ルーデウスは膨大な魔力と無詠唱魔術を持ちながら、闘気による身体強化ができず、強敵に接近されると魔術の強さを出し切れない。
その弱点がオルステッドとの敗北で決定的に露出し、未来の自分が残した技術と、ザノバ・クリフたちの力を合わせて生まれるのが魔導鎧。
魔導鎧を見ると、ルーデウスの強さは「魔力だけで押し切る強さ」ではなく、自分の足りない部分を仲間と技術で埋めていく強さだと分かる。
第1章 結論|魔導鎧は「強い魔術を撃ち続ける身体」をルーデウスへ与える
膨大な魔力があっても、接近戦では身体性能の差が消えない
ルーデウスは、幼い頃から魔術だけなら規格外だった。
ロキシーへ師事する前から無詠唱で水球を作り、訓練を重ねるほど魔力量も増えていく。
水聖級魔術を幼少期に習得し、成長後は岩砲弾、泥沼、電撃、地形操作まで使い分ける。
遠距離から自由に魔術を撃てる状況なら、相手にとってかなり厄介な魔術師になる。
でも、魔力の大きさと身体の強さは別。
ルーデウスは上位剣士のように闘気をまとえない。
筋力、速度、耐久力を闘気で一気に引き上げる剣士に対し、ルーデウス自身の肉体はそこまで強化されない。
剣を受ければ傷つく。
胸を貫かれれば、その大量の魔力を残したまま倒れることになる。
ここがかなり大きい。
攻撃力が足りないわけではない。
使える魔術が少ないわけでもない。
問題は、その強い魔術を使う前に相手が懐へ入ってくること。
さらに一度接近されると、次の魔術を放つ時間まで奪われやすいことにある。
幼少期にはパウロから剣術も教わっている。
木剣を持つ。
構える。
踏み込む。
身体を動かす訓練も続ける。
それでも魔術と同じような伸び方はしなかった。
一方のパウロは、戦士として身体を使うことに長けている。
間合いへ入る。
相手の動きを読む。
剣を振るう。
ルーデウスが魔術では簡単に見せる「子供離れした強さ」が、剣術ではそのまま再現されない。
キツ…。
頭では戦い方が分かる。
次に何をすればいいかも考えられる。
でも身体そのものがエリスやルイジェルドのように動くわけではない。
この差は、成長して魔術が強くなっても残り続ける。
だから魔導鎧が必要になる。
普通の鎧なら、刃や衝撃から身体を守る防具。
魔導鎧はそこから一段違う。
装甲で攻撃を受けるだけではなく、魔力を使って巨大な鎧そのものを動かし、ルーデウスに足りない筋力や機動力まで補う。
つまり、もう一つの身体を外側へ作る。
うおお、ここでルーデウスの長所と弱点がつながる。
闘気は使えない。
でも魔力は膨大。
なら大量の魔力を、攻撃魔術だけではなく身体強化へ回せばいい。
本人が肉体で持てない力を、魔道具として外から付け足す。
しかも魔導鎧を着ても、ルーデウス本来の魔術は消えない。
岩砲弾を撃つ。
泥沼を作る。
電撃を使う。
遠距離攻撃も続ける。
そのまま装甲と機動力まで加わる。
だから魔導鎧は、ルーデウスを別種類の戦士へ変える装備ではない。
剣士になるための鎧でもない。
魔術師としての強さを、接近戦が始まっても失わないための装備になる。
一撃を耐えて「もう一度魔術を撃てる」ことが、強敵相手では決定的になる
魔導鎧の価値は、「着れば最強になる」と考えると少し見えにくい。
本当に重要なのは、一度攻撃を受けても戦闘が終わらないこと。
生身のルーデウスなら、上位戦士の一撃が致命傷になる可能性が高い。
腕を壊されれば魔術の扱いにも影響する。
脚をやられれば距離を取れない。
胸や頭部へ攻撃が入れば、その場で終わる。
でも魔導鎧なら、まず装甲が受ける。
一発耐える。
まだ立てる。
後ろへ下がる。
岩砲弾を撃つ。
泥沼を出す。
次の距離を作る。
うおお、この「次」が大きい。
ルーデウスの武器は、一発の腕力ではない。
魔術を組み合わせること。
相手の足を止める。
視界を奪う。
地形を変える。
その上で高威力の攻撃を当てる。
だから戦場へ長く残るほど、使える手段が増える。
逆に一撃で倒されれば、どれだけ魔力が残っていても全部使えない。
魔導鎧は、その大量の魔力を「使う前に終わる」危険を減らす。
この問題を最も残酷に見せた相手がオルステッドだった。
赤竜の下顎で初めて遭遇した時、ルーデウスはルイジェルドとエリスと一緒にいた。
それでも止められない。
予知眼もある。
魔術もある。
仲間もいる。
それなのに、最後はオルステッドの攻撃が自分の身体へ届く。
胸を貫かれる。
キツ…。
そこで分かったのは、火力だけ増やしても足りないということ。
百の攻撃力を二百にしても、相手を倒す前に自分が一撃で終われば勝てない。
だから二度目に戦うなら、「接近された後」の答えまで用意しなければならない。
遠距離攻撃。
罠。
毒。
足止め。
そして最後に魔導鎧。
ここまで重ねて、ようやくオルステッドへ挑む形になる。
魔導鎧は勝利を保証する装備ではない。
世界最強の相手と、戦闘そのものを成立させるための切り札。
ルーデウスが持つ巨大な火力を最後まで使い切るために必要な身体になる。
第2章 魔術は強いのに何が足りない?過去の戦いで見えていたルーデウスの弱点
魔大陸ではルイジェルドとエリスが前へ出ることで、ルーデウスの火力が生きていた
魔大陸を旅したデッドエンドを見ると、ルーデウスの得意な戦い方がかなり分かりやすい。
三人は役割を分けていた。
ルイジェルドが先頭へ立つ。
第三の眼で周囲を探る。
敵を察知する。
危険な相手なら、自分から間合いへ入って止める。
エリスも前衛。
剣を抜けば迷わず突っ込む。
接近して斬る。
相手へ圧力をかけ続ける。
身体能力も高く、魔術師のルーデウスとは戦う距離がまるで違う。
その後ろにルーデウスがいる。
ここが強かった。
敵がルーデウスだけへ一直線に来られない。
目の前にはルイジェルド。
横からエリス。
その二人を相手にしているところへ、後方から魔術が飛んでくる。
ルーデウスには考える時間ができる。
岩砲弾を撃つか。
泥沼で止めるか。
地形を変えるか。
味方を巻き込まない角度はどこか。
この余裕がある時、ルーデウスの魔術はかなり強い。
でも前衛がいなくなると、一気に仕事が増える。
敵を見る。
避ける。
距離を作る。
攻撃を選ぶ。
発動する。
さらに次の攻撃へ備える。
全部を自分一人でやる必要がある。
キツ…。
だからルーデウスは昔から、相手へ簡単に近づかせない戦い方を使う。
泥沼。
土壁。
遠距離攻撃。
地形操作。
正面から剣を受けるのではなく、剣が届く前に状況を変える。
これは臆病だからではない。
自分が一番強く戦える距離を分かっているから。
ただし、どれだけ工夫しても距離を潰してくる相手がいる。
その時に、前から残っていた身体性能の差が一気に表へ出る。
予知眼があっても、ルイジェルドの拳は「見えているのに避けられない」
キシリカから予知眼をもらった時、ルーデウスは接近戦の弱点までかなり減ったように見える。
少し先の未来が見える。
相手が右へ動く。
拳を出す。
踏み込む。
その行動を先に知れる。
入手直後は扱いに苦労する。
現在の像と未来の像が重なる。
歩くだけでも視界がずれる。
それでも訓練すると、少しずつ使えるようになる。
そこでエリスと模擬戦。
一秒先を見る。
拳が来る未来が見える。
先に身体を動かす。
今までより対応できる。
次の動きを知っているだけで、接近戦の余裕がかなり違う。
うおお、これなら弱点まで消えそうに見える。
ところがルイジェルドとの模擬戦になると、話が変わる。
予知眼には動きが映る。
腕を取られる未来。
拳が来る未来。
どこへ動くのかも見える。
でも避けきれない。
相手が速い。
未来を見て判断する。
そこから身体を動かす。
その間にルイジェルドがもう次へ来る。
つまり「見えていないから負ける」のではない。
見えているのに間に合わない。
ここがかなり重要。
予知眼は情報を増やす。
でも筋力は増えない。
反射速度も直接上がらない。
脚が速くなるわけでもない。
相手が強くなるほど、この差が大きくなる。
エリス相手なら対応できた攻撃。
ルイジェルドになると苦しくなる。
さらにオルステッドになると、予知眼そのものに未来が何重にも重なって見える。
キツ…。
ルーデウスには「次に何が起きるか」を知る力がある。
でも「それへ対応できる身体」がない。
だから必要なのは、さらに強い眼ではない。
身体の方を上げること。
速度。
耐久力。
筋力。
機動力。
魔導鎧が補うのは、まさにそこになる。
予知眼で先を見る。
魔導鎧で動く。
攻撃を避け切れないなら装甲で受ける。
そして距離を作り直し、また魔術を撃つ。
うおお、過去の能力が後の装備とつながる。
ルーデウスは剣士にはならない。
闘気もまとえない。
でも、自分が持っているものを組み合わせて別の答えを作る。
大量の魔力。
無詠唱魔術。
予知眼。
ザノバやクリフたちの技術。
その先に魔導鎧がある。
だから魔導鎧は、突然現れた強化装備ではない。
魔大陸で前衛に守られていた時代。
予知眼で未来が見えても身体が追いつかなかった模擬戦。
そしてオルステッドとの敗北。
昔から何度も出ていた「身体が足りない」という問題が、ようやく一つの形になった装備になる。
第3章 オルステッドとの最初の戦いで何が起きた?魔力量では埋まらなかった絶望的な差
赤竜の下顎で、予知眼を使っても避けられない相手と出会った
ルーデウスの身体の弱さが、最も残酷な形で出たのがオルステッドとの初遭遇。
魔大陸からアスラ王国へ戻る途中、赤竜の下顎で銀髪の男と白い仮面の少女に出会う。
男の正体は龍神オルステッド。
その姿を見た瞬間、普段は冷静なルイジェルドの様子まで一変する。
顔から血の気が引く。
冷や汗を流す。
槍を握りながら、明らかに警戒している。
長い旅で何度もルーデウスとエリスを守ってきたルイジェルドが、戦う前からここまで恐れる。
それだけでも、目の前の男が普通ではないと分かる。
ルーデウスも予知眼を使う。
でも見える未来が安定しない。
オルステッドの像が何重にも重なる。
次に何をするのか、一つの未来へ絞れない。
これまで予知眼で相手を見た時とは、明らかに感覚が違う。
うおお、この時点ですでに差が見えている。
それでも、最初は戦う必要がなかった。
オルステッドはルイジェルドを知っている。
エリスについても知っている。
未来を知っているような不可解な話をする。
ところがルーデウスのことだけは知らない。
そこで会話の中に「ヒトガミ」という名前が出る。
ルーデウスは反応する。
夢の中で何度も会っている。
助言も受けてきた。
だから、ヒトガミを知っていると答える。
その瞬間。
予知眼に、自分の胸をオルステッドの手が貫く未来が映る。
キツ…。
攻撃が来ることは分かっている。
場所も見えている。
それでも避けられない。
一秒先を見ても、オルステッドの踏み込みが速すぎる。
未来を知ることと、身体がその未来へ対応できることは別だった。
そこへルイジェルドが割って入る。
槍を構える。
ルーデウスへ逃げろと叫ぶ。
長年の実戦経験を持つスペルド族の戦士が、全力でオルステッドを止めようとする。
でも数秒も持たない。
攻撃を読まれる。
崩される。
叩き伏せられる。
あれほど頼もしかったルイジェルドが、オルステッドの前では圧倒される。
ここがかなり怖い。
魔大陸で何度も強敵を倒してきた。
エリスも成長した。
ルーデウスも魔術と予知眼を手に入れた。
三人なら相当な敵まで戦えると思える時期。
その三人が、まるで通用しない。
胸を貫かれた敗北が「もう一度接近された時の答え」を必要にした
ルイジェルドが倒れても、オルステッドは止まらない。
エリスも剣を振るう。
迷わず飛び込む。
剣神流を鍛えてきた彼女でも、オルステッドとの差は大きい。
近距離を得意とする二人が止められない以上、ルーデウス自身へ攻撃が届くのは時間の問題になる。
ルーデウスも魔術を放つ。
土魔術。
高威力の攻撃。
持っている力を使う。
オルステッドへ一切通じないわけではない。
それでも決着まで届かない。
ここが厳しい。
ルーデウス側は何度も攻撃を当てなければならない。
オルステッド側は一度、身体へ届けばいい。
魔力量がどれだけ多くても、肉体そのものは別。
最後にはオルステッドの貫手がルーデウスの胸を貫く。
キツ…。
魔力切れで負けたわけではない。
使える魔術がなくなったわけでもない。
身体へ攻撃が届いたから終わった。
ここが後の魔導鎧へ直結する。
もっと強い魔術を覚えるだけでは足りない。
さらに魔力量を増やすだけでも足りない。
何発攻撃しても相手が倒れず、最後に接近されたら同じことが起きる。
なら、接近された後にも戦える身体が必要になる。
しかも後にルーデウスが再び戦わなければならない相手も、同じオルステッド。
一度殺されかけた相手。
速度も知っている。
強さも知っている。
正面から戦えばどうなるかも知っている。
だから再戦では、最初から何重にも準備する。
遠距離から攻撃する。
罠を置く。
毒まで考える。
近づかれる前に削る。
それでも突破された時の最後の手段として、巨大な鎧を用意する。
うおお、魔導鎧は最初の敗北への答えになる。
一度目は胸へ届かれて終わった。
二度目は、届かれても即座に終わらない身体を作る。
オルステッド初戦は、ルーデウスが「魔術師として強いだけでは届かない相手」を初めて身体で知った戦い。
そして、その傷が何年も後になって魔導鎧という形へつながっていく。
第4章 魔導鎧は誰が考えた?未来のルーデウスが残した技術を現在へつなぐ
家族を失った未来のルーデウスが、闘気の代わりになる装備へたどり着く
魔導鎧を最初に完成させたのは、現在のルーデウスではない。
未来から現れた年老いたルーデウス。
ヒトガミの罠によって人生を大きく壊され、その後も長く生きたもう一人の自分。
彼が何十年もの研究の果てに生み出した技術が、魔導鎧の原型になる。
始まりは、地下室。
未来のルーデウスはヒトガミの助言に従い、地下へ入る。
そこからネズミをきっかけに家庭へ悲劇が入り込む。
ロキシーを失う。
さらに大切な人たちが次々と失われていく。
キツ…。
今のルーデウスが必死に守ろうとしているものが、一度は本当に壊れている。
妻。
家族。
生活。
仲間。
全部が少しずつ崩れる。
未来のルーデウスは、そこからヒトガミへの復讐へ向かう。
魔術を研究する。
今まで知らなかった分野へ踏み込む。
時間魔術にまで手を伸ばす。
そして、自分に足りなかった身体性能を魔術と魔道具で補う発想へ到達する。
それが魔導鎧。
闘気をまとえない。
なら別の方法で身体を強化する。
自分の筋力では足りない。
なら魔力で外側の身体を動かす。
巨大な魔力量を、そのまま機械的な力へ変える。
うおお、ルーデウスらしい答え。
剣士になれないから諦めるのではない。
剣士と同じ方法にこだわらない。
自分が持っている魔術と知識で、別の道を作る。
未来のルーデウスは、その技術だけではなく日記も残す。
誰が死んだのか。
何が起きたのか。
ヒトガミにどう騙されたのか。
自分がどんな人生を送ったのか。
全部を若い自分へ渡す。
自分自身はやり直せない。
でも今の自分なら、まだ間に合う。
だから魔導鎧は、単なる未来の便利技術ではない。
壊れた人生から持ち帰られた、生き残るための答えになる。
未来の設計を現在で完成させるには、ザノバとクリフの力が必要だった
未来の日記を読んだルーデウスは、同じ結末を避けるために動く。
そしてヒトガミとの関係から、オルステッドへ挑まなければならない状況になる。
そこで最初に考えるのが、魔導鎧の再現。
未来の自分が作った装備を、今の時代でもう一度作る。
でも設計を知っているだけでは足りない。
ルーデウスには膨大な魔力がある。
土魔術もある。
素材も作れる。
それでも複雑な魔道具を一人で完成させる技術は持っていない。
そこでザノバとクリフへ頼る。
ザノバは人形と魔道具を研究してきた。
自動人形の構造にも触れている。
クリフは魔法陣へ強く、エリナリーゼの呪いを軽減する魔道具まで作ってきた。
二人の得意分野が、そのまま魔導鎧へ使える。
ここがかなり大きい。
未来のルーデウスは、多くを失ったあと一人で研究を進めた。
現在のルーデウスには仲間がいる。
ザノバ。
クリフ。
ロキシー。
シルフィ。
自分一人では足りない場所を、周囲が埋めていく。
製作を始めると、最初から順調ではない。
小さな鎧へ機構を詰めようとすると、魔法陣が収まらない。
強度も必要。
可動部分も必要。
巨大な魔力を流しても壊れない構造がいる。
そこで思い切って大型化する。
完成へ向かう鎧は約三メートル級。
うおお、普通の甲冑から完全に離れる。
人間が着るというより、巨大な身体の中へルーデウスが入る。
自分の筋力では動かせない重量。
それを魔力で動かす。
魔力量が異常に多いルーデウスだからこそ成立する形になる。
そして、この巨大化によって魔法陣を配置する余裕も生まれる。
クリフが詰まっていた構造も進む。
ザノバが形を作る。
ルーデウスが素材を用意する。
ロキシーやシルフィも加わる。
未来の自分が残した技術が、現在の仲間の手で少しずつ現実になる。
ここが魔導鎧で一番面白いところ。
ルーデウスの弱点を埋める装備なのに、完成させるのはルーデウス一人ではない。
未来の自分が答えを残した。
現在の仲間が形にした。
最後にルーデウスが膨大な魔力を注いで動かす。
過去の敗北。
未来の失敗。
今の仲間。
その全部が集まって、魔導鎧はオルステッドへ再び挑むための切り札になっていく。
第5章 ザノバとクリフは何を作った?魔導鎧はルーデウス一人では完成しない
未来の技術を、ザノバとクリフが現在の装備へ変えていく
魔導鎧は、ルーデウス一人で完成させた装備ではない。
未来のルーデウスが残した技術がある。
でも、それを現在で実際に動く形へするには、魔道具と魔法陣の知識が必要になる。
そこで中心へ入るのがザノバとクリフ。
魔法大学で別々に積み上げてきた二人の技術が、ここで一つにつながる。
ザノバは、人形と魔道具に異常なほど強い関心を持ってきた。
自動人形を見れば構造を調べる。
どうやって動くのか。
どこに魔法陣があるのか。
人形研究で得た経験が、今度は人間が中へ入って動かす巨大装備へ向かう。
クリフは魔法陣の担当。
エリナリーゼの呪いを軽減する魔道具を作るため、長く魔力制御や魔法陣を研究してきた。
戦場で剣を振るう人物ではない。
でも魔導鎧の内部では、その知識がかなり重要になる。
身体を動かす力を、どう魔力から引き出すかを詰めていく。
うおお、過去の研究が全部ここへ集まる。
ルーデウスは土魔術で高硬度の素材を作る。
ザノバが装甲や構造を形にする。
クリフが魔法陣を組む。
さらにロキシーが全体を見て、シルフィも土魔術や魔法陣の補助へ入る。
未来の自分が残した設計を、今の仲間たちが現実へ変えていく。
しかも魔導鎧は、普通の甲冑ほど小さくまとまらない。
内部へ魔法陣や機構を組み込む必要がある。
小型化しようとすると構造が複雑になり、強度も落ちる。
そこで思い切って大型化する。
完成する魔導鎧は、人間の身長を大きく超える約三メートル級の巨体になる。
キツ…。
もう鎧というより、巨大な身体を外側へ追加する感覚に近い。
本人の筋力だけでは動かせない。
その重さを魔力で動かす。
だからこそ、膨大な魔力量を持つルーデウス向けの装備になる。
製作途中では、クリフが魔法陣の構造に詰まる。
このままなら完成までかなり時間がかかる。
オルステッドとの戦いを控えるルーデウスには、その時間が重い。
そこへ大型化の発想が入り、内部へ余裕ができたことで製作が一気に進む。
ここがかなり皮肉。
その大型化について助言したのは、ヒトガミ。
未来のルーデウスがヒトガミへの対抗手段として残した技術なのに、現在ではヒトガミの言葉まで利用して完成へ近づく。
ルーデウスは当然疑う。
それでも最後に信じるのは、実際に鎧を作っているザノバとクリフだった。
魔導鎧は、ルーデウスの魔力だけでは完成しない。
未来の知識。
ザノバの技術。
クリフの魔法陣。
ロキシーとシルフィの補助。
その全部が重なって、ようやくオルステッドへ挑む身体が形になる。
岩砲弾の連射装備まで加わり、巨大な鎧が移動砲台へ変わる
魔導鎧の形ができても、ルーデウスはそこで止まらない。
身体能力が上がったからといって、オルステッドと殴り合うつもりはない。
自分の一番強い部分は魔術。
なら鎧を着た状態でも、遠距離攻撃を最大限使える形へ持っていく。
そこで岩砲弾を連射する装備を考える。
岩砲弾は、ルーデウスが昔から使ってきた主力魔術。
硬い弾を作る。
回転を加える。
高速で撃ち出す。
一発でもかなりの威力を持つ。
それを一発ずつではなく、連続で飛ばす。
さらに複数の発射口を束ねる。
うおお、完全に弾幕になる。
一発を避けても次が来る。
防いでも次。
接近しようとする相手へ、何度も回避を強制する。
巨大な魔導鎧が後退しながら岩砲弾を撃ち続ける形になる。
ここでもルーデウスの戦い方は変わらない。
前へ殴り込まない。
距離を取る。
相手を近づけない。
必要なら泥沼で足を止める。
濃霧で視界を奪う。
その上から岩砲弾を浴びせる。
魔導鎧は剣士になるための装備ではない。
ルーデウスが魔術師のまま、強敵と戦い続けるための巨大な身体になる。
第6章 魔導鎧はどれくらい強い?オルステッドへ本気の攻撃を届かせる決戦装備
攻撃・防御・機動力が上がり、接近されてもすぐには終わらなくなる
魔導鎧を装着すると、ルーデウスの戦い方はかなり変わる。
まず大きいのが防御。
生身なら致命傷になる攻撃を、装甲へ受けられる。
次に機動力。
巨大で重い鎧なのに、魔力で身体を補助することで動ける。
さらに腕力も上がり、接近された時に何もできない状態から抜けやすくなる。
でも一番重要なのは、魔術を失わないこと。
ルーデウスは魔導鎧を着ても岩砲弾を撃てる。
泥沼も使える。
濃霧も使える。
電撃もある。
つまり「重装甲になった代わりに魔術が使えない」ではない。
うおお、ここがかなり厄介。
巨大な鎧が動く。
その鎧が岩砲弾を連射する。
足元を泥沼へ変える。
視界も奪う。
しかも本人には予知眼まである。
普通の重戦士とも、普通の魔術師とも違う戦い方になる。
それでもルーデウスは、正面からオルステッドへ向かわない。
岩砲弾を撃ちながら後退する。
接近してきたら泥沼。
さらに距離を取る。
濃霧を作る。
その隙に次の攻撃を準備する。
一つの魔術で倒すのではなく、相手へ何度も不利を重ねていく。
キツ…。
それだけ準備しても、相手はオルステッド。
普通の敵なら止まる攻撃でも突破される可能性がある。
だから魔導鎧の役目は「絶対に勝てる身体」ではない。
突破されても、もう一手を残すこと。
生身なら一撃で終わる。
鎧があれば耐える。
耐えればまた撃てる。
一歩下がれる。
次の罠へ誘導できる。
この差がかなり大きい。
魔導鎧は、ルーデウスを世界最強へ変える装備ではない。
世界最強クラスの相手と、戦闘そのものを成立させる装備になる。
魔導鎧があってもオルステッドは別格だからこそ、その強さが分かる
魔導鎧の価値が一番分かるのは、オルステッドとの再戦。
最初に戦った時のルーデウスは、ほとんど何もできず胸を貫かれた。
ルイジェルドも止められない。
エリスも届かない。
予知眼で未来が見えても身体が間に合わない。
完全に別の世界の相手だった。
ところが再戦では違う。
ルーデウスは罠を用意する。
遠距離から攻撃する。
魔術を重ねる。
魔導鎧を着る。
岩砲弾を撃ち続ける。
できることを全部積み上げて、オルステッドへ食らいつく。
うおお、最初の戦いとは明らかに違う。
オルステッドにも傷が入る。
ルーデウスの攻撃を無視して進むだけでは済まなくなる。
さらに神刀まで抜かせるところへ届く。
あれほど一方的だった相手へ、本気の武器を使わせる。
それでも勝てない。
ここが魔導鎧の価値を逆に強くする。
魔導鎧を着けばオルステッドより強い、ではない。
魔導鎧まで使って、ようやくオルステッドへ本気を出させる位置まで行ける。
その差が恐ろしい。
ルーデウス自身も満身創痍になる。
装甲は壊される。
身体も追い詰められる。
最後まで安全に戦える装備ではない。
それでも、生身なら届かなかった場所まで戦える。
だから魔導鎧は「最強の鎧」というより、ルーデウスの戦い方を完成へ近づける装備。
魔力はある。
魔術もある。
予知眼もある。
足りなかったのは、それを強敵の前で使い続ける身体。
その身体をザノバやクリフたちと作った。
ルーデウスの強さは、一人で全部を持っていることではない。
自分に足りないものを認める。
技術で補う。
仲間の力を借りる。
そして自分の膨大な魔力で、その全部を動かす。
魔導鎧は、その強さが最も分かりやすく形になった切り札になる。
第7章 魔導鎧があってもオルステッドには勝てない?決戦で見えた本当の価値
罠・遠距離攻撃・魔導鎧まで重ねて、ようやく龍神へ本気を出させる
ルーデウスは、魔導鎧だけを頼りにオルステッドへ挑んだわけではない。
一度目の戦いで、正面からでは勝負にならないことを知っている。
だから再戦では、戦う前から何重にも準備する。
遠距離から先制する。
罠を置く。
地形も利用する。
その上で最後に魔導鎧を使う。
ここがかなり大きい。
魔導鎧が最強装備なら、最初から着て殴り合えばいい。
でもルーデウスはそうしない。
できるだけ近づかせない。
最初の一撃で削る。
次の攻撃へつなぐ。
それでも倒れない時だけ、鎧をまとった自分が前へ出る。
うおお、完全に一度目の敗北を踏まえた戦い。
赤竜の下顎では、距離を詰められて終わった。
だから今度は、その距離になるまでにどれだけ削れるかを考える。
岩砲弾を撃つ。
魔術を重ねる。
オルステッドが進んでくれば、さらに次を入れる。
一つの大技に全部を賭けない。
それでもオルステッドは止まらない。
ここが恐ろしい。
普通の敵なら、一つでも致命傷になる攻撃。
それを何度も受けながら前へ来る。
ルーデウスからすれば、過去の悪夢がもう一度近づいてくるような状況になる。
キツ…。
撃っても来る。
削っても来る。
距離を取っても来る。
そして最後には、魔導鎧の間合いまで入ってくる。
でも今度は、生身ではない。
巨大な装甲がある。
魔力で動く脚がある。
腕力も上がっている。
一撃を受けても、そのまま即座に終わる可能性が減っている。
ここで初めて、ルーデウスはオルステッド相手に戦闘を続けられる。
うおお、最初の戦いとは明らかに違う。
一度目は胸を貫かれた。
二度目は、攻撃を受けながらまだ動く。
岩砲弾を撃つ。
距離を取り直す。
次の魔術を使う。
オルステッド側にも傷が入る。
身体へ攻撃が届く。
無傷では済まない。
そして、ついには神刀を抜く。
ここがかなり強い。
最初の遭遇では、ルーデウスたち三人を圧倒した相手。
そのオルステッドに、本気の武器を使わせるところまで届く。
それだけでも、魔導鎧を含めた準備がどれほど大きかったのか分かる。
でも、それでも勝てない。
神刀を抜いたオルステッドは、さらに別格。
魔導鎧の装甲が壊される。
ルーデウス自身も追い詰められる。
両腕まで失うほどの状態になる。
キツ…。
あれだけ準備した。
未来の技術も使った。
ザノバとクリフも力を貸した。
魔導鎧も完成した。
それでも最後は、また圧倒される。
ここで「魔導鎧は弱かった」と見ると逆になる。
あれだけ強いオルステッドへ、ここまで戦えた。
それが魔導鎧の価値。
「最強になる鎧」ではなく、世界最強と同じ戦場へ立つための装備だった
魔導鎧の強さは、勝敗だけを見ると分かりにくい。
ルーデウスはオルステッドに勝てない。
魔導鎧も壊される。
本人も満身創痍。
最後にはエリスまで戦場へ入ってくる。
でも一度目と比べると、差はかなり大きい。
最初はほとんど一方的。
ルイジェルドも止められない。
エリスも届かない。
ルーデウス自身は、予知眼で見えても避けられず胸を貫かれた。
二度目は違う。
オルステッドへ傷を与える。
本気の武器を抜かせる。
何度も攻撃を重ねる。
魔導鎧が壊れるまで戦う。
うおお、戦闘として成立している。
ここが魔導鎧の本当の価値。
ルーデウスを世界最強へ変える装備ではない。
世界最強に対して、何もできず終わる人物から、相手へ本気を出させる人物まで引き上げる装備になる。
しかも、その中身はルーデウス一人の力ではない。
未来の自分が残した知識。
ザノバの技術。
クリフの魔法陣。
ロキシーとシルフィの補助。
そして本人の膨大な魔力。
全部が一つになっている。
ここがかなり重要。
ルーデウスは、生まれながら何でもできる人物ではない。
闘気をまとえない。
剣士ほど身体も速くない。
接近戦では不利。
その弱点は最後まで残る。
でも「できない」で終わらない。
別の方法を探す。
魔術で補う。
魔道具を作る。
仲間へ頼る。
未来の失敗まで使う。
その結果として魔導鎧が生まれる。
キツ…。
魔導鎧だけを見れば、巨大で派手な装備。
でもそこへ至るまでには、かなり長い失敗がある。
パウロとの剣術。
魔大陸での役割分担。
予知眼の限界。
オルステッドとの敗北。
未来ルーデウスの人生。
ザノバやクリフとの研究。
全部がつながっている。
だから魔導鎧は、単なるパワーアップ装備では終わらない。
ルーデウスが自分の弱さを認めた上で、その弱さとどう付き合うか。
その答えが形になったもの。
うおお、ここがルーデウスらしい。
強い魔術だけで全部を押し切らない。
自分に足りないものを、別の力で埋める。
しかも最後には、その技術をさらに改良していく。
初期の魔導鎧は巨大。
魔力消費も大きい。
取り回しも悪い。
決戦兵器としては強いけれど、日常的に使える装備ではない。
だからその後も改良が続く。
もっと小さく。
もっと動きやすく。
もっと使いやすく。
必要な場面へ合わせて、魔導鎧そのものも変わっていく。
ここまで見ると、魔導鎧はオルステッド戦だけの鎧ではない。
ルーデウスが自分の弱点を抱えたまま戦っていくための技術。
魔術は強い。
魔力も多い。
でも身体は最強ではない。
その差を無理に消そうとせず、技術で埋める。
だから魔導鎧は、ルーデウスの強さを一番分かりやすく見せる装備になる。


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