PR

【BLEACH 千年血戦篇】なぜ第45話で月島さんがトレンド入り?「挟んでおいたよ」とアニオリが噛み合った夜

記事内に広告が含まれています。

BLEACH第45話で月島さんがトレンド入りしたのは、月島本人が突然大活躍したからではない。
原作勢さえ知らないアニオリ展開が始まり、「こんなBLEACHは知らない」という感覚が「挟んでおいたよ」「存在しない記憶」と奇妙なほど重なったからだ。

  1. 第1章 結論|第45話で月島さんがトレンド入りしたのは「原作勢まで知らないBLEACH」になったから
    1. 月島さんが大活躍したから話題になったわけではない
    2. 「挟んでおいたよ」がアニオリと妙に噛み合った
  2. 第2章 第45話のアニオリで原作勢まで自分の記憶を疑うような状態になった
    1. 一護対ユーハバッハは知っている戦いなのに、少しずつ見覚えのない場所へ進んでいく
    2. 原作を知っているほど「月島さんに挟まれた」が成立する
  3. 第3章 「挟んでおいたよ」は月島秀九郎の能力そのものを表している
    1. ブック・オブ・ジ・エンドは記憶を書き換えるだけの能力ではない
    2. 人間だけでなく物の過去へも入れるところが月島の異常さ
  4. 第4章 「月島さんのおかげ」が今も通じるのは一護の仲間まで本気で月島を信じたから
    1. チャドの言葉が月島さんを忘れられない存在にした
    2. 一護を追い詰めた敵が千年血戦篇では本当に「月島さんのおかげ」になる
  5. 第5章 「存在しない記憶」と月島さんが結びつけられるのはなぜか
    1. 月島が見せているのは幻ではなく「最初からそこにいた過去」
    2. 一護だけが知る「本当の過去」が崩れていく怖さが今も記憶に残っている
  6. 第6章 千年血戦篇では月島さんの能力が本当に一護を救う
    1. 死神代行消失篇の敵だった月島が最終決戦へ戻ってくる
    2. 未来を変えるユーハバッハへ、月島は「過去」から道を作った
  7. 第7章 第45話の月島さんトレンドはBLEACHだから成立した小ネタだった
    1. アニオリを「記憶を挟まれた」と遊べる人物は月島さんしかいない
    2. 笑える言葉だった「月島さんのおかげ」が最終決戦では本当に一護を助ける

第1章 結論|第45話で月島さんがトレンド入りしたのは「原作勢まで知らないBLEACH」になったから

月島さんが大活躍したから話題になったわけではない

『BLEACH 千年血戦篇-禍進譚-』第45話「DEFEND YOU」の放送後、意外な名前が一気に浮上した。
月島秀九郎。
死神代行消失篇で一護たちを追い詰めた完現術者。
刀の形をした「ブック・オブ・ジ・エンド」で、人や物の過去へ自分自身を差し込める人物になる。
ところが、第45話で月島が戦場の中心に立って大活躍したわけではない。

それでも「BLEACH 月島さん」が話題になった。
「月島さんのおかげ」。
「挟んでおいたよ」。
「存在しない記憶」。
昔からBLEACHを見ている人なら、すぐ月島へつながる言葉が次々と思い出された。

きっかけは、第45話そのものの異様な感覚にある。
原作を読んでいる人なら、千年血戦篇の終盤がどこへ向かうのかを知っている。
一護とユーハバッハがどう戦うのか。
誰がどこへ現れるのか。
どの順番で戦況が動くのか。
その記憶を持った状態で見始めることになる。

ところが第45話は、少しずつその記憶から離れていく。
知っている場面がある。
原作で見た攻防もある。
しかし、その間へ見覚えのない動きが入る。
次に来ると思っていた場面が来ない。
代わりに、原作にはなかった流れが広がっていく。

原作を知らない視聴者なら、そのまま新しい展開として受け取れる。
でも原作勢は違う。
自分の記憶と、目の前のアニメを照らし合わせながら見ている。
「ここは覚えている」。
「これは原作にもあった」。
そこから突然、「こんな場面あったか」となる。

この感覚が、月島秀九郎とあまりにも噛み合った。
月島の能力は、単純に相手へ偽の記憶を見せるものではない。
斬った相手の過去へ、自分という存在を差し込む。
その人の人生の中に、最初から月島がいたことになる。
だから本人にとっては、その過去が自然なものになる。

死神代行消失篇では、一護がその恐ろしさをまともに受けた。
家へ帰る。
そこには月島がいる。
遊子も夏梨も、月島を昔から知っている人物のように扱う。
一護だけが「こいつは敵だ」と訴える。
それなのに周囲から見ると、一護の方がおかしく見えてしまう。

織姫も月島に過去を差し込まれる。
チャドも同じ。
二人にとって月島は、自分を助けてくれた人物になる。
大切な時にそばにいてくれた人になる。
だから一護が何を言っても、月島を簡単には敵だと思えなくなる。
一護だけが共有していたはずの過去から外されていく。

あの時の一護は、自分の記憶を疑っているわけではない。
自分が正しいと分かっている。
それでも周囲の全員が、別の過去を当たり前のように受け入れている。
自分だけ違う世界へ置かれたようになる。
月島の能力が怖かったのは、そこだった。

第45話を見ていた原作勢にも、それに少し似た状況が生まれた。
原作を読んだ記憶はある。
確かにこの先を知っていたはず。
ところがアニメでは、その知っている道から外れていく。
しかも登場人物たちは当然のように、新しい展開の中を進んでいく。

そこで月島さんが浮かぶ。
「自分たちの知っている原作に、何か挟まれたのではないか」。
「知らない間に月島さんが過去を変えたのではないか」。
そんな冗談が、BLEACHの中では妙に成立してしまう。
第45話のアニオリと月島の能力が、思いがけないところで重なった。

だから月島さんのトレンド入りは、単なる懐かしいキャラの再浮上ではない。
月島本人の出番だけを見ても、この現象は分からない。
原作を知っている人まで「自分の知っているBLEACHと違う」と感じた。
その違和感を、一言で表せる人物が月島だった。
そこが第45話で名前が広がった一番大きなところになる。

「挟んでおいたよ」がアニオリと妙に噛み合った

月島を語る時、長く残っている言葉が「挟んでおいたよ」だ。
ブック・オブ・ジ・エンドで過去へ自分を差し込む。
人と人の関係へ入り込む。
物の過去へも入り込む。
月島という人物を短い言葉で思い出させるなら、この感覚が一番近い。

そして、この能力は死神代行消失篇だけで終わらない。
一護にとって最悪だった力が、千年血戦篇の終盤ではまったく逆の位置へ回る。
ユーハバッハとの最終決戦。
そこで一護は、完成した天鎖斬月を破壊される。
しかも普通に刀を折られたわけではない。

ユーハバッハの「全知全能」は、未来を見るだけではない。
見た未来へ干渉できる。
一護が卍解を使う未来そのものへ手を入れ、天鎖斬月が折れている状態へ持っていく。
だから織姫が双天帰盾を使っても、いつものようには戻せない。
壊された瞬間だけを拒絶すれば済む話ではなくなっている。

そこへ月島が関わる。
月島は一護の天鎖斬月へ、別の過去を差し込む。
「その刀が折られなかった過去」を作る。
すると織姫の力が届く余地が生まれる。
敵だった時には一護の人生を壊した能力が、最後には一護を立ち上がらせる力へ変わる。

この場面を知っている人ほど、第45話で月島を思い出しやすい。
原作とは違う展開が出てくる。
自分の記憶にはない。
それでもアニメの中では、その出来事が最初から存在していたかのように進んでいく。
そこで「月島さんが挟んでおいた」と言うと、不思議なくらい収まりがいい。

しかもBLEACHには「月島さんのおかげ」という別の長寿ネタもある。
死神代行消失篇では、月島が過去へ入り込んだ結果、仲間たちは本気で月島へ感謝する。
本人たちにとっては冗談ではない。
助けてもらった過去がある。
支えてもらった記憶がある。
だから月島を信じる。

視聴者から見ると、その状況は異常だった。
一護だけが真実を知っている。
周囲は月島を信頼している。
家族も仲間も、一護より月島を受け入れていく。
その強烈な場面が残ったことで、「何でも月島さんのおかげにできる」という遊びが長く続いた。

知らない設定が出た。
覚えていない出来事が起きた。
原作と違う流れになった。
そんな時、「月島さんのおかげ」と言えばBLEACHでは通じてしまう。
普通ならただのアニオリで終わるところへ、作品内の能力がそのまま重ねられる。

第45話は、その古い遊びが現在の千年血戦篇へ戻ってきた回でもある。
しかも月島は、単なる過去キャラではない。
最終決戦へ近づけば近づくほど、彼の能力は再び本筋とつながってくる。
だから笑い話だけで終わらない。

死神代行消失篇では、一護の大切な過去へ月島が入った。
千年血戦篇では、一護を救うために過去へ入る。
そして第45話では、原作勢が知らないアニメ独自展開を見て、視聴者の側が「自分たちにも挟まれたのでは」と月島を思い出した。
同じ能力が三つの違う方向へつながっている。

月島さんがトレンド入りした面白さは、ここにある。
昔の台詞を思い出しただけではない。
死神代行消失篇で描かれた能力。
千年血戦篇終盤での役割。
第45話のアニオリ。
それらが一つにつながったから、「挟んでおいたよ」という言葉が再び強く生きた。

第2章 第45話のアニオリで原作勢まで自分の記憶を疑うような状態になった

一護対ユーハバッハは知っている戦いなのに、少しずつ見覚えのない場所へ進んでいく

第45話「DEFEND YOU」は、一護とユーハバッハの戦いが大きく動く回になる。
三界そのものが崩れようとしている。
ユーハバッハを止めなければならない。
一護は真世界城で、その中心にいる敵へ向かう。
ここまで来ると、尸魂界篇の頃とはまったく違う戦いになっている。

尸魂界篇の一護は、卍解を覚えたばかりだった。
白哉との戦いでは、自分の死神としての力を限界まで使う。
そこへ内なる虚が出てきて、一護自身が制御できない力まで表へ現れた。
あの頃の一護にとって、虚は自分の中にいる危険な存在だった。
できれば出てきてほしくないものだった。

破面篇では、その力から逃げられなくなる。
平子たち仮面の軍勢と関わり、虚化を制御しようとする。
仮面をつける。
虚の力を借りる。
それでも「自分自身の力」と完全に言い切れるところまでは行かない。
一護の中には、死神と虚が別々にいるように見えていた。

千年血戦篇で、その認識が変わる。
斬月とは何だったのか。
自分の中にいた存在は誰だったのか。
母・真咲から受け継いだ滅却師の血。
虚ホワイトからつながった力。
死神としての力。
一護という一人の人間の中に、すべてが重なっていたことが明かされていく。

だから第45話で見せる姿にも重みがある。
一護は虚の力を前へ出す。
角を持つ姿へ変わる。
虚閃を放つ。
さらに月牙天衝と重ねた「王虚の閃光」まで使う。
以前なら制御不能の象徴だった力を、自分の意志で戦いへ使っている。

ここまでは、一護の長い成長を見てきた人ほど強く感じる場面になる。
黒崎一護は、死神だけではない。
虚だけでもない。
滅却師だけでもない。
自分の中にあったものを切り離すのではなく、全部を抱えた状態でユーハバッハへ向かう。
最終決戦にふさわしい姿になる。

ところが第45話の面白さは、それだけでは終わらない。
原作を読んだ人なら、この先の戦いにも記憶がある。
一護が何をするか。
ユーハバッハがどう返すか。
どこで形勢が変わるか。
次に誰が動くか。
先を知っているつもりで画面を見る。

それなのに、途中からその「知っている」が通用しなくなる。
原作にあった場面の横へ、新しい場面が入る。
戦いの流れが膨らむ。
人物の動きが増える。
原作では短く通過した部分にも時間が使われる。
予想していた次の一手が、そのまま来ない。

ここで原作勢だけが味わう感覚が出てくる。
初見なら驚くだけでいい。
しかし原作を知っている人は、自分の中の記憶と比較してしまう。
「ここは同じ」。
「ここは違う」。
「こんな場面はなかった」。
その確認を繰り返しながら見ているうちに、どこまでが知っているBLEACHなのか分からなくなってくる。

千年血戦篇では、以前からアニメ独自の追加はあった。
零番隊の戦い。
石田雨竜の動き。
ユーハバッハ側の描写。
原作では十分に描かれなかった部分へ、アニメで新しい場面が入っている。
だから原作既読でも完全には先を読めない作品になっていた。

第45話では、その特徴が最終決戦の中心まで入ってくる。
一護対ユーハバッハという、原作でも最大級に重要な場所。
そこへアニメ独自の流れが加わる。
原作を覚えているほど、その変化が大きく見える。
だから「知らないBLEACHを見ている」という感覚が強くなる。

そして、その感覚に月島が重なる。
周囲では当然のように出来事が進んでいる。
自分だけが「そんな過去だったか」と戸惑う。
これは死神代行消失篇で一護が置かれた状態とよく似ている。
もちろん本当に月島が視聴者へ能力を使ったわけではない。
それでも冗談としては、これ以上ないほど綺麗にはまる。

原作を知っているほど「月島さんに挟まれた」が成立する

月島の恐ろしさを思い出すなら、一護の自宅の場面が分かりやすい。
一護が家へ戻る。
そこに月島がいる。
普通なら敵が家へ入り込んでいる緊急事態になる。
ところが遊子や夏梨は、月島を不審者として見ない。
以前から知っている人物のように自然に接している。

一護だけが激しく反応する。
月島は敵だ。
自分たちを狙っている。
しかし家族には、その感覚がない。
むしろ月島へ突然敵意を向ける一護の方が理解できない。
一護がどれだけ正しいことを言っても、共有しているはずの前提そのものが違う。

チャドとの関係も強烈だった。
一護にとってチャドは、昔から自分と深くつながってきた友人になる。
一緒に戦った。
傷ついた。
守り合った。
その積み重ねがある。
それなのに月島の能力が入ると、チャドの人生の重要な場所へ月島が現れる。

織姫も同じ。
一護と共に尸魂界へ向かった記憶。
破面との戦い。
大切な人を守ろうとした時間。
そうした人生へ月島が入り込むことで、感情まで変わっていく。
月島を敵だと断定する一護と、恩人だと思う仲間。
同じ出来事を見ても、立っている過去が違う。

一護が追い詰められたのは、戦闘で負けたからではない。
自分の大切な人たちと共有してきた時間を奪われたからだ。
家族。
友人。
仲間。
自分だけが知っていたはずの関係へ、月島が最初からいたことになる。
一護自身の人生の土台を崩された。

この死神代行消失篇を知っている視聴者が、第45話を見る。
原作ではこうだった。
次はこの展開だった。
この人物はここで動いた。
自分の中には確かな記憶がある。
ところがアニメは、その記憶と違う方向へ進む。

すると「月島さんに挟まれた」が使える。
ただ「アニオリが多かった」で終わらない。
自分の記憶だけが違っているように感じる。
でも画面の中では何事もなかったように話が進む。
その状況を、月島という一人の人物だけで表せてしまう。

しかも月島は、千年血戦篇から完全に離れた存在ではない。
銀城空吾や沓澤ギリコと共に尸魂界側へ姿を見せている。
死神代行消失篇が終わった時点で役割を終えた人物ではなく、終盤の戦いへもう一度つながる位置にいる。
ここが昔のキャラを持ち出しただけの話とは違う。

さらに先では、一護の折られた天鎖斬月へ月島の能力が必要になる。
未来へ干渉するユーハバッハ。
過去へ入り込む月島。
壊されたものを拒絶する織姫。
それぞれまったく違う力が、一護の刀を巡って重なっていく。

死神代行消失篇を見た時には、月島の能力が一護を助けるとは考えにくかった。
あれほど一護を孤立させた力。
家族も仲間も奪ったように見えた力。
それが最終盤では、一護がもう一度立ち上がるための道を作る。
月島という人物の見え方まで変わる場面になる。

だから第45話で「月島さんのおかげ」が出てくると、二重に面白い。
昔のネット上の定番として笑える。
同時に、千年血戦篇では本当に月島の力が一護を助ける場面へつながる。
冗談だけで終わらず、本編の中にも返ってくる。

第45話で原作勢が味わったのは、「先を知っているはずなのに知らない」という珍しい感覚だった。
原作を読んでいたことが、安心材料にならない。
むしろ知っているからこそ違いが分かる。
違いが分かるからこそ、自分の記憶を確かめたくなる。
その瞬間に月島さんという名前が一番しっくりくる。

月島さんがトレンド入りしたのは、一場面だけの偶然ではない。
死神代行消失篇で積み上げられた「過去へ挟まる能力」。
長年残った「月島さんのおかげ」。
千年血戦篇での再登場。
そして第45話で始まった、原作勢すら知らない展開。
それらが全部つながったから、月島秀九郎という人物が再び強烈に思い出された。

第3章 「挟んでおいたよ」は月島秀九郎の能力そのものを表している

ブック・オブ・ジ・エンドは記憶を書き換えるだけの能力ではない

月島秀九郎の「ブック・オブ・ジ・エンド」は、見た目だけなら一本の刀になる。
普段持ち歩いている栞を刀へ変える。
そして、その刀で相手を斬る。
ここだけを見ると、直接攻撃をする完現術に見える。
しかし本当に恐ろしいのは、斬った後に起こることだった。

月島に斬られた人間の過去へ、月島自身の存在が入り込む。
昨日知り合った敵だったはずなのに、長い付き合いの友人になる。
命を狙ってきた相手だったはずなのに、昔から助けてもらった恩人になる。
一護と過ごしてきた大切な時間の中にも、月島がいる。
過去の人間関係そのものが別の形へ変わってしまう。

ここが単純な幻覚とは大きく違う。
織姫が「月島に助けられた気がする」と勘違いするだけではない。
織姫にとっては、月島に助けられた過去が本当に存在する状態になる。
その過去から現在までの感情もつながっている。
だから頭では敵だと教えられても、心が簡単には追いつかない。

チャドも同じだった。
一護とは中学生時代からつながりのある大切な友人。
何度も一緒に戦ってきた。
尸魂界へも向かった。
それでも月島に斬られた後は、その人生の重要な場所へ月島が入り込む。
チャド自身には、それが偽物だという感覚がない。

一護から見ると、これほど恐ろしい状況はない。
目の前にいるのは、自分を追い詰めている敵。
ところが仲間は、その敵を守ろうとする。
昔から大切な人物だったと言う。
自分が知っている家族や仲間が、同じ顔のまま別の過去を語り始める。
戦えば勝てるかどうかという問題ではなくなっていく。

特に自宅へ月島が入り込んだ場面は強烈だった。
遊子や夏梨まで自然に月島を受け入れている。
月島だけが異物なのに、家の中では一護だけが浮いて見える。
一護が怒れば怒るほど、周囲には一護がおかしくなったように映る。
自分の家なのに、自分の居場所がなくなっていく。

さらに厄介なのは、月島が好きな過去へ無制限に書き換えているだけではないところ。
月島自身が、その人物の過去のある地点へ入り込む。
そこから現在までのつながりが生まれる。
だから感情だけではなく、人間関係まで自然につながってしまう。
月島を知っていることそのものが、その人にとっての事実になる。

「存在しない記憶」という言葉で月島を思い出す人が多いのも、この感覚が強いからだ。
ただし月島の場合、本人が嘘の映像を見せられているだけではない。
その人物の過去へ月島が入り込んだ結果として、現在の関係まで変化する。
だから一護が「そんな過去はない」と叫んでも、周囲にとっては一護の方が間違っていることになる。

第45話のアニオリと月島が結びついたのも、この部分になる。
原作を知っている視聴者の中には、自分が覚えている千年血戦篇がある。
しかしアニメでは、その記憶にはない出来事が当然のように進んでいく。
登場人物たちは迷わない。
世界の方が「最初からこうだった」と言っているようにも見える。

もちろん実際に月島がアニメの過去を変えたわけではない。
それでも「いつの間にこんな展開が入ったのか」という感覚を、一番BLEACHらしく表せるのが月島だった。
原作に覚えのない場面。
でも目の前では確かに存在する場面。
その間へ「挟んでおいたよ」が入ると、妙に話が通ってしまう。

月島の能力を知っているほど、この冗談は深くなる。
ただ記憶が曖昧になったのではない。
自分が知っている過去の横へ、知らない過去が一本増えたように感じる。
第45話で原作勢が味わった違和感と、死神代行消失篇で一護が味わった違和感。
二つが遠い場所で重なった。

人間だけでなく物の過去へも入れるところが月島の異常さ

ブック・オブ・ジ・エンドの怖さは、人間関係だけでは終わらない。
月島は物に対しても能力を使える。
その物が歩んできた過去へ、自分の存在を差し込むことができる。
この性質は、銀城との戦いの中でも強さを見せていた。
そして千年血戦篇では、さらに重要な形で返ってくる。

死神代行消失篇で白哉と戦った時にも、その異常さが分かる。
月島は白哉本人へ入り込むだけではない。
白哉の斬魄刀や戦いに関わる過去へ触れていく。
相手がどんな技を使うのか。
どこに弱点があるのか。
長い年月をかけて積み上げたものへ、後から自分を差し込めてしまう。

普通なら、長年鍛えた者ほど有利になる。
何年もかけて磨いた剣術。
何度も戦って覚えた戦い方。
本人だけが知る癖。
ところが月島は、その長い過去へ途中から入れる。
時間を積み重ねてきた強者ほど、その積み重ねそのものを利用される可能性がある。

白哉は、それでも月島を倒した。
過去を知られた。
自分の戦い方へ入り込まれた。
それでも月島の予想から外れる行動を選び、勝利へつなげる。
だから白哉対月島は、能力の相性だけではなく、白哉自身の判断が光る戦いでもあった。
月島の異常な強さがあるからこそ、白哉の対応も際立った。

そして千年血戦篇まで来ると、「物の過去へ入れる」という性質が一護を救う。
ユーハバッハによって折られた天鎖斬月。
織姫が戻そうとしても、うまくいかない。
未来へ干渉された結果だから、単純に壊れた刀を元へ戻すだけでは足りない。
そこで月島の力が必要になる。

月島は斬月へ過去を挟む。
ユーハバッハによって折られなかった過去を作る。
すると、その過去を土台にして織姫の力が働けるようになる。
未来から破壊してくるユーハバッハに対して、月島は過去から道を作る。
能力の方向が正反対になる。

死神代行消失篇では、一護から大切な過去を奪うように見えた。
千年血戦篇では、その過去へ入り込む能力が一護を救う。
同じブック・オブ・ジ・エンドなのに、立場が変わるだけで見え方が完全に反転する。
月島という人物が長く記憶に残るのも、この強烈な能力があるからだ。

そして第45話では、その能力が視聴者側の遊びにもつながった。
知らないアニオリがある。
原作にはなかったはずの展開がある。
それなら「月島さんがそこへ挟んだ」と言えてしまう。
人だけでなく物や出来事の過去へまで関われる能力だから、冗談の使える範囲まで広い。

月島さんが何でもありのように扱われる背景には、この万能感がある。
昔から知っている人。
助けてくれた人。
そこにいた人。
そういう過去を作れる。
「実は月島さんが関わっていた」と言われても、能力だけを見れば成立しそうに感じてしまう。

第45話で「挟んでおいたよ」が再び似合ったのは偶然ではない。
原作とアニメの間へ新しい場面が増えた。
視聴者の記憶にはなかった。
しかし今後は、そのアニメ版の出来事もBLEACHの物語として積み上がっていく。
まるで知らなかった過去を突然渡されたような感覚になる。

月島の能力を一度知ると、この状況を見過ごせない。
原作勢が「自分が忘れていたのか」と感じる。
その次に「いや、こんな場面はなかった」となる。
そして最後に「月島さんが挟んだのか」とつながる。
第45話のアニオリが、能力説明まで含めて月島を思い出させる形になった。

第4章 「月島さんのおかげ」が今も通じるのは一護の仲間まで本気で月島を信じたから

チャドの言葉が月島さんを忘れられない存在にした

「月島さんのおかげ」という言葉には、死神代行消失篇の一護の孤独が詰まっている。
月島に斬られた仲間たちは、本気で彼を信じるようになる。
誰かに命令されているわけではない。
操り人形になったわけでもない。
本人の中に、月島と過ごした時間が確かにあるから信じている。

中でも印象に残るのがチャドだった。
チャドは一護にとって、戦いが始まる前から続いている友人になる。
互いに背中を預ける。
一護が危険な場所へ行けば、チャドも動く。
ルキア救出のため尸魂界へ乗り込んだ時も、一護と一緒だった。
簡単に揺らぐような関係ではなかった。

そのチャドが、月島を信じる。
朽木ルキアを助けられたこと。
藍染との戦いを越えたこと。
一護たちがここまで来られたこと。
その大切な過去の中へ月島が入り込んでいる。
だからチャドにとって、月島を敵として斬ろうとする一護の方が理解できなくなる。

一護からすれば受け入れられない。
ルキアを助けるために尸魂界へ行った時、月島はいなかった。
藍染との戦いにもいなかった。
チャドも織姫も、それを一緒に経験した仲間だった。
それなのに二人が、月島を昔からそこにいた人間として語り始める。

ここで「月島さんのおかげ」という言葉が強烈に残った。
本来なら絶対に月島のおかげではない出来事まで、月島のおかげになる。
視聴者は真相を知っている。
だから異常さが分かる。
しかし作中の人物たちは真顔で月島へ感謝する。
この温度差が大きかった。

しかも月島本人は、その異常な状態の中でも落ち着いている。
一護が混乱する。
仲間へ訴える。
怒りをぶつける。
それでも月島の側には余裕がある。
自分が過去へ入ってしまえば、相手にとってはそれが人生になることを知っているからだ。

一護は戦えば強い。
尸魂界を駆け抜けた。
藍染にも挑んだ。
死神の力を失うほどの戦いまで越えた。
それでも死神代行消失篇では、刀で斬られるより苦しい場所へ追い込まれる。
大切な人たちとのつながりそのものを月島に使われた。

チャドの存在が特につらいのは、長い付き合いがあるからだ。
月島が入り込む前から、一護とチャドには積み重ねがある。
その積み重ねが消えるわけではない。
そこへ月島まで入り込む。
だからチャドの中では、一護も大切だが月島も大切という状態が成立してしまう。

この奇妙さが、後に「月島さんのおかげ」を強い定番へ変えていった。
何か良い出来事がある。
そこで月島は何もしていない。
それでも「月島さんのおかげ」と言う。
本編で、本当に関係のなかった過去まで月島が自分の功績のような位置へ入ったからこそ成立する遊びになる。

第45話でも、この使い方が戻ってきた。
原作にはなかった戦いが加わる。
知らない展開を見る。
そこで「こんな場面まで見られるのは月島さんのおかげ」と言える。
昔の死神代行消失篇を覚えている人ほど、説明なしで通じる。

月島が直接戦っていなくてもいい。
むしろ何もしていない時ほど「月島さんのおかげ」が使いやすい。
そこが普通の名台詞とは違うところになる。
何年経っても、新しいBLEACHの出来事へそのまま差し込める。
月島の能力と同じように、言葉の方まで別の時代へ入り込んでいく。

一護を追い詰めた敵が千年血戦篇では本当に「月島さんのおかげ」になる

この言葉がさらに面白くなるのは、千年血戦篇まで見た時になる。
死神代行消失篇では、ほとんど皮肉だった。
一護にとって月島は、自分の人生へ勝手に入り込んできた敵。
家族や仲間との関係を壊し、精神的に追い詰めた人物だった。
「月島さんのおかげ」と感謝できる相手ではない。

一護があそこまで崩れた場面は珍しい。
戦って負けそうになった時とは違う。
守りたい人たちから、自分が拒絶される。
正しいことを話しているのに信じてもらえない。
助けを求めたい仲間まで月島の側へ行く。
一護の強さでは解決できない苦しさだった。

その事件の中心にいたのが銀城空吾と月島だった。
銀城は一護へ近づき、失った死神の力を取り戻したい一護を完現術へ導く。
一護は再び戦えるようになるため訓練する。
力を形にしていく。
ようやく前へ進めると思ったところで、その力まで銀城に奪われる。

月島は、その計画を成立させるために一護を孤立させた。
銀城自身の過去へも能力を使い、一時的に月島を敵だと思わせる。
一護から見ても銀城が月島の被害者に見えるようにする。
そして最後に能力を解除する。
銀城と月島が最初から同じ側だったことが明らかになる。

一護にとっては二重の裏切りになる。
信じ始めていた銀城。
仲間の過去を奪った月島。
二人がつながっていた。
完成した完現術まで奪われる。
一護が膝をつき、涙を流すほど追い込まれたのも無理はない。

そこへルキアが現れる。
浦原や一心、護廷十三隊の力によって作られた刀で一護を貫く。
失ったと思っていた死神の力が戻る。
白哉、恋次、剣八、日番谷、一角たちも現世へ来る。
一護が一人ではなかったことが、一気に見えてくる場面になる。

その後、一護と銀城は決着する。
白哉は月島と戦う。
敵としての月島の物語は、ここで大きな区切りを迎える。
普通なら、そのまま二度と一護の人生へ関わらなくても不思議ではない。
しかしBLEACHでは、そこで終わらなかった。

千年血戦篇に入ると、銀城、月島、ギリコの姿が尸魂界側で再び見える。
現世で死んだ彼らの魂は流魂街へ渡っている。
志波空鶴のもとで過ごし、岩鷲ともつながっていく。
一護を追い詰めた者たちが、今度は尸魂界側から最終決戦へ近づいてくる。

そして一護が本当にどうにもならない場面で、銀城と月島が現れる。
ユーハバッハによって天鎖斬月を折られた一護。
織姫の力だけでは戻せない。
そこで銀城が月島へ、一護に借りを返すよう促す。
かつて奪った側だった二人が、今度は一護へ道を返す側へ回る。

月島が過去へ入る。
織姫が拒絶する。
一護の刀が戻る可能性が生まれる。
この瞬間だけを見るなら、本当に「月島さんのおかげ」になる。
長く冗談として使われてきた言葉が、原作の最終盤でそのまま成立するような場面が来る。

ここが月島さんという人物の面白いところだ。
昔の敵だから懐かしいだけではない。
能力が特殊だから記憶に残っただけでもない。
一護を最も嫌な形で苦しめた能力が、最後には一護を救う。
物語の最初と最後で、同じ力の向きが反転する。

だから第45話で月島さんの名前が浮上すると、死神代行消失篇だけでは終わらない。
「月島さんのおかげ」という昔からの遊び。
千年血戦篇で本当に助けることになる月島。
原作勢まで知らないアニオリへ「挟んだ」と言える第45話。
全部が同じ人物へ戻ってくる。

月島秀九郎は、一護の記憶を奪った人物ではない。
もっと厄介な形で、一護の周囲が持つ過去へ入り込んだ人物だった。
だから年月が経っても、何か知らないBLEACHが現れた時に思い出される。
第45話のトレンド入りは、その能力が今でも視聴者の記憶に強く残っていることまで見せる出来事になった。

第5章 「存在しない記憶」と月島さんが結びつけられるのはなぜか

月島が見せているのは幻ではなく「最初からそこにいた過去」

月島秀九郎について語る時、「存在しない記憶」という言葉が一緒に出てくることが多い。
自分には覚えがない。
でも相手は、その出来事を本当に経験したように話している。
その不気味さが、月島の能力とよく重なる。
ただしブック・オブ・ジ・エンドは、単純に偽物の記憶を頭へ流し込む力ではない。

月島は、斬った相手の過去へ自分自身を差し込む。
織姫の人生へ入る。
チャドの人生へ入る。
一護の家族の中へ入る。
その瞬間だけを見せる幻ではなく、それまで歩いてきた人生の中へ月島が存在する形になる。

だから周囲の反応が自然になる。
月島を見ても驚かない。
昔から知っている人物として話す。
助けてもらったことを覚えている。
一護が月島を敵だと叫んでも、「どうしてそんなことを言うのか」という反応になる。
一護だけが別の過去を持っているように見えてしまう。

死神代行消失篇で怖かったのは、この食い違いだった。
月島が怪しいことは一護には分かっている。
何をされたのかも察している。
それでも家族や仲間には、その説明が届かない。
彼らの中では月島との時間が本当に積み重なっているからだ。

一護が追い詰められていく場面では、この差がどんどん大きくなる。
織姫を頼れない。
チャドにも分かってもらえない。
自宅へ帰っても安心できない。
自分が長く過ごしてきた場所ほど、月島が入り込んだ時の衝撃が大きくなる。
戦場ではなく日常そのものが敵側へ変わっていく。

だから「存在しない記憶」という言葉が月島を連想させる。
視聴者から見れば、そんな思い出はなかった。
一護から見ても、そんな出来事はなかった。
ところが月島に斬られた本人の中では、確かにそこへつながる過去がある。
外から見る真実と、本人が生きてきた真実がずれてしまう。

第45話でも、原作を知っている人の中に似た感覚が生まれた。
原作ではこうだったはず。
この戦いはこう進んだはず。
次に来る場面も知っているはず。
ところがアニメでは、その記憶の先に見覚えのない展開が入ってくる。

初見の視聴者は、そのまま物語を追えばいい。
だが原作勢には比較する記憶がある。
「これは知っている」。
「ここも原作にあった」。
そう思いながら見ていたところへ、突然知らない場面が差し込まれる。
自分だけが何かを忘れているような瞬間が生まれる。

そこで月島さんが思い出される。
自分の記憶にはない。
しかし画面の中では当然の出来事として進んでいる。
登場人物も誰一人として「こんな展開は知らない」とは言わない。
視聴者だけが、原作との違いを知っている。
死神代行消失篇の一護とは逆の形で、記憶の食い違いが生まれる。

もちろん第45話のアニオリは、月島の能力によって起きたものではない。
それでもBLEACHの中には、この違和感を表すのにぴったりの人物がいる。
それが月島秀九郎だった。
「知らない出来事が、最初からあったかのように存在する」。
その感覚だけで、月島へつながってしまう。

月島さんが長く忘れられないのは、強い敵だったからだけではない。
斬魄刀でも鬼道でもない。
派手な破壊を見せる能力でもない。
人が大切にしてきた時間そのものへ入り込む。
BLEACHの中でも、かなり異質な怖さを持つ能力だった。

だから新しいアニオリが増えるたびに使える。
昔はなかった設定が出てくる。
知らない場面が増える。
過去の印象まで変わる。
そんな時、「月島さんが挟んだのでは」と言えば、BLEACHを知る人には一瞬で伝わる。
能力の特徴そのものが、視聴者同士の言葉として残っている。

一護だけが知る「本当の過去」が崩れていく怖さが今も記憶に残っている

死神代行消失篇で、一護が最も苦しかったのは敵の強さではない。
銀城や月島と戦えば、まだ力で対抗する道がある。
しかし家族や仲間の過去へ月島が入り込むと、戦うだけでは戻せない。
相手を倒したとしても、目の前の人間が自分を信じてくれるとは限らない。
一護にとっては、そこが大きかった。

一護はそれまで、多くの戦いで仲間に支えられてきた。
ルキアを救うため尸魂界へ向かった時もそう。
織姫を救うため虚圏へ入った時もそう。
一人で前へ出ているように見えても、後ろには必ず誰かがいた。
チャドも織姫も、その代表だった。

ところが月島は、その支えを正面から壊さない。
仲間を殺すわけでもない。
捕らえるわけでもない。
一護との思い出を消してしまうわけでもない。
そこへ自分を加える。
だから一護と仲間の関係そのものは残っているのに、月島も大切な存在になってしまう。

ここが厄介だった。
チャドは一護を嫌いになったわけではない。
織姫も一護を忘れたわけではない。
それでも月島を傷つけようとする一護を止めようとする。
一護からすれば、自分を大切に思ってくれている人たちが、その気持ちのまま月島側へ立ってしまう。
完全な敵対よりも苦しい。

自分の記憶は正しい。
でも証明できない。
周囲の人間にも、その人たちなりの確かな過去がある。
誰か一人へ説明すれば戻る話でもない。
一護が叫べば叫ぶほど、追い詰められているように見える。
月島はそこを利用して、精神的にも一護を孤立させていく。

この体験があるから、月島の名前には特別な響きが残った。
ただの記憶操作なら、能力を解除すれば終わる。
しかし月島の場合は、「自分だけが知っている過去は本当に正しいのか」という怖さまで残る。
一護が味わった不安を、視聴者も一緒に見ていた。

第45話の「知らない展開」も、その記憶を呼び起こしやすかった。
原作を何度も読んだ人ほど、自分の記憶に自信がある。
この先はこうなる。
この人物はここにいる。
この場面の次はこれだ。
その確信が強いほど、アニメ独自の展開が入った時の驚きも大きくなる。

しかも千年血戦篇では、以前から原作にはなかった場面が加わっている。
零番隊の戦闘。
石田雨竜の掘り下げ。
ユーハバッハ側の動き。
原作では短く進んだ場所が、アニメでは違う重みを持つ。
だから原作勢でも、もう完全には先を読めない。

その状況で第45話を見る。
知っているはずの最終決戦。
そこへ新しい展開が入る。
原作を知らない人と同じように、次が読めなくなる。
長年持っていた「この先を知っている」という立場まで崩れていく。

月島さんがトレンドへ上がった背景には、この楽しさがある。
原作と違うから不満というだけではない。
知らないBLEACHをもう一度見られる。
原作既読でも先を予測しきれない。
その驚きを、月島というキャラクターを使って笑いへ変えられる。

死神代行消失篇では、一護にとって恐怖だった。
第45話では、視聴者にとって楽しい混乱になった。
同じ「自分の知っている過去と違う」という感覚なのに、受け取り方はまったく違う。
その落差まで含めて、月島さんという存在が今も生きている。

第6章 千年血戦篇では月島さんの能力が本当に一護を救う

死神代行消失篇の敵だった月島が最終決戦へ戻ってくる

月島秀九郎は、死神代行消失篇だけを見れば完全に一護の敵だった。
銀城空吾と共に一護を追い詰める。
家族や仲間の過去へ入り込む。
一護を孤立させる。
精神的に追い込んだ人物としては、BLEACHの中でもかなり強烈な存在になる。

白哉との戦いで月島は致命傷を負う。
それでも最後まで銀城への強い思いを持っていた。
一護に敗れた銀城。
その銀城を失った月島。
現世での彼らの物語は、そこで終わったように見える。
しかしBLEACHの世界では、死がすべての終わりになるとは限らない。

千年血戦篇に入ると、銀城、月島、ギリコが再び姿を見せる。
場所は尸魂界。
志波空鶴のもとにいる。
岩鷲とも行動を共にするようになる。
一護を苦しめた完現術者たちが、今度は尸魂界側から戦いを見つめる立場へ移っていく。

この再登場だけでも印象が大きく変わる。
銀城も月島も、もう一護を追う敵ではない。
かといって、昔からの仲間でもない。
一護との間には消えない過去がある。
だから単純に「味方になった」という言葉だけでは収まりきらない距離が残っている。

その距離があるまま、最終決戦へ近づいていく。
一護はユーハバッハと戦う。
仲間たちもそれぞれの場所で死力を尽くす。
護廷十三隊だけではない。
破面も完現術者も、それまで別の立場にいた人物たちが最後の戦いへ集まってくる。
長く続いたBLEACHだからこその光景になる。

月島の出番が強くなるのは、一護が天鎖斬月を失った後だ。
一護は二枚屋王悦によって斬月を打ち直している。
自分の力の正体を知る。
二本の斬月を手にする。
そこまで積み上げた新しい力で、ユーハバッハへ挑む。
それでも未来へ干渉する力の前では、卍解そのものを折られてしまう。

一護にとっては非常に重い瞬間になる。
ようやく完成した自分の斬魄刀。
自分の中の死神、虚、滅却師という力を受け入れて得た斬月。
その卍解を見せた直後に、戦う前から壊されたような形になる。
力比べ以前の場所で、ユーハバッハに先を潰される。

織姫が直そうとする。
双天帰盾は、起きた出来事そのものを拒絶する力を持つ。
傷を治すというより、傷ついた出来事をなかった状態へ戻す。
尸魂界篇から一護たちを何度も支えてきた力になる。
それでも天鎖斬月は簡単には戻らない。

原因はユーハバッハの力にある。
現在でただ折られただけではない。
未来へ干渉され、折れた結果を押しつけられている。
織姫が過去へ戻そうとしても、その先にユーハバッハが作った未来がある。
いつものように拒絶できない。
一護にとって、また道が塞がれる。

そこへ銀城と月島が来る。
かつて一護から力を奪った二人。
一護を絶望させた側の人物たち。
その二人が、今度は一護を立ち上がらせるために現れる。
死神代行消失篇を知っていると、この位置の反転がかなり大きい。

銀城は、一護に対して借りがある。
一護との決着を経て終わったはずの関係が、千年血戦篇で再びつながる。
そして月島のブック・オブ・ジ・エンドが必要になる。
一護を苦しめた能力が、今度は一護にとって突破口になる。
ここで「月島さんのおかげ」が冗談ではなくなっていく。

未来を変えるユーハバッハへ、月島は「過去」から道を作った

ユーハバッハの「全知全能」が恐ろしいのは、未来を見られるだけではない。
複数の未来を見渡す。
その未来へ干渉する。
相手が何をしようとしているのかを知ったうえで、その先を潰せる。
一護の卍解も、力を見せ切る前に破壊されてしまう。

普通に考えると、かなり相性が悪い。
今から何をするのかを読まれる。
次に使う技も知られる。
勝てる未来へ進もうとしても、その未来そのものに手を入れられる。
一護が力を増しても、「その力を使う未来」を潰されれば届かない。
強さだけでは越えにくい相手になる。

そこで月島の能力が別方向から入る。
ユーハバッハが未来へ干渉するなら、月島は過去へ入る。
すでに折られた天鎖斬月。
その斬月に対して、月島がブック・オブ・ジ・エンドを使う。
月島が存在する別の過去を差し込む。

重要なのは、「折られた事実を力ずくで消す」のではないところ。
月島が過去へ入り込むことで、ユーハバッハに折られなかった道を作る。
過去の側へ別のつながりが生まれる。
すると織姫が拒絶できる場所ができる。
月島と織姫の力が、違う方向から一護の斬月へ働く。

この組み合わせが面白い。
織姫は出来事を拒絶する。
月島は過去へ入り込む。
ユーハバッハは未来へ干渉する。
三人とも時間に関わるような性質を持ちながら、同じことをしているわけではない。
その違いが、最終決戦で一護をもう一度立たせる道になる。

死神代行消失篇では、ブック・オブ・ジ・エンドは悪夢だった。
一護が大切にしている時間へ入る。
仲間との過去を変える。
一護だけを孤独にする。
「あの過去へ月島がいなければ」と思わせるような能力だった。
一護にとっては、消えてほしい力だったはずだ。

それが最終決戦では逆になる。
「月島が過去へ入ってくれなければ困る」という状態になる。
同じ能力。
同じ人物。
しかし一護との位置関係が変わったことで、絶望を作った力が希望へ変わる。
長い物語を通して見ると、かなり大きな反転になる。

しかも月島自身が、一護の親友になったわけではない。
一護と笑い合う仲間になったわけでもない。
死神代行消失篇で起こったことが消えたわけでもない。
それでも必要な場面で力を貸す。
この距離感があるから、単純な仲直りよりも月島らしい。

第45話で「月島さんのおかげ」が出てきたことも、この先を知っているとさらに面白くなる。
アニオリを見られたのも月島さんのおかげ。
知らない展開が増えたのも月島さんのおかげ。
そんな軽い使い方で笑える。
ところが原作終盤では、本当に一護が月島の能力に助けられる。

昔は皮肉だった。
次にネット上の定番になった。
そして最後には、本編の中でも本当に成立する。
「月島さんのおかげ」という言葉が長く残っているのは、この流れまで含めて強いからだ。
単なる一時的な流行語では終わらなかった。

第45話で月島さんを思い出した人の中には、死神代行消失篇の怖さを思い出した人もいる。
「挟んでおいたよ」を思い出した人もいる。
最終決戦での月島を思い出した人もいる。
同じ名前から、作品の違う時期のエピソードへ一気に飛べる。
それだけ月島の能力がBLEACH全体に強く残っている。

一護を孤独にした月島。
白哉と戦った月島。
銀城を大切にしていた月島。
尸魂界へ渡った月島。
そして一護の斬月を救う月島。
第45話のトレンド入りは、こうした長い積み重ねまで一緒に呼び戻した。

月島秀九郎は、登場回数だけで語れる人物ではない。
一度使った能力が、何年も後の最終決戦へ届く。
敵だった時の怖さが、そのまま味方側へ回った時の頼もしさになる。
だから原作にない展開を見た時まで、「月島さんが何かしたのでは」と名前が出てくる。
BLEACHの中でも、過去と現在をつなぐことそのものが個性になった人物になる。

第7章 第45話の月島さんトレンドはBLEACHだから成立した小ネタだった

アニオリを「記憶を挟まれた」と遊べる人物は月島さんしかいない

第45話で月島さんが話題になったのは、単なる懐かしさではない。
原作勢まで知らない展開が始まった。
その瞬間に「自分の記憶と違う」という感覚が生まれた。
そこで月島秀九郎の名前が出てくる。
BLEACHを長く見てきた人ほど、このつながりはすぐ分かる。

普通なら、原作にない場面が増えれば「アニオリが入った」で終わる。
戦闘が追加された。
人物の動きが増えた。
原作では短かった場面が膨らんだ。
それだけでも十分に話題になる。
しかしBLEACHには、そこへもう一段遊びを重ねられる人物がいる。

月島は過去へ自分を差し込む。
本人の記憶へ直接嘘を流し込むというより、最初からそこにいた過去を成立させる。
だから知らない出来事が突然現れた時、「月島さんが挟んだ」と言えてしまう。
作品内の能力と、視聴者が感じた違和感がそのままつながる。
この噛み合い方が非常に強い。

死神代行消失篇では、一護だけがその異常を知っていた。
家族は月島を受け入れる。
織姫もチャドも月島を大切な人物として扱う。
一護が「違う」と言っても、周囲の過去はすでに別の形になっている。
世界全体が一護だけを置いて先へ進むような怖さがあった。

第45話では、その感覚が軽い形で視聴者側へ返ってきた。
原作を知っている。
自分の記憶にも自信がある。
それなのに、画面では知らない戦いが進む。
次の場面を予想しても外れる。
「こんなのあったか」と思った瞬間、月島の能力が頭へ浮かぶ。

ここで「月島さんのおかげ」まで一緒に出てくる。
何か良いものが見られた。
原作にはなかった場面が増えた。
ならば、それも月島さんのおかげ。
本来なら関係のない出来事まで月島へつなげる。
昔から続く遊び方が、千年血戦篇の新しい展開へそのまま入ってきた。

しかも今回は、完全に過去の人物を持ち出しているわけではない。
月島は千年血戦篇にもつながっている。
銀城やギリコと共に尸魂界へ渡っている。
さらに一護の天鎖斬月を巡る場面では、能力そのものが必要になる。
だから名前が出ても、本編から離れすぎない。

ここが他作品ではなかなか起きない。
原作と違う展開があった。
視聴者が困惑した。
その困惑を説明できる能力を持った人物が、過去編に実在する。
しかもその人物が最終決戦にも関わる。
小ネタなのに、作品全体の流れと自然につながっている。

月島という人物は、一護の過去へ入り込んだ。
仲間の過去へ入り込んだ。
物の過去へも入り込んだ。
そして年月が経つと、視聴者の会話へまで入り込む。
知らないBLEACHを見た時に思い出す人物になる。
ここまで能力とネット上の使われ方が一致するキャラクターは珍しい。

だから第45話のトレンド入りは、月島が人気だからだけではない。
「挟んでおいたよ」という感覚が、今回のアニオリにぴたりとはまった。
原作勢も初見に戻された。
知っているはずの物語が、知らない物語へ変わった。
その瞬間を一番BLEACHらしく表せるのが月島さんだった。

笑える言葉だった「月島さんのおかげ」が最終決戦では本当に一護を助ける

「月島さんのおかげ」が長く残った一番面白いところは、最後に本編が追いついてくることにある。
死神代行消失篇では皮肉に近かった。
月島が関わっていない出来事まで、月島がいた過去へ変えられる。
だから何でも「月島さんのおかげ」にできた。
視聴者側では、その異常さが笑いへ変わっていった。

ところが千年血戦篇では、その言葉が本当に成立する場面が来る。
一護はユーハバッハによって天鎖斬月を折られる。
織姫の双天帰盾でも簡単には戻せない。
未来へ干渉された結果だから、いつものように壊れたものを戻すだけでは届かない。
そこへ月島が現れる。

月島は過去へ入る。
折られなかった過去を作る。
その過去ができたことで、織姫の力が届く道が生まれる。
一護を精神的に壊した能力が、今度は一護の刀を取り戻すために使われる。
死神代行消失篇を知っているほど、この反転は大きい。

最初は一護にとって最悪の敵だった。
家族との時間を侵された。
織姫やチャドとの思い出へ入られた。
銀城にも裏切られた。
一護がこれまで積み重ねてきた人間関係そのものを利用された。
それほど嫌な能力だった。

その月島が、最後には一護へ道を残す。
仲間になるというほど単純ではない。
過去の出来事が消えたわけでもない。
それでも一護が立ち上がるためには、月島の力が必要だった。
ここで「月島さんのおかげ」という言葉の見え方が変わる。

第45話でこの言葉が再び出たのも、その長い積み重ねがあるからだ。
昔の場面を知っている人は笑える。
原作終盤を知っている人は、さらに別のところまで思い出せる。
初めて月島を知る人なら、「なぜこの人の名前がこんなに出てくるのか」と気になる。
一つの小ネタから、別の時期のBLEACHへ自然に広がっていく。

月島さんがトレンド入りしたという出来事だけなら、一晩の話題で終わる。
でも、その背景を追うと死神代行消失篇まで戻れる。
ブック・オブ・ジ・エンドの怖さが見える。
「月島さんのおかげ」がなぜ残ったのかも分かる。
さらに千年血戦篇終盤で、本当に一護を助けるところまでつながる。

第45話で面白かったのは、原作勢の知識が通用しなくなったことでもある。
すでに結末を知っているはずなのに、先が読めない。
知っている場面と知らない場面が混ざる。
一護が月島に過去を揺さぶられたように、視聴者も自分の記憶を確認しながら見ることになる。
それが月島さんという名前をもう一度強くした。

「挟んでおいたよ」。
「月島さんのおかげ」。
「存在しない記憶」。
それぞれ別の言葉に見える。
しかし中心にあるのは、月島秀九郎の異常な能力になる。
過去へ入り込み、そこに最初からいたことにしてしまう。

第45話のアニオリは、その能力を思い出すには出来すぎた状況だった。
原作にない。
でもアニメでは存在する。
知らない。
でも登場人物にとっては今そこで起きている。
その食い違いを笑いに変えた時、月島さんの名前が最も似合った。

だから第45話で月島さんがトレンド入りしたのは偶然ではない。
BLEACHという作品が長く積み上げてきた過去があった。
一護が月島に苦しめられた時間があった。
「月島さんのおかげ」が長年残った。
そして千年血戦篇で本当にその力が必要になる。

月島さんは、出番の多さだけで残っている人物ではない。
自分が登場していない場面でさえ、名前を呼ばれる。
原作にない展開を見ただけで思い出される。
それほど「過去へ挟まる」という能力がBLEACHの記憶に深く残った。
第45話のトレンド入りは、その強さが今も変わっていないことを見せた出来事だった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました