『桃源暗鬼2期』で気になる四季や等々力の生死を先に示し、原作で命を落とす人物を一覧で紹介する。
日光・華厳の滝編では、蛭沼灯の死や桃太郎側との決着、回想で明かされる大切な人との別れをたどる。
倒れたまま終わる場面や瀕死の描写も、その後の生還まで追い、誰が亡くなり、誰が生きているのか。
原作31巻までのネタバレあり。
第1章 死亡するのは誰? 主要キャラの生死を一覧で確認
| 人物 | 生死 | 該当する場面 |
|---|---|---|
| 一ノ瀬四季 | 生存 | 研究施設の戦いを生還 |
| 等々力颯 | 生存 | 瀕死から戦線へ戻る |
| 蛭沼灯 | 死亡 | 桃次歪との戦い |
| 桃次歪 | 死亡 | 等々力たちとの戦い |
| 桃裏楔 | 死亡 | 四季との最終決戦 |
| 桃田久望 | 死亡 | 蛭沼との戦い |
| 桃舵壱郎 | 死亡 | 百目鬼との戦い |
| 桃墨輝 | 死亡 | 帆稀・海月との戦い |
| 桃木場明大・桃早長沼・桃地聖蹟 | 死亡 | 無陀野との戦い |
| みゆき | 死亡 | 研究施設で毒を口にする |
| 等々力雄治 | 過去に死亡 | 颯の祖父・歪に殺害される |
| チーム野拳 | 過去に死亡 | 矢颪を残して仲間7人が死亡 |
| 屏風ヶ浦澄玲 | 過去に死亡 | 妹の帆稀を守ろうとする |
| 鳥飼羽李 | 生存 | 重傷を負うが救命される |
四季や等々力が死ぬのか、先に答える
強い敵に倒され、血を流したまま動かなくなる。
『桃源暗鬼』には、その姿だけでは
次に起き上がれるのか分からない場面がある。
鬼國隊が加わる第2期では戦う人数も増えるため、
気になる人物が生きて戻るかを先に知りたくなる。
まず、四季と等々力は日光・華厳の滝編を生還する。
その一方、鬼國隊の蛭沼灯は命を落とし、
桃太郎側では桃次歪や研究所長の桃裏楔らが死亡する。
等々力も一度は命の危機へ追い込まれるものの、
蛭沼と同じ結末にはならない。
祖父を失った過去と、今の仲間を失う戦いが重なるため、
等々力の生還だけで安心して終われる展開でもない。
ここで扱う原作の範囲は31巻まで。
日光・華厳の滝編の決着に加え、
その先に登場する鬼神の子や、
ほかの編で亡くなる主な人物にも触れる。
第2期でこれから描かれる場面と、
さらに先の原作展開は、該当するところで区切っている。
作品全体の最終回がすでに描かれた、という話ではない。
第1期からの主な死亡者には、
一ノ瀬剛志、桃宮唾切、桃巌深夜がいる。
四季の父として育ててくれた人と、
戦場で敵になった人物では、残される痛みも違う。
それでも誰かが亡くなった後、
その相手を知る人たちの行動まで変わっていく点は
共通している。第2期の別れにも、
そうした関係が続いている。
また、等々力の祖父や矢颪の仲間たちは、
研究施設の戦いで初めて亡くなるわけではない。
すでに失われた命が、回想によって明らかになる。
今の戦いを見ているところへ過去の別れが入るため、
登場した直後に亡くなったように感じやすいものの、
出来事の時期は分かれる。
亡くなった人と、戻ってきた人の違い
四季や等々力が特別な力を持っているからといって、
周囲の仲間まで守り切れるわけではない。
蛭沼の最期には、その厳しさが表れる。
大将が強く、仲間が集まり、救助へ動いていても、
取り戻せない命が出てしまう。
生還した人物のそばに誰がいなくなったかまで含めると、
この戦いの結末は少し苦く見えてくる。
一方、花魁坂京夜や鳥飼羽李のように、
助からないと思わせる危機の後で戻る人物もいる。
敵の攻撃を受けた場面だけで止めると、
死亡した人と同じに見えてしまう。
物語では、その後に誰が救命へ動いたか、
本人が再び何をしたかまで続いている。
倒れた瞬間と、最終的な生死が一致しない場合がある。
敵側も、戦いに敗れた人物が全員死ぬわけではない。
研究施設では所長や複数の幹部が命を落とす一方、
桃尾旋律や桃間纏らには生還後の動きがある。
鬼國隊が桃太郎の根絶を掲げていても、
施設内のすべての桃太郎が亡くなる結末にはならない。
誰に倒されたかだけでは、生死の答えまで出ない。
そして、鬼神の子の短命という話も、
今すでに死亡していることとは別になる。
四季が長く生きられるかという不安は残っていても、
現在の四季は戦い続けている。
寿命への心配、瀕死の場面、実際の死は、
それぞれ違う形で人物へ関わる。
タイトルにある鬼神の子の生死も、
その後の姿まで含めて確かめられる。
別れの多い作品でも、
危険な場面がすべて別れへつながるわけではない。
助けが間に合う人もいれば、力が及ばない人もいる。
研究施設から戻った仲間の姿がうれしいのは、
戻れなかった蛭沼の存在も同じ戦いに残るから。
生存の答えと、誰を失ったかという話は、
一緒に残っていく。
第2章 鬼神の子は誰が死ぬ? 四季・等々力たちの生死
四季と等々力は、命の危機を越えて生き残る
まず答えると、原作31巻までに正体が明らかになっている
現代の鬼神の子では、四季、等々力、雷殿影由、
氷鷹零に死亡確定の描写はない。
第2期で特に気になるのは四季と等々力の二人になる。
どちらも強い力を持ちながら、
戦いの中では本人の力だけで命を守り切れない状況へ
追い込まれる。
四季は第1期の練馬編で炎鬼の力を暴走させ、
神門に止められる。
大きな傷を負った姿は、そのまま退場しても
おかしくないほど痛々しいものの、
花魁坂の治療によって生還する。
第2期の研究施設でも桃裏楔との最終決戦を越えて生き残り、
羅刹学園の仲間たちとの物語が続いていく。
等々力の危機は桃次歪との戦いで訪れる。
祖父を奪った相手を前に怒りを抑えられず、
鬼神の血を暴走させながら戦うものの、
命の境まで追い詰められる。
死んだ蛭沼と向き合う場面もあるため、
等々力まで亡くなったように見えやすい。
しかし、これは蛭沼と一緒に死者の側へ去る結末ではない。
等々力は戻ってきて、
鬼國隊の仲間と共に歪へ立ち向かう。
仮死状態からの復帰として描かれる流れであり、
死亡が確定した人物を後から生き返らせる話とは違う。
最終的に等々力は研究施設を生還する。
蛭沼を失った悲しみを抱えながらも、
その後の鬼國隊を率いる側へ残る。
この二人の生存は、
鬼神の子なら死なないという証明にはならない。
四季には花魁坂や仲間の助けが入り、
等々力にも戻るのを待つ隊員たちがいる。
強い力を出せる本人が、
いつでも一人で立ち上がれるわけではない。
助ける側にいる人物にも、
助けられて生きる場面がある。
また、蛭沼は鬼國隊の隊員であって、
鬼神の子ではない。
鬼國隊に死亡者が出たことと、
鬼神の子が死亡したことは同じではない。
等々力と一緒に語られる最期だからこそ混ざりやすいものの、
歪との戦いで亡くなるのは蛭沼で、等々力は生還する。
この違いが、この編の生死を考える最初の答えになる。
雷殿と氷鷹零も、死亡した人物には含まれない
この先は原作の松本編から31巻までのネタバレあり。
雷殿影由は、四季たちが長野県松本市で出会う
雷の鬼神の子。
第2期序盤の四季や等々力とは登場する時期が異なる。
松本では桃太郎の攻撃やアグリによる危険があり、
穏やかに過ごせる状況ではないものの、
雷殿を死亡者として数える展開にはなっていない。
アグリは、桃太郎側が戦いへ投入する脅威になる。
街中へ放たれることで、
戦う鬼だけでなく一般の人まで危険に巻き込まれる。
雷殿が力を持っていることは松本にとって心強い一方、
強い鬼神の子がいるから被害がなくなるわけでもない。
生き残っていることと、
何も失わずに済むことは別になる。
氷鷹零は、氷の鬼神の子。
原作では四季と共に製薬会社へ連れていかれ、
鬼神の子というだけで危険な実験を強いられる。
本人が死を受け入れようとしているため、
生きる気力を失った姿にも不安がある。
しかし、そこで死亡するわけではなく、
屏風ヶ浦帆稀が現れて四季と零を救い出す。
31巻でも零は桃院黒馬と戦っている。
敵をあと一歩まで追い詰めながら逃す展開であり、
死者として回想に出ているのではない。
四季も桃柊冬呉との戦いへ進んでいる。
少なくとも二人は、実験の場面で物語から退場した人物ではなく、
その先を生きて戦う人物として描かれている。
現代の鬼神の子は
全員の正体が出そろっているわけではない。
名前がまだ明らかになっていない相手へ、
死亡した、あるいは必ず生きていると
名簿を埋めることもできない。
ここで生死に答えられるのは、
四季たちのように人物として登場し、
その後の行動が描かれている相手になる。
短命という設定から、
誰かがもう寿命で亡くなったのかと気になることもある。
ただ、四季たちの現在の生死に関しては、
寿命の話と実際の死亡場面が同じ答えになるわけではない。
将来への心配は残っていても、
判明している四人の死亡が確定した状態ではない。
今のところ、鬼神の子の死より、
その周囲で誰を失ったかが重く残っている。
第3章 蛭沼灯はなぜ助からなかった? 等々力をかばった最期
鳥飼を助ける途中で、桃次歪と遭遇する
蛭沼灯の最期がつらいのは、
ただ強敵とぶつかって敗れたというだけではない。
仲間を助けようとして動き、
さらに大将をかばって取り返しのつかない傷を負う。
自分が前へ出ることで誰かを守る行動が、
そのまま自分の帰れない道へつながってしまう。
鬼國隊の中でも穏やかに人を支える相手だからこそ、
この別れは寂しい。
蛭沼は研究施設で桃田久望と戦い、相手を倒す。
身体の一部を吹き飛ばされたように見える場面でも、
義手を利用して相手の油断を誘い、
蛭を送り込んで反撃する。
危険な攻撃を受けても、そのまま終わらない戦い方を見せるため、
この先の危機も切り抜けてほしいと思わせる人物になる。
しかし、桃次歪との遭遇は、その期待を変えてしまう。
重傷の鳥飼を治療へ運ぼうとする中で歪に出会い、
蛭沼自身も大きな傷を負う。
さらに、祖父の仇を前に冷静さを失う等々力をかばい、
致命傷へ至る。
鳥飼を助けるための移動が、
別の仲間を守って命を落とす場面へ変わってしまう。
このときの等々力には、
歪をただ研究施設の敵として見る余裕がない。
育ててくれた祖父を奪った相手が目の前にいる。
怒りが噴き上がる事情はあるものの、
その隙に仲間が危険へさらされる。
蛭沼の死には、歪の強さだけでなく、
等々力が自分を保てなくなる苦しさも重なっている。
等々力は強い大将として仲間の前へ出てきた。
それでも、この場面では大将のほうが仲間に守られる。
守ってもらったから助かる一方、
その相手には戻ってきてもらえない。
蛭沼を失うことは、隊員が一人減るだけでなく、
自分を守るために誰かが命を使った事実を、
等々力が抱えて生きることにもなる。
蛭沼がここで助かり、
後に元気な姿を見せる展開にはならない。
研究施設の戦いの中で亡くなり、
遺体は仲間たちによって回収される。
等々力の生還と並べても、
蛭沼の死まで覆るわけではない。
二人の生死の違いがはっきり残るため、
助かった側にも簡単に喜べない時間が続く。
鬼國隊は桃太郎の根絶を掲げる過激な集団であり、
蛭沼もその一員として戦っている。
それでも、隊の中にいるときの彼には、
仲間を気遣い支える顔がある。
敵へ向ける姿と、身内へ向ける姿が一つではない。
仲間たちが失うのは、能力の使える戦力だけでなく、
その人がそばにいる時間そのものになる。
蛭沼の最期に残るのは、
鬼國隊で過ごした時間への感謝。
自分が仲間になれたことを、
命の終わりにも大切にしている。
これからも同じように一緒にいられると思っていた側には、
その感謝が別れの言葉として届く。
本人が感謝を口にできても、
残された側がすぐ納得できる別れにはならない。
亡くなった後にも、蛭沼の働きが仲間へ届く
蛭沼の死は、その場で何の助けも残せなかった敗北ではない。
歪には、蛭沼が仕込んだ遅効性の毒が後から効いてくる。
等々力たちが歪へ立ち向かう中で、
すでに亡くなった仲間の一手が相手の動きを止める。
本人が戦場へ戻らなくても、
残した働きが仲間を助ける形になる。
ただし、役に立ったから悲しくないという話でもない。
歪を倒す助けになったとしても、
蛭沼本人が戻ってくるわけではない。
勝利につながる一手があることと、
その人を失った痛みは別々に残る。
戦いの中で報われた部分があっても、
仲間と過ごす未来まで取り戻せるわけではないところが苦い。
蛭沼の蛭も、爆発から仲間をかばうなど、
本人がいなくなった後まで隊員を守る。
能力の見た目だけなら不気味に感じられるものが、
ここでは救う側へ動いている。
普段から仲間へ向けていた蛭沼の気持ちが、
そのまま残された能力の動きにつながって見える場面になる。
等々力が生死の境で蛭沼と向き合う流れもある。
そこで等々力は、自分の弱さや
助けられなかったことへ向き合う。
蛭沼は、今も大将を待つ仲間のいる側へ、
等々力を送り返す存在になる。
二人がそのまま一緒に去るのではなく、
別れて、生きている仲間のもとへ戻ることになる。
ここで蛭沼が現れるからといって、
死亡の描写が取り消されるわけではない。
等々力の前へ現れる姿と、
現実の戦場へ戻って再び一緒に暮らせることは違う。
蛭沼は等々力を立ち上がらせる一方、
自分は同じ道を歩いて帰らない。
背中を押される場面にも、別れが含まれている。
等々力からすれば、祖父を奪った相手との戦いで、
今の仲間まで失ったことになる。
仇を取れば過去を少し取り戻せると思いたくても、
その戦いの中で新しい喪失が生まれる。
歪を倒した後に空いた場所へ蛭沼が戻らない以上、
復讐の成功だけで満たされる結末にはなりにくい。
その後の鬼國隊は、桃太郎を殺すだけの方針から、
鬼を救う方向へ変わっていく。
蛭沼の死だけを唯一のきっかけにすることはできないものの、
等々力が自分の力を何へ使うか考え直す流れと、
この別れは切り離せない。
仲間に戻ってこいと送り出された大将が、
今度は誰かを助ける側へ残る。
蛭沼は死亡し、等々力たちは生き残る。
生死だけなら短く答えられるものの、
この別れには、失うまで見えていなかった関係がある。
大将が隊員へ居場所を与えるだけでなく、
隊員も大将が生きて戻る場所を作っていた。
等々力の帰還には、
蛭沼が大切にしていた鬼國隊の仲間たちが待っている。
第4章 桃次歪・桃裏楔はどうなる? 研究施設で迎える決着
桃次歪は、等々力たちとの戦いで死亡する
祖父と蛭沼を奪った桃次歪は、
等々力たちとの戦いの末に死亡する。
圧倒的な力で相手を追い詰めていた歪も、
最後まで無傷で立ち続けるわけではない。
鬼國隊が能力への対処を重ね、
蛭沼の残した毒も働き、等々力がとどめを刺す。
等々力一人の怒りだけで決まる決着にはなっていない。
歪との戦いで厄介なのは、
身体をねじ曲げられるような異様な攻撃だけではない。
等々力の祖父を侮辱し、
相手の冷静さまで奪うこと。
本人の目の前へ過去の喪失を持ち込み、
力を乱す方向へ追い込む。
等々力が強い鬼神の子であっても、
相手を前にすれば普段の判断を保てなくなる。
そこへ鬼國隊のほかの隊員たちが関わる。
歪の能力の弱点を見つけ、
等々力の風も利用して相手へ対抗する。
最終的に動きを止めるのが蛭沼の毒になるため、
歪が亡くなる瞬間には、
すでに退場した相手の働きまで重なる。
歪が奪った命は、
戦場から何も残さず消えたわけではない。
歪自身にも、父への憧れと、
命令へ従うことに縛られていく過去がある。
仲間を救おうとした父の死や、
その後に受けた扱いが、歪の心をゆがめている。
ただ、その背景を知っても、
祖父や蛭沼へ行ったことがなくなるわけではない。
敵の過去に痛みがあっても、奪われた側の痛みは残る。
等々力が歪を倒すことは、
長く追っていた仇との決着になる。
それでも、祖父と蛭沼がそろって戻る場面はない。
敵がいなくなったことと、
今まで失ったものが埋まることは別になる。
等々力が生還した後に鬼國隊の方針を考え直すのも、
敵を殺せばすべて終わる感覚だけでは
進めなくなったためと考えられる。
歪は強い敵として現れ、
多くの人の命と心を傷つけ、
最後には自身も命を落とす。
けれど、戦いが終わった後にも、
その相手へどう向き合って生きるかという問題は
等々力へ残る。
鬼國隊が救助へ向かう先には、
仇を倒すまでとは違う時間がある。
蛭沼のいない隊を、等々力は率いていくことになる。
桃裏楔は四季に撃たれ、ほかの幹部たちも命を落とす
研究所長の桃裏楔は、四季との戦いの末に死亡する。
施設に捕らえた鬼を実験の材料として扱い、
逃げようとする命まで人質に取る人物になる。
研究所の崩壊だけで自動的に命を落とすのではなく、
脱出した先でも四季との戦いが続く。
施設から出れば終わり、とはならない相手になる。
四季が苦しめられるのは、
楔を攻撃すれば人質へ危険が及ぶという状況。
単に力で押し切ればよい戦いではなく、
鬼を助けることと敵を止めることを
両立させなければならない。
ここでは炎鬼の大きな力を出すだけでなく、
攻撃する相手を選べることが関わる。
四季の力の制御が、救助にもつながっていく。
敗北を認めた楔は、
自分を殺すよう四季へ迫る。
その言葉だけでは、
負けた敵が死を望んでいる場面にも見える。
しかし楔には、相手に自分を殺させ、
その記憶へ残ろうとする執着がある。
戦いで優位を失った後まで、
四季の気持ちへ入り込もうとする。
倒してもなお関わりを切りにくいところが不気味に残る。
四季はそのまますぐに手を下せるわけではない。
それでも楔が人質の命を使って迫った末に、
四季は銃を撃ち、楔は死亡する。
唾切との戦いでは四季が倒した後に
無陀野がとどめを刺したのに対し、
この戦いでは四季自身が楔の最期へ直接関わる。
敵を倒したという結果だけでは同じにならない。
楔が亡くなった後も、
研究施設で傷つけられた鬼たちの状況まで
元どおりにはならない。
助け出せた人がいる一方、施設で奪われた命もある。
四季たちが勝つことは、
取り戻せる命を外へ連れ出すための勝利になる。
敵を止めた安心の中にも、
間に合わなかった人のことが残る。
研究施設では、歪と楔以外にも
複数の桃太郎が死亡する。
主な相手と対戦した人物は、次のとおり。
幹部が多いため顔と名前が混ざりやすいものの、
四季だけが全員を倒す戦いではなく、
鬼國隊や無陀野、生徒たちが
別々の場所で敵とぶつかっている。
| 死亡した人物 | 対戦した相手 |
|---|---|
| 桃田久望 | 蛭沼灯 |
| 桃舵壱郎 | 百目鬼剛 |
| 桃墨輝 | 海月巳代・屏風ヶ浦帆稀 |
| 桃木場明大 | 無陀野無人 |
| 桃早長沼 | 無陀野無人 |
| 桃地聖蹟 | 無陀野無人 |
| 桃次歪 | 等々力颯・鬼國隊 |
| 桃裏楔 | 一ノ瀬四季 |
桃田久望は蛭沼と戦い、
蛭による体内からの攻撃を受けて死亡する。
義手の蛭沼へ攻撃が通ったと思ったところから
形勢が変わるため、
外から見える負傷だけでは勝敗が決まらない戦いになる。
久望を倒せた蛭沼が、
その後の歪には致命傷を負わされる。
相手が変われば危険の大きさも変わってしまう。
桃舵壱郎は百目鬼剛との戦いで命を落とす。
百目鬼は鬼國隊の隊員であり、
等々力だけではない隊の戦力を示す相手になる。
鬼國隊が集団として研究施設へ入っているため、
それぞれの場所で別の対決が進む。
壱郎の死は、大将同士の戦いとは別のところで
生まれる決着になる。
桃墨輝は海月巳代と戦い、
そこへ帆稀たちが加わる。
女性を侮辱する態度を繰り返す輝に対し、
海月と帆稀が共闘する形になる。
最終的に輝は海月の攻撃を受けて死亡する。
帆稀だけが一人で倒した相手でも、
海月だけで最初から最後まで戦った相手でもなく、
二人が同じ敵へ向く対決になる。
桃木場明大、桃早長沼、桃地聖蹟は、
無陀野との戦いで死亡する。
複数の敵を相手にしていた無陀野が、
施設爆破の危険を知り、短時間で戦いへ決着をつける。
生徒たちが個々の敵に苦戦する一方、
無陀野の側では複数の幹部が一気に倒される。
教官の強さが、
施設での救助へ時間を作る形でも表れる。
ただし、施設にいた桃太郎が全滅するわけではない。
桃林慎義や桃間纏らは脱出し、
桃尾旋律も生き残る。
研究所が崩壊する場面にいたことと、
崩壊に巻き込まれて死亡したことは同じではない。
所長を含む死亡者が多い戦いでも、
その後の生活へ進む人物は残っている。
施設に囚われた少女のみゆきも死亡する。
楔によって毒を口にさせられ、
四季たちが救助へ動く中でも助け切れない命になる。
敵の幹部たちの死と違い、
戦う力を持って抗争へ加わった末の死ではない。
子どもが実験材料として扱われる場所へ来ていたことそのものが、
取り返しのつかない被害につながっている。
研究施設の決着には、敵を倒すことと、
捕らわれた鬼を救うことの両方がある。
誰が死亡したかを並べると敵味方の戦闘へ目が向きやすいが、
四季たちは戦えない人たちのもとにも走っている。
歪や楔が倒れたことで終わるのは敵との対決であり、
助かった人たちが生きる時間はそこから先へ続いていく。
第5章 回想で亡くなったのは誰? 等々力の祖父と矢颪の仲間たち
等々力雄治とチーム野拳は、 現在の戦いより前に亡くなっている
等々力が歪へ向ける怒りには、
すでに失った祖父の存在がある。
雄治は等々力を育てた鬼の医師であり、
血がつながっていなくても、
等々力にとっては家族になる。
研究施設で戦って命を落とす人物ではなく、
等々力が鬼國隊を率いるより前の時間に、
歪によって殺されている。
雄治の死が残酷なのは、
歪が自分の命を助けてもらった相手を殺すこと。
雄治は重傷の歪を治療し、回復へつなげる。
ところが、助けられた歪は雄治を殺害する。
傷ついた者を救う行動が、
救った本人の死へ返ってくる。
等々力からすれば、祖父の優しさごと
踏みにじられたように感じる出来事になる。
この過去を知ると、等々力が桃太郎へ
情を向けることを拒む姿にも、
個人的な痛みが見えてくる。
鬼の側が手を差し伸べても、
その相手に大切な家族を奪われた経験がある。
ただ、等々力の怒りへ事情があることと、
戦っていない桃太郎まで殺す方針へ賛同できるかは、
別の引っ掛かりとして残る。
雄治は等々力の回想の中で生きて話し、
医師として動く。
その姿が出てくるため、
現在の場面にもまだいるように感じたくなるものの、
祖父との暮らしへ戻る展開ではない。
等々力がどれほど強くなっても、
同じ家へ帰れば祖父が待っている未来は失われている。
その不在が、今の戦いの中心にある。
矢颪の過去では、チーム野拳の仲間たちが亡くなっている。
リーダーの梶木天麻をはじめ、
光太郎、洋、翔太、香、郁恵、奔馬の七人。
両親を奪われて行き場をなくした矢颪を迎え、
居場所を与えた相手たちになる。
矢颪だけを残し、
桃太郎の襲撃によって命を落とす。
天麻たちが矢颪を迎えた時間は、
ただ保護されていた期間ではない。
矢颪にとって、誰かと一緒に暮らし、
自分を仲間として扱ってもらった経験になる。
だからその集団を失ったことは、
戦力を失う話よりずっと近い。
両親を亡くした後、
もう一度手にした居場所まで奪われてしまう。
襲撃の際、天麻は矢颪を逃がし、
自分たちはその場に残る。
戻った矢颪が見つけるのは、生きて待つ仲間の姿ではない。
守ってくれた行動が分かるからこそ、
自分だけが残った痛みも生まれる。
矢颪が仲間との距離を素直に縮められない態度には、
また同じ別れを迎える怖さも
重なっていると考えられる。
矢颪の眉のピアスにも天麻とのつながりが残る。
学園で周囲へ荒い言葉を向けていても、
過去の仲間たちとの関係を捨ててしまった人物ではない。
むしろ、その関係が大きいからこそ、
新しい仲間を同じように大切に思うことへ
身構えているように見える。
怒りだけを追うと見えにくい痛みが、
失った相手の姿から伝わってくる。
研究施設で天麻たちの姿が矢颪の前へ現れる場面も、
生存して再合流する話ではない。
亡くなった仲間との記憶が、
今の矢颪を支える形になる。
かつて守られた本人が、
今度は四季たちとどう生きるかへ向かう。
過去の家族へ帰ることはできなくても、
現在の仲間とつながる道は残っている。
帆稀の姉や皇后崎の家族も、 失われた後の姿が残る
屏風ヶ浦澄玲は、帆稀の姉。
父親からの暴力がある家庭で妹を支えてきたものの、
帆稀を守ろうとした際に父親に殺される。
雪山修行で明かされる過去に関わる人物であり、
帆稀が学園へ来た後に亡くなるわけではない。
姉を失った経験は、
すでに今の帆稀の中へ深く残っている。
帆稀は自分が姉を守れなかったことを責め、
血蝕解放で現れる巨人にも恐れを抱いている。
姉に恨まれているのではないかという気持ちがあるため、
姉の姿が能力として現れることが、
すぐ安心につながるわけではない。
大切な相手が見えるのに、
その相手からどう思われているかが怖い関係になっている。
四季とのやり取りを経て、帆稀は姉の存在を
守る側のものとして受け止めていく。
澄玲の死がなかったことになるのではなく、
亡くなった姉との関係の捉え方が変わる。
巨人として姉が現れるから生き返った、という話ではない。
生き残った妹が、自分へ向けられていた思いを
少し違う形で受け取れるようになる。
原作15巻の桃墨輝との戦いでも、
帆稀の血の姉は戦場へ現れる。
過去に死亡している人物が、
現在の戦いにも関わるため、
身体を持って生きていることと
能力の中に姿があることが重なって見えやすい。
姉妹の関係が今も帆稀を守る力として続く一方、
澄玲本人の死は覆っていない。
皇后崎迅の過去では、母の桃井戸あすみと、
姉の桃井戸葉月が亡くなっている。
二人が鬼と分かったことで、
父の桃井戸颯に殺害される。
家族で暮らしていた相手が、
血筋を知った途端に命を奪う側へ回る。
迅が父へ向ける憎しみは、
敵に家族を失っただけでなく、
家族そのものを壊された痛みにもつながっている。
ここで登場する桃井戸颯は、
鬼國隊の等々力颯とは別人。
同じ颯の字を使うため名前が混ざりやすいが、
迅の父と鬼國隊の大将は役割も立場も違う。
母と姉を殺した父を追う迅の過去と、
祖父を殺した歪を追う等々力の過去は、
それぞれ別の家族の話になる。
回想の死亡者には、
手術岾ロクロと関わる瑠々もいる。
病気の少女で、治療を担う鬼の医師が桃太郎に殺され、
必要な治療を受けられなくなった末に亡くなる。
直接戦って倒された人ばかりではない。
医療を奪われたことで生きる道が閉ざされる死もあり、
ロクロの過去へ残る傷になっている。
雄治、野拳の七人、澄玲、あすみ、葉月、瑠々。
全員が今の戦いでまとめて亡くなるわけではないが、
四季たちが出会う時点で
すでに誰かの不在を抱えていることが分かる。
普段の荒い言葉や怯える態度の背後に、
もう会えない相手がいる。
現在の仲間と関わる難しさにも、
その別れがついてきている。
第6章 第1期の死亡者は? 原作の先では誰との別れが待つ?
剛志・唾切・深夜は、第1期の時点で亡くなっている
物語の最初に四季が失うのは、
育ての親の一ノ瀬剛志。
第1話で桃屋五月雨に襲われた際、
四季を守ろうとして戦い、致命傷を負う。
鬼の四季を育てていた剛志自身は、
元桃太郎機関の人物になる。
四季にとって桃太郎は憎い敵でもあり、
自分を育ててくれた家族にもつながる存在になる。
剛志は四季と血がつながっていなくても、
父として守る側へ立つ。
四季が自分の出生を知った直後には、
その事実へゆっくり向き合う時間さえない。
目の前の父が奪われ、
知らなかった抗争の中へ投げ込まれる。
剛志の死は、鬼としての四季の物語が動き始める出来事であり、
その後も四季の中から消えない。
京都編で死亡する桃宮唾切は、
炎鬼に覚醒した四季に敗れた後、
無陀野にとどめを刺される。
四季が戦闘で勝ったことと、
四季が最後の一撃を加えて殺したことは同じではない。
唾切の最期へ直接関わるのは無陀野になる。
第2期の楔との決着と比べると、
四季の立ち位置にも違いがある。
唾切は京都支部を襲い、
鬼の遺体を利用してさらなる被害を起こす。
四季が怒りを爆発させる相手であり、
倒されたことには救われる命がある。
一方、その背後にはかつての上司・桃部真中への思いもある。
鬼を憎む気持ちが、
敵側の喪失からも生まれていることが分かる相手になる。
桃部真中は四季との戦いが始まるより前に亡くなっている。
鬼の子へとどめを刺すことをためらったところから、
家族も自分も命を奪われる。
その遺体が唾切に操られているため、
現在の戦場にも姿が出てくる。
生きた本人が四季へ向かっているのではなく、
すでに亡くなった相手の身体が使われている状態になる。
練馬編の桃巌深夜は、皇后崎迅との戦いで死亡する。
相手の視界を利用し、
罠や人質を用いて鬼たちを追い詰めたものの、
最後には自分の仕掛けを見抜かれる。
逃げた先でも迅から逃れられず、命を落とす。
神門と四季が戦うきっかけを作った人物も、
その戦いの後に生きて残るわけではない。
深夜の動きには、
手足として使われた関東ナッツ連合の死も関わる。
利用された側は用済みになったところで命を奪われ、
抗争の中から抜け出せない。
隊長や副隊長という名前のある戦闘員だけでなく、
その周囲で使い捨てられた集団にも犠牲が出ている。
練馬の被害は四季たちの対戦相手だけでは収まらない。
第1期から見ていると、
四季や同級生たちが傷を抱えているのは、
これから戦いで誰かを失うかもしれないからだけではない。
すでに失った人がいて、その後を生きている。
第2期の鬼國隊も同じように過去を抱えて現れるため、
初対面の集団でも、
戦う事情には四季たちと近い痛みが見えてくる。
高円寺編以降にも、救い切れない命がある
この先は原作の高円寺編から31巻までのネタバレあり。
研究施設の戦いの後、高円寺編では桃鐘銀、
桃際右京、鬼機関の泰平らが死亡する。
さらに遊摺部従児の妹・文乃が、
実際にはすでに亡くなっていたことが明らかになる。
戦ってその場で命を落とす人と、
生きていると思われていた人の死が判明する展開が、
同じ編の中に重なっている。
桃鐘銀は朽森紫苑と戦い、
劣勢の中で道連れを狙って自爆する。
銀は死亡するものの、
紫苑はその自爆を回避して生き残る。
同じ爆発の場面に二人がいても、
結末は同じではない。
敵を巻き込むために選んだ死が、
相手まで確実に連れていくわけではない。
泰平は、鬼たちを避難させようと動く中で致命傷を負い、
紫苑に看取られて亡くなる。
勝敗の中心にいる隊長たちのそばで、
人を逃がす役目を担った人物にも取り戻せない死が生まれる。
誰かを地下へ誘導できたことと、
自分が最後まで逃げられることは別になる。
救助へ向かう人が無事に戻れるとは限らないところが苦しい。
文乃は、兄が助けたいと願っていた時点で、
すでに病気で亡くなっている。
右京はその事実を利用し、
妹が生きているように従児へ見せ続ける。
兄が妹のために動いているつもりでも、
その先に本物の妹は待っていない。
守りたい気持ちを、
守れないことのために利用されてしまう展開になる。
桃際右京は四季との戦いに敗れた直後には生き延びるものの、
その後の取引を経て死亡する。
従児への洗脳を解き、
自分の死による保険金を病気の妹・手毬の治療へ充てる
条件を受け入れる。
最終的には四季がとどめを刺す。
炎を受けて倒れた場面だけが、
右京の最期になるわけではない。
自分にも大切な妹がいながら、
別の兄妹の関係を壊していた相手になる。
妹を救いたい事情が分かっても、
従児へしたことは消えない。
右京の死には、
敵を倒して終わるだけではない後味がある。
文乃は帰らず、
従児はその現実を抱えて生きる側へ残る。
松本編では、桃太郎側の桃霜喪蔵が
アグリの攻撃に巻き込まれて死亡する。
自分たちが戦場へ持ち込んだ脅威であっても、
それが味方だけを安全にしてくれるとは限らない。
街へ危険が広がる中で、
鬼側の攻撃を受けた結果とは別の死も起こる。
敵味方の向きだけでは危険を制御できなくなっている。
霧島では、鬼の少年・文也と、
桃太郎側の桃半部走が亡くなる。
村を襲われた文也は暴走し、
走を殺した後、神門と共に崖から落ちる。
文也は死亡するが、神門は生還する。
子どもが暴走した姿だけを切り取ると、
その前に何を奪われ、なぜその状態へ追い込まれたのかが
見えにくくなる。
オークションや製薬会社に関わる展開では、
氷鷹零の恋人・恵眞の死が明かされる。
恵眞は実験によって命を奪われ、
その喪失が零の生きる気力へ深く関わっている。
鬼神の子本人が生きていても、
大切な相手まで生き残っているとは限らない。
零が死を受け入れようとする姿にも、
その別れがついてきている。
桃院白馬も死亡者に含まれる。
別の身体へ憑依する能力を持つため、
表に出ている姿を倒すだけでは本体へ届かない相手になるが、
本体の所在を見破られ、
車ごと攻撃を受けて命を落とす。
一方、兄弟の桃院黒馬は同じ結末にはならず、
31巻でも零と戦い、そこから逃れている。
原作の先へ進んでも、
亡くなるのは敵の幹部だけではない。
避難を助ける人、病気の妹、村で暮らす子ども、
実験へ連れていかれた恋人にも死がある。
戦闘が終われば戻れる日常そのものを奪われているため、
生き残った人は相手のいない暮らしへ進むことになる。
四季たちの救助には、
これ以上その別れを増やさないための切実さもある。
第7章 死んだと思ったら生きていた? 重傷から戻った人物たち
花魁坂と鳥飼は、命をつなぐ側へ戻ってくる
花魁坂京夜は、京都編で唾切の攻撃を受け、
亡くなったと思わせる姿になる。
しかし死亡しておらず、
第1期第11話では四季を治療する側へ戻っている。
助けてほしかった相手が倒れた不安から、
今度はその相手が四季を救ってくれる。
京都の戦いには、取り戻せない犠牲と、
戻ってきてくれた人の両方がある。
花魁坂は医療側の人物であり、
身体の回復を支える能力に長けている。
深い傷を受けても、
その一度の攻撃で退場する人物ではない。
その後も四季たちと関わり、
練馬でも負傷した生徒や真澄を治療する。
京都で倒れた姿と後の行動をつなげれば、
生存していることがはっきり分かる。
ただし、花魁坂が生きて戻ったから、
ほかの重傷者も同じように戻るとは限らない。
本人の能力や、傷を受けた状況、
助けが入るかどうかはそれぞれ違う。
蛭沼の死まで、強い回復力があるから
後で取り消されると考えることはできない。
助かった人の存在がうれしい一方、
誰にでも同じ助けが間に合う世界ではない。
鳥飼羽李も、
桃次歪から大きな傷を受けながら生還する。
鬼國隊の隊員として同行し、
危機の中で仲間たちが救命へ動く。
蛭沼が鳥飼を治療へ運ぼうとする流れもあるため、
同じ戦いで二人とも亡くなったように混ざりやすいが、
鳥飼は命をつなぎ、蛭沼は戻らない。
鳥飼の救命へ関わるのが、
桃太郎側の桃尾旋律になる。
直前まで敵として戦っていた側の人物が、
鬼の命をつなぐ行動へ入る。
敵味方の所属だけでは予想しにくい助けが、
ここでは生死を分ける。
鳥飼が自力だけで傷を治して復帰したのではなく、
ほかの相手が動いたことで帰れる道が生まれている。
旋律自身も、
皇后崎との戦いに敗れた後まで生きている。
研究施設で倒された桃太郎の一人ではあっても、
死亡者の一人ではない。
その後の鳥飼の救命に関われることが、
本人も生還していたことを示す。
倒した相手が後に助ける側へ回るため、
皇后崎と旋律の関係も勝敗だけでは終わっていない。
鳥飼が助かることは、
等々力が戻る場所へ仲間が残ることにもなる。
鬼國隊が全員を失って大将だけ残る展開ではなく、
蛭沼を失いながらも、隊員たちとその先へ向かう。
誰かが生きているという答えには、
残った人同士がまた関われるという安堵もある。
蛭沼の不在と、鳥飼の生還は、
別々の重さで隊へ残る。
無陀野・神門・水鶏たちにも、生還後の姿がある
この先は原作31巻までのネタバレあり。
無陀野無人は生存している。
第2期の研究施設では複数の敵を相手にし、
その先の原作29巻では桃太郎機関の総士隊長・
桃喰十兵衛と死闘を繰り広げる。
戦いの結果は引き分けであり、
強敵へ挑んだことだけで死亡したわけではない。
教官が生徒の前へ戻れなくなる結末として、
この戦いが描かれているのではない。
無陀野には、
仲間を失った経験が身体の刺青へ残っている。
それを知ると、今度は無陀野自身が死ぬのではないかと
心配にもなる。
しかし、過去の喪失を抱えていることと、
現在の死亡が決まることは別になる。
四季たちへ厳しく教え、
危険なところへ迎えに行く教官は、
物語の先でも生きて動いている。
桃寺神門も、練馬で四季と戦った後に死亡していない。
第1期の決着後にも四季との関係は続き、
原作では霧島の出来事へ関わっていく。
鬼と桃太郎という立場が違っても、
そこで一度戦ったことが、
その後のどちらかの死を確定するわけではない。
再び相手を知る時間が残っている。
霧島で文也と共に崖から落ちた後も、
神門は救助されて生き残る。
同じ転落の場面にいても、
文也は亡くなり、神門にはその先がある。
二人をまとめて死亡者へ入れることはできない。
ただ、神門だけが戻れたことは、
文也を救えなかった痛みも残す。
助かったから何もなかったことになる結末ではない。
漣水鶏と手術岾ロクロも生存している。
原作のオークション会場で捕らわれるため、
売られてしまった後に助かるのか不安になるが、
四季と帆稀によって救出される。
捕らえられた状態で物語が終わるわけではない。
その後も逃げる途中に敵の脅威が迫るものの、
捕まったこと自体が死亡を示す出来事ではない。
帆稀はここで、守られて怯えるだけの側にはいない。
四季と零を助け出し、
さらに仲間の脱出へ動く。
姉を失った過去がある人物が、
今いる相手を救う側へ進んでいる。
亡くなった姉が戻るわけではなくても、
姉に守られた妹には、誰かを連れて帰る行動ができる。
その変化は生還した仲間の姿にも残る。
桃角桜介や桃草蓬、桃間纏も、
倒されたり姿を消したりした場面だけで
死亡と決められる人物ではない。
桜介と蓬にはその後の登場があり、
纏は研究施設から脱出した後、
休職して服飾専門学校へ進む。
戦場から姿を消すことが、
命を落とすことではなく、
別の暮らしへ移ることにつながる相手もいる。
桃院黒馬も、死亡する白馬とは同じ扱いにならない。
31巻では氷鷹零と戦い、
罠を使って零から逃れる。
兄弟が同じ場面に登場していても、
二人の結末は別々になる。
敵側の生存は次の脅威にもつながるため、
生き残ったと分かって
素直に安心できる人物ばかりでもない。
四季たちは生き残り、
蛭沼や剛志のように帰らない相手がいる。
原作にはその先にも別れがあるものの、
31巻までの生死と、
まだ描かれていない最終回の結末は同じではない。
今そばにいる人物との次の時間は残っている。
亡くなった人を抱えて進む姿と、
助けられてまた顔を合わせる姿の両方が、
『桃源暗鬼』には続いている。


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