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【無職転生Ⅲ】老デウスの声優は杉田智和|「杉田でよかった!」の声が続出のワケとは

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老デウスの声優は杉田智和で、第11話放送後には「杉田でよかった」「やっぱり杉田だった」という声が相次いだ。
現在のルーデウスを演じる内山夕実ではなく、前世の男を担当してきた杉田智和の声になったことで、家族や仲間を失い、かつての孤独な自分へ近づいてしまった未来のルーデウスが強く重なって聞こえる。
つまり「杉田でよかった!」の声が続いたのは人気声優だからだけではなく、第1期から積み上げてきた“前世の男の声”が老デウスの人生そのものに重なったからになる。

  1. 第1章 老デウスの声優は杉田智和|第11話で「やっぱり杉田」の声が続出した
    1. 50年後のルーデウスを演じたのは「前世の男」と同じ杉田智和
    2. 放送前から「杉田智和か、別の老人声優か」で予想が割れていた
  2. 第2章 なぜ内山夕実ではなく杉田智和?放送前から割れていた配役がしっくりくる訳
    1. 内山夕実は「この世界で新しい人生を生きているルーデウス」の声として積み重なってきた
    2. 老デウスは家族を失うほど、かつての「前世の男」に近い孤独へ戻っていく
  3. 第3章 杉田智和は第1期から「ルーデウスの中身」を担当してきた
    1. 見た目は少年でも、心の中へ入ると「前世の男」の声になる
    2. 「心の声」だった杉田智和が、老デウスでは目の前の人物から聞こえてくる
  4. 第4章 老デウスはなぜ「前世の男」に近づいてしまったように見える?
    1. 現在のルーデウスは、前世では持てなかった家族と居場所を少しずつ作ってきた
    2. 老デウスは強くなるほど人を失い、最後には前世と似た孤独だけが残ってしまう
  5. 第5章 「老デウス=杉田智和」で第11話の正体バレはどう変わった?
    1. 老人の正体は台詞だけでなく、杉田智和の声そのものが大きな手掛かりになった
    2. 内山夕実と杉田智和が同じ場面で会話することで「現在」と「失敗した未来」が完全に分かれた
  6. 第6章 ネットでは「杉田で正解」と「別声優でもよかった」がなぜ両立する?
    1. 肉体だけ見れば、内山夕実の延長か別の老年声優でも十分成立する
    2. 人格と人生の崩れ方まで見ると「杉田智和しかない」と感じる人が増える
  7. 第7章 老デウスの杉田智和ボイスは「未来の老人声」ではなく、戻ってはいけない自分の声
    1. 第1期では本音や自虐を担った声が、第11話では未来からの警告へ変わった
    2. 「やっぱり杉田」が刺さったのは、ルーデウスの人生が一周してしまったように見えるから

第1章 老デウスの声優は杉田智和|第11話で「やっぱり杉田」の声が続出した

50年後のルーデウスを演じたのは「前世の男」と同じ杉田智和

第11話「ターニングポイント4」で、
ルーデウスの前へ突然現れた老人。
痩せた身体。
深く刻まれた皺。
片目を失い、
長い年月を戦い抜いたような姿で現れたこの人物が、
50年後のルーデウス。
いわゆる老デウスになる。

老デウスの声を担当したのは、
杉田智和。
第1期から、
ルーデウスの「前世の男」を演じてきた声優になる。
現在のルーデウスを担当する内山夕実ではなく、
日本時代の男として何度も聞いてきた声が、
未来から来た老人の口から直接聞こえてくる。

この配役は、
放送後すぐに話題になった。
「やっぱり杉田だった」
「老デウス杉田さんだ」
「ここで前世の声を使うのか」
と反応が集まり、
放送前から続いていた声優予想に、
ようやく答えが出た形になる。

しかも老デウスは、
登場した直後から、
現在のルーデウスしか知らないことを話す。
自分が未来から来たこと。
これから起こる出来事。
そして最後には、
「地下室には行くな」
と強く警告する。
内容だけでも、
ただの老人ではないことが伝わる。

そこへ杉田智和の声が重なる。
視聴者は、
第1期から何度も聞いてきた声を知っている。
外見は老人。
しかし声は、
ルーデウスの内側にいた「前世の男」。
この組み合わせによって、
正体が明かされる前から、
「この老人はルーデウス本人ではないか」
と気づきやすくなる。

現在のルーデウスと老デウスが、
同じ場面で会話するところも特徴的。
若いルーデウスは内山夕実。
未来のルーデウスは杉田智和。
同一人物なのに、
二つの声が同時に存在する。
単に年齢が違うだけではなく、
歩んだ人生そのものが分かれたように聞こえる。

これは第11話だけ突然始まった仕掛けではない。
第1期第1話から、
ルーデウスには二つの声が存在してきた。
異世界で生まれた身体。
そこから発する声は内山夕実。
しかし心の中では、
日本で34年間生きた前世の男として考える。
その独白を杉田智和が担当してきた。

幼少期。
ロキシーから魔術を教わる時。
シルフィと出会う時。
エリスの家庭教師になる時。
魔大陸へ転移した後。
外側では少年の声でも、
胸の内へ入ると杉田智和の声へ変わる。

だから老デウスの登場で、
杉田智和の声が聞こえた瞬間、
長く見てきた視聴者ほど反応しやすい。
単なる新キャラクターの声ではない。
ずっとルーデウスの内部にあった声が、
老人の身体から外へ出てきたように感じられる。

放送後の「やっぱり杉田」という反応も、
単に予想が当たったというだけではない。
老デウスという人物を、
どちらのルーデウスとして見せるのか。
現在の肉体を老化させた人物なのか。
それとも前世の男に近づいた未来なのか。
その答えが、
声を聞いた瞬間に強く出たからになる。

放送前から「杉田智和か、別の老人声優か」で予想が割れていた

老デウスの声優が注目されたのは、
第11話の放送後だけではない。
原作を知る読者の間では以前から、
「老デウスは誰が演じるのか」
という予想が繰り返されていた。

候補として挙がっていたのは、
杉田智和。
井上和彦。
麦人。
大塚明夫。
山路和弘。
いずれも、
年齢を重ねた男性の重さを出せる声として想像されやすい。

なぜ予想が割れたのか。
老デウスは、
前世の男そのものではないから。
彼は異世界で生まれたルーデウス・グレイラットが、
そのまま何十年も生きた未来の姿。
肉体だけを考えれば、
現在のルーデウスを演じる内山夕実の声が、
年齢とともに変化した形でも成立する。

あるいは、
現在の声とも前世の声とも切り離し、
老人になった段階で、
別の男性声優へ交代する方法もある。
原作の老デウスは、
若いルーデウスとは外見も雰囲気もかなり違う。
歴戦の魔術師。
長年の戦闘。
魔術研究。
復讐。
その人生を考えれば、
低く重い老年声が付いても不自然ではない。

一方で、
杉田智和を望む声も強かった。
最大の根拠は、
第1期から続く「前世の男」の存在。
ルーデウスが、
心の中で自分自身として認識してきた声が杉田智和なら、
すべてを失った未来の自分にも、
同じ声が戻ってくるのではないか。
そう考える視聴者がいた。

特にヒトガミと会う場面では、
この構造が分かりやすい。
ルーデウスが精神世界へ入ると、
異世界で得た少年の姿ではなく、
日本時代の男の姿になる。
そこで話す声も杉田智和。
身体がルーデウスへ変わっても、
本人の深い自己認識には、
前世の姿が残っていることが何度も示されてきた。

だから老デウスへ杉田智和を当てる案は、
単なる声優人気だけではない。
前世の男。
内面の独白。
ヒトガミ空間での自己像。
そこまで積み重ねたアニメの表現と、
未来ルーデウスを一本につなげられる。

実際に第11話で杉田智和が使われると、
「やっぱり杉田だった」
という納得と同時に、
「本当に杉田にするんだ」
という驚きも出る。
予想できた配役なのに、
実際に老デウスの顔からあの声が出ると、
現在のルーデウスとの差が想像以上に大きい。

しかも声の違いは、
老化だけでは説明できない。
若いルーデウスから、
何十年か経った声として聞くより、
前世の男が戻ってきたように聞こえる。
ここが、
老デウス=杉田智和の配役を、
単なる年齢表現では終わらせない部分になる。

第2章 なぜ内山夕実ではなく杉田智和?放送前から割れていた配役がしっくりくる訳

内山夕実は「この世界で新しい人生を生きているルーデウス」の声として積み重なってきた

現在のルーデウスを、
第1期から演じ続けているのは内山夕実。
赤ん坊。
少年。
青年。
身体は成長しても、
ルーデウスとして外へ話す声は、
一貫してこちら側にある。

この声とともに、
ルーデウスは前世になかった経験を重ねてきた。
ロキシーから魔術を教わる。
シルフィと友達になる。
エリスの家庭教師になる。
魔大陸を旅する。
パウロと再会。
ラノア魔法大学へ入り、
フィッツと再会する。

第2期では、
その積み重ねがさらに大きくなる。
シルフィと結婚。
家を買う。
妹たちと暮らす。
ルーシーが生まれる。
ベガリット大陸では、
ロキシーと再会。
パウロを失う大きな悲劇も経験するが、
最終的には家族のいる家へ戻る。

前世のルーデウスには、
ここまで深い人間関係がなかった。
家へ引きこもる。
家族とも距離が開く。
他人との接触を避ける。
最後には家から追い出され、
事故で死亡する。
異世界での人生は、
その失敗を一つずつ反対方向へ進む時間でもある。

その「新しい人生」を、
外側から支えてきた声が内山夕実になる。
ロキシーへ礼を言う。
エリスを守る。
シルフィへ思いを伝える。
娘を抱く。
家族と話す。
この世界のルーデウスとして生きる場面では、
内山夕実の声が積み重なっている。

一方で杉田智和は、
完全に消えたわけではない。
ルーデウスが心の中で考える時。
過去の価値観が顔を出す時。
欲望。
自虐。
後悔。
恐怖。
前世から続く思考が動く時、
杉田智和の独白が聞こえる。

この二重構造が、
第1期から続いている。
外側では異世界の少年。
内側では日本で34年間生きた男。
同じ人物なのに、
声を分けることで、
「新しい人生」と「消えない前世」が同時に存在する。

だから普通に考えれば、
老デウスも内山夕実の延長で成立する。
現在のルーデウスが、
そのまま50年後まで生きた人物だから。
肉体の連続性だけを見れば、
こちらの方が分かりやすい。

しかし第11話で、
あえて杉田智和の声が出る。
ここで老デウスは、
単なる「年を取った現在ルーデウス」ではなくなる。
今の人生を何十年も伸ばした人物ではない。
何かを大きく失い、
現在とは別方向へ進んでしまった未来として聞こえる。

老デウスは家族を失うほど、かつての「前世の男」に近い孤独へ戻っていく

杉田智和の声が、
老デウスにしっくりくる最大の部分は、
未来で何が起きたかを見ると分かりやすい。
老デウスは、
現在のルーデウスが築いてきたものを、
順番に失っていく。

最初の大きな崩壊がロキシー。
ヒトガミの助言に従い、
地下室へ入る。
そこからネズミが逃げる。
ネズミが食料を汚染。
妊娠中のロキシーが魔石病に感染し、
治療が間に合わず死亡する。

現在のルーデウスにとって、
ロキシーは単なる妻ではない。
第1期序盤。
外へ出ることすら怖かった少年を、
馬に乗せて村の外へ連れ出した人物。
前世から引きずっていた対人恐怖を、
最初に崩した師匠になる。

そのロキシーを失った未来では、
ルーデウスの精神が大きく崩れる。
家族の中へ戻れない。
シルフィとも距離が開く。
酒。
女。
復讐。
魔術研究。
強くなる方向へ進むほど、
人とのつながりから離れていく。

次にシルフィも失う。
現在では、
第2期を通して再会し、
結婚し、
家庭を作った相手。
前世でできなかった、
「一緒に暮らす家族」
を初めて形にした人物でもある。

老デウスの未来では、
そのシルフィまで離れていく。
アリエルと共にアスラ王国へ向かい、
最終的には死亡。
ルーデウスが追いついた時には、
もう取り返せない状態になっている。
ここでも、
後悔した時には遅い。

エリスとの関係も同じ。
第1期第23話で、
エリスは強くなるために旅立つ。
しかし短い置き手紙だけを読んだルーデウスは、
自分が捨てられたと受け取る。
本当は、
エリスが隣に立てる強さを得ようとしていたことを、
未来のルーデウスは長く理解できない。

老デウスの時間軸では、
その誤解を修復しないまま進む。
エリスが何度現れても拒絶。
最後には、
自分を守るためにエリスが死亡してから、
ようやく彼女の気持ちを知る。

ロキシー。
シルフィ。
エリス。
現在のルーデウスを、
前世とは違う人生へ連れ出した人物を、
老デウスは順番に失っていく。
そして残るのは、
強大な魔術。
復讐心。
研究。
後悔。
孤独。

ここで、
杉田智和の声が効いてくる。
前世の男も、
孤独だった。
家族との関係を失い、
人と距離を置き、
自分の中へ閉じこもった。
老デウスも経緯は違うが、
最終的には似た場所へ戻っていく。

現在のルーデウスは、
内山夕実の声とともに、
前世から離れる人生を進んでいる。
老デウスは、
杉田智和の声とともに、
前世と似た孤独へ戻ってしまった。
この対比があるから、
第11話で二つの声を同時に聞くと、
単なる若者と老人の会話には見えない。

今の自分。
失敗した未来の自分。
新しい人生を続ける自分。
前世の孤独へ戻った自分。
その二人が向かい合っている。

だから「なぜ内山夕実ではなく杉田智和だったのか」
という疑問には、
声質だけでは答えきれない。
老デウスが何を失った人物なのか。
現在のルーデウスが何を得てきた人物なのか。
その差まで見ると、
杉田智和の声が持つ重さが、
第11話の未来警告と強く重なってくる。

第3章 杉田智和は第1期から「ルーデウスの中身」を担当してきた

見た目は少年でも、心の中へ入ると「前世の男」の声になる

老デウスを杉田智和が演じると、
「前世の男と同じ声だから分かりやすい」
で終わりそうに見える。
しかし第1期から追うと、
杉田智和の声はずっと、
ルーデウスが表へ見せない本音。
前世から持ち越した思考。
自己嫌悪。
欲望。
恐怖。
そうした内側を担当してきた。

第1話「無職転生」から、
その二重構造は始まっている。
現代日本で34歳の引きこもりだった男が死亡。
次に目を覚ました時には、
グレイラット家の赤ん坊。
外から見れば幼児なのに、
頭の中では日本時代の知識と記憶を持ったまま考えている。
その内面へ切り替わると、
杉田智和の声が聞こえる。

ロキシーと出会った時もそう。
幼いルーデウスが、
水聖級魔術師ロキシーから魔術を習う。
外側では、
素直な少年として受け答えする。
しかし内側では、
前世の経験。
女性への意識。
自分への評価。
この世界でどう生き直すか。
複数の思考が同時に動いている。

特に大きいのが、
ロキシーに連れられて村の外へ出る場面。
前世で引きこもっていた記憶が残り、
家の敷地を越えること自体に強い抵抗がある。
異世界へ転生しても、
精神の奥では前世の恐怖が消えていない。
そこをロキシーに連れ出され、
初めて一歩外へ出る。

つまり第1期の段階から、
内山夕実のルーデウスは、
新しい身体で前へ進む側。
杉田智和の前世の男は、
過去の傷を抱えたまま内側に残る側。
二つの声が、
同じ人物の中で別の役割を持っていた。

エリスの家庭教師になってからも、
同じ構造が続く。
乱暴なエリスに殴られる。
誘拐事件へ巻き込まれる。
フィットア領転移事件で、
突然魔大陸へ飛ばされる。
外側ではルーデウスとして判断し、
魔術を使い、
ルイジェルドやエリスを守る。

一方、
心の中では、
前世の価値観が何度も顔を出す。
自分はまた失敗するのではないか。
相手に嫌われるのではないか。
今度こそ本気で生きると言いながら、
都合よく逃げていないか。
外見以上に、
内側では昔の自分と戦い続けている。

その最も分かりやすい形が、
ヒトガミと会う精神世界。
ルーデウスは、
異世界で成長した少年の姿ではなく、
日本時代の前世の男の姿へ戻る。
身体はルーデウスでも、
深いところで自分自身をどう見ているか。
そこでは、
まだ前世の姿が強く残っている。

声も杉田智和。
姿も前世の男。
ヒトガミと向き合う時だけ、
普段は内側へ隠れている「昔の自分」が、
そのまま表面へ出てくる。
だから杉田智和の声は、
単なるモノローグ担当ではない。
ルーデウスの中に残り続ける、
前世の自己像と結び付いている。

第1期第23話「目覚め、一歩、」では、
その前世へ戻る危険が、
実際の行動として現れる。
エリスが短い手紙を残し、
突然姿を消す。
ルーデウスは、
自分が捨てられたと受け取る。
旅を通して変われたと思っていたのに、
強い喪失を受けた瞬間、
再び部屋へ閉じこもる。

この場面は、
老デウスを見る上でも重要になる。
ルーデウスは、
人を失うと、
前世と似た形で内側へ閉じる。
第1期第23話では、
ゼニスのことを思い出し、
最終的には再び外へ出る。
つまりこの時点では、
完全に前世へ戻り切らずに済んだ。

だが老デウスの未来では、
この「失った時に内側へ閉じる」という弱点が、
さらに大きな形で繰り返される。
ロキシー。
シルフィ。
エリス。
一人失うたび、
現在のルーデウスが築いてきた人生から離れていく。
杉田智和の声が老デウスへ戻ると、
その危険な流れまで重なって聞こえる。

「心の声」だった杉田智和が、老デウスでは目の前の人物から聞こえてくる

第1期から第2期まで、
杉田智和の声は基本的に、
ルーデウス本人の内側にある。
外で会話する時は内山夕実。
心の中で考える時は杉田智和。
視聴者は長い間、
この切り替えに慣れてきた。

第2期第24話「嗣ぐ」でも、
予告ナレーションは、
前世の男として杉田智和が担当している。
現在のルーデウスが青年期へ進み、
家庭を持っても、
内側の声が消えたわけではない。
成長しても、
前世の記憶を抱えた人格は残っている。

その状態で第11話へ入る。
突然現れた老人。
現在のルーデウスは、
警戒しながら相手を見る。
老人は、
自分しか知らないことを口にする。
未来。
ヒトガミ。
地下室。
そして、
前世に関わる情報まで持っている。

そこへ杉田智和の声が来る。
これまでなら、
ルーデウスが頭の中で考えた時にしか聞こえなかった声。
それが今度は、
自分の前に立っている老人の口から聞こえる。
同じ声なのに、
置かれている場所が完全に違う。

この違いが、
老デウスの異様さを強くする。
「未来の自分が来た」
だけではない。
ずっと内側にいた前世の自分が、
50年後の姿を持って外側へ現れたようにも見える。
現在のルーデウスにとって、
かなり不気味な対面になる。

しかも若いルーデウスは、
内山夕実の声で老デウスと話す。
同じ人物なのに、
会話の中では完全に二人に分かれる。
現在。
未来。
新しい人生。
壊れた人生。
声の違いが、
時間軸の違いまでそのまま聞かせる。

だから杉田智和の老デウスは、
単なるファンサービスでは終わらない。
第1期から積み上げた、
「外側のルーデウス」と
「内側の前世の男」
という二重構造を、
第11話で初めて二人の人物として同時に見せた形になる。

第4章 老デウスはなぜ「前世の男」に近づいてしまったように見える?

現在のルーデウスは、前世では持てなかった家族と居場所を少しずつ作ってきた

老デウスの声が、
杉田智和でしっくりくる背景には、
現在のルーデウスが、
前世と逆方向へ人生を進めてきたことがある。
異世界で得たものを見れば、
その差はかなり大きい。

前世では、
家族との関係が崩れていた。
働かない。
外へ出ない。
他人と関わらない。
ゲームやネットへ逃げる。
最後には家から追い出され、
その後事故で死亡。
人とのつながりを失ったまま、
人生が終わっている。

転生後は、
そこから一つずつ逆へ進む。
ロキシーに外へ連れ出される。
シルフィと友達になる。
エリスと長い旅をする。
ルイジェルドと行動。
パウロと衝突しても、
もう一度向き合う。
前世では避け続けた人間関係を、
失敗しながら作り直していく。

第1期第23話では、
一度その流れが止まる。
エリスがいなくなり、
ルーデウスは寝床から動けなくなる。
前世の引きこもりと同じように、
何もかも諦めかける。
しかし母ゼニスのことを思い出し、
再び旅へ出る。

ここは、
老デウスとの分岐を考える上で重要。
現在のルーデウスにも、
喪失すると前世へ戻る弱さは残っている。
それでも、
そのたびに誰かとのつながりが、
完全に戻るのを止めてきた。

第2期では、
シルフィとの再会が大きい。
フィッツとして側にいた人物が、
幼馴染のシルフィだと分かる。
二人は結婚。
家を買う。
ルーデウスにとって、
前世にはなかった「自分の家庭」ができる。

その後、
妹のノルンとアイシャも来る。
ノルンとは最初、
かなり距離がある。
過去のパウロとの衝突を見た経験から、
兄を怖がっている。
それでも一緒に暮らし、
学校生活。
引きこもり。
家族関係。
少しずつ距離を縮めていく。

さらにルーシーが誕生。
ルーデウスは父親になる。
第2期第24話では、
転移迷宮から半年ぶりに帰宅。
パウロ死亡。
ゼニスの状態。
ロキシーとの関係。
重い話を家族へ伝える。

ノルンは強く反発する。
シルフィも簡単に受け入れられる話ではない。
それでも、
家族はその場で崩壊しない。
ロキシーも家族として迎えられる。
前世なら関係を切って逃げていた場面で、
ルーデウスは家の中に残る。

第3期第3話では、
ロキシーを第二の妻として迎えた生活が始まる。
シルフィ。
ルーシー。
ノルン。
アイシャ。
ロキシー。
家には複数の家族がいる。
ラノア魔法大学へ戻り、
ロキシーも教壇に立つ。

この現在のルーデウスは、
前世の34歳とはほぼ反対。
人に囲まれる。
頼られる。
守る相手がいる。
帰る家がある。
失敗しても、
その場から逃げず関係を続ける。

だから内山夕実の声で進む現在ルーデウスには、
「この世界で作り直した人生」
という積み重ねが強く付いている。

老デウスは強くなるほど人を失い、最後には前世と似た孤独だけが残ってしまう

一方、
老デウスの未来では、
現在ルーデウスが手に入れたものが、
逆順のように崩れていく。

地下室。
ネズミ。
ロキシーの魔石病。
最初に失うのは、
ルーデウスを異世界で最初に外へ連れ出した人物。
第1期序盤で、
前世から続く恐怖を超えるきっかけを作ったロキシーが、
未来では死亡する。

ロキシーを失った後、
老デウスは立ち直れない。
第2期第23話では、
パウロを失ったルーデウスを、
ロキシーが支えた。
転移迷宮。
父の死。
左腕の喪失。
ゼニスの変化。
一人では抱え切れない状態から、
ロキシーが寄り添う。

老デウスの未来では、
その支え役本人がいない。
悲しみを受け止めてもらえない。
酒。
女。
研究。
復讐。
自分を壊す方向へ進み始める。
強さは増える。
しかし人間関係は削れていく。

シルフィも家を出る。
現在では、
夫婦として家庭を作った相手。
失敗しても、
話し合い、
関係を戻せる相手だった。
しかし老デウスは、
ロキシー喪失後の自分を立て直せず、
シルフィとの距離まで壊す。

アスラ王国へ向かったシルフィを追っても、
間に合わない。
到着した時には、
もう取り返せない。
「失ってから動く」
という遅れが、
老デウスの人生で何度も繰り返される。

エリスも同じ。
第1期第23話では、
短い置き手紙によって、
ルーデウスが自分を捨てられたと誤解した。
現在の時間軸には、
まだその誤解を解く可能性が残っている。
しかし老デウス側は、
何年経っても正しく理解できない。

エリスが現れても拒む。
近づいてきても追い返す。
自分が傷つけられた記憶だけを基準に判断する。
最後には、
自分を守るためにエリスが死亡。
そこで初めて、
彼女がずっと自分を思っていたと知る。

つまり老デウスは、
魔術師としては現在より遥かに強くなる。
魔術研究。
戦闘経験。
知識。
時間魔術。
積み上げたものは大きい。
しかし人との関係だけは、
一つずつ失っていく。

この形が、
前世の男と重なる。
前世も、
能力がなかったから孤独になっただけではない。
人とのつながりを切る。
失敗を恐れて閉じる。
傷つくと逃げる。
自分の中だけで考える。
その結果、
最後には誰もいない状態へ近づいた。

老デウスも、
起きた出来事は違う。
しかし最終地点は似ている。
家族。
妻。
仲間。
信頼。
そうしたものを失い、
巨大な力と後悔だけを抱える。

だからネットで出る、
「前世と同じことをしてしまったルート」
という見方にも納得しやすい。
老デウスは、
前世そのものへ戻ったわけではない。
それでも精神的には、
現在のルーデウスが必死に離れてきた孤独へ、
もう一度近づいてしまった。

そこで声が杉田智和になる。
第1期から、
前世の傷。
本音。
自己嫌悪。
内側の自分。
それを担ってきた声が、
未来の老人から聞こえる。

現在のルーデウスは、
家族に囲まれた家で、
内山夕実の声を持つ。
未来の老デウスは、
すべてを失った後、
杉田智和の声を持つ。
この対比だけでも、
二人が同じ人物なのに、
どれほど違う人生へ進んだかが見えてくる。

第11話で老デウスが現れた時、
怖いのは老人の姿だけではない。
その声が、
ルーデウスが二度と戻りたくなかった場所を思い出させる。
杉田智和の老デウスは、
50年後の姿であると同時に、
現在のルーデウスが失敗すれば、
また孤独な自分へ戻る可能性まで聞かせる存在になっている。

第5章 「老デウス=杉田智和」で第11話の正体バレはどう変わった?

老人の正体は台詞だけでなく、杉田智和の声そのものが大きな手掛かりになった

第11話で老デウスが現れた時、
現在のルーデウスは、
目の前の老人をすぐ未来の自分だとは信じない。
突然部屋へ現れた。
身体は痩せ細っている。
片目も失っている。
現在の自分とは、
あまりにも姿が違う。

そこで老デウスは、
自分が未来から来たことを話し始める。
時間を遡る魔術。
これから起こる出来事。
ヒトガミ。
地下室。
そして現在のルーデウスしか知らないはずの情報まで出す。
一つずつ証拠を重ね、
ようやく「未来の自分」という正体へ近づいていく。

ところが視聴者側には、
ルーデウス本人より先に使える手掛かりがある。
声。
老人が話し始めた瞬間、
聞こえてくるのは杉田智和。
第1期第1話から、
前世の男として何度も聞いてきた声になる。

この時点で、
「ただの老人ではない」
と気づきやすい。
しかも無職転生では、
杉田智和の声が誰にでも使われてきたわけではない。
34歳で死亡した前世の男。
ルーデウスの内面。
ヒトガミと会う精神世界。
ずっと本人の深い部分と結び付けられてきた。

だから老デウスの第一声には、
普通の新キャラクター登場とは違う情報量がある。
老人の顔。
未来を知る台詞。
杉田智和の声。
三つが同時に重なり、
正体を伏せながら、
視聴者へかなり強いヒントを出している。

放送前から、
老デウスの声優予想が続いていたのもここに関係する。
杉田智和。
井上和彦。
麦人。
別の老年男性声優。
複数の名前が挙がっていた。
その中でも、
前世の名前を現在のルーデウスへ告げる場面を考えれば、
杉田智和が一番分かりやすいという予想があった。

逆に、
杉田智和では区別しにくいのではないか。
老デウスは前世の男ではなく、
異世界で生まれたルーデウス本人なのだから、
別の声優の方が自然ではないか。
そういう見方も放送前から出ていた。

だから実際に杉田智和の声が出た瞬間、
「杉田だった」
という事実以上に、
どちらの解釈を選んだのかが分かる。
アニメでは、
老デウスを単なる老年ルーデウスとしてではなく、
前世の男と強くつながる人物として聞かせる形になった。

内山夕実と杉田智和が同じ場面で会話することで「現在」と「失敗した未来」が完全に分かれた

第11話で特に強いのは、
若いルーデウスと老デウスが、
実際に向かい合って会話するところ。
現在のルーデウスは内山夕実。
未来のルーデウスは杉田智和。
同一人物なのに、
二人の声が同じ空間で別々に聞こえる。

第1期から、
二つの声は一人の中に存在していた。
外へ話すルーデウス。
内側で考える前世の男。
普段は切り替わるだけで、
同時に会話することはない。

それが第11話では、
完全に分離する。
現在のルーデウスが質問する。
老デウスが答える。
若い自分が疑う。
未来の自分が焦る。
これまで一人の身体の中にあった二種類の声が、
二人の人物として向かい合う。

このため老デウスは、
単に「50年老けた自分」より、
別の人生を生きた人物に見えやすい。
若いルーデウスには、
まだシルフィがいる。
ロキシーがいる。
ルーシーがいる。
ノルン。
アイシャ。
家族。
仲間。
これから守れるものが残っている。

老デウスには、
その未来がない。
ロキシーを失う。
シルフィを失う。
エリスを失う。
家族とも離れる。
ヒトガミへの復讐へ傾き、
魔術研究だけを進める。
その長い時間を通ってきた後の声が、
現在とは別の杉田智和になる。

だから二人の声が違うことで、
時間差だけではなく、
人生の差まで聞こえる。
現在のルーデウス。
失敗した未来のルーデウス。
同じ人物が、
どこで分かれてしまったのか。
第11話の会話そのものが、
二つの人生を並べる場面になる。

さらに老デウスが伝える、
「地下室には行くな」
という警告も、
杉田智和の声だから別の重さが出る。
前世からずっと、
ルーデウスの内側で聞こえてきた声。
その声が今度は外から、
「その選択をするな」
と現在の自分へ命令している。

第1期では、
前世の男の声は、
過去の失敗を引きずる側だった。
第11話では逆。
未来で失敗し切った自分が、
現在へ戻り、
次の失敗を止める側になる。
同じ杉田智和の声でも、
役割そのものが反転する。

だから老デウスの声優が杉田智和だったことは、
正体を分かりやすくしただけではない。
現在と未来。
前世と転生後。
失敗した自分と、
まだ選び直せる自分。
第11話で重なった複数のルーデウスを、
声だけでも見分けられる形にした。

第6章 ネットでは「杉田で正解」と「別声優でもよかった」がなぜ両立する?

肉体だけ見れば、内山夕実の延長か別の老年声優でも十分成立する

老デウスを杉田智和が演じたことに、
「これしかない」
と感じる人がいる一方、
放送前には、
別の声優を予想する声もかなりあった。
これはどちらかが間違っているわけではない。
老デウスという人物自体が、
二通りに考えられるからになる。

まず肉体を見る。
老デウスは、
日本時代の34歳男性が老人になった人物ではない。
異世界で生まれた、
ルーデウス・グレイラットの肉体。
その身体が何十年も生き、
老化した姿になる。

この連続性を重視すれば、
現在のルーデウスを演じる内山夕実から、
年齢を重ねた声へ変化させる形も考えられる。
あるいは青年期から壮年期。
老年期。
そこで男性声優へ切り替える方法も自然になる。

実際、
放送前の声優予想では、
井上和彦。
麦人。
杉田智和。
複数の候補が出ていた。
「前世の男がそのまま喋るのは違う」
「ルーデウスの肉体は別人なのだから、
老デウスも別の声がいい」
という考えも成立する。

特に、
第1期からの声の使い分けを厳密に見ると、
内山夕実はルーデウス本人の肉体。
杉田智和は前世の男の内面。
そう分けてきた。
なら老デウスは、
あくまでルーデウスの肉体側に属する。
そこだけ考えれば、
杉田智和でなければならないとは言い切れない。

むしろ別の老年声優なら、
50年間という時間の重さを、
声そのものの老化で表現できる。
現在のルーデウスとは、
完全に違う老人。
歴戦の魔術師。
復讐。
研究。
長い年月。
外見と声をまとめて老化させる形も十分成立する。

だから放送前に、
別声優を予想する意見があったのは自然。
老デウスの肉体を重視するか。
内面を重視するか。
そこで答えが変わる。

人格と人生の崩れ方まで見ると「杉田智和しかない」と感じる人が増える

一方、
老デウスがどんな50年間を生きたかまで見ると、
杉田智和を支持する側の感覚も強く分かる。
重要なのは、
老デウスがただ年を取ったのではないこと。
現在のルーデウスが、
異世界で手に入れたものを失い続けた未来になる。

第1期では、
ロキシーによって外へ出る。
エリスと旅をする。
ルイジェルドを信頼する。
パウロと衝突しながらも和解する。
他人との関係を作ることで、
前世の引きこもりから離れていく。

第2期では、
さらに家庭まで作る。
シルフィと結婚。
家を持つ。
ルーシーが生まれる。
ノルン。
アイシャ。
ロキシー。
前世では作れなかった、
帰る場所ができる。

老デウスの未来は、
その逆を進む。
ロキシー死亡。
精神崩壊。
シルフィとの関係悪化。
シルフィ死亡。
エリスとの誤解も解けない。
最後にはエリスまで死亡。
家族の名前すら、
日記から少しずつ消えていく。

魔術師としては強くなる。
重力魔術。
戦闘技術。
研究。
時間魔術。
現在のルーデウスより遥かに先へ進む。
しかし人生としては、
前世と似た孤立へ向かう。

この部分を見ると、
杉田智和の声は、
単なる「前世担当」の声ではなくなる。
孤独。
自己嫌悪。
他人との断絶。
一人で考え込み、
一人で失敗する。
第1期から杉田智和の声と結び付いてきた部分が、
老デウスの後半生へ重なって見える。

だからネットで、
「杉田で正解」
「老デウスは杉田しかない」
という反応が出る。
現在のルーデウスの延長ではなく、
人生を失敗した結果、
内側に残っていた前世の男が、
再び表へ近づいたように聞こえるからになる。

さらに面白いのは、
「老デウスを杉田智和にするために、
前世の男を杉田智和にしたのでは」
という見方まで出ること。
もちろん実際の配役決定過程とは別として、
第1期から見てきた視聴者に、
そう思わせるほどつながりが強い。

2020年に前世の男役として杉田智和が発表された時から、
この役は、
ルーデウスの「心の声」と強く結び付けられてきた。
実際、
杉田智和が担当する番組名も、
「心の声ラジオ」。
第3期でも、
前世の男役として杉田智和が継続している。

その声が、
第11話でついに未来の肉体を持つ。
内面だけだった声。
ヒトガミ空間でしか姿と一致しなかった声。
それが老デウスという老人を通して、
現実側のルーデウスへ話しかけてくる。

ここまで積み重なると、
「杉田智和でなければならない」
と感じる人が出るのも分かる。
一方で、
肉体の連続性を重視すれば、
「別声優でも成立した」
という見方も残る。

つまりネットで意見が割れるのは、
配役が失敗しているからではない。
老デウスが、
二つのルーデウスを同時に持っているから。
異世界で生きたルーデウスの身体。
日本時代から続く前世の自己像。
どちらを強く見るかで、
理想の声が変わる。

そして実際の第11話は、
後者を強く選んだ。
現在のルーデウスには内山夕実。
すべてを失った未来には杉田智和。
二つの声を並べることで、
老デウスがどれほど現在から離れてしまったのかを、
見た目だけでなく声でも分けた。

だから「杉田で正解」と
「別声優でもよかった」は、
矛盾していない。
前者は、
老デウスの内面と人生を見る立場。
後者は、
ルーデウスの肉体と年齢を見る立場。
両方が成立するからこそ、
老デウスの声優が放送前から長く予想され、
放送後も「やっぱり杉田」が強く話題になった。

第7章 老デウスの杉田智和ボイスは「未来の老人声」ではなく、戻ってはいけない自分の声

第1期では本音や自虐を担った声が、第11話では未来からの警告へ変わった

杉田智和の声は、
第1期からずっと、
ルーデウスの内側にいた。
欲望。
自虐。
前世の記憶。
他人には見せない本音。
外側のルーデウスが落ち着いていても、
心の中では杉田智和の声が動く。

特にヒトガミと会う精神世界では、
その関係がはっきりする。
異世界で成長したルーデウスの姿ではなく、
日本時代の前世の男。
そこで話す声も杉田智和。
身体は転生後でも、
深い自己像には前世の自分が残っている。

第1期では、
この声が笑いへ使われることも多かった。
ロキシー。
エリス。
女性への意識。
自分の欲望。
少し俗っぽい内面。
外側の少年との落差が、
ルーデウスという人物の二重性を見せていた。

しかし同じ声が、
第11話ではまったく違う役割になる。
老デウスが現れ、
現在のルーデウスへ未来を伝える。
ヒトガミを信じるな。
地下室には行くな。
これまで内側で自分の本音を語っていた声が、
今度は外側から、
現在の自分へ警告する。

ここが、
老デウス=杉田智和の一番強いところになる。
杉田智和の声は、
過去を引きずる声だった。
前世の失敗。
引きこもり。
自己嫌悪。
他人との断絶。
それを抱えたまま、
異世界で新しい人生をやり直すための声だった。

ところが老デウスは、
その新しい人生まで失っている。
ロキシー。
シルフィ。
エリス。
家族。
信頼。
帰る場所。
第1期から少しずつ手に入れてきたものを、
未来では順番に落としていく。

その結果、
老デウスは魔術師としては強くなる。
経験。
研究。
戦闘。
時間魔術。
現在のルーデウスにはないものを手に入れる。
しかし人間としては、
第1期以前の孤独へ近づいていく。

だから第11話で杉田智和の声がすると、
単なる老化した声には聞こえない。
「昔の自分が戻ってきた」
ようにも聞こえる。
ルーデウスが異世界で何年もかけて離れてきた場所へ、
未来の自分が戻ってしまった。
その結果を、
声だけでも感じさせる。

第1期第23話では、
エリスがいなくなっただけで、
ルーデウスは一度寝床へ沈む。
何もしたくない。
外へ出たくない。
前世と似た状態へ戻りかける。
それでもゼニスを思い出し、
再び外へ出る。

第2期では、
さらに多くの人間が彼を戻す。
シルフィ。
ロキシー。
ザノバ。
クリフ。
妹たち。
パウロを失った後も、
一人だけで壊れ切らずに済んだ。
現在のルーデウスには、
自分を現実へ引き戻す人間関係がある。

老デウスの未来では、
それが消えていく。
だから杉田智和の声は、
現在のルーデウスが、
「このまま進めばまた前世の孤独へ戻る」
という警告そのものにも聞こえる。

「やっぱり杉田」が刺さったのは、ルーデウスの人生が一周してしまったように見えるから

放送後に、
「やっぱり杉田だった」
という反応が強く出たのは、
予想が当たったからだけではない。
第1期から見てきた人ほど、
杉田智和の声に、
前世のルーデウスを重ねている。

現在のルーデウスは、
その前世と反対方向へ進んできた。
ロキシーに外へ連れ出される。
エリスと旅をする。
シルフィと家庭を作る。
ルーシーが生まれる。
ロキシーも家族になる。
ノルンやアイシャとも暮らす。

前世では失ったものを、
転生後は少しずつ作っている。
だから現在のルーデウスは、
単に生まれ変わっただけではない。
前世でできなかったことを、
一つずつやり直している。

老デウスは、
その逆。
築いたものを失う。
ロキシーが死ぬ。
シルフィが死ぬ。
エリスが死ぬ。
家族から離れる。
復讐へ傾く。
一人で研究する。
最後には、
現在の自分へ警告するためだけに時間を越える。

人生が、
一周してしまったようにも見える。
日本時代。
孤独。
異世界転生。
人とのつながり。
家庭。
再び喪失。
再び孤独。
そこで杉田智和の声が戻る。

この流れを見ると、
「老デウスは杉田で正解」
という感覚が強くなる。
見た目は未来。
声は前世。
その二つが同時に存在することで、
老デウスが、
単なる50年後の老人ではなく、
失敗した人生の終着点として見える。

さらに老デウスは、
現在のルーデウスへ、
未来を丸ごと説明するわけではない。
時間がない。
身体も限界。
必要なことだけを伝える。
地下室。
ヒトガミ。
日記。
未来を変えるための最低限の情報を残す。

その短い言葉を、
前世の男と同じ声で言う。
だから「地下室には行くな」は、
未来の老人からの忠告であると同時に、
ルーデウス自身の奥底から出た、
「もう同じ失敗をするな」
という声にも聞こえる。

現在のルーデウスには、
まだ全部残っている。
ロキシーは生きている。
シルフィもいる。
エリスとの誤解も、
まだ修復できる。
家族も失っていない。
老デウスが来たことで、
これから失うはずだったものを、
守れる可能性が生まれる。

だから杉田智和の老デウスは、
懐かしい声が戻ってきた場面ではない。
現在のルーデウスが、
もう一度前世のような孤独へ戻らないために、
未来から現れた声になる。

「やっぱり杉田」
という一言の裏には、
第1期から積み上げてきたものがある。
前世の男。
心の声。
ヒトガミの精神世界。
孤独。
転生後のやり直し。
そして、
すべてを失った老デウス。

それらが第11話で一本につながるから、
杉田智和という配役が強く刺さる。
老デウスの声は、
未来の老人を演じるための声ではない。
ルーデウスが二度と戻ってはいけない場所を、
現在の自分へ聞かせるための声になっている。

無職転生Ⅲまとめ

『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。

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