アンディは、ジャンが召喚したウィンド・ワイバーンのスケルトン系アンデッドで、浮遊島へ向かうための飛行役としてフランたちを運んだ存在。
役目を終えれば自然消滅してもおかしくなかったが、ジャンは負担の大きいアセンションをあえて使い、残った魂の欠片を昇天させた。
この別れは、死体を道具のように操るジャンが、実はアンデッドの忠節を軽く扱っていないことを初めて強く見せる場面になる。
第1章 結論|アンディは何者?ジャンが召喚した飛行型アンデッド
ウィンド・ワイバーンの骨格を使った強力な飛行役|浮遊島攻略を成立させた一体
アンディは、ジャンが浮遊島攻略のために呼び出した飛行型アンデッド。
原作ではウィンド・ワイバーンのスケルトンを基礎にした強力な個体として扱われ、
単なる「移動用の骨」ではなく、フラン、師匠、ジャンを高高度まで運び、
ボーン・バードの大群と接触しながら浮遊島へ到達する役目まで担っている。
第2期で見ると登場時間は長くない。
それでも印象が強いのは、
アンディが浮遊島編の入口そのものを支えているから。
師匠とフランは以前から浮遊島へ興味を持っていたが、
自力では安定して到達できなかった。
第1期相当の頃、
師匠は空に浮かぶ巨大な島を初めて見て大興奮する。
前世の感覚を残す師匠にとって、
空島はまさに異世界らしい景色。
飛行石か、風魔術かと想像を膨らませ、
どうにかして自分たちも行けないかと方法を考える。
しかしフランは、
「たまに飛んでいる」と淡々。
専用魔道具は高額で、
一般人が気軽に使えるものではない。
そこで師匠は、
自分たちの技能だけで上がれないか試す。
ウルシの空中跳躍では高度が足りない。
師匠の浮遊にも高度制限がある。
ならば念動で師匠自身を水平にし、
その剣身へフランを乗せればいい。
師匠は実際にフランの足を念動で固定し、
旋回、上昇、下降まで試して「念動エアライド」を形にする。
低空飛行なら成立する。
しかし浮遊島があるのは、
それより遥かに高い空。
魔力消費、風圧、寒さ、高度維持まで考えると、
三人だけで安全に到達するのは難しかった。
そこで第2期に登場するのがアンディになる。
ジャンが召喚したアンディは、
師匠たちが以前力尽きた高度を軽々と越え、
そのまま上昇を続ける。
しかも魔力障壁を展開し、
高空の寒さや風圧まで軽減する。
この時点で、
アンディは単なる乗り物ではない。
飛行能力。
高度維持。
複数人輸送。
防風。
防寒。
高高度での戦闘継続。
浮遊島へ行くために必要な機能を一体でまとめて持っている。
だから師匠も、
以前の苦労を知っている分だけ性能差を実感する。
自分たちが届かなかった空を、
アンディは迷いなく進む。
フランは高さそのものを楽しみ、
ジャンは大地の人々を見下ろして大仰に笑う。
師匠がその物騒な言い方へ突っ込む。
やがて雲を抜ける。
青空の中へ巨大な岩石島が現れ、
師匠は再び大興奮する。
以前は遠くから見上げるだけだった場所。
その景色を今度はアンディの背から、
目前の巨大地形として見ることになる。
アンディがいたから、
「行ってみたい」で止まっていた浮遊島が
「実際に攻略する場所」へ変わった。
短い登場でも存在感が残るのは、
この役割がはっきりしているからなのである。
最後は大破して役目を終える|それでもジャンは使い捨てにしなかった
アンディの印象を決定づけるのは、
登場時の強さより最後の扱いになる。
浮遊島へ近づくと、
師匠は周囲の魔力変化へ気付く。
ジャンから告げられるのは、
まだ島へ着いていないのに
すでにダンジョン領域へ入ったという事実。
直後、
大量のボーン・バードが接近する。
つまりアンディは、
高高度を飛ぶだけでは足りない。
複数人を乗せた状態で、
ダンジョン側の航空戦力を突破しなければならない。
さらに島外周には障壁がある。
安全な着陸地点へゆっくり降りるのではなく、
ジャンは強引な突破を選ぶ。
フランへ舌を噛まないよう注意し、
アンディはそのまま障壁へ突入する。
突破後も速度を完全には殺せない。
衝撃軽減策として、
ジャンはアンデッド・ウーズの分身体まで使う。
それでも着地は穏当なものではなく、
地面へ大きな衝撃を残す。
アンディ自身も無傷では済まない。
骨格と魔石へ深刻な損傷を受け、
この時点で役目をほぼ終える。
高高度輸送。
空中迎撃突破。
障壁突破。
強行着陸。
一体のアンデッドが、
浮遊島へ入るための工程を最後まで引き受けた。
ここでジャンは、
壊れたアンディをそのまま捨てない。
後で再利用できないから放置する、
という処理もしない。
冥府魔術のアセンションを使い、
アンディに残る魂の欠片を昇天させる。
ここが記事の核心になる。
ジャンは死霊術師。
死体を操る。
アンデッドを使役する。
戦場では死者を軍勢として扱う。
外見も言動も、
死者を道具として扱いそうに見える。
それなのに、
役目を終えたアンディへ
わざわざ消耗の大きい術を使う。
師匠もそこへ気付く。
放っておいても、
アンディはいずれ消滅した可能性が高い。
効率だけ考えるなら、
アセンションを使う必要は薄い。
だから師匠は、
ジャンの強がりを見抜く。
ジャンは最初、
自分はお人好しではない、
昇天させる代わりに力を借りるだけの
ギブアンドテイクだと格好をつける。
しかし師匠から、
アンディへアセンションを使ったことを指摘される。
そこでジャンは、
短い間でも忠節を尽くしたアンディへの
せめてもの手向けだったと認める。
フランはそれを否定しない。
師匠も責めない。
ウルシも同意する。
ジャンだけが、
自分で作ったしんみりした空気を恥ずかしがり、
耳まで赤くして話題を変えようとする。
この一連の場面があるから、
アンディは「途中で壊れた飛行用アンデッド」で終わらない。
短時間の使役でも、
命令を果たした個体として扱われ、
最後にジャンから礼を返される。
だからアンディの記事で本当に重要なのは、
強さよりも最後。
ジャンが死霊をどう見ているのか。
その価値観が、
一体のアンデッドとの別れを通して見えるのである。
第2章 アンディは何をした?浮遊島へ行けなかったフランたちを初めて運んだ
第1期相当では届かなかった空|師匠・フラン・ウルシだけでは高度が足りなかった
アンディの価値を厚く見るなら、
第2期の飛行場面だけでは足りない。
その前に、
師匠たちが一度浮遊島へ行こうとして
届かなかった過去を押さえる必要がある。
師匠が初めて浮遊島を見つけた時、
反応はかなり子供っぽい。
空に島が浮いている。
それだけで興奮し、
何の力で浮いているのかを想像し、
すぐ「行きたい」と考える。
一方のフランは、
この世界では時々見かけると説明する。
珍しくはあっても、
神話の中だけにある場所ではない。
だから師匠は余計に、
実在するなら行ける方法があるはずだと考える。
専用魔道具は高額。
魔術師なら自力で飛ぶ者もいる。
そこで師匠は、
まずウルシへ空中跳躍で届かないか確認する。
しかしMP消費まで含めて、
高高度まで上がるのは現実的ではない。
師匠自身の浮遊も同じ。
一定高度以上では維持できず、
念動で無理やり上へ行っても
その高さへ留まり続けられない。
落下速度を抑えることはできても、
高空へ長時間滞在する飛行術にはならない。
それでも師匠は諦めず、
フランを自分の剣身へ乗せる。
フランは浮遊と気流操作を使い、
風抵抗を減らす。
ウルシは影へ入る。
師匠は念動でフランの足を固定し、
空中で進路を変えながら飛行試験を続ける。
右へ曲がる。
左へ曲がる。
上昇する。
下降する。
速度を上げる。
低空移動としてはかなり形になる。
だが浮遊島へ行くには足りない。
地上付近で飛べることと、
雲を越えるほど高い空へ到達することは別。
三人だけでは、
安全性も継続時間も不足していた。
だからアンディ登場時、
師匠の驚きには比較対象がある。
「飛べる大型アンデッドだから便利」
というだけではない。
自分たちが能力を組み合わせても越えられなかった高度を、
アンディは最初から突破している。
しかも乗員へ過酷な高空環境をそのまま受けさせない。
魔力障壁によって、
冷気と風圧を抑える。
フランたちを乗せた状態でも、
上昇速度が大きく落ちない。
第1期相当の失敗があるからこそ、
第2期のアンディは
「ようやく空へ届く手段」として強く見える。
師匠たちの成長だけでは埋まらなかった部分を、
ジャンの死霊術が補ったのである。
雲を抜けて浮遊島へ到達|アンディがいたから攻略そのものが始まった
アンディに乗った一行は、
以前の限界高度を越えてさらに上昇する。
地上の人間が小さくなり、
フランは高所を面白がる。
ジャンも上機嫌になり、
大仰な言い回しで地上を見下ろす。
師匠がそこへ突っ込みを入れる。
第2期の浮遊島編は、
こうした軽いやり取りを挟みながら
過去に届かなかった場所へ進んでいく。
そして雲を抜けた瞬間、
巨大な浮遊島が目前へ現れる。
師匠は遠くから眺めた時以上に圧倒される。
青空へ浮く巨大な岩塊。
前世の記憶を持つ師匠には、
現実離れした光景そのものになる。
フランも興味を示し、
ウルシも一緒に空島を見上げる。
第1期相当では、
「いつか行きたい」と眺めた場所。
今度はそこへ接近している。
だが感動だけでは終わらない。
島へ近づいたところで、
師匠が魔力変化を感知する。
ジャンは、
すでにダンジョンへ入ったと説明する。
フランはまだ島へ着いていないと返す。
しかしダンジョンコアの影響範囲は、
地面の有無で決まらない。
空中であっても、
コアの魔力が届けばそこは迷宮領域になる。
直後に大量の気配。
ボーン・バードが群れで接近する。
ここからアンディは、
輸送役から突破役へ変わる。
乗員を落とさない。
高度を維持する。
迎撃を受けながら進む。
浮遊島へ向かう速度を止めない。
さらに外周障壁まで越える。
アンディの役割は、
「島まで運んだ」だけではない。
師匠たちが安全に攻略開始地点へ入るため、
空中で必要になる工程をほぼ全部引き受けている。
もしアンディがいなければ、
第1期相当と同じ問題が戻る。
そもそも高高度へ安定して届かない。
仮に届いても、
寒さと風圧を受ける。
さらにボーン・バードの群れと戦いながら、
障壁まで突破しなければならない。
だからアンディの仕事は、
戦闘で派手な必殺技を放つことではない。
浮遊島攻略という冒険を、
実行可能な状態へ持っていくことだった。
その役目を最後まで果たした結果、
アンディ自身は大破する。
そしてジャンは、
一体の使い魔が仕事を終えたというだけで処理せず、
最後にアセンションを使う。
ここで第1章の答えへ戻る。
アンディは短命な脇役。
しかし、
第1期相当から残っていた「浮遊島へ行きたい」という未達成を回収し、
第2期の本格攻略へ橋を架け、
最後にはジャンの死霊観まで見せる。
だから登場時間に対して、
妙に記憶へ残る。
海外で別れを惜しまれたのも、
単に名前が可愛いからだけではない。
一行を運ぶ。
迎撃を受ける。
障壁を抜ける。
着地までやり切る。
そして忠節を認められ、
最後は昇天させてもらう。
この短い一連の流れが、
アンディを単なる召喚モンスターではなく、
浮遊島編の「最初の仲間」のように感じさせるのである。
第3章 アンディは強い?ボーン・バードの大群を突破する飛行性能
約千羽のボーン・バードへ正面突破|輸送役なのに戦闘まで止まらない
アンディの強さが最も分かりやすいのは、
浮遊島へ接近した直後の空中戦になる。
ジャンから「もうダンジョン領域へ入った」と告げられた直後、
師匠は前方から大量の気配が近づくのを察知する。
現れたのはボーン・バードの群れ。
一体ごとの脅威度は高くないが、数は約千羽規模に達する。
師匠は何か回避策がないかジャンへ尋ねる。
ところが返ってくるのは、
真正面から打ち砕けばいいという豪快な答え。
逃げようにもボーン・バードの方が速く、
死霊除けの術を使えばアンディ自身まで影響を受ける。
結果として、一行は空中で正面突破を選ぶことになる。
ここでアンディは、
単なる「乗り物」ではなく実戦参加する。
フランと師匠、ジャン、ウルシを運びながら、
自分でもブレスや顎を使って敵を落としていく。
荷重を抱えたまま高高度を維持し、
攻撃を受けても進路を変えず、
浮遊島への距離を縮め続ける。
師匠もここでは出し惜しみしない。
ジャンには正体を見抜かれているため、
フランから離れて自力飛行しながら魔石を狩る。
フランは以前ギュランから得た幻輝石の魔剣を使い、
僅かに含まれる光属性で死霊へ効率よく斬り込む。
ウルシは空中跳躍で敵群へ飛び込み、
ジャンも死霊魔術を放つ。
つまりアンディだけが戦ったのではない。
一行全体が空中戦へ切り替わり、
その中心でアンディが輸送と戦闘の両方を維持する。
師匠が魔石を吸収しながら敵群を抜け、
フランが別の魔剣を握り、
ウルシが跳び回る。
浮遊島到着前から、
すでに総力戦に近い状態になっている。
約三十分の戦闘を経て、
一行はボーン・バードの群れを突破する。
ここまででアンディは、
高高度上昇、寒冷対策、風圧軽減、
輸送、防御、空中戦をすべて同時にこなしている。
さらに接近後には、
より大型のワイバーン・スケルトンまで現れる。
ジャンはここで、
アンディがウィンド・ワイバーンのスケルトンである一方、
敵側はレッサー・ワイバーン系だと説明する。
格の違いを強調する通り、
アンディはフランへ噛み付こうとした敵を
自分の顎で即座に仕留める。
フランが短く礼を言うと、
アンディも咆哮で返す。
このやり取りがあることで、
ただ命令を受けるだけの機械的な死霊ではなく、
一体の仲間として印象に残る。
ただし戦闘が長引くほど、
アンディの損傷は蓄積する。
再生が追いつかなくなり、
HPは徐々に減少。
敵の砲撃まで受け続け、
このまま正攻法では押し切れない状態へ入る。
ここでジャンは、
通常の戦闘から一気に突破策へ切り替える。
アンディの能力を最後まで使い切る前提で、
浮遊島へ叩き込む強行策を準備するのである。
最後は「骨の砲弾」になる|全身変形と最大ブレスで浮遊島へ突っ込む
ジャンの突破策は、
アンディの身体構造そのものを変える大胆なものだった。
師匠とウルシを戻し、
フランへは何があっても動かないよう指示する。
そのうえでアンディへ命令すると、
骨格が大きく変形し始める。
肋骨と胸骨がせり上がり、
ジャンとフランを包み込む。
翼も身体の周囲へ畳まれ、
外側から見ると骨の球体に
ワイバーンの首だけが付いたような姿へ変わる。
飛行自体は通常の翼だけに頼っていないため、
この変形でも進行できる。
アンディは自分の骨格を、
乗員を守る防壁へ変えたことになる。
さらにジャンは、
アンデッド・ウーズの分身体を即時召喚。
赤いスライム状の死霊が一行全体を包み、
外部からの衝撃を吸収する層になる。
骨の外殻。
ウーズの緩衝材。
その二重防御で、
これから行う無茶な突入へ備える。
準備が終わると、
ジャンはアンディへ「ご苦労だった」と声を掛ける。
ここで既に、
通常帰還させるつもりがないことが分かる。
アンディは進行方向を反転し、
浮遊島とは逆方向へ頭を向ける。
そして溜めていた最大級のブレスを、
後方の虚空へ一気に放つ。
ブレスの威力は、
この日最大級。
ただ敵を焼くためではなく、
反動そのものを推進力へ使う。
結果、アンディは骨の砲弾のようになり、
ワイバーン・スケルトンを粉砕しながら
浮遊島へ向かって急加速する。
ここがアンディの最期の見せ場になる。
敵を倒して生還する戦いではない。
フランたちを島へ届けるため、
自分の魔力と身体を最後まで推進力へ変える。
加速中、
アンディの魔力は凄まじい勢いで減る。
アンデッドは魔力を使い切れば消滅する。
師匠も途中でその危険へ気付く。
つまりジャンの作戦は、
アンディが生き残る余力を残した方法ではない。
それでもアンディは命令を遂行する。
砲撃を受ける。
骨格を損傷する。
最大ブレスを使う。
障壁へ突っ込む。
着地衝撃まで引き受ける。
浮遊島攻略の入口へ立つために、
アンディ一体が担った負荷はかなり大きい。
だから後のアセンションが、
単なる「壊れた召喚物の処分」には見えなくなる。
ジャンが短い忠節へ手向けを返したと認めるのも、
この過程を知れば重くなる。
アンディは命令を一度聞いただけの使い魔ではない。
一行を高空へ上げ、
千羽規模の死霊群を越え、
最後は自分の全身を盾と推進力にして
浮遊島へ到達させた個体だったのである。
第4章 なぜアンディという普通の名前?ジャンのアンデッドへの接し方
「皆殺」の死霊術師なのに呼び名は親しみやすい|恐ろしさと日常感が同居する
ジャンの配下であるアンディが印象に残るのは、
性能だけではない。
ウィンド・ワイバーンのスケルトンという
見た目も出自も恐ろしい存在なのに、
付けられている名前が妙に普通だからだ。
ジャン自身は、
「皆殺」の二つ名を持つ冥導師。
死霊魔術を極め、
死体を軍勢として扱い、
魂魄眼で師匠の秘密まで見抜く。
初対面の印象だけなら、
仲間のアンデッドへ番号や役割名だけを付けても違和感がない。
ところが実際には、
この飛行型アンデッドを
ジャンはずっと「アンディ」と呼ぶ。
浮遊島へ上がる時も、
戦闘へ入る時も、
最後の突入を命じる時も同じ。
この呼び方が、
ジャンの死霊との距離感を少し変えて見せる。
アンディを人間と同じ扱いにしているわけではない。
命令もする。
戦闘にも出す。
最後には消耗し切る作戦へ投入する。
それでも、
ただの「ワイバーン・スケルトン」では終わらせない。
一体の個体として呼ぶ名前があり、
命令のたびにその名を使う。
海外反応で、
名前の普通さ自体が面白がられたのも
このギャップが強いからになる。
外見は完全なアンデッド。
使い手も怪しい死霊術師。
なのに呼び名だけは、
日常にいそうな親しみやすさがある。
しかもアンディは、
命令に対して咆哮で応じる。
フランが礼を言えば反応を返す。
ジャンの声に従い、
進行方向を変え、
骨格変形まで受け入れる。
こうした短いやり取りが積み重なることで、
ただの召喚エフェクトではなく、
「ジャンに仕える一体」という輪郭が生まれる。
だから名前は、
小さな小ネタに見えて意外と大きい。
ジャンは死霊を使役する。
だが完全に無機質な弾薬としてだけ扱っているわけでもない。
名前を与え、
命令を交わし、
役目を果たした後には
手向けまで返す。
第1話だけでは、
死体を操る不気味な術師。
アンディとの関係まで見ると、
その内側に少し違う層が見えてくる。
名前だけではなく最後の扱いまで一貫する|「道具」と「忠節を返す相手」の中間
アンディに普通の名前が付いているだけなら、
単なる遊びとして読むこともできる。
しかし最後の場面まで追うと、
ジャンの接し方には一貫したものがある。
アンディは、
命令へ忠実に従う。
高高度まで運ぶ。
空中戦をこなす。
フランを敵の顎から守る。
最後は自分の骨格を盾へ変え、
最大ブレスの反動で一行を浮遊島へ叩き込む。
そして役目を終えた時、
ジャンはアセンションを使う。
この術は、
死霊の怨念を晴らし、
残っている魂の欠片を昇天させる冥府魔術。
魂へ干渉するため消耗が激しく、
浄化対象によっては寿命へ影響する可能性まである。
実際、
アンディへ使った後のジャンは
しばらく戦力にならないほど消耗する。
師匠も、
そのまま放置してもアンディは消滅したはずで、
無理に術を使う必要はなかったと見抜く。
だからこそ、
師匠はジャンの「ギブアンドテイク」という強がりへ突っ込む。
効率だけなら、
アンディへ最後の魔力を使う必要はない。
回復を待ち、
次の探索に備える方が合理的だった。
それでもジャンは使った。
追及されると、
ジャンは格好を付け切れなくなる。
短い間でも忠節を尽くしたアンディへ、
自分ができる範囲の手向けだったと認める。
フランは肯定し、
師匠も責めない。
ウルシまで同意する。
そこでジャンだけが、
自分で作ったしんみりした空気に耐えられず、
耳を赤くして話題を変える。
この一連の場面が、
名前の付け方と最後の扱いを一本につなげる。
ジャンは、
アンディを人間と同じ仲間として扱ってはいない。
戦力として使う。
必要なら危険な役目もさせる。
死霊術師としての合理性は消えない。
一方で、
役目を果たした忠節を
完全な無価値とも見ていない。
だから名前を呼び、
最後には手向けを返す。
この中間位置が、
ジャンらしい。
死霊を道具として使う。
しかし「ただの物」ではない。
使役関係の中に、
最低限の礼と感謝を残している。
さらに後のリッチ戦では、
ジャンが浄化系の術を広範囲へ使った際、
大量のアンデッドを一気に昇天させる代償として
生命力そのものを削られ、血を吐いて膝をつく。
師匠が回復魔術を使おうとしても、
通常の負傷ではないため簡単には戻せない。
フランは疲労と生命力を補うため、
スタミナポーションを差し出すことになる。
この後の大消耗を知ると、
アンディ一体へ使ったアセンションも
「軽い演出」ではなかったと分かる。
ジャンは術の代償を理解したうえで、
それでも忠節への手向けを選んでいた。
アンディという普通の名前が面白いのは、
この人物像と噛み合うからでもある。
恐ろしい見た目のワイバーン・スケルトンへ
親しみやすい名前を付け、
最後までその名で呼ぶ。
そして別れの瞬間、
名前を持つ一体として送り出す。
だからアンディは、
短時間しか登場しないのに記憶へ残る。
強いからだけではない。
「皆殺」のジャンが、
死霊へどこまで感情を向ける人物なのかを
最も分かりやすく見せた存在だからなのである。
第5章 アンディはなぜ壊れた?浮遊島への強行着陸が最後の仕事になる
約千羽のボーン・バードを抜けた後も戦闘は終わらない|ワイバーン・スケルトンと砲撃が待つ
アンディの最期だけを見ると、
浮遊島へ激突して壊れたように見える。
だが実際には、
そこへ至るまでに高高度飛行、約千羽のボーン・バードとの空中戦、
さらにワイバーン・スケルトンと砲撃への対処まで重なっている。
一度の衝突で壊れたのではなく、
浮遊島へ着くまでの負荷を最後まで引き受けた末の大破だった。
ジャンたちがダンジョン領域へ入ると、
最初に押し寄せるのがボーン・バードの大群。
一体ごとの脅威度は低くても、
約千羽が雲霞のように群がる。
逃げようにもアンディより速く、
死霊除けの術を使えばアンディ自身まで影響を受けるため、
ジャンは真正面から突破する判断を下す。
ここでアンディは輸送役のまま後方へ下がらない。
フランたちを背に乗せ、
高高度を維持しながらブレスを吐き、
敵群へ顎を叩き込む。
ジャンは死霊魔術、
フランは幻輝石の魔剣、
ウルシは空中跳躍、
師匠は単独飛行しながら魔石を回収する。
約三十分。
ボーン・バードの群れをようやく抜ける。
だが浮遊島目前で、
今度はレッサー・ワイバーン系のスケルトンが現れる。
ジャンはアンディを
ウィンド・ワイバーンのスケルトンだと説明し、
格が違うと豪語する。
実際、
フランへ噛み付こうとした敵を、
アンディは自分の顎で即座に葬る。
フランが礼を言えば、
アンディも咆哮で返す。
短い反応だが、
この時点ですでに単なる乗り物ではなく、
一行の戦闘へ参加する一体として扱われている。
それでも敵数が多い。
砲撃も飛んでくる。
アンディは被弾し、
再生速度が損傷へ追いつかなくなる。
HPも少しずつ削られ、
正面突破を続けるほど不利になる。
ジャンはそこで、
帰還を考えるのではなく、
最後の一手へ切り替える。
師匠とウルシを戻し、
フランへは何があっても動くなと命じる。
そしてアンディへ号令を出す。
骨格が変形する。
肋骨と胸骨がせり上がり、
フランとジャンを包む。
翼も畳まれ、
外見は巨大な骨球へ近くなる。
飛行そのものは怨霊系能力で維持できるため、
翼を防御殻へ回しても進行可能だった。
さらにジャンは、
アンデッド・ウーズの分身体まで召喚する。
赤い粘体が骨の外側へ絡み付き、
衝撃吸収材として機能する。
骨格で守る。
ウーズで衝撃を減らす。
そして最後に、
アンディ自身の魔力を推進力へ変える。
ジャンが労いの言葉を掛けると、
アンディは進行方向とは逆へ首を向け、
この日最大級のブレスを虚空へ放つ。
狙いは敵ではない。
反動をそのまま加速へ使うためだった。
骨の塊となったアンディが、
砲弾のように浮遊島へ突進する。
進路上のワイバーン・スケルトンを粉砕し、
物理障壁さえ勢いで突破。
そのまま島表面へ激突し、
巨大なクレーターを作る。
全員のHPが減るほどの衝撃。
アンデッド・ウーズの分身体は消滅。
そして最も大きな負荷を受けたアンディは、
全身の骨も魔石も粉々になる。
判別できるのは、
半分ほど残った頭蓋の一部だけ。
ここまで見ると、
アンディの最期は事故ではない。
浮遊島へ一行を届けるため、
最後の魔力、骨格、ブレス、再生力まで
全部使い切った結果だった。
「ご苦労だった」で終わらない|壊れたアンディへジャンが最後に返したもの
強行着陸の後、
アンディはもう戦力として使える状態ではない。
骨も魔石も砕け、
再召喚してそのまま使い回せるような残り方ではない。
普通なら、
役目を終えた召喚体として処理しても不自然ではない。
だがジャンは、
砕けた残骸の前で態度を変える。
忠節を忘れないと告げ、
フランも礼を言い、
ウルシと師匠もその働きを認める。
アンディも、
わずかに残った頭部から反応を返す。
ここでジャンが選ぶのがアセンション。
死霊を完全に消すための攻撃ではなく、
残った怨念を晴らし、
魂の欠片を昇天させる冥府魔術になる。
光がアンディの残骸から立ち上がり、
空へ昇っていく。
フランは別れを告げる。
この短い場面が、
それまでの死霊術師ジャンの印象を大きく変える。
ジャンは戦場で死霊を使役する。
アンデッドを戦力として投入する。
必要なら消耗もさせる。
アンディにも、
最後まで危険な役目をやらせた。
それでも、
使い終わったから捨てるという考えではない。
忠節を果たした個体へ、
自分が払える代償を払って最後の手向けを返す。
しかも後で分かるように、
アセンションは無料の儀式ではない。
僅かでも魂へ干渉するため、
術者側の消耗が大きい。
対象の怨念が強ければ、
寿命へ影響する可能性まである。
実際、
浮遊島へ上陸した後のジャンは、
しばらく戦力にならない。
つまりアンディのために術を使ったことで、
これから本格攻略へ入る自分自身の戦闘余力を削っている。
そこまでして使う必要はなかった。
師匠も後でそこを指摘する。
放置しても、
アンディはいずれ消滅した可能性が高い。
効率だけなら、
術を温存した方が合理的。
それでもジャンは使った。
だからアンディの最期は、
「壊れたから昇天させた」では足りない。
ジャンが死霊へ向ける感情と、
死霊術師としての倫理観が
初めてはっきり見える場面なのである。
第6章 アセンションとは何?ジャンが負担を承知で使った冥府魔術
怨念を晴らし魂の欠片を昇天させる|通常のアンデッドと怨霊系は同じではない
アセンションを理解するには、
『転剣』世界のアンデッドが
すべて「死者本人の魂」ではないことを押さえる必要がある。
浮遊島上陸後、
ジャンが探索用アンデッドを召喚する場面で、
師匠は死霊術の仕組みを改めて確認している。
ゾンビやスケルトンは、
死者の肉体へ魔力で作った疑似的な魂魄を入れて動かす。
適切な術式を使えば、
肉体や魔力へ残った記憶や能力を利用し、
生前の技能まで再現する質の高いアンデッドを作れる。
そのため、
まるで本人の魂が残っているように見えることがある。
だが通常は、
本来の魂そのものが肉体へ残り続けているわけではない。
自然発生型でも、
魔石が疑似魂魄の役割を担う。
例外になるのが怨霊系。
生物が死ぬ瞬間、
死にたくない、
死ねないという強烈な妄執が生まれることがある。
その力が、
本来なら冥界へ向かう魂の一部を
現世へ引き留める場合がある。
魂の欠片が妄執や怨念と結び付き、
魔石へ定着したものが強力な怨霊になる。
つまり怨霊系アンデッドには、
通常のスケルトンやゾンビとは違い、
魂の一部が現世へ残って苦しんでいる場合がある。
だから死霊術師が怨霊を使役する行為は、
必ずしも冒涜だけとは扱われない。
怨霊を制御し、
最後に怨念を浄化して昇天させれば、
徘徊し続ける魂の欠片を救うことにもなる。
ジャンはそこを、
自分らしく「ギブアンドテイク」と言う。
昇天させてやる代わりに力を借りる。
使役する側にも得があり、
怨霊側にも最後の救済がある。
いかにも合理性を好むジャンらしい説明になる。
そしてアセンションは、
その最後を担う代表的な冥府魔術。
怨念を晴らす。
魂の欠片へ干渉する。
現世への執着を切り、
昇天させる。
だから単なる即死魔術とは違う。
消滅させるだけではなく、
現世へ残った魂の欠片を
次へ送るための術として位置づけられる。
アンディに使った場面が重く見えるのも、
ここまで仕組みを知った後。
ジャンは壊れた戦力を処理したのではない。
忠節を返す形で、
最後に救済の術を使ったのである。
消耗は本物|後のリッチ戦では大量浄化で吐血し、通常回復すら効かない
アセンションの重さは、
アンディの場面だけでは分かりにくい。
そこで後のリッチ戦を見ると、
魂へ干渉する浄化系術が
術者へどれほど大きな負担を掛けるかがはっきりする。
ジャンは高位の昇天効果を持つ神具を使い、
広範囲へ青白い光を放つ。
部屋を埋めていた多数のアンデッドが、
逃げる間もなく一瞬で消える。
見た目だけなら圧倒的。
死霊術師が、
死霊へ最も強い浄化を放つ異様な場面になる。
ところが直後、
ジャンは大量の血を吐く。
顔色は土気色。
片膝をつき、
自力で立っていることさえ難しい状態まで落ちる。
リッチも、
その消耗を見て生命力が枯渇寸前だと指摘する。
師匠はすぐ回復魔術を使おうとするが、
ジャン本人が止める。
これは傷ではない。
HPを削られた負傷ではなく、
生命力そのものを消耗しているからになる。
そこでフランが渡すのは、
通常のヒールではなく
疲労や生命力を補うスタミナポーション。
この場面によって、
昇天系の術が術者自身の根本へ負荷を掛けることが分かる。
さらに戦闘終盤、
ジャンは再び神具を起動する。
リッチ側からも、
それを使えば命が尽きる可能性を指摘される。
それでもジャンは詠唱を続け、
師匠が時空魔術を封じるのと合わせて
再度浄化を通そうとする。
ここまでの後続描写を知ると、
アンディ一体へのアセンションも軽く見られない。
大規模浄化ほどではない。
それでも上陸直後のジャンがしばらく使い物にならなくなる程度には、
確実な代償が出ている。
しかも浮遊島攻略は、
アンディを送った直後から本番。
森にはゾンビとスケルトン。
地下には罠と高位アンデッド。
ジャン自身が戦える方が、
どう考えても攻略上は有利だった。
それでも術を温存しなかった。
師匠は後で、
放置してもアンディは消滅したはずだと突く。
ジャンは最初、
お人好しではない、
使役と昇天は交換条件だと強がる。
だが最後には、
短い間でも忠節を示したアンディへ、
せめてもの手向けだったと認める。
フランは即座に肯定。
師匠も異論なし。
ウルシまで同調する。
するとジャンは、
耳まで赤くして話題を変える。
豪快な笑い方も、
「皆殺」の二つ名も、
この瞬間だけは完全に崩れる。
ここがアンディの記事で最も大事な場面になる。
ジャンは死霊を使う。
消耗もさせる。
戦術上必要なら、
最後まで危険な仕事をさせる。
しかし忠節を返してきた個体へ、
何も感じない人物ではない。
死霊術師として使役する合理性と、
使役した相手へ最後の礼を返す感情が
同時に存在している。
アンディが短い登場なのに印象へ残るのは、
この矛盾したような二面を
一体だけで見せ切ったから。
飛行役として役に立った。
戦闘でも守った。
最後は壊れた。
それだけなら、
優秀な召喚獣の記録で終わる。
だがジャンが自分の消耗を承知で
アセンションまで使ったことで、
アンディの最期は
ジャン自身の人物像を映す場面へ変わった。
だから「アセンションとは何?」への答えも、
昇天魔術という名称だけでは足りない。
怨念を晴らし、
魂の欠片を救済する術であり、
その代償を術者自身が引き受ける。
そしてジャンがそれを
アンディ一体のために使ったこと自体が、
あの別れの重さなのである。
第7章 ジャンはなぜアンディを昇天させた?「忠節への手向け」が人物像を変える
効率だけなら使う必要はなかった|それでもアセンションを選んだ
アンディの最期で最も重要なのは、
ジャンが死霊術師だからこそ、
あえて非効率な行動を選んだことになる。
浮遊島へ一行を運び、
約千羽のボーン・バードを突破し、
最後は骨格と魔力を使い切って強行着陸。
アンディは役目を終えた時点で、
ほぼ戦闘不能の状態まで壊れていた。
全身の骨は砕け、
魔石も大きく損傷。
残っているのは、
半壊した頭部と僅かな反応だけ。
そのまま時間が経てば、
アンデッドとして維持できず消滅する可能性も高い。
だから効率だけを見るなら、
ジャンは何もしなくてもよかった。
これから浮遊島の内部へ入り、
ゾンビ、スケルトン、高位アンデッド、
未知の罠や守護者と戦わなければならない。
死霊術師であるジャン本人の魔力と生命力は、
攻略戦で重要な戦力になる。
ここで消耗する術を使えば、
直後の探索へ明確な不利を抱える。
それでもジャンは、
アンディへアセンションを使う。
死霊の怨念を晴らし、
残された魂の欠片を昇天させる冥府魔術。
ただ消すのではなく、
現世へ残ったものを送り出すための術になる。
師匠も、
この選択が単なる処分ではないと気付く。
ジャンは普段、
死霊を合理的に使役する人物。
アンデッドを戦力として数え、
必要なら危険な役目も与える。
実際アンディにも、
最後まで無茶な仕事をさせた。
高高度飛行。
空中戦。
防御。
障壁突破。
強行着陸。
生還を優先した任務ではない。
それでも役目が終わった瞬間、
「もう使えないから終わり」とは扱わない。
忠節を尽くした一体へ、
最後の礼を返す。
ここにジャンの死霊観が出る。
死霊を使う。
しかし何も感じず消費するわけではない。
戦力として扱う合理性と、
忠節へ報いる感情が同居している。
ジャン自身は、
最初からそれを素直には認めない。
自分はお人好しではない。
力を借りる代わりに最後は昇天させる。
あくまでギブアンドテイクだと、
いつもの大仰な調子で説明する。
ところが師匠は、
その格好付けをそのまま受け取らない。
アンディの場合、
放置しても自然に消滅へ向かったはず。
わざわざ自分を消耗してまで
アセンションを使う必然は薄いと突く。
ここでジャンの言葉が少し崩れる。
短い間でも、
自分へ忠節を示したアンディ。
その働きへ対する、
せめてもの手向けだったと認める。
この一言で、
アンディの短い登場が別の意味を持つ。
ジャンに命令されて動いただけの使い魔ではなく、
忠節を返した相手として記憶されていたのである。
師匠とフランもその手向けを受け止める|アンディが見せたジャンの人間味
ジャンが本音を漏らした後、
フランはその行動を否定しない。
師匠も同じ。
ウルシまで含め、
アンディが役目を果たしたことを認める。
ここが面白い。
第2期第1話でジャンと出会った時、
師匠はこの男をかなり警戒していた。
死霊術師。
「皆殺」の二つ名。
魂魄眼で師匠の秘密を見抜く。
骸骨や死体を操る。
外見も言動も、
悪役側の人物にしか見えない。
フランも、
師匠を欲しがるのではないかと警戒する。
師匠自身も、
場合によっては口封じまで考えるほど
ジャンを危険人物として見ていた。
ところが浮遊島へ向かう短い道中だけで、
少しずつ別の面が見えてくる。
アンディへ普通の名前を付ける。
命令には厳しい。
危険な作戦にも使う。
それでも最後には労い、
自分の負担を承知で昇天させる。
だからアンディの別れは、
アンディ自身の最期であると同時に、
ジャンに対する師匠たちの見方が変わる場面でもある。
しかもジャンは、
感動的な空気を長く維持できない。
自分で手向けだと認めた後、
フランや師匠に肯定されると、
急に照れ始める。
普段は芝居がかった言い回しで笑い、
自分を大物の死霊術師らしく見せる。
それがアンディの話になると、
耳まで赤くして話題を変えようとする。
この崩れ方が、
「皆殺」の冥導師という肩書との落差になる。
強大な死霊術を使う。
戦争では軍勢を操る。
研究対象として死体や魂を見る。
それでも、
忠節に対して何も返さない人物ではない。
さらに後のリッチ戦を見ると、
アセンション系統の術が
本当に重い代償を伴うことが分かる。
広範囲へ昇天効果を放ったジャンは、
大量のアンデッドを一気に浄化する一方、
自分の生命力まで削って吐血する。
師匠が通常の回復魔術を使おうとしても、
単なる傷ではないため簡単には戻せない。
フランがスタミナポーションを渡し、
ようやく生命力の消耗を補う。
この後続場面があるから、
アンディ一体へ使ったアセンションも
軽い演出ではなくなる。
規模は違う。
しかし魂へ干渉する術を使えば、
術者側にも明確な負担が返る。
ジャンはその性質を知っていて、
それでもアンディへ使った。
だから「なぜ昇天させた?」への答えは、
壊れたから処分した、ではない。
忠節を果たしたアンデッドへ、
死霊術師として可能な最後の礼を返したからになる。
アンディは、
強大なボスでも重要人物でもない。
登場時間も短い。
それでも印象へ残るのは、
役割が一貫しているから。
一行を運ぶ。
空中戦を支える。
フランを守る。
障壁を突破する。
最後は自分の身体まで使い切る。
そしてジャンも、
その仕事を当然とは扱わない。
名前を呼び、
労い、
最後に昇天させる。
死霊術師がアンデッドを操る作品なら、
使い魔は便利な戦力として処理されやすい。
アンディの場面はそこを少し外す。
使役することと、
敬意を持つことは両立する。
戦力として消耗させることと、
忠節へ礼を返すことも両立する。
この矛盾したような距離感が、
ジャンという人物を単純な善人にも、
冷酷な死霊術師にもさせない。
だからアンディの記事の最後で残るのは、
「ウィンド・ワイバーンのスケルトンだった」という設定だけではない。
アンディは、
フランたちを浮遊島へ届けた飛行役。
同時に、
ジャンが死霊をどう扱う人物なのかを
最も短時間で見せた存在でもある。
海外で「短い間だったが楽しかった」と
別れを惜しまれたのも、
単に名前が可愛いからではない。
登場。
活躍。
損傷。
別れ。
昇天。
短い尺の中で、
一体のアンデッドとして
最後まで役割を与えられていた。
だからこそ、
アンディの最期は小ネタで終わらない。
「皆殺」のジャンが、
死霊へ向ける礼と情を初めてはっきり見せた場面として、
浮遊島編の人物描写まで支えているのである。


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