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【アニメMAO】墓土を食べる患者はなぜ呪われた?土の術者を集める「百年目」の合図

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墓土を食べていた患者は、土そのものを欲していたのではなく、自分が殺した老祈祷師から死に際の呪いを受け、その人物が果たせなかった“土の術者を集める役目”を強制的に引き継がされていた。
墓土から吐き出された黒い呪いは、残っている土の術者へ届く合図であり、だから同じ土属性の夏野が異変を察知して墓地へ現れる。しかも老祈祷師へ土の術を教えた人物は、正体を語れないよう口そのものを消されるほど厳重に隠されていた。

  1. 第1章 墓土を食べる患者はなぜ呪われた?まずアニメ第23話で分かること
    1. 患者自身が墓土を欲していたのではなく、強力な呪いで身体を動かされていた
    2. 黒い呪いが出たことで、第20話の紗那の死とも不気味につながって見える
  2. 第2章 患者はなぜ毎晩病院を抜け出し、墓地へ向かった?
    1. 夜歩きは無意識の徘徊ではなく、墓地まで同じ行動を繰り返す呪いの指示だった
    2. 墓土を食べた後に黒い呪いを吐くところまでが、一つの術として完成している
  3. 第3章 患者が吐き出した黒い呪いは何だった?
    1. 黒いものは墓土そのものではなく、患者の身体を通して外へ放たれた強力な呪い
    2. 夏野が現れたのは、放たれた呪いが土の術者へ届く性質を持っていたから
  4. 第4章 患者へ呪いをかけたのは誰?
    1. 患者を操っていたのは、彼自身が殺した老祈祷師が死に際に残した呪いだった
    2. 老祈祷師の死で止まるはずだった仕事を、殺した患者へ強制的に引き継がせた
  5. 第5章 土の術者を集める「謎の合図」とは何?
    1. 患者が吐いていた呪いは、残っている土の術者へ届かせるための呼びかけだった
    2. 老祈祷師へ土の術を教えた人物は、正体を話そうとすると口まで消される仕掛けを残していた
  6. 第6章 なぜ夏野はこの合図に引き寄せられた?
    1. 夏野は墓地の呪いを以前から追っており、土の攻撃を受けた瞬間に100年前の記憶まで戻った
    2. 患者の事件の直後、華紋が語る悲田院の過去から夏野の「百年目」の正体が見え始める
  7. 第7章 墓土を食べる患者の事件は、900年前から続く「土」の謎を呼び戻す合図だった
    1. 一人の患者の奇病ではなく、御降家から続く土の術を現在へ引き戻す事件だった
    2. 墓土の合図が呼び出したのは、夏野自身が900年間背負ってきた「百年目」だった

第1章 墓土を食べる患者はなぜ呪われた?まずアニメ第23話で分かること

患者自身が墓土を欲していたのではなく、強力な呪いで身体を動かされていた

第23話「夜歩く患者」で摩緒たちが出会った男は、
単なる奇食症の患者ではない。
病院ではほとんど食事を取らず、
夜になると人目を避けて外へ出る。
しかも向かう先は食堂でも市場でもなく、
人の気配が消えた墓地だった。

患者は目を包帯で覆ったまま歩き、
墓石の前で土を掘り、
その墓土を口へ入れては吐き出す。
自分から味わって食べている様子ではなく、
決められた手順を繰り返すように動いている。
摩緒が異常を感じたのも、
この行動が病気だけでは説明できなかったからになる。

さらに患者が吐き出したものには、
普通の土とは違う黒い呪いが混じっていた。
摩緒はそこで、
強い術が患者の身体へ入り込んでいることを察知する。
同時に土属性の力も感じられ、
「誰かがこの男を使って何かをしている」という構図が見え始める。

つまり患者は、
自分の意思で墓土を食べていたのではない。
外からかけられた呪いによって、
夜になると墓地へ向かい、
土を口へ入れ、
黒い術を吐き出す行動を繰り返していた。
第23話の段階でも、
本人より背後の術者を見るべき事件だと分かる。

ここで第17話「土門」の事件を思い出すと、
土の術が人間の身体へ入り込む危険性がすでに描かれている。
土門が作った未熟な土薬によって、
少年の身体そのものが土へ変わりかけた。
土属性は、
岩や地面を動かすだけではなく、
肉体の状態まで変えてしまう力を持つ。

第23話の患者も同じ状態ではないが、
「土の術が身体を媒介にする」という点ではつながる。
本人が術を使っているのではなく、
身体そのものが術の通り道になっている。
食事を拒み、
墓土だけを口へ入れる異常も、
その身体が普通の人間の欲求から外されている証拠になる。

さらに第18話「夏野」では、
土の術者として夏野が本格登場している。
夏野は御降家時代から土を扱い、
現在でもその術を使い続けている人物。
その夏野が第23話の墓地へ現れることで、
患者の奇病が土属性の深い問題へつながっていることが強調される。

ただし、
第23話だけを見て
「夏野が患者へ呪いをかけた」
と考えるのは早い。
摩緒たちの前へ現れた夏野自身も、
この異変を追う側に近い。
誰が呪いを仕掛けたのか、
なぜ土の術者である夏野が反応したのかは、
まだ別の答えを残している。

黒い呪いが出たことで、第20話の紗那の死とも不気味につながって見える

第23話で目を引くのは、
墓土そのものより、
患者が吐き出した黒いものになる。
この黒い呪いを見た時、
第20話「紗那の心臓」で描かれた邪気を思い出しやすい。
あの回では、
幽羅子から放たれた黒い邪気を見て、
夏野が900年前の出来事と結びつけていた。

夏野は、
紗那の心臓を奪った時に現れた邪気と、
現在目の前にあるものが似ていると語る。
摩緒自身が知らなかった九百年前の現場を、
夏野は直接知っている。
そのため第23話で再び黒い術が現れると、
単なる一話限りの怪異には見えにくくなる。

もちろん、
第20話の邪気と第23話の患者の呪いが、
完全に同一だと断定できるわけではない。
ただ、
黒い術が人間の身体へ入り込み、
生命や肉体へ干渉するという点は共通する。
そこへ土属性まで加わることで、
御降家時代から続く術の系統が疑われる。

ここが第23話の強いところになる。
患者本人は、
町の病院へ入院している一人の男にすぎない。
しかし身体へ入った呪い。
墓土。
黒い術。
夏野の登場。
それぞれが御降家や九百年前の事件へつながる要素を持っている。

だから「なぜ呪われた?」へのアニメ範囲での答えは、
患者本人に特別な能力があったからではない。
誰かの強い土の術へ巻き込まれ、
その身体を使って決められた行動をさせられているから。
問題は患者の病名ではなく、
彼を使って何を起こそうとしているかになる。

第2章 患者はなぜ毎晩病院を抜け出し、墓地へ向かった?

夜歩きは無意識の徘徊ではなく、墓地まで同じ行動を繰り返す呪いの指示だった

患者の異常さは、
「土を食べる」場面だけを見ると分かりにくい。
第23話ではその前から、
病院側が不審な行動へ気づいている。
ほとんど食事を取らない。
夜になると姿を消す。
朝には泥だらけになって戻ってくる。
普通の病人では説明できない痕跡が続いていた。

摩緒、菜花、乙弥が後を追うと、
患者は迷いながら歩いているわけではない。
夜の町を抜け、
霧のような結界を越え、
決まった墓地へ向かっていく。
目を包帯で覆っているにもかかわらず、
目的地だけは分かっているように動く。

ここで重要なのは、
患者本人が墓地を探している様子がないこと。
誰かの墓参りでもない。
特定の死者を慕っているわけでもない。
身体が場所を覚えているように進み、
到着すると墓土を口へ入れる。
本人の感情より、
術の命令が優先されている動きになる。

第17話の土門の土薬では、
身体そのものが術へ侵食された。
第23話では、
今度は身体の行動まで制御されている。
土の術が外から攻撃するだけではなく、
人間を媒介にして
「歩く」「食べる」「吐き出す」
という一連の動作を強制できることが見えてくる。

しかも患者は、
普通の食事を取らない。
これは空腹がないというより、
身体が別の目的へ使われていると見る方が自然。
人間として必要な食事より、
墓土を口へ入れる行動が優先されている。
呪いが生活そのものを上書きしている状態になる。

菜花たちが尾行しなければ、
病院側からは、
夜になると姿を消す奇妙な患者にしか見えない。
しかし墓地まで追ったことで、
奇病と呪術事件が一つにつながる。
「夜歩く患者」という題名そのものが、
病気より術の命令を示していたことになる。

墓土を食べた後に黒い呪いを吐くところまでが、一つの術として完成している

墓地へ到着した後、
患者は土を食べて終わらない。
口へ入れた墓土を吐き出し、
そこから黒い呪いが外へ現れる。
この一連の動作を見ると、
墓土は食料ではなく、
術を発動させるための材料と考えた方が分かりやすい。

土を口へ入れる。
身体を通す。
黒い呪いとして吐き出す。
患者本人が術式を唱えるわけではないのに、
その身体を経由することで、
別の形へ変換されているように見える。

第23話で摩緒が驚いたのも、
単なる怪異ではなく、
かなり強い土の術が動いているから。
患者一人の霊力で起こせる規模ではない。
背後にいる術者が、
患者を媒介として使っていると考える方が自然になる。

そして黒い呪いが外へ放たれた後、
土属性の夏野が現れる。
この順番が重要。
夏野は偶然墓地を通りかかったのではなく、
土の異変を追う形で接触してくる。
つまり患者が吐き出した術には、
誰かへ届く働きがある可能性まで見えてくる。

ここではまだ、
原作で明かされる「何のための合図か」までは出さなくていい。
アニメ第23話だけでも、
患者が墓土を食べること自体が目的ではなく、
その後に何かを外へ放つことが本当の役割だと読める。
墓土は材料。
患者は媒介。
黒い呪いが結果になる。

この構図を押さえておくと、
夏野が現れた場面も分かりやすい。
第18話で土の術者として登場し、
第20話では九百年前の邪気を見抜いた人物が、
今度は現在の土の呪いへ反応する。
夏野の登場は、
患者を治すためだけではなく、
この術が誰へ向けられたものなのかを考える手掛かりになる。

だから患者が毎晩墓地へ向かったのは、
土を食べたいからではない。
呪いによって決まった場所へ運ばれ、
墓土を使い、
黒い術を外へ放つため。
第23話の「夜歩き」は、
奇妙な症状ではなく、
誰かが患者へ実行させていた一連の術式だったと見ると、
墓土、黒い呪い、夏野の登場が一本につながってくる。

第3章 患者が吐き出した黒い呪いは何だった?

黒いものは墓土そのものではなく、患者の身体を通して外へ放たれた強力な呪い

第23話「夜歩く患者」で、
摩緒が特に警戒したのは、
患者が墓土を食べた行為そのものではない。
墓石の下から掘り出した土を口へ含んだ後、
患者の身体から黒い呪いが吐き出され、
そこに強力な土の術まで混じっていたことだった。

患者本人は陰陽師でも、
土属性の術者でもない。
目の病で入院していた普通の男が、
夜になると結界の向こうにある墓地まで歩き、
墓土を身体へ入れて強い呪いを放つ。
この時点で患者は術者ではなく、
別の誰かが仕掛けた術を通す器になっている。

しかも黒いものが現れる描写は、
第20話「紗那の心臓」を思い出させる。
夏野は幽羅子が放った黒い邪気を見た時、
九百年前に紗那の胸へ入り込み、
心臓を掴み出した邪気と同じものだと証言していた。
夏野だからこそ判別できた、
御降家時代から残る異様な力だった。

第23話の黒い呪いと、
紗那を襲った邪気をそのまま同一視することはできない。
ただ原作でも、
墓土を食べた患者から現れた黒い呪いは、
かつて紗那から出た黒いものを思わせる形で描かれる。
身体の内部から外へ現れる点まで、
かなり不気味な共通性を持っている。

この作品では以前から、
呪いが単に相手を苦しめるだけでなく、
身体そのものを利用する形で描かれてきた。
第21話「双馬」では、
加神家の獣が一馬の身体へ収まり、
心を喰いながら通り魔事件を起こさせていた。
第22話「捨て身」では、
傀儡の針を刺された摩緒自身が獣姿へ変わり、
白眉の命令で仲間へ襲いかかっている。

つまり第23話の患者も、
「呪われて苦しむ被害者」だけではない。
本人の意思を奪われ、
身体を誰かの目的へ使われるという点では、
一馬や傀儡化した摩緒にも近い。
墓土を食べるという奇妙な症状の裏で、
術者が必要とする作業を代行させられていたことになる。

夏野が現れたのは、放たれた呪いが土の術者へ届く性質を持っていたから

ここで重要になるのが、
黒い呪いが外へ出た直後に、
土の術者である夏野が墓地へ現れたこと。
夏野は第18話で、
御降家の姉弟子として登場しただけではなく、
土を専門とする術者であることも示されている。

さらに第19話「海底の社」では、
摩緒たちは夏野の力を借りて海底へ向かっている。
第20話では九百年前の邪気まで見抜く。
夏野は土を操れるだけでなく、
古い術の性質や残された気配を、
現在の摩緒たち以上に知っている人物になる。

原作第79話「百年目」では、
夏野自身が墓地周辺から発せられていた呪いを以前から察知し、
調べるために来ていたことが分かる。
つまり患者と夏野が偶然同じ墓地へ来たのではない。
患者が繰り返し発していた術そのものが、
夏野の注意を引き寄せていた。

この時点で、
墓土事件の形がもう一段変わる。
患者を病気にすることだけが目的なら、
外へ強い呪いを放つ必要はない。
夜ごと同じ場所へ行かせ、
土を使わせ、
周囲の術者が気づくほどの力を発する。
そこには明らかに「誰かへ届かせる」働きがある。

第23話で夏野が現れたことは、
犯人候補が増えた場面ではなく、
呪いを受け取れる人物が現れた場面だったとも読める。
そして原作では、
その黒い呪いが何のために放たれていたのかを調べたことで、
患者より先に死んでいた一人の老祈祷師へ行き着くことになる。

第4章 患者へ呪いをかけたのは誰?

※ここから先は、アニメ未放送の原作内容を含みます。

患者を操っていたのは、彼自身が殺した老祈祷師が死に際に残した呪いだった

原作第79話「百年目」で、
患者の夜歩きは一気に具体化する。
摩緒と夏野が墓地で患者を調べようとすると、
包帯で覆われた目の奥から、
龍のような二体のものが飛び出して逃走。
摩緒はその後を追い、
小さな診療所へたどり着く。

そこは、
以前に殺された老祈祷師が使っていた場所だった。
一方で病院へ戻された患者は、
意識が乱れた状態で老祈祷師への恨みを口にする。
ここで別々に見えていた
「老祈祷師の殺害」と
「夜歩く患者」が直接つながる。

摩緒たちは、
すでに死んでいる祈祷師本人から事情を聞くため、
霊を呼び出して真相を確かめる。
そこで判明したのは、
患者が一方的に呪われた善良な被害者ではなく、
老祈祷師を襲って殺した張本人だったという事実だった。

ただし老祈祷師も、
何もできず殺されたわけではない。
自分が死ねば、
それまで任されていた仕事を果たせなくなる。
そこで死の間際に患者へ呪いをかけ、
自分の代わりにその仕事を続けるよう、
患者の身体へ命令を残していた。

これで第23話の不可解な行動がつながる。
患者は自分が殺した相手から、
死後まで続く強烈な呪いを受けた。
その結果、
入院した後も夜になれば身体が勝手に動き、
本来は老祈祷師が行うはずだった作業を、
本人の意思と無関係に繰り返していた。

老祈祷師の死で止まるはずだった仕事を、殺した患者へ強制的に引き継がせた

老祈祷師の行動で重要なのは、
患者への復讐だけが目的ではなかったこと。
単に自分を殺した男を苦しめたいなら、
病気にする。
命を奪う。
それだけでも十分だったはずになる。

しかし実際に残した呪いは違った。
患者を毎晩動かし、
墓土を使わせ、
黒い呪いを外へ放たせる。
つまり死んだ後も、
自分へ与えられていた役目だけは、
別の人間を使って継続させようとしていた。

患者の目から飛び出したものを追った先に、
老祈祷師の診療所があったことも、
術が両者を結びつけている証拠になる。
患者の眼病。
夜歩き。
墓土。
黒い呪い。
殺された祈祷師。
最初は別々に置かれていた異常が、
老祈祷師の呪いを中心に一つへつながる。

しかも患者は、
摩緒たちに救出されて終わるわけではない。
病院へ戻された後、
まもなく死亡する。
呪いを受けながら動き続けていた身体は、
事件が解明されたからといって、
元の生活へ戻れる状態ではなかった。

ここで次に問題になるのが、
老祈祷師自身もまた、
誰かに仕事を命じられていたこと。
彼は土の術を独学で身につけたのではなく、
正体不明の人物から複数の術を教え込まれ、
「時が来たら」ある行動を取るよう指示されていた。

つまり患者は、
事件の一番奥にいる術者ではない。
老祈祷師もまた最終的な黒幕ではない。
患者を呪った老祈祷師。
その祈祷師へ土の術を授けた人物。
さらに、その人物が待っていた「時」。
墓土事件の背後には、
もっと長期間かけて準備された計画が存在していた。

そして老祈祷師が患者へ引き継がせた仕事こそ、
残っている土の術者たちへ向けて、
呪いを空へ放つことだった。
第23話で夏野が引き寄せられたのも偶然ではない。
患者は知らないまま、
土の術者を集めるための合図を送り続けていたことになる。

第5章 土の術者を集める「謎の合図」とは何?

※ここから先も、アニメ未放送の原作内容を含みます。

患者が吐いていた呪いは、残っている土の術者へ届かせるための呼びかけだった

原作第79話「百年目」で、
老祈祷師が患者へ残した仕事の中身が明かされる。
祈祷師は生前、
正体不明の人物から複数の土の術を教えられ、
「時が来たら呪いを空へ放て」と命じられていた。
その目的は、
各地に残る土の術者を一か所へ引き寄せることだった。

つまり第23話で患者が繰り返していた行動は、
墓土を食べること自体が目的ではない。
墓地の土を使い、
自分の身体を通して強い呪いを外へ放ち、
その気配を感知できる者へ知らせる。
患者は知らないまま、
土の術者へ向けた発信役にされていたことになる。

ここで第17話「マオグイ」から続く流れが効いてくる。
摩緒は土門が使った土薬を調べ、
その術が御降家のものに近いと気づく。
しかし土門本人は御降家の弟子ではなく、
誰かから術を教わっただけだった。
摩緒が土の術者を探すため符蝶を飛ばすと、
反応した先にいたのが夏野だった。

この時点ですでに、
土の術には「同じ属性の術者が気配を察知する」
という性質が描かれている。
摩緒が符蝶を使って夏野へたどり着いたのに対し、
第23話の患者はもっと強引な方法で、
呪いそのものを遠くへ放っている。
やり方は違っても、
狙っている相手は土の気を扱える人物になる。

第18話「夏野」で、
摩緒は土の術者だった兄弟子たちを思い返す。
中でも大五と夏野は実力者で、
夏野は土の術を攻撃より治療へ使っていた。
御降家が崩壊して九百年経った現在でも、
同じ系統を扱える夏野が残っている。
だから空へ放たれた強い土の呪いは、
彼女にとって無視できない異変だった。

さらに原作第79話では、
夏野自身が以前から墓地周辺で、
繰り返し呪いが放たれていることへ気づいていたと語る。
第23話で突然現れたように見えても、
実際には患者を追って一晩だけ来たわけではない。
何度も発せられる土の気配を察知し、
その発信源を探していたことになる。

老祈祷師へ土の術を教えた人物は、正体を話そうとすると口まで消される仕掛けを残していた

この合図がさらに不気味なのは、
老祈祷師自身も、
誰のために働いていたのか自由に話せなかったこと。
摩緒たちは霊となった祈祷師へ、
土の術を誰から教わったのか尋ねる。
しかし名前を語ろうとした瞬間、
祈祷師の口そのものが消えてしまう。

単なる「他言するな」という約束ではない。
死亡した後に霊を呼び出されても、
情報を漏らせないよう術が残っている。
つまり背後の人物は、
祈祷師が殺される可能性まで含めて、
自分の正体が外へ出ない仕組みを作っていたことになる。

ここで患者の事件を見ると、
かなり長期的に準備された計画だったことが分かる。
祈祷師が生きていれば、
本人が呪いを放つ。
祈祷師が殺されても、
殺した患者へ仕事を移す。
さらに祈祷師の霊から聞き出そうとしても、
術によって口を封じる。

一人が途中で消えても、
発信だけは止まらない仕組みになっている。
患者が死ぬまで夜歩きを続けたのも、
この計画が本人の事情を一切考慮していないから。
必要なのは患者の健康でも、
老祈祷師の命でもなく、
決められた時期に土の術者へ合図を送ることだった。

そして重要なのが、
原作第79話の題名が「百年目」であること。
患者の事件が解決へ向かう途中、
夏野は土の攻撃を受けて意識を失い、
その瞬間に
「また百年後に迎えに来る」
と告げられた過去を思い出す。

つまり土の術者を集める合図と、
夏野が百年周期で経験してきた出来事が、
同じ回で重ねられている。
患者が発していた呪いは、
単に近くの土使いを呼ぶ信号ではない。
夏野にとっては、
自分自身の長命と契約へ続く
「百年目」が再び来たことを知らせるものにもなっていた。

第6章 なぜ夏野はこの合図に引き寄せられた?

夏野は墓地の呪いを以前から追っており、土の攻撃を受けた瞬間に100年前の記憶まで戻った

第23話だけを見ると、
墓土を食べる患者の前へ、
土属性の夏野が偶然現れたようにも見える。
しかし原作第79話では、
夏野は墓地周辺から出ている呪いを、
以前から察知して調べていたことを摩緒へ明かしている。
患者一人を見つけて来たのではなく、
継続的に発せられていた気配を追っていた。

摩緒と夏野が、
患者の目から飛び出した二体の異形を追うと、
行き着いたのは殺された老祈祷師の診療所だった。
その中へ踏み込んだ瞬間、
強烈な土の攻撃が炸裂する。
夏野はまともに受けて倒れ、
意識の中で百年前の声を思い出す。

その声が告げていたのが、
「また百年後に迎えに来る」という約束だった。
ここで墓土事件と、
夏野自身が百年単位で経験してきた出来事が初めて直結する。
夏野が合図へ反応したのは、
単に自分と同じ土属性だったからだけではない。

第18話で登場した夏野は、
九百年前から姿の変わらない姉弟子として描かれた。
第20話では、
紗那を襲った邪気を九百年前の記憶から見抜く。
しかし第79話まで進むと、
彼女自身にも
「なぜ今まで生きているのか」
という未解決の問題が残っていることが見えてくる。

患者の事件で受けた土の攻撃は、
その問題を強制的に思い出させる引き金になった。
夏野は回復すると、
事件そのものが終わったように振る舞い、
患者と祈祷師が死んだ以上、
これ以上調べる必要はないと突然立ち去る。
摩緒はその態度へ違和感を持つ。

普段の夏野なら、
土の術を誰が仕掛けたのか、
祈祷師の師が何者なのかを追ってもおかしくない。
それなのに、
口を封じられた祈祷師という大きな謎を残しながら、
自分から調査を切り上げる。
それは夏野自身が、
合図の先にあるものへ心当たりを持ったからになる。

患者の事件の直後、華紋が語る悲田院の過去から夏野の「百年目」の正体が見え始める

次の原作第80話「悲田院」では、
摩緒は夏野本人を追及するのではなく、
九百年前から彼女を知る華紋へ話を聞く。
ここで墓土事件から、
夏野自身の過去へ視点が切り替わる。
第23話の患者が、
一人の怪異ではなく、
夏野の長命を開く入口だったことが分かる。

華紋によると、
御降家が崩壊した後、
夏野は元気に各地を歩いていたわけではない。
華紋が後に見つけた時、
夏野は悲田院に身を寄せ、
重い病によって痩せ衰えていた。
治療する側だった彼女自身が、
今度は命を失いかける患者になっていた。

悲田院では、
夜になると夏野のもとへ、
正体不明のものが現れるという噂があった。
僧たちが追い払おうとしても効果はなく、
華紋は夏野の周囲へ結界を張り、
その存在が来るのを待ち伏せする。
そこで現れたのが、
巨大な土人形だった。

華紋が攻撃すると、
土人形は土煙のように崩れ、
その術によって華紋の顔には傷まで残る。
しかし騒ぎが収まった時、
そこに夏野の姿はなかった。
土人形と共に消えた夏野は、
後に九百年を生きる現在の姿へつながっていく。

第81話「契約」では、
夏野自身がさらに過去を語る。
最初に現れた土人形は、
巨大な怪物ではなく小さな姿で、
病気で死にかけていた夏野へ、
命を助ける代わりに協力するよう持ちかけていた。

しかも契約は一度きりではない。
夏野の認識では、
約百年ごとに土人形側から使いが来て、
生命を維持するための施術を受ける。
第79話で土の攻撃を受けた時に蘇った
「また百年後」という言葉は、
まさにその周期を示していた。

だから墓土の合図へ夏野が引き寄せられた場面は、
単なる「土属性だから分かった」では終わらない。
患者が発していた土の術。
老祈祷師へ術を教えた正体不明の人物。
百年という周期。
そのすべてが、
夏野を九百年間生かしてきた土人形の系統と重なって見える。

第17話で摩緒が、
土門の術から本物の土の術者を探したこと。
第18話で夏野へたどり着いたこと。
第23話で別の土の合図が夏野を呼び寄せたこと。
そして原作第79話以降で、
夏野自身が百年ごとに土の力から呼び出されていたこと。

この流れをつなぐと、
墓土を食べる患者は、
夏野と無関係な怪異へ偶然彼女が介入したのではない。
患者が送り続けた「土の術者を集める合図」が、
九百年前から土の力と契約し、
百年周期で生き続けてきた夏野自身を、
次の段階へ引き戻した事件だったことが見えてくる。

第7章 墓土を食べる患者の事件は、900年前から続く「土」の謎を呼び戻す合図だった

※この章では、アニメ未放送の原作内容を含みます。

一人の患者の奇病ではなく、御降家から続く土の術を現在へ引き戻す事件だった

第23話「夜歩く患者」は、
最初だけ見れば奇妙な病人の話に見える。
食事を取らない。
夜になると病院を抜け出す。
墓地で土を食べる。
その異常行動を摩緒たちが追う、
一話完結型の怪異にも見える。

しかし実際には、
患者の行動は本人の意思ではなく、
死んだ老祈祷師が残した呪いによるもの。
さらに老祈祷師自身も、
正体不明の人物から土の術を教え込まれ、
決められた時に呪いを放つ役目を負っていた。
患者はその仕事を、
殺した相手から強制的に引き継がされていた。

だから墓土は、
患者が欲しがっていた食べ物ではない。
墓土を使って術を動かし、
身体を通して強い呪いを外へ放つ。
その気配を感知した土の術者を、
一か所へ呼び寄せる。
患者の身体そのものが、
土の術者へ向けた発信装置になっていた。

この構図は、
第17話の土門から続く流れともつながる。
土門は本来の御降家の弟子ではないのに、
古い土の術を教えられていた。
未熟な土薬によって、
少年の身体が土へ変わりかけるほど、
術は肉体へ深く作用していた。

摩緒はその土の術から、
本物の術者を探すため符蝶を飛ばし、
第18話で夏野へたどり着く。
そして第23話では、
今度は別の誰かが、
強い土の呪いを外へ放つことで、
夏野の側を呼び寄せる。
同じ土属性でも、
「探す側」と「呼ばれる側」が反転している。

さらに第20話「紗那の心臓」では、
夏野が幽羅子の黒い邪気を見て、
九百年前に紗那を襲ったものと重ねていた。
第23話でも、
患者の身体から黒い呪いが外へ現れる。
完全に同一の術とは断定できなくても、
九百年前から現在まで、
身体と呪いを結びつける異様な術が残っていることは共通する。

つまり第23話は、
患者一人を治療して終わる事件ではない。
土門。
夏野。
紗那。
老祈祷師。
百年目。
それまで別々に見えていた土の術が、
一つの長い系統としてつながり始める回になる。

墓土の合図が呼び出したのは、夏野自身が900年間背負ってきた「百年目」だった

患者が放った合図へ、
最も強く反応した人物が夏野だったことにも、
はっきりした背景がある。
夏野は単に土属性だから気づいたのではない。
彼女自身が九百年間、
土の力によって命をつながれ、
百年ごとの周期を経験してきた人物だった。

原作第79話「百年目」で、
夏野は土の攻撃を受けた瞬間、
「また百年後に迎えに来る」
という過去の言葉を思い出す。
その後、
祈祷師の師が何者なのかという大きな疑問を残しながら、
夏野は急に調査から身を引こうとする。

この態度が、
次の第80話「悲田院」へつながる。
御降家崩壊後、
夏野は悲田院で重病に倒れていた。
そこへ夜ごと正体不明の存在が現れ、
華紋が結界を張って待ち伏せすると、
巨大な土人形が姿を現す。

さらに第81話「契約」では、
病で死にかけた夏野が、
土人形から命を助ける代わりに、
自分の目的へ協力するよう求められていたことが分かる。
その後も約百年ごとに使いが現れ、
夏野は身体を維持する施術を受けてきた。

だから第23話の墓土事件は、
夏野にとって他人の呪いを解く事件では終わらない。
患者が放っていた土の合図。
老祈祷師へ術を教えた正体不明の人物。
百年という周期。
そのすべてが、
自分を九百年間生かしてきた土人形の系統と重なってくる。

ここまでつなぐと、
「墓土を食べる患者はなぜ呪われた?」への答えも、
単なる復讐では足りない。
患者は老祈祷師を殺したため、
死に際の呪いを受けた。
しかしその呪いの本当の目的は、
患者を苦しめることではなく、
祈祷師が果たすはずだった
「土の術者を集める仕事」を止めないことだった。

そして、
その合図によって呼び寄せられた夏野は、
九百年前から続く土の秘密そのものを抱えている。
第17話から続いていた土の術は、
第23話で患者の身体を使う呪いへ変わり、
その先で夏野の長命、
百年ごとの施術、
土人形との契約へつながっていく。

だから墓土を食べる患者は、
物語の中心人物ではない。
むしろ自分でも知らないまま、
九百年前から眠っていた土の系統を、
現在へ呼び戻す役目を負わされた人物になる。

墓土。
黒い呪い。
夜歩き。
老祈祷師。
百年目。
夏野。

第23話で置かれたこれらの要素は、
全部別々の怪異ではない。
患者が放ち続けた合図によって、
御降家崩壊後も残っていた土の術者と、
夏野自身の九百年が、
再び同じ線上へ引き戻された。

つまり墓土の患者の事件は、
一人の男が呪われた奇病の話ではなく、
九百年前から続く「土」の未解決部分を、
現在へ再起動させる事件だった。
その合図に夏野が応えた瞬間から、
物語は患者の治療ではなく、
夏野自身が背負ってきた百年周期の契約へ進み始めている。

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