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【アニメ惚れ魔女】 ハリージュは誰のために惚れ薬を頼んだ? ロゼへの本心は?

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『惚れ魔女』のハリージュが惚れ薬を頼んだのは、自分の恋を叶えるためではなく、ビッラウラ王女の願いを受けたため。
ロゼは彼自身が使うと思い込むものの、ハリージュは王女を妹のように大切にしている。
依頼から始まった訪問の中で、ロゼの食事や一人暮らしを気にかけるようになり、二人の距離が変わっていく。

この先は原作Web版第30話までのネタバレあり。

  1. 第1章 ハリージュが惚れ薬を頼んだのは、 ビッラウラ王女のため
    1. 自分の恋を叶えるための注文ではない
    2. 王女の願いと、 ロゼへ向いていく気持ちは別にある
  2. 第2章 惚れ薬を嫌っているのに、 なぜ引き受けた?
    1. 心を変える薬への抵抗は、 依頼しても消えていない
    2. 普段は頼み事をしない王女の、 一度きりの願い
  3. 第3章 ビッラウラは恋の相手? ハリージュと王女の関係
    1. 警護する王女であり、 幼い頃から知る妹のような存在
    2. 身分を隠した訪問には、 王女を守る事情がある
  4. 第4章 ロゼはなぜ、 自分の恋が終わったと思った?
    1. 惚れ薬という注文から、 知らない恋の相手を想像してしまう
    2. 優しくされるほど、 終わりを考えてしまう片思い
  5. 第5章 ハリージュは最初、 ロゼをどう見ていた?
    1. 恋する相手より先に、 よく分からない魔女がいた
    2. 素顔と暮らしを知って、 不信の向こうに一人の女性が見える
  6. 第6章 パンを届けるのは仕事のため? ロゼへ向く気遣い
    1. 薬の材料ではない物を、 庵へ持ってくるようになる
    2. 用事が済むのを待つだけではなく、 そこで過ごす時間を選ぶ
  7. 第7章 ロゼへの本心は? 依頼の始まりと、その後の恋心
    1. 薬の効き目が切れた後に、 ハリージュは結婚を望む
    2. 魔女をやめたロゼではなく、 そのままの彼女を選ぶ

第1章 ハリージュが惚れ薬を頼んだのは、 ビッラウラ王女のため

最初の惚れ薬の依頼

薬を欲しがった人:ビッラウラ王女。

ロゼへ注文した人:ハリージュ。
自分の恋のためではなく、王女の願いを預かった。

自分の恋を叶えるための注文ではない

好きな人から惚れ薬を頼まれたら、
誰に使うつもりなのかが気になってしまう。
ロゼが言葉を失うのも、その注文から、
自分ではない誰かの存在を想像してしまうため。
けれど、ハリージュが最初に惚れ薬を求めた
事情は、彼女が思い浮かべた恋とは異なる。
原作Web版では、ビッラウラ王女に頼まれ、
彼女のために薬を手配していることが明かされる。

つまり、ハリージュ自身が誰かを振り向かせようと
して、湖の魔女を訪ねたわけではない。
注文を持ち込んだのは彼でも、
薬を欲しがっていたのは王女になる。
ロゼが薬を作り、ハリージュが受け取り、
王女へ届ける。その間に立つ騎士という事情を、
ロゼは最初の訪問では知らない。
目の前の依頼人と、薬の使い手が同じに見えた
ところから、二人のすれ違いが始まっている。

この事情を知らずに依頼の強さだけを見ると、
ハリージュにはどうしても叶えたい恋が
あるようにも見える。値段を聞いて諦めず、
時間がかかっても待つと応じる。
薬を作ってもらうために材料まで用意する彼を
前にすれば、ロゼが相手の恋の深さを
想像してしまうのも無理はない。
ただ、その熱心さには、自分の恋心とは別の、
王女の願いを引き受けた責任が関わっている。

アニメ第1話の紹介でも、惚れ薬を求める
ハリージュと、それを知ってショックを受ける
ロゼが描かれている。ここで先に伝わるのは、
彼女がどう受け止めたかになる。
ハリージュの注文を聞いて、
片思いが終わったように感じる。
その痛みは本物でも、彼に恋人候補がいると
確認できたわけではない。
ロゼには失恋の知らせに聞こえた言葉が、
彼にとっては引き受けた用事の説明になっている。

薬を頼んだ人の恋が見えないことは、
ロゼにとって、自分の気持ちを置く場所が
ないことにもつながる。
誰かのために作る品と分かっていれば、
相手の事情として聞けたかもしれない。
けれど、目の前のハリージュ自身が
欲しがっているように見えるため、
薬の完成が彼の恋の始まりへ
直結して感じられる。

仕事を上手に果たすほど、自分が遠くへ
置かれるような心地になる。
その寂しさを知った後で王女の存在が明かされると、
先に聞きたかったと思わずにはいられない。
ただ、依頼の全てを知らなかった時間にも、
二人は顔を合わせている。
ロゼが終わりまでの猶予と思って数える日々に、
ハリージュの側では彼女を知る経験が
積み重なっている。

王女の願いと、 ロゼへ向いていく気持ちは別にある

依頼の背景を直接説明するのは、
原作Web版第8話のハリージュ側の描写になる。
彼は王女の警護を務め、
幼い頃からビッラウラを知っている。
その王女から、惚れ薬を手に入れてほしいと
頼まれた。恋愛のためにこっそり魔女へ会う
男性という見え方から、
断ち切れない願いを預かった騎士という姿へ、
最初の訪問の印象が変わってくる。

ただし、王女のために始まった依頼だから、
その後もロゼに対して仕事以外の気持ちを
持たない、という話にはならない。
薬を頼んだきっかけと、通ううちに相手へ
抱く気持ちは、別の時間の中にある。
最初からロゼに会いたくて注文を作ったとは
言えなくても、彼女を知った後まで、
薬だけを見ているとは限らない。
依頼の答えが分かっても、
二人の恋までそこで終わるわけではない。

逆に、後にロゼへの恋心が分かるからといって、
初対面の強引さまで全て照れ隠しに変わる
わけでもない。彼はまず必要な薬を
手に入れたいと考え、ロゼの暮らしも人柄も
よく知らないまま話している。
相手への理解がまだ少ない時の態度を、
その後の告白で塗り替えずに見ると、
近づくまでにあった戸惑いも残る。
最初から通じ合っていた二人ではなく、
会ってから知ることが増えていく二人になる。

また、原作には最初の薬を渡した後の、
もう一度の注文もある。
王女のためという答えが、そのまま全ての注文へ
当てはまるとは限らない。
最初に誰のために訪ねたのかと、
その後もなぜ庵へ来るのかを分けると、
ハリージュの行動が変わっていることに気づく。
薬が必要だから来た人が、
用事が済んでも関わりを残そうとする。
その変化が、ロゼへの本心へつながっていく。

第2章 惚れ薬を嫌っているのに、 なぜ引き受けた?

心を変える薬への抵抗は、 依頼しても消えていない

惚れ薬を欲しがる依頼人なら、
その力を便利に思っているはず。
ところが、ハリージュはそう単純な立場ではない。
原作で明かされる彼の考えには、
人の心を変える薬への強い抵抗がある。
ビッラウラにも使ってほしくない。
それでも依頼を持ち込んでいるため、
ロゼの前で見せる必死さと、
薬そのものに向ける感情は
同じ方向を向いていない。

相手の心を薬で動かすことに賛成しているなら、
彼の仕事はもう少し迷いの少ないものに
なったかもしれない。
必要な品を注文し、受け取って渡せば済む。
けれど、ハリージュは願いを叶えることに
協力しながら、その願いを叶える手段には
引っ掛かっている。
頼まれた品を手配する行動だけでは、
彼自身がその使い方まで望んでいるかは見えない。
惚れ薬を求める姿の中に、
薬を使ってほしくない気持ちもある。

だから、依頼を断らない彼を、
薬の効力へすっかり頼り切った人物として
考えることもできない。
初めから魔女の力を信じ、
すがるように訪ねたというより、
疑いも抵抗も抱えたまま必要な場所へ来ている。
ロゼの注文が分かりにくければ、不審も募る。
用意しなければならない品なのに、
手放しで歓迎できる品ではない。
その気持ちがあると、初期の険しい受け答えにも、
恋の焦りとは違う背景が見えてくる。

もっとも、薬への抵抗があることは、
ロゼへ強く当たってよいこととは別になる。
事情を知らない彼女には、
身構えた客が突然難しい注文を
持ち込んできたように映る。
ハリージュの内側で迷いが起きていても、
それが説明されなければ、
ロゼは表に出た言葉を受け取るしかない。
互いにまだ知らないことが多いから、
彼の複雑さが、彼女にとっての安心へ
すぐ変わるわけではない。

薬への考え方が違う二人が、
その薬をめぐって話さなければならない
ところにも、初期の居心地の悪さがある。
ロゼにとって、調薬は祖母から受け継いだ仕事で、
自分の暮らしを支える技でもある。
一方のハリージュは、
心を変える品そのものを好ましく思っていない。
彼が不信を見せる時、ロゼは注文を受ける
相手としてだけでなく、
自分の仕事を疑われる側にも立つ。

恋をしているから相手の考えに全て賛成できる、
という関係ではない。
だから、後に彼がロゼを選ぶことは、
魔女の薬を全面的に好きになったこととは
分けられる。
二人が近づく中で変わるのは、
薬への賛否だけでなく、
その仕事をしている彼女自身を
どれだけ知っているかになる。

普段は頼み事をしない王女の、 一度きりの願い

ハリージュを動かしたのは、
王女の命令という言葉だけではない。
ビッラウラは、兄のように慕う相手へ、
個人として切実に願いを伝えている。
普段は小さなわがままさえ言わない彼女が、
どうしてもと頼む。
その姿を前に、薬に反対しているからと
切り捨てることができなかった。
仕事として従うだけなら説明しきれない、
長く知っている相手への情が関わっている。

ここには、願いを受け止めることと、
その選択を心から喜ぶことの隔たりがある。
大切な人の頼みだから引き受けたい。
けれど、その人に使ってほしくない手段でもある。
どちらか一方の気持ちが消えてから動くのではなく、
両方を抱えたままハリージュは魔女の家へ向かう。
彼の熱心さを恋の証拠に見立てたロゼとは、
出発点で見ている相手が異なっている。

王女に対して何の心配もないから
願いを通したのではなく、
心配している相手の願いだから断ち切れない。
この違いには少し苦さがある。
言われた通りに動けば、
王女の望みに近づく一方、
自分が避けてほしいと思う使い道にも近づく。
薬を手に入れるまでの苦労だけが、
彼の困り事ではない。
手に入った後を考えても、
気楽に喜べる立場には立っていない。

この事情から、ビッラウラを自分に惚れさせるために
薬を頼んだ、という見方も外れる。
彼は王女の恋の相手として薬を求めているのでは
なく、彼女の頼みを預かっている。
ロゼが知らずに抱え込む恋の不安と、
ハリージュが引き受けている心配は、
違う相手へ向いている。
惚れ薬という一つの注文の周りに、
それぞれの言えない気持ちが重なっているため、
最初の会話だけでは事情がつながらない。

第3章 ビッラウラは恋の相手? ハリージュと王女の関係

警護する王女であり、 幼い頃から知る妹のような存在

王女のために惚れ薬を頼んだと分かっても、
今度は王女を好きなのでは、と気になる。
強い願いを断れず、
人目を避けてまで動く姿には、
それほど大切な相手なのかと思わせるものがある。
けれど、原作で示されるハリージュの親しみは、
王女を恋の相手として見る気持ちではない。
ビッラウラは、幼い頃から知り、
妹のように大事にしてきた存在になる。

ハリージュはマルジャン国の近衛騎士として、
ビッラウラの警護を担っている。
さらに、彼女の兄に当たる第二王子とは
幼馴染みという関係がある。
王女という肩書だけで接してきた相手ではなく、
長く成長を知っている少女でもある。
王宮での務めと、
幼い頃から積み重なった親しさが重なるため、
彼女の頼みを仕事の用件だけとして
扱うことも難しくなる。

ビッラウラの側にも、
ハリージュを兄のように慕う気持ちがある。
王女と騎士という立場を越えた信頼があるから、
普段はしまっている願いを彼に託せる。
二人の間に親しさがあること自体は、
ロゼの思い違いではない。
ただ、その親しさを恋人同士のものへ置き換えると、
依頼の事情から離れてしまう。
大切にする相手がいることと、
その相手へ恋をしていることは、
ここでは重ならない。

ロゼからすれば、そこまでの関係を知る機会が
最初から用意されているわけではない。
騎士が仕える王女について知っていても、
普段どんな会話をし、
どのくらい長く互いを知るかまでは見えない。
彼が誰かのために力を尽くす姿だけが届けば、
恋を想像する余地も残る。
王女との関係が明かされることで、
ロゼの恋に新しい強敵が現れるというより、
最初に思い浮かべた相手像のほうが変わっていく。

身分を隠す姿は、ロゼとハリージュで
受け取り方が異なる点でもある。
彼女は四年前から相手を知っているため、
顔や名を隠されても、
知らない客としては接しきれない。
彼の側では隠しているつもりの素性が、
彼女の側には既に分かっている。
反対に、ロゼの素顔や片思いは
ハリージュに見えていない。

お互いに秘密のある二人でも、
知られていないことの中身は揃っていない。
王女の名を伏せる彼と、
恋心を伏せる彼女が話すことで、
注文の裏側だけが空白になる。
その空白にロゼが想像するのは、
王宮での務めより、彼の好きな誰かになる。
彼が秘密を守るほど、
彼女の不安が別の形で膨らむ会話になっている。

身分を隠した訪問には、 王女を守る事情がある

ハリージュが人目を忍んで魔女を訪ねるのも、
自分の恋を知られたくないからではない。
王女付きの騎士が惚れ薬を求めて動いていると
知られれば、ビッラウラの評判へ関わる
可能性がある。
薬を欲しがっている人の立場まで守ろうとして、
彼は身元を隠している。
秘密めいた姿が恋の密会に見えても、
その内側には王女へ余計な噂を
向けさせたくない用心がある。

ここでロゼに依頼の全てを話さないことにも、
個人の恋の照れとは違う重さがある。
自分の事情だけなら、
話すかどうかを自分で決めやすい。
けれど、預かっているのは王女の願いで、
相手の名を明かせば他人の秘密まで渡すことになる。
ハリージュの口数の少なさは、
ロゼを失恋させたい意地悪から
生まれているわけではない。
知らないまま傷つく彼女の寂しさと、
他人の事情を簡単に話せない彼の立場が
すれ違っている。

原作第19話では、庵にいるビッラウラを見つけた
ハリージュが、強い心配を表に出す。
王宮を離れた彼女を皆が捜していることを伝え、
最後には無事を喜ぶ。
その場面には、警護の役目を果たせなかった
悔しさと、大事な相手が危険に遭わずに済んだ
安堵が混ざっている。
強く叱る姿だけなら厳しい騎士に見えるものの、
声の奥にある心配を知ると、
王女との距離も少し違って見えてくる。

王女が彼を信頼しているから、
二人のやり取りには身内に近い近さも出る。
ただ、それをロゼの恋と争う関係へ
広げる必要はない。
ハリージュには、王女を守る務めがあり、
長い付き合いからくる情もある。
その両方を持つ人が、別の場所でロゼを知っていく。
誰か一人だけを気にかける人物にならなくても、
ロゼへの気持ちは育っていく。
王女との絆を消すことが、
二人の恋の条件にはなっていない。

第4章 ロゼはなぜ、 自分の恋が終わったと思った?

惚れ薬という注文から、 知らない恋の相手を想像してしまう

惚れ薬を作ってほしい。
その一言には、使い手の名前も、
詳しい事情も入っていない。
それでも、好きな人が自分の前で口にしたら、
その人に振り向かせたい相手がいるのかと
思ってしまう。
ロゼは薬の専門家として注文を聞くより先に、
片思いをしている相手からの言葉として
受け止めている。
仕事なら答えられることが、
恋の話としては聞きたくない知らせになる。

しかも、ロゼにとってハリージュは、
その日に初めて気になった人ではない。
四年前の街での出来事から、
長く想い続けている相手になる。
彼が覚えていないかもしれない時間を、
自分だけが抱えている。
その人がようやく庵へ来たのに、
用事は誰かへ使うかもしれない惚れ薬。
会えた喜びと、期待を持てなくなったような
寂しさが、同じ日に一緒に押し寄せる。

この時点でロゼは、
自分が告白して断られたわけではない。
ハリージュも、好きな人の名前を
彼女へ告げてはいない。
それでも、長く遠くから想っていた人が
薬まで求めるなら、よほど大切な誰かがいると
感じてしまう。
確かめる前に心が失恋へ向かってしまうところが、
少し切ない。
知らないことが残っていると分かっても、
好きな相手については、
いちばん寂しい想像が先に浮かぶことがある。

さらに、注文を聞いても、
その相手は誰かとすぐ尋ねられる関係ではない。
ハリージュは依頼人で、
ロゼは薬を作る魔女になる。
なぜ気になるのかを追及されれば、
自分の気持ちへ話が近づく。
客の事情をむやみに詮索しない仕事の姿勢も
あるため、黙って注文を受けるほうへ
進んでしまう。
知りたいことは薬の材料ではなくても、
口に出せる問いは仕事の範囲へ留まりやすい。

ロゼが失恋したと思う場面には、
恋の相手が誰か分からないからこその苦しさもある。
名前も顔も知らなければ、
どんな関係かを比べることもできない。
ただ、ハリージュがその人のために
手間をかけているように見える。
自分には訪問を待つ時間があるのに、
知らない誰かには薬を欲しがるほどの想いが
向いているのかもしれない。

そんな想像があると、
彼が材料を届けに来る度に、
うれしさの横へ寂しさも戻ってくる。
まだ何も告げていない恋だから、
彼を責める言葉も持てない。
依頼を受けるかどうかの話をしながら、
実際には自分の気持ちを
どこまで置いておけるかを探っている。
材料を頼む口調の裏に、
そのためらいが残っている。

優しくされるほど、 終わりを考えてしまう片思い

ロゼが会う時間を残そうとするのは、
恋が叶うと確信しているからではない。
薬が完成するまでなら、
相手が自分のところへ来る用事がある。
その短い間だけでも関われたら、
という願いに近い。
先の約束を求めるより、
いまある依頼を少し長く持っていたい。
ハリージュが王女の事情を抱えている一方、
ロゼは依頼が終わった後の自分の暮らしを
想像して寂しくなっている。

ところが、彼は薬の用事だけでは
説明しにくい親切を重ねるようになる。
食べ物を持って来て、体調を気にかけ、
同じ場所で時間を過ごす。
ロゼにはうれしい出来事でも、
それだけで恋心の証拠と受け止めることは難しい。
もともと人を助ける騎士だから、
困っている魔女へも親切なのかもしれない。
好きな人の優しさを喜びながら、
自分だけに向いていると期待するのを怖がる。
その迷いが訪問のたびに増えていく。

原作第10話の食器を出そうとする場面には、
その用心が具体的に表れている。
ハリージュがまた来る暮らしに合わせて
皿を用意しようとしたロゼは、
自分が次の訪問を期待していることに戸惑う。
片思いを胸の中で続けるだけなら、
一人でしまっておける。
けれど、二人で使う物が増えると、
相手のいる日常を待つ気持ちまで形になってしまう。
皿を一枚増やすような小さなことが、
簡単ではなくなっている。

原作第16話では、薬を渡した後にまた来た
ハリージュから、食べ物を受け取ることにも
ためらいが生まれる。
仕事が終われば恋も一区切りにできると
思っていたのに、訪問が続けば、
また次を待ってしまう。
彼が来ることはうれしい。
それでも、いつ終わるか分からない期待を
抱えるのは怖い。
ロゼのよそよそしさには、
彼を遠ざけたい気持ちだけでなく、
期待を大きくしすぎたくない心配も入り込んでいる。

第5章 ハリージュは最初、 ロゼをどう見ていた?

恋する相手より先に、 よく分からない魔女がいた

ロゼが四年間の片思いを抱えて迎えた相手にとって、
庵の主はまだよく知らない魔女になる。
この温度の差が、最初の二人にはある。
ハリージュは、彼女がどんな気持ちで
材料を頼んでいるかを知らない。
完成を待つ時間を惜しむ恋心も見えない。
だから、ロゼにはもう一度会う用事になる注文が、
彼には次々に増える不可解な要求として届く。

原作第8話の彼の内心では、
薄暗く散らかった部屋や、
大きなローブに隠れた姿が、
不審を強めるものになっている。
魔女という存在との接点も乏しく、
何を考えているか分からない。
ロゼの側が顔を隠したい事情を持っていても、
彼にとっては相手を知る手掛かりが
少ない状態になる。
秘密を守るための装いが、
会話の相手には得体の知れなさとして
映ってしまう。

そうした初期の受け取り方があるため、
ハリージュが始めからロゼへ恋をしていた、
とは言いにくい。
彼女の外見も暮らしも十分に知らず、
薬の注文を進めることへ気持ちが向いている。
ロゼが期待して顔を隠す時も、
彼には作業を引き延ばされているように感じられる。
二人が同じ出来事に違う感情を持つため、
会話が少し噛み合わない。
そのずれは、仲がよくなった後の言い合いとは
まだ違うものになる。

ただ、彼が薬や魔女の仕事を疑っていることと、
ロゼを傷つけて構わないと考えていることも
同じではない。
原作第2話では、強く近づいた後に
彼女が震えている様子を見て、
ハリージュが態度を和らげる。
自分の言い方が相手へ与える怖さに、
まったく無関心な人ではない。
まだ親しさはなくても、
目の前の相手を怯えさせたことには反応する。
その不器用な気遣いが、
最初の険しい態度の中にも残っている。

素顔を知られることが、ロゼにとっては
安心ばかりを増やす出来事ではない点も、
二人の距離を複雑にしている。
ハリージュは彼女を知ったために
心配するようになるものの、
ロゼには知られたくなかった部分まで
見られた恥ずかしさがある。
相手が丁寧に接してくれるほど、
その優しさにどう返せばよいか分からなくなる。

彼の中で警戒が薄れるのと同じ速さで、
彼女も自然に顔を出せるとは限らない。
好きな相手だからこそ、
見られたくない暮らしや表情もある。
知ることが増えて一気に親しくなるのではなく、
一方が近づけば、
もう一方は驚いて少し身を引く。
その往復があるため、彼の気遣いも
彼女の戸惑いも、
会話の中で何度かぶつかっていく。

素顔と暮らしを知って、 不信の向こうに一人の女性が見える

転機になるのは、ローブに隠れていたロゼの姿や、
一人で暮らしている事情を知ることになる。
原作では、彼が想像していた魔女の印象と、
実際に目にする若い女性の姿に隔たりがある。
薬を作る不思議な人物として見ていた相手が、
自分の身体を気にかけ、恥ずかしがり、
日々を一人で送る人として見えてくる。
素顔を知る出来事は、
見た目への驚きだけで終わっていない。

もちろん、その場面で美しさに目を奪われる
描写もある。
けれど、そこだけで恋が完成したと決めると、
その後の生活への心配が小さくなってしまう。
ハリージュが気にするのは、
ロゼが何を食べ、どう身を守り、
誰かに頼れるのかということにも及ぶ。
外見を見て驚いた後、
彼の目は彼女の暮らしへ向いていく。
眺めているだけでは済まなくなり、
次の訪問へ持っていく物まで変わっていく。

また、嘘をつけない制約を知ることで、
薬を作るための注文に対する受け止め方も変わる。
胡散臭い要求ばかりと見えていた内容には、
実際に必要な材料が含まれている。
ロゼが話すことを全て詳しく知ったわけでは
なくても、相手の言葉を疑う土台が少し動く。
得体の知れない魔女だから疑う状態から、
事情があって説明している相手として
話を聞ける状態へ近づいていく。

私は、彼がロゼを知るほど、
豪華な贈り物より食べ物を持って来るところに
気遣いがよく出ていると感じる。
遠くから美しいと思うだけなら、
相手の食事までは分からない。
実際の暮らしへ踏み込んだから、
何が足りていないかに気づく。
ただし、心配の仕方は彼女のペースより
先に進みがちで、ロゼは驚かされる。
優しさが急に完璧な接し方へ変わるのではなく、
不器用さを残して近づいている。

第6章 パンを届けるのは仕事のため? ロゼへ向く気遣い

薬の材料ではない物を、 庵へ持ってくるようになる

ハリージュがパンを買って庵へ来る時、
持っているのは惚れ薬の材料ではない。
ロゼ自身が食べるための物になる。
原作第8話では、ろくな食事をしていない
彼女の身体を心配したことが、
その行動につながっている。
薬を完成させる人が倒れては困るという
考えもあるものの、目の前で食べる姿を見て
安心する気持ちまで描かれる。
依頼の進み具合とは別に、
ロゼの様子が彼の関心へ入り始めている。

ロゼにとってうれしいのは、
パンをもらえることだけではない。
自分のいない街で、
ハリージュが自分を思い出したことになる。
彼が庵を離れれば、自分の存在も
仕事の用件と一緒に消えるかもしれない。
そう思っている片思いの相手が、
店で食べ物を見て持って行こうと考えてくれた。
直接恋を告げられたわけではなくても、
その行動だけで胸がいっぱいになる事情がある。

ハリージュは食べ物を置いてすぐ帰るのではなく、
一緒に食べる場を作る。
散らかった台のことを言い、
持参したクロスを広げ、パンを分ける。
ロゼが一人で済ませていた食事へ、
もう一人の手順が入ってくる。
口うるささに戸惑うところはあっても、
暮らしを見た上で何かをしてくれる相手がいる。
薬を作って代金を受け取るだけの関係には
なかった時間が、庵に生まれている。

ただ、この段階の世話を一つずつ
恋の自覚へ結び付ける必要はない。
ハリージュには、危険な仕事をする若い女性の
食事を心配する気持ちもある。
本人の内心にある心配と、
片思い中のロゼが受け取る喜びは、
同じ行動から出ていても重さが異なる。
彼には助けたいと思って持ってきたパンでも、
彼女には、庵の外でも自分を考えてもらえた品になる。
その違いが、この食事を少し甘く、
同時にもどかしくしている。

食べ物を持ってくることは、
渡して終わる贈り物とも少し異なる。
食べるためには机を空け、皿を出し、
同じ時間に腰を落ち着ける。
ロゼが一人で適当に済ませていたことへ、
二人分の段取りが入る。
ハリージュの存在が残るのは、
食べ終えた籠の中だけではなく、
次に使う食器や机の置き方にもなる。

だから、彼の訪問がなくなると考えた時、
ロゼが片付けようとする物にも気持ちが出る。
まだ恋人ではないのに、
会わない日の部屋まで彼と過ごした時間を覚えている。
彼が差し入れを持ってまた来ることには、
そうして終わりへ向けて片付けかけた暮らしへ、
もう一度二人の時間を戻すようなところがある。

用事が済むのを待つだけではなく、 そこで過ごす時間を選ぶ

訪問の変化

最初:王女のために惚れ薬を注文。

その後:食事を心配し、用事のない日も訪問。

薬を渡した後:差し入れと、もう一度の注文。

原作第9話になると、
ハリージュは薬の受け取り日まで余裕があるのに、
食べ物を持って訪ねるようになる。
庵へ来て本を読み、
ロゼと同じ場所に留まる。
急いで材料を届けるための往復から、
用事の薄い時間にも足を運ぶ関係へ変わっている。
注文の始まりだけを見れば王女のためでも、
その場で過ごす時間まで
王女から頼まれたものではない。

ここで彼は、休暇の取り方や仕事の都合を
ロゼへ話す。
何もかも放り出して会いに来たわけではなく、
自分の時間を作って庵へ来ていることが分かる。
本人はその場所で落ち着けると伝え、
ロゼは森の好みが重なったことを喜ぶ。
薬が完成する日だけを待っていたなら、
なくてもよい会話が増える。
客と作り手の間に、互いの好きなものや、
休み方について話す時間が入り込んでいる。

さらに原作第16話では、
最初の薬を渡して終わったはずのところへ、
彼がまた食べ物を持って現れる。
ロゼが差し入れを受け取れずにいると、
ハリージュはもう一度惚れ薬を注文する。
彼女との接点が切れそうなところで、
依頼が再び会う用事になる。
この二度目の注文まで、
最初と同じ事情と決め付けることはできない。
ロゼへ来るために、薬という話題を
もう一度使うようにも読める場面になる。

私は、この二度目の依頼には、
材料を小出しに頼んでいたロゼと
少し似た不器用さを感じる。
会いたいと簡単に言えない時、
二人とも仕事の用事を間に置く。
もちろん、彼はこの場で全ての気持ちを
説明していないため、
注文だけで告白が済んだわけではない。
それでも、依頼が終わったから来なくなるという
ロゼの予想とは違う行動をしている。
薬を渡す日を終わりと考えていたのは、
二人共通の気持ちではなかった。

第7章 ロゼへの本心は? 依頼の始まりと、その後の恋心

ここからは原作の告白に関わるネタバレあり。

薬の効き目が切れた後に、 ハリージュは結婚を望む

ハリージュがロゼを好きなのかという問いには、
原作の先の展開で答えがある。
世話を焼く姿を恋として読むだけでなく、
彼自身がロゼとの結婚を望む言葉を伝える。
原作Web版第30話では、
惚れ薬の効き目が切れた後に、その申し出がある。
薬に動かされている間だけ甘い態度を取る、
という形で二人の関係が終わるわけではない。

薬が効いている間のハリージュの言葉だけなら、
ロゼが本心かどうかを信じきれないのも無理はない。
自分が作った物の効力を知っているため、
望んでいた言葉を受け取っても、
その時間には終わりがあると考える。
原作第29話では、近すぎる距離に戸惑いながら、
相手の変化が薬によるものと受け止めている。
好きな人に大切にされる喜びと、
それをそのまま信じられない苦しさが一緒にある。

その後、薬が切れて距離が戻った時、
ロゼはいったん落胆する。
そこへ来る結婚の申し出は、
薬の効力が続いている間の言葉とは
置かれる場所が違う。
いつもの調子に戻った彼が、
ロゼと一緒にいる将来を望んでいる。
魔法が作った短い時間だけを幸せとして
しまっていた彼女へ、
そうではない選択が差し出される。
最初の依頼で終わったと思った恋が、
本人の言葉で別の先へ動いていく。

だから、ハリージュは王女のために薬を頼んだのか、
ロゼを好きなのかという二つの問いは、
どちらかだけが正しい関係ではない。
依頼の出発点には王女の願いがあり、
その後の彼の気持ちにはロゼがいる。
時間を隔てて起きることなので、
両方が成り立つ。
誰かの頼みで訪れた場所で、
自分がまた来たくなる相手に出会う。
薬を注文した時にはなかった関係が、
通う時間の中で生まれている。

そして、王女への親しみとロゼへの恋を比べ、
どちらのほうが大切かを決める話にもなっていない。
ハリージュは王女の無事を心配する騎士であり、
ロゼの暮らしや危険にも気を配る人になる。
ただし、ロゼへは同じ家で将来を過ごしたいと伝える。
誰かを大事にする姿だけでは見分けにくかった
気持ちが、選ぶ関係の違いとして表に出る。

彼女が知りたかったのは、
彼が優しい人かどうかだけではない。
自分をどんな相手として見ているかになる。
初めは薬を作る魔女として訪ねた彼が、
後には一緒に生きる相手として言葉を向ける。
その変化を聞けるから、
ロゼの片思いも、彼の親切へ
一人で期待して終わるものではなくなる。

魔女をやめたロゼではなく、 そのままの彼女を選ぶ

結婚の話が出ても、
ロゼがすぐ安心できるわけではない。
魔女と騎士では、生き方や立場が違う。
彼の幸せを願うからこそ、
自分と一緒になることへの不安が出てくる。
原作第30話で彼女がためらうところには、
片思いが叶うかどうかより先の悩みがある。
好きと言ってもらえれば、
長く抱えてきた用心まで一度に消える、
という会話にはならない。

それに対してハリージュが望むのは、
魔女という部分を取り除いた別のロゼではない。
彼が訪ねてきた家も、薬を作る仕事も、
最初から彼女の生活の中にある。
原作の「俺は、魔女のロゼがいい」という言葉には、
薬を頼む相手として知り始めた人を、
そのまま選ぶ気持ちが表れている。
魔女だからこそ遠く感じていた彼女へ、
魔女であることを知った上で近づいている。

さらに彼は、自分がロゼを助けた時の行動も、
恋心と結び付けて伝える。
原作第26話で危険な状況にいた彼女を
助ける場面には、無事を確かめた安堵がある。
その後の本人の言葉を聞くことで、
ただ誰にでも同じように世話を焼いていた、
とロゼが考えていた余地が狭くなる。
優しさを見せる相手が自分であることに、
彼女が期待してもよい根拠が加わっていく。

ここで大きいのは、ロゼが一人で彼の行動を
恋へ読み替えるのではなく、
ハリージュ自身が気持ちを伝えることになる。
それまで彼女には、差し入れにも訪問にも、
仕事のためかもしれないという逃げ道があった。
傷つかないための用心でもあるため、
期待しないことを簡単にはやめられない。
彼が言葉にすることで、ロゼが自分の恋だけを
頼りに相手を信じなければならない状態から、
少しずつ離れられる。

最初に欲しかった惚れ薬は、
ビッラウラ王女のため。
それでも、ハリージュが後に望む相手はロゼになる。
この二つをつなぐのは、
最初から隠されていた恋の計画ではなく、
食事を気にかけ、同じ部屋で過ごし、
用事が終わっても会いに行く時間になる。
好きな人の恋を助ける仕事と思っていた
ロゼの庵に、彼自身が帰ってくる。
彼女が失恋と受け取った依頼は、
二人が互いを知る始まりにもなっている。

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