『とある暗部の少女共棲』の暗闇の五月計画は、一方通行の思考パターンの一部を、別の能力者へ移植する実験。
絹旗最愛の窒素装甲にも、その研究が関わっている。ただし、一方通行と同じ能力になったわけではない。
施設に残された少女たちに何が行われ、絹旗はどうしてアイテムへ加わることになったのかを確かめていく。
第1章 暗闇の五月計画とは? 一方通行の思考を取り入れる実験
| 研究の狙い | 取り入れるもの | 被験者への影響 |
|---|---|---|
| 第一位の能力再現を目指す | 一方通行の思考の一部 | 各自の能力へ影響を与える |
| 防御への応用 | 反射に使う計算の一部 | 絹旗の自動防御へ組み込む |
移植しようとしたのは、 思考パターンの一部
施設に眠っていた絹旗が目を覚まし、
麦野たちの仲間になる。
その流れの途中で出てくる
暗闇の五月計画という名前には、
少し身構えてしまう。一方通行の能力を
再現する実験と聞けば、あの少女にも
同じ力があるのか、そもそも何をされたのかが
気になる。普段の絹旗からは見えにくい過去が、
この名前につながっている。
暗闇の五月計画は、
一方通行の思考パターンの一部を、
別の能力者へ移植する実験。
能力を使う際の計算や考え方を取り入れ、
被験者の力へ反映させようとしている。
一方通行と同じ姿の人間を作るのではなく、
彼の能力運用に関わる部分を、
別の人間の中で働かせようとする計画になる。
アニメ第2話の紹介では、
第一位の能力再現を目指した研究として
触れられる。原作小説はもう一歩踏み込み、
思考パターンの一部を移す仕組みを説明している。
目標だけを聞くと一方通行を丸ごと増やすように
感じるものの、実際に絹旗へ残った働きには、
もっと限られたつながりがある。
思考パターンという言葉は少し硬いけれど、
ここでは能力をどう使うかという
頭の働きが関係している。
何を操作するかだけでなく、攻撃が来たときに
どう対応するか、そのためにどんな計算を行うか。
研究者たちは、第一位が持つそうした部分を、
ほかの能力者にも利用しようとしている。
絹旗の例では、その影響が自分の体を
守る仕組みへ表れている。
窒素を操る能力が、一方通行の力へ
置き換わったわけではない。
もともと別の対象を扱う能力の中に、
研究を通じた働きが組み込まれている。
このつながりを知ると、二人の能力名が違うことにも、
無理なく納得がいく。
原作で二人の名が確かめられるのは、
冷凍睡眠の装置が並ぶ部屋。
外で戦っている麦野たちと違い、
中の少女には状況を見て動くことができない。
計画を聞く場面で、その対象になった人間が
眠ったまま残されている。
研究の説明と目の前の少女が離れていないところも、
この出会いの落ち着かなさにつながる。
研究の説明だけなら、優れた技術を
別の人にも使えるようにした話にも聞こえる。
しかし、対象になっているのは
機械ではなく少女たちの思考。
計画の名前を知ってから施設の絹旗へ戻ると、
強い能力の背景に感心するより先に、
本人の頭の中へ何が持ち込まれたのかが気に掛かる。
しかも、成果を受け取る立場と、
体や思考へ影響を受ける立場が分かれている。
研究者が欲しいのは使える力でも、
実際にその力で生きていくのは絹旗たちになる。
実験が終わったと告げられたところで、
少女の中に残ったものまで
一緒に片づくわけではない。
その後まで続く話が、ここから始まっている。
一方通行本人や能力を 丸ごと複製する話とは違う
一方通行の名前が出ると、
絹旗も触れたものの向きを自由に変えられるのか、
と想像が広がる。
ただ、窒素装甲が扱うのは空気中の窒素。
一方通行のベクトル操作とは対象が異なる。
ベクトルは力の向きのことで、
絹旗にその操作全体が移ったという説明には
なっていない。
また、思考の一部を移植したことと、
本人の記憶や人格を全部移したことも同じではない。
絹旗は一方通行として会話するのではなく、
絹旗として仲間と暮らしている。
映画の好みや普段の気遣いまで、
何もかも第一位の複製として
説明できるわけではない。
同じ実験に関わった二人として、
原作序盤には絹旗最愛と黒夜海鳥の名前が並ぶ。
両者はレベル4で、能力名はそれぞれ
窒素装甲と窒素爆槍。
第一位のレベル5を、
そのまま二人分再現した結果ではない。
研究が一定の成果を得たことと、
目標のすべてに届いたことは分かれている。
だから、二人が第一位より弱いなら
実験は何も残さなかった、とはならない。
絹旗の防御には、取り込まれた計算が
具体的に関わっている。
完全な複製ではなくても、
本人の戦い方を変える働きが残っている。
その中途半端に見える距離が、
かえってこの研究を身近な怖さへ近づける。
計画の説明に一方通行の名前が大きく出ても、
画面の前にいるのは絹旗になる。
第一位の強さを知っていると、
研究の規模へ驚きが向きやすい。
その一方で、施設から出てきた少女は、
すぐに新しい仲間の中へ放り込まれる。
研究の大きな目標と、一人の少女の
身の回りの変化が同時に進んでいる。
第一位に近い働きを得たとしても、
絹旗がどんな場面でその力を使うかまでは
研究の説明で決まらない。
施設へ来た麦野は、成果の証明より
自分たちの守りを求める。
同じ能力を、研究者は開発の結果として、
麦野は仕事の戦力として見る。
その間にいる絹旗は、まだ目を覚ましたばかりの少女でもある。
ここでの実験は、
強い能力者が親切に技を教える特訓とも異なる。
本人同士が相談し、納得して身につけた技という
形ではなく、研究として思考へ手が加わっている。
教わって覚えることと、
自分の内側へ別の人の働きを持ち込まれることでは、
絹旗の置かれた状況が違ってくる。
暗闇の五月計画の答えは、
一方通行をもう一人作れたという一言では終わらない。
第一位の思考の一部を利用し、
それぞれ別の能力を持つ人間へ影響を残した研究になる。
絹旗の強さを知る話でありながら、
その強さだけを喜びにくいのは、
本人が実験の対象としてそこにいたためでもある。
第2章 一方通行の何が、 それほど必要とされた?
強い能力を使いこなす、計算の仕組み
一方通行の強さを思い浮かべると、
まず攻撃をはね返す姿が浮かぶ。
相手が力を込めても、本人へ届かない。
その頼もしさを知っているほど、
研究者が再利用したがるものにも察しがつく。
ただし、暗闇の五月計画が注目したのは、
目の前で起きる派手な結果だけではない。
一方通行は、力の向きを操るための
高い演算能力を持つ。
演算は、能力を働かせるための計算。
何がどこから来て、どう処理するかという働きが、
あの反射を支えている。
強い力を持つことと、その力を複雑な状況で
動かせることが、彼の中では結びついている。
原作で絹旗の防御に組み込まれたとされるのは、
反射へ用いる計算式の一部。
そのため、第一位の体の頑丈さを
取り分けたような仕組みではない。
攻撃へ対応する働きを、
絹旗の能力で使える形へ取り込んでいる。
見た目の似た防御の裏で、
計算というつながりがある。
一方通行の反射は、
目立つ攻撃だけへ働くものではない。
別作品の人物紹介では、
紫外線も反射することが、
白い髪や赤い瞳の説明につながっている。
相手が殴ってくる瞬間だけ使う技ではなく、
普段から設定している守り。
その仕組みへ関心が向くと、研究者が計算の働きを欲しがる事情も見えてくる。
もし強い能力を持つ人間を探すだけなら、
すでに力のある被験者を集めれば済む。
しかしこの研究は、ほかの人間の思考へ
働きかける方へ進んでいる。
第一位に似た使い方を身につけさせれば、
別の能力でも伸ばせる部分があると、
研究者側は見込んだと考えられる。
その発想は、一方通行と同じ対象を操らない
絹旗にも結果が出ている点とつながる。
ベクトルを操作する本人と、
窒素を操る少女。
扱うものが違っても、
防御へ利用する計算の一部は移せる。
研究者が欲しがったものは、特定の技の名前よりも、
能力を動かす頭の働きへ近い。
一度の攻撃を防ぐ技をまねることと、
体の周りで守りを働かせ続けることでは、
求められる働きも違ってくる。
一方通行の名が挙がるのは、
強い一撃を放てる相手だからだけではない。
防御が必要になるたびに、本人が一つずつ目で
確かめる手間を減らせるなら、
ほかの能力者へ取り入れたい部分にもなる。
ただ、計算の工夫なら参考にしてよいのでは、
という軽さでは済まない。
紙へ書かれた手順を読むだけならともかく、
この計画では被験者の思考へ移植が行われている。
役立つ部分を欲しがる側の事情と、
頭の中へ手を加えられる側の不安は、
同じ大きさではない。
一方通行の防御を見て、
あんなふうに身を守れたらと思う気持ちは理解しやすい。
それでも、その働きをほかの少女へ
持ち込む研究と聞くと、素直には喜べなくなる。
絹旗の防御が頼もしいほど、
その強さへたどり着くまでに
何を負わされたのかが引っ掛かる。
研究対象になっていることと、 計画を指揮することは別
ここで混ざりやすいのが、
一方通行の名が付いて回る研究だから、
本人が絹旗たちへ実験したのかという疑問。
彼の思考が利用されていることは分かる。
一方で、その一点から研究を命じた人物や、
施設で作業を進めた人物まで
一方通行本人になるわけではない。
研究の中で使われるデータの持ち主と、
研究を動かす側は、それぞれ別の立場になる。
絹旗は被験者として影響を受けた側で、
一方通行は参考にされた思考の持ち主。
この関係だけで、二人を加害者と被害者という
一本の線に結ぶと、
間にいる研究者たちの行動が抜けてしまう。
絹旗が目を覚ます場面にいるのは、
麦野たちアイテムの三人。
研究で一方通行とつながっていても、
施設の外へ連れ出すのは別の人間になる。
本人同士の会話から過去が明かされるのではなく、
残された情報を通して関係が見えてくる。
その距離も、この実験の印象に残るところになる。
一方通行が関わる実験といえば、
絶対能力進化計画を思い出す人もいる。
本人をレベル6へ進めようとした計画として、
別作品の人物紹介でも触れられている。
そちらの知識があると、
暗闇の五月計画も同じ実験の別名なのかと
迷いやすいけれど、目指している対象が違う。
本人をさらに上の段階へ進めることと、
本人の思考の一部をほかの能力者へ移すことは、
同じ作業にはならない。
第一位の名前が両方に現れても、
被験者や研究の狙いまで重なるとは限らない。
暗闇の五月計画で気になるのは、
絹旗たちに何が行われたかという側になる。
同じ学園都市で、第一位に関わる研究が
別々の形で広がっている。
そのつながりには大きさも感じる一方、
名前を聞くだけでは区別しづらい。
絹旗の姿へ戻ると、今回の話で目の前にいる
被験者が誰かははっきりする。
第一位の名声より、
少女自身の置かれた場所が気になってくる。
一方通行の情報を利用する研究者がいて、
手を加えられる絹旗たちがいる。
本人同士の関係が見えないまま、
計画の中で名前が結びつけられている。
目の前の絹旗を見ていると、
第一位との意外なつながりに驚く一方で、
彼女へ実験を行った側の姿が気になる。
第3章 絹旗と黒夜は、 どんな被験者だった?
同じ計画にいた絹旗最愛と黒夜海鳥
絹旗がいる施設には、
ほかにも冷凍睡眠の被験者が残されている。
麦野たちが見つけたのは、
一人の少女だけを入れた部屋ではない。
原作序盤では、壁際にポッドが並び、
その中に子供たちが眠っている。
新入りとの出会いに気を取られる一方で、
ほかの子はどうなるのかが気になる光景でもある。
コールドスリープは、
眠った状態で体を保存すること。
研究の説明から離れてその姿を見ると、
被験者に自分で動ける余地が
ほとんどないことが伝わってくる。
外で誰が戦い、研究がどうなり、
次に誰が部屋へ来るのか。
眠っている少女たちは、その場の話し合いへ参加できない。
そこで名前が並ぶのが、
絹旗最愛と黒夜海鳥。
黒夜の読みは、くろよるうみどり。
原作ではフレンダが端末を調べ、
二人が研究で高く評価されていたことを確かめる。
絹旗だけが偶然そこに迷い込んだのではなく、
同じ計画の中で、別の少女も
能力を扱われていたことが分かる。
フレンダが確認する情報では、
二人ともレベル4に当たる。
研究者が高く評価した二人でも、
第一位と同じレベル5にはなっていない。
この数字は単なる勝ち負けの比較ではなく、
計画の到達点を考える手掛かりになる。
第一位の再現を目指しながら、
別々の能力者として成果が残っている。
ここで少し引っ掛かるのは、
少女たちを説明する言葉が研究の成績になっていること。
本人が何を好きか、どこへ帰りたいかより先に、
使える能力と評価が出てくる。
麦野たちが判断に使える情報も
そこに集まっている。
眠る本人の気持ちは、その場では聞かれない。
研究に成功した側なら、
よい扱いを受けているのかと思うと、
そう単純でもない。
高い評価が付いていても、
二人は施設の中に眠っている。
能力が役立つと認められることと、
好きな場所へ出ていけることは別。
成功という言葉が、そのまま少女たちの安心へつながっていない。
二人が眠る状況には、
仲間として助け合っていたのか、
互いをどう見ていたのかまで、
想像したくなる余地もある。
ただ、この出会いで確かめられるのは
同じ計画の被験者という関係。
絹旗と黒夜の過去へ、描かれていない友情や約束を
足さなくても、同じ部屋に残された重さは伝わってくる。
そして、この時点で絹旗はまだ
アイテムの四人目ではない。
後から知る普段の姿を重ねると、
眠っているこの少女が、
あの気遣いのできる絹旗なのかと気になる。
仲間と会話する現在につながる前に、
研究の情報で選ばれる時間がある。
その順番は、少し落ち着かない。
同じ窒素を扱っても、 守り方と攻め方が異なる
| 被験者 | 能力 | 麦野たちの選択 |
|---|---|---|
| 絹旗最愛 | 窒素装甲・レベル4 | 盾役として連れ出す |
| 黒夜海鳥 | 窒素爆槍・レベル4 | 施設に残される |
二人の能力名は、窒素装甲と窒素爆槍。
窒素装甲はオフェンスアーマー、
窒素爆槍はボンバーランスと読む。
同じ窒素に関わる能力でも、
名前から受ける役割は異なる。
絹旗を前から知っていても、黒夜の名前が並ぶことで、
実験が一つの防御能力だけを
作る計画ではなかったと分かる。
絹旗は窒素を自分の周りへまとい、体を守る。
一方、黒夜の窒素爆槍は
攻撃に向いた能力として登場する。
ここで大切になるのは、
どちらの技が何メートル届くかという細かな比較より、
研究で評価された二人が
同じ役を担うわけではないこと。
選ぶ側には、その違いが見えている。
同じ第一位を参考にしても、
被験者がすべて同じ戦い方になるわけではない。
絹旗の能力は窒素装甲として残り、
黒夜には窒素爆槍がある。
それぞれの能力へ研究の影響が加わるため、
結果も一つにはならない。
第一位の名が付いていても、
二人は別の能力者として扱われている。
その違いが、施設を出る場面で一気に現実になる。
麦野たちが求めているのは、
すでにある攻撃力へ加える防御の役。
研究者が同じくらい高く評価した二人の中から、
どちらを連れ出すかが、
チームの都合で決まっていく。
実験の成績だけでは、
その後の行き先まで同じにならない。
黒夜に攻撃の力があること自体は、
選ばれない欠点ではない。
たまたまその場へ来た相手が、
守りを求めている。
そのため、能力の優劣を決める競技で
絹旗が勝ったという話ではなく、
必要とされる働きが一致したという形になる。
別の事情で誰かが来ていたら、と考えたくなる分かれ道でもある。
もっとも、別の相手なら
二人とも幸せになれたとまでは言えない。
施設の外にも暗部があり、
力を使いたがる人間がいる。
ここで見えているのは、絹旗に同行先ができたことと、
黒夜が同じ道を進まなかったこと。
仮定を広げるより、その小さな差が
後の暮らしへつながっていくことが気になる。
絹旗が仲間に加わると分かっていると、
選ばれた場面には安心がある。
それでも、隣にもう一人の候補がいたと知ると、
簡単には晴れやかな気分になれない。
守りに向く力を持っていたことが、
本人の知らないところで、
施設を出られるかどうかに関わっている。
研究者の目には成果の違いとして映る能力が、
少女たちには別々の行き先をもたらす。
窒素装甲と窒素爆槍の細かな性能を比べなくても、
その差は十分に大きい。
絹旗がアイテムで新しい服を着る姿の手前には、
この場で残される側もいた。
そのことが、二人の名前を並べたときに残る。
第4章 絹旗の自動防御は、 実験でどう変わった?
気づいていない攻撃にも対応する窒素装甲
実験が絹旗の中へ残した働きとして、
分かりやすいのが自動防御になる。
窒素装甲は体を守るだけでなく、
本人が気づいていない方向からの攻撃にも対応する。
相手を見て腕を構えなければ防げない、
という仕組みだけではない。
あの小さな体で前へ出られる支えが、
ここにある。
原作小説の能力説明では、
この自動で全身を守る性質に、
一方通行が反射へ使う計算の一部が
関わるとされている。
計算を完全な形で再現したという説明ではなく、
一部を組み込めたというもの。
計画の大きな目標に対して、
絹旗へ残った成果の姿が具体的に見える。
たとえば、背中側の攻撃へ
毎回顔を向けて確かめる必要がある防御なら、
本人の注意が間に合うかが問題になる。
絹旗の場合は、知らない攻撃にも
対応する性質を持つ。
これは周囲の人間の考えを読むという話ではなく、
自分へ届く危険に防御が働くという違いになる。
気づくことと守ることが、
必ずしも同じ順番にならない。
相手の存在を詳しく把握していなくても、
守りの側が対応するところに強さがある。
敵からすれば、背後へ回り込めたから
安心して攻撃できる、とは限らない。
絹旗の外見からは分かりにくい備えが、
体の周りにある。
ただ、自動で対応するからといって、
届く攻撃を何でも防ぎきれるわけではない。
反応する仕組みと、
受け止められる限界は別にある。
ここで計画の成果として確かめられるのは、
守りの働かせ方の一部。
無敵になったという言葉へ置き換えると、
実際の絹旗の力より話が大きくなる。
絹旗を盾役にしたい麦野たちにとっては、
この性質が心強い。
戦闘のたびに、攻撃が来る方向を
すべて知らせなければ守れないのでは、
任せ方も変わってくる。
体の近くへ備えを持っている少女なら、
敵の前へ出る役を任せやすい。
研究の成果は、そのまま暗部の仕事へ利用されていく。
こうした使い道を聞くと便利に思える一方で、
手放しでは喜べない。
研究が残した防御のおかげで、
絹旗は危険な場所へ立てるようにもなるから。
守れるようになったことが、
その少女を安全な場所へ遠ざけるのではなく、
前線へ近づける。
このつながりは、少し苦く感じられる。
小柄な絹旗が前に出ても頼もしく見える。
その気持ちは能力の説明を知った後も変わらない。
ただ、その頼もしさの後ろに実験施設があると分かると、
いつもの姿へ重なるものが増える。
強くなれたからよかった、
という言葉だけでは、
あの眠っていた少女の時間までは収まらない。
「反射」の計算を取り入れても、 操るのは窒素
一方通行の反射が関わると聞くと、
絹旗へ攻撃した力も、
そのまま相手へ返るのかと気になる。
しかし、窒素装甲の基本は、
圧縮した窒素で全身を守ること。
自動で防御を働かせる計算が似ていても、
攻撃を防ぐ仕組みのすべてが
同じになるわけではない。
一方通行は力の向きを操作し、
絹旗は窒素を操作する。
この違いは、研究の名前を知った後も残っている。
暗闇の五月計画が一方通行を
丸ごと再現したわけではないことを、
窒素装甲そのものが示している。
計算の一部が入った先でも、
絹旗は別の能力を使っている。
ここでは、能力のコピーというより、
能力を動かす働きへ別の仕組みが
取り入れられたと考える方が近い。
窒素が急にベクトルへ置き換わったのではなく、
窒素を使った守りを自動で働かせる。
研究の目的と、絹旗の現在の能力がつながる場所は、
その部分になる。
そのため、絹旗の攻撃や防御を全部、
一方通行が本来できることの一覧へ
重ねることはできない。
自動防御という共通点はあっても、
扱う対象や得意な距離には差がある。
計画を知るために必要なのは、
すべての性能を比較することより、
何が引き継がれたかという範囲になる。
さらに、研究の影響は装甲の仕組みだけで終わらない。
原作の資料には、
絹旗が極度に興奮すると口調が変わることも記されている。
どの言い回しもすべて実験のせい、
と広げることはできないものの、
思考へ働きかける研究が、
能力の外側にも影響を及ぼしうると感じさせる。
普段の絹旗は面倒見がよく、
気配りもできる少女として紹介される。
研究に関わったから、いつも一方通行と
同じ考えで動くという姿ではない。
変化が起きる部分があることと、
本人らしさが全部消えていることは違う。
そこには、実験の説明だけでは語りきれない絹旗が残っている。
本人の好みや仲間への気遣いを知っていると、
思考を移植されたという言葉には余計に身構える。
強い力を足すだけならまだしも、
どこまで自分の内側へ入ってくるのかが怖い。
原作で具体的な影響が示されると、
その心配は単なる名前の不気味さではなくなる。
それでも、絹旗の言葉や行動を何でも
研究の結果に戻してしまうと、
いま目の前で仲間と話す本人が遠くなる。
実験の影響を受けている部分はあり、
その後にも自分の暮らしが続いている。
窒素装甲は過去を残すと同時に、
現在の絹旗が仲間のそばで使う力にもなっている。
第5章 計画がなくなったのに、 なぜ施設まで壊した?
研究の終了と、証拠を消す仕事は別にある
計画がなくなったなら、
その施設も放っておけばよいのでは。
麦野たちが中へ入り、壊して回る姿を見ると、
そんな疑問が浮かぶ。
実験をこれ以上続けないことと、
そこで何をしていたかを隠すことは別の用事になる。
アニメ第2話で麦野たちに回ってきたのは、
証拠を消す側の仕事になる。
公式の各話紹介では、
暗闇の五月計画の証拠隠滅のために、
麦野たちが研究施設を破壊すると説明される。
単に空き家を取り壊す作業ではなく、
計画が行われた痕跡へ手が入る。
少女を仲間に迎えるきっかけの場所で、
同時に研究を隠す仕事も進められている。
原作序盤では、
施設の研究者や警備の人間も襲撃の対象になる。
記録だけを持ち去り、
建物へ鍵を掛けて帰る穏やかな撤収とは違う。
麦野とフレンダが力を使う場面は、
実験の後始末がどれほど荒っぽいものかを伝える。
終わった研究の周りで、さらに人が死んでいく。
この段階で、計画が最初に動かなくなった経緯と、
麦野たちの破壊を一つにまとめると、
出来事の順番が見えにくくなる。
麦野が施設へ来たから初めて研究が中止になった、
と単純に結びつく話ではない。
彼女たちの任務は、その研究を巡る痕跡を
消すこととして与えられている。
研究が打ち切られても、
部屋や装置、資料、事情を知る人間は残る。
これ以上実験しないと決めるだけなら、
過去に何をしたかまで消えるわけではない。
証拠隠滅という仕事が別に必要になるのは、
その残ったものがあるため。
計画の終わりは、
何も起きなかった状態へ戻ることではない。
そして、消す側から見た証拠の中には、
人間へつながるものもある。
被験者が生きていれば、
研究の影響そのものが体や能力に残っている。
書類を燃やすだけでは片づかないという事情が、
人を使って研究していたことへ戻ってくる。
この場所では、少女たちの存在まで
厄介なものとして扱われかねない。
麦野たちはそうした任務の中で、
冷凍睡眠の部屋へ踏み込む。
助けを求める声を聞いて駆けつけたという始まりではなく、
別の仕事の途中で眠る人間を見つける。
そのため、絹旗との出会いには
偶然と打算が重なっている。
全員を救うことが最初から約束された訪問にはなっていない。
絹旗が無事に外へ出ると知っていても、
施設で行われることを振り返ると落ち着かない。
研究する側が消えればすべて解決、
という話でもないから。
壊す人間には次の用事があり、
眠っている少女には事情を選ぶ余地が少ない。
どちらの都合で場面が進むのかが、
ここでははっきりしている。
施設を壊しても、被験者の行き先は用意されない
研究施設が壊れる場面には、
閉じ込められた場所がなくなるという解放感もある。
ただ、建物の外へ出られることと、
その後に暮らせる場所があることは一緒ではない。
絹旗の場合、公式の人物紹介でも、
計画がなくなったため
戻るべき場所がないとされている。
戻る場所がないという言葉は、
施設の説明よりずっと身近に響く。
実験の名前や能力の分類を知らなくても、
眠りから覚めた少女がどこへ帰るのかという疑問は残る。
研究者に必要とされなくなった後の暮らしまで、
研究の終了という一言が
保証してくれるわけではない。
実際、施設の場面には、
被験者全員へ住まいや衣服を渡す準備が
描かれているわけではない。
麦野たちは自分たちの撤収を急ぎ、
連れ出す相手を選ぶ。
絹旗の新しい生活は、計画の正式な後始末として
用意されたものではなく、
アイテムとの出会いから始まっていく。
その一方で、残された被験者が
全員その場で殺されたと決めることもできない。
原作ではほかの人間の解凍を進め、
警備員が踏み込む時間へつなげる段取りが語られる。
ただし、それは安全を保証するだけの手配ではなく、
襲撃の犯人役を残すという
麦野たちの都合も含んでいる。
眠っていた側からすれば、
目覚めた後に自分がどんな立場になっているかも分からない。
研究の対象から外れたとしても、
今度は別の事件の当事者へ置かれる可能性がある。
そこで起こる扱いを、
本人が前もって話し合える状態ではない。
研究が終わった後にも、他人の判断が続いている。
だから、絹旗に同行先ができたことは小さくない。
自分の服を用意し、食事を取り、
誰かと話す場所へ行ける。
施設を失った直後の少女にとって、
それは生活の話になる。
ただ、ほかの被験者も同じように落ち着けたのかという
心配まで、一緒になくなるわけではない。
施設の外にいる人が全員、
研究者とは正反対の優しい相手とも限らない。
絹旗を拾う麦野たち自身が、
証拠を消す仕事へ来ている。
危険な場所を出た先が、
危険と無縁の社会ではないところも、
この出会いには付いてくる。
それでも、誰かと暮らせる道ができたことには違いがある。
計画の終了は研究者側の区切りで、
施設の破壊は仕事を受けた側の区切り。
絹旗の暮らしには、そこからさらに先が必要になる。
何を着て、どこで食べ、誰のそばにいるか。
難しい研究の説明が終わった後に残る、
そうした小さな用事の方が、
この少女には切実に見えてくる。
第6章 麦野はなぜ絹旗を連れ出し、 黒夜を残した?
アイテムに足りなかった盾役
麦野が絹旗を連れ出す場面で、
いちばん短く、そして重く響くのが盾役という言葉。
原作ではフレンダが二人の候補を挙げ、
麦野は欲しい役割を即座に答える。
長い面談も、少女たち自身の希望を聞く時間もない。
チームに必要な働きが、
そのまま絹旗の行き先へつながる。
当時のアイテムは、
麦野、滝壺、フレンダの三人。
麦野には大きな攻撃力があり、
滝壺は相手を追跡する力を持つ。
フレンダは爆発物や罠を得意とする。
その組み合わせに不足していたのが、
防御へ向いた能力者。
絹旗が選ばれた背景には、すでにいる三人の戦い方がある。
原作では麦野自身が、その不足を口にしている。
滝壺は大事な役を担う一方で戦闘向きではなく、
麦野の力も殺傷力が大きく守りへ使いにくい。
フレンダも防御専門とは異なる。
強い人間がいるのに盾役を探すのは、
攻撃と防御が同じ仕事ではないためになる。
そこへ、全身を守る窒素装甲の絹旗が見つかる。
研究者が付けた評価に加えて、
実際にどう使えるかが、
麦野たちの都合と一致する。
第一位にどれほど近いかという研究上の目標より、
次の仕事で何を任せられるかが選ぶ手掛かりになる。
施設と暗部で、能力を見る目的が切り替わっている。
黒夜にも高く評価された力はある。
ただ、攻撃の側を増やすより、いまは守りが欲しい。
ここで絹旗が選ばれたことは、
黒夜の能力が役立たない証明ではない。
麦野たちがその場で求めたものに、
絹旗が合っていた。
その限定された判断が、
少女一人の生活を大きく変える。
この選び方には、
絹旗を連れ出す筋の通った事情がある。
一方で、本人の人生を決める話として聞くと、
あまりに早い。
盾役が欲しいという相手の一言で、
眠る少女の次の場所が決まっていく。
その軽さに引っ掛かりながらも、
絹旗がそこで選ばれてよかったという気持ちも残る。
しかも、麦野は絹旗へ
誰より優しく接する人を選んで連れていくのではなく、
自分たちの仲間として働かせる。
衣食住ができることと、
危険な仕事を任されることが同時に始まる。
実験から離れた少女が、
今度は盾として必要とされる。
この言葉の頼もしさと物騒さは、分けきれない。
それでも、絹旗はその後アイテムの中へ入っていく。
施設での選択が冷たいからといって、
以後の会話や気遣いまで
最初から全部空っぽになるわけではない。
出会いの打算と、
暮らしの中でできる関係は別に進む。
絹旗の加入は、最初の一言だけでは終わらない。
二人の行き先を分けた、麦野たちの都合
絹旗のポッドが開くと、
少女はまだぼんやりしている。
原作では、目覚めた直後に
滝壺がタオルを掛ける姿も描かれる。
能力の評価や役割を話していた直前の会話と、
いま体を冷やしている一人の少女が、そこで重なる。
名前と性能だけでは見えなかった本人が、
ようやく目の前へ出てくる。
絹旗が目を覚ました瞬間には、
自分がどう選ばれたのかを十分に知らない。
周囲は役割を決めた後でも、
本人にとってはそこから
状況を知る時間が始まる。
このずれも、施設の場面には残っている。
その小さな世話には、
少しほっとするところがある。
施設へ来た目的は荒っぽくても、
目覚めた絹旗へ誰かが手を伸ばしている。
ただ、タオルが一枚掛けられたことで、
研究の過去やその後の危険まで消えるわけではない。
安心できる動作が、
危険な状況の中に置かれている。
そして、そこに長くとどまる時間はない。
原作では警備員が近づくことを滝壺が察し、
麦野たちは撤収を急ぐ。
少女が自分の状況を十分に飲み込むより早く、
周囲の都合が次へ進んでいく。
助けるかどうかを落ち着いて話す場所ではなく、
逃げる仕事の途中でもある。
ほかの被験者については、解凍を進め、
侵入してくる警備員の前に残す段取りが取られる。
麦野たちにとっては、
襲撃事件の犯人役がいれば都合がよい。
絹旗を連れ出す話のすぐそばで、
残る人間へ責任を押しつける話も進む。
救出という言葉だけでは、
ここでの動きを言い表せない。
黒夜も、その同じ道を歩まない側へ残る。
二人の将来が、能力の種類と
麦野の必要に応じて分かれていく。
研究者の評価では並んでいた少女たちでも、
施設の外へ出る条件までは平等にならない。
本人たちの選択を聞く前に、
その場の役割が付けられてしまう。
この場面から、
麦野が黒夜を個人的に嫌っていたと決める根拠はない。
ここで示されるのは、
欲しい盾役を優先する判断と、
自分たちが逃げるための手配。
特別な嫌悪を足さなくても、
その都合だけで少女の扱いが変わってしまう。
誰かの悪意が一対一で向かうより、別の冷たさがある。
だから、絹旗の加入には
安心と引っ掛かりが一緒に残る。
彼女に行く場所ができたことはうれしい。
それでも、隣に眠る側が同じ扱いではないと知ると、
全員が救われた場面としては受け取れない。
明るいやり取りへつながる出会いの底に、
置いていかれる側の影もある。
麦野たちの仲間になった絹旗は、
いずれ普通に話し、
好きな映画へ関心を向ける。
その姿を知っているからこそ、
施設での分かれ道が気になる。
盾役として役立つ少女ではなく、
普段の顔を持つ人間がそこにいた。
黒夜にも、名前と能力以外の時間がある。
そのことが二人を選ぶ会話の後へ残っていく。
第7章 計画が終わっても、 被験者とデータは残る
絹旗の暮らしは、実験の終了だけでは始まらない
研究の説明を聞いている間、
絹旗は被験者、成功例、盾役という言葉で語られる。
しかし施設を出た後の彼女には、
そんな呼び名だけでは済まない用事がある。
自分に合う服を着て、食事をして、
寝る場所を確保すること。
アイテムへ加わると、実験の後に必要になる生活が
少しずつ姿を見せる。
原作の買い物では、
絹旗は動きやすい服を求め、
高い値札へ戸惑う。
研究でどんな評価を付けられたかとは別に、
本人が着たい服の好みがある。
ほかの少女にからかわれながら、
自分の身の回りのことを話す。
そのやり取りには、施設の端末に並んだ情報とは違う絹旗がいる。
戻る場所がない一方で、
本人は衣食住を確保できればよいとも考えている。
公式の人物紹介にあるこの姿勢は、
ひどく落ち着いて見える。
ただ、困っていないと決めるより、
何を大事にしているかがそこに表れていると感じる。
大きな研究目標より、
目の前の生活の方が本人には近い。
面倒見がよく、仲間へ気を配り、
寂しがり屋な面もある。
そうした絹旗の姿は、
実験が何を目指したかという説明とは別に続いている。
自動防御があるから一人で平気、
と話を結ぶことはできない。
体を守る能力と、誰かと一緒に過ごすことは、
少女の中で違う場所を占めている。
また、暗部へ入ったから、
危険な実験と完全に無縁になったとも限らない。
能力を持つ人間として仕事を任され、
その力を使って生きていく。
研究の場所から離れても、
自分の中に残る働きとは付き合っていくことになる。
計画の終了は、
過去を消して別人になる区切りではない。
それでも、施設にいた頃と同じままではない。
いまは名前を呼ぶ仲間がいて、
好みを口にし、会話へ割って入る絹旗がいる。
危険のない暮らしとは言えなくても、
眠ったまま評価されるだけの時間からは離れている。
その変化があるから、
アイテムの中の絹旗を見て、
ほっとするところがある。
実験の成果を見つけた側にとっては、
役立つ盾を手に入れた出来事かもしれない。
しかし絹旗には、それ以外の時間が増えていく。
好きな映画の話をし、服を選び、仲間を気に掛ける。
計画の中で何をされたかを知った後ほど、
その何でもない行動まで
研究の言葉に戻したくなくなる。
暗闇の五月計画を知ることは、
絹旗の強さの由来を知ることにつながる。
同時に、強さの説明では足りない
本人の暮らしも気になってくる。
自分を守れる少女だから、
どこへ置いてもよいとは思えない。
せめて好きなものを好きと言える時間が、
あの施設の外に続いていてほしくなる。
別作品でも狙われる、一方通行の演算データ
ここから漫画『とある科学の未元物質』の
設定にも触れる。
計画の影響は、絹旗の窒素装甲だけへ
閉じているわけではない。
漫画『とある科学の未元物質』には、
同じ暗闇の五月計画の被験者として、
杠林檎という少女が登場する。
杠はゆずりはと読む。
ここでも、第一位の研究を巡る話のそばに、
別の幼い少女の姿がある。
出版社の紹介では、
学園都市第二位の垣根帝督が林檎へ接触し、
彼女を通じて一方通行の演算パターンの
データを得ようとする。
演算は能力を使うための計算。
絹旗の防御へ組み込まれたものと同じく、
第一位の力を支える頭の働きが、
ほかの人間から求められている。
この関係から分かるのは、
研究施設があるかどうかとは別に、
被験者やデータへ価値を見いだす人間がいること。
実験を続ける部屋を壊しても、
関わった人間や、そこへ残った情報まで
一度に消えるわけではない。
研究の名前がほかの少女の物語へつながるのは、
その残るものがあるためになる。
林檎を通じて情報を得たいという垣根の目的も、
計画の成果を別の立場から見ている。
研究者だけが欲しがるものなら、
研究所の外では重さが変わるはずなのに、
別の能力者までそこへ近づく。
データの価値が、
関わった少女から簡単には離れない。
ただ、林檎の物語を絹旗がいた部屋の出来事と
同じ場面として扱うことはできない。
別作品で描かれる被験者の話になる。
それでも、絹旗だけが例外的に
研究へ巻き込まれたのではなく、
同じ計画に関わる少女がほかにもいることは、
計画の広がりを感じさせる。
さらに、データを得たい人間から見れば、
少女へ近づく目的が研究の続きになる。
本人が何を望むかより先に、
何を持っているかが注目される。
その構図は、施設で絹旗と黒夜の能力が
調べられる場面にも重なる。
生きている相手へ、
研究の価値が先に付いて回ってしまう。
林檎には、絹旗とは別の出会いと出来事がある。
出版社の紹介では、
垣根のほかにも黒夜や木原など、
少女の持つ力を狙う者の名が挙がる。
第一位の情報が関わることで、
一人の少女の周囲へ複数の思惑が集まってくる。
研究所にいるときだけが、
被験者として扱われる時間ではないことも気に掛かる。
一方通行を増やしたいという大きな目標を聞くと、
強い能力の話へ関心が向く。
しかし、その力を欲しがる人間の周りには、
絹旗や黒夜、林檎のような少女がいる。
何が再現できたかだけでなく、
その対象になった人が後からどこで暮らすかも、
同じ計画の先へ続いている。
絹旗がアイテムでいつも通りに話している姿へ戻ると、
あの穏やかさが少し違って映る。
実験がなかったことにはならず、
力への関心も消えない。
それでも、目の前では
自分の好きなことを話せる少女がいる。
暗闇の五月計画の説明が終わった後には、
その絹旗の日常が残っていてほしい。


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