ぐらんぶる Season3は、第1期の「伊織がPaBへ染まっていく勢い」と、第2期の「恋愛や日常へ広がった人間関係」を受け継ぎながら、舞台を初の海外パラオへ広げたシリーズになる。
ぐらんぶる 3期が面白いのは、酒と全裸の騒動を繰り返すだけではなく、伊織たちが教わる側から店を手伝う側へ進み、仲間同士の積み重ねが海外でも試されるから。
第1期・第2期との比較を通して、Season3の評価を左右する「変わらない笑い」と「大きくなった青春」の両方が分かる
第1章 結論|Season3は、変わらない馬鹿騒ぎを海外まで広げたから面白い
第1期の勢いと第2期の人間関係が、パラオ編で一つにつながる
ぐらんぶる Season3が面白いのは、全裸と酒の騒動を残したまま、伊織たちの行動範囲が海外まで広がったから。
第1期で始まったPaBの仲間関係と、第2期で濃くなった恋愛や家族の問題。
その両方を抱えたまま、今度はパラオの海へ向かう。
伊織たちの性格は、Season3でも急には変わらない。
伊織は女性との出会いを期待する。
耕平は旅行よりアニメを優先する。
千紗は二人の軽薄な行動へ冷たい視線を向ける。
愛菜は周囲を気にしながら、伊織との距離を縮める機会を探している。
第1期から続く関係が残っているため、久しぶりに見ても人物の位置が分かりやすい。
伊織と耕平は、協力しているように見えてすぐ裏切る。
片方だけが女性から良く見られそうになると、もう片方が過去の失敗を暴露する。
喧嘩をしても翌日には同じ場所へ集まり、海へ入れば相手をバディとして信頼する。
Season3では、その悪友関係が日本の外へ持ち出される。
ただし、今回は観光だけが目的ではない。
パラオのダイビングショップ「ドルフィン」が人手不足となり、伊織たちは店を手伝うために向かう。
美しい海を楽しむ客ではなく、現地で働く側へ近づいていく。
ここが第1期との大きな違いになる。
入学直後の伊織は、ダイビングショップ「グランブルー」の扉を開けただけで逃げ出そうとしていた。
店内では時田と寿が全裸で酒を飲み、伊織を宴会へ引きずり込む。
海へ潜る以前に、危険な先輩たちから自分の服を守ることへ必死だった。
その伊織がSeason3では、パラオへ行くために実家へパスポートを取りに戻る。
妹の栞に警戒されても、簡単には諦めない。
面倒な騒動へ巻き込まれても、海外の海へ行く目的を失わない。
水を怖がっていたSeason1の姿と比べると、海へ向かう気持ちは明らかに強くなっている。
ぐらんぶる 3期の面白さは、舞台だけを豪華にしたことではない。
伊織たちが伊豆で重ねてきた時間を、パラオという新しい場所で確かめられること。
酒宴では何も成長していないように見えるのに、ダイビングへ向かう姿だけは少しずつ前へ進んでいること。
この落差が、Season3の笑いと青春を同時に支えている。
同じ全裸と酒でも、積み重なった人間関係があるから笑い方が変わる
ぐらんぶるの笑いは、全裸になれば成立するものではない。
第1期の序盤では、伊織だけがPaBの異常さを知らなかった。
時田と寿が酒を差し出し、服を脱ぎ始めるたびに、伊織は状況を理解できず逃げようとする。
視聴者も伊織と同じ位置から、グランブルーの危険な日常へ入っていった。
Season3では、伊織も既に騒動を起こす側にいる。
先輩に無理やり飲まされるだけではない。
自分から耕平を罠へ掛け、女性の前では過去を隠し、窮地になると仲間を道連れにする。
被害者だった新入生が、今ではPaBの空気を作る一人になっている。
耕平との関係にも積み重ねがある。
第1期で伊織は、整った顔立ちの耕平を見て、華やかな大学生活の仲間になれると期待した。
しかし耕平が強烈なオタクだと分かると、先輩たちへ差し出して自分だけ逃げようとする。
その直後には伊織も捕まり、二人そろって宴会へ放り込まれた。
Season3でカリーナが現れると、この出会いの形が別方向から繰り返される。
長い髪と穏やかな雰囲気を持つ外国人女性。
伊織は自分に都合のよい出会いを期待する。
ところがカリーナは、日本文化へ強烈な情熱を持つオタクだった。
外見から勝手な期待を抱き、会話が進むほど予想を裏切られる。
伊織が耕平と出会った時にも近いが、今度は伊織自身が騒動へ巻き込まれるだけでは終わらない。
耕平とカリーナの情熱が重なり、伊織が二人の間で振り回される。
過去の関係を知っているほど、同じ構図の違いが笑いにつながる。
ぐらんぶる 評価で好みが分かれやすいのも、この変わらなさにある。
全裸、酒、顔芸、裏切り合いはSeason3でも続く。
同じ騒動に見える場面もある。
しかし人物同士の距離は、第1期の頃と同じではない。
伊織は千紗の海への情熱を知っている。
千紗も、伊織が本当にダイビングを嫌っているわけではないと分かっている。
耕平とは互いの弱点を知り尽くし、愛菜ともPaBの仲間として多くの時間を過ごしてきた。
同じ酒宴でも、誰が誰を裏切るのか。
誰が止めようとして巻き込まれるのか。
普段は騒ぐ人物が、海ではどのような顔を見せるのか。
そこまで含めて笑えることが、Season3の強さになる。
第2章 第1期との違い|巻き込まれる新入生から、仲間と外へ進む立場へ
第1期は、伊織が海とPaBを知るまでの物語だった
第1期の伊織は、大学生活へ大きな期待を抱いていた。
男子校で過ごしてきたため、大学では女性と出会い、爽やかな青春を送りたい。
叔父が営むグランブルーへ居候すれば、海の近くで理想的な生活が始まる。
その想像は、店の扉を開けた直後に崩れた。
目の前にいたのは、全裸で酒を飲む時田と寿。
伊織は店を間違えたと思い、何も見なかったように外へ出ようとする。
しかし二人に捕まり、PaBの宴会へ巻き込まれる。
翌朝には大学構内で目を覚まし、入学直後から最悪の注目を浴びることになった。
この時点の伊織にとって、グランブルーは危険な場所だった。
ダイビングより酒。
海より全裸。
千紗へ良いところを見せるどころか、軽蔑される場面ばかりが増えていく。
それでも伊織は、少しずつ海へ関心を持ち始める。
千紗が海中写真を見る時の表情。
時田と寿が水中では後輩の状態を確かめる姿。
陸上の馬鹿騒ぎとは別に、海の中には真剣な時間があると知っていく。
伊織には水への恐怖があった。
顔を水へ入れるだけでも身体が強張る。
レギュレーターから呼吸できると説明されても、すぐには安心できない。
周囲が簡単に進む練習でも、一人だけ遅れることがある。
沖縄でも、伊織は思い通りに海へ入れない悔しさを味わった。
千紗や耕平たちが潜る姿を見ながら、自分だけ同じ景色へ届かない。
最初は避けていたはずのダイビングを、本気でやりたいと思うようになる。
第1期は、伊織が海を好きになる入口を描いたシリーズだった。
Season3では、教わった経験を持ってパラオの店へ向かう
Season3の伊織は、第1期のように何も知らない新入生ではない。
器材を背負った経験がある。
水中で呼吸したことがある。
バディと合図を交わし、仲間と同じ海へ入った記憶もある。
もちろん、熟練者になったわけではない。
酒宴では相変わらず判断を誤る。
女性が関われば余計な期待を抱く。
耕平と競い始めれば、旅行の目的さえ忘れて足を引っ張り合う。
それでも海への向き合い方は変わっている。
Season1なら、海外へ行けない理由を探して逃げても不思議ではなかった。
Season3では、パスポートを手に入れるため実家へ戻り、栞との騒動にも向き合う。
面倒な手続きを越えてでも、パラオへ行こうとしている。
さらに今回は、ドルフィンの人手不足を助ける立場になる。
グランブルーでは、時田や寿から教えられた。
奈々華に迎えられ、千紗の後ろを追い、失敗しても先輩が近くにいた。
伊織は常に、守られる側へ近かった。
パラオでは、店の仕事を手伝うことになる。
客のように海だけを楽しむわけではない。
現地の指示を聞き、器材や店の仕事に関わる。
これまで教わった経験を、少しでも誰かの役に立てなければならない。
第1期との比較で最も大きいのは、この立場の変化になる。
第1期は、伊織がPaBへ引き込まれる話。
Season3は、PaBの仲間と一緒に新しい場所へ入っていく話。
受け身で始まった大学生活が、自分から海へ向かう時間へ変わっている。
パラオという舞台も、その変化を強く見せる。
伊豆の店なら、失敗しても知っている顔がいる。
沖縄合宿でも、時田や寿が近くにいた。
しかし海外の店では、現地のチーフやマキと関わり、その土地の方法へ合わせなければならない。
同じ仲間と一緒でも、環境は同じではない。
だからこそ、伊織たちが第1期から何を覚えてきたのかが見える。
酒宴では昔と変わらなくても、海へ向かう時には以前より動ける。
ぐらんぶる Season3は、その小さな変化を大げさに語らず、いつもの騒動の中へ混ぜている。
第1期の面白さが「普通の新入生が異常なサークルへ落ちていく勢い」なら、Season3の面白さは「異常な仲間たちが、積み重ねた関係のまま海外へ飛び出す勢い」。
始まり方は違っても、中心にあるのは同じ。
地上では馬鹿騒ぎを続ける。
海へ入れば、仲間と同じ景色を見る。
その両方を捨てないまま舞台を広げたことが、第1期にはなかったSeason3の魅力になる。
第3章 第2期との違い|伊豆の日常から、海外で試される人間関係へ
第2期は、恋愛・家族・大学生活へ広がったシリーズだった
第2期の『ぐらんぶる』は、第1期で出来上がった仲間関係を、海以外の場所へ広げていった。
伊織、耕平、千紗、愛菜がPaBで過ごすだけではなく、実家、大学祭、肝試し、デートへ進んでいく。
ダイビングを始めた後の大学生活が、騒動と恋愛の両方から描かれていた。
その代表が、伊織の妹である栞の登場。
栞は、伊豆で暮らす兄の生活を確認するため、グランブルーへやって来る。
伊織は大学で真面目に学び、ダイビングへ励んでいる兄を装おうとする。
しかし栞は隠しカメラまで使い、酒宴と全裸に染まった実態を細かく見ていた。
伊織が爽やかな兄を演じても、栞の前では簡単に崩れる。
時田と寿に巻き込まれた過去。
耕平と醜く足を引っ張り合う姿。
千紗との関係を都合よく説明しようとする態度。
家族だからこそ、PaBの仲間とは違う角度から伊織の情けなさが暴かれていった。
第2期では、愛菜の気持ちも第1期以上に前へ出る。
大学祭や肝試しでは、伊織と一緒に行動できる機会を意識する。
二人きりに近い状況を望んでも、耕平や千紗、PaBの騒動が割り込む。
愛菜が勇気を出した直後ほど、伊織が鈍感な反応を見せる場面も増えていった。
毒島桜子の存在も、伊織を巡る空気を変えている。
最初は伊織を軽く見ていた桜子が、何度も接する中で少しずつ態度を変える。
伊織の格好悪さだけではなく、困っている相手を放っておけない部分を見る。
恋愛関係が一人だけの片想いではなく、複数の人物へ広がっていった。
一方で千紗と伊織の距離も、単純な同居人のままではなくなる。
周囲から恋人のように扱われる。
伊織が別の女性へ近づけば、千紗の態度に微妙な変化が出る。
本人たちは関係を明言しなくても、互いを強く意識する場面が積み重なっていく。
第2期の面白さは、海へ潜る時だけでは見えなかった感情が、日常の騒動から表へ出るところにあった。
伊織は誰に好かれているのか。
千紗は伊織を本当に何とも思っていないのか。
愛菜はどこまで踏み込めるのか。
桜子は伊織の何を見て態度を変えたのか。
騒がしい場面の中へ、恋愛と家族の変化が混ざっていた。
Season3は、第2期で広がった関係を日本の外へ持ち出す
ぐらんぶる Season3では、第2期までに濃くなった人間関係が、そのままパラオ行きへつながる。
伊織と千紗は、ただ同じ家に住む大学生ではない。
耕平とは、何度裏切り合っても切れない悪友になっている。
愛菜もPaBの一員として、伊織たちと海外へ向かう立場にいる。
第2期との違いは、いつもの場所へ新しい騒動が来るのではなく、仲間全員が知らない土地へ移動すること。
伊豆では、グランブルーへ戻れば奈々華がいる。
大学では、山本たちの馬鹿話が始まる。
何か起きても、見慣れた店と仲間の中で終わっていた。
パラオでは、店も海も人間関係も新しくなる。
古手川紗耶華は、千紗と奈々華の母。
チーフとマキは、ドルフィンで働く現地の人物。
伊織たちは古手川家のつながりを頼りながら、知らない環境へ入っていく。
特に千紗は、第2期までとは違う立場になる。
伊豆では、伊織へダイビングを教える側だった。
海へ関心を持たない伊織を冷たく見ながらも、写真や講習を通して水中へ導いてきた。
しかしパラオでは、自分も母親の店へ帰る娘になる。
普段は感情を隠す千紗が、家族と海外の海を前にしてどのような顔を見せるのか。
奈々華との姉妹関係。
紗耶華との母娘関係。
伊織との曖昧な距離。
第2期で広がった感情が、家族の店という場所で重なっていく。
伊織にとっても、パラオは恋愛だけを楽しめる旅行ではない。
千紗の母親がいる。
現地の店員から働きぶりを見られる。
耕平や愛菜も同行し、普段の失敗を隠し続けることは難しい。
女性へ格好をつけようとしても、近くには伊織の本性を知る人物ばかりいる。
第2期では、伊織が複数の女性との間で揺れる場面が増えた。
Season3では、その関係を抱えたまま海外へ進む。
景色が変わることで、普段なら曖昧に終わる感情も強く浮かび上がる。
第2期が、仲間の内側を広げたシリーズなら、Season3はその仲間を外の世界へ連れ出すシリーズ。
伊豆の日常で育った感情。
大学祭やデートで近づいた距離。
家族との騒動で見えた弱さ。
それらをパラオへ持ち込むから、単なる海外編では終わらない。
第4章 Season3の笑いは何が違う?|身内だけの騒動に異文化が入り込む
第1話から、昔と変わらない大学生の馬鹿話が全力で続く
ぐらんぶる 3期は、最初からパラオの海だけを見せるわけではない。
伊織たちは大学へ通い、山本たちとくだらない会話を続ける。
恋愛、女性、大学生活への不満を大げさに語り、真剣な顔で間違った結論へ進む。
Season1から続く男子大学生の馬鹿騒ぎが、Season3の入口にも置かれている。
山本たちは、伊織と耕平にとってPaBとは別の悪友。
女性との出会いを求める。
誰か一人だけ幸せになりそうになると、全員で引きずり下ろす。
友情より嫉妬が先に見えても、結局は同じ場所へ集まっている。
この関係は、第1期の合コン騒動から変わっていない。
伊織たちは女性へ好印象を与えようとしながら、仲間の失敗を暴露する。
自分だけ助かろうとするほど、全員の評価が下がっていく。
誰かが得をする結末ではなく、全員が同じ場所まで落ちることで笑いが完成する。
Season3でも、この壊し合いは健在。
海外へ行く大きな話が始まっても、伊織たちは急に立派な大学生にはならない。
パラオの海より先に、日常のくだらない問題へ全力を注ぐ。
壮大な旅行と小さな欲望の差が、Season3の笑いを強くしている。
帰省編でも、伊織はパスポートを受け取るだけでは済まない。
栞は兄の言葉を信用せず、簡単に渡そうとしない。
伊織が真面目な大学生活を語っても、栞には伊豆での実態が見えている。
兄妹の会話は、旅行準備から伊織の生活を追及する騒動へ変わっていく。
そこへ千紗や耕平たちも関わる。
伊織一人なら、兄として言い逃れできる可能性もある。
しかし普段を知る仲間が集まれば、過去の失敗が次々に表へ出る。
パスポート一冊を巡る話が、北原家全体を巻き込む大騒ぎになる。
第1期では、伊織がPaBの騒動へ巻き込まれる側だった。
Season3では、伊織の帰省へ仲間が入り込み、実家まで騒動の舞台になる。
グランブルーの店内だけに収まっていた異常さが、大学、実家、海外へ広がっている。
人物関係が増えた分だけ、一つの嘘から崩れる範囲も大きくなった。
カリーナが加わることで、日本人同士では生まれないズレが笑いになる
Season3の笑いへ新しい感触を加えるのが、ドイツ人女性のカリーナ。
第一印象では、落ち着いた上品な女性に見える。
伊織は外国人女性との出会いに期待し、自分を良く見せようとする。
しかしカリーナが日本文化への情熱を見せた瞬間、伊織の予想は外れていく。
カリーナは、日本を遠くから見て憧れてきた人物。
伊織たちにとって普通の言葉や場所も、カリーナには特別に映る。
反対に、カリーナが思い描いてきた日本と、伊織たちの日常が一致するとは限らない。
その差が、これまでの仲間内にはなかった会話を生む。
耕平との共通点も、笑いを広げる。
耕平はアニメや声優について語り始めると、周囲が見えなくなる。
カリーナも自分が憧れる日本文化へ触れると、穏やかな印象から一変する。
二人が同じ熱量を持つため、伊織だけが会話から置き去りにされる場面も生まれる。
ただし、同じオタクだから必ず意気投合するとは限らない。
耕平には耕平の譲れない価値観がある。
カリーナにも、ドイツで抱き続けた理想がある。
知識や好みが少し違えば、共感した直後に激しくぶつかる。
そこへ伊織が軽い気持ちで割り込めば、さらに状況が悪化する。
Season1の笑いは、普通の伊織が異常なPaBへ驚く形が多かった。
Season3では、PaBに染まった伊織たちを、海外から来たカリーナが別の視線で見る。
見る側と見られる側が入れ替わるところにも違いがある。
パラオへ着いた後も、異文化のズレは続く。
日本の大学生にとっての当たり前。
現地の店員にとっての仕事。
観光客が想像する南国と、実際に店を支える人々の日常。
伊織たちが自分たちの常識だけで動けば、現地側との間に食い違いが起きる。
それでも『ぐらんぶる』の笑いは、新しい人物を一方的に驚かせるだけではない。
チーフやマキにも、それぞれの強さと勢いがある。
伊織と耕平が悪乗りを始めても、簡単に押し切られるとは限らない。
新キャラ側から反撃され、二人が予想外の結末へ追い込まれる。
ぐらんぶる Season3が第1期・第2期と違うのは、いつもの笑いを捨てず、そこへ外国人、家族、現地店員を加えたこと。
全裸と酒だけなら、過去と同じに見える。
しかし誰の前で失敗するのか。
どの文化とぶつかるのか。
日本で通用した言い訳が、海外でも通じるのか。
笑いの中心は同じでも、巻き込まれる人物と場所が変わっている。
だからSeason3は、昔からの安心感と新しい騒動を同時に楽しめる。
伊織たちが変わらないからこそ、パラオという違う環境との衝突が強く映る。
そこが、第1期・第2期との比較で見えるSeason3独自の面白さになる。
第5章 パラオ編が強い|観光旅行ではなく、伊織たちが店を支える側へ回る
第1期で海から逃げていた伊織が、自分からパラオへ向かっている
ぐらんぶる Season3のパラオ編が面白いのは、舞台が海外へ変わったからだけではない。
伊織たちが南国の海を眺める観光客ではなく、現地のダイビングショップ「ドルフィン」を手伝う側へ回る。
第1期から見てきた視聴者ほど、この立場の変化が強く伝わってくる。
大学へ入学したばかりの伊織は、海そのものを避けていた。
グランブルーの扉を開けた直後、目に入ったのは全裸で酒を飲む時田と寿。
ダイビングショップへ来たはずなのに、屈強な男たちが宴会を続けている。
伊織は店を間違えたように振る舞い、そのまま外へ逃げようとした。
水への恐怖も簡単には消えなかった。
器材を着ければ呼吸できると教えられても、水へ顔を入れるだけで身体が固まる。
千紗や耕平が先へ進む中、自分だけ同じように潜れない。
海を嫌っているのではなく、怖さを越えられない状態が続いていた。
それでも伊織は、千紗が見ている水中の景色へ少しずつ引かれていく。
水面の下へ差し込む光。
目の前を通り過ぎる魚。
陸上では酒を飲んで騒ぐ時田と寿が、海中では後輩の状態を細かく確認する姿。
伊織は、グランブルーに集まる人々が海を本気で好きなのだと知った。
沖縄では、仲間が潜っていく姿を見ながら、自分も同じ場所へ行きたいと悔しがった。
最初は無理に巻き込まれたダイビングが、いつの間にか自分から追い掛けるものへ変わっていた。
Season3のパラオ行きは、その延長線上にある。
海外へ行くには、実家に置かれたパスポートを取り戻さなければならない。
ところが妹の栞は、伊織へ素直に渡そうとしない。
伊豆で兄がどのような生活を送っているのか、栞は既に警戒している。
伊織が真面目な大学生を装っても、PaBに染まった実態まで簡単には隠せない。
そこへ千紗や耕平、さらにカリーナたちまで関わり、帰省はパスポートを受け取るだけの話では済まなくなる。
それでも伊織は、面倒になったからパラオ行きを諦めようとはしない。
栞との攻防へ巻き込まれ、家族の前で醜態を晒しても、海外へ向かうために動き続ける。
第1期の伊織なら、海へ行かなくて済む口実を探していても不思議ではなかった。
この変化が、パラオの海へ到着した時の重みにつながる。
青く広がる海を前にした伊織は、偶然そこへ連れてこられた初心者ではない。
グランブルーで酒宴に巻き込まれ、講習で失敗し、沖縄で悔しさを味わい、それでも潜り続けてきた。
Season3では、そこまで積み重ねた伊織が初めて海外の海へ進む。
ドルフィンでは、海へ入る前の仕事と現地で暮らす人々が見えてくる
パラオ編では、美しい海だけではなく、その海で働く人々の生活も描かれる。
ドルフィンを経営する古手川紗耶華。
現場を任されているチーフ。
店員として働くマキ。
伊織たちは、千紗の家族がつないできた店へ入り、現地の人々と一緒に過ごすことになる。
伊豆のグランブルーでは、伊織は居候であり初心者だった。
器材がどこにあるのか。
潜る前に何を確認するのか。
水中で異変が起きた時に、どのような合図を送るのか。
奈々華や千紗、時田、寿から教えられながら覚えてきた。
パラオでは、ただ教えてもらうだけでは足りない。
ドルフィンは人手が不足している。
伊織たちは客として招かれたのではなく、店を手伝うために呼ばれている。
器材を運び、準備へ加わり、現地の指示を聞いて動かなければならない。
ここでは、PaBの酒宴とは違う責任が生まれる。
陸上で伊織と耕平がふざけても、海へ持ち込む器材には一つずつ役割がある。
レギュレーターもタンクも、笑って扱える道具ではない。
確認不足があれば、海中で困るのは自分だけとは限らない。
チーフは、その現場を支える人物として伊織たちと接する。
時田や寿のように、最初から伊織たちとの信頼がある先輩ではない。
海外から来た大学生が、本当に店の役に立つのか。
悪ふざけを始める伊織と耕平が、海へ出る時には切り替えられるのか。
現地側から見られることで、二人の経験が試される。
マキも、単に一緒に騒ぐ新キャラではない。
明るく話し掛け、伊織たちがドルフィンへ入る空気を作る一方、店員として現地の仕事へ動く。
伊織が女性の前で格好をつけようとしても、働き方まで見られれば口先だけでは通らない。
普段の軽さと、海へ向かう時の真剣さの両方が表へ出る。
千紗にとっても、ドルフィンは普通の旅行先ではない。
母の紗耶華が経営する店。
伊豆で父の登志夫が営むグランブルーとは、海も働く人々も違う。
千紗が昔から海へ強く引かれてきた背景に、両親と二つの店があることも見えてくる。
第1期では、伊織が千紗に海の魅力を教えられていた。
Season3では、伊織が千紗の家族と海のつながりへ触れる。
千紗が水中写真を見る時だけ表情を緩めること。
普段は無口なのに、ダイビングの話になると言葉が増えること。
その根にある暮らしが、パラオの店を通して近づいてくる。
美しい海へ潜る高揚感。
店を手伝う慌ただしさ。
現地の人物と築く新しい関係。
古手川家が海と結ばれてきた時間。
パラオ編には、この四つが同時に入っている。
だからSeason3は、伊豆の騒動を海外へ移しただけではない。
第1期で海を知り、第2期で人間関係を広げた伊織たちが、その経験を持って知らない店へ入る。
旅先でも馬鹿騒ぎを続けながら、海では以前より頼れる姿を見せるところに、パラオ編の厚さがある。
第6章 ぐらんぶるの評価が分かれるところ|同じ騒動の中で、人物だけが少しずつ前へ進む
全裸と酒が繰り返されても、誰が巻き込まれるのかは各期で変わっている
ぐらんぶるの評価は、全裸と酒の騒動をどう受け取るかで大きく変わる。
第1期では、伊織が異常な環境へ投げ込まれる笑いが中心だった。
爽やかな大学生活を夢見ていた新入生が、入学直後から服を失い、大学構内で目を覚ます。
伊織の常識が、PaBの勢いによって一つずつ壊されていった。
耕平との初対面も、第1期らしい場面だった。
伊織は整った顔立ちの耕平を見て、女性に人気のある友人ができたと期待する。
ところが耕平は、アニメと声優への情熱を隠そうともしない。
伊織は自分だけ逃げるため耕平を時田たちへ差し出すが、結局は二人そろって捕まる。
当時の伊織は、騒動を起こす人物というより、騒動から逃げようとして失敗する人物だった。
第2期になると、伊織は完全にPaBへ染まっている。
栞がグランブルーへ来た時には、兄として真面目な生活を見せようとする。
しかし酒宴と全裸が日常になっているため、少し取り繕った程度では隠し切れない。
栞に疑われるほど言い訳を重ね、さらに不自然になる。
恋愛が絡む場面でも、伊織の弱さは変わらない。
愛菜が距離を縮めようとしても、本人は肝心な気持ちへ気付かない。
毒島桜子と接する機会が増えても、目の前の状況を恋愛として受け止め切れない。
千紗とは周囲から特別な関係に見られながら、本人同士は曖昧な距離を保っている。
Season3では、そこへ家族、外国人、パラオの店員が加わる。
伊織が女性の前で爽やかな姿を演じても、耕平や千紗は過去を知っている。
栞の前で兄らしく振る舞っても、伊豆での生活を疑われている。
カリーナへ良い印象を与えようとしても、彼女の強烈なオタク気質が伊織の予想を越えてくる。
笑いの形は、過去とまったく同じではない。
第1期は、伊織対PaB。
第2期は、伊織対家族や恋愛関係。
Season3は、伊織たち対新しい土地と人々。
全裸や酒は同じでも、騒動が届く範囲が広がっている。
カリーナと耕平が共通の話題で熱くなれば、伊織が会話から置き去りにされる。
伊織と耕平が現地で格好をつければ、普段を知る千紗や愛菜が冷たい目を向ける。
ドルフィンで悪乗りを始めても、チーフやマキが伊豆の先輩たちと同じ反応をするとは限らない。
新しい相手が入ることで、見慣れた二人の失敗にも違う結末が生まれる。
「また同じことをしている」と感じるか。
「この二人なら、ここでも失敗する」と笑えるか。
ぐらんぶる Season3の評価が分かれる境目は、この変わらなさを停滞と見るか、人物らしさと見るかにある。
陸上では変わらなくても、海中の伊織と耕平は第1期の二人ではない
Season3の伊織たちは、表面だけ見れば成長していない。
女性を見ると浮かれる。
自分だけ助かろうとして仲間を裏切る。
酒が出れば、翌日の予定まで忘れて騒ぐ。
真剣な話をしていても、最後にはくだらない勝負へ流れていく。
しかし海へ入る時まで、同じではない。
第1期の伊織は、水中で呼吸すること自体に余裕がなかった。
自分の恐怖を抑えるだけで精一杯。
隣にいる相手の状態を確認し、周囲へ目を配る段階には届いていなかった。
耕平も、最初はダイビングよりアニメを優先していた。
海へ行く予定があっても、放送やイベントの方が重要。
PaBへ入ったのも、伊織と同じく望んだ形ではなかった。
二人とも、ダイビングへ強い目的を持って始めたわけではない。
それでも講習を受け、沖縄へ行き、何度も同じ海へ入った。
水中では声が届かない。
陸上のように冗談で誤魔化すこともできない。
相手の手信号や呼吸の様子を見て、自分の状態も正確に伝えなければならない。
普段は互いを売る伊織と耕平が、海ではバディとして動く。
この落差があるから、二人の悪友関係は単なる足の引っ張り合いで終わらない。
相手の弱点も情けなさも知っている。
それでも本当に困る場面では、同じ場所へ残る。
Season3のパラオ編では、その積み重ねが海外の海へ持ち込まれる。
伊豆とは違う水中環境。
初めて接する現地スタッフ。
手伝わなければならないドルフィンの仕事。
慣れたグランブルーを離れることで、二人がどこまで動けるのかが見えてくる。
千紗の見え方も、第1期から変わっている。
第1期の伊織にとって、千紗は冷たく自分を睨む従妹だった。
海へ関心を示さない伊織を軽蔑し、酒宴へ流される姿にも容赦がない。
伊織は千紗へ好かれるより、まず嫌われないようにするだけで精一杯だった。
しかし同じ海へ入る回数が増えると、二人の間にも共有できるものが生まれる。
千紗が見たがっている景色。
伊織が初めて水中で感じた驚き。
ダイビングを続けなければ分からない感覚。
恋愛として言葉にしなくても、海を通した距離は第1期より近くなっている。
パラオでは、さらに千紗の母と家族の店が加わる。
伊織は千紗と一緒に海へ潜るだけではなく、彼女がどのような家族の中で海を好きになったのかへ触れていく。
千紗も、伊豆で伊織を導く側ではなく、パラオへ戻ってきた娘として見られる。
二人の立場が少し変わることで、これまでとは違う表情が出る。
ぐらんぶる 3期が面白いのは、伊織たちを急に立派な人物へ変えないところにある。
陸上では失敗する。
酒宴では以前と同じ醜態を晒す。
恋愛では肝心なところへ気付かない。
それでも海へ向かう気持ちと、仲間への信頼だけは少しずつ積み上がっている。
第1期のような初見の衝撃を求めれば、同じ騒動が多いと感じるかもしれない。
第2期より大きな恋愛の進展だけを求めれば、馬鹿騒ぎが長く見える可能性もある。
しかし三つのシーズンを通して見ると、変わらない部分と変わった部分がはっきり分かる。
全裸と酒は変わらない。
伊織と耕平の裏切り合いも変わらない。
千紗の冷たい視線も簡単には消えない。
一方で、伊織は海から逃げなくなった。
耕平は水中で仲間と動けるようになった。
千紗たちとの関係は、同じ店にいるだけの段階を越えている。
その小さな変化を、初の海外パラオで確かめられる。
そこに、第1期の勢いとも第2期の人間関係とも違う、Season3の面白さがある。
第7章 まとめ|Season3は、変わらない仲間が新しい海へ進むから面白い
第1期・第2期との違いは、舞台ではなく伊織たちの立場に表れている
ぐらんぶる Season3は、第1期や第2期と比べて、何もかも別の作品へ変わったわけではない。
伊織と耕平は相変わらず女性を前にして張り合い、片方だけが得をしそうになると全力で引きずり下ろす。
千紗は二人の軽薄な行動へ冷たい視線を向け、愛菜は騒動へ巻き込まれながらも伊織との距離を気にしている。
酒、全裸、顔芸、くだらない意地の張り合い。
第1期から続く『ぐらんぶる』の中心は、Season3でも変わらない。
しかし、同じ人物が同じ失敗を繰り返しているだけではない。
三つのシーズンを通して見ると、伊織たちが置かれる立場は確実に変化している。
第1期の伊織は、PaBへ巻き込まれる新入生だった。
グランブルーの扉を開けた直後、全裸の時田と寿を見て逃げようとする。
大学生活への期待は一日で崩れ、気付けば酒宴の中心へ放り込まれている。
海へ入ることにも恐怖があり、器材を着けても自分の呼吸を保つだけで精一杯だった。
それでも千紗が見ている海中の景色へ引かれ、少しずつダイビングへ近づいた。
時田と寿が水中では後輩を守ること。
耕平が陸上では裏切っても、海ではバディとして動くこと。
グランブルーに集まる人々が、酒宴と同じくらい海を大切にしていること。
第1期は、伊織がその世界を知るまでの時間だった。
第2期では、海を通して出来上がった関係が日常へ広がっていく。
栞が伊豆へ来れば、伊織は真面目な兄を装いながら生活の実態を隠そうとする。
愛菜は肝試しや大学生活の中で、伊織と二人になれる機会を探す。
毒島桜子は伊織の格好悪さと同時に、困っている相手を放っておけない部分へ触れていく。
千紗との距離も、同居している従妹というだけではなくなった。
周囲から特別な関係として見られる。
伊織が別の女性へ近づけば、千紗の態度に小さな変化が出る。
本人たちは言葉にしなくても、互いを意識する場面が積み重なっていった。
そしてSeason3では、その仲間関係を日本の外へ持ち出す。
伊織たちは、パラオの美しい海を眺めるだけの観光客ではない。
古手川紗耶華が所有するドルフィンの人手不足を助けるため、店を手伝う側へ回る。
第1期で教わっていた伊織が、今度は自分の経験を持って現地の仕事へ関わる。
この立場の変化が、ぐらんぶる 3期の大きな見どころになる。
Season3の評価は、馬鹿騒ぎの奥にある積み重ねを楽しめるかで変わる
ぐらんぶる 評価が分かれやすいのは、Season3でも過去と同じ笑いを大切にしているから。
伊織は女性の前で格好をつける。
耕平はオタク趣味を優先する。
山本たちは、誰か一人が幸せになりそうになると全員で潰しに掛かる。
酒宴が始まれば、翌日の予定や立場まで忘れて騒ぎ続ける。
この空気を「また同じことをしている」と感じる人もいる。
第1期のような初見の衝撃だけを求めれば、見慣れた騒動に映るかもしれない。
第2期から続く恋愛の進展だけを期待すれば、全裸や酒の場面が長く感じられる可能性もある。
Season3は、登場人物の性格を大きく変えて新鮮さを作る作品ではない。
しかし、変わらない性格の中に積み重なったものはある。
伊織は、もう海へ行かなくて済む理由を探していない。
パスポートを取るために実家へ戻り、栞との騒動へ巻き込まれてもパラオ行きを諦めない。
水を怖がっていた第1期の頃とは、海へ向かう気持ちが違っている。
耕平も、アニメだけを見ていた新入生のままではない。
伊織と講習を受け、沖縄へ行き、水中では互いの状態を確認する。
陸上では何度でも裏切る二人が、海では同じ場所へ進める。
Season3では、その関係をパラオという初めての海へ持ち込む。
千紗にも、過去シーズンでは見えなかった家族の顔が加わる。
伊豆では伊織へ海を教える側だった。
グランブルーでは、父の店にいる娘であり、奈々華の妹だった。
パラオでは母・紗耶華が所有するドルフィンへ入り、自分も家族の海へ戻る側になる。
伊織はそこで、千紗がなぜ海を好きなのか、その背景へさらに近づいていく。
Season3へ加わるカリーナ、紗耶華、チーフ、マキも、既存の関係を消す人物ではない。
カリーナは耕平のオタク気質を、海外から来た視線で広げる。
紗耶華は千紗と奈々華を、PaBの仲間ではなく娘として見せる。
チーフとマキは、伊織たちが現地で本当に働けるのかを見守る。
新しい人物が入ることで、第1期から知っているキャラの別の顔が表へ出る。
ぐらんぶる Season3が面白いのは、パラオの景色が美しいからだけではない。
第1期で海を知った伊織たちが、第2期で深めた関係を抱え、今度は知らない店と海へ入っていく。
馬鹿騒ぎは変わらなくても、彼らが立っている場所だけは以前より遠くなっている。
第1期は、伊織がPaBと海に出会う物語。
第2期は、その仲間との日常や恋愛が広がる物語。
Season3は、そこで得た経験と関係を持って、海外へ進む物語になる。
全裸と酒だけを見れば、昔と同じ。
海へ向かう姿と仲間への信頼まで見れば、第1期の伊織たちとは違う。
この二つが同時に存在していることが、ぐらんぶる 3期の強さになる。
変わらないから安心して笑える。
少しずつ変わっているから、次の海まで見届けたくなる。
第1期・第2期との比較から見えてくるSeason3の魅力は、その両方を失わず、伊織たちの青春をパラオまで広げたところにある。
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