技神ラプラスを仲間にできないかという疑問は、原作でルーデウス自身も口にしている。
分裂前のラプラスはオルステッドへ力を残そうとしていたものの、技神には使命の記憶が完全には残っていない。
協力が実現しない背景には、その記憶の欠落に加え、オルステッドが五龍将を仲間に迎えない姿勢も関わっている。
この先は原作後半と外伝『古龍の昔話』の
ネタバレあり。
第1章 技神が断ったわけではない―― オルステッドが仲間入りの提案を拒んでいる
| 観点 | 分かること |
|---|---|
| 技神の状態 | 記憶と使命が一部欠ける |
| 原作の提案 | 龍神が勧誘案を拒む |
| 拒絶の背景 | 五龍将と秘宝の計画が関わる |
| 描かれない場面 | 技神本人への勧誘と返答 |
ルーデウスも「協力できるのでは」と考える
技神ラプラスもヒトガミと戦う側なら、
オルステッドと組めばいいのではないか。
強い敵に向かう仲間が増えるなら、
その方が心強く見える。ラプラスの過去を知るほど、
この疑問は自然に浮かんでくる。
実は原作のルーデウスも、同じところで立ち止まり、
本人へ提案している。
先に答えると、技神が誘いを断る場面ではなく、
オルステッドが技神を仲間にする案を拒む場面がある。
ここは、仲間にならない背景を考えるうえで
大きな違いになる。技神の居場所へ出向き、
本人の意見を聞いて交渉が失敗したという流れではない。
Web原作の第二百二十九話で、ルーデウスたちは
強い協力者を増やす話をしている。
列強の上位へ考えが及ぶと、技神も候補になりそうに見える。
魔神とは別に分かれ、ヒトガミへ向かう目的が残るなら、
その力を借りられないか。
提案の入口は、戦力を集める会話の延長にある。
それに対し、オルステッドは短く否定する。
ルーデウスが記憶を戻す案へ話を進めようとしても、
強い言葉で止める。
相手の所在を探すとか、交渉の条件を考えるとか、
そうした話へは進まない。
候補の一人として並べたところで、
思った以上にはっきり線を引かれてしまう。
この反応から、知らない過去に触れてしまったような
怖さが生まれる。ルーデウスは戦いを有利にしたいだけでも、
オルステッドにとっては簡単に同列へ
並べられない存在がいるらしい。
強さや共通の敵だけで仲間を増やせないことが、
会議の途中で急に表に出てくる。
だから、技神はオルステッドを嫌っているから来ない、
と結論づける材料にはならない。
技神本人がそう語ってはいないため。
この記事の答えは、分裂によって使命の記憶が欠けたことと、
協力を求める側のオルステッドが受け入れようとしないこと、
その二つから組み立てられる。
記憶の問題だけでは終わらない、 龍神の拒絶
技神の記憶が完全ではないことは、
協力が難しく見える背景の一つ。
誰かへ技術を渡す目的が残っていても、
その相手や、そこへ至る過去が明瞭とは限らない。
分裂前のラプラスがオルステッドのために動いていたからといって、
現在の技神も同じ計画を共有しているとは言えない。
ただ、その欠落だけなら、事情を説明すれば
協力できるのではという疑問が残る。
ルーデウスの提案も、その方向へ進んでいる。
失った記憶を補い、昔の人物へ戻せれば、
今度こそ同じ相手と戦えるかもしれない。
ところが、オルステッドは
その案を進めること自体を認めない。
ここで彼が拒んでいる対象は、
技神一人に限られていないように見える。
ルーデウスは、その言葉からラプラスやペルギウス、
さらに五龍将へ考えを広げる。
五龍将は、古代の龍神に仕えた五人の将を指す。
昔の龍族へ連なる人々と、
今集めようとする仲間の間に境目がある。
その境目へ関わるのが、
ヒトガミのいる場所へ届くための秘宝。
オルステッドの戦いには、
敵より強い仲間をそろえるだけでは越えられない条件がある。
どこへ辿り着くか、そのために何を集めるかという
長い計画があり、五龍将は
その計画の外へ簡単に置けない。
もっとも、拒絶を見たルーデウスの疑念が、
その場で全部説明されるわけではない。
本人は聞こうとした問いを飲み込み、話題を変える。
読んでいる側にも、
なぜそこまで拒むのかという引っ掛かりが残る。
無職転生Ⅲから人物の関係を考える場合にも、
原作後半のこの空白は大きい。
共通の敵がいても、昔の使命と
現在の協力関係はそのまま一致しない。
技神の記憶の欠落だけでなく、
オルステッドがどんな計画で龍族の過去と向き合っているかも関わる。
二人が組まない疑問の奥には、
技神を誘えば済むという話ではない、
遠い時代から続く事情がある。
第2章 分裂前のラプラスは、 オルステッドのために何を残した?
ヒトガミを倒すために磨いた武術と魔術
ラプラスという名前は、ルイジェルドの話などを通して、
戦争やスペルド族の悲劇へ結びついてきた。
そのため、オルステッドを助けるために
技術を磨いた人物でもあると聞くと、
同じ名前の中身が急に広がる。
敵対の歴史だけでは、彼の過去を全部説明できなくなる。
分裂前のラプラスは、魔龍王と呼ばれ、
二代目龍神にもなる存在。
Web原作でオルステッドは、
彼がヒトガミを倒すための技と術を磨き、
未来へ送られた自分に力を渡そうとしていたと説明する。
強くなるための研究が、
本人だけの勝利を目指すものには留まっていない。
ここで渡すものは、剣の一振りや魔術の一つという
小さな品ではない。
武術、魔術、武器、知識、研究の成果が重なる。
ラプラスは長い時間を使い、
まだ目の前にいない相手が戦えるように準備している。
誰かを育てる話でありながら、
その相手が来るまで自分が待てるとは限らない。
だから、ラプラスとオルステッドに
共通の目的があったという理解には、ちゃんと根拠がある。
関係が薄い二人を、
たまたま同じ敵がいるというだけで結びつけているわけではない。
もともとの準備には、
未来のオルステッドへ力を届かせるという、
相手の名前を持つ目的がある。
この過去を知ると、なおさら技神が
仲間にならないことに戸惑う。
助けるための力を作った人が、
実際の戦いの輪へ入らない。
昔の約束が今の協力へつながりそうに見えるのに、
その途中には魂の分裂が入っている。
準備をした人物と、現在その名を持つ人物を、
そのまま重ねられなくなる。
また、オルステッドがこの背景を知る経路にも、
時間の隔たりがある。
Web原作では、古代龍族の遺跡に残る
ラプラスの手記を読んだと話す。
二人で昔の計画を相談し直したという説明ではない。
本人へ尋ねて確かめる代わりに、
残された文字から受け取った過去がある。
未来のオルステッドへ託すはずの準備
外伝『古龍の昔話』の終盤では、
この準備がもう少し身近な行動として見える。
ラプラスはヒトガミの居場所や倒す手段を探り、
将来の戦いへ成果を渡そうとしている。
復讐の相手を知っていても、
その場で飛び込めば勝てるとは考えていない。
そこには、負けた場合の危険もある。
結界へ手を加えて敵のもとへ行けても、
自分が倒されれば、それまで抑えられていた
ヒトガミを解き放つ可能性が出る。
本人の仇を討ちたい気持ちだけで動けば、
後の戦いにまで危険を残す。
待つことも、彼の準備の一部になっている。
技術を広める方法も、
一人で研究室にこもるだけではない。
人族へ技や魔術を渡し、
別の人が工夫した成果を回収し、
さらに磨いてまた伝える。
長く生きる本人と、短い人生の中で工夫を重ねる人々が、
その循環の中で関わっている。
私はこの方法に、未来へ力を残すという目的の
具体性を感じる。
自分が持つものを隠して守るより、
他人へ渡して変わったものを受け取り直す。
最初に思いついた技だけでなく、
知らない誰かの改良まで、
いつかオルステッドが使う力へつなげようとしている。
さらに、自分が倒される場合も考えて、
遺跡や記録を残す。
会えなければ何も渡せないという形を避け、
本人がいなくても成果に辿り着ける場所を作る。
のちのオルステッドが手記から過去を知ることにも、
この残し方がつながっている。
ただ、技術が後世へ届くことと、
ラプラス本人が昔の心のまま戦場へ現れることは別になる。
記録は残れても、
魂や記憶の損傷はその記録だけでは元へ戻らない。
外伝で語られる明確な願いが、
技神の状態へそのまま移っているわけではない。
外伝のラプラスは、オルステッドだけでなく、
生き残った龍族やペルギウスも
共に戦う未来を思い描く。
その未来を嬉しそうに語る姿と、
本編でオルステッドが五龍将の協力案を止める姿は、
かなり遠い。昔の人が望んだ集まりと、
後の時代で実際に作られる集まりが、同じになっていない。
第3章 技神と魔神への分裂で、 ラプラスの何が失われた?
| 存在 | 残った力と目的 |
|---|---|
| 分裂前のラプラス | オルステッドへ力を託す |
| 技神ラプラス | 技と伝授の目的が一部残る |
| 魔神ラプラス | 魔術と人族への憎悪が残る |
闘神との戦いで割かれた魂
技神と魔神の名前に同じラプラスが付くと、
称号を二つ持つ一人の人物なのかと思いやすい。
魔術では魔神、武術では技神と呼ばれるだけなら、
話は比較的つかみやすい。
けれど、原作で明かされるのは、
もとの魂が分かれたことによって生まれた
二つの存在になる。
Web原作の説明では、ラプラスは第二次人魔大戦で
闘神と戦い、その魂を二つに割かれる。
ヒトガミを倒すために続けていた準備が、
敵側の働きによって壊される。
その結果、魔神と技神が生まれるため、
本人が目的に応じて二人へ分身したという経緯ではない。
ここで失われるのは、体や能力だけではない。
記憶も欠け、もとの目的をそのまま思い出して
行動することができなくなる。
戦いのために用意していた力があっても、
その力を誰へ、何のために渡すのかという
つながりが傷ついている。
ラプラスの過去を知っているオルステッドと、
完全には覚えていない技神。
その二人が同じ敵へ向かいそうに見えても、
知っている事情は同じとは限らない。
オルステッドが相手の昔を説明できることは、
相手自身がその説明を自分の使命として
思い出せることとは別になる。
この差を、単に記憶喪失だから話せないという問題へ
縮めると、目的の残り方が抜けてしまう。
何も持たず、何もしたいことがない存在になったわけではない。
大きな力と、途中の抜けた目的が残る。
だからこそ、失う前とは違う行動を、
長い時間続けてしまう。
魔神の側へ目を向けると、その変化がいっそう重い。
もとの敵へ向かうはずの使命が、
人族へ向く憎悪として残る。
ヒトガミを倒すために準備した人物の一部が、
人々を巻き込む戦争へつながる。
この広がりは、二人になって強さが分散したという話だけでは
収まらない。
一方、技神の側にも、
以前の人物がまるごと保たれたわけではない。
魔神に危険な部分が分かれたなら、
残った技神は昔のままの味方と考えたくなるものの、
技神も記憶を失っている。
分裂は善悪を分ける操作ではなく、
知識と能力と目的が、欠落を伴って残る出来事になっている。
技と魔術だけでなく、 使命の記憶も分かれる
魔神は、龍としての力を失い、
膨大な魔術の知識と、人を殺すという目的を残す。
技神は魔力を失い、膨大な技と、
それを誰かへ伝えなければならないという目的を、
おぼろげに覚えている。
二人に何が残ったかを並べると、
片方だけが完全な後継者という形にはなっていない。
このうち、技神に伝授の目的が残ることは、
オルステッドと組めそうに見える
大きな手掛かりになる。
もとのラプラスが準備していた仕事と、方向が似ているため。
ただ、その誰かという部分が重要になる。
説明では、相手の名前まで
明確に思い出しているとは語られない。
「技術を渡す」と「オルステッドへ渡す」の間にある差は、
言葉では小さく見える。
それでも、実際に行動するなら、
誰を探すか、いつ会うか、何を期待するかが変わる。
技を磨く仕事が続いていても、
相手のもとへ合流する道筋まで
続いているとは限らない。
魔神がもとの標的を失いながら攻撃の目的を残すのに対し、
技神は受け渡す相手が明瞭ではないまま
伝授の目的を残す。
どちらも、仕事の動詞は残る一方で、
その仕事が向かう相手との関係が崩れている。
魂の分裂による怖さは、
力が消えないことにもある。
ただし、この状態を技神本人の
無関心と考える根拠はない。
オルステッドを助ける気がなくなったと、
自分の言葉で語る場面ではないため。
何を覚えているかについての説明から、
助ける相手を見失っている可能性は考えられても、
嫌って拒んでいる気持ちまでは読めない。
同じラプラスの名前を持つからといって、
魔神がしたことを技神が同じ認識で
引き受けているとも言えない。
ルイジェルドやペルギウスが魔神へ抱く感情と、
技神の現在の目的は区別される。
過去の一人と、分かれた二人がつながるからこそ、
どの人物の行動かが大切になってくる。
現在の技神は、分裂前のラプラスから
技術と目的の一部を受け継いだ存在。
その一部にはオルステッドへ近づく手掛かりがあるものの、
昔の記憶も計画も全部そろっているとは限らない。
かつて助ける準備をしたことと、
今すぐ同じ陣営へ加われることの間には、
この欠落が挟まっている。
第4章 技神は何を覚えている? 七大列強と技術を伝える相手
誰かへ技を渡す目的は、 おぼろげに残っている
記憶を失ったと聞くと、
技神は何もできなくなったのかとも感じる。
けれど、原作の説明では、磨いた技を保ち、
それを誰かへ伝える目的も残っている。
壊れたのは仕事の全部ではなく、
その仕事を昔の相手へつなぐ記憶の方にもある。
そのため、技神が長い準備を
何も受け継いでいないという理解は合わない。
伝授へ向かう働きは、分裂前から続く部分になる。
ただ、その働きを続けることと、
オルステッドへ参戦を申し出ることは異なる。
技を伝える相手を求める存在が、
同じ隊列で敵と戦うとは限らない。
そもそも分裂前のラプラスも、
ひたすら一緒に戦うためだけに力を蓄えていたわけではない。
自分が会えない事態にも備え、記録や研究を残していた。
伝わることを優先して準備していたため、
後世へ力が届く道は、
本人の合流という一つの形だけには絞られていない。
技神に残る伝授の目的は、その過去と接する部分。
ただし、それが計画通りに受け継がれているかどうかは別になる。
元の使命を忘れたままでも技術は広まるかもしれないし、
伝える相手を探して活動が続くかもしれない。
本文の説明から分かる範囲は、
その目的が消えきっていないところまで。
ここで気になるのが、
オルステッドは既に多くの技を知っているという点。
1期の遭遇でも、ルーデウスたちが力を尽くしても
届かないほどの差を見せている。
だから技神が味方になれば、
単に技の先生が一人増えるというより、
強い協力者そのものが増えると期待したくなる。
しかし、技術を受け継ぐ関係と、
戦力として頼る関係には、求めるものの差がある。
教えた技は、後に本人がいなくても使える。
戦いへ参加してもらうには、
そのときの目的や判断を共有する必要がある。
以前の準備が役立つことから、
現在の協力まで一度に決められないところが残る。
七大列強を作ったことと、 現在の行動の空白
技神が行ったこととして、
原作では七大列強を作ったことが挙がる。
七大列強は、この世界で特に強い者たちを示す序列。
名前だけ聞くと、七人が同じ組織に
所属しているようにも感じられるが、
協力して動く仲間の名簿ではない。
技神はその一位に名を置き、
オルステッドは龍神として二位に位置する。
強い仲間を探すルーデウスが、
上位の技神へ考えを向けるのは分かりやすい。
いま味方にできる人を増やしたい会話の中で、
序列は戦力の候補を考える入口になる。
ただ、一位という位置だけで、
現在のオルステッドより必ず強いとか、
ヒトガミへ最も有効な戦い方を持つとか、
その場の勝敗まで決まるわけではない。
序列と個々の戦闘条件は違う。
まして、強いと分かることは、居場所を知り、
協力を得られることまで保証しない。
ルーデウスが上位の候補を思い浮かべる場面には、
封印や行方の分からない存在がいるという認識もある。
呼べば集まる人々として描かれてはいない。
技神の名前が大きくても、
今どこで何をしているかを、
本人へ聞ける距離には置かれていない。
その空白は、技神の心を好きな形で
補うための余地とは異なる。
強さを求めて隠れている、オルステッドを試している、
戦いを避けているなど、想像はできるものの、
それを選ぶ場面は今回の会話にはない。
技術を磨く目的が語られることと、
その日の具体的な行動が分かることは別になる。
技神が七大列強を作ったという話は、
何もせず姿を消しただけではないと示す一方、
オルステッドの計画へ直接合流した証しにはならない。
昔の仕事を思わせる技術の継承と、
現在の関係の不在が同時にある。
そのため、名前の大きさに比べて
本人の姿が遠く感じられる。
私はこの距離に、長く残った仕事と、
働いていた本人の事情が離れてしまう寂しさも感じる。
ラプラスの技や称号を人々は知っていても、
その相手が何を覚え、誰を待っているかは見えにくい。
協力できそうという期待が、
簡単に会って話せる関係へつながらない。
技神について確かめられるのは、
技術と伝授の目的を一部残し、
七大列強の成立にも関わったこと。
その現在地や内心を詳しく描く場面は、
この疑問に答える会話にはない。
だから仲間にならない背景のもう半分は、
技神の沈黙を埋めるより、オルステッド自身の反応へ近づくことになる。
第5章 オルステッドが五龍将を 仲間にしないのはなぜ?
この章は原作後半の秘宝と、
仲間集めの会話に触れる。
ラプラスだけでなく、 ペルギウスにも距離を置く
ルーデウスが技神の話をしたとき、
オルステッドの拒絶は、
相手に事情を話してみようという方向へ進まない。
原作で彼は、彼らを仲間にするつもりがないと伝える。
記憶が曖昧だから無理という説明に留まらず、
自分の方針として線を引く。
ルーデウスが反応するのは、
その言葉の中で対象が複数になっていること。
彼はラプラスとペルギウスを同じ位置へ置き、
さらに五龍将へ考えを広げる。
技神の記憶だけが問題なら、
別の人物まで含まれる拒絶には説明が足りなくなる。
ペルギウスは、ルーデウスたちが
空中城塞で会う存在。
技神のように名前と説明だけが遠く残る相手とは違い、
助けを求めたり、会話したりする接点がある。
その人物にもオルステッドが近づこうとしないため、
単に交渉の相手が見つからないという事情でも収まらない。
さらに、ペルギウスにはオルステッドの呪いが効かないと、
ルーデウスは認識している。
呪いは、多くの相手が龍神を恐れ、避ける背景へ関わるもの。
初対面から強い拒絶を生む障害がないなら、
協力を頼む道もありそうに見える。
それでも、オルステッドの態度は変わらない。
このため、呪いのせいで誰も近づけないからという
説明だけでは、五龍将との距離を埋められない。
相手が恐れていることと、
オルステッドが仲間にする気を持たないことは別になる。
技神をめぐる疑問でも、すべてを呪いへ戻すと、
彼自身が止めた提案の重さが抜けてしまう。
同じ会話でルーデウスが龍王の名を使う案を出すと、
オルステッドはそれも拒む。
単なる肩書の相談と思っていたところへ、
昔の龍族へ向ける強い言葉が出る。
ルーデウスを彼らと同じように扱いたくない姿勢が見え、
古い関係への感情も感じられる。
ただ、その反応から、オルステッドが全員を
個人的に嫌っているだけと決めることも難しい。
強い言葉はあるものの、
その背後にはヒトガミへ至る計画がある。
感情の強さと、計画上の利害が重なっている可能性があり、
どちらか一方だけへ縮めると、
本人の判断が単純になりすぎる。
ヒトガミへ届くための秘宝と、 ルーデウスの疑念
オルステッドの最終目的は、ヒトガミを倒すこと。
そのためには、強い敵を何人も倒すだけでなく、
相手がいる場所へ辿り着かなければならない。
原作では、そこへ届くために
龍族の秘宝を集める必要があると語られる。
勝つ力と、会いに行く条件が分かれている。
秘宝は五龍将と結びつくものとして話に出てくる。
外伝では、ラプラスが初代龍神の神玉の欠片から
作った秘宝を、五龍将の末裔へ与えた準備も描かれる。
過去の研究と現在の回収計画が、ここでもつながる。
ただの換金できる宝物を集める旅とは異なる。
Web原作の第百六十八話で、
オルステッドは四つまでは集められても、
最後はラプラスの復活を待つ必要があると話す。
この復活は、技神が新たに生まれ直す話と
同じにしてはいけない。
魔神側の復活へつながる計画で、
技神をいま味方にする話とは別の位置にある。
そうなると、ラプラスはかつて力を残した相手でもあり、
計画を進めるうえで必要な条件へ関わる存在でもある。
懐かしい味方として迎えれば、
そのまま目的へ届くという関係にはならない。
過去の使命が同じでも、
現在の立場に別の利害が入り込んでいる。
第二百二十九話でルーデウスは、
その距離と拒絶から、
秘宝が五龍将の命と関わるのではないかと疑う。
もし回収が相手の生存と両立しないなら、
仲間として結ぶ関係と、最後に必要となる行動は衝突する。
彼が質問をためらうのは、
答えを聞いたあとで関係が変わることも怖いためと読める。
ただし、この会話の段階では、秘宝と命の関係は
ルーデウスが飲み込んだ疑念として描かれている。
彼は実際に問いを口にせず、
オルステッドの返答も得ていない。
本人がそう感じたことは大きな手掛かりでも、
その場で仕組みの全部が確定した説明へは変えられない。
ここには、ただ戦力が欲しいルーデウスと、
長い計画で動くオルステッドの
見えているものの違いもある。
今の戦いへ助けてほしい相手が、
遠い先では別の関門になるのかもしれない。
ルーデウスの案が合理的に見えても、
龍神の側には、そのあとまで含めた判断がある。
私は、彼が問いを飲み込む場面に、
協力する相手を信じたい気持ちと、
知れば動けなくなるかもしれない怖さが重なると感じる。
技神を誘う話から始まった会話が、
ペルギウスとの関係まで揺らしかねなくなる。
分からないまま置くことも、
その時点の彼の選択になっている。
技神が仲間にならない背景には、
記憶の欠落と、この五龍将をめぐる計画が重なる。
どちらか一つで全部を説明するより、
オルステッドが協力案を止め、
ルーデウスがその奥を尋ねられなかったという場面が、
二人の距離を具体的に伝えている。
誘っても来ない相手というより、
誘うことから認められない相手になっている。
第6章 技神と魔神が戻れば、 昔の仲間として協力できる?
ルーデウスが考えた、 二人を元へ戻す案
技神の記憶が不完全なら、
魔神と合わせて戻せないのか。
二つに分かれた存在と聞くと、この案も浮かびやすい。
元のラプラスがオルステッドを助ける使命を持っていたなら、
その人物へ戻れば話が通じるのではないか。
ルーデウスも、拒まれたあとに
この方向へ考えを進めている。
原作の会話で彼は、二人を合わせ、
正気へ戻せるのではと提案する。
ただし、その方法が技術として確立されていると
説明する場面ではない。
分裂前の人物へ戻れば解決するかもしれないという、
思いつきの段階の案になる。
ここで気持ちは分かる。
元の目的が明確なら、知らない相手へ
一から協力を頼むより、
その記憶を取り戻してもらう方が近道に見える。
失われたつながりを復元すれば、
準備を続けていた相手と、
待っていた力の受け取り手が、ようやく会えるかもしれない。
しかし、分かれた魂を戻すことと、
欠けた記憶が完全に戻ることは、
同じ手順と確認されてはいない。
体や力が元へ近づいても、
過去をどこまで保てるかという問題が残る。
提案の中にある元に戻るという言葉は、
実際にはいくつもの変化をまとめて期待している。
しかも、魔神は多くの人々を巻き込む歴史へ関わっている。
ペルギウスがラプラスへの動きに黙っていないのではと、
ルーデウス自身もすぐに考える。
二人を合わせるという想像は、
技神とオルステッドだけの都合では進められない。
この点で、復元案は昔の関係を戻すだけにはならない。
魔神の側が現在まで残した傷も、
周囲の人物が抱える敵意も一緒に戻ってくる。
かつての味方の姿を取り戻したいという願いと、
現在の人々へ何をもたらすかという問いが、
同じ案の中で重なっている。
記憶が戻る想定だけでは、 龍神の方針は変わらない
その話を進めるルーデウスへ、
オルステッドは強い言葉を向ける。
反対するのは、方法がまだできていないことだけではない。
彼らを仲間にするつもりがないと、
自分の方針を示す。
技神の状態を直せば勧誘へ進めるという道は、
会話の中で閉じられている。
これが、記憶喪失だけを答えにすると足りないところになる。
ルーデウスはその障害を越える案を出すのに、
オルステッドは越えた先へも進もうとしない。
技神に何が不足しているかという問題と、
オルステッドが誰を味方に選ぶかという問題が、
別々にある。
仮に昔のラプラスが戻っても、
五龍将と秘宝をめぐる現在の事情まで消えるとは限らない。
過去の約束を思い出せることと、
現在の計画に矛盾なく加われることは同じではない。
会話で示された拒絶は、
その違いを考えさせる。
一方で、元へ戻しても絶対に協力しないという未来まで、
この場面で試されたわけではない。
実際に復元して本人の考えを聞いた後の結果ではないため。
ここで分かるのは、
ルーデウスの案をオルステッドが進める気を持たないこと。
仮定の結果まで断言する話とは異なる。
私はこの止め方に、便利な解決案を一つ出したつもりが、
相手には触れられたくない過去の話にもなるという
距離を感じる。
技神の記憶を戻せればと思うほど、
昔を知る龍神の感情と計画へ近づく。
ルーデウスはそこで、
仲間を増やす会話の範囲を越えてしまう。
復元すれば味方になるという案は、
原作では提案のまま止まる。
技神を助けて昔の使命を戻すことと、
オルステッドの仲間に迎えることは、
一つの答えにはまとまらない。
問題の中心は、失われた記憶をどう直すかだけでなく、
昔の人物を現在の関係へどう置くかにもある。
第7章 同じ敵を持っていても、 オルステッドの仲間になれるとは限らない
昔の使命と、 今の協力関係は一致していない
技神を仲間にしたいという疑問の入口には、
オルステッドも一人で抱えすぎているのではないか
という気持ちがある。
圧倒的に強くても、人との関係を作りにくい存在。
昔から彼のために準備した人物がいるなら、
その相手へ頼ってほしくなる。
ただ、ラプラスが力を託そうとした時代と、
オルステッドが今戦っている時代には、
大きな隔たりがある。
人は入れ替わり、戦争が起き、
ラプラス自身も分裂する。
昔の人が望んだ未来は、
そのまま手を伸ばせば受け取れる形では残っていない。
かつてのラプラスには、
誰を助け、何を倒すかという目的があった。
技神には、その仕事の一部が残る。
オルステッドには、過去の記録を読み、
先の時代へ戦いを進める計画がある。
同じ歴史へ結びつく三つの立場でも、
持っている記憶と、今できる行動が違っている。
このため、技神が昔の約束を破っているという見方には、
本人が全部覚えているという前提が必要になる。
実際の説明には、その前提がない。
助けるために準備した人物の一部が、
助ける相手との記憶を失っている。
約束を忘れた冷たさより、
つながりが欠けた痛ましさを感じる。
逆に、オルステッドの拒絶も、
相手が昔働いてくれたことを知らないためではない。
彼はラプラスの手記を読み、
その使命について説明できる。
それでも仲間へ迎えない。
過去の働きを知ることと、
現在の計画で相手へ任せられることが、本人の中で分かれている。
本人が分裂前のラプラスへ何を感じるかを、
この会話だけで全部は言えない。
感謝がないとも、何もかも許せないとも、
内心は語り尽くされていない。
見えるのは、ルーデウスが五龍将へ近い立場を
名乗ることさえ止める強さと、
技神の協力案を進めない判断になる。
外伝でラプラスが思い描いた、
龍族が共にヒトガミへ向かう未来を知ると、
その拒絶は少し寂しく映る。
準備した人の願いと、
準備を受け取る人の選択が一致しない。
それでも、受け取る側には、
準備をした時代には見えていなかった損傷や条件がある。
だから二人の関係は、元から敵同士とみなす話にも、
ただ合流を忘れている味方という話にも収まらない。
昔の使命は接点として残り、
技神の記憶と龍神の計画は別の方向を向く。
仲間にならない疑問は、
その途中で失われたものと、
現在の本人が選んでいることの両方へつながっている。
ラプラスの残した技術と、 ルーデウスが作るつながり
一方、ルーデウスとオルステッドの関係は、
過去に同じ使命を持っていたところから始まらない。
1期の遭遇では、ルーデウスは
ヒトガミの名を出したことで攻撃を受ける。
ルイジェルドやエリスも、目の前の強さに阻まれる。
最初から信頼し合う仲間ではなかった。
原作では、その相手へルーデウスがもう一度向かい、
家族を守るための選択を重ねた先に、
協力の道ができる。
昔から味方のはずと思える技神は加わらず、
かつて敵としてぶつかったルーデウスは配下になる。
この入れ替わりが、
人物関係を肩書だけではつかめなくしている。
配下となる会話でも、ルーデウスは
家族と過ごす時間や、生活に必要な条件を尋ねる。
世界の大きな敵を倒す話のそばに、
家へ戻りたいという希望が置かれる。
オルステッドは、命をかけて守ろうとした家族から
彼を引き離すつもりはないと応じる。
そのやり取りには、
同じ敵の存在だけでは作れない関係がある。
ルーデウスが何を守りたいのかを伝え、
オルステッドがその事情へ返答する。
力を渡す側と受け取る側という役割より、
今ここで何を頼めるか、
何を約束してもらえるかという会話になっている。
強い仲間を集める会議でも、
ルーデウスは相手へ声をかけ、
協力を求める方向で考える。
オルステッドが危険な相手を先に倒す案を出すところでも、
まだ何もしていないなら、
まず味方へ引き入れられないかと考える。
全員の役割を最初から敵と味方へ決めきっていない。
この姿勢が技神への提案にもつながる。
昔の人物だから触れてはいけないと、
ルーデウスには最初から分からない。
話が通じる可能性があれば、助け合う道を探す。
その案が拒まれる場面は、
彼が愚かなことを言ったというより、
龍神の計画にまだ知らない条件があると露わになる場面として読める。
同時に、ルーデウスがいるから、
昔の関係の空白がすべて埋まるわけでもない。
彼は相手の拒絶を見て、言葉を飲み込む。
人との橋をかける働きができても、
どこへでも橋を延ばせるとは限らない。
技神の案が止まることで、
今作られている協力にも、越えられない線が見えてくる。
ラプラスは後世へ力を残し、
ルーデウスは目の前の人と協力を作っている。
二つの働きは違う形でオルステッドの戦いへ接している。
技神本人の加入が実現しなくても、
分裂前の準備が無かったことにはならない。
一緒に戦うことだけが、
過去の働きのすべてではない。
技神ラプラスがオルステッドの仲間にならない背景には、
魂の分裂で欠けた使命の記憶と、
五龍将を迎え入れない龍神自身の方針がある。
技神が拒んだと確認された話ではなく、
ルーデウスの協力案が龍神に止められる話になる。
助け合えそうなのに組めない、
その引っ掛かりの奥には、
昔の約束だけではつながらない現在の事情が残っている。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。
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