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【氷の城壁2期】五十嵐は今も小雪が好き? 別れた後の本心と再会の結末

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『氷の城壁』の五十嵐は、中学時代、小雪に本気で好意を寄せていたが、その気持ちを安心できる形で伝えられなかった。
再会して話せるようになった姿だけでは、今も恋人として小雪を求めているとは言い切れない。
原作で二人は復縁せず、昔は伝えられなかった気持ちを交わし、別れた相手との関係を変えていく。

この先は原作最終巻までのネタバレあり。

  1. 第1章 五十嵐は今も小雪が好き? 昔の好意は本物でも、復縁には進まない
    1. もう別れた相手なのに、気持ちが気になる
    2. 好きでいた過去と、 今から始めたい恋は分かれる
  2. 第2章 中学時代は本気で好きでいた? 小雪からは見えなかった五十嵐の気持ち
    1. 付き合えた喜びが、 相手の気持ちを追い越していた
    2. 彼の恋心が見えても、小雪の苦しさは消えない
  3. 第3章 好きなのに、なぜ別れを受け入れた? 本心を隠した見栄と意地
    1. 友人の前で見せた顔が、小雪に届いてしまう
    2. 引き止めなかった姿だけでは、 好きの深さは測れない
  4. 第4章 別れた後も気にしていた? 再会前後の言動から考える未練
    1. 小雪を覚えていても、今の暮らしは知らない
    2. 話し掛けることと、 恋人に戻りたいことは重ならない
  5. 第5章 再会して何を話した? 昔は言えなかった気持ちと謝罪
    1. コンビニから始まる、 恋人ではない二人の会話
    2. 昔の本心を伝える言葉が、 復縁の申し込みにはならない
  6. 第6章 小雪は五十嵐を好きになった? 話せるようになっても戻らない恋
    1. 謝ったことを、 恋人に戻りたい返事とは読めない
    2. 小雪が心を向ける湊と、 五十嵐への返事は別にある
  7. 第7章 五十嵐と小雪の再会はどう終わる? 恋人に戻らず変わった関係
    1. 復縁しなくても、 別れた時のままでは終わらない
    2. 今も好きかより先に、 本人へ届いた昔の気持ち

第1章 五十嵐は今も小雪が好き? 昔の好意は本物でも、復縁には進まない

五十嵐の好意と再会の結末
時期 小雪への気持ちと関係
中学時代 好意を持って交際するが、別れる
高校での再会 過去の気持ちを話す。
今の恋心は断定できない
原作での結末 恋人には戻らない

もう別れた相手なのに、気持ちが気になる

小雪と顔を合わせる五十嵐を見ると、
もう別れたはずなのに、
まだ彼女が気になっているのかと引っ掛かる。
中学時代の二人を知っているほど、
何気ない声の掛け方にも別の感情が
隠れているように見える。
小雪にとって苦しい記憶を残した相手が、
どんなつもりで近づいているのか。
そこが気になって、
彼の言葉を素直には受け取れなくなる。

先に結末に触れると、原作で五十嵐と小雪が
恋人に戻る展開はない。
中学時代に五十嵐が小雪を好きでいたことは
描かれるが、その気持ちを知ることと、
高校生になった今も交際を求めていると
決めることには隔たりがある。
再会は、よりを戻すための告白としてではなく、
別れた時に言えなかったことを話す時間として
進んでいく。

ただ、復縁しないという答えだけで
五十嵐の気持ちまで片づくわけでもない。
付き合えないと知った後も、
相手のことを忘れずにいる場合はある。
逆に、久しぶりに話せてうれしくても、
もう一度恋人になりたいとは限らない。
二人の再会に残る親しさは、そのどちらかへ
急いで押し込めるより、会話の中で
何を求めているかから考えたくなる。

五十嵐の場合、強く伝わってくるのは、
昔の自分の気持ちを小雪に
知らないままでいてほしくないという方向になる。
友人の前で格好をつけていた姿だけを
覚えていれば、小雪には自分が
軽く扱われていたように映る。
その記憶に対して、彼の側にも
恋をしていた時間があったと分かる。
再会で動くのは、
まずその伝わらなかった部分になる。

ここは少しもどかしい。
本当に好きでいたなら、
その時に伝えてくれればよかったのに、と感じる。
けれど、交際している間は言えず、
別れてからようやく口にできる気持ちがある。
五十嵐が後になって本心を示しても、
当時の小雪が受け取れなかったことまで、
彼女の落ち度へ変わるわけではない。

元彼が現れると、今の恋を揺らす相手なのかと
身構えてしまう。
小雪と五十嵐の場合は、その身構えた気持ちに対して、
再び付き合うこと以外の答えが返ってくる。
昔の交際について話すだけでも、
二人にとっては簡単ではない一歩になる。

好きでいた過去と、 今から始めたい恋は分かれる

原作10巻の第86話「視点A・B」と
第87話「緩解」では、過去を振り返ることと、
今の二人が実際に話すことが続けて描かれる。
ここで明かされる中学時代の好意を、
そのまま高校での告白として読むと、
二人が交わしている言葉の向きが変わってしまう。
昔どう感じていたかを話す相手が、
今も同じ返事を待っているとは限らない。

小雪の側にも、
過去について言いたかったことが残っている。
五十嵐が一方的に気持ちをぶつけ、
小雪が受け入れるか拒むかを選ぶだけの
再会にはならない。
彼女にも話すことがあり、
彼にも返す言葉がある。
交際中にはうまく成り立たなかった往復が、
恋人という関係を離れた場所で生まれている。

二人が話せるようになったと知れば、
今なら付き合えるのではと感じる余地もある。
以前より落ち着いて向き合えるなら、
恋がやり直せてもおかしくないように見えるため。
しかし、小雪が五十嵐への苦手意識を
和らげることと、彼を恋愛の相手として
求めることはつながっていない。
関係の変化は、
そのまま恋の再開にはならない。

五十嵐は別れた後も小雪を覚えていて、
再会では昔の好意を言葉にする。
しかし、その二つがあっても、
今の小雪へ交際を申し込む展開にはならない。
原作の再会は前の二つに触れながらも、
三つ目へは進まない。
そこにあるのは、恋人を取り戻す結末より、
元恋人と話ができるようになる変化と考えられる。

そのため「今も小雪が好き?」への答えは、
昔の気持ちは本物でも、再会時の言動だけで
現在の恋心までは言い切れない、となる。
冷めたと断言する言葉も、
ずっと一途に待っていたと決める言葉も、
二人の間にある微妙な距離を狭めてしまう。
結末として確かなのは、
五十嵐の気持ちを知った小雪が、
復縁を選ばないことになる。

第2章 中学時代は本気で好きでいた? 小雪からは見えなかった五十嵐の気持ち

付き合えた喜びが、 相手の気持ちを追い越していた

中学時代の五十嵐は、小雪と同じ気持ちで
交際を始めたと思っていたのかもしれない。
告白が受け入れられれば、
相手も自分を好きでいてくれると期待してしまう。
けれど、小雪がその関係へ求めていたものには、
学校や家庭で落ち着けない中、
誰かに必要とされたい思いも重なっていた。
恋人になれたという出来事の内側で、
二人の期待はそろっていなかった。

五十嵐からすれば、
気になる女子と付き合えるようになった時間になる。
小雪からすれば、その関係に入った後で、
自分の気持ちが追いつかないと感じる時間になる。
同じ交際の始まりなのに、
片方は距離を縮めようとし、
もう片方は近づかれる速さに戸惑う。
この食い違いが、彼の好意を小雪には
怖いものとして感じさせてしまう。

だから、五十嵐に好意があったと分かっても、
小雪が当時の態度を好意として
受け取れなかったことは不自然ではない。
親しいつもりの言葉でも、
言われる側が心を許していなければ傷つく。
彼は距離が縮まったと感じていても、
彼女の中では逃げ場が減っていた可能性がある。
交際という呼び名だけでは、
その差を埋められなかった。

原作第86話で五十嵐側の気持ちが加わると、
小雪から見えていた交際の印象にも、
別の面が生まれる。
ただし、それは小雪の記憶が
間違っていたという話にはならない。
彼がうれしかった時間にも、彼女は困っていた。
片方だけが本当の出来事を知っているのではなく、
二人が同じ場所で違う経験をしていたと
考えられる。

小雪を好きでいるなら、彼女が困っていることにも
気づいてほしかった。その引っ掛かりは残る。
五十嵐の好意を知るほど、
悪意から近づいた相手とは違って見える一方、
好きな子の反応を見ないまま
進んでいたところも目に入る。
相手と付き合えた喜びが、
相手自身の気持ちより先へ走ってしまったところに、
交際のつまずきがある。

彼の恋心が見えても、小雪の苦しさは消えない

五十嵐の過去を知ると、
小雪のことなど大して好きではなかったという
見方は揺らぐ。
友人に見せた態度が彼のすべてではなく、
その内側には、自分なりに
小雪を求めていた気持ちがある。
その分、別れを切り出された時の彼にも
傷つく余地があったと分かる。
平気な顔に見えても、
内心まで平気とは限らない。

けれど、その痛みを小雪が引き受けて
恋人を続けることにはならない。
好きでいてくれたと後から知っても、
自分も同じ気持ちになる約束はできない。
二人の交際に切なさがあるのは、
五十嵐の恋が本物かどうかだけで、
続けられるかが決まらないところにある。
小雪が息苦しく感じていた関係は、
好意の証明だけでは変わらない。

また、彼が好きでいたことを知ったからといって、
きつい言葉や距離の詰め方が
優しい行動へ変わるわけでもない。
小雪の耳に届いた言葉は、
そのまま彼女を傷つけている。
五十嵐の内心が後から分かることと、
その場で小雪が何を受けたかは別に残る。
この二つを一緒に扱うから、
彼の好意にも簡単には喜べない。

五十嵐にとって苦いのは、
自分が好きでいた時間を、好きな相手が
同じようには覚えていないことになる。
大切に思っていたつもりの交際が、
小雪には負担として残っている。
彼女の返事を知れば、付き合えていたという
自信の内側にも、確かめなかったことがあったと
見えてくる。
恋人の存在と、恋人の気持ちを
知っていることが離れていた。

この過去があるため、再会で彼が
昔の好意を伝える場面には、
単に恋心が判明する以上の重さがある。
小雪から見れば、あの態度の奥に
そんな気持ちがあったのかという驚きが生まれる。
一方、五十嵐から見れば、
好きでいるだけでは通じなかった相手と、
今度こそ言葉で話すことになる。
伝えられなかった恋が、
ようやく会話の中へ出てくる。

第3章 好きなのに、なぜ別れを受け入れた? 本心を隠した見栄と意地

友人の前で見せた顔が、小雪に届いてしまう

五十嵐が小雪に本気で恋をしていたと知ると、
あの時なぜあんな言い方をしたのかと、
別れの場面がかえって気になる。
彼は友人との会話で小雪を軽く扱うような
態度を取り、それを小雪が聞いてしまう。
自分を好きでいてくれる相手として
受け入れようとしていたのに、
その相手が別の場所では違う顔を見せている。
小雪が離れたくなるきっかけとして、
重い出来事になる。

五十嵐の側からは、
友人の前で格好をつけた振る舞いと考えられる。
好きな相手を大切に思っている自分より、
恋愛に慣れているように見える自分を
出してしまう。
けれど、小雪が聞けるのは
その場で口にされた言葉だけ。
彼の頭の中に本当はどんな気持ちがあるかまで、
傷ついたその瞬間に読み取ることはできない。

小雪にとっては、すでに交際の速さに
戸惑いを抱えていたところへ、この会話が重なる。
穏やかに付き合えていた二人の間へ、
突然ひとつ誤解が入り込んだだけの別れとは異なる。
自分はついていけないという感覚がある中で、
相手が友人へ見せる態度まで聞いてしまう。
これ以上近くにいるのがつらいと感じる
積み重ねになっている。

ここで五十嵐が友人向けの態度と本心を
分けていたとしても、
小雪が受けた傷まで小さくはならない。
本人にはそのつもりがなかったという事情はあっても、
彼女を安心させる言葉にはなっていない。
好きな女子の前で照れることと、
その女子を友人の前で軽く扱うことの間には、
越えてしまったところがある。

五十嵐の見栄には、自分が恋愛の主導権を
持っているように振る舞いたい気持ちも
あったのかもしれない。
相手に夢中になっていることを周囲へ見せるより、
自分が余裕のある側でいたくなる。
ただ、その姿を保つための言葉が、
当の小雪へ届いてしまう。
友人からどう見えるかを気にした瞬間に、
彼女からどう見えるかが抜け落ちている。

もしこの会話を小雪が聞かなければ、
五十嵐の中では友人との
その場限りのやり取りで終わっていたかもしれない。
けれど、小雪には関係を続けられるかに触れる
言葉として届く。
発した本人の軽さと、
聞いた相手の受け止める重さが食い違っている。

引き止めなかった姿だけでは、 好きの深さは測れない

別れを切り出された時、五十嵐は
自分の気持ちを素直に示して
関係をつなぎ止めることができない。
小雪を好きでいたなら、
どうしてそこで本気と伝えなかったのか。
この疑問は残る。
しかし、好きなら必ず引き止めると考えると、
傷ついた時に格好をつけてしまう
彼の振る舞いが見えにくくなる。

振られる側になることは、
自分の気持ちが相手へ届かなかったと
認めることにもなる。
小雪を好きでいたと口にするほど、
相手との気持ちの差も露わになる。
五十嵐は、その恥ずかしさや傷つきから
意地を張ったと考えられる。
ただし、彼の中にどんな感情がどの順番で
起きたかまで、描かれた言動以上には決められない。

小雪からすれば、そこで引き止められなかったことは、
やはり大切にされていなかったという
印象につながりやすい。
別れるほど困っていると伝えても、
相手は本心を見せない。
彼女の中では、友人の前で聞いた態度と
別れ際の態度が、一人の五十嵐として重なる。
彼が隠した気持ちは、
隠したままでは小雪へ届かない。

一方の五十嵐には、
相手から突き放された記憶が残る。
自分がなぜ拒まれるに至ったかより、
最後に言われた言葉の強さが
胸に残っていた可能性もある。
小雪は離れるために話し、
五十嵐は離れていく相手へ素直になれない。
同じ別れを経験しながら、
後から思い出す時の痛い箇所はそろっていない。

だから、引き止めなかったことを、
その場で気持ちがなくなった証拠とまでは扱えない。
彼の態度には、恋が終わる痛みを
見せたくない意地も読み取れる。
ただ、その解釈から、卒業後までずっと
恋心を抱え続けたとも言い切れない。
別れ際に出せなかった本心があったことと、
その後の毎日をどう過ごしたかは
異なる話になる。

この時に言えなかったことがあるから、
再会して交わす言葉が効いてくる。
五十嵐にとっては、もう小雪と付き合っていなくても、
昔の自分の気持ちを話す余地が残っている。
恋人を引き止めるためには使えなかった言葉が、
今度は別れた相手へ過去を伝えるために出てくる。
その遅さが、この二人には少し切ない。

第4章 別れた後も気にしていた? 再会前後の言動から考える未練

小雪を覚えていても、今の暮らしは知らない

別れた後の二人には、
同じ学校で毎日会っている恋人同士のような
近さはない。
高校は別々で、小雪は五十嵐のいない場所で
友人と過ごしている。
それでも彼が物語に現れると、
元恋人という呼び名が強く響く。
今の小雪を知らなくても、
彼は昔の小雪を知っている。
その近さと遠さが同時にあるため、
再接触が落ち着かなく見える。

二人の距離を端的に示すのが、
湊の話す「氷川」が五十嵐へ通じない
行き違いになる。
五十嵐が知っている中学時代の小雪と、
名字が変わった現在の小雪が、
呼び方の上で結びつかない。
相手を忘れていたためではなく、
別れた後の事情まで共有していなかったことが
表れている。

元彼と聞くと、相手の家庭や近況も
知っている人のように感じる。
けれど、五十嵐はその変化を知らない。
かつて付き合ったという関係は残っていても、
今の生活が続けてつながっているわけではない。
高校で小雪の近くにいる湊と、
中学時代に彼女と付き合っていた五十嵐では、
知っている小雪の時期が違っている。

この行き違いを知ると、五十嵐が別れた後も
小雪を追い続けていたという見方には慎重になる。
少なくとも、いつも連絡を取り合い、
小雪の変化を細かく知っている関係ではない。
一方、それだけで彼が小雪を忘れたとも決まらない。
思い出の中には残っていても、
現実の相手とは離れている状態が考えられる。

小雪からすれば、五十嵐が自分を覚えているだけでも
緊張が戻る。
彼の側に恋愛感情があるかを確かめるより先に、
中学時代の自分を知る相手が目の前へ来るため。
五十嵐の登場で空気が変わって見えるのは、
彼の未練だけが働いているからとは限らない。
小雪に残る記憶の強さも、
その場の距離を作っている。

湊が知っている今の名字を、五十嵐は知らない。
この小さな差には、
小雪が彼のいない時間を生きてきたことが
表れている。
昔の恋人としては近くても、
現在の友人より遠いところがある。
その距離が、元彼という呼び名だけでは
見えない二人の今になる。

話し掛けることと、 恋人に戻りたいことは重ならない

再会した五十嵐が小雪と会話を続ける姿には、
彼女への関心を感じる。
ただ、その関心が全部恋愛へ向いているとは限らない。
昔うまく話せないまま別れた相手なら、
今は自分をどう思っているのか気になることもある。
拒まれた記憶が残っていれば、
その場で普通に話せるか自体が、
本人にとって気になる場合もある。

五十嵐の言い方に以前のぶっきらぼうさが
残っていると、まだ小雪に絡みたいのかと感じる。
けれど、口調が似ていることと、
同じ恋心が続いていることは一致しない。
親しかった頃の接し方が癖として出ている
可能性もあれば、
気まずさを隠している可能性もある。
一つの態度だけでは、
その内側をひとつに絞れない。

未練という言葉にも幅がある。
恋人として取り戻したい気持ちを指すこともあれば、
最後にああ言われたままでは苦い、
という引っ掛かりを指すこともある。
五十嵐に何か残っているように見えても、
それが必ず小雪との再交際を望む感情とは限らない。
二人の間には、
終わった恋の後に話せなかったことも残っている。

実際の再会で話題になるのは、
昔どう付き合い、
どう受け取っていたかという部分になる。
二人が過去を話せることには親しさが必要でも、
そこで今から恋人になろうという合意は生まれない。
五十嵐が求めているものを復縁だけに限定すると、
昔の自分を小雪へ伝える会話が、
すべて口説くための言葉に変わってしまう。

私はこの再会には、
まだ好きかどうかの一言では収まらない
気まずさを感じる。
五十嵐に昔の小雪への感情が残っていたとしても、
目の前の小雪はその頃のままではない。
彼女の返事を聞くことは、
自分の知っていた恋人像と実際の相手が
違っていたと知ることにもなる。
そこでは、思い出を持っている側にも
戸惑いが生まれる。

今も好きと断言できないのは、
五十嵐の中に何もないからではなく、
描かれる関心を現在の恋愛感情だけへ
狭められないためになる。
再会して話したいことがあり、
過去の自分の気持ちもある。
その先で小雪を恋人として求めるかは別の段階。
原作の二人は、
その段階へ進まずに関係を変えている。
彼が今も恋をしているかは、
その会話だけでは決まらない。
それでも、昔の小雪へ伝え損ねた気持ちが、
今の小雪へ届く場面にはなっている。

第5章 再会して何を話した? 昔は言えなかった気持ちと謝罪

コンビニから始まる、 恋人ではない二人の会話

原作10巻の第87話で、
二人はコンビニでの遭遇をきっかけに、
アイスを食べながら話す。
好きな相手を呼び出して思いを伝える約束から
始まる場面ではない。
小雪が普通に過ごしている時間へ、
かつての恋人が現れる。
相手と向き合う準備を十分にできていないところから、
昔の話へ進んでいく。

場所が身近な分、
小雪にとっては昔の記憶との落差も大きい。
二人きりで話すことを、
交際中と同じようには受け取れなくても、
相手への気まずさがすぐ消えるわけではない。
アイスを食べる穏やかな時間に、
触れにくかった話が入ってくる。
大きな事件が起きなくても、
元恋人と過去を話すだけで落ち着かない場面になる。

この会話で小雪は、別れ際に
相手を傷つける言葉を使ったことへ向き合う。
五十嵐への恋愛感情を同じようには
持てなかったことと、
その気持ちを強い言葉で伝えたことが、
彼女の中で重なっていた。
相手の気持ちを受け取れなかった自分にも、
言いたかったことがある。
再会では、五十嵐の側だけが話すわけではない。

小雪が気にしていることを言葉にすると、
五十嵐もその場で返事をする。
彼女が頭の中で思い描いていた反応と、
本人が実際に返してくる反応は必ずしも一致しない。
自分は相手にひどいことを言ったという記憶だけでは、
相手が何を覚えているかまでは分からない。
その確かめられなかった部分へ、
ようやく返答が来る。

ここは、小雪が一方的に
許しを求める場面としては受け取りにくい。
交際中に彼女が苦しかったことまで、
相手へ謝る一言でなかったことにはできない。
二人がそれぞれ違う痛みを持っているから、
同じ会話でも話し出す場所が違う。
小雪は自分の言葉を振り返り、
五十嵐は自分の気持ちを返す。
その往復によって、昔の別れに続きが生まれる。

付き合っていた頃は、
相手の反応を待つ前に
関係が進んでしまったところがある。
再会では、相手が何を言ったかを
聞かなければ会話が続かない。
恋人でいるための返事をしなくても、
その場にいられる。
小雪にとっても五十嵐にとっても、
以前の関係では難しかった話し方が、
別れた後に可能になっていると考えられる。

公園で向かい合う時間には、
クラスの友人たちの冷やかしが入り込む余地もない。
周りへ見せる恋人同士の顔を作らず、
本人の言葉に返事ができる。
昔の二人を囲んでいた空気が離れたところで、
言えなかったことが少しずつ出てくる。

昔の本心を伝える言葉が、 復縁の申し込みにはならない

五十嵐も、昔の自分の好意を
曖昧なままにせず、小雪へ伝える方向へ動く。
彼が友人の前で見せていた顔や、
別れ際の態度だけでは届かなかった気持ちになる。
小雪にしてみれば、あの交際を相手は
そんなふうに経験していたのかと、
記憶へ別の答えが加わる。
五十嵐が何も感じていなかったという
見方には収まらなくなる。

ただ、昔は好きでいたと伝えることは、
今から自分を好きになってほしいと
求めることとは異なる。
過去の話をしているうちに、
恋人への申し込みへ切り替わるわけではない。
小雪が彼の言葉を聞けるのも、
その場で交際を選び直す返事を
迫られているわけではないためと考えられる。

五十嵐にとっても、
相手が自分と同じ気持ちで付き合っていなかったことは、
受け入れやすい話ばかりではない。
自分にはうれしかった出来事が、
相手には戸惑いとして残っている。
その差が分かれば、交際できたという事実だけで、
相手を知っていたつもりにはなれない。
小雪の説明によって、
彼自身の思い出にも知らなかった面が加わる。

二人がここで共有するのは、
実は両思いのまま別れてしまったという答えではない。
五十嵐に好意があったことも、
小雪が同じようには応えられなかったことも残る。
会話によって過去の食い違いが見えるほど、
恋人として同じ時間を過ごしていたつもりの二人が、
ずいぶん違う場所にいたと分かってくる。

それなのに、会話を終えた二人の間には、
以前ほど相手を怖がり続けるだけではない
距離が生まれる。
気持ちが一致しなくても、
そのことを言葉にできたためと感じる。
五十嵐が好きでいたと分かることは、
小雪にとって復縁する入口にはならなくても、
相手について思い込んでいた部分を変える
きっかけにはなる。

この再会でほっとするのは、
五十嵐が急に物分かりのよい
別人になったからではない。
彼らしい率直さが残っていても、
小雪が自分の言葉で応じられる。
彼女も、相手を好きになったふりをせずに話せる。
交際中にはつかめなかった二人の距離が、
恋人に戻らない会話の中で見つかっていく。

第6章 小雪は五十嵐を好きになった? 話せるようになっても戻らない恋

謝ったことを、 恋人に戻りたい返事とは読めない

小雪が自分から昔の言葉を振り返ると、
五十嵐への気持ちも変わったのかと感じる。
苦手な相手なら話さずに済ませることもできるのに、
彼女は気にしていたことを口にする。
その姿には、相手から逃げたい気持ちだけではない
変化がある。
けれど、向き合えるようになることと、
好きになることは同時には起きていない。

小雪が謝るのは、五十嵐と付き合えなかった
自分を否定して、
もう一度やり直したいからではない。
相手を好きになれなかった気持ちはそのままに、
伝え方を振り返っている。
交際を断ることと、
相手を傷つける言葉を言ったことが、
再会の会話の中で分かれていく。
そのため、謝罪から恋愛感情の復活までは読み取れない。

好意を向けられていると知れば、
応えられなかった自分を責めてしまうこともある。
小雪の過去にも、相手の期待と
自分の気持ちの差に困る部分がある。
けれど、再会で彼女が相手へ返せるのは、
今から同じだけ好きになるという約束ではない。
あの時、自分はどう感じていたかを、
自分の側から伝えることになる。

五十嵐が本気でいてくれたと分かれば、
小雪には彼への印象が変わるところもある。
それでも、本気と知った途端に恋が始まるとは限らない。
優しく思えたこと、
当時の自分の言葉を悔やむこと、
もう相手を怖がるだけではなくなること。
それらが重なっても、
恋人として隣にいたい気持ちと同じにはならない。

ここで小雪が五十嵐へ曖昧に期待を持たせるためだけに
会話していると考えると、
彼女が言いにくいことを話す姿まで見えにくくなる。
再会では、相手の喜びそうな返事を選ぶより、
過去について違う気持ちを持っていたと伝えることが、
二人の会話を進めていると考えられる。
小雪の返事に恋愛感情がないことも、
その会話の一部になる。

反対に、五十嵐が気持ちを伝えたのに
報われなかったとだけ受け取るのも、少し寂しい。
恋人として選ばれなくても、
彼の気持ちは初めて小雪へ言葉で届いている。
昔の態度だけで判断され続ける相手ではなく、
自分の側から話せる相手になった。
その変化は、交際が再開しないから
消えてしまうものではない。

小雪が心を向ける湊と、 五十嵐への返事は別にある

再会が描かれる原作10巻で、
小雪はすでに湊への気持ちに悩んでいる。
湊に恋人がいると知っても、簡単には諦められない。
その時に元恋人の五十嵐と出会うため、
昔の交際と今の恋が隣り合う。
けれど、湊と進めないから五十嵐へ戻るという
流れにはならない。
相手が変われば、自分の気持ちも
都合よく切り替わるわけではない。

小雪が湊を好きでいることは、
五十嵐への返事を考える上でも関わる。
ただ、それだけを復縁しない事情へすると、
湊がいなければ五十嵐を選んだようにも見えてしまう。
中学時代から、小雪は五十嵐と
同じ恋愛感情で交際していなかった。
今の恋人候補が一人増えたために
選ばれなくなった、という関係ではない。

湊との関係に悩む小雪は、
相手を好きでいる側の苦しさにも触れている。
気持ちがあるだけでは進めず、
相手がどう考えているかも確かめきれない。
その経験の中で昔の五十嵐と会うことには、
過去を別の角度から考える余地がある。
ただし、小雪が恋を知ったから
五十嵐の行動をすべて許す、とまで話はつながらない。

彼女の現在の恋を、
五十嵐との交際で傷ついたことの
埋め合わせとして扱うこともできない。
湊は湊として、今の小雪と関わっている。
五十嵐もまた、過去に小雪と付き合った相手として、
その場で彼女と話している。
どちらかがもう一方の代わりになるわけではなく、
小雪の中に異なる関係として残っている。

再会の後に小雪と五十嵐が話せるようになると、
恋人として過ごした頃より自然に見える部分もある。
それは、五十嵐を好きになれた証拠というより、
好きなふりをして関係を保つ必要が
なくなったためと考えられる。
相手の恋心に応える役目から離れたことで、
彼女は自分の感じたことを
言葉へ出せるようになっている。

小雪が最後に五十嵐を恋人として選ばないことは、
再会の失敗にはならない。
彼を好きにならなかった気持ちを否定せずに、
彼にも本当の好意があったと知る。
その両方を持ったまま、
二人は会話を終えられる。
以前は同じ気持ちになれないために苦しかった相手と、
今度は違う気持ちのままで話せたことに、
変化が表れている。

第7章 五十嵐と小雪の再会はどう終わる? 恋人に戻らず変わった関係

再会で変わること、変わらないこと
二人の関係 再会後の変化
過去への認識 相手が感じていたことを知る
会話の距離 違う気持ちのまま言葉を交わせる
恋人関係 交際をやり直す展開には進まない

復縁しなくても、 別れた時のままでは終わらない

五十嵐と小雪は、原作で恋人関係へ戻らない。
再会して互いの気持ちを知った後も、
二人が付き合い直す展開には進まない。
小雪の恋は湊へ向かい、
五十嵐との交際が再び始まるわけではない。
元彼の本心が明かされると
復縁を期待したくもなるが、
この二人の会話は別のところへ着地する。

変わるのは、昔の相手について、
一人の中で答えを決め続けなくても
よくなることになる。
小雪が覚えている五十嵐には、
傷つける言葉を口にし、
自分の気持ちを分かってくれなかった姿がある。
一方、彼には小雪を好きでいた時間がある。
そのどちらかを消して、
どちらかだけを正しい過去へ選び直すのではない。

小雪が五十嵐へ話したことで、彼にも、
付き合っていた相手が何に困っていたのかを
知る機会が生まれる。
自分にとって恋人と過ごすうれしい時間が、
相手には同じように届いていなかった。
その返事を聞くことは、
好きでいた自分の記憶を失うことではなく、
その記憶の中に相手の感じ方を加えることになる。

五十嵐が小雪を好きでいた気持ちは、
小雪へ受け取ってもらえないままの見栄とは
違う形で伝わる。
ただし、その返事が同じ好意になるとは限らない。
そこが、この再会の優しさだけでは済まない
部分になる。
話せるようになっても、
恋人としての願いがすべてかなうわけではない。
それでも、話す前とは相手の姿が変わっている。

また、再会した二人が穏やかに過ごせることから、
過去の傷が完全になくなったとまで
考える必要はない。
小雪にとって苦しかった交際は、
昔の出来事として残る。
五十嵐が傷ついた別れも、
後から一言交わせば起きなかったことにはならない。
変わっているのは、同じ過去に触れた時の、
目の前の相手との関わり方になる。

二人が恋人へ戻らないからこそ、
今度は返事をそろえる必要がない。
小雪は彼を好きになれなかった自分を隠さず、
五十嵐も昔の好意をなかったことにせず話せる。
どちらかが相手に合わせて思い出を直すのではなく、
同じ交際について違う記憶を持っていると知る。
そのやり取りで、別れ際のまま
止まっていた会話が先へ進む。

今も好きかより先に、 本人へ届いた昔の気持ち

では、五十嵐は今も小雪が好きなのか。
はっきり言えるのは、
中学時代に向けていた好意が本物で、
別れ際の態度だけではその気持ちを
十分に伝えられていなかったことになる。
一方で、高校で再会した彼が
小雪との復縁を望み続けているとまでは、
会話の結末から断定できない。
昔の好意が伝わった後も、
今の恋心については言い切れない部分が残っている。

彼が小雪を完全に忘れていた、
もう何の感情も持っていないと決めるのも、
会話に残る気まずさや親しさとは重ならない。
相手を覚えていて、話すことがあり、
自分の気持ちを伝え直す。
それだけでも、元恋人との間には
ほかの同級生とは違う時間がある。
ただ、その特別さがそのまま
恋人になりたい願いを指すわけではない。

今も好きならなぜ復縁しないのか、
という問いにも、小雪自身の気持ちがある。
五十嵐の恋が続いていたとしても、
彼女が同じ相手を選ぶとは限らない。
好意の強さだけでは決められないことが、
中学時代の交際にも、再会した後にも残っている。
二人の結末には、
五十嵐の本心だけでなく小雪の返事が含まれている。

再会の場面が少しほっとするのは、
小雪が相手を好きにならなくても、
話を終えられるところになる。
昔の好意を知ったから交際を受け入れる、
という返事をしなくていい。
五十嵐の気持ちは言葉として届き、
小雪の気持ちも相手へ返る。
恋人同士でいられなかった二人が、
それぞれの側から話せるようになっている。

五十嵐は、昔の態度だけを残して
小雪の前から消える人物にはならない。
好きでいた気持ちを伝え直すことで、彼自身にも、
別れた相手との会話を
違う形で終える機会がある。
小雪も、苦手な元彼という印象だけで
彼を遠ざけ続ける状態から変わっていく。
二人が同じ未来を選ばなくても、
それまで言えなかった言葉は残る。

小雪との交際を取り戻す結末ではなく、
交際中にはできなかった話を、
別れた後にできる結末。
五十嵐の再会には、
その遅れてきた会話の切なさがある。
好きでいた時間は確かにあっても、
彼女と同じ気持ちではなかった。
ようやくそれを口にできた二人は、
恋人へ戻る約束を交わさず、
昔とは違う距離で向き合っている。

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