アキオは黒谷四姉弟の一人として家族同然に育ちながら、生まれつき痛みを感じにくい無痛症と自分の出生への疑問を抱え、西ノ村へつながっていった人物だ。
第17話以降の裏切りは突然ではなく、ユルが感じた殺気や影森邸襲撃時の行動など、その前から複数の伏線が積み重なっていた。
アキオの正体を追うと、無痛症、黒谷四姉弟、実親、西ノ村、そして「家族への情が残ったまま裏切った」という一番複雑な部分まで一本につながる。
第1章 アキオとは何者?黒谷四姉弟の三男であり、西ノ村へつながった裏切り者
影森家に拾われ、ヤマノカミを従えながら黒谷姉弟と家族として育った
黒谷アキオは影森家に仕える黒谷四姉弟の三男で、
巨大なツガイ「ヤマノカミ」の主として行動してきた人物だ。
ヤマノカミは白い山風と黒い谷風の二体からなり、
アキオ自身も大柄な肉体と怪力を持ち、戦闘ではバールを躊躇なく振るう。
無表情で感情が読みにくいが、当初は影森家の実働要員としてジンやハルオと行動し、
内部事情を知る古参側の人物として自然に物語へ入っていた。
しかし第17話「泣く子と悪い子」で、
その立場が完全に反転する。
影森屋敷に残っていたアサの前へアキオが現れ、
襲撃へ移ろうとした瞬間、
目の前のアサが愛ちゃんの擬態だったことが判明する。
本物のアサはナツキへ扮してゴンゾウたちと倉庫街へ移動しており、
ジン側は最初から内通者を炙り出す罠を張っていた。
つまりアキオは、
戦闘中に衝動的に裏切った人物ではない。
影森側の配置を知り、
アサを狙える位置まで内部へ入り込んだまま、
西ノ村側へ情報と行動を流していた内通者だった。
しかも影森家にはユルとアサの「解」と「封」を巡る争いが集中しており、
内部事情へ精通するアキオの裏切りは、単純な離反よりはるかに危険だった。
それでも第22話「影森兄弟と黒谷姉弟」で明かされた本人の言葉を見ると、
アキオは影森家そのものを憎んでいたわけではない。
生まれつき痛覚が極端に鈍く、
幼少期には自分の肉体限界を感じないまま喧嘩を続け、
相手の痛みも理解できず必要以上に傷つけていた。
普通の社会へ放り出されていれば、
取り返しのつかない犯罪へ進んでいた可能性を本人も自覚している。
そんな自分を引き取り、
仕事を与え、
異質なツガイ使いたちの中へ居場所を作った影森家には感謝していた。
ナツキ、フユキ、ハルオという姉弟もでき、
ヤマノカミまで含めれば、
アキオは長期間「自分がいてもいい場所」を持っていたことになる。
だから裏切りを「影森が嫌だったから」で片付けると、
第22話以降に見えるアキオの複雑さを取り逃がす。
無痛症と出生への空白が、西ノ村へつながる入口になった
アキオの中で埋まらなかったのは、
仕事への不満より自分自身の出自だった。
黒谷四姉弟は血縁ではなく、
親のいない子供同士が影森家の乳児院で育ち、
家族として結び付いた関係になる。
ナツキ、フユキ、ハルオと同じ「親がいない」という境遇を持ちながら、
アキオだけは痛覚の異常という身体的な違いまで抱えていた。
第22話でアキオが語る幼少期は、
その差がかなり具体的だ。
殴られても痛みを感じにくい。
自分の限界が分からないから喧嘩では最後まで立っている。
同時に相手がどれほど痛いのかも実感できず、
止めるべき地点を理解しにくい。
身体の特異性がそのまま他者との感覚差になり、
黒谷姉弟と暮らしていても「自分だけ違う」という空白が残った。
そこでアキオは、
自分と同じように痛みを感じない人間をネット上で探し始める。
同じ体質を持つ者たちの集まりへ接触し、
その中で自分の親と思われる人物へたどり着いた。
血のつながらない家族をすでに持っていたのに、
実親へ強く引き寄せられたのは、
無痛症の自分がどこから来たのかという疑問へ初めて答えが見えたからだった。
そしてその血縁の先に、
西ノ村側の人間がいた。
ここでアキオは、
影森家へ感謝している自分と、
出生の空白を埋めたい自分の間で後者を選ぶ。
第17話の裏切りは突然始まったものではなく、
第22話で語られた無痛症、孤独、同類探し、実親との接触が積み重なった末の行動だった。
だからアキオ総合で最初に押さえるべきなのは、
「影森家を嫌った裏切り者」ではなく、
家族を持ちながら血縁へ引かれ、西ノ村へ踏み込んだ人物だという点になる。
第2章 黒谷四姉弟とは?血縁がなくてもアキオにとって本物の家族だった
ナツキ・フユキ・ハルオ・アキオは、親のいない者同士が影森家で姉弟になった
黒谷四姉弟は、
ナツキ、フユキ、ハルオ、アキオの四人で構成され、
全員が実の兄弟姉妹というわけではない。
影森家が引き取った親のいない子供たちが同じ環境で成長し、
長女ナツキ、長男フユキ、次男ハルオ、三男アキオとして家族になった。
公式でもアキオは影森家に仕える黒谷四姉弟の三男とされ、
四人はそれぞれ別のツガイを持ちながら影森家の実務を担っている。
ナツキは四人をまとめる姉の位置に立ち、
フユキは「閻魔帳」を使って情報面を支え、
ハルオは「兎と亀」を従えて前線へ出る。
アキオは巨大な「ヤマノカミ」を持ち、
特にハルオと行動を共にする場面が多かった。
血のつながりはなくても、
日常、仕事、戦闘を長年共有してきた関係は、
単なる同僚より家族に近い。
その関係が最も痛々しく見えるのが、
第22話から第23話「情と理」へ続く拘束後の場面になる。
裏切りが発覚したアキオへ、
ナツキは影森の仕事が嫌だったのか、
なぜ仲間まで売るほど憎んだのかと真正面から問い詰める。
ナツキ自身も影森の裏仕事を好んでいるわけではない。
それでも家族と仲間を売るところまでは行かないため、
アキオの選択を理解できない。
アキオがそこで語ったのも、
「家族ではなかった」という否定ではない。
影森家には感謝している。
親のいない者同士で姉弟になり、
家族ができた時間も楽しかった。
それでも埋まらないものがあった。
この告白があるから、
黒谷四姉弟の関係は偽物ではなく、
本物だったからこそ裏切りが重くなる。
第23話で自分の弁明よりヤマノカミを案じた姿にも、アキオの情は残っている
第23話「情と理」では、
ナツキに責められてもアキオは自分だけを守ろうとしない。
むしろ気にしているのは、
契約してきたヤマノカミの山風と谷風だった。
裏切り者として捕らえられ、
影森家での立場を失った後でも、
長年一緒にいたツガイへの情まで切り捨ててはいない。
同じ頃、
影森屋敷の庭では山風の本尊へ謎の粘菌が付着し、
うさちゃんの目の前で爆発する。
うさちゃんは爆発を耐えた後、
谷風の本尊が消えていることへ気づき、
影森家へ危険を知らせに走る。
その谷風はやがてアキオやナツキの前へ現れ、
アキオの裏切り問題へ西ノ村側の処分まで重なっていく。
ここで見えるのは、
アキオが西ノ村へ移ったからといって、
古い家族やツガイへの感情まで消えたわけではないことだ。
ハルオ側にも同じ情があり、
裏切りが判明した後でさえ、
アキオを簡単に殺させたくないという感情が残る。
血縁のない姉弟だったから薄いのではなく、
長年家族として暮らした時間があるからこそ切れない。
一方アキオは、
その家族より血縁へ引かれた。
ここが黒谷四姉弟の悲劇になる。
ナツキたちは、
親のいない者同士でも家族になれると考えていた。
アキオ自身もその生活を楽しかったと認めている。
それでも無痛症という身体の特異性から生まれた空白だけは埋まらず、
自分と同じ感覚を持つ人間を探し、
最後には実親へたどり着いてしまった。
だから第23話「情と理」という題も、
アキオを見るうえで重い。
影森家への感謝も、
黒谷姉弟への情も、
ヤマノカミへの愛着も残っている。
それでも出生へ近づきたい欲求と血縁を優先し、
西ノ村側を選んだ。
アキオは家族を嫌って裏切ったのではない。
家族だと思っていた相手を本当に大切にしながら、
それでも自分の欠けた部分を埋める方へ進んだ。
黒谷四姉弟を先に理解しておくと、
後に明かされる無痛症、実親、西ノ村、裏切りが、
一つの人物像としてつながって見えてくる。
第3章 アキオはなぜ無痛症?痛みを感じない身体が出生の謎へつながった
第22話で明かされたのは、傷よりも「他人と同じ感覚を持てない」苦しさだった
第22話「影森兄弟と黒谷姉弟」で、
アキオの裏切りを考えるうえで欠かせない無痛症が具体的に語られる。
幼少期のアキオは殴られても傷を負っても痛みをほとんど感じず、
喧嘩になれば自分の限界が分からないまま立ち続け、
相手が苦痛で動けなくなる地点さえ実感として理解しにくかった。
身体的な特異性が、そのまま他者との感覚差になっていた。
無痛症は「怪我をしても平気」という便利な能力ではない。
痛覚は本来、骨折、火傷、出血、内臓損傷などを本人へ知らせる警報でもあるため、
痛くないからこそ損傷へ気づけず、
自分の身体を守る判断が遅れる。
アキオの頑丈さと無表情さも、
痛みを我慢しているのではなく、そもそも痛覚が正常に働いていない点が大きい。
さらにアキオの場合、
問題は自分の傷だけでは終わらなかった。
自分が殴られても痛くないため、
相手を殴った時にどれほど苦痛を与えているのかも感覚的に共有しにくい。
幼い頃から喧嘩を繰り返し、
止めるべき加減を身体で覚えられない自分を、
アキオ自身も危険な存在として認識していた。
そこで影森家へ引き取られたことは、
アキオにとって大きな救いだった。
一般社会から排除されるのではなく、
ツガイ使いとして仕事を与えられ、
ナツキ、フユキ、ハルオという家族まで得る。
ヤマノカミの主という役目も持ち、
異質な者が珍しくない環境の中で、
初めて自分の身体を前提に生きられる場所ができた。
それでも、
「なぜ自分だけ痛くないのか」という疑問までは消えない。
ナツキたちも親がいない。
同じ家で育った。
同じ影森家で働いている。
しかし痛覚だけは共有できない。
アキオは家族の中に居場所を得ても、
身体の起源だけは分からないままだった。
この空白が、
後に同じ無痛症の人間を探す行動へ変わる。
同じ無痛症の人間を探したことが、実母ミナセへたどり着く入口になった
アキオが西ノ村へ接近する最初の動機は、
復讐でも金銭でもない。
自分と同じ身体を持つ人間を知りたかった。
そこでネット上を探し、
無痛症の人間が集まるコミュニティへ接触する。
普通の生活では出会えなかった「痛みを感じない側」の人間とつながり、
その中で自分の出生へ関係する人物へたどり着く。
それが実母を名乗る小野ミナセだった。
ここがアキオにとって決定的だった。
影森家では、
どう生きるかは教えてもらえた。
黒谷姉弟からは、
家族として扱ってもらえた。
しかし、
なぜ自分がこの身体で生まれたのか、
誰から生まれたのかまでは分からなかった。
そこへ自分と同じ無痛症に関係し、
出生の答えまで持つ女性が現れる。
アキオが強く引き寄せられたのは自然だった。
しかも原作まで含めると、
アキオの痛覚異常には
母ミナセが持つ「封」の性質が関係している可能性まで浮上する。
運命の双子が持つ「封」と同一ではないものの、
ミナセにも何かを封じる特殊性があり、
アキオの痛覚そのものが出生時から封じられたのではないかと読める材料が置かれている。
ここは確定事項として断言するより、
アキオの無痛症が単なる体質設定ではなく、
母親と西ノ村へつながる血筋の謎として置かれている点が重要になる。
第22話で語られた無痛症は、
「アキオが強い」という説明ではない。
なぜ同類を探したのか。
なぜ実親へ執着したのか。
なぜ影森家で満たされなかったのか。
その全部をつなぐ出発点だった。
第4章 アキオの実親と西ノ村はどうつながる?小野ミナセとの接触が決定的な転機になった
アキオは「捨てられた子」だと思っていたが、ミナセから別の過去を聞かされる
ここからは、
アニメ第23話以降にも関わる原作ネタバレを含む。
アキオが無痛症の人間を探した先で出会った小野ミナセは、
自分こそアキオの母親だと名乗る。
アキオにとって実親は、
自分を捨てた存在として空白のまま残っていたが、
ミナセは単純に息子を捨てたわけではないという趣旨の過去を語る。
赤ん坊だったアキオが夫側に奪われ、
自分の意思だけで手放したのではないと伝える。
この話が事実なら、
アキオが長年抱えていた前提が崩れる。
「自分は親に捨てられた」ではなく、
「引き離されたのかもしれない」。
しかも目の前にいる母親は、
自分の無痛症や出生へつながる情報を持ち、
影森家では知ることのできなかった血縁側の過去を語ってくる。
アキオがミナセ側へ傾いたのは、
家族愛が突然消えたからではなく、
自分の人生に欠けていた部分が一気に埋まり始めたからだった。
問題は、
そのミナセが西ノ村側の人物だったことになる。
西ノ村は、
東村や影森家と対立しながら、
ユルとアサが持つ「解」と「封」を狙って動く勢力の一つ。
アキオがミナセへ近づくことは、
そのまま影森家の内部情報が西ノ村側へ流れる危険を持つ。
本人の中では「母親へ近づく行動」でも、
影森家側から見れば完全な内通になる。
ここで家族が二つに割れる。
長年暮らした黒谷四姉弟。
血のつながった実母。
アキオは前者が偽物だったから後者を選んだのではない。
ナツキたちとの生活が本物だったまま、
それでも血縁側へ進んだ。
だから裏切り発覚後も、
黒谷姉弟への情が完全には消えず、
アキオ自身の言葉にも迷いが残る。
実母へ近づいた結果、アキオは西ノ村にとっても「家族」ではなく利用できる駒になった
皮肉なのは、
アキオが実親を求めて西ノ村へ近づいたのに、
西ノ村側が同じ温度でアキオを家族として扱っているとは限らないことになる。
第23話「情と理」では、
アキオの契約するヤマノカミに異変が起きる。
白い山風の本尊へ黄色い粘菌状のものが付着し、
うさちゃんの目の前で突然爆発。
一方の谷風も姿を消し、
後にアキオの近くへ現れる。
この粘菌の正体は、
西ノ村の椥辻が操る特殊なツガイ「裁きの日」の分体。
他のツガイへ寄生し、
盗聴や監視に使えるうえ、
必要なら寄生先そのものを爆破できる。
つまり西ノ村は、
敵だけでなく味方側のアキオとヤマノカミにも
最初から保険を掛けていたことになる。
影森家へ捕まった。
情報を吐く可能性がある。
利用価値がなくなる。
その時は、
ヤマノカミごと処分できる。
アキオが血縁へ近づいて得た西ノ村の立場は、
安全な実家ではなかった。
ここが黒谷四姉弟との最大の対照になる。
影森家では、
血がつながっていないナツキたちが
裏切った後のアキオへさえ感情を向ける。
ヤマノカミの異変にも反応し、
完全に「敵だから切る」だけでは済まない。
一方西ノ村側は、
アキオを内通者として使いながら、
捕まった時には情報漏洩を防ぐため
処分できる仕掛けまで用意していた。
アキオは「本当の家族」を探して西ノ村へ近づいた。
しかしそこで待っていたのは、
無条件に受け入れてくれる血縁だけではない。
監視。
利用。
口封じ。
必要なら切り捨てる判断。
第22話から第23話へ進むと、
アキオが選んだ血縁と、
捨てたはずの黒谷四姉弟の差が
かなり残酷な形で浮かび上がる。
だからアキオの実親と西ノ村を追うと、
裏切りの動機だけでは終わらない。
「血がつながっていれば本物の家族なのか」という問題まで、
アキオ自身へ突き返されている。
第5章 アキオの裏切りはいつから始まっていた?第17話以前から複数の伏線が出ていた
最初に異変を察知したのはジンではなく、殺気に敏感なユルだった
アキオの裏切りが表面化するのは第17話だが、
伏線そのものはもっと早くから置かれていた。
ユルが初めて影森側と激突した場面では、
現場を指揮するジンや、
実際にツガイを出していたハルオよりも、
その時ほとんど動いていないアキオへ致命傷級の攻撃を向けている。
折れた愛ちゃんの牙を、
アキオの頭部へ狙って投げた場面になる。
ここで重要なのが、
ユルは無差別に相手へ殺意を返す人物ではないことになる。
山育ちで危険察知に優れ、
自分へ向けられた殺気には異常なほど敏感。
だからツガイを出していないアキオだけへ
即座に殺す勢いの攻撃を返したことが、
後から見ると最初の警報になっていた。
ジンもこの違和感を忘れていなかった。
表向きのアキオは、
ハルオたちと同じ影森側の戦力。
そこでユルだけがアキオへ強く反応したなら、
外から見えない敵意をアキオ自身が出していた可能性がある。
第17話でジンが罠を仕掛けられたのも、
一度の勘ではなく、
こうした過去の異変を積み重ねていたからになる。
もう一つ大きいのが、
影森屋敷が敵対勢力から襲撃された時のアキオの行動になる。
ジンは襲撃者の情報を得るため、
敵側の指揮役を生かして確保する必要があった。
フユキのツガイ「閻魔帳」を使えば、
捕らえた相手から所属や目的を探れる可能性があったからだ。
ところがアキオは、
ジンから結界外で待つよう指示されていたにもかかわらず、
前線へ出て敵側の中心人物を殺してしまう。
当時だけ見れば、
戦闘中の勢いで仕留めたようにも見える。
しかし第17話で内通が判明した後では、
西ノ村側へつながる情報を抜かれる前に消した口封じだった可能性が一気に高くなる。
ユルが感じた殺気。
敵指揮役の死亡。
影森内部を知り過ぎている立場。
この三つをジンが重ねたことで、
アキオへの疑惑は「気のせい」では済まなくなった。
だから第17話の罠は、
裏切り者を一から探すものではない。
すでにアキオへ絞ったうえで、
本人が自分から敵対行動を見せる状況を作る確認作業だった。
第17話の偽アサは、アキオが情報漏洩だけでなく直接襲撃まで行うかを見る罠だった
第17話「泣く子と悪い子」で、
影森屋敷にはアサが残っているように見える。
ヒカルの漫画作業を手伝い、
周囲にも大きな警戒がない。
そこへアキオが現れ、
手にはバールを握り、
アサが止めても距離を詰め続ける。
しかし目の前にいたアサは本物ではない。
正体はジンのツガイ、
スカベンジャーの愛ちゃんが擬態した偽物。
本物のアサはナツキへ扮し、
ゴンゾウたちとフジムラヤマ倉庫へ向かっていた。
影森側は意図的に、
「アサだけが屋敷へ残った」という隙を作っていた。
アキオが偽アサへ手を出そうとした瞬間、
愛ちゃんが擬態を解き、
バールを持つ腕へ噛みつく。
そこでジンが姿を現し、
以前から疑っていたことを本人へ突きつける。
第17話で初めて裏切ったのではなく、
過去の違和感へ答えが出た瞬間になる。
しかも裏切りが露見した後も、
アキオは影森へ戻ろうとしない。
本物のアサが倉庫街へ向かったと知ると、
屋敷そのものを更地にして
逃げ隠れできる場所をなくすという趣旨の発言をし、
巨大なツガイ「ヤマノカミ」まで出現させる。
ここまで来ると、
西ノ村へ少し情報を流した程度ではない。
アサを狙う。
影森屋敷を破壊しようとする。
ヤマノカミまで実戦投入する。
長年暮らした場所へ自分の手で牙を向ける。
第17話は、
アキオが内通者だったと判明する回であると同時に、
すでに引き返せない地点まで進んでいたことを示す回でもある。
第6章 第17話から第23話でアキオは何をした?裏切り発覚後も西ノ村側を選び続けた
ガブちゃん、ナツキ、マコトに囲まれても戻らず、最後は捕縛された
第17話で正体を暴かれたアキオは、
その場で謝罪して終わらない。
ヤマノカミを出し、
影森屋敷そのものを破壊しようとする。
そこへ現れたのがガブちゃんで、
フジムラヤマ倉庫へ向かったはずの彼女が戻り、
アキオへ真正面から戦闘を挑む。
ガブちゃんが放つ空気は、
単なる敵への怒りとは違う。
長く影森側で同じ時間を過ごしてきた相手だからこそ、
裏切りそのものへ感情が乗っている。
ナツキも冷静に場を押さえようとするが、
アキオはその視線を受けても立場を変えず、
隙を突いて影森屋敷から逃走する。
しかし逃走先では、
立川マコトとツガイのみどりさんが待っていた。
アキオはそのまま捕縛され、
一度は影森側の管理下へ戻される。
ここで物理的には動きを止められても、
本人の気持ちまで影森側へ戻ったわけではない。
その後の第22話では、
ナツキたちから直接問い詰められる。
影森家が嫌だったのか。
自分たちとの暮らしは何だったのか。
そこへアキオは、
影森家へ感謝していることも、
黒谷姉弟との生活が楽しかったことも否定しない。
それでも西ノ村側へ進んだ。
ここがアキオの厄介なところになる。
家族への情は残っている。
感謝もある。
しかし選択は変えない。
だから第17話以降のアキオは、
「本当は影森へ戻りたいのに脅されている」だけの人物ではない。
迷いながらも、
自分の出生と実母へつながる側を
繰り返し選んでいる。
第23話ではヤマノカミまで処分対象にされ、西ノ村がアキオを信用していなかったことが露出する
第23話「情と理」では、
アキオの裏切り問題へ
さらに西ノ村側の冷酷さが重なる。
影森屋敷に残っていたヤマノカミの本尊、
白い山風へ黄色い粘菌状のものが付着する。
うさちゃんが異変へ気づいた直後、
山風は突然爆発。
もう一体の谷風もその場から姿を消し、
後にアキオの近くへ現れる。
この粘菌の正体は、
西ノ村の椥辻が操るツガイ「裁きの日」の分体。
他のツガイへ寄生し、
盗聴や監視に利用できるうえ、
必要なら寄生先そのものを爆破できる。
つまり西ノ村はアキオを仲間として使いながら、
ヤマノカミへ最初から処分装置まで仕込んでいたことになる。
アキオが影森側へ捕まった。
内部情報を吐く可能性がある。
西ノ村側の秘密が漏れる。
その時はヤマノカミごと切り捨てる。
第23話で露出したのは、
西ノ村にとってアキオが
無条件に守る家族ではなかったという現実になる。
しかもアキオ自身は、
捕らえられた状況でも
山風と谷風を気にしている。
第17話では影森屋敷を壊そうとした人物が、
第23話では長年契約してきたヤマノカミの状態へ
強く反応しているため、
感情そのものが消えたわけではないことが分かる。
ナツキたちへの情も残る。
ヤマノカミへの愛着もある。
影森家への感謝もある。
それでも西ノ村を選んだ。
一方西ノ村は、
必要ならアキオのツガイごと処分する準備をしていた。
第17話から第23話までを見ると、
アキオの裏切りは単純な敵味方の反転ではない。
血縁を求めて自分から西ノ村へ進み、
そのために影森へ牙を向けた人物が、
今度は選んだ側から監視と口封じの対象にされている。
だから第23話「情と理」で問われているのは、
アキオが誰を裏切ったかだけではない。
血のつながらない黒谷姉弟。
血縁へつながる実母。
利用価値で判断する西ノ村。
その三つを並べた時、
アキオが「家族」と呼んだものの重さが、
最も厳しい形で突きつけられている。
第7章 アキオは敵なのか?無痛症・家族・裏切りを通して見える本当の立場
アキオは単純な悪役ではなく、家族への情を残したまま別の家族を選んだ
アキオを第17話だけで見ると、
影森家へ潜り込んだ裏切り者として映る。
偽アサへバールを持って近づき、
正体を暴かれた後はヤマノカミを呼び、
長年暮らした影森屋敷そのものを破壊しようとした。
行動だけを抜き出せば、
明確に敵側へ回った人物になる。
ただし第22話「影森兄弟と黒谷姉弟」まで進むと、
アキオ自身は黒谷四姉弟との生活を否定していない。
影森家へ引き取られたことにも感謝し、
ナツキ、フユキ、ハルオと家族になれた時間も認めている。
それでも無痛症という身体の違いだけは埋まらず、
自分と同じ感覚を持つ人間を探した先で、
実母ミナセへたどり着いた。
だからアキオの選択は、
「偽物の家族を捨てて本物の家族へ戻った」という単純な話ではない。
黒谷姉弟も本物の家族だった。
そのうえで、
出生の空白を埋めてくれる血縁へ進んだ。
二つの家族が同時に存在したからこそ、
どちらか一方を選ぶ行為そのものが裏切りになった。
第23話「情と理」で、
アキオがヤマノカミの山風と谷風を気にする姿も同じになる。
西ノ村へ移ったからといって、
影森側で長年共有した時間まで消えてはいない。
黒谷姉弟への情も、
ツガイへの愛着も残ったまま、
行動だけは西ノ村側を選び続けている。
ここがアキオの最も複雑な部分になる。
感情では完全に切れていない。
行動では完全に裏切っている。
だから味方でも敵でもない曖昧な人物なのではなく、
情を残したまま敵側へ進んだ人物として見る方が近い。
西ノ村に利用されても選択は消えず、今後は「誰を家族と呼ぶのか」がさらに重くなる
一方で、
アキオが選んだ西ノ村も
無条件に彼を受け入れてはいない。
第23話では、
ヤマノカミの山風へ
椥辻のツガイ「裁きの日」の分体が寄生し、
監視だけでなく爆破まで可能だったことが露出する。
アキオが捕縛され、
西ノ村側の情報を漏らす危険が出れば、
契約ツガイごと処分できる状態だった。
つまりアキオは、
黒谷姉弟を捨てれば安全な実家へ戻れるわけではなかった。
影森家では、
血縁がなくても家族として扱われた。
西ノ村では、
血縁へつながる一方で、
利用価値がなくなれば切られる可能性がある。
この対比が、
第23話以降のアキオをさらに重くしている。
ただし、
だからといってアキオの裏切りが無効になるわけではない。
西ノ村に利用された面があっても、
第17話で偽アサへ近づいたのは本人。
ヤマノカミで影森屋敷を壊そうとしたのも本人。
長年の家族関係を知ったうえで、
自分の出生へつながる側を選んだ責任は残る。
ここを全部「騙された」で済ませると、
アキオという人物の重さが薄くなる。
無痛症。
出生への疑問。
実母との接触。
黒谷四姉弟への情。
西ノ村への内通。
偽アサ襲撃。
ヤマノカミ。
裁きの日による監視と爆破。
これらは全部、
一つの線上にある。
アキオは、
痛みを感じない身体で生まれ、
自分だけ違うという感覚を抱え、
その答えを血縁へ求めた。
その結果、
すでに持っていた家族を傷つけ、
最後には選んだ側からも完全には信用されなかった。
だから今後の焦点は、
単にアキオが敵として倒されるかどうかではない。
実母との関係をどう受け止めるのか。
黒谷四姉弟と再び向き合えるのか。
西ノ村から切り捨てられた時、
それでも血縁を選び続けるのか。
そして本人が最後に、
誰を「家族」と呼ぶのか。
アキオ総合で見えてくるのは、
裏切り者の正体だけではない。
無痛症という身体の違いから始まり、
血縁を探し、
家族を傷つけ、
選んだ側からも監視されるところまで進んだ、
アキオ自身の居場所をめぐる物語になる。
黄泉のツガイ
『黄泉のツガイ』の考察・感想・キャラ解説記事一覧へ
ユル・アサ・デラ・ハナ・左右様・ツガイ能力・東村の秘密はこちら。
あなたは映画やドラマを思いっきり楽しみたいですか?
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