『信者ゼロの女神サマ』のノアは、1500万年前に第三次神界戦争を起こそうとして失敗し、海底神殿へ封印されている。
Web原作では、一柱で天界に挑もうとした過去に触れられ、たった一人で何を変えようとしたのかが気に掛かる。
失敗の決定打には不明な部分が残るものの、神々への反発と、封印後も自由を諦めない姿はつながっている。
この先はWeb原作330話までのネタバレあり。
第1章 第三次神界戦争はなぜ失敗した? 一柱で天界に挑んだノア
| 出来事 | 分かっていること |
|---|---|
| 第三次神界戦争 | 起こそうとして失敗 |
| 天界への挑戦 | 一柱で挑んだ過去への言及 |
| 企てのあと | 海底神殿へ封印 |
| 詳しい敗因 | 決定打は明かされていない |
「起こそうとして失敗」と伝えられる1500万年前
マコトの前に現れるノアは、
信者になってほしいと熱心に誘い、
危ない行動には口を挟んでくる。
そんな身近な女神に、1500万年前の
反逆という過去がある。普段のやり取りからは
想像しにくい数字で、いったい何をしたのかと
気になってしまう。
助けてほしいと頼むノアの姿には、
争いに関わった過去だけでは語れない弱さもある。
今は誰かが来るのを待つしかない、
その距離がもどかしい。
第三次神界戦争の失敗について、
まず確かなのは、ノアが戦争を起こそうとしたあと、
海底神殿に封印されたという流れになる。
アニメの公式紹介も、開戦の企てが失敗したと
伝えている。大軍を率いて決戦に敗れた、
という詳しい戦記が示されているわけではない。
では、なぜ企ては届かなかったのか。
Web原作で手掛かりになるのが、
月の女神ナイアの発言になる。
ナイアはノアを挑発する際、一柱で天界に
挑もうとした過去を持ち出している。
少なくとも、対等な二つの勢力が
衝突しただけの話とは違う印象を受ける。
この言葉からは、一人の女神の決意では、
すでに世界を治めている神々を動かしきれなかった
可能性が浮かぶ。個人としてどれほど強くても、
相手は天界の支配者たち。
ノアが挑んだものの大きさが、
失敗を読み解くうえでの手掛かりになっている。
ただ、どの神に止められたのか、
計画のどこが崩れたのかまで
明らかになっているわけではない。
ノアが誰かを信じて裏切られたという説明も、
ここからは出てこない。
具体的な決定打の代わりに残るのは、
一柱で挑んだという、あまりにも大きな挑戦になる。
今のノアしか知らないうちは、
女神なのにどうして自力で出てこられないのかと
不思議に感じる。その答えの一部が、
第三次神界戦争の企てにある。
自分から姿を隠しているのではなく、
反抗したあとに、行動する自由そのものを
封じられている。
一人の力では変えられなかった天界
ここで気になるのは、ノアが力のない女神として
描かれているわけではないこと。
マコトに渡した短剣は、並の武器とは
比べられない力を持っている。
信者がいないという親しみやすい紹介と、
女神として持つ能力の大きさは、
同じ尺度では測れない。
それでも、自分の力を示せることと、
世界を支配する神々を退けられることには
隔たりがある。短剣が強力でも、
ノア自身の封印が解けるわけではない。
マコトが出会った時点の彼女は、
力を持ちながら、自分だけでは外へ出られない
状況に置かれている。
封印後の姿から、1500万年前にも
同じ制限があったと逆算することはできない。
今の弱った状態を、そのまま挑戦した当時の能力に
重ねると、失敗の話が変わってしまう。
かつて何ができたかと、
今何を禁じられているかは、
少し離して眺める必要がある。
むしろ引っ掛かるのは、そんな大きな相手に、
ノアが本当に挑もうとしたという部分にある。
普段は軽く受け流すような話し方をしていても、
納得できない相手には反発する。
その頑固さは、封印のあとも消えずに
残っているように映る。
そして、失敗した過去を知ることと、
今のノアを怖い存在と決めることも別になる。
マコトに向ける言葉の中には、
危険を止めようとする気遣いがある。
昔の挑戦の大きさに驚きながらも、
普段のやり取りが消えてしまうわけではない。
第三次神界戦争の企ては、
ノアの望む結果にはつながらなかった。
一方で、その後の物語は、
彼女がただ諦めて眠り続けたわけでもないことを
描いていく。失敗した挑戦と、
そこから始まった長い幽閉。その間に、
今のノアへつながる傷と願いが残っている。
第2章 ノアが逆らった聖神族は、 どんな神々なのか
古い神族に代わって世界を支配する神々
ノアが天界に逆らったと聞いても、
相手の姿がつかめないと、
いたずらをして罰を受けた程度にも
聞こえてしまう。けれど、相手となる聖神族は、
現在の世界を支配している神々になる。
マコトが迷い込んだ世界の日常も、
その支配のもとに続いている。
Web原作の序盤で語られる神話には、
世界を造った創造神、そのあとを継いだ古い神族、
そして現在の聖神族が登場する。
ノアは古い神族、ティターン神族の一柱に当たる。
今の神々と立場が異なるのは、
単に気が合わない相手という範囲に収まらない。
古い神族と聖神族の争いは、
ティタノマキアと呼ばれている。
神王ユピテルを頂点とする聖神族が勝ち、
神界を治める側へ移ったと伝えられる。
ノアが属する側は、すでにその神話の中で、
支配する立場から追われた神々として
語られている。
ただし、これはマコトたちが神殿で教わった
神話として出てくる話になる。
古い神族が傲慢になったという説明まで含めて、
現在の世界で広く伝えられている歴史に当たる。
ノア本人の気持ちや、個々の神が何を望んでいたかまで、
ひとまとめにはできない。
ノアからすれば、相手は自分たちを退けて
世界を治める神々になる。
聖神族からすれば、ノアは支配に逆らう
古い神族の一員になる。同じ出来事でも、
立っている場所が違えば見え方が変わる。
その隔たりが、マコトに伝わる評判と、
本人の姿のずれにもつながっている。
それでも、ノアが被害を受けた側だから
何をしてもよい、という話にはならない。
後の行動には、マコトを心配する優しさも、
神々への強い敵意も出てくる。
助けたい女神でありながら、
過去に危うい選択もしている。
その両方が同じノアの中にある。
ティターン神族という名前には、
神々の家族のようなまとまりがある。
一方、タイタン族は、
その神々に仕える巨人たちを指している。
名前は似ていても、同じ集団の別名ではない。
ノアと巨人が親しく話していても、
彼女自身が巨人の一員ということにはならない。
ノアの挑戦と、神話に残る二つの戦争
神界戦争という言葉で混ざりやすいのが、
古い神族が敗れた戦いと、
巨神族が挑んだ戦いになる。
Web原作でマコトが出会うタイタン族の巨人は、
主に当たるティターン神族を助けるため、
自分たちも神界へ挑んだと話している。
その巨神族の反撃は、
ギガントマキアという名前で語られる。
神々同士の交代劇だけでなく、
敗れた神々を慕う者たちまで
争いに加わっていたことになる。
ノアが巨人から親しく呼び掛けられる場面には、
今の悪評とは別に続いてきた関係が見える。
巨人は、石化による封印を受けたのが
1500万年ほど前と語っている。
ノアの過去にも同じ長い年月が出てくるため、
すべて一つの戦場で起きた出来事のようにも
感じられる。ただ、年代が近いというだけで、
戦争の名前や参加者まで同一にはできない。
第三次神界戦争は、アニメの紹介で
ノアが起こそうとした争いとして示されている。
一方、ティタノマキアとギガントマキアは、
それぞれ別の経緯を持つ神話として語られる。
ノアの企てに、巨人たちの軍勢や過去の戦闘を
そのまま付け足す説明は避けたい。
巨人がマコトへの態度を変えるきっかけも、
ノアの信者と分かったことにある。
世間の評判だけなら警戒される立場が、
別の相手からは家族同然に迎えられる。
長い争いのあとにも、
ノアを慕う関係が残っていることが、
短いやり取りから伝わってくる。
この背景があると、一柱での挑戦という言葉にも
重さが増す。個人の怒りをぶつける相手にしては、
聖神族が築いた支配はあまりに大きい。
仲間の神々を自由に呼び集められるわけでもない中で、
ノアは天界に従う以外の道を求めたと受け取れる。
第3章 自由の女神ノアは、 何を変えたかったのか
規律に縛られた世界への不満
ノアが求めていたものを思うとき、
自由の女神という呼び名が気に掛かる。
誰かを支配するために天界へ挑んだのか、
それとも自分を縛るものを壊したかったのか。
失敗した過去の細部が少ないぶん、
封印後にこぼれる本音が手掛かりになる。
Web原作のノアの追憶では、
長い眠りから目を覚まし、
星の精霊たちに外の様子を尋ねている。
彼女が受け取るのは、おおまかな世界の動き。
その知らせに対して、
アルテナの厳しい規律が続く世界への
不満を抱いている。
ここには、単に負けた相手が憎いという感情だけでは
片付けにくい部分がある。
ノアは、今の神々が定めた管理のあり方そのものを
窮屈に感じている。誰が頂点に立つかだけでなく、
その下でどう生きるかにも、
相いれない感覚があるように見える。
巨人とのやり取りでは、
ティターン神族が自由を愛する神々として
語られている。神々自身だけでなく、
信者の自由にも関わる話として出てくるところが
興味深い。ノアにとっての自由は、
自分だけが好きに振る舞えれば足りる、
という範囲ではない可能性がある。
もちろん、封印後の不満を、
そのまま1500万年前の計画書に
置き換えることはできない。
何を最初のきっかけにして、
どんな手順で天界へ挑もうとしたかは
別の疑問として残る。それでも、
今の支配に納得していないという気持ちは、
彼女自身の言葉から伝わってくる。
ノアの価値観は、
信者へどの程度口を出すかにも表れている。
自由に任せたいから無関心になるのではなく、
危ないと感じたら止めたくなる。
本人の意思を尊重することと、
好きに傷つかせてよいことは違う。
その間で揺れる姿が、女神を少し身近にしている。
巨人の封印が解けた裏側では、
ノアが短剣を通じて、
ふじやんに一時的な神の力を与えている。
閉じ込められていても、
限られた手段をつないで外へ働き掛けている。
その小さな介入にも、
現状を変えたい気持ちが表れている。
マコトにあれこれ指示するノアにも、
信者を決められた型へ押し込めたいような印象は薄い。
無茶をする少年には怒りながら、
その修行や成長を気に掛けている。
彼を見守る姿には、自由にさせたい気持ちと、
傷ついてほしくない気持ちが同居している。
自由を求める気持ちと、天界への反発
では、自由を愛する女神なら、
争いを避けて別の場所で暮らせばよかったのか。
そう思っても、ノアを取り巻く世界は、
人間が町を離れるように簡単には変えられない。
支配している相手そのものに不満があるなら、
場所を移すだけでは解消しない問題が残る。
ノアが天界に挑もうとした背景には、
自分の望む生き方と、
神々の定めた世界との衝突があったのかもしれない。
自分を取り巻く規則を受け入れて待つより、
変える側へ回ろうとした。
その読み方なら、封印されても
反発を捨てない姿とつながる。
ただ、自由という言葉があるから、
当時の行動がすべて穏やかに進んだとも言えない。
第三次神界戦争を起こそうとしたという紹介には、
世界を揺るがす争いへ踏み出した重さがある。
ノアの願いに共感できる部分があっても、
行動の危うさまで消えるわけではない。
後のノアは、神々への不満から
別の危険な誘いにも乗ってしまう。
そこでは自由への願いと、
相手を見返したい感情が近い場所にある。
長く閉じ込められた怒りが、
冷静な見通しを曇らせた可能性は、
彼女自身の振り返りからも浮かんでくる。
エイルに対する態度にも、
神族だけでは割り切れない部分がある。
ノアは聖神族の支配へ反発しながら、
エイルとは憎まれ口を交わしている。
支配のあり方を嫌う気持ちと、
目の前の相手へ向ける気持ちが、
いつも完全に重なるわけではないところに
人間くささがある。
だからこそ、ノアの過去には少し戸惑いも残る。
マコトを励ます女神の優しさは、
そのまま信じたくなる。一方で、
天界へ向ける怒りの深さには、
普段の軽いやり取りだけでは届かないものがある。
第三次神界戦争の企ては、
その両方につながる遠い過去として残っている。
第4章 たった一柱の挑戦は、 どこまで無謀だったのか
ナイアが持ち出した、ノアの大胆な過去
ノアが一柱で天界へ挑んだという話は、
本人が誇らしげに武勇伝を語る場面から
出てくるわけではない。
Web原作では、ナイアがノアをからかい、
怒らせる流れの中で持ち出している。
昔の大胆さを知る相手が、
今の態度を突いてくる場面になる。
この話し方には、
ノアへの理解と意地の悪さが同時にある。
かつて天界にまで逆らった女神が、
今さら立場を気にするのか。
そう煽るために、ナイアは彼女の過去を利用している。
失敗した本人に向かって持ち出す話としては、
かなり痛いところを突いている。
ノアも、その言葉を穏やかに受け流してはいない。
ナイアへの怒りには、
千年前の誘いへの不信も重なっている。
過去の挑戦を第三者から軽く扱われる場面には、
普段の女神同士の口げんかとは違う、
積もった感情がのぞいている。
ただし、挑発の言葉は、
当時の全容を説明する記録ではない。
一柱という表現だけで、
信者も協力者も一人もいなかったと
決めることはできない。
ノア自身が中心になって挑んだことと、
周囲とのあらゆる関係が断たれていたことは、
同じではない。
それでも、ノアが神族を挙げた反撃の指揮官として
語られていない点は気になる。
ナイアの口から出るのは、
個人で天界へ喧嘩を売った女神という姿になる。
彼女の強い意志が、
挑戦を支える力の大きさを
上回っていた可能性はある。
一人で動いたから失敗した、と短く言い切ると、
ノアの能力も相手の事情も消えてしまう。
むしろ、挑戦する勇気だけでは届かない相手に
踏み込んだ、と受け取るほうが近いかもしれない。
何が足りなかったかの細部は残っても、
相手の大きさは伝わってくる。
ナイアとのやり取りが厄介なのは、
ノアの欲しいものを知った相手から
声を掛けられることにもある。
封印から出たいという願いがある以上、
その可能性を示す話には心が動く。
力で越えられない壁があるとき、
希望に見える言葉のほうが、
かえって危険な入口になることもある。
強い女神でも、天界を動かせるとは限らない
ノアの強さを示すものとして、
マコトへ渡した神器がある。
見た目は短剣でも、鑑定によって
普通の品とは違う性能が明らかになる。
女神から与えられる力は、
人間の冒険を大きく変えるほどの差を生む。
信者ゼロという紹介だけなら、
予想しにくい力を持っている。
ところが、その短剣を外へ渡せるノアも、
自分の足で海底神殿から出ることはできない。
人間から見れば破格の力でも、
神々が作った封印を越えるには足りない。
この食い違いが、天界を相手にする難しさを、
封印後の姿から伝えている。
これは当時の戦力差を数値にできる証拠ではない。
ノアと特定の神のどちらが強いか、
何柱を相手にしたかという比較もできない。
ただ、彼女が人間よりはるかに強いことと、
支配する神々へ勝てることの間には、
別の難しさがあると読み取れる。
また、ノアにはマコトへ直接できることにも限りがある。
口を出し、道具を渡し、
成長を待つことはできても、
危険な場所へ自分が駆けつけることはできない。
どれほど心配しても、
最後は信者の行動へ託すしかない場面が
生まれてくる。
そうした制限は、単に閉じ込めておくだけよりも、
ノアには堪えるのかもしれない。
自由を愛する女神が、
外の出来事を知りながら動けない。
かつて自分から天界へ挑んだ女神ほど、
今の身動きの取れなさを
強く感じても不思議ではない。
だからこそ、後にノアが
ナイアの勧める候補へすぐ飛び付かない場面には、
前とは異なる慎重さが見える。
相手が強いから選ぶという話から、
一度立ち止まっている。
過去の失敗を忘れたまま、
次の大きな力にすべてを預け直しているわけではない。
第三次神界戦争の失敗で失ったものは、
勝利する機会だけではなかったのだろう。
自分で選んだ場所へ行き、
自分で相手に向き合う自由も奪われている。
後にマコトへ救出を頼む言葉には、
その長い不自由から抜け出したい願いも
重なって見える。
第5章 ノアはなぜ海底神殿に 閉じ込められたのか
神々への反抗のあとに待っていた封印
夢の中ではあれほど近くにいるノアが、
実際には海の底から出られない。
マコトが聞かされる幽閉先は、
深海のさらに奥にある海底神殿になる。
会話の軽さに対して、
置かれている場所はあまりにも遠い。
助けに行くと言うだけでも、大きな目標になる。
ノア自身は、聖神族に逆らった罪で
監禁されていると説明している。
アニメの人物紹介と合わせると、
第三次神界戦争を起こそうとした企てのあとに、
現在まで続く封印へ至ったとつながる。
彼女の幽閉は、
ただ隠れて暮らしている状態とは異なっている。
場所も、人が訪ねて声を掛けられるような
神殿ではない。Web原作の序盤で紹介される
海底神殿は、人類がまだ到達していない
最難関の迷宮の先にある。
人間にもぎりぎり見つけられるというノアの言葉は、
気軽に行けるという話ではなかった。
深い海という隔たりは、
ノアが自分から出られないだけでなく、
外から助けに来る者も遠ざけている。
信者が助けたいと願っても、
まずそこまでたどり着かなければならない。
幽閉先そのものが、彼女と外の世界の間に
大きな距離を作っている。
ここからは、ノアを自由に動かせたくないという
神々の強い警戒も感じられる。
ただし、封印の場所を選んだ会議や、
個々の神の判断が描かれているわけではない。
具体的な狙いを決め付けなくても、
救出が簡単には進まない厳しさは伝わってくる。
そして、ノアはその場所で、
マコトへ気長に待つと伝えている。
聞こえの軽い言葉に比べて、
それまでに過ぎた年月は長すぎる。
急がなくてよいという優しさにも、
急いだところで届く場所ではないと知る
諦めにも聞こえて、少し胸に残る。
ノアの追憶には、数百年の眠りさえ
短いものとして扱う感覚が出てくる。
人間なら何世代も入れ替わる時間を、
彼女は一度の眠りとして過ごしている。
1500万年ずっと同じ気持ちで
起きていたとは言えなくても、
外へ出られない年月の長さには、
あらためて驚かされる。
ほかの古い神族とは異なる幽閉先
ノアの海底神殿と、
ほかの古い神々が閉じ込められた場所は同じではない。
Web原作で彼女が挙げる名前は、
タルタロスになる。人間がまず行けない場所に対して、
ノアのいる海底神殿は、
かろうじて人間が目指せる場所として
説明されている。
ノアは、自分がまだ若い神なので
別の場所にいると話している。
1500万年前という数字を聞いたあとでは、
若いという感覚にも驚かされる。
人間の寿命では測れない長さを生きていても、
古い神族の中では末の立場にある。
ただ、ほかの神と幽閉先が違うからといって、
ノアへの処分が優しかったとは言い切れない。
本人は自由を奪われ、
ほぼすべての神力を封じられている。
助けが絶対に届かない場所ではないとしても、
実際に救出へ至る道は、途方もなく険しい。
同じ神族の者たちから離れていることも、
彼女の孤独を深めていた可能性がある。
巨人の視点では、ノアはほかのティターン神族が
捕らえられる中で、地上に取り残された存在として
語られている。仲間のいる場所へ
自由に行けない寂しさは、
そこからもにじんでくる。
一方で、完全に誰とも話さない年月を
過ごしたわけではない。
エイルは海底神殿を訪れ、
監視役として接しながら雑談もしている。
敵対する神族の女神と、
髪を整えられるほど近い距離で過ごす場面には、
憎しみだけでは説明しきれない関係がある。
その一方で、外界への関心は途切れていない。
ほとんどの神力を封じられていても、
星の精霊の声から世界の動きを聞いている。
ただ待つだけの存在にはなっていないところに、
ノアの粘り強さがのぞく。
神殿に残されたままでも、
外の世界を知る細い道を手放していない。
それでも、親しく話せる相手がいることと、
外へ出られることは別になる。
エイルとの会話が終われば、
ノアはまた海底神殿に残る。
誰かが訪ねてきても、自分から会いに行けない。
その片側だけが開いている暮らしに、
封印の長さ以上の息苦しさが感じられる。
第6章 1500万年前の封印と、 千年前のカインの一件は別の出来事
| 時期 | ノアに関わる出来事 |
|---|---|
| 1500万年前 | 戦争の企てに失敗し封印 |
| 千年前 | カインを大魔王側へ送る |
| マコトとの出会い | 救出へ向けた新しい約束 |
カインと出会う前から続いていた幽閉
ノアの過去には、
大きな失敗が一度しかないわけではない。
1500万年前の企てと、
千年前に使徒カインを大魔王側へ送った一件がある。
どちらにも神々への反発が関わるため、
続けて聞くと、カインの敗北でノアが
海底へ封じられたようにも感じられる。
けれど、年代は大きく離れている。
カインが活動するよりも、
はるか以前からノアは幽閉されている。
千年前の行動は、まだ自由に動けた女神の開戦ではなく、
封印から抜け出す機会を求めた選択として
語られている。
ここを混ぜると、第三次神界戦争の失敗を、
光の勇者に敗れたためと説明してしまう。
光の勇者によって大魔王やカインが倒されたという
振り返りは、千年前の一件に関わる。
1500万年前の企てを止めた相手として、
そのまま使える話ではない。
また、ノアが邪神と呼ばれることにも、
古い神族に向けられる評判と、
後の行動で立場を悪くした事情が重なっている。
一つの出来事だけで、
すべての悪評や制限が同時に生まれたと捉えると、
長い時間の中で起きた変化が消えてしまう。
封印されたあとも、ノアの状況は動いている。
外の神々との関係も、
信者を通じた働き掛けも続いている。
1500万年を一つの空白として見るより、
その間にも期待し、失敗し、
また別の道を探した女神の姿が浮かんでくる。
マコトと話すノアが、
すぐに救出できるとは思っていない様子を見せるのも、
この時間を重ねると少し違って響く。
助けてほしいという気持ちはあっても、
誰かに託せば必ず届くとは限らない。
彼女はすでに、期待が破れる経験もしている。
信者にまつわる数字も、
同じように離しておきたい。
アニメの紹介にあるのは、
十年に一人だけ信者を得られるという制限になる。
これに対し、序盤で語られる千年は、
信者を得るまで実際に待った長さに当たる。
十年待てば必ず誰かが来る、
という仕組みではない。
自由を取り戻す機会を逃した千年前
千年前の一件では、
ナイアがノアに、大魔王側へ加われば
封印を壊してもらえるかもしれないと持ち掛けている。
ノアはその誘いに乗り、
大切な使徒を送っている。
自分では動けない彼女にとって、
外の力を借りる話は、
無視しにくい誘惑にも見える。
その選択を振り返るノアは、
当時の大魔王に、聖神族の支配を消し去るほどの
力はなかったと認めている。
こちらの失敗には、本人による具体的な反省がある。
大きな期待を掛けた相手が、
望む結果を実現できるほどではなかったという
食い違いになる。
ただし、これも1500万年前の失敗を
説明する答えとは別になる。
二つの出来事に共通しているのは、
神々の支配を変えたい思いと、
自由を取り戻したい願い。
そのたびに何が不足したかまで、
まったく同じと決めることはできない。
千年前の話が切ないのは、
ノアがカインの強さだけでなく、
自分の選択も振り返っているところにある。
強い使徒を得たから安心できるわけではなく、
その力をどこへ向けるかで結果が変わる。
封印を解く希望のために、
大切な相手を危険へ送ってしまった痛みも残っている。
マコトの時代には、
さらに別の選択が訪れる。
ノアは、見るからに強い候補だけを追い掛けず、
水の魔法を地道に鍛える少年へ関心を寄せる。
過去の失敗をすべて克服したとまでは言えなくても、
単に前回より強い使徒を探す話にはなっていない。
その間には、声を掛けられる相手がいても、
信じてもらえるとは限らない難しさがある。
ノアにとってマコトとの出会いは、
決まった周期で届く救いではなかった。
長い待ち時間のあとに、
ようやくつながった一人との関係として、
あの熱心な勧誘にも切実さが見えてくる。
一柱で天界へ挑むことも、
大魔王の力へ期待することも、
ノアの自由には届かなかった。
そのあとに出会うのが、
最弱と呼ばれるマコトになる。
戦力だけを比べれば頼りない出会いに、
長く動かなかった彼女の暮らしを変える
希望が生まれている。
第7章 天界に挑んだノアが、 最弱のマコトに託した願い
一柱で挑んだ過去から、一人の信者との出会いへ
天界に挑もうとした女神が、
最弱の少年へ信者になってほしいと頼んでいる。
ノアの過去を知ると、
物語の始まりにあるこの組み合わせが、
少し不思議に見えてくる。
世界を変えようとしたほどの女神にとって、
マコトは何を期待できる相手なのか。
マコトの能力は、最初から周囲の目を引くほど
優れているわけではない。
強い能力を得たクラスメイトたちが旅立つ中で、
水の神殿に残って修行を続けている。
天界へ挑むための即戦力という見方なら、
ノアが選びそうな相手とは離れている。
それでも、Web原作のノアの追憶では、
彼女がそんなマコトを気に掛けている。
弱さを指摘されても魔法を鍛え、
成果が乏しくても続けている少年。
その姿に引っ掛かりを覚え、
ほかの候補を勧められても、
彼を選ぶ方向へ気持ちが動いている。
この選択を、失敗を経て完全に生まれ変わった
証しとまで言う必要はない。
ノアには今も神々への反発があり、
気まぐれなところもある。
ただ、手早く大きな力を手に入れるより、
まだ弱い少年の先を待とうとしたことは、
その行動から伝わってくる。
マコトの側も、ノアの評判を聞いて
すぐに離れてはいかない。
彼女が何者かを知って戸惑いながら、
もらった短剣に感謝し、
自分へ期待を向けてくれたことを覚えている。
遠い神話の中の反逆者ではなく、
自分に声を掛けた相手として向き合っている。
ノアにとっては、天界の評価だけで
決められない相手が現れたことになる。
マコトにとっても、能力の低さだけで
自分を切り捨てない女神との出会いになる。
互いに、周囲から付けられた評価とは
別の顔を見てもらえる関係が、
ここから始まっている。
ノアは、マコトの弱さを
見落としているわけでもない。
巨人との会話では、彼の魔力の少なさや、
まだ力を使いこなせないことを気に掛けている。
弱いところを知りながら期待しているため、
無茶をすれば余計に心配になる。
救出を待つ女神も、落ち着いてばかりはいられない。
長い封印の先に生まれた、外へ出る希望
ノアの救出が目標になる流れにも、
少し意外なところがある。
彼女が最初から細かな作戦を命じるのではなく、
マコトのほうが神託を求めている。
何かしてほしいことはないかと聞かれて、
ノアは海底神殿から助けに来る話を
持ち出している。
しかも、行き先の難しさを伝えたうえで、
やめておくかとも尋ねている。
マコトはそれでも目指すと答える。
神の命令に従って仕方なく進むというより、
助けられた相手を自分も助けたいという、
少年の選択として救出の目標が生まれている。
この違いは、ノアの自由への願いとも重なって見える。
彼女が望む場所へ出るために、
今度は誰かの意思を無視して動かすのではなく、
助けたいと言う相手の成長を待つ。
すべてが理想どおりという話ではなくても、
二人の出発点には無理に押し付けた命令がない。
ただ、待つ側に回ったから
気楽になれるわけでもない。
マコトは弱いのに危険へ向かい、
ノアを心配させる。
巨人との会話で彼の無茶に腹を立てる姿には、
救出してくれる使徒を守りたい思いだけでは
収まらない、身近な相手への苛立ちがにじんでいる。
第三次神界戦争の企てがどこで崩れたかには、
まだ語られていない部分が残る。
一方、その失敗によって自由を奪われたノアが、
今も自由に外へ出たいと願っていることは変わらない。
長い過去の問いは、マコトならそこへ届くのかという、
目の前の冒険につながっている。
また、ノアを助けに行く目標と、
天界へ再び戦争を仕掛ける計画は、
そのまま同じものにはならない。
マコトが序盤に約束したのは、
囚われた彼女を助け出すことになる。
1500万年前の挑戦を繰り返すより先に、
まず目の前の女神に外の景色を見せたいという
約束が置かれている。
1500万年前には、天界へ挑む
一柱の女神として語られたノアがいる。
今は、無茶をする少年を叱りながら、
助けに来る日を待っているノアがいる。
過去の挑戦には届かなかった願いが、
二人で交わす軽い言葉の中にも、
まだ消えずに残っている。


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