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【アニメPSYREN】ネメシスQとは何者? なぜ秘密を話すと殺される?主の正体と制裁の仕組み

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ネメシスQは、未来でグリゴリ07号が生み出し、赤いテレホンカードを持つ人間をサイレン世界へ送り込むために使ったPSIプログラムであり、怪人そのものが黒幕ではない。
サイレンの秘密を話そうとすると殺されるほど強い制裁が働くのは、参加者の口から未来情報が漏れれば歴史が想定外に変わり、さらに07号自身の存在までW.I.S.E側へ辿られる危険があるためで、入国審査の時点からその拘束は始まっている。
だからネメシスQの本質は「人を殺すゲームマスター」ではなく、自分では過去へ行けない07号が、選んだサイレンドリフトだけを未来へ送り、発言まで縛りながら世界崩壊の原因を探らせるために作った、危険な代理人である。

  1. 第1章 ネメシスQとは何者?正体は未来から送られたPSIプログラム
    1. 白い怪人の中に人間がいるわけではない――ネメシスQそのものは「主の代理人」
    2. 始まりは一枚の赤いテレホンカード――アゲハは雨宮を追ううちにQへ選ばれる
    3. ネメシスQがしているのはゲーム運営ではなく「未来調査」の人員選別
    4. 主の正体はグリゴリ07号――天戯弥勒の双子の姉だった
  2. 第2章 なぜ秘密を話すと殺される?未来が勝手に変わるのを防ぐため
    1. 「サイレンのことを話すな」は注意ではない――違反した瞬間に身体へ制裁が走る
    2. 実際に灰にされた古比流――エルモアへ伝えようとしただけでも処刑された
    3. 蝉谷浩二も灰にされる――カードの持ち主だから安全という保証はない
    4. なぜそこまで厳しい?未来情報が現代へ漏れれば、歴史が予定外に変わるから
    5. 主自身の存在も隠す必要がある――07号が見つかれば計画そのものが終わる
    6. だから制裁は冷酷でも合理的――ただしネメシスQには人間的な加減がない
  3. 第3章 制裁プログラムはいつ入れられた?最初の「入国審査」が罠だった
    1. 公衆電話の長いアンケートは、参加意思を確認するためだけの質問ではなかった
    2. 質問が途中からアゲハ個人へ踏み込む――主は電話越しに心まで読んでいた
    3. 制裁は参加後に付けられたのではない――ゲームへ入る前から逃げ道を塞がれている
    4. なぜここまで強引なのか――07号は「未来改変を管理できる範囲」に留めたかった
  4. 第4章 ネメシスQの主は誰?グリゴリ07号と天戯弥勒の関係
    1. 主は未来の女性――4thゲームで夢喰島のカプセルから救出される
    2. 正体はグリゴリ実験体07号――「名前」ではなく番号で管理された少女だった
    3. 天戯弥勒は07号の双子の弟――世界崩壊を追う主とW.I.S.E創始者が同じ家族だった
    4. 07号は最初から「世界を救う聖女」ではない――アゲハが怒るほど身勝手な目的だった
    5. それでも救出後に規則は変わる――07号とアゲハたちの関係が一方通行ではなくなる
  5. 第5章 なぜ危険なサイレンゲームを始めた?目的は「世界崩壊の真犯人」を突き止めること
    1. 07号は未来から動けない――だから自分の代わりにネメシスQを過去へ送った
    2. 参加者は「勇者候補」ではない――最初は世界崩壊を調べるための生きた調査員だった
    3. 召集を拒否しても逃げられない――ゲームは本人の自由意思だけで成立していない
    4. それでもアゲハはQに「お気に入り」と見られる――規則の中で例外的に注目されていく
    5. 夢喰島で主が助けを求めた瞬間、ゲームの立場が初めて反転する
  6. 第6章 ネメシスQは敵なのか味方なのか?アゲハを殺しかけても目的は同じ方向へ向かう
    1. 序盤だけ見れば完全に敵――強制招集し、秘密を話せば命まで奪う
    2. それでも目的はW.I.S.E側ではない――世界崩壊を起こした犯人を追っている
    3. 主の意思を完全には理解できない――「単純で強固な行動原理」が何度も衝突を生む
    4. 主救出後に制裁が緩和される――絶対規則に見えたものが書き換え可能だった
    5. 小型ネメシスQ「ダメQ」が示す別の顔――恐怖の使者にも生活的な行動がある
    6. 最終的には「敵か味方か」ではなく、07号とアゲハを繋ぐ橋になる
  7. 第7章 最後にネメシスQはどうなる?未来から助けを求めた主を今度はアゲハが救いに行く
    1. ネメシスQの役目は「未来へ連れて行くこと」から「07号へ繋ぐこと」へ変わる
    2. 世界崩壊を防いでも終わらない――現代には「まだ救われていない07号」が残っている
    3. 第1話では雨宮の「助けて」から始まった――最終話ではアゲハと雨宮が助けに行く側へ回る
    4. 「ずっと遠くのお前と繋がっていた」――ネメシスQが作った関係をアゲハが自分の意志で返す
    5. ネメシスQそのものの派手な最期はない――役割が終わること自体が結末になる
    6. 最後まで見ると「なぜ秘密を話すと殺される?」の見え方まで変わる
    7. ネメシスQは何者だったのか――最後まで辿ると「助けを繋いだ存在」になる

第1章 ネメシスQとは何者?正体は未来から送られたPSIプログラム

白い怪人の中に人間がいるわけではない――ネメシスQそのものは「主の代理人」

『PSYREN』序盤で最も不気味なのが、
赤いテレホンカードの先に現れるネメシスQである。
公衆電話から参加者を呼び出し、
荒廃したサイレン世界へ送り込み、
帰還条件まで一方的に管理している。

白い人型の姿で現れ、
普通の会話もほとんどせず、
参加者が規則へ逆らえば即座に制裁する。
そのため初見では、
サイレンゲームを楽しむ怪人か、
人間を狩る主催者のように見える。

だが正体は人間ではない。
未来にいる「ネメシスQの主」が、
時を遡るPSI「Nemesis」を使って過去へ送り込む、
意思と行動原理を与えられたPSIプログラムである。

つまり画面へ現れるネメシスQと、
サイレンゲームを始めた「主」は別の存在。
主が目的を決め、
ネメシスQがカード配布、
招集、転送、制裁を代行している。

ネメシスQは黒幕本人ではない。
未来に閉じ込められた主が、
自分では過去へ行けない代わりに送り込んだ代理人であり、
サイレンドリフトを選び、未来へ運び、規則まで強制する実行役である。

始まりは一枚の赤いテレホンカード――アゲハは雨宮を追ううちにQへ選ばれる

夜科アゲハがサイレンへ関わる入口は、
巨大な研究施設でも秘密組織でもない。
通りすがりの公衆電話に残されていた、
一枚の赤いテレホンカードだった。

同じカードを持っていたのが雨宮桜子で、
彼女は「助けてよ…」と言い残した後に失踪する。
アゲハは雨宮を探すため、
都市伝説として囁かれていた「サイレン」を追い、
公衆電話から入国審査を受ける。

電話の向こうでは、
日常生活から奇妙な体験まで、
延々とYES/NO形式の質問が続く。
「サイレンに行きたい?」という最後の問いに、
アゲハはNOと答えている。

それでもアゲハは、
サイレンドリフトとして選ばれる。
つまり入国審査は、
本人の希望を確認して参加者を募集する、
普通のアンケートではなかった。

後に分かるのは、
質問内容そのものより、
候補者の身体へ制裁プログラムを組み込み、
ネメシスQの規則から逃げられない状態にすることが重要だったということ。

アゲハは「行きたい」と答えたから選ばれたのではない。
雨宮を追って電話へ接触した時点で、
ネメシスQ側から候補として見られ、
入国審査の裏でゲーム参加者として拘束され始めていた。

ネメシスQがしているのはゲーム運営ではなく「未来調査」の人員選別

ネメシスQが人間を未来へ送る目的は、
参加者を競わせて娯楽を得ることではない。
主が知りたかったのは、
なぜ世界がここまで崩壊したのかという一点だった。

未来の日本では、
都市が崩壊し、
普通の人間社会は消え、
禁人種やW.I.S.Eが支配する世界へ変わっている。
だが主自身は、
破滅へ至る過程を完全には把握していない。

そこで必要になるのが、
まだ崩壊前の現代に生き、
未来へ移動した後、
再び現代へ帰れる人間である。
それがサイレンドリフトだった。

ネメシスQは、
赤いカードを通して人間を選び、
公衆電話から招集し、
未来へ送り込む。
参加者は命懸けで移動しながら、
未来側の地形、敵、組織、事件を知っていく。

そして生きて帰れば、
その情報を現代へ持ち帰れる。
ネメシスQにとって参加者は、
ゲームの駒であると同時に、
過去と未来を往復できる調査員だった。

サイレンゲームの本体は、
勝者を決める競技ではない。
未来へ行けない主の代わりに人間を送り、
世界崩壊の原因を現地で見つけさせ、
その情報を過去へ持ち帰らせる調査計画である。

主の正体はグリゴリ07号――天戯弥勒の双子の姉だった

ネメシスQの主が姿を現すのは、
物語がかなり進んでからである。
4thゲームの未来で、
アゲハたちは夢喰島へ向かい、
「特異能力者の家」の奥へ辿り着く。

そこには、
カプセルの中で生き続ける一人の女性がいる。
口頭では話さず、
テレパシーを通して意思を伝える彼女こそ、
ネメシスQを作った主である。

正体は、
国家機密研究組織グリゴリの実験体07号。
しかもW.I.S.Eを率いる天戯弥勒は、
彼女の双子の弟だった。

幼い頃、
姉弟は孤児院はるかぜ学園で暮らしていた。
政府側の人間による能力検査を受け、
07号は弟と引き離されないため、
星印のカードだけを避け続けようとする。

しかし異常な確率で外し続けたこと自体が、
強大なPSI能力の証明になってしまう。
結果として彼女はグリゴリへ連行され、
番号で呼ばれる実験体として扱われていく。

ネメシスQの主が未来崩壊を追う背景には、
単なる正義感だけではなく、
グリゴリに奪われた人生と、
弟・天戯弥勒が世界崩壊へどう関わったのかを知りたいという、
極めて個人的な過去まで繋がっている。

第2章 なぜ秘密を話すと殺される?未来が勝手に変わるのを防ぐため

「サイレンのことを話すな」は注意ではない――違反した瞬間に身体へ制裁が走る

ネメシスQの怖さが最初に分かるのは、
参加者へ課される秘密保持である。
サイレン世界の存在やゲームの内容は、
一般人へ自由に話すことができない。

単に「口外禁止」と言われるだけなら、
無視して警察や家族へ相談することもできる。
だがネメシスQの規則は、
本人の良心へ任せる約束ではない。

秘密を漏らそうとした瞬間、
身体に異常が起き、
激しい発作に襲われる。
アゲハや望月朧も、
サイレンについて外部へ話そうとしたことで、
制裁を受ける側へ回る。

しかも軽い警告で終わるとは限らない。
制裁には段階があり、
違反の内容や状況によっては、
命そのものを奪われる。

サイレンの秘密保持は、
「バラしたら参加資格を失う」という程度ではない。
入国審査の時点で身体へ仕込まれた制裁が働き、
発言そのものを生命と引き換えに封じる強制規則である。

実際に灰にされた古比流――エルモアへ伝えようとしただけでも処刑された

制裁が本当に人を殺すと分かるのが、
天樹院エルモアの夫・天樹院古比流である。
古比流もサイレンドリフトとして、
サイレン世界へ足を踏み入れていた。

彼はトランス系PSIを使い、
他人の心を読む能力を持つ人物だった。
未来世界を生き延び、
現代へ戻ることもできたが、
最後は禁人種やW.I.S.Eに殺されたわけではない。

古比流がしようとしたのは、
妻エルモアへサイレンのことを話すことだった。
自分が未来で見た世界、
これから起きる危機を、
最も信頼する相手へ伝えようとした。

しかしネメシスQは、
家族だから例外とは判断しない。
古比流は制裁を受け、
身体を灰にされる形で死亡する。

それでも死の直前、
古比流はテレパシーを使い、
サイレン世界で見た光景をエルモアへ届ける。
その情報が、
後のエルモアの行動にも繋がっていく。

古比流の死が示すのは、
秘密保持が脅しではないこと。
善意で家族へ未来を伝えようとしても、
ネメシスQの規則から外れれば、
参加者自身が消される。

蝉谷浩二も灰にされる――カードの持ち主だから安全という保証はない

天樹院古比流だけが、
例外的に重い制裁を受けたわけではない。
蝉谷浩二も、
ネメシスQの規則へ触れたことで、
灰にされて消える側へ入る。

ここで分かるのは、
赤いテレホンカードを持っていることが、
ネメシスQから保護される資格ではないということ。
カードは参加権であると同時に、
監視と招集へ繋がる鎖でもある。

参加者は、
公衆電話から突然呼び出され、
指定されたゲームへ参加する。
未来では禁人種に殺される危険があり、
現代へ戻っても秘密を自由に話せない。

さらにカードの度数を使い切れば、
すべての制約から解放されるわけでもない。
八雲祭は、
度数が0になった後でも、
サイレンの秘密を漏らせば制裁対象になると語っている。

つまりネメシスQとの契約は、
カード残量だけで終了しない。
一度サイレンの内部情報を知った人間は、
未来改変へ影響を与え得る情報保持者として、
その後も規則へ縛られる。

赤いカードは、
自由に参加できる招待券ではない。
一度未来を知れば、
度数を使い切った後まで秘密保持が続く。
ネメシスQは「知った人間」を最後まで管理する。

なぜそこまで厳しい?未来情報が現代へ漏れれば、歴史が予定外に変わるから

ネメシスQが秘密を守らせる最大の背景は、
未来情報が現代へ与える影響の大きさにある。
『PSYREN』では、
未来を知った人間が現代で動くだけで、
次に訪れる未来そのものが変化する。

エルモアの航空事故を知れば、
死亡予定を回避できる。
W.I.S.Eの宣戦の儀を知れば、
事前に敵の行動へ介入できる。
一人の生存が、
さらに別の生存者を増やすこともある。

だからサイレンの情報を、
何も知らない一般人へ無制限に流せば、
主が把握できない場所で、
無数の歴史改変が同時に始まる可能性がある。

誰かが未来の災害を公表する。
警察や政府が動く。
W.I.S.E側が計画を前倒しする。
本来出会わない人物同士が接触する。
それだけで調査対象だった未来が大きく変質する。

主の目的は、
まず世界がなぜ滅びたのかを突き止めること。
原因を知る前に未来が無秩序に変われば、
どの行動が何を変えたのかさえ追えなくなる。

秘密を漏らすと制裁されるのは、
残酷なゲームを隠したいからだけではない。
未来情報が現代へ無制限に広がれば、
調査中の歴史そのものが変わり、
世界崩壊の原因を追えなくなるからである。

主自身の存在も隠す必要がある――07号が見つかれば計画そのものが終わる

もう一つ大きいのが、
ネメシスQの主である07号自身の安全である。
彼女は未来の夢喰島で、
カプセルの中に閉じ込められた状態で生存している。

肉体で自由に動けず、
過去へ直接行くこともできない。
だからこそネメシスQを代理人として送り、
現代の人間へ赤いカードを配り、
調査を続ける必要があった。

もし参加者が、
ネメシスQの存在やゲームの仕組み、
未来で得た情報を無制限に広めれば、
敵側が「誰かが未来から干渉している」と気づく可能性も高くなる。

実際、
主は4thゲームの段階で、
ネオ天草側から追われ、
自分の力も限界へ近づいている。
そこで初めてネメシスQを通じ、
アゲハたちへ救援を求める。

つまり07号は、
安全な司令室からゲームを眺める管理者ではない。
未来側で発見されれば終わる、
極めて不安定な状態から過去へ干渉していた。

秘密保持は、
歴史改変の暴走を防ぐだけではない。
未来で身動きできない07号の所在と干渉を隠し、
ネメシスQという唯一の調査手段を守る防壁でもあった。

だから制裁は冷酷でも合理的――ただしネメシスQには人間的な加減がない

ネメシスQの行動が恐ろしく見えるのは、
制裁に人間的な情がほとんど入らないからである。
誰に話そうとしたのか、
善意だったのか、
家族を救うためだったのかを細かく汲み取らない。

古比流が妻へ伝えようとしても処刑する。
アゲハや朧が規則へ触れれば発作を起こす。
参加者の事情より、
組み込まれた規則を優先して動く。

これはネメシスQが、
主本人ではなくPSIプログラムだからこその冷たさでもある。
主の目的を実現するため、
情報漏洩を検知し、
一定条件へ触れた者を制裁する。

後に07号がアゲハたちへ理解を示すと、
制裁プログラムの条件は一部書き換えられ、
エルモア・ウッドにいる未来人へは、
サイレンの事情を話せるようになる。

つまり最初の制裁規則は、
世界の絶対法則ではない。
主が設定した安全装置であり、
状況が変われば変更できるプログラムだった。

ネメシスQが怖いのは、
悪意を楽しんで人を殺すからではない。
主が設定した「未来を守るための規則」を、
善意も家族関係も無視して実行できる、
人間ではない代理人だからである。

第3章 制裁プログラムはいつ入れられた?最初の「入国審査」が罠だった

公衆電話の長いアンケートは、参加意思を確認するためだけの質問ではなかった

アゲハが最初に赤いテレホンカードを使った時、
電話の向こうでは、
意味があるのか分からない質問が延々と続く。
宇宙人はいると思うか、
喋る羊の夢を見たことがあるかといった奇妙な問いまで並ぶ。

質問は次第に、
アゲハ自身の生活や感情へ近づいていく。
高校生活に満たされないものを感じるか、
将来について考えているか、
大切な友人がいるかまで聞かれていく。

そして最後に、
「サイレンに行きたい?」と尋ねられる。
アゲハはそこでNOと答える。
普通の入国審査なら、
この時点で参加希望者から外れてもおかしくない。

ところが実際には、
アゲハはサイレンドリフトとして選ばれる。
つまり最初から、
YESを選んだ人間だけをゲームへ送る仕組みではなかった。
アンケートには別の目的が隠されていた。

入国審査の本当の役割は、
サイレンへ行きたいかを確認することだけではない。
電話へ繋がった候補者へ接触し、
その身体へ制裁プログラムを仕込む工程でもあった。

質問が途中からアゲハ個人へ踏み込む――主は電話越しに心まで読んでいた

アンケートが不気味なのは、
前半と後半で質問の性質が変わるところである。
最初は誰にでも聞けるような奇妙な設問が続くが、
後半ほどアゲハ本人の内側へ踏み込んでいく。

これは単なる心理テストではない。
ネメシスQの主は、
トランス系PSIを使い、
候補者の精神へ侵入する能力を持っている。
電話越しでも相手の内面へ触れられる。

だから質問は、
アゲハが何を考え、
何を大切にし、
どこまで異常事態へ踏み込める人間なのかを測るように変化する。
回答用紙だけを採点しているわけではない。

しかもアゲハは、
最後の質問へNOと答えているにもかかわらず選ばれる。
この事実からも、
最終回答より前の段階で、
主がアゲハを候補として見定めていたことが分かる。

雨宮を助けるためなら、
危険な都市伝説へ自分から近づく。
知らない電話にも食い下がる。
その性格まで主側には見えていた可能性が高い。

入国審査は、
表向きはYES/NOの質問でも、
裏では主が候補者の精神へ触れ、
誰をサイレンへ送るか見極める接触時間になっていた。

制裁は参加後に付けられたのではない――ゲームへ入る前から逃げ道を塞がれている

ネメシスQの制裁を、
サイレン世界へ行った後に課される規則だと思うと、
順序を取り違えやすい。
実際には参加者は、
最初の入国審査の段階で制裁プログラムを埋め込まれている。

つまりアゲハは、
サイレン世界の荒廃した景色を見る前から、
秘密を自由に話せない身体へ変えられていた。
本人にはその説明すらない。
同意して契約したわけでもない。

その後、
現代へ戻って誰かへ事情を話そうとした時、
初めて身体へ異常が出る。
そこで参加者は、
「話してはいけない」のではなく、
「話そうとすると身体が止められる」と知る。

この順序がネメシスQの冷酷さを強くする。
ゲームへ参加してから規則へ同意させるのではなく、
候補者へ事情を知らせる前に、
先に安全装置を埋め込んでいるからである。

さらにカードの度数が0になっても、
秘密保持は解除されない。
一度未来情報を知った者は、
ゲーム参加資格を失った後まで、
情報保持者として拘束され続ける。

ネメシスQの制裁は、
ルール違反への後付け罰ではない。
最初の電話の時点で仕込まれ、
未来を知った人間が外へ情報を漏らせないよう、
参加前から出口を塞ぐ仕組みだった。

なぜここまで強引なのか――07号は「未来改変を管理できる範囲」に留めたかった

制裁プログラムの厳しさは、
07号の目的を見ると繋がる。
彼女が最初から望んでいたのは、
全人類へ未来を公開して世界を救うことではない。
まず知りたかったのは、
世界崩壊の真犯人だった。

だから必要なのは、
未来へ行って情報を持ち帰る少数の調査員である。
一般人全員が未来情報を知り、
それぞれ勝手に行動し始めれば、
どの介入が何を変えたのか追えなくなる。

警察が動く。
政府が動く。
W.I.S.Eが警戒する。
未来の事故を知った人間が別の行動を取る。
それだけで時間軸は連鎖的に変わる。

07号は、
世界崩壊を止める救世主を育てるためではなく、
まず原因を突き止めるためネメシスQを作った。
そのため情報の拡散は、
調査そのものを壊す危険になる。

制裁プログラムは、
残酷な余興ではない。
未来情報を持つ人間を限定し、
歴史改変が無秩序に広がらないようにするための、
07号側の強制的な情報管理だった。

第4章 ネメシスQの主は誰?グリゴリ07号と天戯弥勒の関係

主は未来の女性――4thゲームで夢喰島のカプセルから救出される

ネメシスQの主は、
序盤では姿を見せない。
電話越しの声、
ネメシスQの行動、
異空間で再生される記録だけが、
その存在を少しずつ示していく。

4thゲームでアゲハたちは、
未来の夢喰島へ向かう。
そこでネオ天草との戦闘を越え、
島の奥にある施設へ入り、
カプセルの中で生き続ける女性を発見する。

彼女は衰弱しており、
普通の会話ではなく、
テレパシーで意思を伝える。
その人物こそ、
長い間ネメシスQを動かしてきた主だった。

これまでゲーム参加者を強制招集し、
秘密を漏らせば制裁してきた存在の背後にいたのは、
安全な場所から人間を操る支配者ではない。
未来で身動きも難しい一人の女性だった。

ネメシスQの主は、
未来の夢喰島でカプセルに閉じ込められていた女性。
4thゲームでアゲハたちに救出され、
ここで初めてゲームの裏側と彼女自身の過去が一本に繋がる。

正体はグリゴリ実験体07号――「名前」ではなく番号で管理された少女だった

救出された主の正体は、
国家機密研究組織グリゴリの実験体07号。
彼女は生まれつき強いPSIの資質を持ち、
その能力を利用するため、
幼い頃から研究対象へ組み込まれていた。

グリゴリには、
複数の実験体が番号で管理されている。
01号グラナ、
05号ジュナス、
06号天戯弥勒、
そして07号がネメシスQの主である。

07号は、
名前を持つ一人の少女として扱われるより、
能力を測定し、
開花させ、
利用する対象として管理される時間を長く過ごす。

彼女が使える能力は、
単純なテレパシーだけではない。
他人の精神へ干渉するトランス、
空間へ作用するバースト、
さらに時を遡るPSI「Nemesis」まで、
複数の異常な力へ繋がっている。

ネメシスQや制裁プログラムも、
その能力の延長上に作られた。
つまりQの異常な性能を理解するには、
07号自身がグリゴリでどれほど特殊な実験体だったかを見る必要がある。

ネメシスQが超常的なのは、
未来技術だけで作られた機械だからではない。
幼少期からグリゴリに能力を引き出された07号のPSIが、
プログラムという形で過去へ送り込まれているからである。

天戯弥勒は07号の双子の弟――世界崩壊を追う主とW.I.S.E創始者が同じ家族だった

07号の過去で最も大きいのが、
W.I.S.E創始者・天戯弥勒との関係である。
弥勒は赤の他人でも、
07号が未来から監視していた単なる危険人物でもない。
実の双子の弟だった。

幼少期、
二人は孤児院はるかぜ学園で暮らしていた。
そこでPSI能力の資質を見つけられ、
姉弟そろってグリゴリへ連れて行かれる。

グリゴリでは、
弥勒が06号、
姉が07号として扱われる。
名前より番号を先に置かれ、
研究成果のために能力を開花させられる生活が始まる。

弥勒は、
研究が終われば姉と一緒に家族として暮らせると信じ、
姉の身代わりになるように実験へ協力する。
しかし長い監禁と非人道的な扱いは、
彼の精神を少しずつ壊していく。

後に弥勒は、
制御を外してグリゴリを壊滅させ、
外へ脱出する。
その先でW.I.S.Eを作り、
未来世界の支配者へ進んでいく。

未来崩壊を調べるネメシスQの主と、
その未来を作ったW.I.S.Eの創始者は双子の姉弟。
サイレンゲームは、
世界規模の調査であると同時に、
引き離された姉が弟の行方を追う物語でもある。

07号は最初から「世界を救う聖女」ではない――アゲハが怒るほど身勝手な目的だった

07号を知った後も、
彼女が善良な救世主として描かれるわけではない。
アゲハたちは、
ネメシスQによって何度も命懸けの未来へ送られ、
仲間を失う危険へ晒されてきた。

その理由を問い詰めた時、
07号の出発点は、
世界を救う勇者を育成することではなかった。
自分がいる未来が、
なぜここまで壊れたのかを知りたかった。

そのために、
過去の人間へ赤いカードを渡し、
選別し、
未来へ送り、
必要な情報を集めさせる。
参加者の人生を利用するような計画でもあった。

アゲハは、
その身勝手さに激怒する。
自分たちが命を懸け、
死者まで出してきたゲームが、
最初から壮大な救済計画だったわけではないと知るからである。

07号自身も、
「未来を変えたいなら勝手にやればいい」という距離を取った姿勢を見せる。
彼女の第一目的は、
あくまで世界崩壊の真実へ辿り着くことだった。

ネメシスQの主は、
最初から人類を救うためアゲハたちを選んだわけではない。
自分が知りたい真実のため、
過去の人間を未来調査へ送り込んだ。
その身勝手さまで含めて07号という人物である。

それでも救出後に規則は変わる――07号とアゲハたちの関係が一方通行ではなくなる

4thゲームで07号を救出すると、
ネメシスQの規則にも変化が起きる。
それまで絶対だった制裁プログラムが、
限定的ではあるが緩和される。

CALL.85以降、
天樹の根にいる住人へは、
サイレン世界の事情を話せるようになる。
これは制裁が世界の自然法則ではなく、
07号側が設定したプログラムだった証拠でもある。

アゲハたちは、
それまでネメシスQに一方的に呼び出されるだけだった。
だが主本人と接触したことで、
目的を問い、
怒りをぶつけ、
必要な情報を引き出せる関係へ変わる。

さらに07号の力によって、
行方不明になっていた飛龍や朧の生存まで確認される。
ゲームの主催者と参加者だった関係が、
互いの目的を利用し合う関係へ近づいていく。

つまり主の正体が明かされることは、
設定の種明かしだけではない。
誰がルールを作ったのかが見えたことで、
アゲハたちがそのルールへ働き掛けられる段階へ進む。

07号救出後、
ネメシスQは絶対的な管理者ではなくなる。
主の顔が見え、
規則が書き換えられ、
参加者側も交渉できる。
ここからサイレンゲームの主従関係そのものが崩れ始める。

第5章 なぜ危険なサイレンゲームを始めた?目的は「世界崩壊の真犯人」を突き止めること

07号は未来から動けない――だから自分の代わりにネメシスQを過去へ送った

ネメシスQの主である07号は、
未来の夢喰島で生き残っていても、
自分自身の肉体で過去へ戻れるわけではない。
時を遡るPSI「Nemesis」を持ちながら、
生身の身体は時間移動の負荷へ耐えられなかった。

そこで07号が作ったのが、
自分の代わりに過去へ干渉するPSIプログラム、
ネメシスQである。
Qへ多少の知能と行動原理を与え、
過去へ送り込んで未来崩壊の原因を探らせようとした。

だがQ単独では、
07号が期待したほど柔軟に調査できない。
未来の街を歩き、
人間関係を読み、
事件の因果を追うような、
複雑な判断には向いていなかった。

そこで07号は、
過去の人間そのものを調査員として使う方向へ切り替える。
赤いテレホンカードを配り、
候補者を選び、
荒廃した未来へ送り込む仕組みがサイレンゲームだった。

サイレンゲームは、
07号が人間を苦しめるため始めた競技ではない。
自分では時間を越えられないため、
過去の人間を未来調査へ送り込む代替手段として作られた。

参加者は「勇者候補」ではない――最初は世界崩壊を調べるための生きた調査員だった

物語が進んだ後から見ると、
アゲハたちは未来を救う戦士のように見える。
しかし07号がサイレンゲームを始めた段階では、
救世主を育てることが最初の目的ではない。

07号が知りたかったのは、
自分が生き残った未来が、
なぜここまで荒廃したのかという事実だった。
誰が何を起こし、
どこから世界崩壊が始まったのかを突き止める必要があった。

そのためサイレンドリフトは、
未来へ飛ばされるたびに現地を移動する。
禁人種と遭遇し、
荒廃都市を進み、
W.I.S.Eの痕跡を見つけ、
生存者から新しい情報を得ていく。

しかもゲームを終えれば、
参加者は現代へ戻る。
未来で見た光景を記憶したまま、
崩壊前の時代へ戻れるため、
07号にとっては時間を跨ぐ情報収集網になる。

アゲハたち自身は、
最初からそんな役割を知らされていない。
生き残るために進んだ結果、
世界崩壊の原因へ少しずつ近づき、
07号が欲しかった情報を集めていく。

07号から見た最初のサイレンドリフトは、
選ばれた英雄ではなく調査員だった。
未来へ送り、
生き残った者に崩壊の痕跡を見せ、
その情報を現代へ持ち帰らせることが本体だった。

召集を拒否しても逃げられない――ゲームは本人の自由意思だけで成立していない

サイレンゲームが恐ろしいのは、
参加者へ十分な説明をした上で、
同意を取って始める仕組みではないところである。
一度候補として選ばれると、
ネメシスQから召集のベルが鳴る。

ベルは普通の着信ではない。
近くの電話へ出れば未来へ転送されるが、
無視して逃げ続ければ、
頭の中で呼び出し音が大きくなっていく。

最後まで応答しなければ、
脳そのものが破壊される危険まである。
つまり参加者には、
「今日は行かない」という安全な拒否権がほとんど存在しない。

アゲハたちは、
現代で予定があっても、
怪我をしていても、
ベルが鳴れば次のゲームへ向かわざるを得ない。
未来へ行った後も、
ゴールへ辿り着かなければ現代へ戻れない。

この強制性を見ると、
07号が参加者を最初から仲間として扱っていなかったことが分かる。
必要なのは協力者との信頼より、
未来調査を継続できる人間を確保することだった。

赤いテレホンカードは、
自由参加の招待券ではない。
一度ネメシスQに選ばれれば、
召集を拒むことさえ生命へ関わる。
サイレンゲームは最初から強制調査の性格を持っていた。

それでもアゲハはQに「お気に入り」と見られる――規則の中で例外的に注目されていく

ネメシスQは、
完全に全員を同じように扱う機械でもない。
天樹院エルモアは、
アゲハについて「ネメシスQのお気に入り」と見るような発言をしている。

実際アゲハは、
通常のゲーム空間とは違う異空間へ招かれる。
浅い水面の中を一本道が伸び、
その先には神殿のような廃墟、
巨大な砂時計、玉座、再生機が置かれている。

そこでアゲハは、
主と思われる人物の声を聞く。
07号が生身では時間移動へ耐えられず、
自分の代理としてネメシスQを作ったこと、
Q単独の調査を断念したことまで知らされる。

つまりアゲハは、
他の参加者より一段深く、
ゲームそのものの裏側へ触れ始める。
これはQが完全な無人格装置ではなく、
多少の知能と行動原理を持つこととも繋がる。

ただしQがアゲハへ好意的だからといって、
制裁規則まで無視するわけではない。
気に入った相手でも、
情報漏洩へ触れれば同じ安全装置が作動する。

ネメシスQは、
完全な自動機械でも人間の友人でもない。
アゲハへ特別な関心を示しながら、
規則違反には制裁する。
この半端な人格こそ、Qの不気味さを強くしている。

夢喰島で主が助けを求めた瞬間、ゲームの立場が初めて反転する

原作9巻では、
ネメシスQの側からアゲハたちへ救援要請が届く。
これまで一方的に参加者を呼び出してきた存在が、
今度は自分の主を助けてほしいと頼む。

アゲハたちは未来の夢喰島へ向かい、
主を狙うネオ天草と戦いながら、
島の奥にある「特異能力者の家」へ進んでいく。

そこで待っていたのが、
カプセルの中で衰弱した07号である。
サイレンゲームの全てを支配しているように見えた人物が、
実際には自力で逃げることも難しい状態にある。

この場面で、
参加者と主の位置が変わる。
それまでアゲハたちはQに呼ばれる側だったが、
今度はQと07号を救うため、
自分たちの判断で戦場へ入る。

救出後には、
制裁プログラムも一部緩和される。
天樹の根の住人には事情を話せるようになり、
07号とアゲハたちの関係も、
一方的な支配から交渉可能な関係へ変わっていく。

サイレンゲームは、
07号が参加者を使うところから始まった。
だが夢喰島では逆に、
主が参加者へ命を預ける。
ここからゲームの支配関係そのものが崩れ始める。

第6章 ネメシスQは敵なのか味方なのか?アゲハを殺しかけても目的は同じ方向へ向かう

序盤だけ見れば完全に敵――強制招集し、秘密を話せば命まで奪う

ネメシスQを初めて見る視聴者が、
敵だと感じるのは当然である。
赤いカードを持つ人間へ突然ベルを鳴らし、
拒否すれば脳を破壊する危険まである。

電話へ出れば、
禁人種が徘徊する荒廃未来へ転送される。
現地で誰かが死亡しても、
ネメシスQが救助へ入るわけではない。
参加者は自力で生き残り、
帰還地点まで進まなければならない。

さらに現代へ戻っても自由ではない。
サイレンの秘密を一般人へ話そうとすれば発作が起こり、
古比流のように、
最終的には灰にされて死亡する例まである。

ここまでの行動だけ切り取れば、
ネメシスQは人間を拉致し、
危険な世界へ送り、
口封じまで行う敵にしか見えない。

序盤のネメシスQは、
味方と呼べる要素がほとんどない。
強制招集、未来転送、秘密保持、制裁まで、
参加者の自由を奪う側として登場する。

それでも目的はW.I.S.E側ではない――世界崩壊を起こした犯人を追っている

ネメシスQを単純な敵にできないのは、
最終目的がW.I.S.Eの勝利でも、
参加者の全滅でもないからである。
Qを作った07号は、
世界崩壊の真犯人を突き止めようとしている。

その過程でアゲハたちが得る情報は、
結果としてW.I.S.Eの正体へ近づいていく。
未来の支配構造、
宣戦の儀、
弥勒、
星将たちの存在が少しずつ現代へ持ち帰られる。

アゲハ側も、
最初は雨宮を救うためだけにゲームへ入った。
だが荒廃した未来が日本だと知り、
エルモア・ウッドの死を知り、
現代で未来そのものを変えようと動き始める。

ここで両者の方向が重なる。
07号は原因を知りたい。
アゲハたちは未来を変えたい。
目的は同じではないが、
世界崩壊の真相へ進む必要は共通している。

だからネメシスQは、
アゲハを助けるための味方ではない一方、
アゲハが倒すべき最終敵にもならない。
双方が必要な情報を求めて同じ道を進む関係になる。

ネメシスQは、
アゲハの仲間ではない。
しかし世界崩壊を作る側でもない。
別の目的から同じ真相を追うため、
敵と味方の中間に立つ存在である。

主の意思を完全には理解できない――「単純で強固な行動原理」が何度も衝突を生む

ネメシスQが人間らしく見えないのは、
07号自身と同じ思考を持っているわけではないからである。
07号はQへ多少の知能と人格を与えたが、
自分の代わりに何でも判断できる存在にはできなかった。

その結果、
Qは設定された規則を強く優先する。
未来情報を漏らすな。
召集されたら来い。
ゲームを終えたら規定通り帰れ。
その線を越える相手には制裁する。

一方アゲハは、
未来で知った死を現代で防ごうとする。
エルモアの事故を回避したい。
仲間へ情報を伝えたい。
未来を変えるためには、
秘密保持規則そのものが邪魔になる場合がある。

つまり07号が最終的に必要とする「世界崩壊の真相」と、
Qへ最初に設定した「未来を不用意に改変させない」という規則が、
途中から衝突し始める。

ネメシスQには、
「今回は善意だから見逃す」
「この人物には話した方が世界を救える」といった、
人間的な例外判断がほとんどない。

Qがアゲハたちを苦しめるのは、
裏切ったからではない。
最初に設定された単純な規則を守り続けた結果、
未来を変えたい参加者の行動と衝突するからである。

主救出後に制裁が緩和される――絶対規則に見えたものが書き換え可能だった

夢喰島で07号を救出した後、
ネメシスQの関係は大きく変わる。
それまで一般人へサイレンの事情を話せば、
即座に制裁対象となっていた。

しかしCALL.85以降、
天樹の根の住人に限って、
サイレン世界の事情を話すことが許されるようになる。
07号が制裁プログラムを書き換えた結果である。

これは非常に大きい。
参加者が恐れていた規則は、
世界の時間法則や呪いではなく、
主が設定したプログラムだったことが確定する。

同時に、
07号自身にも変化が出ている。
最初は「未来改変したいなら勝手にやれ」という距離だったが、
アゲハたちや根の住人と接触した後は、
彼らの行動へ完全に無関心ではいられなくなる。

ヴァンの治療を受けた後には、
飛龍と朧の生存確認まで行う。
以前なら単なる調査対象だったサイレンドリフトへ、
具体的な支援を返す側へ少しずつ動いている。

主救出後のネメシスQは、
規則を押し付けるだけの存在ではなくなる。
制裁条件が変更され、
情報共有が認められ、
07号と参加者の利害が初めて本格的に重なり始める。

小型ネメシスQ「ダメQ」が示す別の顔――恐怖の使者にも生活的な行動がある

ネメシスQには、
巨大で不気味な姿だけでなく、
小柄な個体も存在する。
夢喰島では主のそばに付き添い、
猫へ餌を与えるような、
それまでの印象と離れた行動まで見せる。

アゲハは、
その緊張感のなさから、
小型のQを「ダメQ」と呼ぶ。
人間を灰にする制裁者と、
猫へ餌をやる小さなQが、
同じ系統の存在として描かれる。

この場面は、
ネメシスQが純粋な悪意の化身ではないことを分かりやすくする。
Q自身が人間を憎み、
苦しめることを楽しんでいるわけではない。

07号から与えられた役割によって、
ある個体は召集と制裁を行い、
ある個体は主の付き添いをする。
行動は目的と設定へ強く依存している。

だから恐怖の場面だけ見れば敵でも、
存在そのものを悪役と断定するとずれる。
ネメシスQは、
作った人間の目的と命令を実行するPSIプログラムだからである。

「ダメQ」の場面まで見ると、
ネメシスQが悪意で人間を狩る怪物ではないと分かる。
恐ろしさの正体は性格ではなく、
人間的な迷いなしに役割を実行できることにある。

最終的には「敵か味方か」ではなく、07号とアゲハを繋ぐ橋になる

物語序盤では、
ネメシスQが現れるだけで、
次の死地へ連れて行かれる恐怖が生まれる。
参加者にとっては、
逃げられないゲームの象徴だった。

だが主の存在を知り、
夢喰島で07号を救出し、
制裁規則が変わると、
Qの役割も違って見えてくる。
未来と現代を繋ぐ唯一の連絡路としての面が強くなる。

07号は自分で過去へ戻れない。
アゲハたちは自力で未来へ行けない。
その間を繋ぎ、
二つの時代へ情報と人間を運ぶのがネメシスQだった。

強制招集も制裁も、
その仕組みが極端に閉鎖的だった時の姿である。
主と参加者が互いを知るほど、
同じ力が情報共有や救出へ使われるようになる。

ネメシスQは、
最初から味方だったわけではない。
敵として倒す存在でもない。
未来の07号と現代のアゲハを繋ぎ、
互いの目的を接続する橋へ変わっていく存在である。

第7章 最後にネメシスQはどうなる?未来から助けを求めた主を今度はアゲハが救いに行く

ネメシスQの役目は「未来へ連れて行くこと」から「07号へ繋ぐこと」へ変わる

物語序盤のネメシスQは、
アゲハたちを一方的に呼び出し、
荒廃したサイレン世界へ送り込み、
秘密を漏らせば制裁する恐怖の象徴だった。

だが4thゲームで主の正体が明かされ、
夢喰島のカプセルから07号が救出されると、
Qの役割も少しずつ違って見えてくる。
参加者を管理する怪人ではなく、
07号と現代を繋ぐための唯一の回線だったからである。

07号自身は未来から動けない。
アゲハたちは自力で時間を越えられない。
その間を往復できる接点として、
ネメシスQだけが二つの時代を繋いでいた。

主救出後には、
制裁プログラムの一部も緩和される。
天樹の根にいる者へ事情を話せるようになり、
「秘密を話したら即制裁」という絶対規則も変化する。

ネメシスQは最後まで同じ役割ではない。
序盤では参加者を縛る管理者だったが、
07号救出後は未来と現代を繋ぎ、
必要な情報を渡す橋へ変わっていく。

世界崩壊を防いでも終わらない――現代には「まだ救われていない07号」が残っている

終盤でアゲハたちは、
未来で知ったミスラとクァト ネヴァスの情報を現代へ持ち帰り、
弥勒とまで共闘して、
世界崩壊へ向かう流れそのものを変える。

その結果、
現代から続く時間軸では、
サイレン世界と同じ破滅を回避する。
アゲハ自身も最終決戦で力を使い果たし、
半年間眠り続けるが、
仲間たちの呼び掛けによって生還する。

ここだけなら、
世界を救って物語は終わってもおかしくない。
だが『PSYREN』は、
最後にもう一人だけ、
現代で救われていない人物を残している。

それが、
未来でネメシスQの主となった07号である。
未来側の07号はアゲハたちに救出されたが、
歴史を変えた現代では、
幼い07号がまだ夢喰島の施設に囚われたまま残っている。

未来を変えたからといって、
現代の07号が自動的に救出されるわけではない。
むしろ破滅を回避した新しい時間軸だからこそ、
今度は自分たちの手で彼女を救いに行く必要が生まれる。

世界崩壊を止めても、
07号の人生まで勝手に救われるわけではない。
最後に残ったのは地球規模の敵ではなく、
まだ夢喰島に閉じ込められている一人の少女だった。

第1話では雨宮の「助けて」から始まった――最終話ではアゲハと雨宮が助けに行く側へ回る

『PSYREN』の始まりを思い返すと、
アゲハがサイレンへ近づいた最大の動機は、
世界を救うことではなかった。
雨宮桜子が残した「助けてよ…」という言葉だった。

赤いテレホンカードを拾い、
公衆電話へ接触し、
都市伝説だったサイレンを追う。
その結果、
アゲハはネメシスQに選ばれ、
命懸けのゲームへ入っていく。

そこから物語は、
未来日本の崩壊、
W.I.S.E、
弥勒、
ウロボロス、
ミスラ、
クァト ネヴァスまで広がる。
扱う規模は一人の失踪から地球全体へ膨張する。

それでも最終話では、
もう一度「助けを求める一人」へ戻ってくる。
目覚めたアゲハは雨宮と共に、
現代の夢喰島へ向かい、
07号が囚われる施設へ踏み込む。

研究員たちを制圧し、
施設の奥へ進み、
未来で見たのと同じように閉じ込められた07号の前へ立つ。
今度はネメシスQから呼ばれたのではなく、
アゲハ自身が彼女を選んで助けに来ている。

第1話では、
雨宮の「助けて」に応えたアゲハがサイレンへ入った。
最終話では、
未来から助けを求め続けた07号へ向かい、
アゲハと雨宮が自分たちの意思で救出へ行く。

「ずっと遠くのお前と繋がっていた」――ネメシスQが作った関係をアゲハが自分の意志で返す

現代の07号を前にしたアゲハは、
未来と現代を隔てた長い距離を越え、
自分たちがずっと彼女と繋がっていたことを伝える。

考えてみれば、
アゲハと07号は最初から直接会っていたわけではない。
二人の間にあったのは、
赤いテレホンカード、
公衆電話、
ネメシスQ、
そして未来世界だった。

07号がネメシスQを作らなければ、
アゲハはサイレン世界へ行かない。
未来崩壊を知らない。
エルモアたちの死も、
W.I.S.Eの正体も、
ミスラの企みも知ることができない。

一方で、
アゲハたちが動かなければ、
07号も未来の夢喰島から救われない。
主が参加者を利用する一方通行だった関係は、
途中から互いを救い合う関係へ変わっていく。

最終話でアゲハが現代の07号へ手を伸ばすことで、
その関係が完全に反転する。
未来の07号がアゲハを呼んだ物語が、
最後にはアゲハが07号を迎えに行く物語へ変わる。

ネメシスQが繋いだのは、
ゲーム参加者と未来世界だけではない。
会ったことすらなかったアゲハと07号を、
十年の時間差を越えて結び付け、
最後には直接救い合う関係まで作った。

ネメシスQそのものの派手な最期はない――役割が終わること自体が結末になる

ネメシスQには、
ラスボスのような最終決戦や、
派手な消滅場面が用意されているわけではない。
最後まで戦って倒される敵ではないからである。

Qの役目は、
07号の代わりに過去へ干渉し、
サイレンドリフトを選び、
未来へ送り、
世界崩壊の原因を探らせることだった。

しかし現代側でミスラの計画が阻止され、
破滅へ向かう流れが変われば、
同じ目的でサイレンゲームを続ける必要もなくなる。
さらに現代の07号自身まで救出されれば、
未来から一人で過去へ干渉する構図そのものが変わる。

だからネメシスQは、
最後に倒されて物語を終える存在ではない。
「もう同じ役割を続けなくていい世界」が生まれることで、
存在していた役目そのものが完了する。

これは序盤の印象から見ると大きな反転である。
最初はアゲハたちを死地へ送る恐怖の怪人だったのに、
最後にはそのQが必要だったから、
世界崩壊の真実へ辿り着けたことまで分かる。

ネメシスQの結末は、
敵として倒されることではない。
未来崩壊を調べる必要がなくなり、
07号自身も救われ、
Qが担っていた危険な役割そのものが不要になることにある。

最後まで見ると「なぜ秘密を話すと殺される?」の見え方まで変わる

序盤では、
秘密を漏らすだけで制裁し、
古比流のように灰にしてしまうQは、
どう見ても残酷な存在に映る。

だが最後まで進むと、
その制裁はQ自身の悪意ではなく、
07号が未来調査を成立させるため組み込んだ、
極端に強い情報管理だったと分かる。

未来情報が無秩序に広がれば、
歴史が変わり、
世界崩壊の原因を追えなくなる。
07号自身の存在が敵へ知られれば、
唯一の調査手段まで失われる。

だからQは、
善意か悪意かを判断せず、
規則へ触れた人間を制裁する。
人間的な加減を持たないからこそ、
古比流のような悲劇まで起きた。

しかし主が救出され、
アゲハたちとの関係が変われば、
その規則自体も書き換えられる。
最後には、
恐怖で秘密を守らせる必要のない未来へ進む。

ネメシスQの正体を最後まで追うと、
「秘密を話すと殺す怪人」という最初の印象が反転する。
本当の怖さは悪意ではなく、
未来を守るため作られた規則を、
人間の事情を無視して実行できるプログラムだったことにある。

ネメシスQは何者だったのか――最後まで辿ると「助けを繋いだ存在」になる

ネメシスQとは何者だったのか。
序盤だけなら、
赤いカードを持つ人間を未来へ連れ去り、
秘密を話せば殺すゲームマスターに見える。

中盤まで進めば、
その正体が07号のPSIプログラムであり、
主の代わりに世界崩壊を調査する代理人だったと分かる。

さらに終盤まで進むと、
07号とアゲハたちの関係を繋ぎ、
未来で得た情報を現代へ持ち帰らせ、
世界崩壊を防ぐ入口まで作った存在だったことが見えてくる。

そして最終話では、
未来からネメシスQを通して助けを求めた07号を、
今度はアゲハと雨宮が現代で救いに行く。
呼ぶ側と呼ばれる側が完全に反転する。

だからQそのものが英雄になるわけではない。
古比流を死なせた制裁も、
強制招集も消えない。
それでもあの危険な仕組みがなければ、
アゲハと07号は決して繋がらなかった。

ネメシスQは、
人を救うためだけに作られた優しい存在ではない。
それでも未来から届いた一人のSOSを現代へ繋ぎ、
最後にはアゲハたちが07号を救い返すところまで導いた。
恐怖のゲームマスターから、二つの時代を繋いだ橋へ変わった存在である。

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