
依頼主が後から説明して決められるものでもない。
コーネリアスが自分の対立へ決着を付けたつもりでも、
その決着に入れてもらえない人の思いが、
周りに残ってしまう。
彼をただ悪い人と呼んで終えるより、
何を選んだかを重ねるほうが、
行動の怖さが残る。
リリィを奪おうとし、レインに拒まれ、
強化解除を知らされる。
その後に交渉ではなく暗殺へ進み、
同じギルドの幹部まで標的にする。
一つずつの選択が、被害を広げている。
タイトルの裏切りは、
グレンダだけがコーネリアスを信じ切っていたという
内心を断定する言葉ではない。
同じギルドに属する相手へ、
外から殺し手を入れる行動を指している。
組織の中で対立することと、
相手の命を奪わせることの間には、
戻れない線がある。
レインが殺されずに済むかどうかだけでなく、
同じギルドにいる人が
安全でいられるかも、この事件では揺らぐ。
自分の機嫌や計画と合わない相手を標的にするなら、
仲間という呼び方だけでは止まらない。
グレンダが副ギルドマスターに就いていても、
その内側へ向けられた殺意は防げない。
コーネリアスは、
レインが必要という現実へ向き合うより、
レインへ殺意を向ける。
その計画の中で、グレンダまで失われる。
ギルドを強くしたいという話と、
自分が傷つけられたままでいたくないという感情が離れると、
必要なものまで壊してしまう可能性が見える。
レインへの殺意を、
単なる悪役の役目として流しにくいのは、
助けを求めるはずの相手へ手を伸ばす代わりに、
消すための手段を選んでいるため。
グレンダへの裏切りも、その選択の外にはない。
失った強さを取り戻す話の途中で、
人そのものを失わせる行動が進んでしまう。
コーネリアスはなぜレインに殺意を向けたのか。
対立で生まれた恨みを、
ギルドの利益より前へ置いたと考えられる。
ただ、その答えを置いても、
グレンダまで殺す必要があったのかという
引っ掛かりは残る。
本人の都合でつながる計画でも、
奪われた側の命や時間までは、
都合よく戻らない。
必要な力を持つレインも、
信頼を集めるグレンダも、
同じ計画の中では守られない。
二人を巻き込むその不穏さは、
相手を嫌う気持ちの強さより、
嫌った後に何をしてしまうかという選択へ残っている。


コメント