PR

【アニメ凶乱令嬢ニア・リストン】アンゼルは何者? 用心棒の正体と強さ 敗北後の運命…

記事内に広告が含まれています。

『凶乱令嬢ニア・リストン』のアンゼルは、裏社会で雇われる用心棒で、契約武装〈マジックウェポン〉を使ってニアに挑む。
ニアには圧倒されるものの、攻撃の速さや武器の扱いを見せており、敗北したことだけで普通のチンピラと同じ実力とは言い切れない。
Web原作では敗北後もニアとの関わりが続き、酒場の経営者兼バーテンダーとして暮らす姿が描かれる。

第6・7章は原作の先の展開にも触れる。

第1章 アンゼルは何者? 裏社会で雇われる用心棒

アンゼルの仕事と、ニアとの接点
人物情報 確認できる姿
仕事 裏社会の雇われ用心棒
戦闘 拳と契約武装を使う
気質 冷徹さと常識的な面を持つ
ニアとの出会い 依頼を受けて対峙する

マフィアのボスの命令で、 ニアと対峙する立場

ニアが乗り込んだ先で待っている、
スーツ姿のアンゼル。
ほかの男たちとは少し雰囲気が違い、
武器まで使う姿を見ると、
どこまでニアと戦えるのかが気になる。
負け方は強烈でも、ただその場にいたチンピラとして
片づけるには、仕事や戦い方に違いがある。

アンゼルは、裏社会で雇われるボディガード、
つまり依頼された相手を守る用心棒になる。
アニメの人物紹介では、ボスの命令によって
ニアに戦いを挑む人物として紹介されている。
自分の腕に自信を持ち、
危険な仕事も引き受ける立場にいる。

ここで気になるのが、
マフィアの仲間なのかという点になる。
初登場時はその側に立っているため、
組織の構成員のようにも見える。
ただ、Web原作の後の再会場面では、
本人もマフィアというより、
仕事ならマフィアも守る用心棒として説明されている。

所属する組織のために一生を懸ける人物と、
依頼を受けて荒事を引き受ける人物では、
仕事への関わり方が違う。
アンゼルがニアに立ちはだかったことは確かでも、
そこから血筋や裏の肩書、
組織内の高い地位まで結びつくわけではない。

タイトルの正体という言葉への答えは、
この雇われの立場になる。
実は王族、実は別人といった秘密が明かされる話ではない。
マフィア側で戦っていた男が、
その集団とどうつながっていたかを知ると、
敗北後に別の仕事へ移っていく流れにもつながる。

アンゼルの態度には、
裏社会で生きてきた相手らしい冷たさがある。
小さな子供が目の前にいても、
見た目だけで引き下がるわけではない。
危険を前にした大人として保護する側へ回るのではなく、
相手が敵なら攻撃する判断を取る。

それだけに、ニアと向き合う場面は落ち着かない。
見た目だけなら、大人が幼い子供へ手を上げようとしている。
ところがニアの内側には、
戦える相手を見つけた期待がある。
アンゼルが攻撃をためらわないことまで、
彼女には好ましく映ってしまう。

一方、アンゼルは狂気だけで動く人物とも違う。
公式の紹介には、冷徹さとともに
常識的な思考を持つことも示されている。
人を傷つける仕事をしていることと、
日常の物事を何でも無秩序に扱うことは、
彼の中で同じではない。

初登場の怖さからすると、
常識的という言葉は少し意外に響く。
けれど、ニアがあまりに戦いへ前向きなため、
彼女と話すとアンゼルのほうが戸惑う側へ回る。
危険な場所で暮らしてきた男にも、
理解しきれない相手がいる。

冷徹さと常識的な感覚を持つ人物

この違いは、二人を善人と悪人へ
簡単に分けるだけでは見えてこない。
アンゼルには冷酷な行動があり、
ニアには人を助ける行動がある。
そのうえで、戦うことへの欲望が強いのは
どちらかと考えると、
立ち位置が入れ替わるような場面が生まれる。

また、スーツと煙草の印象は、
ニアの身近にいる家族や学院の人々とは
異なる世界を感じさせる。
彼は、タレントとして活動するニアを
ほめるために来た相手ではない。
普段の仕事の顔を外して、
純粋に力をぶつける相手として出会っている。

だからこそ、ニアにとってアンゼルとの会話には、
家の中とは違う気楽さも生まれていく。
初対面から親しいわけではないものの、
戦う自分を隠さずに相手へ向けられる。
彼の仕事と冷たさが、意外にもニアの別の顔を
受け止める距離につながっている。

ただし、用心棒という肩書だけで、
その地域の最強人物と決まるわけではない。
どんな依頼を何件こなし、
誰を倒してきたかまで、
序盤の紹介からすべては分からない。
確認できるのは、腕を頼りに仕事をしており、
自分の力を売りにしてきた人物というところになる。

その自信があるから、
ニアに負けることも単なる一敗では済まなくなる。
戦えることを仕事にしてきた人が、
相手へ思うように傷を与えられない。
用心棒として何を頼みにしていたかを知ると、
後で彼が抱く悔しさにも具体的な重さが出てくる。

ニアの視点から見ると、
相手を倒した後に残るものは、
強いか弱いかだけでもない。
アンゼルには、この世界で暮らしてきた知識があり、
彼女が知らない武器の仕組みも知っている。
勝った側が何でも上に立つのではなく、
尋ねることがある。
その距離も、初対面の印象とは違ってくる。

用心棒は、戦いの場では前へ出る仕事になる。
守る相手に代わって危険へ近づく以上、
自分の腕を疑うだけでは動きにくい。
アンゼルの自信も、
単に口で強がる態度だけでなく、
力を働く手段としてきた人の感覚として考えられる。

一方、仕事の相手から離れた時に何を選ぶかは、
まだ別に残っている。
雇われた立場だからこそ、
今の役目がそのまま一生の身分とは限らない。
後に店を持つ展開も、
正体が別人に変わるのではなく、
同じ人が働き方を変えていく話になる。

アンゼルは、ニアへ挑む危険な用心棒でありながら、
勝負の後にも話が続く人物になる。
敵として出会ったことだけでは、
その先の関係まで決まらない。
冷徹な仕事の顔と、ニアに振り回される時の反応。
その両方が、
彼を初登場の悪役だけでは終わらせない。

第2章 アンゼルはなぜニアと戦う? 子供相手にも引かない仕事の顔

雇われた立場と、組織の面目

子供が一人でやって来たなら、
追い返して終わりにできそうにも思える。
けれど、アンゼルのいる場所では、
それだけで話は済まない。
ニアはすでに男たちを倒していて、
組織の側には面目を潰されたという感覚がある。
彼女が小さいことだけでは、起きた出来事が消えない。

アニメでは、ボスの命令で
ニアに挑むという立場が示されている。
アンゼルは、たまたま見かけた子供と
気まぐれに戦い始める人ではない。
依頼を受ける仕事の先にニアが現れ、
その場で相手をする必要がある人物として向き合う。

Web原作の対応場面では、
男たちが子供に負けたことを問題にする態度も描かれる。
裏の仕事では、相手から軽く扱われることが
そのまま危険につながる。
その感覚を持つアンゼルにとって、
ニアとの接触は、
負けた男たちだけの出来事ではなくなる。

ここには、正しいかどうかとは別に、
彼の働いている場所での都合がある。
誰かを守る仕事でも、守る相手が善良とは限らない。
依頼主の側に立てば、
ニアの行動をそのまま見逃せない。
用心棒という職業の説明が、
実際の対立として現れる場面になる。

ただ、その仕事ぶりを
立派な忠誠として美化することもできない。
原作では、弱い立場の男たちへ冷たく接する姿がある。
自分の側にいる相手なら何があっても守る人ではなく、
力や役立つかどうかによって
扱いを変える怖さも持っている。

ニアから見ると、その冷たさ以上に、
目の前の相手がどれほど戦えるかが気になっている。
相手は仕事や面目の話をしているのに、
ニアは戦いの機会を妨げられたことにも不満を持つ。
会話をしていても、
二人が大事にしているものは初めから同じではない。

このずれが、
言葉のやり取りを少し妙なものにする。
アンゼルは脅しているつもりでも、
ニアには期待する戦いへの案内のように聞こえる。
危険を知らせる言葉で相手が引くどころか、
こちらへ近づいてくる。
彼の慣れている反応とは違う相手になる。

それでも、アンゼルは
小さいから殴れないと止まることはない。
ニアが子供の体をしていることと、
仕事上の敵として扱うことを分けている。
視聴者にはぎょっとする姿でも、
ニアはその迷いのなさを
戦う相手の素質として受け取る。

ここで、アンゼルが最初から
ニアの本当の強さをすべて見抜いていたとは言えない。
強い子供らしいと感じることと、
自分の攻撃がほとんど通じない水準まで知ることは
別になる。相手を認めて近づいたとしても、
その見積もりには大きな隔たりが残っている。

幼い外見だけで攻撃をためらわない冷徹さ

そして実際に拳を交わすと、
仕事として始まった対峙に本人の感情が混ざる。
攻撃が当たっているのに、
相手が思ったように倒れない。
ニアの余裕ある言葉も、
腕に自信を持つ彼には挑発として響く。
依頼をこなすだけの落ち着きが、少しずつ崩れていく。

アンゼルの怖さには、
迷いなく攻撃へ移る速さがある。
一方、ニアの怖さは、その攻撃を受けてもなお
相手の本気を待っているところにある。
片方は倒すために動き、
もう片方はもっと出してほしいと望む。
同じ対決の中で、切迫している側がそろわない。

このため、ニアの外見を侮っただけの男として説明すると、
アンゼルの仕事や反応が少し薄くなる。
子供だからと攻撃を緩め続けた結果だけで
負けたのではない。
相手を傷つける意志を持って動いても、
まだ届かないという差がある。

また、戦いが本人の感情へ食い込むほど、
後で負けた時の悔しさも大きくなる。
ボスへ報告して終わる仕事の失敗だけでなく、
自分の腕への自信を揺らされる出来事になる。
アンゼルがニアを忘れにくくなるのは、
その両方が重なるためと考えられる。

ニアにとっては、相手が仕事で来たのか、
怒っているのかという事情より、
目の前で何をしてくるかが重要になる。
だから、説得して対立を避ける方向へは進みにくい。
アンゼルが仕事の線引きを語っても、
彼女は戦いの話として受け止めてしまう。

脅しが効かないことも、アンゼルには厄介になる。
相手が怖がって退いてくれれば、
拳を出す前に話を終えられるかもしれない。
ところが、ニアは危険を告げられるほど
戦うほうへ向いていく。
言葉で相手を制御できないまま、
実際の力を試すことになる。

ニアの態度へ腹が立つことと、
彼女の正体を知っていることも別になる。
何か普通ではないと感じても、
どこまで強いのかは攻撃して初めて分かる。
アンゼルは、子供に見える相手との会話を続けながら、
自分の見積もりを次々と崩されていく。

また、この対決は、シャロを取り囲んだ男たちと
同じ動機の争いではない。
アンゼル本人が最初からシャロを狙っていたという
説明にはならず、前の事件を受けた側として出てくる。
つながった騒動でも、
彼がそこで引き受けている役目は違っている。

アンゼルは、幼い相手を前に引かない用心棒として登場する。
けれど、そこで冷徹に仕事を終えられるほど、
相手は扱いやすくない。
ニアに攻撃を向けたことで、
仕事の顔だけでは隠しきれない焦りや悔しさまで
引き出される。その変化が、
対決を一方的な制裁だけにはしていない。

第3章 突然現れる鉄パイプは何? 契約武装とアンゼルの戦い方

武器を呼び出すマジックウェポン

さっきまで持っていなかったはずの武器が、
アンゼルの手に現れる。
ニアとの力比べを見ていたところへ別の仕組みが入り、
今のは何かと気になる。
素手で戦う男という印象から、
武器を用意できる用心棒へ、
見える能力が一つ増える場面になる。

この武器に関わる仕組みが、
マジックウェポンと呼ばれる契約武装になる。
Web原作では、ニアが決着後に尋ね、
アンゼルから説明を受けている。
隠し持っていた短い道具を取り出しただけではなく、
武器を呼び出す現象として扱われる。

見た目が鉄パイプなので、
強力な武器に思えない人もいるかもしれない。
ただ、急に手元へ出せることには、
武器の材質とは別の利点がある。
相手が素手と思っている間合いで、
突然、長さのある道具を使う。
攻撃が届く範囲も、受ける側が考えることも変わってくる。

用心棒の仕事と考えると、
常に大きな武器を目立つ形で持つ必要がないことも
特徴になる。実際の運用を細かく決めつけることは
できないものの、必要な時に武器を出せる能力は、
手ぶらに見えることと無防備なことを一致させない。

ただし、契約武装を使えるから、
武器がどんな防御も貫くとは限らない。
呼び出すための仕組みと、
呼び出した物が持つ性能は異なる。
アンゼルが見せる鉄パイプについても、
特殊な出し方をしていることだけで、
特別な必殺効果を足すことはできない。

ニア自身も、突然の出現には関心を示している。
一方、受け止めた武器を観察した後まで、
正体不明の脅威として怯えているわけではない。
知らなかった仕組みを知りたい気持ちと、
その攻撃を恐れる気持ちは同じではないところが、
彼女らしい反応になる。

この場面では、ニアにも知らないことがあると分かる。
戦う力が圧倒的でも、今いる世界の仕組みを
初めから全部知っているわけではない。
アンゼルは敵として戦いながら、
結果的にニアへ新しい知識を渡す相手にもなる。

武器を出したことで戦況がすぐ逆転しないところには、
二人の実力差が表れている。
素手から道具へ変えれば、普通なら警戒も変わる。
ニアにも受け方の変更はあるけれど、
アンゼルが望むように、
相手が崩れる結果までは届かない。

原作のニアは、正体が分からない段階の武器を
いったん腕で受ける。
何が飛び出したか分からないのに、
何も考えず顔で受けるわけではない。
余裕がある中にも、
未知の道具には別の対応をするところがある。
すべてを同じ感覚で無視しているのではない。

特殊な仕組みと、 武器そのものの威力は別

アンゼルの側は、武器を呼び出すだけで終わらない。
そこから攻撃を重ね、相手へ通そうとする。
珍しい能力を一度見せて驚かせる芸ではなく、
実際の戦いに使う道具として振るっている。
見せ方よりも、相手を倒すための手段として
組み込まれている。

だから、鉄パイプだけを取り上げて、
道具が地味だから弱いと決めるのも合わない。
何を持つかに加え、どのタイミングで出し、
どんな速さで振るうかが攻撃になる。
アンゼルの武器は、
本人の動きと切り離して評価しにくい。

一方で、ニアに通じなかったことまで、
契約武装そのものが無力という説明に
広げることもできない。
使い手と武器、受ける相手の条件が重なった一戦になる。
ニアとの結果だけで、この世界の同じ仕組みを使う
武器すべての限界が決まるわけではない。

勝負の後にニアが質問をする流れも、少し可笑しい。
アンゼルには命懸けの攻撃でも、
ニアには初めて見た仕組みを尋ねる余地が残っている。
殴り合った直後に知識を教わるやり取りへ移るため、
二人が経験した戦いの温度差が目に見える。

この能力だけで
アンゼルの経歴がすべて明かされるわけではない。
誰に習ったのか、いつ使えるようになったのかまで、
ここから補う根拠はない。
分かるのは、彼が武器を呼び出す仕組みを扱い、
素手だけに頼らず仕事をしているということになる。

素手の時は、体格の違いから
相手を倒せると思いやすい。
そこへ武器が加われば、
受ける側にはもっと危険が増すはずになる。
それなのにニアが大きく動じないため、
アンゼルにとっては用意した手段を一つずつ試しても、
安心が得られない戦いになっている。

武器を出す場面の派手さより、
その後のニアの観察が印象に残る。
彼女は驚いたままで終わらず、
何が起きたのかを確かめたがる。
自分に通用するかどうかと、
この世界にある技術として面白いかどうかを、
別々に受け止めている。

アンゼルが説明する時も、
特別な秘密を初めてニアだけに明かすという話し方ではない。
自分には馴染みのある知識を、
知らない相手へ答えている。
圧倒的な武人にも、この土地で暮らす人へ
聞かなければ分からないことがあると感じられる。

何も持っていないように見えても、
必要なら武器を呼び出せる。
その特徴は、アンゼルを服装だけで判断しにくくする。
スーツ姿の気だるい男から、
攻撃の瞬間には手段を増やせる相手へ変わるところも、
用心棒らしい不穏さにつながる。

アンゼルの鉄パイプは、
特別な魔剣という説明がなくても、
登場時の印象を変える道具になる。
ニアを前に本気の攻撃へ移ることと、
彼女が知らない知識を持つこと。
その両方を示すため、敗北した相手にも、
ニアの側が聞きたいことが残っている。

第4章 アンゼルは弱いのか? ニアに通じなかった攻撃と実力差

鋭い初動と、ためらいのない攻撃

アンゼルはニアに負ける。
そこだけ見ると、
見た目ほど強くない用心棒なのかとも感じる。
ただ、戦いの途中には、ニアが相手の動きや
迷いのなさへ関心を向ける場面がある。
負けたという結果と、
何もできない相手にすぎないという評価は、
同じにはならない。

Web原作では、アンゼルが動き出す時の速さに
ニアも反応している。
力任せに大きく振りかぶるだけではなく、
それまでの脱力した様子から、急に攻撃へつなげる。
だらけて見える態度と、
実際に拳を出す時の動きに差がある。

ここは、最初の印象が
そのまま戦い方を表していないところになる。
やる気がなさそうに話していても、
攻撃の瞬間まで鈍いわけではない。
ニアが目を留めるのは、その切り替えと動きになる。
用心棒として相手へ近づく力が、
具体的に見える場面になる。

また、最初の攻撃から顔を狙うことにも、
ためらいの薄さがある。
相手の様子を見ながら軽く触れて終える戦いではない。
小さな子供の姿をしていても、
敵として向かうと決めれば攻撃する。
その冷酷さを、
ニアは戦う相手としての良さにも受け取っている。

ただし、ニアが好ましく感じたからといって、
人として正しい行動になるわけではない。
彼女の関心は、
強い相手が本気で向かってくることにある。
攻撃する側の倫理的な評価と、
ニア個人の戦いたい気持ちは、
そのまま重ならない。

アンゼルが戸惑うのは、
自分の攻撃が当たっていると感じられるのに、
期待した結果が出ないことになる。
空振りを続けているなら、届かないと理解しやすい。
実際に殴った手応えがあるのに相手が崩れないため、
自分の知る力の目安が通用しなくなる。

ニアのほうには、痛みがあっても
命の危険までは感じていないという隔たりがある。
まったく何も感じない体として描かれるのではなく、
受けたうえで、戦いとしては余裕のあるものと捉えている。
痛いことと、追い詰められることが
彼女の中で離れている。

この差が大きいほど、
アンゼルには自分の強さが分からなくなる。
今までの経験から、自分の拳がどんな結果を生むかを
想像していたはずなのに、
その目安から外れた相手がいる。
一人のニアを前に、
用心棒として頼みにしてきた感覚が揺れる。

一方で、ニア自身も、
この一戦だけでアンゼルの世間一般での強さを
細かく決めてはいない。
自分が強いことは分かっても、
ほかの相手と比べて彼がどの位置かは別になる。
ニアの圧倒的な水準が、
普通の比較を難しくしている。

手応えがあるのに倒れないニアへの戸惑い

そのため、アンゼルを王都で何番目、
ほかの武人より上、と順位に並べる材料は足りない。
確認できるのは、攻撃の速さがあり、
武器を使え、ニアには届かなかったという一戦の中身になる。
負けた事実を隠さず、
それ以外の動きも残して考える形が合っている。

ニアの反撃は、アンゼルにとって
体だけでなく気持ちを削るものになる。
攻撃しても崩せない相手が、
今度は自分を容易に打つ。
守る時も攻める時も、相手が主導権を持っている。
何か一つ工夫すれば逆転できそうという感触を
持ちにくい戦いになる。

それでも、アンゼルは最初の反撃だけで
即座にすべてを諦めるわけではない。
相手への敵意を持ち、攻撃を続けようとする。
ニアがその粘りや、
再び向かってくる意志へ目を留めるため、
ただ倒された人数の一人とは違う扱いになる。

ニアが期待しているのは、
今すぐ互角に戦えるという保証より、
相手がもっと強くなる可能性に近い。
アンゼルの敗北を、
そのまま一生伸びないという判断にはしていない。
目の前の弱さと、今後に抱く期待を、
彼女は別に持っている。

ただ、その期待が
アンゼル本人にも喜ばしいとは限らない。
命懸けで挑んで負けた側へ、
また強くなって来てほしいと求めるのは、
相手によっては重い言葉になる。
ニアの楽しみと彼の悔しさは、
戦いの最中からずっと同じ場所へは向いていない。

一度でも攻撃が当たれば流れを変えられる、
という期待が持てないのは苦しい。
アンゼルは当てるための工夫に進む前に、
当たっても倒せない現実へぶつかる。
技術を見せる側の自信が、
攻撃を受ける側の余裕によって崩される構図になる。

ニアの側に余裕がある分、
彼の動きも細かく見えている。
危機を抜けるために必死で相手を排除するだけなら、
敵の良さを考える時間は取りにくい。
アンゼルの素質が語られること自体、
二人が同じ切迫感の中で戦っていないと示している。

それでも、アンゼルにとっては
仕事や自信の懸かった一戦になる。
ニアが軽く扱うほど、その落差は彼へ重く返ってくる。
相手の余裕ある言葉が親切な励ましとして届くかどうかも、
負ける側の気持ちを考えると
簡単には決められない。

三十八発の平手という原作の描写も、
耐えた回数をそのまま強さの順位へ換える数字ではない。
ニアが加減しながら反応を見ている場面であり、
彼の心が折れていく過程に関わる。
回数の多さだけで、
別の強敵より上と比べることはできない。

アンゼルは、ニアと比べれば大きく及ばない。
それでも、武器を呼び出し、
迷わず速く攻撃へ移れる用心棒としての顔がある。
強さがまるでないから負けたというより、
頼みにしていた力が、
ニアという相手には届かなかった。
そこに、この敗北の苦さがある。

第5章 敗北したアンゼルを、 ニアはなぜ見捨てなかった?

心を折られても、 その場で命を失う結末にはならない

ニアに激しく敗れた後も、
アンゼルの出番はそこで終わらない。
生きているのかと気になる姿でも、
決着の後には二人の会話が続く。
傷つけた相手へまた話しかけるニアを見ていると、
彼女にとって勝負がどこで終わるのかも気になってくる。

Web原作では、アンゼルは戦う気力を折られ、
膝をつくところまで追い込まれる。
それでも、そのまま殺される結末にはなっていない。
ニアは力を抑えて攻撃しており、
相手が負けを認めるところまで、
勝負の反応を見ている。

この生存は、ただ運よく致命傷を逃れたという
説明だけでは収まらない。
ニアには、強く打てば命を奪うと分かったうえで
加減する意識がある。
相手を傷つけない戦いではないけれど、
攻撃を調整しながら圧倒する技量がある。

ただ、その技量が
相手の安心につながるわけでもない。
アンゼルからすれば、
加減されていること自体が大きな屈辱にもなる。
自分は本気で倒そうとしているのに、
相手はその力に合わせて動ける。
生きて残った体と一緒に、
実力差を知った気持ちも残る。

ニアは、彼の命を奪って証拠を消すようには動かない。
戦いの中で気になった武器のことを尋ね、
また会う話へも進む。
相手からすると、
命を奪うほどの敵意を向けたのに、
その先の予定を持ちかけられる。
ここにも、二人の温度差がある。

アンゼルにとっては終わってほしい時間でも、
ニアには次へつなげられる出会いになる。
負けた人物が、
次にはもっと強い相手になるかもしれない。
彼女の関心は、その夜だけで全部を閉じる方向より、
再び戦える先へ向きやすい。

そこでさらに変わるのが、
酒場の外に集まる男たちとの関係になる。
原作のニアは、彼らがアンゼルも狙っていると受け取る。
自分と戦って弱った相手のところへ、
別の人々がやって来る。
さっきまでの一対一の対立とは、状況が変わっている。

この時、ニアはアンゼルを
弱ったまま放っておけばよいとは考えない。
自分が倒した相手を、
その直後に別の集団が襲うなら、
勝った側として守ることもできると受け止める。
敵を倒した人が、その敵を守る側へ移る、
少し意外な判断になる。

これは、急にアンゼルが善人と分かったから
助けるという話ではない。
冷酷な用心棒として振る舞ったことも、
ニアへ敵意を向けたことも消えていない。
それでも、勝負を交わした相手として敬意を持つことと、
その人の行動すべてを認めることは別になる。

自分が弱らせた相手を、 別の襲撃から守るニア

また、ニアが集団を相手にするのは、
アンゼルへの配慮だけでは説明しきれない。
彼女自身が、多くの相手との戦いを求めている。
守る判断と戦いたい気持ちが同じ行動へつながるため、
ひたすら献身的な救出として語ると、
ニアの顔が変わってしまう。

それでも、自分が弱らせた相手を
無関係として切り捨てない点は残る。
勝ったからもうどうなってもよい、
という態度ではない。
直接向かい合った時間が、
敵味方とは違う小さなつながりを生んでいる。
ニアなりの敗者への接し方が見えるところになる。

アンゼルの側が、そこで素直に感謝して
ニアを信頼したと決めることはできない。
負けた悔しさは残り、
本人が望んで助けを頼んだわけでもない。
守ってもらった結果が、
そのまま好意や服従に変わるとは限らない関係になる。

だから、ここを二人が仲間になった場面と
一言で締めるのは早い。
まだ怒りや警戒がある相手同士でも、
ニアは再会の余地を残す。
アンゼルもその先で、
ニアとの関係を自分なりに続けようとする。
始まりにあるのは穏やかな和解ではなく、
一方的な敗北になる。

ニアが勝った相手へ求めているものと、
アンゼルが取り戻したいものは違う。
ニアは強い相手を望み、
アンゼルは用心棒として負けたままでは終われない。
互いに相手を忘れない動機があり、
それが後の再会へつながっていく。

ここでアンゼルが死亡していたら、
二人の関係はこの対決で途切れる。
けれど、命と悔しさが残ったことで、
復讐を考える時間も、新しい仕事を選ぶ時間も生まれる。
敗北がその後の生活へつながる人物として、
彼は物語に残る。

生き残ったことだけを取り上げれば、
ひどくやられた相手の一人になる。
そこへニアの敬意と、本人の面目が加わると、
その先へ話が進む。
アンゼルのその後を面白くしているのは、
助かったからすぐ心を入れ替えるという単純な変化ではない。

戦った相手を守る判断があるから、
ニアの行動は、気に入らない人物を
順番に消していく話にはならない。
相手へ向ける関心が、
決着後にも続いている。

一方のアンゼルにも、
ただ許されたという受け身の気持ちだけではない先がある。
負けたまま終われないと思うことが、
自分の行動を始めるきっかけになる。

ニアが見捨てなかった相手は、
彼女の望みどおりに強さを求め続けるとも限らない。
生きて再会できることと、
同じ道を歩むことの間には距離がある。
この時に残された次の機会が、
やがてニアにも予想外の暮らしへつながっていく。

ここからはWeb原作「57.心ゆさぶる話題」
までのネタバレあり。

第6章 原作でアンゼルはどうなる? 酒場の経営者兼バーテンダーへ

用心棒から酒場の経営へ
転機 アンゼルの行動
ニアへの再挑戦 再会のため土地を買う
生活費が必要 酒場の開業へ動く
店への愛着 自らカウンターに立つ
現在の仕事 経営者兼バーテンダー

荒れた酒場が 「薄明りの影鼠亭」へ変わる

あれほどニアへ敵意を向けたアンゼルが、
後には酒場のカウンターに立っている。
用心棒から店を切り盛りする人へ変わる姿には、
少し驚く。戦いに負けた後、
彼の生活がどこへ向かったのかを知ると、
初登場時とは違う親しみが出てくる。

Web原作では、以前の荒れた酒場が修繕され、
薄明りの影鼠亭として営業するようになる。
アンゼルはそこで経営とバーテンダーの仕事をする。
ニアに倒されて姿を消すのではなく、
新しい仕事を持って、
再び彼女を迎える側へ回っている。

ただ、最初から平穏な店を開こうと
決めていたわけではない。
原作で語られる出発点には、
ニアともう一度会うために場所を確保したいという願いがある。
負けっぱなしでは用心棒として面目が立たない。
その悔しさが、再会のための行動へ向かっている。

ニアが次に来ると言った場所を、
自分の側で手に入れる。
そうすれば、また会える可能性を残せる。
アンゼルにとって酒場は、
初めから趣味の店というより、
勝ち逃げさせない相手との接点になる。
復讐のつもりが、建物を買う話へ進むところが少し可笑しい。

その選択は、手持ちのお金に余裕があるから
軽く試したものでもない。
原作では、貯めた金を使って土地を買い、
生活のために稼ぐ必要が生まれる。
ニアとの対決を引きずった決断が、
その後の毎日の仕事まで動かしてしまう。

一方、そこには住める場所としての考えもある。
もう一度戦うためだけに、
使い道のない物を抱えたわけではない。
住まいにもできる建物と、
酒場として残っていた基盤がある。
その現実的な条件が、
復讐の計画を別の暮らしへつなげていく。

店を使えるようにするには、
壊れたところを直す必要がある。
原作では、周辺の人々を雇って修理や改装を進める。
アンゼルが拳で何かを壊す側から、
店として使える状態を整える側へ回る。
仕事のために体や時間を使う向きが変わっている。

ここで面白いのは、
作業を進めるうちに店への愛着が生まれることになる。
誰かへ任せるつもりでいても、
手を入れた場所はただの器ではなくなっていく。
ニアに会うための場所が、自分で立ちたい店へ変わる。
その変化には、暮らしを始めた実感がある。

最初の目的が復讐でも、
毎日そこに立つ時の関心がずっと同じとは限らない。
修繕した建物があり、客が入り、仕事が続く。
ニアに勝つことだけでなく、
今日の店を動かすことが生活の中へ入ってくる。
思いがけない仕事が、彼の時間の使い方を変えている。

戦う仕事とは違う、 店と客のいる暮らし

店にはフレッサも関わる。
公式では、裏社会のボディガードであり暗殺者でもある
彼女が、薄明りの影鼠亭をウェイトレスとして
手伝うと紹介される。
アンゼル一人が過去を切り離して静かな場所へ去ったのではなく、
裏社会とのつながりを持つ人もいる店になる。

そのため、健全で上品な店へすっかり変わった、
と言うのも合わない。
客層や立地には、それまでの場所らしさが残る。
アンゼルが店を営むようになったことと、
その周囲から危険な空気がすべて消えたことは別になる。

ニアが訪ねた時には、
彼女のことを知る客が態度を変える。
そこへアンゼルは、以前戦った相手としてだけではなく、
店へ来た人として言葉を返す。
勝負をするために立ち向かった場所が、
顔を合わせて話せる場所へ変わっている。

店ではニアがリリーという呼び名で通じるようになる。
家族やタレントとしての仕事とは違う顔で出入りする彼女に、
会話できる相手と座る場所がある。
アンゼルの新しい仕事は、
結果としてニアの側にも、
普段と異なる居場所を作っている。

ここから、アンゼルがニアの部下になったと
説明することはできない。
彼は自分の店を営んでいて、
ニアの望みに何でも応じるわけではない。
敗北して関係が続く人物でも、
命令を受けるために生きる人へ変わったわけではない。

また、復讐がきっかけになったからといって、
店そのものがずっと偽物の顔とも言えない。
手を入れた場所を気に入り、
自分で働くことを選んでいる。
初めの目的からずれたところに、
その人に合う日常ができていく。
その過程が、用心棒のその後として描かれている。

アンゼルに起きた変化は、
ニアに負けた罰として店番をさせられるというものではない。
悔しさから自分で動いた結果、
建物と仕事を持ち、そこへ愛着が生まれる。
ニアが望んで育てた戦う相手とは、
少し違う方向へ生活が進んでいる。

修繕や店の仕事は、一度の勝負では終わらない。
少しずつ形を変えていく場所があることで、
ニアへ向けていた気持ちとは別の手応えも
積み重なっていく。

店を持ったことは、
アンゼルの腕が消えたことを指さない。
戦う力のある人が、いつも戦いを生活の中心に
置くとは限らない。
その違いが、ニアには寂しく映る。

ニアとの再戦を考えて確保した場所で、
今は客へ飲み物を出す。
その落差にはほっとする可笑しさがある。
負けた傷を抱えた人が、
同じ怒りだけで毎日を埋め続けるとは限らない。
アンゼルには、勝負の外で続けたい仕事ができている。

第7章 もう戦いたくないアンゼルと、 また戦ってほしいニア

勝てる見込みと、新しくできた仕事

店に立つアンゼルへ、
ニアはまた戦う相手の話を持ちかける。
ここへ来れば強い人と出会えるかもしれないという期待は、
彼女の中で続いている。
一方のアンゼルには、
以前ほどニアへ向かいたい気持ちがない。
同じ店で会話していても、欲しいものが少しずつ違っている。

Web原作の再会場面では、
アンゼルは勝てる見込みがないことと、
今は仕事ができたことを挙げる。
負けた直後には再び向かうつもりがあっても、
それだけで毎日を動かし続けてはいない。
自分の力と現在の生活を見て、
もう戦いたくないと口にできるようになっている。

この言葉を、強くなることを諦めた情けなさだけで
受け取るのは少し違う。
ニアに届かないと感じた一戦があり、
その後には自分で整えた店がある。
彼には、次の勝負のためだけに使わなくてもよい時間が
できている。戦わない選択にも、
今の暮らしに沿った事情がある。

しかし、ニアはその変化を素直に喜ぶ側には回らない。
強い相手が育つことを望んでいた彼女には、
アンゼルが戦いから離れる方向へ進むことが寂しく映る。
店が繁盛しているならよかった、で終われないところが、
戦いを求めるニアらしい反応になる。

アンゼルにとって落ち着いた仕事ができたことは前進でも、
ニアには戦える相手が一人減る出来事になる。
この食い違いは、どちらかが相手の言葉を
聞いていないからだけではない。
自分の毎日に何があればうれしいかというところで、
二人の望みが異なっている。

そのため、ニアがまた荒事へ向かうような言葉をかけても、
アンゼルはそのまま乗らない。
相手が強いからといって、
生活の進め方まで全部合わせるわけではない。
直接の勝負では圧倒されても、
会話の中では彼女の望みに断りを返せる関係になる。

このやり取りには、初登場時とは違う気安さがある。
互いに相手の危険さを知らないまま探り合っていた時間を越え、
ニアが何を求めているかも、
アンゼルが何を嫌がるかも見える。
返ってくる言葉に遠慮がない分、
用心棒として対峙した時とは違う近さがある。

それでも、敗北した後ずっとニアに怯えているだけの
人物にはなっていない。
勝てない相手でも、言いたいことは言い、店の仕事をする。
強さの上下と、
相手へ何も言えない関係は同じではない。
アンゼルの常識的な反応が、
ニアの奔放さを受け止める役にもなっている。

とくに可笑しいのが、ニアへ出す飲み物の場面になる。
裏社会の酒場に来た小さなニアへ、
アンゼルは酒ではなく果実のジュースを出す。
かつて容赦なく攻撃した相手でも、
店にいる子供へ何を出すかというところでは、
普通の大人らしい対応を取っている。

裏社会の男が、ニアへ常識的な対応をする可笑しさ

ニアの側には、
出されたものなら飲めると期待する気持ちがある。
それを先回りするように、
アンゼルは子供に合うものを用意する。
用心棒の時の冷徹さを知っていると、
その手際には少し拍子抜けする。
危険な場所で暮らしている人にも、こうした線引きがある。

ここでニアを子供として扱うのは、
彼女の強さを忘れたからではない。
誰よりも実力差を知っている相手でも、
飲み物を出す時には見た目の年齢に応じる。
戦えば勝てないことと、
店で何を提供するかは、
アンゼルの中で別々に判断されている。

反対に、常識的な対応をしたから、
以前の冷たい行動が全部消えるわけでもない。
初登場時の怖さと、店で見せる気遣いは、
一人の人物の中に並んでいる。
どちらか一方を隠すより、
相手や場面によって違う顔が出るところに、
アンゼルの親しみやすさが生まれる。

ニアにとっても、ここは単に次の敵を
紹介してもらう場所だけではなくなっていく。
原作では、武闘家として話せる相手の少なさに触れ、
店へ繰り返し足を運んでいる。
戦いたい顔を見せても、
目の前の相手がそれを知ったうえで話してくれる。

アンゼルはニアの戦いへの渇望を
同じ熱量で共有しなくても、話の相手にはなれる。
彼女が望むまま拳を交えることだけが、
関わりを続ける方法ではない。
カウンター越しに言葉を返し、飲み物を置く。
その日常の動きも、二人のつながりになっている。

また、ニアが来た時だけでなく、
彼には客のいる店が続いている。
復讐相手を待つための時間だけで暮らす人では
なくなっていることが大きい。
ニアとの一戦は生活を変えたきっかけでも、
その後の生活を埋めるものは、
その一戦だけには留まっていない。

アンゼルが用心棒から店の人へ変わる流れには、
派手な勝利はない。
ニアを倒して自信を取り戻したのではなく、
別の仕事を続けるうちに、戦いだけを追わなくなる。
勝てなかった相手がいても、
その人の毎日まで敗北の形に固定されるわけではない。

ニアは再戦を惜しみ、
アンゼルはそれを断りながら、
また来た相手へ応じる。
最初の二人からすると、
こんな会話へ落ち着くのは少し意外に感じられる。
命を懸けて向かい合った関係が、
同じ場所で違う望みを口にできる関係へ変わっている。

アンゼルの敗北後の運命は、
ニアに殺されて消えることでも、
ただ命令される部下になることでもない。
自分で手に入れた店を営み、
強すぎる客に言い返し、子供にはジュースを出す。
その少し可笑しい暮らしの中に、
初登場の用心棒とは違う彼の顔が残っている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました