前龍門・後龍門は、ペルギウスが召喚する龍の意匠を持つ二つの門で、相手から魔力を吸い上げながら戦う特殊な龍族系の術。
第10話では不死魔王アトーフェの魔力だけでなく、ルーデウス自身も体力まで急速に奪われ、アトーフェは闘気まで削られたように身体が弱っていく。
しかも前龍門は第1期のオルステッド戦ですでに登場しており、ペルギウスだけの変わった技ではなく、龍神や甲龍王へつながる古い龍族の力だと分かる。
★第1章 前龍門・後龍門とは?相手の魔力と体力を奪って弱らせる二つの龍門
白銀と黄金の門を開き、相手の力そのものを削っていく
第10話「不死魔王との謁見」で、
ペルギウスがアトーフェを止めるために使ったのが、
前龍門と後龍門。
白銀と黄金、
二つの巨大な門が地面から現れ、
アトーフェたちを挟むように配置される。
ペルギウスが、
後龍門を開く。
続いて前龍門を招く。
二つの門が開いた瞬間、
その間にいる者たちから
目に見えない力が流れ始める。
派手な爆発を起こす攻撃ではない。
それでも効果はすぐに出る。
ルーデウス自身も、
身体の表面から魔力を剥ぎ取られるような感覚を受ける。
魔力だけではなく、
立っているための体力まで急速に減り、
その場にいるだけで身体が重くなっていく。
アトーフェ親衛隊のムーアも、
まともに動けなくなる。
先ほどまでルーデウスたちを囲み、
逃げ道を塞いでいた人物が、
地面を這うことすら難しい状態へ落ちる。
直接斬られたわけでも、
大魔術を受けたわけでもない。
そして一番変化が大きいのが、
不死魔王アトーフェ。
第10話の前半では、
ザノバに腕を掴まれても自分の腕を捨て、
ルーデウスの岩砲弾にも剣で対応していた。
それほど元気だった身体から、
一気に力が抜けていく。
脚が震える。
姿勢を保てなくなる。
それまで巨大に見えていた身体まで、
どこか小さくなったように感じられる。
不死の肉体そのものを破壊するのではなく、
その身体を動かすための力を
先に奪っているのが龍門の怖いところになる。
だから前龍門・後龍門は、
単純な防御用の門ではない。
飛んできた魔術を受け止めるだけでもない。
相手が持っている魔力や、
戦い続けるための力を削り、
そもそも攻撃できない状態へ近づけていく。
第10話でルーデウスたちが、
何度攻撃しても簡単には止まらなかったアトーフェが、
ペルギウスの登場後は一気に動きを失う。
この差を見ると、
前龍門・後龍門が何をしているのか
かなり分かりやすい。
アトーフェの不死を正面から破るのではなく、動ける力を先に奪う
アトーフェは、
普通の相手と同じ倒し方が通じにくい。
第10話でも、
腕を失っても再生する。
大きな傷を受けても戻る。
一度倒れたからといって、
そこで完全に戦いが終わる人物ではない。
ルーデウスの電撃も効く。
ザノバの怪力も通る。
エリナリーゼも前へ出られる。
それでも、
攻撃を受けたアトーフェが再生すれば
また同じ戦いが始まってしまう。
ここがルーデウスたちを苦しめていた。
ペルギウスのやり方は、
そこから少し違う。
不死なら、
何度も身体を壊す必要はない。
そもそも再び立ち上がって戦うための
魔力や体力を減らしてしまえばいい。
龍門はその方向で効いている。
これは第10話の流れを見ると、
かなり相性がいい。
アトーフェは傷には強い。
しかし身体を動かすには力がいる。
剣を振るにも、
踏み込むにも、
再生した身体で戦い続けるにも、
何も消費せずに動けるわけではない。
そこを前龍門・後龍門で削る。
立てなくする。
動けなくする。
その状態まで落としてから、
ペルギウスが次の攻撃へ移る。
最初から不死の身体を完全消滅させようとするより、
ずっと現実的な止め方になる。
第1期第21話「ターニングポイント2」で、
ルーデウスがオルステッドへ最後の大魔術を撃とうとした時も、
似たことが起きている。
ルーデウスが手元へ大量の魔力を集めた瞬間、
オルステッドは前龍門を開き、
その魔力そのものを吸い取っていく。
つまり前龍門系の術は、
攻撃された後に耐えるのではなく、
攻撃に使う力を先に奪う。
第1期ではルーデウスの大火力を弱め、
第3期ではアトーフェ本人を弱らせる。
相手が強いほど、
力を出させないという使い方が生きてくる。
だから前龍門・後龍門のすごさは、
門そのものが巨大だからではない。
相手の得意な力を、
出す前から削っていけること。
ルーデウスの魔術も、
アトーフェの不死の身体も、
力を使えなければ十分には生かせない。
第10話でペルギウスが、
ルーデウスたちよりずっと余裕を持って見えるのも、
この違いが大きい。
正面から削り合わない。
相手の力を奪う。
弱ったところへ次の手を打つ。
龍門は、
そのための最初の一手になっている。
★第2章 第10話でアトーフェはどう弱った?ペルギウス登場から甲龍手刀まで
ルーデウスたちが追い詰められたところへ、ペルギウスと使い魔たちが現れる
第10話の終盤、
ルーデウスたちはかなり苦しい状態に入っている。
アトーフェ本人だけでも厄介なのに、
周囲には黒鎧の親衛隊がいる。
逃げようとしても道を塞がれ、
クリフを転移魔法陣まで行かせることも難しくなる。
ルーデウスは、
アトーフェを倒すことだけでなく、
どうやって全員で生きて帰るかを考えている。
ザノバが前へ出る。
エリナリーゼも斬り込む。
ルーデウスは魔術を撃つ。
それでも相手は不死魔王。
一度止めても安心できない。
そこへ転移魔法陣側から、
ペルギウスが姿を現す。
アルマンフィやシルヴァリルを含む
使い魔たちも一緒。
それまでアトーフェ側が囲んでいた空気が、
ペルギウスの登場で一気に変わる。
アトーフェも、
ペルギウスを見た瞬間に態度を変える。
ルーデウスへ向けていた
単純な怒りとは少し違う。
何百年前から続く因縁を知っている相手。
ラプラス戦役の時代から顔を合わせてきた者同士が、
現在の戦場で再び向き合う。
そこでペルギウスは、
いきなり剣で斬りかかるわけではない。
まず龍門を出す。
後龍門。
前龍門。
二つの門を展開し、
アトーフェたちの力を削り始める。
この時、
影響を受けているのは敵だけではない。
ルーデウス自身も、
身体から魔力が奪われる感覚を覚える。
何もしなくても体力が減っていく。
つまり龍門の間にいる者へ、
広く作用していることが分かる。
それでもペルギウス側は、
この術を使う前提で動いている。
アトーフェ親衛隊は倒れ、
ムーアも自由に動けない。
そしてアトーフェ本人からも、
それまでの勢いが急速に消えていく。
龍門で弱らせた後に、甲龍手刀「一断」でアトーフェを仕留める
ここで終わりではない。
前龍門・後龍門は、
アトーフェをその場で消滅させる必殺技ではない。
あくまで力を削る。
動きを止める。
戦える状態を崩す。
その後に、
ペルギウスは決定打へ移る。
使うのが、
甲龍手刀「一断」。
白く光る手刀を作り、
弱ったアトーフェへ向けて振り下ろす。
第10話で前龍門・後龍門が印象に残った人ほど、
この流れまで見ると役割が分かりやすい。
先に力を奪う。
動けなくする。
そこから斬る。
ペルギウスは、
不死魔王へ何度も大技を撃ち込んでいるわけではない。
相手の強みを削って、
一番通しやすい状態を作ってから
甲龍手刀を入れている。
ルーデウスたちとの違いも、
ここに出る。
ルーデウスは岩砲弾を撃つ。
ザノバが腕を止める。
エリナリーゼが斬る。
それぞれ攻撃そのものは通る。
しかしアトーフェは、
傷を受けても戻ってくる。
ペルギウスは、
戻ってくる身体と正面から競わない。
前龍門・後龍門で
魔力や体力を吸う。
そして再生や戦闘を続ける余裕まで奪ったところで、
甲龍手刀へつなぐ。
戦い方そのものが違う。
これはペルギウスが、
アトーフェを昔から知っているからこそでもある。
第10話の後には、
若い頃からアトーフェと何度も戦ってきた過去が語られる。
一度傷を付ければ終わる相手ではないことを、
何百年も前から知っている。
だから第10話のペルギウスは、
ただ強い術を見せたわけではない。
アトーフェという相手に合った手順で戦っている。
先に龍門。
次に動きを止める。
最後に甲龍手刀。
この順番自体が、
不死魔王への対処になっている。
そして前龍門という名前は、
第10話で突然出たものでもない。
第1期第21話ではオルステッドが使い、
第3期ではペルギウスが前龍門と後龍門を組み合わせる。
過去に一度見た龍族の術が、
別の人物によってさらに大きな形で戻ってくる。
だから前龍門・後龍門の記事で一番面白いのは、
技名の説明だけではない。
第1期ではルーデウスの魔術を削り、
第3期ではアトーフェの力を奪い、
最後は甲龍手刀へつながる。
同じ龍門の力が、
別々の強敵戦で勝負を動かしているところなのである。
★第3章 前龍門は第1期にも出ていた?オルステッドがルーデウスへ使っている
第1
期第21話「ターニングポイント2」で、ルーデウスの最後の大魔術を止めていた
前龍門という名前を聞いて、
第10話で初めて出てきた術だと思った人も多いはず。
しかし実は、
アニメ第1期第21話「ターニングポイント2」で、
龍神オルステッドがすでに使っている。
相手になったのは、
まだ少年だったルーデウス本人だった。
赤竜山脈を進んでいたルーデウス、
エリス、
ルイジェルドの前に、
オルステッドとナナホシが現れる。
エリスとルイジェルドは、
相手を見ただけで身体を震わせるほど怯える。
そこへルーデウスが、
ヒトガミを知っていると答えたことで空気が変わる。
オルステッドは、
ルイジェルドを短時間で倒す。
続いてエリスも簡単に退ける。
ルーデウスは肺を潰され、
まともに声も出せなくなる。
それでも岩砲弾を撃ち込み、
オルステッドの手へ傷を付けるところまでは成功する。
しかし次に火魔術を使おうとすると、
オルステッドは乱魔で魔術を崩す。
ルーデウスが作る魔術を、
完成する前に乱してしまう。
それでもルーデウスは諦めず、
別の手へ魔力を集め、
さらに大きな攻撃を作ろうとする。
そこでオルステッドが出したのが、
銀色の龍を思わせる意匠を持った門。
ルーデウスが大量の魔力を集め、
最後の一撃を撃とうとした瞬間、
オルステッドが前龍門を開く。
集めていた魔力が、
その門へ一気に吸い込まれていく。
ルーデウスは、
攻撃を撃ち負けたわけではない。
完成させるために集めていた力そのものを、
前龍門へ持っていかれている。
せっかく膨らませた大火力が縮み、
オルステッドへ十分な威力を届かせられない。
第10話の龍門と同じく、
相手の力を出させないところが怖い。
しかもルーデウスの魔力量は非常に大きい。
第21話では、
大量の魔力を吸った前龍門そのものへ
ひびが入るほどだった。
オルステッドも、
ルーデウスの魔力量を見て反応する。
それほどの力を持っていても、
前龍門に吸われれば十分に使えない。
ここを覚えていると、
第10話でペルギウスが前龍門を出した瞬間に、
第1期のオルステッド戦がつながる。
あの時はルーデウスが吸われる側。
今回はアトーフェたちが吸われる側。
使っている人物は違うのに、
同じ名前の龍門が強敵を止めている。
オルステッド戦では「魔術を撃たせない」、アトーフェ戦では「本人を動けなくする」
第1期第21話の前龍門は、
使い方がかなり分かりやすい。
ルーデウスが魔術へ込めた魔力を吸い、
大火力を弱める。
相手の身体を直接殴る術ではなく、
これから攻撃へ使おうとしている力を
先に減らしてしまう。
対して第3期第10話では、
ペルギウスが前龍門だけでなく
後龍門も同時に展開する。
するとルーデウス自身が、
身体の表面から魔力が抜けていくように感じる。
さらに体力まで減り、
立っていることそのものが苦しくなる。
アトーフェにも、
同じ変化が出る。
先ほどまで巨大な剣を振り、
ザノバやエリナリーゼを相手にしていたのに、
脚が震え始める。
黒鎧のムーアまで動けなくなる。
第1期よりも、
効果が広く見える使い方になっている。
だから二つの場面を並べると、
前龍門の役目がかなり見えやすい。
第1期では、
ルーデウスが作った大魔術の力を奪った。
第3期では、
アトーフェたちが戦い続けるための力を削っていく。
どちらも共通しているのは、
相手の力を正面から受け止めないこと。
オルステッド戦では、
ルーデウスがどれだけ魔力を持っていても、
撃てなければ意味がない。
アトーフェ戦では、
どれだけ不死の身体を持っていても、
身体を動かす力が抜ければ戦えない。
龍門は、
相手の長所そのものを発揮させにくくする。
第1期を見た時には、
オルステッドが強すぎるため、
前龍門まで細かく気にしていなかった人も多い。
ルイジェルドを瞬時に倒す。
エリスを退ける。
ルーデウスの胸を貫く。
その圧倒的な戦闘の中へ、
前龍門も一つの技として入っていた。
それが第3期になって、
ペルギウスが同じ名前を口にする。
今度は前龍門だけでなく、
後龍門まで同時に現れる。
第1期では一瞬だった龍族の術が、
第10話で改めて大きな見せ場になる。
ここが前龍門・後龍門を追う面白いところでもある。
★第4章 前龍門と後龍門は何が違う?二つそろうと力の流れが生まれる
前龍門は魔力を吸う側として、第1期オルステッド戦でも働いていた
前龍門と後龍門を見て、
まず気になるのが、
二つは何が違うのかというところ。
前龍門については、
第1期第21話のオルステッド戦を見ると
かなり分かりやすい。
ルーデウスが集めた魔力を、
門がそのまま吸い取っている。
ルーデウスは、
肺を潰されながらも反撃を続ける。
岩砲弾を撃つ。
火魔術を作ろうとする。
乱魔で崩されても、
別の手に魔力を集中させる。
最後まで何とかオルステッドへ
一撃を届かせようとしていた。
そこへ前龍門が開く。
魔力を大きくしたはずなのに、
門へ吸われていく。
オルステッド自身が、
身体で大魔術を受け止める必要はない。
相手から出てくる魔力を先に減らせば、
攻撃そのものを小さくできる。
だから前龍門は、
少なくともアニメで描かれた範囲では、
魔力を吸収する働きがはっきりしている。
単なる壁ではない。
ルーデウスの大魔術を
正面から防いだように見えても、
実際には魔力そのものを削っている。
第10話でも、
ペルギウスが前龍門を開いた後、
ルーデウスは自分から魔力が失われていくのを感じる。
第1期と第3期で、
使う人物も状況も違う。
それでも前龍門が、
魔力を吸う側として働くところは共通している。
一方で後龍門は、
第1期のオルステッド戦では
目立って使われていない。
第10話ではペルギウスが、
前龍門と後龍門を二つそろえて出す。
ここで初めて、
二つの門を組み合わせた使い方が
アニメでも大きく描かれることになる。
第10話では二つの門の間に力が流れ、アトーフェたちをまとめて弱らせる
ペルギウスは第10話で、
一枚だけ門を出すのではない。
アトーフェたちを挟む位置へ、
前龍門と後龍門を展開する。
白銀と黄金。
見た目からして違う二つの門が、
同じ場所で開く。
そして門が開くと、
その間に力の流れが生まれる。
ルーデウスも、
自分の魔力が門の方向へ持っていかれる感覚を受ける。
さらに体力まで奪われ、
何もしていないのに
身体が急速に重くなっていく。
ムーアも倒れる。
アトーフェの脚も震える。
先ほどまで、
ルーデウスたちの攻撃を受けても
立ち続けていた不死魔王が、
龍門を開かれた途端に弱っていく。
二枚を使うことで、
戦場全体へ強い効果を出しているように見える。
ここで注意したいのは、
後龍門だけの細かな働きについては、
前龍門ほど分かりやすく
本編で長く説明されていないこと。
だから「後龍門は必ず何を吸って何を出す」と
細部まで決め付けるより、
第10話で実際に起きたことを見る方が分かりやすい。
前龍門が魔力を吸う。
後龍門と組み合わせる。
二つの間に力の流れができる。
その中にいるアトーフェやムーア、
さらにはルーデウスまで
魔力や体力を奪われて弱っていく。
アニメで確認できるのは、この流れになる。
そして二つをそろえる利点は、
一人の魔術だけを止める使い方から、
その場にいる相手をまとめて弱らせる使い方へ
広がっているところにも見える。
第1期ではルーデウスの一発を止めた。
第3期では、
アトーフェ側の戦力そのものを崩している。
ここでペルギウスが、
なぜ前龍門・後龍門を先に使ったのかも見えてくる。
アトーフェは不死。
普通に斬れば再生する。
大きな魔術を撃ち込んでも、
それだけで完全な決着にはならない。
なら先に戦える力を奪えばいい。
龍門が効いた後、
アトーフェは先ほどまでの勢いを失う。
そこへペルギウスが
甲龍手刀「一断」を使う。
つまり前龍門・後龍門は、
決め技そのものというより、
決め技を通すために相手を弱らせる役目を持っている。
第1期第21話では、
オルステッドがルーデウスの反撃を止めた。
第3期第10話では、
ペルギウスがアトーフェを弱らせた。
同じ前龍門が、
一方では防御に見え、
もう一方では攻撃の準備にも見える。
ここが龍門の面白さになる。
だから前龍門と後龍門は、
二枚の盾として見るだけでは足りない。
相手が持つ魔力を奪い、
戦える状態そのものを崩す。
第10話では二つを同時に使うことで、
不死魔王アトーフェまで一気に弱らせた。
その働きを知ると、
ペルギウスが登場した瞬間に戦況が変わったことも納得しやすくなる。
★第5章 なぜ不死魔王アトーフェにも効いた?不死と魔力吸収は別の話
身体を再生できても、戦うための魔力と体力まで無限ではない
アトーフェは、
腕を失っても再生する。
身体へ大きな傷を受けても、
普通の人間のようにそこで終わらない。
第10話でも、
ザノバに腕を掴まれた後、
その腕を失ってなお戦いを続けている。
だからルーデウスたちは、
攻撃が通っても安心できない。
岩砲弾を当てる。
電撃で動きを止める。
エリナリーゼが斬り込む。
それでも身体が戻れば、
またアトーフェが立ち上がってくる可能性がある。
ここでペルギウスが選んだのが、
前龍門と後龍門だった。
身体を何度も壊すのではなく、
その身体を動かしている力を先に削る。
ルーデウス自身も、
龍門が開いた直後から魔力を奪われ、
体力まで減っていく感覚を受けている。
アトーフェにも、
同じ変化が現れる。
それまで巨大な剣を振り、
ザノバやエリナリーゼを押し返していたのに、
脚が震える。
姿勢が崩れる。
身体から勢いが消え、
先ほどまでの不死魔王とは別人のように弱っていく。
つまり、
不死であることと、
戦うための力が尽きないことは同じではない。
腕は戻る。
傷も治る。
それでも剣を振るには体力がいる。
闘気を維持するにも力がいる。
そこを奪われれば、
再生できる身体があっても十分には動けない。
ここが、
前龍門・後龍門とアトーフェの相性がいいところになる。
ルーデウスたちは、
アトーフェの身体そのものを壊そうとして苦戦した。
ペルギウスは、
身体ではなく動くための力を減らす。
不死の長所へ、
正面から付き合っていない。
第1期第21話「ターニングポイント2」でも、
オルステッドがルーデウスへ同じ発想を使っている。
ルーデウスが大魔術を完成させる前に、
前龍門で魔力を吸う。
どれだけ大きな火力を作れても、
撃つための魔力が減れば威力は落ちる。
第10話では、
それをアトーフェ本人へ広く使っているように見える。
何度も倒すより、再生しても戦えない状態へ持ち込む方が早い
アトーフェを普通の強敵と同じように考えると、
どうしても「何発当てれば倒せるか」という発想になる。
しかし不死魔族相手では、
そこだけ見ても勝負が終わらない。
一度倒す。
再生する。
また倒す。
これを繰り返せば、
攻撃する側の方が先に疲れてしまう。
後のルーデウスも、
アトーフェと再び戦った時、
この厄介さを理解している。
魔導鎧と連射式の岩砲弾で
アトーフェの身体を大きく破壊できるほど強くなっても、
何度も戻られれば、
自分の魔力が先に尽きる可能性を考えている。
だからペルギウスの方法は、
かなり理に合っている。
再生した身体を、
また壊す必要を減らす。
立てない。
剣を振れない。
闘気を十分に使えない。
そこまで弱らせれば、
不死の身体だけ残っていても戦闘は続けにくい。
第10話のアトーフェは、
龍門の効果を受けた後、
先ほどまでのようにルーデウスたちへ突進できない。
親衛隊のムーアも動きを失う。
つまりペルギウスは、
アトーフェ本人だけでなく、
周囲の戦力まで一緒に弱らせている。
戦場そのものを静かにしてしまう。
この状態を作った後だからこそ、
甲龍手刀「一断」が通る。
いきなり手刀を振るのではない。
先に龍門で力を奪う。
身体を動かせなくする。
そこへ決定打を入れる。
第10話の一連の流れは、
不死魔王への対処として非常に分かりやすい。
アトーフェは、
攻撃が効かない相手ではない。
効く。
傷つく。
倒れる。
ただし戻る。
だから必要なのは、
もっと大きな火力ではなく、
戻った後も戦えない状態へ持ち込むことになる。
前龍門・後龍門は、
そこを突いている。
不死の肉体を否定する術ではない。
その身体を動かすための魔力や体力を奪い、
再生の長所を十分に使えなくする。
第10話でアトーフェが急に弱ったのは、
この仕組みが噛み合ったからなのである。
★第6章 前龍門・後龍門はペルギウスだけの術?オルステッドとのつながり
第1期では龍神オルステッド、第3期では甲龍王ペルギウスが使っている
前龍門という名前が面白いのは、
ペルギウスだけの必殺技ではないこと。
第1期第21話「ターニングポイント2」では、
龍神オルステッドが使っている。
そして第3期第10話では、
甲龍王ペルギウスが
前龍門と後龍門を同時に展開する。
使う人物は違う。
場面も違う。
第1期では、
ルーデウスがオルステッドへ最後の反撃を試みた時。
第3期では、
ペルギウスが不死魔王アトーフェを止める時。
それでも同じ「前龍門」という名前が出てくる。
第1期のオルステッド戦では、
ルーデウスが瀕死になりながらも
大量の魔力を手元へ集める。
岩砲弾も火魔術も通じにくい。
それでも最後に、
もっと大きな魔術を作って
オルステッドへ一撃を入れようとする。
そこへオルステッドが、
前龍門を開く。
集めていた魔力が、
門へ一気に吸われる。
ルーデウスが持つ膨大な魔力で
門自体へひびが入るほど負荷が掛かるが、
それでも大魔術の威力は大きく削られる。
この場面だけでも、
前龍門が普通の盾ではないことが分かる。
飛んできた魔術を受け止めているのではない。
魔術へ変わる前の力そのものを奪っている。
相手の攻撃を防ぐというより、
攻撃そのものを作らせない方向へ働いている。
そして第10話で、
ペルギウスが同じ前龍門を使う。
ただ今回は、
後龍門まで追加される。
二つの門の間へ
アトーフェやムーアたちを入れ、
戦える力そのものを削っていく。
ここまで見ると、
前龍門はペルギウス個人が考えた術というより、
龍族へ伝わる古い術の一つとして見た方が自然になる。
龍神オルステッド。
甲龍王ペルギウス。
どちらも龍族の大きな名前を持つ人物。
その二人が同じ術を扱っている。
龍族の術は「大火力で倒す」より、相手の力を封じる使い方が目立つ
ルーデウスの魔術と比べると、
龍門の戦い方はかなり違う。
ルーデウスなら、
岩砲弾。
電撃。
火魔術。
相手へ直接威力をぶつける攻撃が多い。
倒すためには、
より強い一撃を考える。
しかしオルステッドやペルギウスは、
それだけで戦っていない。
相手が何を使うのかを見る。
その力を削る。
動きを止める。
そこから自分の攻撃へつなぐ。
龍門は、
この戦い方をよく表している。
第1期第21話では、
ルーデウスが魔術を撃つ前に前龍門。
第3期第10話では、
アトーフェへ甲龍手刀を入れる前に
前龍門と後龍門。
どちらも、
相手の最大の強みをそのまま受けない。
ルーデウスの強みは、
膨大な魔力。
なら魔力を吸う。
アトーフェの強みは、
不死の身体で何度も戦えること。
なら戦うための魔力と体力を削る。
相手によって、
龍門の使われ方まで変わって見える。
第3期では、
ナナホシの研究を通じて
ルーデウス自身も召喚魔術や転移魔法陣へ触れている。
ペルギウスの空中城塞では、
これまで第1期では分からなかった
龍族や召喚術の知識が、
少しずつ現在の物語へ入ってきている。
前龍門・後龍門も、
その延長にある。
第1期では、
オルステッドが一瞬使ったため、
名前だけ覚えていた人もいるかもしれない。
第3期では、
ペルギウスが二つの門を大きく展開し、
効果そのものまで見せてくれる。
だから第10話の「前龍門・後龍門」は、
新しく出た格好いい技だけではない。
第1期のターニングポイント2で見た術が、
別の龍族によって再び出てきた場面。
オルステッドとペルギウスが、
同じ古い力へつながっていることも見えてくる。
さらにペルギウスは、
甲龍王という名前を持つ。
オルステッドは龍神。
二人の立場や強さは同じではないが、
使う術の中には共通点がある。
前龍門という一つの技から、
龍族の魔術が何世代も受け継がれていることまで感じられる。
第1期でオルステッドが使った時には、
ルーデウスにとって恐怖の技だった。
第3期では、
同じ系統の龍門が
ルーデウスたちを救う側で使われる。
敵として見た龍族の術が、
今度は味方側からアトーフェを止める。
この反転も、第10話の面白いところになる。
だから前龍門・後龍門を追うと、
ペルギウスの技だけで終わらない。
オルステッド。
龍族。
召喚術。
甲龍王。
第1期から第3期まで散らばっていた名前が、
同じ龍門を通して一本につながってくる。
★第7章 前龍門・後龍門がすごいのは、相手の力そのものを奪えること
第1期では大火力魔術を止め、第3期では不死魔王を動けなくした
前龍門・後龍門の強さは、
巨大な門を出す見た目の派手さだけではない。
本当に厄介なのは、
相手がこれから使おうとしている力そのものを削れること。
攻撃を受けて耐えるのではなく、
攻撃できる状態を崩してしまう。
第1期第21話「ターニングポイント2」では、
ルーデウスがオルステッドへ
最後の大魔術を撃とうとする。
肺を潰され、
エリスもルイジェルドも倒され、
それでも大量の魔力を集めて反撃しようとしていた。
そこでオルステッドが前龍門を開く。
ルーデウスの手へ集めていた魔力が、
門へ吸い込まれていく。
撃つ前から威力が削られ、
せっかく作ろうとした大火力を
十分な形で出せなくなる。
第3期第10話では、
今度はペルギウスが同じ前龍門を使う。
しかも後龍門まで同時に出し、
アトーフェたちを二つの門で挟む。
するとルーデウスも、
自分の身体から魔力と体力が抜けていくのを感じる。
ムーアは動けなくなり、
アトーフェの脚も震え始める。
直前まで、
ザノバやエリナリーゼを相手にし、
岩砲弾も剣で逸らしていた不死魔王が、
一気に戦える状態を失っていく。
ここが第1期との大きな違いでもある。
オルステッド戦では、
ルーデウスの一発を止める使い方が中心だった。
第10話では、
その場にいる相手全体の力を削り、
戦場そのものを静かにしている。
前龍門・後龍門をそろえることで、
使い方がさらに広がって見える。
だから龍門は、
ただ魔術を防ぐ盾ではない。
相手が強いほど、
その強さを出すために必要な魔力や体力を奪う。
大火力を持つルーデウスにも効く。
不死の身体を持つアトーフェにも効く。
強者の長所を、
出す前から小さくしてしまう術になる。
龍門で弱らせるから、甲龍手刀「一断」が決め技として通る
第10話で前龍門・後龍門が印象的なのは、
それだけで戦いが終わらないところにもある。
ペルギウスは、
龍門を開いて満足するわけではない。
アトーフェの力を削った後、
さらに甲龍手刀「一断」へつなげる。
順番が大事になる。
まず龍門。
魔力を奪う。
体力を削る。
動きを止める。
そして弱ったアトーフェへ、
白く光る手刀を振り下ろす。
ルーデウスたちの戦いでは、
攻撃してから次を考えていた。
ザノバが掴む。
エリナリーゼが斬る。
ルーデウスが岩砲弾や電撃を使う。
それぞれの攻撃は効いても、
アトーフェは再び動いてくる。
ペルギウスは、
そこを最初から変えている。
不死の身体を何度も壊さない。
先に戦える力を奪う。
再生しても、
すぐ戦場へ戻れない状態を作る。
そのうえで一断を入れる。
これは、
アトーフェを昔から知っている
ペルギウスだからこその戦い方にも見える。
若い頃には、
ラプラス戦役の中でアトーフェに何度も苦しめられた。
一度傷を付ければ終わる相手ではないことを、
何百年も前から知っている。
だから第10話の勝利は、
単にペルギウスの火力が高かったからではない。
アトーフェの不死を知っている。
正面から削り合わない。
龍門で弱らせる。
その後に甲龍手刀を入れる。
戦う手順そのものが、
不死魔王向けにできている。
前龍門・後龍門を追うと、
第1期と第3期がここでつながる。
オルステッドは、
ルーデウスの最大級魔術を出させなかった。
ペルギウスは、
アトーフェが不死の身体を十分に使えない状態へ落とした。
相手は違っても、
「力を出させない」という部分は同じになる。
しかも使う人物も、
龍神オルステッドと
甲龍王ペルギウス。
二人とも龍族へつながる名前を持つ。
第1期では敵側に見えた前龍門が、
第3期ではルーデウスたちを救うために使われる。
同じ術でも、
立場が変わると見え方まで変わる。
だから「前龍門・後龍門とは何?」への答えは、
二つの門を出す格好いい召喚術、
だけでは足りない。
相手の魔力や体力を削り、
強みそのものを使いにくくする。
そのうえで、
次の攻撃を通しやすくする術になる。
第1期では、
ルーデウスの大魔術を止めた。
第3期では、
不死魔王アトーフェを弱らせた。
そして最後は、
甲龍手刀「一断」までつながった。
前龍門・後龍門が強いのは、
相手の攻撃を受けるからではなく、
相手が強さを出す前に、その力を奪ってしまうところなのである。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。
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