ノーランドの目的は、ネオ・ブリタニアを大国にすることでも世界を征服することでもなく、人間そのものを世界から消すことだった。
第9話の和平交渉は終戦へ向かう動きではなく、その裏でスタンリーと巨大計画を完成させるための偽装に近く、第10話以降はロキを世界各地へ放って敵味方の区別なく人々を襲わせる。
「ノーランドの目的は何?」「なぜ和平を装った?」「ロキをなぜ使う?」「何がしたかった?」を追うと、北海道支配さえ最終目的ではなく、世界規模の人類駆除へ向かう途中段階だったことが見えてくる。
第1章 結論|ノーランドの目的は何?北海道支配ではなく人類そのものを消すこと
ネオ・ブリタニア建国も北海道占領も最終地点ではなく、世界規模の人類駆除へ進むための途中段階だった
ノーランドの目的は、
北海道を支配し続けることでも、
ネオ・ブリタニアを世界帝国へ育てることでもない。
最終的に彼が進めたのは、
人間そのものを世界から排除する計画。
だから第10話以降に現れるロキは、
敵軍だけではなく、
国家も身分も関係なく人々を襲っていく。
第1話「雪解 -Melting Snow-」の時点では、
ノーランドはまだ、
ネオ・ブリタニアを支える白のキングとして見える。
カリスを第100代皇帝に掲げ、
シトゥンペの壁で黒の騎士団を三年間退け、
北海道内部では日本人を再びイレヴンとして支配する。
ここだけなら、
旧ブリタニア復活が目的のようにも見える。
だが物語が進むほど、
その見方では説明できない行動が増える。
第5話「光芒 -Damocles-」では、
七煌星団、北狼軍、東の暁旅団が、
ダモクレス停止へ向け総攻撃。
ネオ・ブリタニア側も、
ナラを中心に防衛戦へ入る。
普通なら、
国家存亡に関わる重要局面になる。
ところが第6話「薫衣 -Lavender-」では、
ノーランドは七煌星団との戦況をほとんど意に介さない。
黒戸たちが、
ダモクレスを止めるためギリギリの判断を迫られる一方、
ノーランドはクリストフと次の手を打つ算段を進める。
目の前の北海道戦より、
その先の計画を優先している。
ここが最初の大きな違和感。
もし北海道支配こそ最終目的なら、
ダモクレス戦の勝敗。
七煌星団の勢力。
黒の騎士団の介入。
全部をもっと重く見るはず。
しかしノーランドは、
北海道戦そのものを計画の一局面として扱っている。
第9話「鉛心 -Reset-」になると、
その違和感が一気に大きくなる。
七煌星団は、
ネオ・ブリタニアから壊滅的打撃を受ける。
ロゼは、
ギアスもサクヤという正体も知られている。
主人公側から見れば、
ほぼ打つ手を失った状態。
そこで突然、
ネオ・ブリタニアが超合集国へ和平交渉を申し入れる。
長く北海道を占領し、
黒の騎士団と対立し、
レジスタンスを弾圧してきた国家が、
ここで戦争を終わらせるような動きを見せる。
だが同じ第9話で、
ノーランドは白のビショップ・スタンリーと、
巨大な機械の前に立っている。
そして準備が整ったことを確認する。
表では和平。
裏では巨大計画。
二つが同時に進んでいる。
つまり和平は、
目的変更ではない。
北海道を諦めたわけでもない。
世界と共存する方向へ転換したわけでもない。
ノーランドが次の段階へ進む間、
外部から余計な攻撃を受けにくくするための偽装に近い。
そして第10話「紫瀾 -Purple Surf-」。
世界各地へ正体不明機が大量に出現する。
各国の戦士たちがナイトメアフレームで迎撃するが、
物量と性能に対応し切れない。
戦場は、
北海道から一気に世界へ広がる。
さらに決定的なのは、
その魔の手がネオ・ブリタニア領内にも向くこと。
ナタリアが治めるルクセンブルク領にも多数の機体が出現し、
皇宮にいるサクラまで危険に晒される。
敵国だけを攻撃しているのではない。
ここで、
ノーランドがネオ・ブリタニアを守るために戦っていたわけではないことが分かる。
自国民。
皇帝側の人間。
ネオ・ブリタニアの領地。
それすら、
ロキの攻撃対象から外していない。
国家を守りたいならあり得ない。
世界征服が目的でもおかしい。
征服後に支配する民衆まで消してしまえば、
帝国そのものが成立しない。
つまりノーランドにとって、
国家は最終成果ではなく、
計画を進めるための足場だったことになる。
第10話で自国民まで襲わせたことで、「世界征服」ではなく人間そのものが標的だったと決定的になる
ロキの使い方を見ると、
ノーランドの目的はさらに明確。
通常の戦争なら、
誰が敵かを決める。
軍事施設。
敵軍。
指揮官。
補給線。
そこを狙って、
相手国家の戦闘能力を奪う。
しかしロキは、
その発想で動いていない。
兵士だけを狙わない。
抵抗勢力だけでもない。
民間人まで襲う。
しかも世界各地で同時に動く。
人間であること自体が、
攻撃対象になっている。
第10話では、
過去シリーズの人物たちまで各地で迎撃へ入る。
世界の別々の地域で、
同時に同型の脅威へ対応する。
北海道の内戦だった物語が、
一気に人類全体の危機へ変わる。
ここでノーランドの目的も、
ネオ・ブリタニア対黒の騎士団という構図から外れる。
超合集国を倒せば終わりではない。
黒の騎士団を壊滅させれば終わりでもない。
人類が残っている限り、
彼の計画は終わらない。
しかも、
ロキは有人兵器ではない。
操縦者の感情。
恐怖。
疲労。
迷い。
そうした人間的な要素を必要としない。
世界各地へ大量投入し、
同じ目的で動かし続けられる。
ノーランドが求めるものと、
非常に相性がいい。
人間を消すために、
人間の兵士を大量に使えば矛盾が生まれる。
命令へ疑問を持つ者も出る。
民間人を殺せない兵士もいる。
ロキなら、
その迷いがない。
つまりロキは、
ノーランドの思想を兵器へ変えた存在に近い。
敵か味方かを考えない。
人間かどうかだけを見る。
止めるまで攻撃する。
世界規模で同時に動く。
彼の最終目的を実行するには、
有人軍隊より適している。
第11話「褐襲 -Devastating Force-」では、
ノーランドがさらに計画を次の段階へ進めようとする。
世界はすでに混乱している。
それでも終わりではない。
ロゼたちは、
ノーランドの計画を止めるため、
シトゥンペバリア無効化へ動く。
ここで重要なのは、
第10話のロキ投入すら最終段階ではないこと。
世界中で人々が襲われても、
ノーランドはさらに先へ進む。
計画は、
最初から複数段階で準備されていた。
だからノーランドの目的を、
「北海道を支配したかった」
「旧ブリタニアを復活させたかった」
だけで読むと、
第9話以降の行動がつながらない。
北海道占領は基地。
ネオ・ブリタニアは組織。
アインベルクは実行部隊。
スタンリーは技術。
ロキは世界展開用兵器。
全部が、
人間を世界から消すための準備へつながっていた。
第2章 第9話でなぜ突然和平を申し入れた?終戦ではなく計画完成までの偽装
七煌星団へ壊滅的打撃を与えた直後に和平を出したからこそ、本気の講和には見えない
第9話「鉛心 -Reset-」で、
ネオ・ブリタニアが和平交渉を申し入れた場面は、
物語上かなり不自然。
それまでのノーランドは、
黒の騎士団と妥協する姿勢をほとんど見せていない。
北海道支配も、
レジスタンスへの弾圧も続けていた。
しかも和平の直前、
七煌星団は大打撃を受けている。
ロゼも、
自分が皇サクヤであること。
ギアスを持つこと。
重要な情報をノーランド側へ知られてしまう。
主人公側が最も弱っているタイミングになる。
普通なら、
ここで攻勢を強める。
七煌星団を完全に潰す。
黒の騎士団の介入前に、
北海道支配を確定させる。
軍事的には、
ネオ・ブリタニア側へ有利な状況。
なのに和平。
だからコーネリアたち黒の騎士団も、
その真意を素直には受け取らない。
戦争を終わらせたいなら、
もっと前に交渉できた。
なぜ今なのか。
ここに不自然さがある。
そして同じ第9話の裏側で、
答えに近い場面が出る。
ノーランドとスタンリーが、
巨大な機械の前に立つ。
スタンリーは、
戦闘力ではなく開発技術を評価されて、
白のビショップへ置かれた人物。
その彼とノーランドが、
準備完了を確認している。
つまりノーランド側では、
北海道戦とは別の大規模計画が、
すでに完成目前まで進んでいた。
和平交渉の情報と、
巨大機械の準備完了が同じ話数で並ぶ。
この配置を見ると、
和平が本心ではないことがかなり見えやすい。
ノーランドにとって必要なのは、
世界から戦争を止めてもらうことではない。
次の作戦開始まで、
外部勢力に余計な介入をさせないこと。
黒の騎士団。
超合集国。
各国政府。
彼らの警戒を、
一時的に外交へ向けさせる。
もし和平交渉が始まれば、
すぐ全面侵攻とはなりにくい。
使節。
交渉。
条件確認。
真意の分析。
軍事攻撃以外へ時間が使われる。
その間に、
ノーランド側は世界規模の兵器展開を進められる。
第6話ですでに、
ノーランドはダモクレス戦の最中でも、
クリストフと次の手を進めていた。
つまり第9話で突然計画を思いついたわけではない。
七煌星団との戦闘と並行して、
別の作戦がずっと準備されていた。
第9話の和平は、
そこへ最後の時間を作る動きに見える。
表では戦争を止める。
裏では、
戦争そのものを無意味にする規模の攻撃を準備。
ノーランドが見ている時間軸が、
七煌星団側より一段先にある。
第10話で世界同時攻撃が始まったことで、和平は「世界と共存するため」ではなかったと確定する
和平が本気だったかどうかは、
第10話を見ればほぼ答えが出る。
交渉を申し入れた直後、
世界各地へ正体不明機が現れる。
各国は混乱。
ナイトメア部隊が迎撃。
民間人も危険に晒される。
もしノーランドが、
ネオ・ブリタニアと超合集国の関係改善を望んでいたなら、
和平直後に世界同時攻撃を始める必要はない。
交渉を壊すだけ。
外交的信用も完全に失う。
国家としては最悪の選択になる。
しかし、
ノーランドにとって国家間外交そのものが重要ではないなら、
矛盾しない。
和平は、
目的達成までの道具。
必要な時間を稼いだ後は、
維持する必要もない。
ここで、
カリスを皇帝へ置いた構造とも重なる。
ノーランドは、
国家の表向きの顔を自分で背負わない。
皇帝はカリス。
行政はナタリア。
騎士団はアインベルク。
外交は国家制度を使う。
本人は、
その裏で計画を進める。
和平も同じ。
「ノーランドが和平した」のではなく、
ネオ・ブリタニアという国家を使って、
和平という外向けの顔を作った。
その裏では、
自分の本当の計画を止めていない。
第10話で、
ロキの攻撃がネオ・ブリタニア領内にも及ぶことが決定打。
ナタリアのルクセンブルク領。
皇宮のサクラ。
自分が作った国家の人間まで危険に晒す。
和平どころか、
自国保護の意思すらない。
つまり第9話の和平を、
「ノーランドが敗北を認めた」
「戦争継続を諦めた」
と見ると真逆になる。
むしろ北海道という局地戦から、
世界全体を対象にした計画へ切り替わる直前の幕間に近い。
第1話では、
北海道を閉じる。
第5話では、
ダモクレスで抵抗勢力を圧迫する。
第6話では、
戦況の裏で次の手を準備。
第9話では、
和平を出しながら巨大機械の準備完了。
第10話で、
世界同時攻撃。
過去回をつなぐと、
ノーランドはその場その場で目的を変えていない。
表に見える作戦だけを変えながら、
ずっと次の段階へ進んでいる。
だから和平は、
ノーランドの思想が穏健になった場面ではない。
むしろ、
北海道支配だけを見ていた視聴者に、
「この男の目的はもっと大きい」
と気付かせる転換点になる。
そして第10話でロキが世界へ広がった瞬間、
その答えが出る。
ノーランドが望んでいたのは、
ネオ・ブリタニアの勝利ではない。
国境も陣営も越えて、
人間そのものを消していくこと。
第9話の和平は、
その巨大計画を表から隠す最後の偽装だった。
第3章 ロキをなぜ使った?兵士ではなく「人間そのもの」を狙うための無人兵器
敵味方を区別する軍隊ではなく、人類全体へ同じ攻撃を続けられる兵器が必要だった
ノーランドが世界規模の計画へ使ったのが、
大量の無人兵器ロキ。
ここが重要で、
彼はアインベルクやネオ・ブリタニア軍を、
そのまま世界侵攻へ向かわせたわけではない。
人間の兵士ではなく、
人間を必要としない兵器へ切り替えている。
第10話「紫瀾 -Purple Surf-」では、
北海道だけではなく、
世界各地へ正体不明機が一斉に出現する。
各国の戦士たちは、
ナイトメアフレームを駆って迎撃へ入るが、
圧倒的な物量と戦闘力に対応が追いつかない。
それまでの『奪還のロゼ』では、
七煌星団対アインベルク。
黒の騎士団対ネオ・ブリタニア。
戦う陣営がはっきりしていた。
第10話では、
その前提そのものが崩れる。
敵国の軍隊が侵攻してきたのではなく、
正体不明の機械群が世界中で同時に人々を襲う。
ここでロキが、
ノーランドの目的に非常に合っている。
人間の兵士なら、
命令を聞かせる必要がある。
補給も必要。
疲労する。
恐怖も感じる。
目の前に民間人がいれば、
攻撃を躊躇する者も出る。
さらに、
世界中の人間を攻撃しろと命令すれば、
自分も人間なのに、
なぜ同じ人間を殺すのかと疑問を持つ兵士も出る。
忠誠心。
倫理。
家族。
祖国。
有人軍隊には、
ノーランドの計画と衝突する要素が多すぎる。
ロキには、
そこがない。
操縦者の感情を必要としない。
疲労しない。
恐怖で撤退しない。
相手が敵兵なのか、
一般人なのか、
自国民なのかという迷いもない。
与えられた攻撃対象を機械的に処理し続ける。
だからノーランドは、
ネオ・ブリタニア軍を世界征服へ使ったのではなく、
人間を排除する専用兵器へ切り替えた。
世界各地へ同時展開する。
各地域で防衛側を消耗させる。
人間側が一つの戦線へ集結できないよう、
複数地域へ危機を発生させる。
第10話で、
各国の戦士たちが別々の場所で迎撃する構図も、
ロキの使い方をよく表している。
一つの巨大軍団が首都へ進軍するなら、
黒の騎士団も戦力を集中できる。
世界各地へ同時出現すれば、
それぞれの地域を守るため戦力を分散せざるを得ない。
ロキ一機の強さだけが脅威ではない。
多数。
同時展開。
無人。
人間を対象にし続ける。
この四つが揃うことで、
世界全体が一つの巨大な戦場へ変わる。
第11話「褐襲 -Devastating Force-」でも、
正体不明機による攻撃は止まっていない。
世界各地で人々が襲われ続ける中、
ノーランドはなお計画を次の段階へ進めようとする。
つまり第10話の攻撃は、
威嚇でも一時的な混乱工作でもなかった。
もし降伏を引き出したいなら、
世界が恐怖した時点で停戦要求を出せばいい。
領土を要求する。
政権交代を迫る。
黒の騎士団へ武装解除を求める。
普通の征服者なら、
そこで政治交渉へ戻る。
ノーランドは戻らない。
攻撃を続ける。
さらに次の段階へ進む。
ここからも、
ロキが「世界を従わせるための武器」ではなく、
人間を減らし続けるための実行手段だったことが見えてくる。
第6話から兵士の犠牲をほとんど気に留めなかった姿勢が、第10話の無人兵器へつながっている
ロキ投入だけを見ると、
終盤で突然ノーランドが狂ったようにも見える。
しかし過去回を振り返ると、
人間を戦力としてしか見ていない姿勢は、
もっと早い段階から出ている。
第5話「光芒 -Damocles-」では、
七煌星団、北狼軍、東の暁旅団が、
ダモクレス停止へ向け攻撃。
ネオ・ブリタニア側も、
ナラの部隊を中心に大規模戦闘へ入る。
両陣営で多くの兵士が危険へ晒される。
その一方、
サクラはネオ・ブリタニア内部から、
ノーランドの暴挙を止めようとする。
戦いによる犠牲。
日本人への被害。
自分の立場で何かできないかと動く。
だがノーランドには、
その言葉が届かない。
第6話「薫衣 -Lavender-」では、
その対比がさらに明確。
サクラは戦死した兵士や、
被害を受けた日本人へ心を痛める。
同じネオ・ブリタニア側にいても、
人命を失うことへ苦しんでいる。
ノーランドは逆。
七煌星団との戦況を意に介さず、
クリストフと次の手を進める。
誰が死んだか。
どれだけ被害が出たか。
そこより、
次の計画を実行できるかを優先する。
つまり、
第10話で人間の兵士をロキへ置き換えたのは、
思想として急な変化ではない。
元々、
人間を仲間として見ていない。
必要なら使う。
不要なら切る。
その延長で、
最初から人間を必要としない兵器の方が、
ノーランドには都合が良くなる。
ロキには忠誠もいらない。
思想教育もいらない。
戦死への補充問題も小さい。
家族を人質に取る必要もない。
人間同士の感情が、
計画へ入ってこない。
ノーランドが求める、
「人間の意思を介さず人間を処理する」
という構造に最も近い兵器になる。
だからロキは、
単なる終盤の量産敵ではない。
ノーランドが、
人間そのものを信用せず、
人間社会へ共感も持たないことを、
最も具体的な形へした兵器。
それまでの冷酷な人員運用が、
最後に世界規模へ拡大した姿になる。
第4章 なぜネオ・ブリタニアの人々まで襲わせた?ノーランドには自国への愛着すらなかった
第10話ではナタリアのルクセンブルク領にも正体不明機が現れ、皇宮のサクラまで危機へ巻き込まれる
ノーランドの目的が、
ネオ・ブリタニアの勝利ではないと決定的に分かるのが、
第10話「紫瀾 -Purple Surf-」。
世界各地へ現れた正体不明機の魔の手は、
敵国だけではなく、
ネオ・ブリタニア帝国内部にも向けられる。
ナタリアが治めるルクセンブルク領にも、
多数の機体が出現。
そこで暮らす人々も、
世界各地の市民と同じように襲われる。
ノーランドが建国へ深く関わった国家だからといって、
攻撃対象から外されていない。
さらに皇宮にいるサクラにも、
危機が迫る。
サクラは、
ネオ・ブリタニアの内部で長く行動し、
第5話ではノーランドの暴挙を止めようと訴え、
第6話では犠牲者へ心を痛めていた人物。
それでも安全圏には置かれない。
この場面によって、
第1話から見えていた国家観が反転する。
序盤のノーランドは、
ネオ・ブリタニアを守る軍事責任者に見える。
カリスを皇帝へ据える。
アインベルクを組織する。
シトゥンペの壁で外敵を遮断する。
北海道支配を維持する。
普通なら、
国家のためにそこまでした人物が、
最終的には自国民を守るはず。
だが第10話では、
その前提が崩れる。
ネオ・ブリタニアの領土も、
国民も、
皇宮にいる人間も、
ロキの計画から外されない。
つまりノーランドにとって、
ネオ・ブリタニアは故郷ではない。
守るべき共同体でもない。
自分の国民という感覚も薄い。
必要だったのは、
計画を準備するための場所と組織だった。
北海道なら、
シトゥンペの壁で外部軍を遮断できる。
アインベルクを使える。
技術者スタンリーを置ける。
大規模兵器を準備できる。
黒の騎士団が簡単に入れない。
世界規模作戦の準備拠点として、
極めて都合がいい。
第9話で、
和平交渉を申し入れた後も同じ。
国家を存続させたいなら、
和平成立後の統治を考える。
黒の騎士団との関係。
超合集国への参加。
北海道住民の扱い。
戦後処理。
政治課題はいくらでもある。
ノーランドは、
そこへ進まない。
翌第10話では、
世界中へ正体不明機が出現し、
自国領内まで攻撃される。
つまり外交交渉の先に、
国家として生き残る未来をほとんど用意していない。
ここが、
普通の独裁者との違いになる。
独裁者は、
自分が支配する国を必要とする。
民衆がいなければ税も取れない。
兵士もいない。
権力を見せる相手もいない。
ノーランドは、
その構造自体を必要としていない。
第1話の「ブリタニア復活」は看板であり、第10話で国家そのものまで使い捨てられることが見えてくる
第1話では、
ネオ・ブリタニアが、
旧神聖ブリタニア帝国の復活を掲げる。
カリスは第100代皇帝。
日本人は再びイレヴン。
北海道には、
かつてのエリア11を思わせる支配制度が戻っている。
そのため最初は、
ノーランドも旧帝国復活を本気で望んでいるように見える。
シャルル時代の秩序を復活させたい。
ブリタニアの権威を取り戻したい。
世界情勢を再び帝国中心へ戻したい。
そう読んでも不自然ではない。
だが第10話まで来ると、
それだけでは説明できなくなる。
もしブリタニア再興が最終目的なら、
ネオ・ブリタニア人を守らなければならない。
皇宮。
領地。
貴族。
軍人。
国民。
帝国を支える人間が必要になる。
ノーランドは、
そこを守らない。
世界各地の人間と同じように、
自国側の人々まで危険へ晒す。
つまり「ブリタニア復活」は、
彼の最終目的を示す理念ではなかった可能性が高い。
必要だったのは、
国家という器。
皇帝という看板。
アインベルクという軍事組織。
シトゥンペの壁という封鎖設備。
兵器開発を進める技術基盤。
それらを一つの場所へ集めるため、
ネオ・ブリタニアという国家形態が便利だった。
第5話では、
サクラが内部から暴挙を止めようとしても届かない。
第6話では、
兵士や日本人の犠牲へ心を痛めるサクラと、
戦況を気にせず次の手を進めるノーランドが対照になる。
第10話では、
そのサクラ自身まで攻撃圏へ入る。
この三段階を見ると、
ノーランドが最初から、
誰かを守るために国家を作った人物ではないことが見えてくる。
カリス。
サクラ。
アインベルク。
ネオ・ブリタニア人。
必要な間は配置する。
計画が次へ進めば、
守る対象ではなくなる。
だから自国民まで襲わせたことは、
ノーランドが暴走した証拠ではない。
むしろ、
最初から国家へ愛着を持っていなかったことが、
最後に露出した場面になる。
北海道占領も、
ネオ・ブリタニア建国も、
彼にとっては最終成果ではない。
世界規模の計画を準備するための土台。
そこに住む人々まで、
最後には計画の対象へ含める。
第10話で、
ルクセンブルク領と皇宮にまで危機が及んだ瞬間、
ノーランドの本当の敵が誰なのかがはっきりする。
黒の騎士団ではない。
七煌星団でもない。
超合集国でもない。
ネオ・ブリタニアの反対勢力ですらない。
彼が最後に敵と見なしたのは、
陣営を問わない人間そのもの。
だから自国民まで救わない。
その一線を越えたことで、
ノーランドの目的が「国家の勝利」ではなく、
人類そのものを消す計画だったことが決定的になる。
第5章 世界規模の作戦はいつから準備していた?第6話の時点ですでに北海道戦の先を見ていた
ダモクレスを巡る激戦の最中でも、ノーランドだけは目の前の勝敗へ執着していなかった
ノーランドの世界規模作戦は、
第9話で急に始まったものではない。
もっと早い段階から、
北海道の戦況とは別に、
次の計画を進めていた形跡がある。
その証拠として強いのが、
第6話「薫衣 -Lavender-」になる。
この時、
七煌星団は黒戸の指揮でダモクレスを止めようとしている。
ロゼとアッシュも加わり、
一つ判断を誤れば、
フレイヤを搭載した巨大要塞によって、
さらに大きな被害が出かねない局面だった。
第5話「光芒 -Damocles-」では、
七煌星団だけではなく、
北狼軍。
東の暁旅団。
複数のレジスタンスが同盟し、
ダモクレスへ総攻撃を開始している。
それを迎え撃つのが、
黒のクイーンであるナラ。
クインアスラと部隊を統率し、
レジスタンス側へ圧倒的な戦闘力を見せる。
北海道の戦争だけを見るなら、
ここはネオ・ブリタニアにとっても、
国家防衛の最重要局面になる。
ところが第6話で、
ノーランド本人の視線は、
その戦場へほとんど向いていない。
七煌星団がダモクレス停止へ追い詰められている最中でも、
戦況を意に介さない様子を見せ、
クリストフと「次の手」を打つ算段を進めている。
ここが重要。
普通の軍司令官なら、
ナラの防衛が持つか。
ダモクレスを維持できるか。
七煌星団の戦力をどこまで削れるか。
まず現在の戦闘結果へ意識を集中する。
ノーランドは違う。
目の前の戦場は、
すでに使い終わる可能性まで含めて見ている。
勝っても次へ。
負けても次へ。
現在の北海道支配より、
その先に何を動かすかを優先している。
同じ第6話では、
クリストフが、
再び捕虜になったイレヴンから情報を引き出そうとする。
彼は単なる戦闘員ではなく、
研究や情報収集まで担う黒のルーク。
ノーランドは、
前線で戦うナラとは別に、
クリストフへ次の局面を準備させている。
ここにも、
アインベルクの使い分けが出る。
前線ではナラ。
情報ではクリストフ。
技術開発ではスタンリー。
複数の専門家を同時に動かし、
一つの戦闘結果へ依存しない体制を作っている。
第8話「銀兎 -Ginto-」でも、
このやり方は続く。
クリストフはロゼを拘束し、
ギアスという未知の力へ接近しようとする。
一方ではキャサリンが七煌星団拠点へ攻撃。
さらに改造されたアーノルドが、
再びアッシュの前へ現れる。
つまりノーランド側は、
一つの目的だけを追っていない。
ロゼの情報。
七煌星団の排除。
アッシュへの対策。
兵器開発。
それぞれを同時並行で進める。
第9話「鉛心 -Reset-」になると、
それまで水面下だった別計画が、
ようやく形として見える。
ネオ・ブリタニアが超合集国へ和平を申し入れる一方、
ノーランドと白のビショップ・スタンリーは、
巨大な機械の前に立つ。
そして準備が整ったことを確認する。
スタンリーがここにいることも大きい。
彼は戦闘能力ではなく、
開発・技術面を評価されてアインベルクへ入った人物。
その技術者とノーランドが、
第9話で巨大設備の完成を確認している。
つまり第6話で言う「次の手」は、
ただ七煌星団へ再攻撃する程度の話ではない。
第9話までには、
世界規模作戦へ直結する設備や兵器体系が、
実際に稼働できる段階まで進んでいる。
第10話「紫瀾 -Purple Surf-」で、
その成果が一気に表へ出る。
正体不明機が、
北海道だけではなく、
世界各地へ同時に出現。
各国の戦士たちが迎撃へ入るが、
圧倒的な物量と性能に押される。
第6話では「次の手」。
第9話では「準備は整った」。
第10話では世界同時攻撃。
この流れを見ると、
ノーランドの計画が、
数話をまたいで段階的に進められていたことが分かる。
北海道で勝つか負けるかは、
最終目的ではない。
ダモクレスも、
アインベルクも、
和平も、
世界規模作戦へ進むまでの盤面の一部。
だからノーランドだけは、
第6話の激戦ですら、
すでにその先を見ていた。
第9話で準備完了、第10話でロキ投入、第11話でさらに「次の段階」へ進もうとする
ノーランドの計画が、
単発の大量攻撃ではないことは、
第11話「褐襲 -Devastating Force-」でさらに明確になる。
第10話ですでに、
世界各地では正体不明機が人々を襲い、
各国が混乱へ陥っている。
普通なら、
ここで一度成果を確認する。
どれだけ都市を破壊したか。
どれだけ敵戦力を減らしたか。
世界側が降伏するか。
政治的な反応を見る。
ノーランドは、
そこで止まらない。
第11話では、
なお「計画を次の段階へ進めよう」とする。
世界規模の同時攻撃さえ、
途中工程として扱っている。
だからロゼ側も、
単に目の前のロキを倒しているだけでは足りない。
ノーランドの計画そのものを止めるため、
シトゥンペバリアを何とかしなければならない。
ロゼは、
バリア無効化へ向けた新たな作戦へ動く。
ここで、
第1話から存在していたシトゥンペ技術が、
終盤のノーランド計画へつながる。
最初は、
北海道を閉じ込める防衛障壁。
黒の騎士団を三年間退けるための壁として登場した。
しかし終盤では、
同系統の技術が、
ノーランド専用機ファウルバウトへまでつながる。
つまり北海道占領時から使っていた技術基盤が、
最終局面では、
世界規模作戦を守る軍事システムへ発展している。
この流れを見ると、
ノーランドはその場しのぎで兵器を集めたのではない。
シトゥンペ。
アインベルク。
スタンリー。
クリストフ。
ロキ。
ファウルバウト。
複数の要素が、
終盤で一つの計画へ収束していく。
だから第6話で、
ノーランドが戦況を意に介さなかった場面は、
後から見るほど重い。
あの時点で彼にとって、
七煌星団との勝敗はもう最終問題ではなかった。
世界を相手にする準備が、
裏側で進んでいたことになる。
第6章 ファウルバウトは何のため?ノーランド自身がロキ計画の中枢へ入る専用機
ロキはファウルバウトと同期しており、ノーランド本人が世界同時攻撃の制御へ直接つながっている
第10話で世界へ放たれたロキと、
第11話以降にノーランドが搭乗するファウルバウト。
この二つは、
別々の最終兵器ではない。
公式設定では、
ロキの制御はファウルバウトに紐づけられ、
同期している。
つまりファウルバウトは、
ノーランドが自分で戦うためだけのナイトメアフレームではない。
世界中へ展開したロキ群と、
ノーランド本人をつなぐ中枢でもある。
ここを知ると、
第11話でノーランド自身が前線へ出る重みが変わる。
それまでの彼は、
白のキングとして、
基本的に部下を動かす側だった。
ナラ。
キャサリン。
クリストフ。
アーノルド。
スタンリー。
役割の違うアインベルクを配置して戦わせる。
しかし世界規模作戦が始まった後は、
ノーランド本人がファウルバウトへ騎乗する。
部下へ任せる段階から、
自分自身が計画の制御装置へ直接入る段階へ移る。
ファウルバウトには、
通常形態だけでなく、
タイタンモードが存在する。
全身十四か所に搭載された、
シトゥンペジェネレーターを解放した姿。
北海道を覆っていたシトゥンペバリアと、
同様のシステムを内蔵した独自のエナジーシステムを持つ。
さらに、
思考だけで操縦可能。
高出力のエナジー・ウイングによる飛行能力も備える。
一般的なナイトメアフレームとは、
明らかに別格の設計になる。
ここでもノーランドの思想と噛み合う。
操縦桿や複雑な操作を介さず、
思考そのものが機体へ直結する。
しかも、
世界中のロキ制御まで同期している。
本人の意思と、
無人兵器群の行動が、
一つのシステムへ集約される。
第11話では、
キャサリンが、
自分が信じてきた「強さ」を問いただすため、
ファウルバウトの前へ立ちはだかる。
白のクイーンとして、
ノーランドに長く仕えた人物が、
ついにキングへ直接挑む。
しかしそこで見えるのは、
単なる上司と部下の対決ではない。
ノーランドの背後には、
世界各地で動き続けるロキ。
自分自身は、
シトゥンペ技術を集約したファウルバウト。
一人の騎士が、
巨大な兵器体系の中心へ入っている。
第12話「浅緋 -Breaking Dawn-」では、
アッシュのZi-アポロさえ、
ファウルバウトへ歯が立たない。
それまで数々のアインベルク機を突破してきたアッシュが、
ノーランドと専用機の圧倒的な強さに絶望するほど、
性能差が大きい。
ここで重要なのは、
ノーランドが「ロキを出した後、安全な場所で見ている指揮官」ではないこと。
最後は、
自分自身が最も危険な場所へ出る。
計画を守る。
ファウルバウトを動かす。
ロキと同期する。
すべてを自分の中へ集約する。
つまりファウルバウトは、
ノーランドの最終兵器というより、
彼の計画を本人の肉体と直結させる機体に近い。
北海道を閉じたシトゥンペ技術が、最後には世界規模作戦を守るノーランド自身の力へ集約される
ファウルバウトの構造を見ると、
第1話から続いてきたシトゥンペ技術の使われ方もつながる。
序盤では、
シトゥンペの壁が北海道沿岸を覆い、
黒の騎士団の解放作戦を三年間退けていた。
壁から発生するエネルギー波は、
サクラダイトの活性を抑制する。
そのため、
ナイトメアフレームや通常兵器は、
本来の出力を発揮できない。
接触すれば停止する。
北海道全体を巨大な封鎖区域へ変える技術だった。
第1話では、
それが侵入防止。
第2話では、
七煌星団側が壁の内側で戦うしかない状況を作る。
黒の騎士団は、
世界でも有数の軍事力を持ちながら、
北海道へ直接大軍を送り込めない。
そして終盤。
同系統のシステムが、
ノーランドのファウルバウトへ集約される。
全身十四か所のシトゥンペジェネレーター。
独自のエナジーシステム。
高出力飛行。
思考操縦。
序盤の「北海道を守る壁」が、
最後には「ノーランド自身を守る力」へ変わる。
だから第11話で、
ロゼたちがシトゥンペバリア無効化へ動くのも、
単に北海道への侵入路を作るためではない。
ノーランドの計画へ届くには、
彼を守っている技術体系そのものを崩す必要がある。
ロキも同じ。
世界各地で個別に倒していても、
制御の根本が残れば終わらない。
ファウルバウトに紐づき、
同期している以上、
ノーランド本人へ到達しなければ、
計画の中枢を止められない。
第12話で、
アッシュとサクヤが最後にノーランドへ挑むのは、
そのため。
目の前の一機を撃破するだけではなく、
世界中へ広がった計画の中心を断つ戦いになる。
アッシュのZi-アポロだけでは、
ファウルバウトへ届かない。
一度は圧倒される。
そこへサクヤが戻り、
二人は最後まで共に戦うことを選ぶ。
Zi-アポロとZi-アルテミスを合わせ、
Zi-オルテギアとして再挑戦する。
ここで、
ノーランド側との構造の違いもはっきりする。
ノーランドは、
一人で思考操縦。
世界中のロキと同期。
全てを一人の意思へ集約する。
サクヤとアッシュは、
二人で意思を合わせる。
一度壊れた関係をつなぎ直し、
互いの責任を引き受け、
最後の戦いへ入る。
機体構造そのものが、
両者の生き方の違いまで映している。
ファウルバウトは、
単なる「ノーランドの強い専用機」ではない。
北海道を封鎖したシトゥンペ技術。
世界中を襲うロキ。
ノーランド本人の思考。
その三つを一本へつなぐ中枢。
だから最後にファウルバウトを止めることは、
ノーランド一人を倒すだけではない。
北海道支配から始まり、
和平を挟み、
世界規模へ拡大した巨大計画そのものを、
中心から断ち切る戦いになる。
第7章 ノーランドが本当に欲しかったもの|支配でも復讐でもなく「人間がいない世界」
北海道占領・和平・ロキ・ファウルバウトは、すべて人類そのものを消す計画へつながっていた
ノーランドの行動を最後まで追うと、
第1話から第12話まで別々に見えていた出来事が、
一つの目的へ収束していく。
北海道占領。
ネオ・ブリタニア建国。
第9話の和平。
第10話のロキ投入。
第11話以降のファウルバウト。
全部が、人間そのものを消す計画へ続いていた。
第1話「雪解 -Melting Snow-」では、
ノーランドはカリスを第100代皇帝へ据え、
アインベルクの白のキングとして北海道支配を支えている。
シトゥンペの壁によって黒の騎士団の介入を封じ、
日本人を再びイレヴンとして扱う体制まで復活。
表面だけ見れば、
旧ブリタニア帝国の再建が目的に見える。
だが、
もし本当に帝国再興が目的なら、
第10話の行動と矛盾する。
ネオ・ブリタニア人までロキの攻撃対象へ入り、
ナタリアの領地にも危機が及ぶ。
皇宮にいるサクラも安全ではない。
自分で作った国家を、
最後には守ろうとしない。
ここが決定的。
ノーランドは、
ネオ・ブリタニアを「完成させたい国」として見ていなかった。
計画を進めるための領土。
兵器を開発するための拠点。
技術者を抱えるための組織。
黒の騎士団を寄せ付けない封鎖区域。
必要なのは国家そのものではなく、
巨大計画を準備できる環境だった。
第6話「薫衣 -Lavender-」でも、
その兆候は出ている。
七煌星団がダモクレスを止めようと必死に戦う一方、
ノーランドは現在の戦況へ執着せず、
クリストフと次の手を進める。
北海道戦の勝敗だけを見ている人物なら、
この余裕は出にくい。
第9話「鉛心 -Reset-」になると、
表と裏がさらに分かれる。
ネオ・ブリタニアは超合集国へ和平を申し入れる。
ところがその裏で、
ノーランドとスタンリーは巨大機械を前に、
計画の準備完了を確認している。
和平によって、
世界と共存するつもりだったわけではない。
戦争を終わらせたいのでもない。
交渉へ相手の意識を向けている間に、
次の段階へ入る準備を終える。
その直後、
第10話で世界各地へロキが出現する。
しかもロキは、
一国だけを攻撃しない。
黒の騎士団だけでもない。
ネオ・ブリタニアの敵だけを選ばない。
世界各地で、
人間そのものを狙う。
ここでノーランドの目的は、
「世界征服」から完全に外れる。
世界征服なら、
最後には支配する人間が必要になる。
国民。
兵士。
官僚。
労働者。
支配対象がいなければ、
帝国そのものが成立しない。
ノーランドは、
そこを必要としていない。
人間を従わせることより、
人間が存在しない状態へ近づける。
だから有人軍よりロキ。
だから敵味方の区別も不要。
だから自国民も除外しない。
第11話「褐襲 -Devastating Force-」で、
ノーランドがファウルバウトへ乗るのも、
この流れの延長にある。
世界各地へ放ったロキを、
自分の計画から切り離していない。
むしろ最後には、
自分自身がその巨大システムの中心へ入る。
つまり、
ノーランドにとって北海道支配は始まり。
和平は偽装。
ロキは実行手段。
ファウルバウトは中枢。
一つずつ役割が違うだけで、
向かっている先は同じだった。
シャルルは人類を一つへしようとしたが、ノーランドは人間そのものを残そうとしなかった
ノーランドの目的を、
さらに深く見るなら、
シャルルとの違いが重要になる。
ノーランドは、
シャルル自身が将来使う器として作られた存在。
素顔もシャルルと同じ。
それでも、
最後に選んだ結論は大きく違う。
シャルルは、
人間同士の嘘。
裏切り。
争い。
別れ。
そうした苦しみを消すために、
ラグナレクの接続を進めた。
個人の境界を消し、
人類全体を一つへ統合しようとした。
方法は極端でも、
人間そのものを消そうとしたわけではない。
むしろ、
人類を一つへまとめることで、
争いを終わらせようとしていた。
ノーランドは逆。
人間同士を理解させようとしない。
一つへまとめようともしない。
人間そのものを不要と見る。
だからロキを使い、
世界規模で排除する方向へ進む。
終盤でサクヤがノーランドと向き合う時も、
普通の悪役へ向けるような動機では理解し切れない。
権力欲。
復讐。
恐怖支配。
国家の勝利。
どれも、
ノーランドの行動全体とは噛み合わない。
なぜなら、
彼が最後に欲しがっているのは、
自分が王になる世界ではないから。
誰かに崇拝される世界でもない。
ネオ・ブリタニアが繁栄する未来でもない。
人間が存在しない状態そのものへ向かっている。
だから第10話で、
自国側まで襲わせる。
だから和平も守らない。
だからアインベルクの犠牲にも執着しない。
だからロキを止めず、
第11話でもさらに計画を次段階へ進めようとする。
ここまで見ると、
ノーランドが人間へ向ける敵意は、
政治的な敵対ではない。
「黒の騎士団が嫌い」
「日本人が憎い」
「超合集国を倒したい」
という範囲ではない。
敵と見ているのは、
人間という存在そのもの。
だから陣営で区別しない。
国境でも区別しない。
自国民かどうかも関係ない。
人間であることだけが共通条件になる。
最終決戦で、
アッシュとサクヤがノーランドへ挑む構図も、
そこへつながっている。
ノーランドは一人でファウルバウトを動かし、
世界中のロキと同期する。
一つの意思へ全てを集約する。
一方、
アッシュとサクヤは、
一度壊れた関係をつなぎ直し、
互いの意思で共に戦う。
Zi-アポロとZi-アルテミスを合わせ、
Zi-オルテギアとなってノーランドへ再挑戦する。
人間を信じないノーランド。
人間同士で再びつながるアッシュとサクヤ。
最終戦は、
単なる強さ比べではない。
ノーランドが否定したものを、
主人公側が実際の行動で示す戦いになっている。
だからノーランドの目的を、
一言で「人類滅亡」とだけ書くと、
少し足りない。
重要なのは、
なぜ北海道占領をしたのか。
なぜ和平を装ったのか。
なぜロキを使ったのか。
なぜ自国民まで襲わせたのか。
その全部が一本につながること。
ノーランドは、
ネオ・ブリタニアを勝たせたかったのではない。
世界を支配したかったのでもない。
人間社会へ自分の居場所を作りたいわけでもなかった。
北海道を閉じ、
組織を作り、
技術を集め、
和平で時間を作り、
ロキを世界へ放ち、
最後はファウルバウトで計画を守る。
その先にあるのは、
ノーランドだけが生き残る帝国ではなく、
人間という存在そのものが消えていく世界。
そこまで追うと、
第1話から続いていたネオ・ブリタニアの支配も、
終盤の突然の世界同時攻撃も、
別々の出来事ではなくなる。
ノーランドは最初から、
北海道より遥かに大きな盤面を見ていた。
その巨大計画こそが、
『奪還のロゼ』終盤で初めて露わになる白のキングの本当の狙いだった。


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