PR

【氷の城壁2期】五十嵐翼とは何者? 小雪との過去・別れ・再会の結末

記事内に広告が含まれています。

五十嵐翼は、小雪と中学時代に付き合っていた元恋人。高校では別の学校へ通っている。
五十嵐の好意と小雪が交際に求めていたものには差があり、距離の詰め方や周囲への言葉が、別れへつながってしまう。
原作10巻で再会した二人は、昔は話せなかった気持ちを交わすが、恋人関係には戻らない。

この先は原作10巻までのネタバレあり。

  1. 第1章 五十嵐翼とは何者? 小雪の中学時代の元恋人
    1. 別の高校へ通う、サッカー部の男子
    2. 小雪にとって、 顔を合わせるだけでも身構える相手
  2. 第2章 小雪はなぜ五十嵐と付き合った? 真夏との関係に挟まれた交際
    1. 五十嵐への好意だけでは 決まらなかった小雪の返事
    2. 自分を守りたい気持ちと、 周囲に押される苦しさ
  3. 第3章 五十嵐と小雪はなぜ別れた? 近づきたい彼と苦しくなる彼女
    1. 恋人になっても、望む距離はそろわない
    2. 周囲の冷やかしと、 別れにつながった言葉
  4. 第4章 高校で会っても気まずいのはなぜ? 小雪が避けたくなる過去
    1. 顔を合わせると、 昔の自分まで思い出してしまう
    2. 湊が話す「氷川」を、 五十嵐が知らなかった事情
  5. 第5章 五十嵐は本当に小雪が好き? 原作第86話のもう一方の気持ち
    1. 小雪が苦しく感じた交際を、 五十嵐はどう経験していた?
    2. 好意があっても、 相手に伝わる言葉にならなかった
  6. 第6章 再会した二人は何を話す? 原作第87話のコンビニと公園
    1. 偶然の再会から、 アイスを食べながら話す時間へ
    2. 別れた時には伝えられなかったことを 口にする
  7. 第7章 五十嵐と小雪は復縁する? 恋人には戻らない再会の結末
    1. 話せるようになったことと、 もう一度好きになることは違う
    2. 昔の交際を引きずるだけではない、 今の二人の距離

第1章 五十嵐翼とは何者? 小雪の中学時代の元恋人

五十嵐と小雪の関係
時期 二人の関わり
中学時代 同級生として出会い、
交際後に別れる
高校進学後 別の学校へ通い、
再び接点を持つ
原作10巻 第86話で彼の気持ち、
第87話で再会の会話
再会後 恋人には戻らず、
過去について話せる関係へ

別の高校へ通う、サッカー部の男子

五十嵐翼は、氷川小雪と中学校が同じで、
かつて交際していた男子。
高校では別々の学校へ進んでいる。
小雪が彼の姿に気づいた時、
気軽に声をかけるより先に身構えてしまうのは、
単に久しぶりの同級生に会ったからではない。
付き合い始めた時の戸惑いも、
別れ際に口にした言葉も、
二人の間に残っている。

アニメで彼を見かけると、
小雪と何があったのかが気になる。
今の高校の友人たちとは違い、
五十嵐は小雪が人との距離に悩んでいた
中学時代を知っている。
ただし、昔から知っていることと、
その人の苦しさまで分かっていることは
別になる。五十嵐も、小雪の内側を
何でも知る人物ではない。

サッカーの合同練習を通じて、
小雪たちの高校と接点が生まれるため、
五十嵐は昔話の中だけにいる相手ではなくなる。
学校が変わっても、
思いがけない場所で会うことはある。
もう会わずに済むと思っていた相手が、
今の友人の話題に入ってくる。
その近さが、小雪を落ち着かなくさせる。

ここで先に答えておくと、

五十嵐と小雪は、再会をきっかけに
復縁するわけではない。

原作10巻では過去の交際について
話す機会を持つものの、
昔の恋人関係を取り戻す方向には進まない。
この記事で扱うのは、
付き合っていた二人が別れ、
その後ようやく話せるようになるまでの
経緯になる。

元恋人と聞くと、まだ好きなのか、
もう一度付き合うのかという疑問が浮かびやすい。
けれど、小雪が五十嵐を気にする様子は、
そのまま未練にはつながらない。
会いたくない相手のことを考えてしまう時にも、
視線や足取りは変わる。
彼女の反応には、昔の出来事を
思い出したくない気持ちが重なっている。

五十嵐の名前が出るだけで空気が変わるのに、
周囲にはまだ事情が分からない。
その場面は、小雪が今も昔の交際を
説明する言葉に困っていることとも重なる。
付き合って別れた、という短い説明の中には、
引き受けきれなかった好意も、
誰にも見せにくい嫌悪も入りきらない。
彼女がすぐ口を開けないのは、
隠したい恋愛があるからだけとは限らない。
顔を合わせた時の沈黙にも、
その言いにくさがにじんでいる。

小雪にとって、 顔を合わせるだけでも身構える相手

小雪にとって五十嵐との交際は、
安心して甘えられた思い出にはなっていない。
自分の気持ちが追いつかないまま距離が近づき、
周囲にも恋人同士として扱われる。
嫌なことを嫌と言いにくい状態で続いた時間が、
彼の顔を見るだけで戻ってくる。
ぎこちなさには、
それまでの積み重なりがある。

一方で、小雪は傷つけられた記憶だけを
抱えているわけでもない。
別れの場面で自分が強い言葉を使ったことも
気にしている。
相手から嫌な思いをさせられたからといって、
自分の言動が気にならなくなるとは限らない。
この二つを同時に抱えているところが、
五十嵐との再会をいっそう気まずくしている。

五十嵐の側にも、
小雪へ向けていた好意がある。
ただ、それを知れば交際中の出来事が
すべて穏やかに見えてくる、
という話にはならない。
小雪がどう受け止めていたかと、
彼がどんなつもりで近づいたかには隔たりがある。
その隔たりを知らないまま、
二人は一度別れてしまっている。

私は、五十嵐が登場した時の小雪の硬さには、
今の友人たちに昔の自分を知られたくない
戸惑いも重なって見える。
高校では少しずつ会話できる相手が増えている。
その場所に、中学時代の関係が
急に入り込んでくると、
今の自分まで昔と同じ扱いに戻されるようで、
落ち着かなくなるのかもしれない。

だから、五十嵐を小雪の恋の邪魔をする相手と
だけ呼ぶと、二人の間に残ったものが
見えにくくなる。
彼との関わりは、小雪がどうして
人に踏み込まれることを警戒するのかにも
つながっている。
現在の恋愛と並んで、もう終わったはずの交際が、
まだ彼女を困らせている。

原作で二人が向き合うのは、
第86話「視点A・B」から
第87話「緩解」にかけての流れ。
前者で五十嵐側の気持ちが見え、
後者で小雪と実際に会話する。
それまで片方ずつに残っていた記憶が、
同じ場所で交わる。
この順番があるため、再会は単なる
懐かしい元恋人との雑談では終わらない。

第2章 小雪はなぜ五十嵐と付き合った? 真夏との関係に挟まれた交際

五十嵐への好意だけでは 決まらなかった小雪の返事

付き合っていたのなら、
小雪も五十嵐を好きになったことがあるのか。
ここは引っ掛かる。
二人の交際は、お互いに同じ熱量で
惹かれ合った末の始まりではない。
五十嵐から向けられた好意に、
小雪が同じ気持ちで応えたと考えると、
その後の息苦しさが
つながりにくくなってしまう。

中学時代の小雪は、
学校での人間関係に疲れていた。
真夏との関係もその中にあり、
恋愛だけを切り離して考えられる状態には
なかった。
五十嵐の告白を受け入れることには、
恋人が欲しいという願いだけでなく、
今の居づらさから離れたい、
自分の居場所を持ちたいという事情も
重なっている。

真夏との問題があるから
五十嵐と付き合えば解決する、と
小雪が落ち着いて計画を立てていたように
捉えるのも違うと感じる。
周囲の視線が気になる時には、
好きかどうかを確かめる余裕より、
今より楽になれるかもしれないという
期待が先に来る。
小雪の返事にも、そんな追い詰められ方が見える。

自分を好いてくれる人のそばなら、
ひとりで踏ん張らずに済むかもしれない。
その期待は、相手に触れたい、
もっと一緒にいたいという気持ちとは
重ならないこともある。
小雪が交際を受け入れた事実と、
恋人として五十嵐を求めていたかどうかは、
分けて考えないと
彼女の戸惑いを取りこぼしてしまう。

五十嵐には、その返事の裏側までは
伝わっていない。
告白が受け入れられれば、
自分への好意もあると期待するのは想像できる。
そこから先の二人は、同じ交際を始めながら、
別々のことを待つようになる。
彼が近づけることを喜ぶほど、
小雪には、そこまで気持ちを進められない
苦しさが増えていく。

自分を守りたい気持ちと、 周囲に押される苦しさ

小雪の返事に迷いがあったからといって、
彼女だけの責任で交際が崩れたとは言えない。
付き合うと答えた後にも、
相手の言動に戸惑うことはある。
始まりに自分の判断が含まれているために、
嫌なことが起きても、自分が選んだのだからと
引き受けようとしてしまう。
その逃げにくさが、
小雪には重なっていたように見える。

さらに、二人の交際は周囲へ広まり、
小雪は恋人がいる人として扱われる。
本人の気持ちがまだ揺れていても、
教室の話題は先へ進む。
喜ばれたり冷やかされたりするほど、
ここで違うと言えば
場を壊してしまうように感じる。
誰かの祝福が、受け取る側の
安心になるとは限らない場面になる。

恋人ができたという出来事だけを見れば、
居場所を得たようにも映る。
けれど、周囲の前で期待される振る舞いが増えれば、
小雪は別の役目を背負うことになる。
五十嵐の彼女としてどう振る舞うのか、
自分の反応で彼を困らせないか。
もともと対人関係で疲れていた彼女には、
さらに気を使う相手が増えてしまう。

五十嵐がいれば真夏との問題から
離れられるかもしれないという期待と、
五十嵐自身への気持ちが育つかどうかは、
別々に進む。
前者が交際を選ぶきっかけになっても、
後者まで自然に追いつく保証はない。
小雪が感じる違和感には、そのずれもある。
恋人という呼び方だけでは、
心まで同じ位置には動かない。

この始まりを知ると、
後に小雪が湊へ向ける気持ちとの違いも見えてくる。
好きになってしまった相手に
どう近づくか迷う時と、
近づかれることに気持ちがついていかない時では、
黙っている姿が似ていても内側は異なる。
どちらも恋愛に不慣れという言葉だけで
まとめるには、抱えている悩みが違っている。

小雪は、五十嵐との交際を通して
恋そのものを否定したわけではない。
ただ、自分の気持ちがはっきりしないまま
関係が進むと、断る時にも大きな負担がかかることを
経験してしまう。
後の慎重さには、誰かを好きになる喜びだけでなく、
また自分の気持ちを置き去りにするのではという
怖さも重なって見える。

第3章 五十嵐と小雪はなぜ別れた? 近づきたい彼と苦しくなる彼女

恋人になっても、望む距離はそろわない

付き合い始めたのに、
小雪の気持ちは五十嵐へ近づいていかない。
むしろ、彼が恋人らしく振る舞おうとするほど、
彼女はついていけなくなる。
五十嵐にとってうれしい進展が、
小雪にとっては身を引きたくなる出来事に
なってしまう。
二人は、交際の始まりから歩幅がそろっていない。

その隔たりがはっきり出るのが、
五十嵐からのキスになる。
小雪の気持ちを待たずに距離が縮まり、
彼女は強い戸惑いを抱く。
恋人になったことを受け入れた返事と、
その時々の触れ合いを望む気持ちは同じではない。
小雪が苦しくなるのは、
照れているからと軽く扱える反応ではない。

五十嵐には、自分の好意が受け入れられたという
喜びがある。
けれど、その喜びが先に立つことで、
小雪の反応を自分に都合よく受け止めてしまう。
嫌われていないという期待の中で、
相手がためらっていることを十分に捉えられない。
近づく側の気持ちだけで進む交際に、
小雪の居場所は狭くなっていく。

小雪は、彼と同じように喜べない自分にも
戸惑っている。
付き合うと答えたのに、
どうしてうれしくならないのか。
相手に嫌な思いをさせたくない気持ちがあるほど、
拒みたい感覚を口にしづらくなる。
五十嵐への気遣いと、
自分が苦しいという感覚がぶつかり、
簡単には関係をほどけなくなっている。

ここを、言葉が足りなかっただけの
すれ違いと呼ぶと、少し軽く聞こえる。
小雪の側には、
望まない距離まで入ってこられたつらさがある。
五十嵐に好意があるかどうかとは別に、
その行動で彼女が身構えるようになったことは残る。
好きという気持ちの有無だけでは、
二人の交際を説明しきれない。

周囲の冷やかしと、 別れにつながった言葉

別れを考え始めても、
教室にはすでに二人を恋人として見る
空気ができている。
交際の話が周囲へ広がるほど、
小雪だけが違う方向へ動きにくくなる。
からかわれること自体もつらいのに、
そのたびに何か反応しなくてはならない。
二人きりで困っていることまで、
人前の話題になってしまう。

その中で小雪が耳にするのが、
五十嵐と友人たちの性的な話になる。
彼は、二人の関係がさらに進むと期待させる
言い方をする。
小雪にとっては、自分の気持ちが
置いていかれるだけでなく、
自分の身体や交際が
友人たちへの自慢の材料にされてしまう。
安心できる話ではない。

五十嵐が友人の前で見栄を張った面を知っても、
小雪の受けた印象は簡単には消えない。
内心では大切に思っていたとしても、
聞こえてきた言葉は彼女を軽く扱うものになっている。
人前では本心を隠していたという説明が、
そのまま小雪への慰めになるわけではない。
この場面には、
見ていて居心地の悪くなる冷たさがある。

小雪が別れを告げる時には、
五十嵐への恋愛感情を否定する
強い言葉も出る。
そこには、これ以上関係を続けたくないという
切実さがある。
穏やかに断れば済む状態を、
すでに通り過ぎていたのかもしれない。
相手から離れたい気持ちが強いほど、
取りつく島のない伝え方になってしまうこともある。

ただ、その言葉で終われたから、
すぐ気持ちが軽くなったわけではない。
小雪は後になって、自分の伝え方で
相手を傷つけたのではと気にする。
交際をやめたい判断と、
別れ際に何を言ったかへの後悔は、同時に残る。
別れそのものを間違いと思っていなくても、
思い返したくない会話にはなり得る。

二人の破局は、
最後の一言だけで突然起きたものではない。
小雪の気持ちが追いつかないまま距離が縮まり、
周囲からの冷やかしも続き、
五十嵐の発言が決定的な嫌悪につながる。
好きになれなかった小雪が悪い、
素直になれなかった五十嵐が悪い、と
一行で片づけるには、
彼女が我慢した時間が長く残っている。

第4章 高校で会っても気まずいのはなぜ? 小雪が避けたくなる過去

顔を合わせると、 昔の自分まで思い出してしまう

別の高校へ進めば、
毎日顔を合わせる関係からは離れられる。
ところが五十嵐は、サッカーを通じて
小雪のいる学校とも接点を持つ。
生活の場所を変えても、
過去の知り合いがまったく現れなくなるわけではない。
小雪が身構える様子には、
その当たり前の偶然が、彼女には
大きな出来事になることが表れている。

小雪が警戒するのは、
五十嵐が今その場で何かをした時だけではない。
彼の姿があるだけで、
中学時代のやり取りを思い出す。
自分が気持ちを言えなかったことも、
最後には強く拒んだことも、一緒についてくる。
何も起きていないように見える場面で
彼女が落ち着かないのは、
頭の中では昔の会話が続いているからと読める。

高校での小雪には、
美姫や陽太、湊との時間がある。
少しずつ自分から話し、
人と一緒にいることを楽しめる場面も増えている。
その変化の途中で五十嵐に会うと、
今の関係とは違う振る舞いを求められそうで
怖くなるのかもしれない。
昔の自分を知る相手の前では、
今の自分を出しにくいことがある。

五十嵐と会った時の気まずさを、
湊への恋心だけで説明すると、
この部分が抜けてしまう。
元恋人の存在を好きな人に知られたくないという
話より前に、小雪自身が、
過去の交際を落ち着いて話せる状態にない。
今の恋を守るための秘密というより、
まだ口にしづらい昔の出来事として残っている。

原作5巻の紹介にも、
小雪が中学時代に因縁を持つ相手として
五十嵐との遭遇が挙げられている。
再会は、懐かしい思い出話へ
すんなり進む場面ではない。
恋人としては終わっていても、
会った時に何を話せばよいかは決まっていない。
その空白が、二人の短いやり取りを
ぎこちなくしている。

湊が話す「氷川」を、 五十嵐が知らなかった事情

一方、湊が五十嵐と話す場面には、
少し不思議な食い違いがある。
小雪を知っているはずの五十嵐に、
氷川という名字が通じない。
元恋人なのに名前も分からないのか、と
戸惑うところになるが、
小雪は中学時代と現在で名字が変わっている。
五十嵐が覚えている呼び方と、
湊が使う呼び方が違っている。

小雪の以前の名字は結城で、
読み方はゆいしろ。
両親の離婚に伴って氷川へ変わっている。
五十嵐はその変化を知らないため、
氷川という名字を聞いても小雪につながらない。
昔は付き合っていた二人でも、
別れた後の生活を互いに知っているわけではない
ことが、この短い行き違いから伝わってくる。

名字の件は、五十嵐が小雪を忘れたことや、
わざと知らないふりをしたことを
示すものではない。
相手を覚えていても、
その後の事情を知らなければ話はつながらない。
過去の交際があるという情報だけで、
現在まで親しく連絡していたと考えると、
ここを誤って受け取りやすくなる。

小雪にとって家庭の変化は、
学校での悩みと切り離せない時期の出来事でもある。
けれど、五十嵐が元恋人だからといって、
その事情まで共有できていたわけではない。
付き合っていた頃の二人の間にも、
言葉にならない部分が残っていた。
その後さらに離れたことで、
知らないことが増えている。

湊からすると、小雪の過去を知る手掛かりに
見える相手が、現在の名字すら知らない。
その食い違いには、親しかったはずの二人が
どれだけ遠くなっていたかが出ている。
昔の関係の呼び名と、今の親しさは一致しない。
元恋人という言葉が強くても、
そこに現在のやり取りが
伴っているとは限らない。

高校での再接触は、まだ過去の決着ではない。
顔を合わせたことと、
言えなかったことを話せたことの間には距離がある。
小雪が五十嵐への気まずさを抱え続けるのも、
一度会えばすべて終わるような
問題ではないためと感じる。
二人が交際を振り返る会話は、
さらに先の原作10巻まで持ち越される。

第5章 五十嵐は本当に小雪が好き? 原作第86話のもう一方の気持ち

小雪が苦しく感じた交際を、 五十嵐はどう経験していた?

小雪の側から交際を振り返ると、
五十嵐は強引に近づき、
最後には自分を軽く扱う言葉を
口にした相手になる。
それだけでも彼女の苦しさは伝わる。
ところが原作10巻の第86話では、
同じ交際に五十嵐側の気持ちが加わる。
小雪が感じていた冷たさとは違うものが、
彼の中にはあったと見えてくる。

五十嵐が小雪へ惹かれる入口には、
見た目への関心がある。
それが、消しゴムを拾ってもらったような
身近なやり取りを通して、
相手を意識する気持ちへ育っていく。
最初から小雪の性格も悩みも
全部分かって好きになったわけではない。
よく知らない相手を気にするうちに、
何気ない反応まで特別に見えるようになっている。

この気持ちを知ると、
五十嵐が交際を喜んでいたことまで、
すべて友人への見栄とは受け取りにくくなる。
小雪と付き合えたことは、
彼自身にとってうれしい出来事になっている。
ただ、そのうれしさが彼女にもあるはずと思い込むと、
相手の反応の読み違いにつながる。
好意が強いことと、
相手をよく見ていることは同じではない。

小雪が言葉を返しにくい場面でも、
五十嵐は必ずしも拒まれているとは感じない。
彼女が何を嫌がっているのかより、
付き合えているという事実のほうが大きくなる。
小雪が黙ってしまうほど、
二人の気持ちが同じ方向へ
進んでいるように思えてしまう。
このずれは、小雪の側からだけでは
見えなかった彼の危うさにもつながる。

私はここで、彼に本気の好意があったこと以上に、
その好意が小雪へ安心として
届かなかったことが気になる。
好きな相手に近づけて喜ぶ五十嵐と、
近づかれるほど身構える小雪。
同じ時間の中で起きていることが、
ここまで違ってしまう。
どちらかの気持ちを後から付け足しても、
もう片方の経験は消えない。

同じ交際で違っていた気持ち
場面 小雪 五十嵐
交際の始まり 居場所を求める
気持ちも重なる
好きな相手と
付き合えて喜ぶ
距離が近づく時 気持ちが追いつかず
戸惑う
関係が進むことを
期待する
友人への発言 軽く扱われたと
感じる
好意を素直に出さず
見栄を張る

好意があっても、 相手に伝わる言葉にならなかった

五十嵐の気持ちが見えるからといって、
小雪が傷ついた場面を、
彼の不器用さとして笑って終わらせることはできない。
からかう言葉も、友人への性的な発言も、
本人の中に好意があるだけでは
穏やかな言葉に変わらない。
小雪がその内心を知らず、耳に届いた言葉で
相手を怖がったり嫌ったりするのは、
不自然な反応ではない。

友人たちの前で見栄を張る彼には、
好きな相手を大切に思っていることを、
そのまま口にしにくい面もある。
けれど、本音を隠した結果、
小雪が軽く扱われる形になっている。
彼が照れくさかったかどうかより、
その場で彼女について何を話したかが、
小雪の判断に残る。
内心と発言の距離を、
小雪だけが埋めることはできない。

別れの時にも、五十嵐は
小雪に向けた気持ちを素直には伝えきれない。
恋人を引き止めたい気持ちがあっても、
それが相手の知る言葉にならなければ、
伝わらずに終わる。
小雪は自分が聞いた返事をもとに過去を覚え、
五十嵐は自分が言えなかった気持ちを抱える。
別れた後の二人には、
違う引っ掛かりが残っている。

五十嵐に同情する部分が生まれても、
小雪への見方を反対側へ
ひっくり返す必要はないと感じる。
彼が本気と知っても、
小雪に同じ気持ちが生まれるとは限らない。
好かれていることを知るのと、
同じように好きになるのは別になる。
彼の好意を知った後も、
小雪が恋人として苦しかった事実は
そのまま残る。

第86話で加わるのは、
小雪の記憶を否定する答えではなく、
五十嵐の中にあった感情になる。
彼は何も感じていなかったわけではない。
それでも、小雪の気持ちを
受け止められなかった場面がある。
その二つが並ぶため、続く再会では、
昔どちらが正しかったかを決めるより、
二人が何を言えるかに関心が向く。

付き合っていた時には、
五十嵐は近づくことに夢中になり、
小雪はそれを受け止めきれない自分に困っていた。
そこでは、同じ話題について
落ち着いて言葉を交わすことが難しかった。
交際が終わり、同じ恋人という役目から
離れた後になって、
ようやく話せることが生まれる。
その会話が第87話へつながっていく。

第6章 再会した二人は何を話す? 原作第87話のコンビニと公園

偶然の再会から、 アイスを食べながら話す時間へ

五十嵐と小雪が過去の交際について話すのは、
原作10巻の第87話「緩解」。
コンビニでの遭遇がきっかけとなり、
二人はアイスを食べながら話す。
改まった約束をして会いに行くのではなく、
日常の途中で相手が現れるところから始まる。
小雪が抱えてきた気まずさも、
その場についてくる。

コンビニから公園での会話へ移る流れには、
付き合っていた時とは違う距離がある。
恋人だから近づかなければならないわけでも、
交際を続けるための返事を
しなければならないわけでもない。
アイスを食べる身近な時間の中で、
昔は相手へ渡せなかった言葉が
少しずつ出てくる。

小雪が気にしているのは、
別れ際の自分の言葉になる。
相手を好きになれなかったことを、
強い伝え方で突きつけてしまった。
その時は離れるために口にしたとしても、
時間がたつと、自分は相手へ何をしたのかという
引っ掛かりが残る。
再会では、その言い方について
彼女が向き合おうとする。

ここでの小雪の謝罪を、
五十嵐と別れたことへの撤回と受け取ると、
会話の行き先が変わってしまう。
彼女が気にしているのは、
自分の気持ちをどう伝えたかという部分になる。
恋人を続けられなかったことと、
相手へ強い言葉を使ったことは、
同じ一つの判断ではない。
謝る言葉から恋愛感情が戻るわけではない。

元恋人に謝る場面には、
また関係を求められたらどうするのかという
不安もつきまとう。
小雪にとっても、
何でも気楽に話せる相手ではない。
それでも会話が続くのは、今の二人が、
当時の交際をそのまま再開しようとしていないためと
感じる。
過去を話すことと、過去へ戻ることが離れている。

五十嵐の返しは、
小雪が一人で思い描いていた相手の反応と、
ぴったりは重ならない。
自分が何を言って相手を傷つけたかは、
考え続けるほど確かなことのように感じやすい。
けれど、本人と話してみると、
引っ掛かっていた箇所が違うこともある。
二人の会話には、
そのずれが表へ出てくる。

別れた時には伝えられなかったことを 口にする

五十嵐もまた、別れ際には十分に出せなかった
自分の気持ちを言い直す。
小雪への好意を曖昧に流したまま終わらせず、
好きでいたことを伝える方向へ動く。
当時の彼の振る舞いだけを覚えていた小雪には、
その言葉がすべて予想どおりに
届くわけではない。
二人はここでも、
同じ感覚になったから話せるのではない。

この場面で少しほっとするのは、
小雪の考えが最初から最後まで、
彼の答えを決めてしまわないところになる。
自分は相手を傷つけた、
自分のせいで嫌な思いをさせた。
その思いを抱えたままでも、
相手は別のことを覚えている。
五十嵐が自分の側から言葉を返すことで、
小雪一人の中では終わらなかった話が動く。

ただし、彼の好意が分かったから、
交際中の出来事が取り消されるわけではない。
小雪が嫌と感じた距離の詰め方も、
友人との会話を聞いて受けた傷も、
過去に起きたまま残る。
再会の会話は、それらを本当は幸せな恋と
塗り替えるためには進まない。
恋人として合わなかった二人にも、
話せることがあるという場面になる。

アイスを食べながら話すという穏やかさも、
二人が何もなかったふりをしているためではない。
気まずい話を避けずに言葉にし、
その後も会話を続けられる。
その変化が、派手な告白や大きな約束ではなく、
身近な時間の中に置かれている。
交際中には得にくかった落ち着きが、
別れた後の二人の間に生まれている。

小雪は、五十嵐の気持ちを知って
恋人へ戻るのではなく、
自分が想像していた彼だけを
相手にしなくてよくなる。
五十嵐も、小雪の返事を勝手に
好意へ結びつけた頃とは違う会話をしている。
相手の言葉が自分の期待どおりでなくても、
その場にいられる。
私は、その変化がこの再会では
いちばんうれしく感じる。

二人が交際を振り返る場面で、
五十嵐の返事には彼らしい率直さが残っている。
突然、何もかも察してくれる別人になったから
会話が成り立つのではない。
小雪も、相手の言葉にすべて納得してから
話し始めたわけではない。
昔からの違いを残したままでも、
今はその場で言葉を返せる。
そのやり取りが、中学時代の別れとは違う
終わり方につながっている。

第7章 五十嵐と小雪は復縁する? 恋人には戻らない再会の結末

話せるようになったことと、 もう一度好きになることは違う

五十嵐と小雪は、
再会して過去の気持ちを話しても、
恋人同士には戻らない。
別れた二人が穏やかに会話する場面を見ると、
もう一度恋が始まるのかと
気になることもある。
けれど、この二人が言葉を交わす先には、
交際のやり直しが用意されているわけではない。

小雪が五十嵐への気まずさを少しほどけることと、
彼を恋愛の相手として好きになることは別になる。
謝ることができたから交際したい、
好かれていたと知ったから応えたい、
という順番には進まない。
彼女は、相手の気持ちを知ったうえでも、
かつて自分が苦しかった関係へ
戻らずにいられる。

五十嵐の好意が語られる展開も、
小雪に新しい恋愛上の義務を
背負わせるためではない。
彼が本気でいたことは、彼の経験として残る。
小雪が同じように好きになれなかったことも、
彼女の経験として残る。
その違いがあっても会話できる関係を、
交際が終わった後の二人は
ようやく持てるようになる。

ここには、別れる前に全部話せていれば
付き合い続けられた、という約束もない。
気持ちが伝われば、相手の行動で
困らなくなるとは限らないからになる。
小雪と五十嵐には、望む距離や
触れ合いへの感覚の違いがあった。
後から互いの気持ちを知れたことは、
その違いまで消えることにはつながらない。

むしろ、恋人ではなくなったから
話せる内容があると感じる。
交際を続けるための返事でも、
相手を喜ばせるための反応でもなく、
昔はこう感じていたと口にできる。
返事が自分の期待と違っても、
二人の間にあるものが
すべて崩れるわけではない。
交際中には難しかった会話が、
その距離で成り立っている。

昔の交際を引きずるだけではない、 今の二人の距離

五十嵐の登場が小雪へもたらすものは、
過去の傷をもう一度思い出させることだけでは
終わらない。
最初は顔を見るだけで身構えていた相手と、
少なくとも会話を交わせるようになる。
避ける以外の関わり方が生まれることは、
小雪にとって小さくない変化になる。
それでも、昔の出来事を
好きな思い出へ変える必要はない。

小雪が過去を振り返る時、
自分はひどい言い方をしたという思いだけが
大きくなっていた部分もある。
本人から返事をもらうことで、
自分が考え続けていた話と、
相手が抱えていた話の違いが見える。
謝罪を受け取ってもらえたかどうかだけでなく、
自分以外の人にもその時の記憶があると
分かる会話になっている。

五十嵐も、ただ小雪を困らせた元恋人という
登場の仕方から、
自分の気持ちを持っていた一人の人物として
見えてくる。
けれど、それによって彼の言動を
好きにならなければならないわけではない。
好意が伝わる場面には胸が動いても、
交際中の強引さには引っ掛かる。
その両方が残る人物として描かれている。

小雪にとって大切なのは、
彼を完全に理解できたかどうかより、
今の自分の言葉で話せたことにあると私は読む。
中学時代には、場の空気に押されたり、
自分の気持ちを飲み込んだりする場面があった。
再会では、昔の言葉を気にしていた自分も含めて、
相手へ直接伝えようとする。
その違いが彼女の変化として見える。

五十嵐翼は小雪の中学時代の元恋人で、
二人の交際は、同じ気持ちを
確かめ合えないまま終わっている。
その後の再会で交わすのは、
もう一度付き合う約束ではなく、
当時は伝わらなかった言葉になる。
恋人には戻らなくても、
顔を合わせたら身構えるだけの関係からは
離れられる。
二人の再会は、そこへたどり着く。

氷の城壁まとめ

『氷の城壁』の感想・恋愛考察・キャラ関係・OP考察など記事一覧をまとめています。
小雪、湊、美姫、陽太たち4人の距離感や恋愛模様の記事もこちら。

▶【勇者パーティ・器用貧乏】記事一覧まとめはこちら

▶ 氷の城壁の記事一覧ページを見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました