『アニメMAO』で呪われているキャラには、猫鬼の血に関わる摩緒と菜花、御降家の呪いを取り込む幽羅子、獣に心を喰われる加神一馬らがいる。
百火の復活や五色堂の過去も不気味だが、長く生きている同門全員を同じ呪いの被害者とは決められない。
誰に、どの力が、体や行動へ何を起こしたのかを追うと、「呪う側」と「呪いを受けた側」が入れ替わる怖さまで見えてくる。
★第1章 呪われているキャラは誰なのか
| 順位 | 第3期時点 | 原作終盤 |
|---|---|---|
| 1位 | 技神ラプラス | 技神ラプラス |
| 2位 | 龍神オルステッド | 龍神オルステッド |
| 3位 | 闘神 | 闘神バーディガーディ |
| 4位 | 魔神ラプラス | 魔神ラプラス |
| 5位 | 死神ランドルフ | 死神ランドルフ |
| 6位 | 剣神ガル・ファリオン | 剣神ジノ・ブリッツ |
| 7位 | 北神アレク | 泥沼ルーデウス |
| 変わる席 | 第1〜5位は維持。第6位と第7位だけ持ち主が交代する | |
摩緒・菜花・幽羅子・加神一馬・墓土を食べる患者の症状
『アニメMAO』で呪いを受けた人物を追うと、
最初に挙がるのは摩緒と菜花だ。
摩緒は猫鬼との因縁を抱えたまま九百年を生き、
菜花は幼い頃に猫鬼の血を浴びて
体が変わった可能性を告げられる。
一方、幽羅子は御降家へ向けられた呪いを
取り込む「器」として育てられた。
三人とも猫鬼の周辺にいるからといって、
受けたものを一種類にはできない。
第1話、令和から大正へ迷い込んだ菜花を
摩緒は妖から助ける。
しかし直後に、菜花自身を妖ではないかと疑った。
菜花は自分の体に何が起きたかを知らず、
摩緒も初対面で答えを持っているわけではない。
第2話に菜花が八年前の事故を思い出し、
第3話に破軍星の太刀へ触れても死なないことで、
猫鬼の血と菜花の体が結びつき始める。
摩緒の側には、さらに長い時間がある。
平安時代から猫鬼を追い、
大正では呪いに関わる患者を診ている。
第7話には獣姿で幼い菜花を守ろうとし、
現代へ守護の式神を飛ばした後に倒れた。
九百年生きていることは、
力を使っても傷つかないということではない。
摩緒の体に起きる変化と消耗が、
猫鬼との因縁を目に見える形にする。
幽羅子の場合、呪いとの関係は
摩緒や菜花の血の話とは別だ。
第26話に彼女が菜花へ語ったのは、
平安時代の御降家で、
家へ放たれた呪いを取り込む器として
岩屋に暮らしていた過去である。
呪符に囲まれ、外の世界を知る前から
役目を与えられていた。
呪いは彼女の体だけでなく、
暮らす場所まで決めていた。
加神一馬に起きたことも見逃せない。
第21話、一馬の通り魔殺人事件を追う中で、
代々の加神家当主が体に納める獣に
心を喰われていたと分かる。
摩緒や菜花は猫鬼の血と結びつき、
幽羅子は御降家の呪いを引き受ける。
一馬は家に受け継がれる獣に
自分の心を侵されている。
体の内側にあるものが本人の行動へ及ぶ点で、
異なる怖さを持つ。
第23話には、名のある陰陽師ではない患者も現れる。
その人物は食事を取らず、
夜ごと病院を抜け出していた。
摩緒、菜花、乙弥が尾行すると、
墓の土を食べて吐き出している。
摩緒は強い呪いと土の術に驚き、
そこへ土の姉弟子・夏野が来た。
呪いを受けるのは御降家の関係者だけではない。
大正で暮らす患者の日常も壊している。
患者が墓土を口へ運ぶ姿と、
一馬が獣に心を喰われる姿は、
どちらも本人の自由な行動として
見てはいけない場面だ。
前者では食事もせず夜の病院を抜け出し、
後者では通り魔殺人にまで至る。
「呪われている」という言葉は同じでも、
体が何をさせられ、
周囲へどんな被害が出たかを分けて見たい。
ここに百火を加える時には注意が要る。
第8話、火の術を使う百火は
一度死んで、すぐに生き返った。
九百年前の五色堂へ呼ばれたことも語る。
しかし復活を見たからといって、
摩緒の猫鬼の血、幽羅子の器、
一馬の体にいる獣と
同じ呪いを受けたと断定はできない。
百火には百火自身の異変として、
死と復活の場面がある。
摩緒、菜花、幽羅子、一馬、
墓土を食べる患者を並べると、
呪いが奪うものの違いが見えてくる。
摩緒と菜花には体の変化と猫鬼との接点があり、
幽羅子には岩屋での暮らし、
一馬には心を喰う獣、
患者には夜ごと墓土へ向かう異常な行動がある。
誰が何を受けたかを確かめることが、
この作品の人物関係を知る入口になる。
百火の復活と、摩緒が針で操られた出来事も分けて見る
呪いの影響は、ずっと同じ形で
体に残るものばかりではない。
第22話には双馬が摩緒の背へ
傀儡の針を打ち込んだ。
針は宝生かがりから渡されたもので、
摩緒は獣姿に変貌する。
百火、菜花、乙弥が駆けつけると、
白眉の呪力に操られた摩緒が
その三人へ襲いかかった。
この場面で摩緒は、
自分の意思で菜花たちを攻撃していない。
針を打たれた体が白眉の術に支配され、
助けに来た相手へ向けられている。
もともと猫鬼との因縁を抱える摩緒に、
さらに別の呪術が仕掛けられた。
摩緒が呪われた人物だから
何度も獣姿になる、と一続きにすると、
第22話に誰が針を打ち、
誰が操ったかを見落とす。
第16話にも、白眉の金の術に
追い詰められた摩緒は獣姿になった。
その戦闘で消耗し、
第17話には診療所で眠り続ける。
しかし第22話では、
双馬が打った針と白眉の呪力によって
摩緒が周囲を襲った。
同じ獣姿でも、そこへ至る出来事と
直後の危険が違う。
姿だけを見て同じ呪いの発作と
決めつけてはいけない。
百火の第8話も、別の出来事である。
摩緒たちを火の術で襲った百火は
一度死んだ後、すぐ起き上がった。
目の前で命が終わり、戻るという異変だ。
針を打たれて他人に操られた
第22話の摩緒とは違う。
百火の復活には本人が再び動く姿があり、
摩緒の針の場面には
本人の意思を奪われる怖さがある。
その違いは第17話と第22話を続けて見ると鮮明だ。
第17話の百火は、
眠る摩緒に代わって菜花、乙弥と
診療所に来る妖たちへ対応する。
第22話には同じ二人と駆けつけ、
今度は摩緒から襲われる。
一度死んでも戻った百火が
誰かを守ろうとして動き、
生きている摩緒が術によって
守りたい相手を傷つけかねなくなる。
かがりも、この場面では
「呪われた被害者」とだけ呼べない。
呪い屋の娘で針を扱い、
第22話には双馬へ渡した針が
摩緒の体に打ち込まれる。
第25話には女学校で呪詛事件を起こし、
調査に入った菜花を襲った。
呪いを受けた人と、
呪いを道具として他人へ向ける人では、
事件の中で立つ場所が違う。
双馬も針を打ったという行動だけで
一馬と同じ状態にはできない。
第21話、兄の一馬は
加神家の当主が体に納める獣に
心を喰われていた。
一馬と戦って傷ついた双馬を
摩緒が診療所へ運ぶが、
双馬は姿を消し、
次の第22話に摩緒へ針を打つ。
兄の体の獣と、弟が使った傀儡の針は
つながる事件の中でも別の問題だ。
呪いを受けた人物の一覧には、
傷や症状だけを書き並べても足りない。
猫鬼の血に触れたのか。
家の獣に心を喰われたのか。
呪いを取り込む役を負わされたのか。
他人の針で一時的に操られたのか。
第何話に誰が何を仕掛け、
その後本人がどう動いたかを見ることで、
同じ「呪い」という言葉の内側にある
違いがようやくはっきりする。
★第2章 摩緒と菜花に猫鬼の呪いは何を起こしたのか
| 確認ポイント | 意味 |
|---|---|
| 石碑の文様 | 現在その席を持っている七人を表す紋章 |
| 1位〜7位 | 技神・龍神・闘神・魔神・死神・剣神・北神 |
| 単純な実力順? | 違う。現在の戦闘力を毎回測って並べ直すランキングではない |
| 持ち主が変わると? | 石碑の紋章も変化する |
| 長期間不在なら? | 姿を見せないだけでは席から消えない |
| 注意 | 「その人物が強い」と「今その席を持つ」は分けて見る |
摩緒|第1話から続く猫鬼との因縁と、獣姿になる危険
第1話の摩緒は、
五行商店街の門から大正へ迷い込んだ菜花を
妖から助ける陰陽師として現れる。
だが、妖を退けた直後に
菜花へ向けた疑いは鋭い。
摩緒は自分自身も猫鬼との因縁を抱え、
人と妖の境界にある異変を追ってきた。
初めて会った菜花の体を見て、
普通の少女として受け流せなかった。
摩緒の生活は、猫鬼を追うことと
切り離せない。
第2話、菜花が八年前の事故で見た
化け物を思い出す頃、
摩緒は猫鬼につながるかもしれない
首なし事件を調べ始める。
九百年前から生きる人物が、
大正の新しい事件を診て、
その先に同じ妖の痕跡を探す。
長命は過去の説明だけでなく、
現在の行動を決めている。
第3話、破軍星の太刀へ触れても
菜花が死なないことが分かる。
摩緒が使う刀と菜花の反応から、
彼女も猫鬼の血を浴びたのではないかと
疑いが強まった。
摩緒だけが古い呪いを追っていると思えた話に、
令和で育った菜花の体が入り込む。
摩緒が調べる相手と、
菜花が自分について知りたいことが
同じ猫鬼へ向かう。
第4話には菜花と乙弥が鐘臨教へ潜入し、
地下室で呪法の写本を見つける。
しかし、そこには人の寿命を操る方法がない。
猫鬼は寿命を操る妖であり、
摩緒の九百年に及ぶ生存とも
深く関わっている。
ただ、手にした写本だけで
摩緒の体のすべてを説明できるわけではない。
摩緒たちは教団に残る術と、
猫鬼自身の動きを追い続ける。
第6話、菜花は自分が
百年後の未来から来たと
摩緒と乙弥へ打ち明ける。
摩緒が九百年生きてきたことと、
菜花が門を通って時代を移ることは違う。
それでも二人は猫鬼の血と
八年前の事故を巡って結びついている。
時間の異常と体の異常を
一つの出来事として片付けられないところに、
摩緒たちが直面する難しさがある。
第7話、大正にいる菜花の前へ
八年前の幼い菜花が現れる。
猫鬼は幼い菜花をくわえ、
五行商店街の門から令和へ飛び去った。
獣姿の摩緒は彼女を守ろうとし、
現代へ守護の式神を飛ばす。
菜花が長く分からなかった事故の日に、
摩緒と猫鬼がどう関わったかが
目の前の行動として現れる場面だ。
摩緒は式神を飛ばした後、
意識を失ってしまう。
獣姿になれば無制限に戦えるのではない。
守ろうとして力を使い、
その後に倒れるほど消耗する。
第1話に妖を退治した摩緒と、
第7話に幼い菜花を守って倒れた摩緒は
同じ人物である。
呪いと結びついた力には、
目の前の危険を退ける働きと、
摩緒自身への負担がある。
第16話、白眉は摩緒を
御降家の怨敵と呼んで金の術を放つ。
追い詰められた摩緒は獣姿に変わり、
暴走した。
第17話には眠り続ける摩緒に代わり、
菜花、乙弥、百火が
診療所の患者たちを迎える。
第7話だけの一度きりの異変ではない。
摩緒の姿の変化と消耗は、
九百年前からの対立が大正で続く中でも
繰り返し問題になる。
ただし第22話に針で操られた場面まで、
すべて猫鬼だけの働きとしては扱えない。
そこには双馬が打ち込んだ針と、
白眉の呪力が明確に関わる。
摩緒に元からある猫鬼との因縁と、
後から他人に仕掛けられた術を分けると、
彼が自分で力を使った第7話、
追い詰められて暴走した第16話、
意思を奪われた第22話の違いが見える。
菜花|第3話の破軍星の太刀と、第7話に戻る事故の記憶
菜花は最初から、
自分を呪われた人物だと知って
大正へ来たわけではない。
第1話、五行商店街の門をくぐると
見知らぬ時代へ迷い込み、
摩緒に妖ではないかと疑われる。
令和では中学生として暮らしていた菜花に、
突然、自分の体への疑問が突きつけられた。
猫鬼の呪いは、本人が知らないところで
既に過去へ入り込んでいた。
第2話、菜花は小学一年生だった時の
事故で化け物を見たことを思い出す。
両親を失った事故の場所は、
大正へつながる五行商店街の門でもある。
単に危険な妖を目撃した記憶なのか、
自分の体にまで何かが残ったのか。
摩緒との出会いによって、
菜花は八年前の出来事を
もう一度たどらなければならなくなる。
第3話、摩緒の破軍星の太刀へ触れても
菜花は死なない。
この反応から、幼い頃に
猫鬼の血を浴びて呪われた可能性が出る。
本人は普通の人間として
令和で成長してきたつもりでも、
刀に触れた時の体は別の事実を示す。
誰かから過去を聞かされる前に、
自分の体そのものが
事故の日の手掛かりになった。
菜花は令和へ戻り、
八年前の事故について調べる。
大正にいる摩緒から答えをもらうだけではない。
令和に残る自分の生活と記憶からも、
猫鬼に何をされたのかを確かめようとする。
第6話には摩緒から渡された解毒剤を飲み、
事故の日の記憶を思い出した。
体の異変を追うことが、
失っていた記憶を取り戻すことへつながる。
第7話には、幼い菜花が
大正の菜花の目の前に現れる。
猫鬼にくわえられ、
門から令和へ運ばれる幼い自分を見ることで、
八年前の事故は思い出話ではなくなる。
その場には獣姿の摩緒もいて、
守護の式神を現代へ飛ばす。
菜花の体に残る猫鬼との接点と、
摩緒が昔から彼女に関わっていた事実が、
同じ場面で形を取る。
摩緒と菜花は共に猫鬼に関わるが、
二人を同じ状態にはできない。
摩緒は平安時代から猫鬼を追い、
大正で患者を診る九百年の生存者だ。
菜花は令和で育ち、門を通って大正へ来る。
第3話の刀への反応や
第7話の幼い自分との遭遇は、
菜花自身の八年間の空白を埋める手掛かりだ。
摩緒の長命をそのまま菜花へ移せない。
第13話には猫鬼が令和へ現れ、
摩緒への伝言を菜花に託す。
菜花はその言葉を持って
大正の診療所へ向かった。
第7話には幼い菜花を連れ去った妖と、
第13話には伝言を託す形で接する。
菜花にとって猫鬼は、
一度の事故で終わった相手ではない。
体と記憶に関わった後も、
令和と大正の往来へ現れる。
菜花が呪われているかを考える時、
妖の血を浴びたという説明だけでは
本人の経験が抜け落ちる。
第1話に摩緒から疑われ、
第3話には刀に触れても死なず、
第6話に解毒剤で事故を思い出し、
第7話には幼い自分が猫鬼に
運ばれる場面へ立ち会った。
菜花は一つずつ自分の過去を確かめ、
猫鬼と摩緒へ向き合っていく。
猫鬼の呪いは、
摩緒には九百年続く因縁として残り、
菜花には八年前の事故から続く
体と記憶の疑問として現れた。
二人が同じ妖を追えるのは、
同じ傷を同じだけ負ったからではない。
摩緒が見てきた長い時間と、
菜花が取り戻した事故の日が交わるからだ。
呪いを受けた人物を知るには、
その人がいつ何を経験したかまで追う必要がある。
★第3章 五色堂に呼ばれた弟子たちは全員同じ呪いを受けたのか
| 順位 | 第1位 |
| 称号 | 技神 |
| 正体 | かつての魔龍王ラプラスから分かれた片割れ |
| 七大列強との関係 | 七大列強を定めた側の存在 |
| 現在 | 長期間、表舞台に姿を見せない |
| 印象的な点① | 目の前で圧倒的な力を見せたオルステッドより、石碑では上の1位にいる |
| 印象的な点② | 姿が見えなくても1位の紋章は石碑から消えない |
| 順位 | 第2位 |
| 称号 | 龍神 |
| 目的 | ヒトガミを倒すため行動する |
| 戦闘 | 魔術・剣術・体術を含め、多数の技を扱う |
| ルーデウスとの関係 | 敵として遭遇した後、物語後半では主従・協力関係へ変化 |
| 印象的なエピ① | 第1期第21話、ルイジェルド・エリス・ルーデウスをほぼ一方的に圧倒する |
| 印象的なエピ② | 第3期では、かつて殺されかけたルーデウスが家族を守るため自分から龍神へ挑む |
| 順位 | 第3位 |
| 順位の中心 | 闘神鎧そのもの |
| 装着者 | 原作終盤ではバーディガーディ |
| 特徴 | 着用者を強化し、高い耐久・戦闘能力を与える黄金の鎧 |
| 注意 | 裸のバーディガーディ本人をそのまま「世界3位」と見るのは違う |
| 印象的なエピ① | 魔法大学では陽気な魔王としてルーデウスの魔術を受ける |
| 印象的なエピ② | 終盤では闘神鎧をまとい、学園時代とは別物の強敵として立ちはだかる |
| 順位 | 第4位 |
| 称号 | 魔神 |
| 正体 | 魔龍王ラプラスから分裂したもう一方 |
| 現在 | 封印状態。将来の復活が大きな問題になる |
| 関係が深い人物 | ルイジェルド、ペルギウス、オルステッドら |
| 印象的なエピ① | スペルド族の歴史と悪評に深く関係し、現在のルイジェルドにも傷を残している |
| 印象的なエピ② | 本人が封印中でも七大列強第4位の席は消えない |
百火|第8話に一度死んでも生き返った兄弟子
五色堂と呪いの関係を考える時、
最初に確かめたいのは百火の体に起きたことだ。
第8話、火の陰陽術を使う百火は
摩緒たちの前に立ちはだかる。
懐かしい兄弟子との再会では終わらず、
戦いの中で百火は一度死んだ。
ところが、その場ですぐに生き返る。
九百年前からの生存が、単なる長寿では
説明しにくいと突きつける場面だ。
百火は摩緒と同じ御降家で術を学び、
九百年前を知る本人として大正に現れた。
もし昔の火の術を受け継いだ
別の人物でしかなければ、
師匠が五人の弟子を五色堂へ呼んだ話を
当事者として摩緒に伝えることはできない。
目の前で死んで戻った異変と、
五色堂を知る記憶が重なり、
摩緒の兄弟子・百火が今もいると分かる。
ただし、百火が火の術者であることと、
火の術が彼を生き返らせたことは別だ。
第8話で確かめられるのは、
百火が火を操って摩緒と戦い、
一度死んだ後に戻ったという順序である。
その場面から、御降家の火の術を
使う者は誰でも復活すると
広げることはできない。
百火自身に何が残っているのかを
見極める必要がある。
百火が五色堂を語ったことも重要だ。
呼ばれたのは九百年前の五人の弟子であり、
大正で名前が挙がる同門の全員を
その五人へ入れてよいわけではない。
夏野と大五は共に土の術者で、
真砂と不知火は水の術に関わる。
火・木・土・金・水という術の種類を
五人の名簿にそのまま当てはめると、
誰がその場へいたかまで
推測で決めることになる。
第9話には華紋が朽縄という名で姿を見せ、
第16話には白眉も五色堂へ呼ばれた
兄弟子だと明かされる。
百火、華紋、白眉には
同じ場へ呼ばれた過去がある。
しかしアニメで目の前に示された
死と復活の場面は百火のものだ。
三人が同じ場所を知ることと、
三人の体に同じ現象が
起きることを混同してはいけない。
百火の現在の行動も、
復活という一場面だけでは尽くせない。
第13話には華紋と共に
摩緒の診療所を訪れ、
第17話には眠り続ける摩緒に代わって
菜花、乙弥と妖たちへ対応する。
死んでも戻れるから人との関係を
失った人物としては描かれない。
九百年後にも、摩緒の居場所で
新しい役割を担っている。
第22話、白眉の針で操られた
獣姿の摩緒が暴れると、
百火は菜花、乙弥と共に駆けつける。
一度死んで戻った百火が、
今度は意思を奪われた摩緒に襲われる。
両者をひとまとめに
「呪われているから危険」と呼べば、
百火が救援に来たことと、
摩緒を操っているのが白眉であることが消える。
呪いに関わる異変は、行動まで見て分けたい。
百火の復活は、
御降家の同門の体に
普通ではないことが起きていると
強く印象づける。
だが、同門全員の症状を
一人で証明する場面ではない。
摩緒は獣姿となって消耗し、
華紋は朽縄として大正で仕事をし、
白眉は金の術で摩緒を襲う。
まず各人の体と行動に現れたものを確かめてこそ、
五色堂の過去へ近づける。
華紋・白眉らの長命を、百火の復活と同じ現象にしない
華紋は第9話、
茨木家の依頼を受けた朽縄として現れる。
若い娘がさらわれ、
貂子が車にはねられた事件の中で
木の陰陽術を使った。
摩緒の兄弟子だった華紋本人が、
別の名で大正の仕事をしている。
九百年を越えていることは分かっても、
百火のようにその場で死んで
生き返る姿を見せたわけではない。
第12話には華紋が海上の御堂へ向かい、
不知火と再会する。
第13話には摩緒と百火がいる診療所で、
不知火の延命商売について話した。
九百年前を知る者たちが
大正の同じ場所へ集まると、
全員に同じ呪いが掛かったように
見えやすくなる。
しかし各人が生きているという結果と、
そこへ至った経過はまだ同じとは言えない。
白眉も第16話に正体を明かす。
鉄仮面の男は摩緒の兄弟子で、
百火や華紋と同じく五色堂へ呼ばれた。
金の術で摩緒を追い詰め、
摩緒を御降家の怨敵と呼ぶ。
この場面で見える白眉の異常は、
九百年前を知る男が
今も摩緒へ攻撃できることだ。
百火と同じ復活を繰り返す体かどうかは、
別に確かめなければならない。
白眉との戦闘では、
むしろ摩緒の体に起きる変化が前へ出る。
摩緒は獣姿へ変わって暴走し、
次の第17話には眠り続けた。
第22話にも獣姿は現れるが、
そこには双馬が打った針と
白眉の呪力が関わる。
同じ摩緒に生じた二つの場面でさえ、
引き金と周囲への危険が違う。
別々の同門ならなおさら、
症状を一つにまとめられない。
不知火は第10話に
魚と水でできた巨人を通じて
泰山府君の術を求め、
第12話には華紋と再会する。
第15話には摩緒本人へ
秘法を渡すよう迫った。
九百年前から続く因縁を
現在の要求へつなげているが、
寿命を操る術を欲しがることと、
不知火自身の生存の仕組みは別の話だ。
延命商売への関与だけから
自分にも同じ術を使ったと決められない。
夏野も第18話に
摩緒の姉弟子として現れ、
大五と紗那の過去を語る。
第19話には海底の社へ向かう
摩緒たちを助け、
第23・24話には土に関わる異変を追う。
大正で行動している姿は明確だが、
百火と同じように死後すぐ戻る場面はない。
土の術を使うことも、
五色堂に呼ばれた五人の一人だと
自動的に示すものではない。
第20話には夏野が、
幽羅子の黒い邪気を
紗那の心臓を掴み出した時のものと
同じだと証言する。
九百年前の出来事は、
同門の長命だけでなく
紗那の死や幽羅子の力にも広がる。
五色堂の一件に何があったのかを
一つの出来事で答えたくなるが、
百火の復活と紗那を襲った邪気は、
目撃された現象からして違う。
五色堂を知る者には、
百火のように摩緒を助ける者と、
白眉のように摩緒を怨敵とする者がいる。
華紋は真砂の亡骸を取り戻そうとし、
不知火は泰山府君を求めている。
同じ呪いが全員を
同じ方向へ動かしているのなら、
これほど行動は分かれないはずだ。
長く生きたことを共通点としつつ、
何を受け、今何をしているかを
一人ずつ追う必要がある。
★第4章 幽羅子の「呪いの器」は何を取り込むのか
| 順位 | 第5位 |
| 称号 | 死神 |
| 外見 | 骸骨を思わせる顔 |
| 立場 | 王竜王国に仕える剣士 |
| 戦い方 | 経験・幻惑・駆け引きを使う老練型 |
| 変わったエピ① | 世界第五位の「死神」なのに、一時は戦いに疲れて料理人を目指す |
| 変わったエピ② | 若い頃には北神二世のもとでアレクとも関わり、後に別々の列強席へ進む |
| 順位 | 第6位 |
| 称号 | 剣神 |
| 流派 | 剣神流 |
| 拠点 | 剣の聖地 |
| 主な弟子 | エリス、ニナ、ジノなど |
| 印象的なエピ① | 第3期ではエリスを鍛える「世界第6位の師匠」として登場する |
| 印象的なエピ② | 後に自分の弟子ジノに敗れ、生きている間に剣神と第6位の席を失う |
| 順位 | 第7位 |
| 称号 | 北神カールマン三世 |
| 流派 | 北神流 |
| 通称 | アレク |
| 終盤 | ギース側の強敵としてルーデウスたちの前へ現れる |
| 印象的なエピ① | ルイジェルド、エリスらとの連戦を経ても戦い続ける列強級の強敵 |
| 印象的なエピ② | ルーデウスに第7位を奪われても生存し、後にはオルステッド側へ加わる |
第20話|夏野が覚えていた紗那の心臓と黒い邪気
幽羅子を最初から
呪いの器として知ることはできない。
第14話、帝都の政財界のサロンに
彼女が現れた時、
華紋は不知火の手先ではないかと考える。
摩緒が顔を見て驚いたのは、
九百年前に死んだ紗那と
瓜二つだったからだ。
まず目に入るのは、
過去に失った人と現在の女性の顔の一致である。
第15話、不知火は摩緒に
泰山府君の秘法を渡せと迫る。
摩緒は寿命の術を要求されるだけでなく、
紗那と同じ顔の幽羅子が
不知火の側にいることへ怒りを向けた。
幽羅子の顔は摩緒の記憶を揺さぶるが、
その時点で摩緒は
彼女が岩屋でどんな暮らしをしてきたかを
知っているわけではない。
第18話には夏野が現れ、
大五と紗那の過去を語る。
摩緒が覚える紗那だけでなく、
別の姉弟子から見た
九百年前の出来事が加わる。
同じ屋敷にいた二人が
それぞれ異なるものを覚えているから、
幽羅子を見た時の反応も違う。
摩緒は顔を見て紗那を思い出し、
夏野は後に別の痕跡へ気づく。
第19話、摩緒たちは夏野の力を借りて
海底の社へ向かう。
そこで不知火から真砂の最期を聞かされ、
華紋が追い詰められる。
御降家の過去を知る者たちが
次々に傷を突きつけられる場所へ、
幽羅子の存在も重なってくる。
彼女が紗那と同じ顔をしていることは、
摩緒だけの個人的な驚きでは
済まなくなっていく。
第20話、夏野が摩緒たちへ告げたのは
幽羅子から放たれた黒い邪気のことだ。
それは九百年前、
紗那の心臓を掴み出した時の邪気と
同じだったという。
紗那に似た顔と、
紗那を襲った力の気配が
幽羅子の周囲で重なる。
夏野は当時の出来事を知るからこそ、
現在の邪気へ反応できた。
顔と邪気が共に紗那へつながっても、
幽羅子を紗那本人だとは決められない。
紗那は師匠の娘として
九百年前に謎の死を遂げた。
一方、幽羅子は不知火と行動し、
大正で摩緒の前に立っている。
夏野が証言したのは
黒い邪気の一致であり、
二人の身元が一つだという
証明ではない。
黒い邪気を見た時、
幽羅子がただ術を使って
他人を呪う側なのか、
自分の中に呪いを抱えた人物なのかは、
外から見ただけでは分かりにくい。
摩緒は第14話の顔を覚え、
夏野は第20話の邪気を覚えている。
二人の見聞を合わせても、
幽羅子自身が呪いと
どう関わらされてきたかまでは
本人の過去を待たなければならない。
この段階で幽羅子を
百火と同じ「死んでも戻る者」や、
菜花と同じ「猫鬼の血を浴びた者」へ
入れるのは早い。
顔、黒い邪気、不知火との行動は
確かめられた事実だ。
それでも、呪いを取り込む器という
彼女の立場が見えるのは、
第26話に菜花へ過去を語ってからである。
第26話|呪符に囲まれた岩屋で過ごした幽羅子の過去
第25話、宝生かがりは
女学校の呪詛事件を調べる菜花を襲う。
摩緒がその場を助けても、
かがりは呪いの針で菜花の居場所を突き止め、
幽羅子のもとへ連れ去った。
それまで摩緒や華紋が追っていた幽羅子と、
今度は菜花が直接向き合う。
第26話に語られる岩屋の過去は、
この危険な連れ去りの後に始まる。
幽羅子が菜花へ話したのは、
平安時代の御降家での暮らしだ。
彼女は家へ放たれた呪いを
取り込む器として、
呪符に囲まれた岩屋にいた。
呪いを受けてしまった後で
治療を探す患者ではない。
御降家を狙う呪いの行き先として
扱われることが、初めから
暮らしの中へ組み込まれていた。
「器」と聞くと、
何かを閉じ込める道具のように
捉えたくなる。
しかし岩屋にいたのは、
外にも世界があることを
後から知る一人の人間だ。
呪符で囲まれた場所を出られずに
暮らしてきたことは、
体に黒い邪気があるという説明より
はるかに具体的な影響である。
呪いは彼女の毎日と行動範囲を決めていた。
摩緒、百火、華紋らは
御降家で術を学ぶ弟子だった。
第8話の百火は五色堂へ呼ばれた
五人の話を語り、
第16話の白眉もそこにいたと分かる。
幽羅子は彼らと同じ時代を知るが、
弟子として五色堂の名簿へ
加える人物ではない。
御降家に向けられた呪いを
引き受ける位置へ置かれていた。
第26話には、幽羅子が
岩屋の外にも世界があると知り、
初めて摩緒と出会う。
大正で摩緒が彼女の顔を見た時の
驚きだけでは、ここへたどり着けない。
摩緒にとって幽羅子が
誰に似ているかとは別に、
幽羅子にとって摩緒との出会いが
閉じた暮らしの中で起きた
新しい出来事だったと分かる。
菜花にも猫鬼の血を巡る
体の異変がある。
第3話には刀へ触れても死なず、
第7話には八年前の自分が
猫鬼に運ばれる場面を見た。
それでも菜花は令和で育ち、
自分の事故を調べに戻れた。
幽羅子には岩屋の暮らしがあり、
外の世界を知ること自体が
人生の転機となる。
二人が呪いに関わるからといって、
奪われた日常は同じではない。
第20話の黒い邪気を
第26話の過去へ重ねると、
幽羅子の内にあるものを
単なる攻撃の力として
見ることはできなくなる。
御降家へ放たれた呪いを
取り込む器だったという事実が、
邪気を放つ現在の姿の背後にある。
ただし、黒い邪気のすべてを
どの呪いが生んだかまで、
一場面から断定してはいけない。
幽羅子は、摩緒や菜花と同じく
呪いの近くで生きる人物だ。
しかし摩緒には猫鬼との因縁、
菜花には血と事故の記憶、
幽羅子には御降家の呪いを
引き受ける岩屋での日々がある。
誰が何を受けたかに加え、
受けたことでどこへ置かれ、
誰に会えなくなったかまで見れば、
幽羅子を「不知火の手先」
だけでは言い尽くせなくなる。
★第5章 加神家の獣と傀儡の針は誰を変えたのか
| 終盤順位 | 第6位 |
| 称号 | 新・剣神 |
| 師匠 | ガル・ファリオン |
| 同期 | ニナ、エリスらと剣の聖地で修業 |
| 変わったエピ① | 最強や名誉を欲したのではなく、ニナとの結婚を実現するため本気でガル超えを目指す |
| 変わったエピ② | 第3期では目立たない弟子側なのに、後には師匠を正面から破って世界第6位へ入る |
| 終盤順位 | 第7位 |
| 二つ名 | 泥沼 |
| 立場 | 龍神オルステッドの配下 |
| 得意 | 無詠唱魔術・予見眼・魔導鎧・膨大な魔力 |
| 印象的なエピ① | 「泥沼」は列強入りで付いた名前ではなく、第2期以前の冒険者時代から使われてきた二つ名 |
| 印象的なエピ② | アレクを仲間と共に倒して第7位になるが、本人は「自分が世界7番目」とは受け取らない |
| 席 | 以前 | 交代後 | きっかけ |
|---|---|---|---|
| 6位 | ガル | ジノ | ジノがガルを破る |
| 7位 | アレク | ルーデウス | ビヘイリル王国でアレクを撃破 |
| 共通点 | 前任者がその場で死亡しなくても、席は移る | ||
加神一馬|第21話に明かされた、当主の心を喰う獣
第21話の加神一馬を、
通り魔殺人を起こした男という
結果だけで見てはいけない。
加神家では代々、当主が
獣を体に納めてきた。
一馬もその獣に心を喰われていたと分かる。
人が獣を使役しているつもりでも、
体の内側へ入れたものに
人の心が奪われる。
そこが加神家の異変の怖さだ。
摩緒はこれまで、
自分や菜花の体に関わる
猫鬼の血を追ってきた。
しかし一馬を見れば、
人の体に異質なものが宿ることにも
別の形があると分かる。
摩緒は獣姿に変化しても、
第7話には幼い菜花を守ろうとした。
一馬の場合は体内の獣が心を喰い、
通り魔殺人という被害へつながっている。
加神家の問題は、
一馬一人に突然起きた
一度きりの事故でもない。
代々の当主が獣を体へ納めるという
家のあり方が先にある。
引き受ける人が替わっても
獣を納める行為は続いてきた。
その末に当主となった一馬の心が
喰われていると知ると、
目の前の事件だけでなく
家が重ねてきた危うさも見えてくる。
一馬の弟・双馬は、
兄と戦って傷つく。
摩緒はその双馬を診療所へ運んだ。
通り魔事件を調べる側にいた摩緒が、
一馬に対抗した双馬を
患者として迎える場面である。
だからこそ、双馬が摩緒の目を盗んで
診療所から姿を消した後の動きは重い。
兄の獣を止める話だけでは、
加神家を巡る危険は終わらない。
一馬と双馬を、
同じ獣に心を喰われた兄弟として
一括りにすることもできない。
第21話で獣に心を喰われていたと
明かされるのは一馬だ。
双馬は兄との戦いで傷つき、
摩緒に助けられた後で
別の行動を取る。
家の獣が生む危機と、
弟が次に選んだ行動は
続いた事件の中でも分けて追いたい。
第22話、双馬は摩緒の背へ
傀儡の針を打ち込む。
針を渡したのは宝生かがりだ。
診療所へ運んだ双馬の手から
摩緒自身へ術が届くため、
一馬を巡る戦いで患者を助けたことが、
摩緒を守る結果にはつながらなかった。
人の体を脅かす獣の事件から、
今度は針で人の行動を奪う事件へ移る。
一馬の場合は、
内側に納めた獣が心を喰う。
摩緒の場合は、
外から背に打たれた針を通じて
白眉の呪力に操られる。
どちらにも本人の意思が
押しのけられる怖さがある。
だが獣を受け継ぐ家の問題と、
他人が仕掛けた傀儡の術は別だ。
「獣に変わる」という外見だけでは、
誰が何をしたかまで分からない。
第16話にも摩緒は
白眉との戦闘で獣姿になり、
第17話には消耗して眠り続けた。
それに対し第22話は、
双馬の針が明確な引き金になっている。
同じ摩緒の体に起きたことでも、
白眉に追い詰められて暴走した場面と、
針で操られた場面では
直前の出来事が異なる。
一馬の獣まで重ねれば、
三つの危機はそれぞれ別の形を持つ。
一馬の事件をここで追うのは、
通り魔の結末を知るためだけではない。
獣を体に納めた当主が
自分の心を失い、
傷ついた弟を助けた摩緒が
今度は針で意思を奪われる。
第21話と第22話を続けて見ると、
人の内側へ異質な力を入れることと、
人を外から操ることの両方が、
本人と周囲を傷つけている。
摩緒|第22話に針を打たれ、菜花たちへ襲いかかる
第22話の摩緒は、
自分から菜花や乙弥を
傷つけようとしたわけではない。
双馬に背中へ針を打たれると、
獣姿へ変貌する。
駆けつけた百火、菜花、乙弥へ
襲いかかった時には、
白眉の呪力に操られていた。
三人から見える姿は摩緒でも、
その動きを摩緒自身の意思としては扱えない。
針の持ち主にも目を向けたい。
宝生かがりは呪い屋の娘であり、
針を使う。
第22話に摩緒へ直接針を打ったのは双馬だが、
渡したのはかがりで、
摩緒を操る力には白眉が関わる。
一人の体が支配されるまでに、
針を渡す者、打ち込む者、
操る者が重なっている。
摩緒が突然暴れたのではない。
摩緒が襲う相手も、
偶然そこにいた人々ではない。
菜花は令和から大正へ通い、
猫鬼を共に追ってきた。
乙弥は診療所で摩緒を支え、
百火は第17話に摩緒の留守を守った。
その三人が助けに来た瞬間、
摩緒の攻撃を受ける側になる。
白眉の術は摩緒の体を奪うだけでなく、
摩緒が築いた関係を危険へ変えている。
第17話、眠り続ける摩緒の代わりに
菜花、乙弥、百火は
治療を求める妖たちを迎えた。
摩緒が動けなくなっても、
診療所を守ろうとした三人である。
第22話には同じ三人が
摩緒のもとへ駆けつけ、
今度は摩緒から襲われる。
二つの場面を重ねると、
針が壊しかけたものが
摩緒の意識だけではないと分かる。
百火は第8話、
摩緒へ火の術を向けている。
しかし第22話に摩緒と戦うことになっても、
第8話と同じ敵意で来たわけではない。
助けようとして近づいたところを
操られた摩緒に襲われた。
同じ二人が向き合う戦闘でも、
どちらが攻撃を選び、
どちらの意思が奪われたかで
出来事の性質は変わる。
摩緒の獣姿だけを見て
猫鬼の呪いの影響だと
一言で済ませると、
双馬の針とかがりの関与、
白眉による支配が抜け落ちる。
第7話に摩緒は幼い菜花を守るため、
獣姿で守護の式神を飛ばした。
第22話には同じ姿で
菜花本人へ襲いかかる。
姿は似ていても、
守ろうとした行動と
操られた行動は正反対だ。
白眉は第16話、
金の術で摩緒を直接追い詰めた。
第22話には針を通じて
摩緒自身の力を利用する。
白眉が御降家の怨敵と呼ぶ相手を、
その仲間への攻撃に使った形だ。
昔の同門同士の争いが、
現在の菜花や乙弥へ及ぶところに、
傀儡の針の残酷さがある。
第25話には、
かがりが白眉の仲間だと明かされる。
女学校の呪詛事件を調べる
菜花を攻撃し、
呪いの針で居場所を突き止めて
幽羅子のもとへ連れ去った。
第22話の針は一度限りの道具ではない。
人の体を操り、
居場所を追い、
白眉たちの狙う人物へ近づくために
使われている。
摩緒は猫鬼との因縁を抱え、
九百年にわたって呪いを追ってきた。
それでも第22話には、
他人の術で自分の行動を
奪われる側にも回る。
長く呪いを知る術者でも、
針を打たれれば周囲を
守れなくなる。
誰が強い術を持つか以上に、
誰の意思で体が動いているかが
この場面では決定的である。
★第6章 墓土を食べる患者は、誰の術に動かされたのか
| 戦い | 結果 | 順位は? |
|---|---|---|
| ジノ vs ガル | ジノが剣神を破る | 第6位がジノへ移る |
| ルーデウスたち vs アレク | アレクを撃破 | 第7位がルーデウスへ移る |
| ルーデウスたち vs 闘神 | 闘神鎧をまとったバーディガーディを退ける | 第3位はそのまま |
| なぜ違う? | 闘神では「装着者を倒した」だけではなく、順位対象となる闘神鎧そのものをどう扱ったかが重要になる | |
| 覚え方 | 勝敗=必ず順位変更、ではない。誰・何が席の対象なのかまで確認する | |
第23話|病院を抜け出し、墓の土を食べて吐き出す患者
第23話の患者は、
御降家の陰陽師でも
摩緒を狙う刺客でもない。
食事を取らないまま、
毎夜病院から姿を消す。
摩緒、菜花、乙弥が後を追うと、
向かった先で墓の土を食べ、
その後に吐き出していた。
病院の中では原因が見えなかった異変を、
三人が夜の行動から確かめる場面だ。
墓土を食べるという行為だけなら、
患者本人の奇妙な習慣にも見える。
しかし食事を取らずに
病院を抜け出すことを繰り返し、
口にした土を吐き出している。
摩緒がそこで驚いたのは、
強い呪いと土の術だった。
患者が自分で土を欲しがり、
好きな時に食べているという説明では、
その異様な繰り返しを捉えられない。
第21話の一馬は、
体に納めた獣に心を喰われた。
第22話の摩緒は、
背中の針を通じて白眉に操られた。
第23話の患者では、
夜になると病院を離れ、
墓土へ向かう行動が前面に出る。
同じく本人の意思が揺らぐ場面でも、
体内の獣、外から打たれた針、
土を巡る呪いでは、
現れる症状がまるで違う。
この患者に呪いを残したのは、
殺された老祈祷師だった。
死に際の呪いによって患者は、
その祈祷師が果たせなかった
土の術者を集める役目を
引き継がされている。
墓土を食べて吐き出す行動には、
患者自身の望みではない
別の働きが重なっている。
老祈祷師が死んでも、
押しつけられた役目は消えなかった。
墓土から吐き出される
黒い呪いは、
残っている土の術者へ届く合図になる。
だから、摩緒が土の術に驚いた場所へ
夏野が現れる。
第18話には大五と紗那の過去を語り、
第19話には海底の社で
摩緒たちを助けた姉弟子だ。
第23話には別の誰かへ掛けられた呪いが、
土の術者である夏野を
現在の事件へ呼び寄せる。
患者は摩緒たちに
襲いかかるためだけに
夜の墓地へ来たわけではない。
他人の残した役目を
体に背負わされ、
病院にいる時の生活から
墓土を食べる行動へ
引きずり出されている。
呪いを受けた人の被害を考えるなら、
何を食べたかという異様さだけでなく、
自分の時間と行き先を
選べなくなった点も重い。
老祈祷師へ土の術を教えた人物を
たどろうとすると、
その正体を語れないほど
厳しく隠されていたことも分かる。
患者へ直接呪いを残した老祈祷師と、
その背後の土の術は、
同じ位置にいるとは限らない。
目の前の患者だけを見ても
始まりへ届かないところが、
第23話の事件を深くしている。
第24話には夏野が自分で
村芝居の一座の噂を追い、
土砂崩れで埋まった村を発見する。
そこで妖に襲われ、
逃れた後に華紋を頼ろうとした。
第23話の墓土の患者から
土の術者・夏野が現れ、
次には夏野自身が別の異変を追う。
患者へ掛けられた呪いは
一夜の珍事として閉じず、
大正の土を巡る出来事へ視線を向けさせる。
それでも、土の術が関わるだけで
御降家の土の兄弟子・大五を
患者を呪った本人へ
直ちに当てはめることはできない。
摩緒の前に現れたのは夏野であり、
患者には老祈祷師の
死に際の呪いがある。
同じ属性の術が続いても、
術を教えた者、呪いを残した者、
それを受けた者は別々に確かめたい。
呪いを受ける人と、かがりのように呪いを使う人の違い
第23話の患者は、
他人の残した呪いによって
行動を変えられた側だ。
これに対して宝生かがりは、
呪い屋の娘として針を使う。
第22話には双馬へ渡した針が
摩緒の背へ打ち込まれ、
第25話には菜花の居場所を
呪いの針で突き止めた。
呪いが近くにある人物を
全員「呪われた被害者」へ
入れることはできない。
第25話、かがりは
女学校で呪詛事件を起こし、
調査に入った菜花へ攻撃を仕掛ける。
摩緒が助けた後も、
針を使って菜花を追い、
幽羅子のもとへ連れ去った。
第22話に摩緒を操るため
使われた針と同じく、
呪いが人の行動や居場所へ
入り込む危険がある。
かがりはその術を
他人へ向けて使う側にいる。
白眉も第22話には、
傀儡の針を通じて
摩緒を操った。
摩緒は菜花たちへ
襲いかかる被害者であり、
同時に目の前の三人を
傷つけかねない攻撃の手段となる。
外から見れば摩緒が暴れていても、
背後には白眉の呪力がある。
誰の体が動いたかだけでなく、
誰がその動きを仕掛けたかが重要だ。
第4話の鐘臨教でも、
菜花と乙弥は地下室で
呪法の写本を見つけた。
教祖の鐘呼は二人を
地下室に閉じ込める。
呪法の記録があることと、
そこにいる全員が同じ呪いを
受けていることは別である。
しかも写本には、
人の寿命を操る方法は載っていなかった。
術を調べ、扱おうとする人の行動と、
術で体を変えられた人の症状は分けたい。
不知火も第10話には
魚と水でできた巨人を送り、
泰山府君の術を求める。
第13話には延命を称する商売への
関与が華紋から伝えられた。
不知火自身が九百年生きているからといって、
その延命商売を使って
自分の命をつないだと
決まるわけではない。
人の寿命へ手を伸ばす行動と、
本人の体に何が起きたかは
別々に確かめる必要がある。
幽羅子にも、
黒い邪気を放つ第20話の姿と、
呪いを取り込む器として
岩屋で暮らした第26話の過去がある。
現在の力だけを見れば、
他人へ呪いを向ける側に見える。
しかし過去を聞けば、
御降家へ放たれた呪いの行き先に
された人物でもある。
誰かが力を使う場面だけで、
その人が負ってきたものを
消すことはできない。
摩緒も陰陽師として
呪符や刀を使い、
呪いに関わる事件へ向かう。
だが第22話には針を打たれ、
白眉に操られる側となった。
呪いを知る者なら
呪われずに済むわけではない。
第23話の患者に起きたことを
見抜こうとする摩緒自身も、
前の話では意思を奪われていた。
術者と被害者の位置は
人物名だけでは固定されない。
呪いを受けた人物を見分けるには、
かがりの針なら
誰が渡し、誰が打ち込み、
誰の行動が変わったかを見る。
墓土の患者なら、
誰が死に際に呪いを残し、
患者へどんな役目が移ったかを見る。
同じ呪いという言葉でも、
仕掛ける側、運ぶ側、受ける側では
現場で起きたことが違う。
場面をたどれば、
患者や摩緒の被害が明確になる。
第21話の一馬は
獣に心を喰われ、
第22話の摩緒は針で操られ、
第23話の患者は
墓土を食べる行動へ向かわされる。
第25話にはかがりの針が
菜花の居場所を暴き、
幽羅子のもとへ連れ去る。
呪いは人を死なせるだけではない。
生きたまま心や行動を奪い、
その人が大切にしてきた相手まで
危険へ巻き込んでいく。
★第7章 呪いは命と行動をどこまで奪うのか
| 順位 | 人物 | 終盤で覚えたい状態 |
|---|---|---|
| 1位 | 技神ラプラス | 長く表舞台へ姿を見せないまま首位 |
| 2位 | 龍神オルステッド | ヒトガミ打倒を目指し、ルーデウスを配下に置く |
| 3位 | 闘神バーディガーディ | 最終決戦後も第3位は維持 |
| 4位 | 魔神ラプラス | 封印中でも席を維持 |
| 5位 | 死神ランドルフ | 第5位を維持 |
| 6位 | 剣神ジノ・ブリッツ | 師ガルを破って新たな剣神になる |
| 7位 | 泥沼ルーデウス・グレイラット | アレクとの戦い後に新しく列強入り |
| 重要 | この並びは「一対一なら必ず1位が2位に勝つ」という実戦ランキングではない | |
長く生きる百火と、自分の意思で動けなくなる摩緒
呪いを受けた人物を
「死ぬか、生き残るか」だけで分けると、
『MAO』で起きていることの半分が抜ける。
第8話の百火は一度死んで生き返った。
第22話の摩緒は生きたまま
白眉に操られ、菜花たちを襲った。
命が続くことと、
自分の体を自分で動かせることは、
同じではない。
百火の復活を見た直後には、
九百年生きた者は
死からも戻れるように思える。
しかし第17話の百火を見ると、
彼は復活を繰り返すためだけに
大正にいるのではない。
白眉との戦いで眠る摩緒に代わり、
菜花、乙弥と共に
診療所へ来る妖たちに対応する。
百火は長い命を使って、
現在の誰かを助けている。
第22話には、その百火が
菜花、乙弥と摩緒のもとへ駆けつける。
だが摩緒は背へ傀儡の針を打たれ、
獣姿で三人に襲いかかった。
第17話に診療所を守った者たちが、
今度は守ろうとした摩緒から
危険を受ける側になる。
白眉の術が奪ったのは
摩緒の判断だけではない。
助けに来た相手を信じて迎える
当たり前の行動まで奪っている。
第7話の摩緒も獣姿になったが、
幼い菜花を守るため
現代へ守護の式神を飛ばしている。
第16話には白眉との戦いで暴走し、
第22話には針を通じて操られる。
姿だけを並べれば似ていても、
誰を守ろうとしたか、
何に追い詰められたか、
誰の意思で攻撃したかが異なる。
呪いの影響は外見ではなく、
行動の主導権に現れる。
第21話の加神一馬は、
代々の当主が体に納める獣に
心を喰われていた。
通り魔殺人という被害を見れば、
本人の体に宿るものが
周囲の命まで脅かしていると分かる。
摩緒の針と一馬の獣は
別の仕組みだが、
体の内側にある力によって
人の意思が押しのけられる点で重なる。
第23話の患者では、
もっと静かな形で行動が奪われる。
食事も取らず病院を抜け出し、
夜の墓で土を食べて吐き出す。
誰かを刀で襲う場面ではない。
それでも自分の生活を続けられず、
老祈祷師が残した役目へ
体を向かわされている。
呪いは派手な変身や戦闘がなくても、
一人の日常を壊せる。
百火の生き返る体、
一馬の心を喰う獣、
摩緒を動かす傀儡の針、
患者を墓へ行かせる呪い。
四つを同じ症状にすることはできない。
だが、どの場面でも問われるのは、
その人の命や体を
誰が動かせる状態にあるかだ。
術を掛けられた後の行動だけを
本人の望みとして受け取れば、
被害そのものを見失う。
かがりは針を渡し、
双馬は摩緒へ打ち込み、
白眉は摩緒を操った。
老祈祷師は死に際に
患者へ呪いを残した。
加神家では当主が
獣を体へ納めることが続いてきた。
呪いの被害者を見る時、
体が変わった人物だけでなく、
その状態を作り、引き継がせた者まで
たどる必要がある。
その先で百火の姿は、
単なる不死身の兄弟子とは
違って見えてくる。
一度死んで戻ったことは確かだが、
第17話に診療所を支え、
第22話に摩緒を助けに来たのも確かだ。
異常な体を持つ者にも、
現在の行動を選ぶ余地がある。
だからこそ摩緒や一馬や患者が
意思を奪われる場面は重い。
菜花と幽羅子が知った過去が、猫鬼と御降家の呪いをつなぐ
菜花は第1話、
自分を呪われた人物だとは知らず
大正へ迷い込んだ。
摩緒から妖ではないかと疑われても、
何を根拠に言われたか分からない。
第3話、破軍星の太刀に触れても
死ななかったことで、
八年前に浴びた猫鬼の血が
自分の体へ残っている可能性を知る。
呪いは、失った事故の記憶を
取り戻す問いにもなった。
第6話、摩緒から渡された
解毒剤を飲んだ菜花は、
事故の日を思い出す。
第7話には幼い自分が
猫鬼にくわえられ、
五行商店街の門から令和へ
運ばれる場面へ立ち会った。
そこでは獣姿の摩緒が
守護の式神を現代へ飛ばしている。
菜花の体に起きたことは、
猫鬼だけでなく
摩緒の九百年の因縁とも接する。
第13話には猫鬼自身が令和へ現れ、
菜花へ摩緒宛ての伝言を託す。
八年前に血を浴びた事故だけで、
菜花と猫鬼の接点が終わったわけではない。
菜花は令和と大正を往来しながら、
自分へ何が起きたかを知り、
猫鬼の言葉を摩緒へ運ぶ。
呪いを受けたかもしれない少女が、
ただ守られるだけの立場に
とどまっていない。
幽羅子にも、
自分の過去を他人からどう見られるかと、
本人がどう語るかの差がある。
第14話、摩緒は彼女の顔を見て
紗那を思い出した。
第20話、夏野は幽羅子の黒い邪気に
紗那の心臓を掴み出した
九百年前の邪気を見た。
どちらも大切な証言だが、
幽羅子が岩屋でどう暮らしたかは
それだけでは分からない。
第25話、かがりに連れ去られた菜花は
幽羅子のもとへ来る。
第26話、幽羅子は菜花へ、
御降家へ向けられた呪いを
取り込む器として
呪符に囲まれた岩屋で暮らしたと語った。
摩緒が紗那に似た顔として見た女性に、
呪いの行き先を負わされていた
本人の生活があった。
過去を聞く前と後で、
幽羅子の見え方は変わる。
菜花は猫鬼の血を巡り、
自分が失った記憶を追った。
幽羅子は御降家の呪いを取り込む
器として過ごした時間を菜花へ話す。
二人が受けたものは同じではない。
菜花は令和に戻って事故を調べられたが、
幽羅子は岩屋の外に世界があることを
後から知った。
どこで暮らせたかまで比べると、
呪いが奪ったものの差が見える。
摩緒には猫鬼との長い因縁があり、
御降家には五色堂へ呼ばれた
弟子たちの過去がある。
幽羅子は同じ御降家の時代に
呪いの器として岩屋に置かれていた。
これらを一つの呪いへ
無理にまとめる必要はない。
第26話までに分かるのは、
平安時代から続く異なる出来事が
大正の摩緒と令和の菜花の前へ
同時に現れていることだ。
第8話に百火が死んで戻り、
第16話には白眉が摩緒を怨敵と呼び、
第20話には夏野が紗那を襲った
邪気を思い出す。
昔を知る者たちの証言は
それぞれ違う場所を指す。
菜花と幽羅子の過去まで加えると、
御降家に関わった全員が
同じ立場で呪いを受けたわけではないと
より明確になる。
『MAO』の呪いで怖いのは、
命を奪うことだけではない。
摩緒を仲間へ襲いかからせ、
一馬の心を獣に喰わせ、
患者を夜の墓へ歩かせる。
幽羅子からは岩屋の外で暮らす
時間を奪ってきた。
一方で菜花は失った記憶を追い、
幽羅子は自分の過去を語る。
誰が何を奪われ、
その後に何を自分で選ぶのか。
そこまで見て初めて、
呪われた人物それぞれの現在が分かる。
MAOまとめ
『MAO』の考察・キャラ解説・猫鬼の呪い・五色堂・アニメ感想記事をまとめています。
摩緒、菜花、猫鬼、百火、華紋、不知火、白眉、玄武、乙弥など記事一覧はこちら。
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