ヴェスパーはレベリオ騎士団の中で最強格ではないが、騎士団員として選ばれている時点で一般兵とは明確な実力差があり、体力・剣技・任務遂行力はいずれも高水準にある。
アリューシアやヘンブリッツほど突出していない一方、ベリルの元弟子として基礎を積み、遠征や合同訓練では若手ながら他の兵士を引っ張る側へ回る。
つまりヴェスパーの強さは「最強ではないのに十分強い」という位置にあり、レベリオ騎士団そのものの水準の高さを見せる人物になっている。
第1章 ヴェスパーは強い?結論は「騎士団内では最上位ではないが、一般兵より明確に上」
第7話で遠征へ選ばれている時点で、若手の中でも実務を任せられる騎士
ヴェスパーは、
アリューシアやヘンブリッツのようなレベリオ騎士団最上位の剣士ではない。
ただし「若手だからまだ弱い」という人物でもなく、
正式な騎士団員として遠征任務へ選ばれ、
一般兵を相手にすれば明確に上の力量を持つ。
第7話では、
アリューシアがベリルを伴ってフルームヴェルク辺境伯領へ向かう際、
ヴェスパーとフラーウも同行している。
目的は単なる観光ではなく、
王女の輿入れを前にした移動経路確認まで含む遠征。
騎士団側の失態が外交問題へ繋がり得る任務になる。
しかも現地へ到着すると、
アリューシアは辺境伯ウォーレンへ、
ヴェスパーとフラーウを随行する騎士として紹介する。
二人は高位貴族を前に余計な発言をせず、
必要な礼節を守って控える。
剣が振れるだけの若者なら、
こうした場所へ連れて行く必要はない。
ヴェスパーには、
移動に耐えられる体力。
騎士としての剣術。
上官の命令を理解する判断力。
貴族の前で失礼を起こさない振る舞い。
遠征要員として複数の能力が求められている。
一方、
レベリオ騎士団の中で最強かというと違う。
団長アリューシアは、
ベリルの元弟子の中でも突出した剣技を持つ。
副団長ヘンブリッツも、
ベリルと直接剣を交えられる騎士団屈指の実力者になる。
ヴェスパーは、
その二人と同じ位置にはいない。
現在は命令を出す側ではなく、
アリューシアの指揮を受けて動く側。
騎士団内には、
ヴェスパーより高い剣技を持つ者が複数いる。
だから強さを一言で表すなら、
「レベリオ騎士団内では上位最強格ではないが、一般的な兵士よりは明確に強い」が近い。
騎士団という精鋭集団の中へ入ると普通に見えるが、
集団の外へ出れば基準そのものが変わる。
アリューシアとの差は大きいが、「同じ騎士団にいる」こと自体が低い評価ではない
ヴェスパーの強さを誤解しやすいのは、
比較相手がアリューシアやベリルになりやすいから。
第7話でも同じ一行にベリルとアリューシアがいるため、
その二人と並べるとヴェスパーの力量は目立ちにくい。
ベリルは、
王都へ来てから騎士団員を次々と驚かせた人物。
第1期では、
アリューシアやヘンブリッツですら簡単には届かない剣技を見せる。
そのベリルを基準にすれば、
ヴェスパーが強く見えないのは当然になる。
アリューシアも同じ。
若い頃にベリルの道場で剣を学び、
現在はレベリオ騎士団長。
道場時代から技の習得が速く、
ヴェスパーより一段、二段早く型を身に付けていた。
対するヴェスパーは、
ベリルの道場で型稽古に苦戦していた。
頭では理解しても、
身体を思った通りに動かすまで時間が掛かる。
現在の実力差には、
少年時代からの習得速度の違いも繋がっている。
それでもヴェスパーは、
剣を辞めていない。
道場を出た後も鍛錬を続け、
最終的にはレベリオ騎士団へ入団。
第7話では重要な遠征へ同行するところまで成長している。
つまり、
アリューシアより弱いことと、
ヴェスパー自身が弱いことは別問題。
騎士団長と比べれば差がある。
しかし一般兵と比べれば、
正式な騎士団員として明確な優位を持つ。
第7話でベリルへ剣術指南を頼む場面でも、
ヴェスパー自身が現状へ満足していないことが分かる。
守るべきものを守れる剣を身に付けたいと考え、
騎士になった後も昔の師匠へ頭を下げる。
ヴェスパーは、
完成された最強剣士ではない。
だからこそ、
現在の力量と今後の伸び幅を両方持つ。
「強いか?」への答えは、
最強ではないが、
レベリオ騎士団員として十分に強い若手騎士になる。
第2章 若手なのになぜ遠征へ選ばれた?強さだけではないヴェスパーの価値
第7話の遠征は戦闘要員だけを集めた任務ではなく、土地勘と随行能力まで必要だった
ヴェスパーが第7話で遠征へ選ばれたことを、
「騎士団でも特に強いから」とだけ考えると少し違う。
同行したフラーウも含め、
二人の選抜には戦闘力以外の条件が重なっている。
今回向かったのは、
フルームヴェルク辺境伯領。
王女の輿入れに関わる街道や周辺事情を確認する役目があり、
現地領主との面会も発生する。
敵を倒せば終わる討伐任務ではない。
そのため必要なのは、
剣が強い者だけではない。
長距離移動に耐えられる体力。
現地で勝手な行動をしない規律。
貴族へ同行しても問題を起こさない礼儀。
周辺事情を理解できる土地勘まで必要になる。
ヴェスパーとフラーウは、
この条件へ噛み合う。
二人とも若く体力があり、
レベリオ騎士団員として最低限以上の戦闘能力を持つ。
さらに故郷が遠征先と関わるため、
土地や周辺事情にも馴染みがある。
第7話で故郷へ立ち寄ると、
フラーウの実家が営む食事処へベリルたちを案内する。
そこでヴェスパーの幼少期まで明かされ、
二人がこの土地で長く育った関係だと分かる。
遠征先を全く知らない騎士を連れて来たのではない。
現地の辺境伯ウォーレンと対面する場面でも、
二人は若さを見せて騒がない。
アリューシアが紹介し、
必要な応答だけを返して控える。
外交を含む任務で重要なのは、
こうした場面で命令系統を崩さないことでもある。
つまりヴェスパーが選ばれたのは、
「レベリオ騎士団で四番目、五番目に強いから」といった単純な順位ではない。
戦える。
走れる。
現地を知っている。
上官に従える。
随行員として振る舞える。
複数条件を満たした若手だったからになる。
強さだけなら上がいるのに選ばれたことが、ヴェスパーの「騎士としての実用性」を示している
レベリオ騎士団には、
ヴェスパーより強い騎士がいる。
アリューシア。
ヘンブリッツ。
さらに騎士団内には、
若手二人以上の技量を持つ者も複数存在する。
それでも今回の遠征へ、
上位戦力を大量投入していない。
これは任務の性質が、
全面戦闘を前提としていないから。
必要以上に主力を抜けば、
王都側の騎士団運用にも穴が空く。
アリューシア本人が同行し、
さらにベリルもいる。
戦力の核はすでに十分大きい。
そこで追加人員には、
最強の剣士よりも、
移動・警護・案内・随行へ柔軟に対応できる騎士が向く。
ヴェスパーは、
この位置にいる。
戦闘が起これば剣を抜ける。
通常移動では護衛へ回れる。
現地では土地勘を使える。
高位貴族の前では騎士として振る舞える。
第7話のヴェスパーは、
派手な一騎打ちで強さを証明する人物ではない。
むしろ遠征全体の中で、
命令された役割を外さず遂行する。
そこに若手騎士としての評価が出ている。
フラーウとの関係でも同じ。
二人は幼なじみだが、
任務中に私情だけで動くわけではない。
アリューシアの指示を受け、
騎士として随行する。
故郷へ着いてから初めて、
昔の関係が表へ出てくる。
ヴェスパーの強さを見る時、
剣技だけに絞るとアリューシアとの差ばかり目立つ。
しかし騎士に必要なのは、
敵を倒す技量だけではない。
長時間の行軍。
護衛。
情報確認。
規律。
上官との連携。
これらも任務遂行力へ入る。
第7話で若手のヴェスパーが遠征へ選ばれたことは、
最強格である証明ではない。
それでも、
「連れて行っても任務を壊さない」どころか、
複数の役割を任せられる騎士として信用されている証拠になる。
だからヴェスパーの立ち位置は、
アリューシアやヘンブリッツへ届かないから弱い、ではない。
最上位戦力ではなくても、
正式な遠征へ投入できる。
必要な場所で戦えて、
戦闘以外の任務もこなせる。
その総合力が、
若手騎士としてのヴェスパーの強さになる。
第3章 ベリルの道場時代は強かった?アリューシアには明確な差を付けられていた
ヴェスパーは型稽古で苦戦し、同時期のアリューシアほど素早く技を吸収できなかった
ヴェスパーの強さを測るうえで、
現在の騎士団員としての姿だけでなく、
ベリルの道場へ通っていた頃を見ると立ち位置がかなり分かりやすい。
ヴェスパーはアリューシアと同じ時期に門下生として剣を学んでいたが、
当時から二人の習得速度には明確な差があった。
ベリルの記憶では、
ヴェスパーは型稽古で苦労していた。
教えられた足運びや剣の軌道を頭では理解できても、
身体を思った通りに動かすことが難しく、
一つの型を身に付けるまで反復を必要とする弟子だった。
同じ場で稽古していたアリューシアは違う。
ベリルが示した動きを吸収する速度が非常に速く、
新しい型も短期間で自分の身体へ落とし込んでいく。
ヴェスパーと比べれば、
一段も二段も早く先へ進む門下生だった。
現在のアリューシアがレベリオ騎士団長まで上り詰め、
ヴェスパーがその指揮下で動く若手騎士になっているのも、
突然大きな差が付いたわけではない。
少年時代から、
剣術の吸収速度には違いが出ていた。
ただし、
型の習得が遅いからヴェスパーが弱かったという話ではない。
ベリルは同時に、
ヴェスパーは頭の回転が速かったことも覚えている。
感覚だけで技を覚えるタイプではない代わりに、
何が出来ていないのかを考える力があった。
失敗したら、
同じ動作を無意味に繰り返すのではない。
足の位置が悪いのか。
身体の捻りが足りないのか。
剣を振る時機が早いのか。
自分の不足を考えながら修正していく。
この性質は、
第7話の現在にも残っている。
ヴェスパーはフラーウへ好意を持ちながら、
勢いだけで告白しない。
「もっと強くならなければならない」と自分の不足を先に考え、
その悩みを昔の師匠であるベリルへ相談する。
剣でも恋愛でも、
まず自分に何が足りないかを考える。
道場時代には型の再現で悩み、
現在は騎士としての力量で悩む。
ヴェスパーの慎重さは、
昔から大きく変わっていない。
だからヴェスパーの強さは、
一度見ただけで技を覚える天才型の強さではない。
教わる。
失敗する。
修正する。
もう一度身体へ覚え込ませる。
そうして積み上げてきた種類の強さになる。
アリューシアほどの天才ではなくても、道場を出た後にレベリオ騎士団へ入った事実は大きい
ヴェスパーとアリューシアを比べる時、
どうしても現在の力量差が目立つ。
アリューシアは騎士団長として、
部下へ命令を出し、
重要遠征そのものを指揮する立場にいる。
ヴェスパーは、
その命令を受けて動く側。
第7話でも、
アリューシア、ベリルと同じ遠征へ同行しているが、
現地では若手随行員として振る舞い、
高位貴族を前にすれば紹介を受けて礼を返す立場になる。
それでも、
ヴェスパーがレベリオ騎士団へ入っている事実は軽くない。
道場時代にアリューシアへ技術習得で遅れた人物が、
そのまま地方の剣士で終わったわけではない。
鍛錬を続け、
王国の精鋭騎士団へ入るところまで実力を伸ばしている。
第7話でベリルへ個別指導を求める場面でも、
ヴェスパーは自分が完成したとは考えていない。
すでに騎士になっているのに、
守るべきものを守れる戦い方を身に付けたいと考え、
改めて昔の師匠へ教えを請う。
これは弱さの証拠ではなく、
現在の力量を自覚している証拠でもある。
アリューシアのような突出した剣士を身近で見ているから、
自分との差を誤魔化さない。
足りなければ、
もう一度教わろうとする。
ヴェスパーは、
ベリルの弟子だから自動的に最強になった人物ではない。
むしろ同じ師匠から学んでも、
アリューシアほど才能に恵まれなかった側。
それでも騎士団まで上がってきた人物になる。
だから「ヴェスパーは強いのか」という問いには、
道場時代の比較が一つの答えになる。
アリューシア級の天才ではない。
しかし、
型稽古に苦労していた少年が精鋭騎士団へ入るまで成長している。
最初から強かった人物ではなく、
弱点を残しながら鍛錬で水準を上げてきた。
現在もその途中にいる。
ヴェスパーは、
そうした成長型の若手騎士として見ると位置が分かりやすい。
第4章 アリューシア・ヘンブリッツと比べるとどこまで差がある?
アリューシアは団長、ヘンブリッツは副団長――ヴェスパーとは騎士団内の役割から違う
ヴェスパーの強さを知りたい時、
最も分かりやすい比較対象が、
アリューシアとヘンブリッツになる。
三人ともレベリオ騎士団へ所属しているが、
騎士団内で任されている役割には明確な差がある。
アリューシアは騎士団長。
第1期で片田舎の道場を訪れ、
約十年ぶりにベリルと再会すると、
彼を騎士団の特別指南役へ迎える話を持ち込んだ。
剣の腕だけでなく、
組織の人事へ関われる最高責任者でもある。
ヘンブリッツも、
騎士団の上位へ位置する実力者。
ベリルが王都へ来た当初には、
その実力を確かめるため直接剣を交える。
騎士団側を代表して特別指南役の腕前を試せるだけの技量と立場を持っている。
一方、
ヴェスパーは若手騎士。
第7話の遠征でも、
アリューシアから指示を受けて動く。
ベリルや団長を護衛しながら現地へ入り、
必要な場面で随行員として役目を果たす。
この役割差だけでも、
三人が同格ではないことは明確。
ヴェスパーがアリューシアやヘンブリッツより弱いこと自体は、
特に不自然ではない。
むしろ若手騎士が団長級と同程度なら、
騎士団内部の序列の方がおかしくなる。
アリューシアについては、
道場時代からヴェスパーとの差も分かっている。
同じベリルの門下生でも、
型を覚える速度はアリューシアが明確に上。
その後も剣を伸ばし続け、
現在は騎士団長まで到達した。
ヴェスパーは、
そこへ追い付いた人物ではない。
それでもアリューシアの遠征へ同行し、
正式な騎士として扱われる。
この「最上位ではないが任務へ投入できる」という部分が、
現在の強さを最も正確に表している。
ベリルまで含めて比べると弱く見えるが、それは周囲の基準が高すぎる
ヴェスパーが強く見えにくい最大の要因は、
第7話で周囲にいる人物が強すぎること。
ベリル。
アリューシア。
この二人と同じ画面へ入れば、
若手騎士の力量が目立ちにくいのは当然になる。
第1期からベリルは、
王都の騎士たちを相手にしても、
長年地方道場で磨いた剣技を見せている。
ヘンブリッツとの立ち合いでも、
肩書だけの特別指南役ではないことを実戦で示した。
アリューシアも、
そのベリルを師と仰ぎながら、
現在は王国有数の騎士団を率いるところまで成長している。
ヴェスパーがこの二人と同程度ではないからといって、
そのまま「弱い」へ繋げることは出来ない。
レベリオ騎士団自体が、
一般兵より高い技量を持つ騎士の集団。
入団するだけでも、
一定以上の剣技と身体能力が必要になる。
ヴェスパーはその中へ正式に入り、
遠征任務まで任されている。
さらに第7話では、
フラーウと一緒に行動する場面が多い。
二人は若手枠として同じ任務へ選ばれ、
アリューシアから命令を受け、
現地でも騎士として動く。
少なくとも保護されるだけの見習いではない。
強さランキングの感覚で置くなら、
ベリルやアリューシアが上。
ヘンブリッツも騎士団上位。
ヴェスパーはその下で、
実戦経験を積んでいる若手騎士という位置になる。
ただし、
ここで重要なのは順位そのものではない。
ヴェスパーより強い者が騎士団内に複数いる一方、
騎士団外の一般兵へ出れば立場が逆転する。
「内部では普通に見える精鋭」という状態になる。
これはレベリオ騎士団の層の厚さでもある。
団長だけが強い組織ではない。
上位にはヘンブリッツのような騎士がいて、
その下にもヴェスパーやフラーウのような若手実働要員がいる。
だからヴェスパーの強さを見るなら、
アリューシアへ勝てるかだけで判断しない方がいい。
騎士団内の順位では上位最強格ではない。
それでも一般的な兵士より高い水準にあり、
遠征へ投入できる実戦要員として評価されている。
「最強ではないから弱い」ではなく、
「精鋭集団の中ではまだ上がいる」。
ヴェスパーの強さは、
この位置へ置くと最も分かりやすい。
第5章 フラーウと比べるとどちらが強い?二人は同格に近い若手騎士
第7話では二人とも遠征へ選ばれ、原作でも前後を任される基準役として扱われている
ヴェスパーとフラーウは、
どちらか一方だけが明確に上という描かれ方ではない。
第7話では二人ともアリューシアの遠征へ同行し、
フルームヴェルク辺境伯領まで同じ任務へ出ている。
若手騎士の中でも、
揃って実務へ投入できる組み合わせとして扱われている。
現地で辺境伯ウォーレンと対面する場面でも、
アリューシアはヴェスパーとフラーウを、
今回の役目では自分とベリルの付き人に近いと紹介する。
二人は頭を下げ、
余計な発言をせずその場へ控える。
戦闘だけでなく、
随行任務の規律まで求められる立場になる。
二人の力量差が見えやすいのは、
原作第182話の合同訓練。
フルームヴェルク辺境伯領の私兵軍約六十人を相手に、
ベリルはヴェスパーを先頭、
フラーウを最後方へ配置する。
私兵たちへ出された条件は、
ヴェスパーから出来るだけ遅れず、
同時にフラーウから追い抜かれないこと。
つまり二人は同じ訓練を受ける参加者ではなく、
私兵軍の体力を測るための前後二つの基準として置かれている。
アリューシアが二人へ確認すると、
ヴェスパーは即座に応じ、
フラーウも迷わず引き受ける。
騎士団員同士でも技量差はあるが、
二人とも一般兵と比べれば高い水準にいるからこそ成立する配置になる。
一周目から、
ヴェスパーは先頭を維持する。
私兵長サハトが数秒遅れて続き、
さらに後ろから私兵たちが集団で戻ってくる。
ヴェスパーは、
職業軍人の先頭を引っ張る速度を保ったまま走っている。
一方のフラーウは、
最後尾で私兵集団へ張り付く。
一周目の時点では表情もほとんど変えず、
まだ余裕を残している。
前を引っ張るヴェスパーと、
後ろから圧力を掛けるフラーウ。
役割は違っても、
どちらも私兵側へ負荷を与える位置になる。
この配置だけを見ると、
ヴェスパーの方が強いとも、
フラーウの方が強いとも断定できない。
むしろ二人とも、
レベリオ騎士団の若手として同程度の信頼を受け、
別々の役目を任されていることの方が重要になる。
五周後の結果でも、ヴェスパーとフラーウは私兵側より明確に余力を残している
原作第183話では、
五周を走り終えた後の状態が描かれる。
先頭を務めたヴェスパーは、
多少息が上がっている程度。
全力を使い切った様子ではなく、
まだ打ち稽古へ移れるだけの体力を残している。
最後までヴェスパーへ食らい付いた私兵長サハトは、
かなり消耗している。
同じ距離を走っていても、
恒常的に出せる速度と持久力に差がある。
ヴェスパーが一般兵より上と分かる具体的な場面になる。
一方、
最後尾を担当したフラーウについて、
アリューシアが何人を追い抜いたか確認する。
フラーウの返答は十八名。
約六十人の私兵のうち、
三割近くが最後尾役だったフラーウに抜かれている。
つまり二人は、
前後どちらの位置でも私兵側を上回っている。
ヴェスパーは先頭で基準速度を作る。
フラーウは最後尾から追い上げる。
同じ訓練の中で、
二人とも一般兵との身体能力差を見せている。
しかも訓練は、
五周を走って終わりではない。
その直後には木剣を使った打ち稽古が予定され、
ヴェスパーとフラーウも教導側へ並ぶ。
体力を削った後でも、
他人へ剣を見せる役目が残っている。
だからフラーウとの比較で見ると、
ヴェスパーだけが突出しているわけではない。
逆にフラーウだけが上でもない。
二人は若手騎士として、
体力、剣術、命令遂行の各面で近い位置にいる。
第7話でも、
アリューシアは二人をセットで扱う場面が多い。
遠征へ揃って同行させ、
現地では同じ随行員として動かす。
ベリルが二人の間合いと呼吸へ注目したのも、
日頃から同じ水準で行動しているからになる。
恋愛関係を抜きにしても、
ヴェスパーとフラーウは騎士として組みやすい。
片方だけを守る必要がない。
二人とも命令を理解できる。
二人とも一般兵以上の基礎体力がある。
二人とも実戦へ出せる。
だから「どちらが強い?」への答えは、
現時点では明確な上下差より、
同格に近い若手精鋭と見る方が自然になる。
少なくとも二人とも、
一般兵から見れば十分に強い側へいる。
ここから先は、アニメ未放送の原作で描かれたヴェスパーの実力にも触れています。
第6章 原作ではヴェスパーの強さがどこまで描かれる?合同訓練で一般兵との差がはっきり出る
約六十人の私兵を先頭で引っ張り、五周後も打ち稽古へ移れるだけの余力を残す
ヴェスパーの強さを、
最も具体的に確認できるのが原作第182話と第183話。
フルームヴェルク辺境伯領では、
サハト率いる私兵軍約六十人と、
レベリオ騎士団側による合同訓練が行われる。
ベリルが最初に選んだのは、
剣術ではなく走り込み。
領主館の外周を五周し、
ヴェスパーへ出来るだけ遅れず、
フラーウへ追い抜かれないよう私兵たちへ指示する。
この時点で、
ヴェスパーは訓練の基準役。
私兵側へ混ざって同じ評価を受ける立場ではない。
レベリオ騎士団員の身体能力を見せるため、
先頭へ置かれている。
走り始めると、
一周目から差が出る。
ヴェスパーが最初に正門前へ戻り、
数秒遅れて私兵長サハト。
さらにその後ろから、
私兵たちが集団で続く。
ベリルも、
騎士団員たちが普段から過酷な鍛錬を繰り返し、
一般的な兵士とは体力や走力の基準が違うことを分かっている。
その差を説明するのではなく、
ヴェスパーを走らせることで直接見せている。
五周終了後、
ヴェスパーは多少呼吸が乱れている程度。
完全に疲れ切った状態ではない。
一方、
最後まで追従したサハトは、
明確に体力を消耗している。
しかもサハトは、
辺境領私兵軍を率いる兵士長。
訓練不足の一般人ではない。
普段から兵士として鍛え、
部下を率いる人物が、
ヴェスパーの速度へ付いていくだけで大きく消耗する。
ここに、
騎士団内部だけ見ていると分かりにくいヴェスパーの強さが出る。
アリューシアと比べれば下。
ヘンブリッツと比べても上位ではない。
しかし一般兵へ出れば、
基礎体力だけでも明確な差を作れる。
さらに重要なのは、
五周を終えた後。
ベリルは休憩で訓練を終わらせず、
そのまま木剣による打ち稽古へ移る。
ヴェスパーも、
疲労回復のため見学へ回されるわけではない。
走り込み直後には私兵相手の打ち稽古へ参加し、「教わる若手」から「教える側」へ回っている
第183話では、
五周後の私兵たちを前に、
ベリル、アリューシア、ヴェスパー、フラーウが横へ並ぶ。
私兵たちは四人のうち相手を選び、
木剣で順番に打ち合う形へ移る。
ここでヴェスパーは、
若手だから訓練を受ける側ではない。
私兵へ剣を見せる側。
レベリオ騎士団員として、
他の兵士へ実戦的な稽古を付ける一人として扱われている。
ヴェスパー自身は、
ベリルの道場時代に型稽古で苦戦していた。
アリューシアほど技の習得が速くなく、
身体を思い通りに動かすまで時間が掛かった。
その人物が現在では、
他者へ剣を見せる場所まで来ている。
ここが大きい。
ヴェスパーは、
昔から強かった天才ではない。
ベリルに教わり、
失敗を重ね、
騎士団へ入り、
現在は私兵軍へ稽古を付けられる水準まで成長している。
合同訓練では、
走力だけが評価されているわけではない。
高い速度で五周を走る。
体力を残す。
直後に木剣を握る。
他人と打ち合う。
複数の負荷を連続で処理できることが、
騎士団員としての強さになる。
第182話でベリル自身も、
同じレベリオ騎士団員の中に技術差があることを認めている。
それでも騎士団へ入れている時点で、
全員の水準そのものが非常に高い。
ヴェスパーはまさに、
その基準を見せる人物になる。
アリューシアほど突出していない。
ヘンブリッツほど上位戦力でもない。
しかし約六十人の職業兵を相手に、
先頭役として走り、
そのまま剣術稽古へ移れる。
だからヴェスパーの強さは、
一騎討ちの勝敗だけでは測りにくい。
長距離任務へ耐える体力。
上官の命令へ即応する規律。
一般兵より高い走力。
さらに訓練相手を務められる剣術。
これらを合わせると、
ヴェスパーは「騎士団内ではまだ上がいる若手」でも、
外へ出れば十分な精鋭になる。
合同訓練の場面は、
その差を最も具体的に見せる場面になっている。
第7章 ヴェスパーは今後どこまで強くなる?重傷後も剣を捨てない
原作では瀕死の重傷を負い、長期療養で身体を大きく落としてから騎士団へ戻る
ヴェスパーの強さを考える時、
合同訓練で私兵を上回った場面だけを見ると、
順調に伸び続ける若手騎士にも見える。
しかし原作では、
その成長が一度大きく止まる出来事が起きる。
遠征帰路で黒衣の襲撃者たちに襲われた際、
ヴェスパーは瀕死の重傷を負う。
フラーウも肩を負傷し、
守備側には死者と重傷者が出る。
戦闘後にフラーウがアリューシアへ報告した時点でも、
ヴェスパーは命が繋がるか分からない状態だった。
その後は、
騎士団へすぐ復帰できない。
フラーウが先に訓練へ戻っても、
ヴェスパーはまだ自力歩行すら難しい時期が続く。
騎士として積み上げてきた身体能力を、
一度ほとんど失うことになる。
原作第285話でベリルが再会した時には、
以前より全身の肉が落ち、
長期間寝込んでいた影響が外見にも残っている。
合同訓練で六十人の私兵を先頭から引っ張っていた頃とは、
明らかに身体の状態が違う。
それでもヴェスパーは、
騎士団へ戻っている。
ここが強さを見るうえで重要になる。
重傷前と同じ力量へ一瞬で戻ったわけではない。
身体が落ちた状態から、
もう一度騎士として積み直す方を選んでいる。
道場時代にも、
ヴェスパーは型稽古へ苦戦していた。
身体を思い通りに動かせず、
アリューシアより習得に時間が掛かった。
それでも反復し、
最終的にはレベリオ騎士団まで入った。
重傷後も構図は似ている。
身体が思うように動かない。
以前の感覚が戻らない。
それでも剣を辞めず、
現在の自分からもう一度始める。
ヴェスパーは、
最初から完成している剣士ではない。
出来ない状態から積み上げる。
一度出来るようになっても、
失えばまた積み直す。
その繰り返しが、
この人物の強さになる。
ベリルへ立ち合いを申し込む場面は、「以前の自分へ戻れるか」を剣で確かめる再出発になる
長期療養後、
ヴェスパーはベリルと再会する。
その場でただ復帰を報告するだけではなく、
自分から立ち合いを申し込む。
昔の師匠へ、
現在の剣を直接見てもらおうとする。
この行動は、
第7話でベリルへ個別指導を頼んだ時とも繋がる。
あの時は、
もっと強くなりたい。
守るべきものを守れる剣を身に付けたい。
そう考えて、
昔の師匠へ再び教えを求めた。
重傷後は、
状況がさらに厳しい。
以前の身体能力を失い、
長期療養で筋力も落ちている。
それでもヴェスパーは、
剣を握れない自分を受け入れて終わらない。
立ち合いを通して、
今どこまで動けるのか。
以前との差はどこにあるのか。
何が戻っていないのか。
それを自分の身体で確かめようとする。
だからヴェスパーの今後の強さは、
アリューシアへ追い付くかどうかだけでは測れない。
騎士団長級まで伸びるのか。
ヘンブリッツ級へ届くのか。
そうした順位より、
一度失った剣士としての身体をどこまで取り戻せるかが重要になる。
重傷前のヴェスパーは、
一般兵より明確に高い体力を持ち、
私兵約六十人の先頭役を務め、
走り込み直後にも打ち稽古へ参加できた。
その身体を一度失った後で、
再び騎士団へ戻ったこと自体が大きい。
第7話のヴェスパーは、
まだ自分は弱いと考えていた。
アリューシアほど強くない。
フラーウへ想いを伝えるにも、
もっと成長しなければならないと思っていた。
その後、
本当に一度弱くなる出来事を経験する。
そこで剣を置くのではなく、
再びベリルの前へ立つ。
これは強さの種類が変わる場面でもある。
戦える身体があるから強いのではなく、
戦える身体を失っても戻ろうとする。
だから最終的にヴェスパーは、
「最強ではないが弱くもない」というだけの若手騎士では終わらない。
道場時代の不器用さ。
騎士団での鍛錬。
遠征での実戦。
瀕死の重傷。
その全部を越えて剣へ戻る人物になる。
ベリルやアリューシアのような突出した強者と比べれば、
現在も差は大きい。
それでも一般兵を超える実力を身に付け、
一度失った後も再び積み直す。
ヴェスパーの強さは、
勝敗だけでなくこの継続力まで含めて見ると最も分かりやすい。


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