『ロメリア戦記』のアルは、レイの失策が絡む戦闘で重傷を負うものの、原作ではこの危機を生き延びる。
負傷後はロメリアの手当てを受け、自分を置いて逃げるよう申し出るほど追い詰められる。
それでも戦場に残ったアルは、レイとともにロメリアを守り、炎の力を発現させる。
Web原作第20話までのネタバレあり。
書籍第4巻のアルの登場にも触れる。
第1章 アルは死亡する? 重傷を負っても、その後の物語へ続く
| 時点 | アルの状態 |
|---|---|
| 負傷直後 | 重傷を負い、手当てを受ける |
| 再戦 | レイと共にロメリアを守る |
| 戦闘後 | 意識を失うが生存 |
| 帰還後 | 治療を受け、訓練へ戻る |
負傷した姿の先に、 生きているアルがいる
アルが傷ついた場面では、敵を倒せるかより先に、
このまま死んでしまうのかが気になる。
レイを助けようとした側が倒れ、
隊も追い詰められていく。少し前まで仲間と
動いていた少年が、一度の戦闘で命の危険に
さらされる。その変化の速さに、気持ちが追いつかなくなる。
先に答えると、アルはこの負傷によって
死亡することはなく、原作では危機を生き延びる。
傷を負ったところで出番が終わる人物でもない。
ロメリアやレイとの関係はその後も続き、
戦場で果たす役割も残っている。
今回の重傷を、アルの最期として受け止める必要はない。
ただし、アニメ第4話が描く危機と、
原作で先に分かる生存は分けておきたい。
放送された場面から先の出来事を、
すでにアニメで助かった場面のようには書けない。
この記事では負傷したアルがどうなるのかという疑問に、
原作のその後まで含めて答えていく。
生存の根拠は、後の戦闘で動いている姿だけではない。
書籍第4巻の紹介にもアルとレイが登場し、
離れた場所でロメリアの負傷を知る展開が記されている。
少なくとも、いま問題になっている序盤の重傷が、
そのまま死亡につながる展開にはなっていない。
書籍で先の登場が確かめられることは、
アルに今後一度も危険が迫らないという保証とは違う。
今回の傷から助かるのかという問いには答えられるが、
物語全体の最後まで何も起きないとは言い切れない。
ここで確かめたいのは、目の前の負傷が
命を奪うのかという点になる。
また、後に登場するアルと、今まさに倒れかけている
アルは、同じ人物でも置かれた条件が異なる。
未来の活躍を知っている側には短い通過点に見えても、
現場の仲間にはその保証がない。
ロメリアは助かる結末を知って手当てしているのではなく、
いま失わせないために動いている。
その距離があるから、原作を知って生存を確かめても、
手当ての場面が空振りにはならない。
傷を見せるアルのそばで、使える薬草を探し、
身体を支えようとする。
先の運命を変える特別な約束よりも、
その場で出来る処置が命をつないでいる。
ここは少しほっとできるところ。
それでも、助かる結末だけを先に置くと、
アルが耐えていた時間まで短く見えてしまう。
負傷直後には、次の戦いで活躍することより、
歩き続けられるのか、手当てが間に合うのかという
問題が迫っている。
しかも、彼を待っているのは安全な場所での休養ではない。
敵は追ってきており、隊は移動しなければならない。
アルを休ませたい事情と、
その場に長く留まれない事情がぶつかる。
生きていると確かめられても、
すぐ安心できる状況には戻れない。
助かると分かっても、 軽くならない重傷
原作の負傷描写では、アルは隊の中でも
とりわけ傷が深く、大きく血を失っている。
意識があり、言葉を返しているからといって、
傷が浅いわけではない。
話せる姿を見て少し安心したところへ、
身体の状態の深刻さが重なってくる。
戦いの途中では、仲間を気遣う言葉が出る人物ほど、
まだ動けるように見えてしまうことがある。
アルにもその危うさがある。
自分以外の人を考える余力が残っていることと、
身体が次の衝撃に耐えられることは同じではない。
アルの重傷から、応急手当、その後の戦闘、
戦闘後の失神へと続く中には、
命を落としたと感じさせるほど危うい場面が重なる。
意識を失う場面はあるものの、
そこで命が尽きたとは描かれていない。
倒れた姿の後にも、彼の物語は続いている。
一方で、生き延びるから何も失わないという展開でもない。
仲間の負傷を前にしたレイは、
自分の行動を突き付けられる。
ロメリアも、重傷者を抱えたまま
隊を動かす判断を迫られる。
アル一人の傷が、そばにいる人たちの振る舞いまで変えてしまう。
アル自身も、ただ運ばれていく人物には収まらない。
自分が移動を遅らせていると考えれば、
置いていくよう申し出る。残って戦う局面では、
自分にできる働きを探す。
助かるかどうかを心配していた相手が、
まだ仲間を守る側に立とうとするところに、胸が詰まる。
もっとも、ここで彼を痛みも恐れもない英雄として扱うと、
負傷の重さが遠のいてしまう。
アルは無傷でも不死身でもない。
手当てを必要とし、出血に苦しみ、
それでも選択を重ねている。彼の行動が気になるのは、
身体が限界へ近づいていることが分かるからでもある。
この記事で追うのは、ロメ隊全員の安否を並べることより、
傷ついたアルが誰に支えられ、
どんな行動でその後へつながるかという部分になる。
レイの失策から負傷だけを切り取ると、
倒れた少年の姿で止まってしまう。その先には、
手当てする人と、手を借りることをためらう本人がいる。
また、炎の力が現れることも、
重傷をなかったことにはしない。
新しい力で敵へ対抗できるようになっても、
それまでの消耗まで消えるわけではない。
勝利と無傷の帰還は違い、
アルは最後まで身体の負担を抱えている。
死んでしまうのかと気になった相手が生きている。
その答えを得たうえで残るのは、
どうしてそこまでして仲間のそばを離れなかったのか
という疑問になる。アルの負傷後の運命は、
死を避けたという結果と、その間に交わされた
やり取りの両方から見えてくる。
第2章 アルはなぜ負傷した? レイの動きから崩れた隊列
一人の踏み出しが、 仲間の危険につながる
レイが前へ出て、アルが傷つく。
このつながりを目にすると、
あそこで踏みとどまっていればと考えてしまう。
攻撃した本人だけでなく、助けようとした仲間が
代償を負うため、単に一人が失敗した場面としては終わらない。
アニメ第4話の公式あらすじでは、魔法の才能を知った
レイが期待と焦りを抱え、無謀な行動に走ることが
示されている。力を持てるかもしれないという喜びが、
そのまま落ち着いた判断へつながるとは限らない。
前へ進みたい気持ちが、足元の隊列より先へ出てしまう。
ただ、魔法の才能があると分かったことと、
その場で強敵を倒せることは違う。
まだ使いこなしていない力への期待だけでは、
目の前の敵との距離は埋まらない。
アルの負傷につながる戦いには、
新兵たちが自分の力を確かめる余裕も乏しかった。
原作では、槍を並べて守る陣形が
レイのところから崩れたと説明される。
不用意に攻撃を繰り出したことでわずかな乱れが生まれ、
敵にそこを突かれた。ひとりで踏み込んだ動きが、
自分の前だけでなく、隣に立つ仲間の守りまで変えてしまう。
隊列を作って戦うとき、仲間の位置が
保たれていること自体が防御になる。
槍先が並んでいれば近寄りにくい相手も、
一か所に隙間ができれば入り込める。
ここで崩れたのはレイの体勢だけではなく、
周囲も頼っていた守りの形になる。
その結果、敵の攻撃が隊の内側へ及び、兵たちが傷つく。
アルが危険にさらされた場面を、
二人だけの勝負で起きた事故として見ると、
この広がりが抜け落ちる。
レイの動きとアルの負傷の間には、
集団の守りが破られる出来事がある。
とはいえ、ロメリアは原作で、
レイが失敗しなければ確実に勝てたとは考えていない。
相手との力の差が大きく、
別の形でも陣形は崩されただろうと捉えている。
レイに失策があったことと、
敗北の全てを彼一人に負わせることは重ならない。
ここが、レイを責める気持ちだけでは収まらない部分になる。
仲間を傷つけるきっかけを作ったことは消えない。
それでも、彼が落ち着いていれば
全員が無傷で帰れたとまでは言えない。
敵は、その程度で止められる相手ではなかった。
ロメ隊が向き合ったのは、
経験を積んだ魔王軍の偵察兵になる。
原作では少人数でも新兵の集団を圧倒できる
相手として描かれる。数の多さを頼みに
押し返せる戦いではなく、連携を保っていても
厳しいところへ、わずかな乱れが重なってしまう。
レイの失策だけでは埋まらない 敵との距離
しかも、最初からその強さを十分に承知して
準備した出陣ではない。原作のロメリアは、
魔物の目撃情報を受けて山へ向かい、
実際には魔族がいたことを振り返る。
何を相手にするのかという見込みが外れ、
新兵たちは想定より危険な戦いへ入っている。
原作のロメリアは、とっさに爆裂魔石を使って
その場を離れている。隊を立て直して押し勝ったのではなく、
まず攻撃から離れるための対応になる。
アルが傷ついた後にも戦闘の危険は続き、
手当てだけに集中できる時間を得ることさえ簡単ではない。
隊を率いるロメリアにも、
敵を見誤ったという反省がある。
レイだけが判断を誤り、ほかの人間は全て正しかった
という配置にはなっていない。
指揮を執る側の見込みと、前線で動く兵の判断が重なって、
この追い詰められた状況を生んでいる。
それでも、指揮官の反省を聞けば
レイの自責がすぐ薄まるわけではない。
守りの乱れを作ったのが自分なら、
目の前の傷から目を離せない。
ロメリアが戦況全体を考えている一方、
レイの視線は自分の失敗へ狭まっていると読める。
二人の見えている範囲にも差がある。
だからといって、レイの行動が
問題にならなくなるわけでもない。
相手が強いほど、隊列を乱さず、仲間と動く必要があった。
取り返したいと焦るほど、一人で結果を求めたくなる。
その足の運びが、周りを守る動きから
ずれてしまうところが苦しい。
一方のアルは、レイが動いた結果を
外から眺めていられる位置にはいない。
同じ敵を前にし、同じ隊に立っている。
相手を助ける行動には、自分も攻撃を受ける危険がついてくる。
ここには、後で失策を数える時間より先に、
目の前の仲間へ身体を向ける切迫がある。
アルの負傷後、レイ自身は傷を負っていないことにも
追い詰められる。原作では、その顔色と自責が描かれている。
自分の身体は動くのに、
隣のアルはひどく傷ついている。
その差を目の前に置かれれば、
失敗したという言葉だけでは済ませられなくなる。
ただ、アルがレイをどう責めたのか、
どんな言葉で許したのかという場面を、
ここへ勝手に足すことはできない。
二人の間にあるものは、後の行動からも伝わる。
負傷したアルと、傷つけたことに苦しむレイは、
そのまま別々になるのではなく、次の危機でも同じ場所に立つ。
この章で残るのは、レイだけを罰すれば片付く失敗ではなく、
誰かの焦りが仲間の身体に傷として残ったという事実になる。
アルの傷を見て初めて、
前へ出る行為の重さがはっきりする。
ここから先、二人がもう一度並べるのかが気になってくる。
第3章 アルの傷はどれほど深い? 止血しても続く命の危険
声を返せても、 失った血は戻らない
アルがまだ話していると、それだけで少し安心したくなる。
問いかけに返事をし、ロメリアの言葉にも反応する。
けれど原作で描かれる身体の状態は、
その受け答えから想像するより深刻になる。
言葉が出ていることが、安全の証拠にはならない。
木に身体を預けたアルは、荒く息をし、
傷に当てた布にも血がにじんでいる。
顔色も悪く、隊の中で特に重い傷を負っていることが伝わる。
ここで心配になるのは、痛いかどうかだけではなく、
その身体で次の一歩を踏み出せるのかという部分になる。
ロメリアが傷口を確かめたときには、
出血は何とか止まっている。
ただ、すでに血を失いすぎている。
いま流れ出ていないから回復へ向かっていると、
すぐ判断できる状況ではない。
止めることが出来た出血と、身体へ残った負担の両方が描かれている。
しかも行軍を続ければ、傷口が開く恐れもある。
追手から離れるための移動が、
傷を悪くするかもしれない。
休ませることが必要でも、
休める場所へ運ぶために歩かなければならない。
この食い違いが、アルの負傷をいっそう厳しくしている。
仲間と同じ速さで進めないことは、本人にも分かっている。
体力を戻してから追いつくという選択を取りにくく、
遅れれば敵との距離が縮まる。
傷そのものの痛みに加えて、
自分を待たせているという負担まで背負うことになる。
ここで、骨や臓器が具体的にどう傷ついたかまで
決め付けることはできない。
原作が伝えているのは、深い傷と出血、
移動を続ける危険になる。
細かな病名を付けなくても、
手当てを急がなければならない状態は十分に伝わってくる。
アル自身が問いかけを続ける様子にも、
余裕だけは感じにくい。ロメリアは、
何か話していないと意識を保てないのではないかと
受け取っている。口の悪いやり取りが残っていても、
その調子だけで普段の元気が戻ったとは言えない。
少し強がれる姿ほど、見ている側はほっとしてしまう。
それでも、言葉の応酬のすぐそばには、
白い顔と血のにじんだ布がある。
軽口が挟まることで傷が軽くなるのではなく、
普段に近い反応がまだ残っていることへ、
小さく息をつける場面になる。
旅で覚えた手当てが、 今の仲間を支える
ロメリアは行軍の途中で見つけた薬草を使い、
アルへ応急手当をする。
傷ついた兵を前に、ただ励まし続けるのではなく、
手を動かしている。戦える強さを持たない彼女が、
いま出来ることを身体のすぐそばで
行っているところが頼もしい。
その知識は、王子たちと旅をしていた時間につながっている。
戦闘で直接役に立ちにくい自分にも
出来ることを探し、薬草を覚えた。
過去の旅で身に付けた手当てが、
別の場所で、別の仲間を支えるために使われる。
王子との関係が終わっても、
覚えた技術まで消えるわけではない。
旅の経験は、彼女を傷つけた出来事だけで埋まっていない。
目の前のアルの傷へ触れるときには、
そこで積み重ねた時間が具体的な働きとして残っている。
ただし、薬草は触れた瞬間に重傷を消す道具ではない。
アルは手当てを受けた後も傷を抱え、
危険な移動と戦闘へ向かう。
ロメリアが治療できるから安心という簡単な形ではなく、
出来る範囲の処置で先へつなぐ場面になっている。
また、アルが口にしている薬草の苦さは、
傷の深さを測る物差しにはならない。
味への反応がはっきりしていても、必要な手当ては続く。
普段なら笑って流せるやり取りが、いまは
意識のあるアルと会話できる時間として、
少し違って感じられる。
苦い薬草を口に入れられるやり取りには、
切迫した中でも少し可笑しさがある。
アルは味に反応し、ロメリアも彼の口の悪さを意識する。
きれいな励ましだけを交わすより、
こうしたやり取りの方が、二人の距離を身近に感じさせる。
薬草の影響でうまく話せなくなるところも、
意識が遠のいた描写と取り違えたくない部分になる。
原作では苦さで舌が麻痺し、言葉が回りにくくなっている。
どの反応も重傷の悪化へ結び付けるのではなく、
手当ての前後で起きていることがそれぞれある。
それでも、笑えるやり取りの後に残るのは、
十分な治療環境がないという現実になる。
薬草を使い、傷を処置しても、追ってくる敵は消えない。
横になって休める場所へ着くまでは、
アルを連れて動く方法を考え続けなければならない。
ロメリアは、傷を診る役と隊を動かす役の両方を担っている。
アルのそばだけに留まれば、
ほかの兵の疲労や追手への対応が遅れる。
立ち上がって全体を見なければならないことも、
手当てをする側に休む間がないことを伝えている。
ここでアルに向けられるのは、
必ず元通りになるという約束ではない。
状態を確かめ、痛みへ対処し、
その場で命を保つための行動になる。
大きな言葉を重ねるよりも、
血のついた布を外して傷を確認する手つきの方に、任せられるものがある。
後の炎の発現へ急いで進むと、
この手当ての時間は目立たなくなる。
けれど、アルは最初から戦場で立ち上がれる状態ではない。
血を失った身体へ手を尽くす人がいて、
その後にまだ自分で動こうとする本人がいる。
力が現れる前から、生き延びるための時間は続いている。
第4章 なぜ自分を置いていけと言った? 仲間の逃げ道を考えたアル
自分を待つ時間が、 仲間を危険に近づける
アルの口から出るのは、
もっと早く手当てしてほしいという訴えではなく、
自分を置いていくよう求める言葉になる。
傷ついている本人が先にそんなことを言ってしまう。
その場にいる仲間も、すぐ明るく否定できる
状況ではないところがつらい。
原作では、最も重傷のアルに合わせて移動すれば、
隊の足が遅くなると描かれる。
追ってくる敵との距離を考えると、その遅れは全員へ関わる。
アルは自分の傷だけを見ているのではなく、
自分と一緒に歩く仲間の危険も見ている。
ただ、そこで彼の発言を、
死にたいと望んでいる言葉へ変えることはできない。
生きる気持ちが消えたと断定できる場面ではない。
自分を連れていけばほかの人まで巻き込むという考えから、
隊に残る選択肢を狭めようとしていると読める。
置いていかれる側が先に申し出れば、
指揮官は決めやすくなるかもしれない。
誰かに捨てる判断をさせる前に、自分で引き受けようとする。
その発言には、負傷した本人が
周囲のためらいまで背負っているような苦さもある。
いまのアルには、傷を負う前と
同じ速さで働けない現実がある。
敵へ向かう力を示すより先に、
移動を遅らせている自分を意識してしまう。
仲間と並んでいたはずの少年が、
自分の居場所を足手まといという言葉で測り始める。
そのため、この場面を潔い自己犠牲だけでまとめると、
彼の追い詰められ方が薄くなる。
アルには、安心して休みながら仲間を送り出せる場所がない。
置いていかれた後の安全もなく、
それでも残ると言わなければならないほど、
逃走の条件が悪い。
周囲の兵士たちがうつむく反応も重い。
冷たく見捨てたいから黙るのではなく、
アルの言う危険を否定できないからとも読める。
励ませば済むなら、もっと簡単に言葉が出る。
言葉が詰まることで、隊が抱えている余裕のなさが伝わってくる。
ここでロメリアは、アルを置いていく申し出を受け入れない。
共に戦った仲間を見捨てないという姿勢を示す。
アルの身体がすぐ治るわけでも、
追手が遠ざかるわけでもない。
それでも、本人に離脱を決めさせる流れはいったん止まる。
ロメリアには、自分が王子に見捨てられた過去がある。
その経験を伴う言葉が、
いま置いていかれようとしているアルへ向けられる。
彼女が受けた仕打ちと同じことを、
目の前の傷ついた兵へ返さない。
そのつながりに、感情が動く。
見捨てないという言葉と、 その場に残る手
一方、原作の内心には、
兵士たちの信頼を保つための計算もある。
ロメリアは自分を、どんな状況でも迷わず
他者を救える人物としては扱っていない。
必要なら切り捨てる判断もあり得ると考え、
いまの発言が周囲へ与える効果を分かっている。
その内心が見えると、
優しい言葉を信じた分だけ戸惑うかもしれない。
けれど、信頼を得たいという意図があることと、
その場でアルを実際に捨てたことは違う。
ロメリアは彼の傷に手を尽くし、
連れて進む道を探している。
言葉だけなら、自分は優しい指揮官だと
見せるためにも使える。
ここには手当てという手間が伴っている。
足の遅い重傷者を隊に残す以上、
移動や次の作戦もその条件から考えなければならない。
発言の後に、引き受ける仕事が続く。
アルの側からすれば、ロメリアの心の中を
そのまま読めるわけではない。
目の前にあるのは、自分の傷を見て、
処置をして、置いていかないと答える人になる。
その応対が、彼にとっていま頼れるものになっている。
アルが申し出たことを尊重するだけなら、
置いていく決断にも形は付く。
それでもロメリアは、その言葉をそのまま隊の方針にはしない。
重傷者が自分を切り捨てようとしたとき、
ほかの人間が立ち止まって応じる余地が、
ここには残されている。
また、このやり取りを恋愛感情だけで説明する必要もない。
共に戦った相手を見捨てるかどうかという場面で、
まず問われているのは隊の中での扱いになる。
役に立てなくなった瞬間に切り離されるのかという不安へ、
ロメリアは別の答えを返している。
見ているほかの兵士にも、アルへの返答は届いている。
次に傷つくのは自分かもしれない。
そのときどう扱われるのかは、
いま目の前の重傷者がどう扱われるかと無関係ではない。
ロメリアの判断は、アル一人との会話を越えて隊へ広がる。
ただ、ここで隊の全員が同じ感情になったと
決めることもできない。
原作で描かれるのは、表情や士気の変化になる。
それぞれの胸の内を付け足さなくても、
逃げ出しそうな空気が変わり、
次の行動へつながっていく様子は追える。
アルにとっても、見捨てられないと分かった後に、
受け身で待つだけの時間が始まるわけではない。
まだ自分が出来ることを探してしまう。
傷ついているのだから休んでほしいという気持ちと、
彼が仲間の側に立とうとする気持ちが、
ここで少しずれ始める。
自分を置いていくよう求めたアルへ、
ロメリアはその場で手を離さない。
先の勝利を約束できなくても、
いま彼を隊から切り離さないという行動は残る。
傷を負ったことが、そのまま仲間でなくなることへ
つながらなかった。その応答が、次にアルが選ぶ行動へつながっていく。
第5章 逃げる機会があっても、 アルが本隊に残ったのはなぜ?
守られるだけでなく、 作戦の役に立とうとする
自分を置いていけと言ったアルが、
その後には本隊に残ると申し出る。
一見すると、どちらも死に近づく選択に見える。
けれど、先の場面では移動の妨げになる自分を外そうとし、
今度は自分が残ることで作戦へ役立とうとしている。
考えているのは、どちらも仲間の行く先になる。
原作のロメリアは、敵を迎え撃つために部隊を分ける。
負傷者を別の道へ向かわせ、
さらに敵の背後へ回る兵を配置し、
本隊は追手を引き受ける。
傷ついた全員を同じ場所へ固めて、
正面から押し合う作戦にはしない。
その中でアルは、重傷者として本隊を離れる側へ
回ることも考えられる立場にいる。
それでも、彼は残ると伝える。
身体の状態から言えば止めたくなる申し出でも、
本人には、いま自分がここにいることを使えるという判断がある。
本隊は敵を引き付ける囮になる。
そこに重傷のアルが残っていれば、
隊が弱っていることを敵へ見せられる。
逃げ疲れ、傷ついた仲間を抱えた集団に見えるほど、
相手は本隊を狙いやすくなる。
アルは自分の傷を、ただ隠すべき弱さとしてだけは扱わない。
もちろん、傷ついているふりをする話ではない。
アルの重傷は本物で、
攻撃を受ければ命を落とす危険も高い。
相手の判断を誘う役に立てることと、
その役を安全に務められることは違う。
作戦へ参加できると分かっても、身体への不安は残る。
ロメリアも、アルが残る危険を軽く受け流してはいない。
勇気があることを認めたうえで、
負傷した彼が戦場で負担になることも伝える。
気持ちさえ強ければ大丈夫という励ましではなく、
戦えない身体を含めて会話が進んでいる。
それでもアルは、自分の状態だからこそ
敵を油断させられると考える。
傷を負う前と同じ働きが出来ないなら、
違う使い方を探しているとも読める。
ただ負傷前の自分へ戻ろうとするのではなく、
いま残っている条件から役割を見つける。
ここには頼もしさと同時に、休めない少年の苦しさもある。
誰かの役に立たなければその場にいられない、と
アルが明言しているわけではない。
それでも、見捨てられずに済んだ直後の彼が、
また危険な場所へ自分を置こうとする姿は、素直に喜びにくい。
しかもアルは、自分だけを戦場へ残して満足するのではなく、
ロメリアには逃げるよう求める。
先ほどまで彼女に手当てされていた相手が、
今度は彼女の退路を考えている。
守ってもらう側と守る側が、
同じ会話の中で入れ替わる。
ロメリアが本隊を離れられない事情は、
原作の作戦にある。
指揮官としてすでに敵に姿を見られており、
いなければ別の動きを疑われかねない。
彼女も本隊へ留まり、
アルだけを危険な場所へ送り出す形にはしない。
傷つけられた後も、 レイを一人にしない
二人が互いに逃げるよう考えても、二人ともその場に残る。
自分を大事にしていないと片付けるには、
それぞれに引き受けているものがある。
アルは仲間へ役立とうとし、
ロメリアは自分が抜けた後の作戦の崩れを恐れている。
そのそばには、前の失敗を引きずるレイがいる。
原作では、ロメリアに正面を任されても固まり、
緊張を解けずにいる。
身体に傷のないレイが動けず、
重傷のアルが相手へ言葉を向ける。その並びには、
傷の有無だけでは測れない二人の状態が表れている。
アルは、レイを危険な正面へ置く
ロメリアの判断にも反応する。
自分が傷ついたからといって、
今度はレイが危険を引き受ければよいと突き放してはいない。
彼が気にしているのは、失敗した仲間を
戦場でどう扱うかというところにも及んでいる。
ロメリアはレイへ、全てを一人で担うのではなく、
周りを信じるよう伝える。
ここでの信頼は、失敗を忘れて
もう一度勢いよく飛び出すことではない。
隣にいる仲間へ任せ、
自分の役割を果たすための話になる。
アルも憎まれ口を交え、
レイへ仲間を信じるよう促す。
優しく許したという長い言葉がなくても、
同じ側から声をかけていることは伝わる。
自分を傷つけるきっかけになった相手を、
隊の外へ押し出すような態度ではない。
傷ついた側からその声が出るから、
ここは少し苦く、同時に救われる。
レイが自分を責め続けて動けなくなれば、
次の危機を支える手も減ってしまう。
アルの言葉には、責任を消すことより、
いま一緒に動ける状態へ相手を戻す働きがある。
ただし、これで二人の間にあった痛みが
全て片付いたとは言い切れない。
謝罪も許しも、描かれた以上に書き足す必要はない。
確かめられるのは、アルがレイを見放さず、
レイもまた仲間の顔へ目を向けられるようになる変化になる。
アルが本隊へ残る場面は、
勇敢な兵士が自分の命を差し出すだけの話には収まらない。
自分の身体を作戦に組み込み、指揮官の身を案じ、
固まった仲間へ声をかける。
傷によって働きを失ったと思えた少年が、
別々の形で隊を支え直している。
それでも、この判断の先に待つのは、
予定どおりに敵を迎えて終わる戦いではない。
敵はさらに上から守りを崩し、
ロメリアへ刃を向ける。
本隊に残ったアルのすぐ近くで、
今度は自分を見捨てなかった人が倒れることになる。
第6章 瀕死のアルはどう戦った? レイと並んでロメリアを守る
倒れたロメリアの前へ、 二人が立つ
原作の迎撃戦では、ロメリアが考えた
守りの内側へ魔族の隊長が入り込む。
外からの攻撃に備えていたところへ、頭上から敵が来る。
並べた槍の前で止めるはずの相手が、
すでに仲間のそばにいる。
その時点で、用意した形は大きく崩れている。
真っ先に狙われるのは指揮官のロメリアになる。
剣で受けようとしても力の差を埋められず、
胸を打たれて動けなくなる。
彼女は重傷のアルを案じていた側から、
自分も助けを必要とする側へ変わる。
二撃目が迫るとき、その前に出るのがレイとアルになる。
原作では、レイが敵の襲来へ素早く反応し、
重傷でロメリアの近くにいたアルも攻撃を防ぐ。
遠くから奇跡のように間に合ったのではなく、
そばに残っていた身体で止めている。
ここで、先ほどの手当ての場面が違う形で返ってくる。
ロメリアが傷ついたアルを置いていかず、
今度はアルが倒れた彼女の前へ立つ。
ただし恩を返すためと本人が説明するわけではない。
交わした言葉より、目の前で身体を動かす選択が先に来る。
しかも、その隣にはレイがいる。
アルを傷つけたきっかけを作った人物が、
危険な場面から外されて終わるのではない。
重傷のアルと同じ敵へ向き直り、今度は二人で守りを担う。
二人の関係を、失敗した側と傷つけられた側だけで
止めない展開になる。
ロメリアが倒れた後も、兵士たちは一斉に逃げ散らない。
彼女を中心に守りを組み直し、
レイは仲間へ役割を割り振る。
アル一人の奮闘で全てを支えているのではなく、
ほかの兵の動きが二人の戦いを成立させている。
アルの身体が危険なことは、
この反撃が始まっても変わらない。
原作でも瀕死の重傷を抱えたままと描かれている。
剣を振れるから治ったのではなく、
傷ついた身体で動いている。その違いがあるため、
反撃が力強くなるほど、無理をしている怖さも増す。
戦いでは、レイが敵の攻撃を受け、
その隙へアルが打ち込む。
先ほどは一人の動きから隊列が崩れたが、
ここでは互いの動きが次の一手を生む。
二人とも前へ出ればよいのではなく、
受ける側と攻める側がつながっている。
それでも、連携が出来た瞬間に勝てるわけではない。
相手は経験を積んだ隊長で、
二人を相手にしても余裕を残す。
頑張った分だけすぐ差が埋まる戦いではなく、
傷と消耗が増える中で、
なお相手を止め続けなければならない。
ロメリアは倒れたまま、
二人へ勝利を求める短い言葉を届ける。
詳しい作戦を説明できる余裕はない。
ここで二人に任せるしかない彼女の姿には、
先ほどまで自分が守っていた兵を、
いま頼らなければならない切迫がある。
炎の発現は、 失った血まで取り戻さない
| 人物 | 敵への対応 |
|---|---|
| レイ | 攻撃を受け、風の一撃で崩す |
| アル | 隙へ打ち込み、炎の剣で斬る |
その最中、レイの周囲には風が生まれ、
アルの剣には炎が現れる。
あらかじめ才能を知っていた二人が、
実際の戦いでその力を発現させる。
まだ使えていなかった力が現れる場所は、
試す余裕のある訓練場ではなく、
ロメリアの命がかかった至近距離になる。
ただ、傷を負えば誰でも魔法が使えるという設定にはならない。
二人にはもともと素質があり、
この極限の戦いで発現したというつながりになる。
アルが瀕死になったことを、新しい力を手にするために
必要な出来事として軽く扱うこともできない。
先にレイの風を伴う一撃が、
敵の守りを崩して腕を斬る。
そこへアルが炎の剣で続く。
二人の力は別々に見せ場を作るだけではなく、
先の攻撃で生じた機会を次の攻撃が使う形になる。
片方がいれば十分という勝ち方にはなっていない。
アルの剣は、敵が残った腕で受け止めるため、
そのまま一方的には押し切れない。
片腕を失っても止まらない相手に、
重傷のアルが力で押される。
力が発現した喜びの直後にも、
まだ倒し切れない怖さが置かれている。
そこで炎が強まり、刃が熱を帯び、
敵の武器を断って身体へ届く。
アルは負傷する前の強さへ戻っただけではなく、
それまで扱えなかった力で攻撃を通す。
けれど、その一撃のために使っているのも、
血を失い、疲れ切った同じ身体になる。
傷を負わせた後も、敵はロメリアへ迫ろうとする。
攻撃を当てればそこで安心できる展開ではない。
最後まで相手の動きを止めなければ、
守ろうとしている人へ届いてしまう。
アルの炎は、その終わりの間際まで戦いに関わっている。
一方、隊全体の勝利には、
周囲の兵と別動隊の行動も加わる。
アルとレイが中心の敵を食い止め、
ほかの仲間も動いて戦況が変わっていく。
ここでは全員の手柄を二人へ寄せず、
アルが担った相手と働きを押さえる。
やがて戦いを終えたアルとレイは、
意識を失っている。
二人が立ち続けていた間の勢いから離れ、
身体へ積み重なった負担が見える。
炎を出せるようになっても、血も体力も限りがある。
勝利の後に倒れる姿が、その重さを置き去りにしない。
アルが戦えたことは、傷が軽かった証明にはならない。
助けられた身体で、さらに別の人を助けるために
力を使い切ったという流れになる。
彼が倒れる場面に残るのは、
負傷前と同じ少年へ戻った安心ではなく、
今度こそ休ませてほしいという気持ちになる。
第7章 戦いの後、アルはどうなる? 意識を失った先にも続く役目
戦闘後の失神から、 治療と訓練へ
戦いが終わったとき、アルはもう意識を保っていない。
ロメリアの前で敵へ向かっていた勢いが消え、
レイとともに倒れている。
ここだけ切り取れば、最後の力を振り絞って
命を落としたのかと不安になる。
けれど、原作はその後にもアルの姿を描いている。
戦闘後に意識を失ったことが、
そのまま死亡を示しているのではない。
敵を止めたところで物語から消えず、
傷の残る身体で仲間の中へ戻ってくる。
直後の危機を越えた隊は、負傷を抱えながら帰還する。
その様子を別の人物の側から描く場面もあり、
戦闘後の時間が続いていることを確かめられる。
勝ったと感じたロメリアが、
そのまま意識を失う場面だけで結末が閉じるわけではない。
さらにWeb原作第20話では、
治療を受けたアルが演習で動いている。
生存の答えを遠い巻の紹介だけへ預けなくても、
負傷した戦いの後に、本人が活動している姿がある。
ここでようやく、倒れた少年が戻ってきたと息をつける。
ただし、そのアルも完治していない。
片腕が十分には動かないまま、
前衛を崩す働きをしている。
治療を受けたこと、訓練へ出られること、
傷が完全に治ったことは、それぞれ別になる。
生きていたという安心の横に、
無理をしていないかという心配も残る。
包帯を巻いて先頭を歩く姿も、
負傷が物語から消されていないことを伝える。
戦闘が終わったので身体も元通り、
という切り替わりではない。
仲間と動けるところまで戻っても、
傷ついた身体で過ごす時間は続いている。
しかも、戻ってきたアルは
ただ以前と同じ位置に立つのではない。
演習では相手の守りへ穴を開け、
レイがそこへ兵を率いて切り込む。
危機の中で二人が並んだ経験が、
隊として動く場面へつながっている。
アルの突破力とレイの指揮が、
別の働きとして噛み合う。
二人のどちらが強いかという比べ方だけでは、
その動きは伝わりにくい。
アルが生み出した機会へレイが続き、
周囲の仲間も加わることで、隊全体が前へ動く。
ここには、アルの傷をレイが一生背負い続けるだけの
関係ではない、その後がある。
起きたことが消えるわけではなくても、
二人は別々の役割を持って一緒に働いている。
失敗の場面だけでは見えなかった組み合わせが、
次の時間に現れている。
だからといって、重傷を負ったおかげで
全て良くなったと結び付けるのは苦しい。
痛みや出血がなければ得られなかったものとして、
傷そのものを称える必要はない。
危険を越えた後にも、二人が力を付け、
一緒に動けるようになったという順序がある。
帰還後にも不自由が残っていることで、
あの負傷が一場面だけの驚きでは済んでいないと分かる。
生きて戻ったアルを喜ぶ気持ちと、
その腕をまだ休ませてほしい気持ちは一緒に残る。
再び動ける姿には、安心と危なっかしさの両方がある。
置いていかれようとした少年が、 隊の先頭へ戻る
アルは、訓練の結果をロメリアへ報告する役にも立つ。
胸を張って隊の働きを伝え、
彼女を隊長として呼ぶ。
少し前には自分を置いていくよう求めていた少年が、
今度は仲間の先頭から戻ってきている。
傷ついていた場面との距離を感じるのは、
元気に動いていることだけが原因ではない。
自分は隊を遅らせると考えていたアルが、
いまは隊を前へ進める側へ立っている。
彼が戻ってきた場所には、仲間と働く役目が残されている。
ロメリアにとっても、これは部下が一人助かったという
結果だけには収まらない。
手当てをした相手が、自分の前へ立って守り、
さらに部隊の働きを報告しに来る。
守った側と守られた側が固定されず、
時間をかけて役割を返し合っている。
その後の生存は、書籍第4巻の紹介からも確かめられる。
アルとレイはライオネル王国にいて、
ロメリアが別の戦場で負傷したことを手紙で知る。
今回の重傷でアルの運命が閉じないことは、
先の巻にも登場があるためはっきりしている。
ただし、Web原作の場面と書籍の展開を、
細部まで同じ順序と決め付けることはできない。
ここで共通して答えられるのは、
アルが序盤の負傷を生き延び、
その後も物語へ関わることになる。
先の全ての戦いを紹介しなくても、今回の生死の問いには届く。
アニメで傷ついた姿を見た直後には、
活躍の予想より、まず生きていてほしいという気持ちが先に来る。
先の登場が分かった後も、
その願いが見当違いになるわけではない。
原作でも命の危険は近く、
手当てと仲間の行動を必要としている。
アルが生き延びる流れを支えたものは、一つの力だけではない。
ロメリアが傷へ手を尽くし、部隊が逃走と反撃を続け、
レイが隣へ立ち、アル自身も剣を振るう。
新しく現れた炎だけを生存の答えにすると、
その前から続いていた助け合いが見えにくくなる。
また、あの場面のレイへ厳しい気持ちを抱いても、
その先でアルと共に戦う姿まで消えるわけではない。
負傷を生んだ行動と、
仲間を守るために取った行動は、両方残っている。
アルのその後は、レイが失敗したところだけで
終わらない関係も伝えている。
アルは、レイの失策が絡む戦いで重傷を負うものの、
その傷で死亡しない。
意識を失った後には治療を受け、
まだ傷を抱えながらも隊へ戻ってくる。
置いていってほしいと口にした少年が、
包帯を巻いたまま先頭に立ち、
ロメリアへ訓練を終えたと報告する。
彼の居場所は、負傷した山の中で途切れてはいない。


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