オルステッドが「社長」と呼ばれるのは、後にルーデウスが彼の配下となり、共通の敵ヒトガミへ対抗するため仲間を集めて動くからだ。
ルーデウスはその集団を「オルステッドコーポレーション」と呼び、オルステッドを社長、自分たちを働く側になぞらえる。
第1期第21話では殺されかけた相手が、なぜ家族を守るための上司になるのか。その変化をたどる。
第1章 結論|オルステッドが「社長」なのは、ルーデウスたちの活動を率いるから
「オルステッドコーポレーション」はルーデウス自身も使う呼び名
オルステッドを「社長」と呼ぶのは、
視聴者が勝手につけたあだ名ではない。
原作ではルーデウス自身が、
オルステッドのもとで動く人々を
「オルステッドコーポレーション」
という会社になぞらえている。
社長にあたるのがオルステッド。
そのもとで各地を回り、人と交渉し、
仕事を進めるのがルーデウスだ。
彼は恐ろしい龍神を上司のように呼び、
自分たちの活動を会社の仕事にたとえる。
第1期第21話の二人を覚えていると、
この呼び名だけで驚くはずだ。
初めて会った時、オルステッドは
ルーデウスの胸を貫いた相手だった。
エリスとルイジェルドでも止められず、
ナナホシが助けを求めなければ、
ルーデウスは命を落としていた。
あの龍神が後に「社長」と呼ばれ、
ルーデウスがその配下として働く。
呼び名の面白さは、この変化にある。
ただし、呼び名が軽くても、
二人の仕事は軽いものではない。
共通して向き合う相手はヒトガミ。
人を使って遠くから仕掛けてくるため、
オルステッドが一人で強いだけでは
守りたいものを守りきれない。
ルーデウスは人と会い、味方を増やし、
次の危険に備える役を担っていく。
原作では、事務所や秘書が登場し、
「社長」「会長」という呼び名も使われる。
さらにMFブックスの記念短編には、
創立八周年を祝う集まりまで描かれた。
一度だけ出たネットの冗談なら、
ここまで話は続かない。
「コーポレーション」は作中でも
長く使われる、二人の関係を表す言葉だ。
もっとも、第3期第14話の段階で
ルーデウスが会社へ入ったわけではない。
今の彼はヒトガミの要求を受け、
オルステッドへ戦いを挑もうとしている。
後に社長と呼ぶ相手を、
この時点では倒すべき相手と見ている。
そこから何が起きて関係が変わるのかが、
この呼び名で最も気になるところだ。
答えは、ルーデウスが家族を
ヒトガミから守りたいことにある。
ヒトガミへ直接手を伸ばせない彼と、
ヒトガミを追い続けてきた龍神。
対立しているように見える二人には、
同じ相手へ向かう道が残っていた。
「社長」は、敵同士だった二人が
その道を共に進み始めた後の呼び名だ。
敵だった龍神の配下に入り、ヒトガミへ対抗していく
ルーデウスがオルステッドの配下になると、
第1期第21話で見えた関係は逆転する。
あの時のオルステッドは、
ルーデウスをヒトガミの使徒と見て襲った。
ルーデウスには、初対面の強敵から
突然命を狙われた経験として残る。
だから第3期で再戦を決めることも重い。
しかし、第3期ではヒトガミの助言が
家族を脅かすものだったと分かる。
地下室へ行った先の悲劇を、
老いたルーデウスの日記で知った後、
現在のルーデウスはロキシーや
シルフィたちを守ろうとする。
ヒトガミを信じられなくなっても、
逆らえば家族に何をされるか分からない。
ここで、二人の立場が交わる。
オルステッドはヒトガミと敵対している。
ルーデウスも、家族を狙われた以上、
ヒトガミの言葉に従い続けたくはない。
だがオルステッドが味方になると
知らない段階では、彼を倒す以外に
家族を守る道が見えていなかった。
後の関係を動かすのは、
ルーデウスの戦う目的を
オルステッドが知ることだ。
ルーデウスは龍神そのものを
倒したくて動いているのではない。
妻や子供へ手を出させたくないから、
命懸けで目の前に立っている。
その願いが伝わって初めて、
敵対以外の道が開かれる。
オルステッドのもとへ入った後も、
ルーデウスの目的は変わらない。
社長に褒められるためでも、
世界最強の側につきたいからでもない。
家族を守るために必要な情報を得て、
ヒトガミの使徒への備えを進める。
会社という呼び方の奥には、
家へ無事に帰るための仕事がある。
だから「就職編」という呼び名には、
冗談と本筋の両方が入っている。
ルーデウスは各地へ出向き、
オルステッドへ報告し、
仲間と役割を分けて働くようになる。
一方で、一つの失敗が家族や
協力者の命に関わることもある。
社長と部下の軽いやり取りだけでは
済まない活動なのだ。
第1期でオルステッドの姿を見ると、
一緒に働く光景は想像しにくい。
だからこそ「社長」は、
龍神の正体を説明するだけでは
伝わらない呼び名になっている。
ルーデウスを殺しかけた男が、
彼の家族を守るための後ろ盾になる。
二人の関係がそこまで変わることを、
短い一語が知らせている。
第2章 第1期第21話では、オルステッドはどんな相手だった?
ルイジェルドとエリスを退け、ルーデウスを倒した初遭遇
第1期第21話「ターニングポイント2」で、
ルーデウスたちはオルステッドと出会う。
魔大陸から故郷を目指してきた
ルーデウス、エリス、ルイジェルド。
三人で危険を越えてきた旅の途中に、
それまでとは違う重圧を持つ男が現れた。
オルステッドは初めて会ったはずなのに、
エリスやルイジェルドのことを知っている。
一方で、ルーデウスのことは知らない。
この奇妙な食い違いも不気味だが、
決定的だったのはヒトガミの話だ。
ルーデウスがその名を知っていると分かり、
オルステッドの態度が変わる。
ルイジェルドは槍を構えて戦うが、
オルステッドは間合いを崩し、
彼を動けなくする。
エリスもルーデウスを守ろうと
剣を振るうが、一撃を返されてしまう。
二人とも長い旅で実力を示してきた。
それでも龍神を止められないことが、
画面の中で次々と突きつけられる。
残されたルーデウスも魔術で抵抗する。
だがオルステッドは攻撃を退け、
彼の胸を貫いた。
第1期第8話の転移事件から
三人で積み重ねてきた旅が、
ここで途切れかける。
敵の強さを見せるだけでなく、
エリスが剣の聖地へ向かう発端にも
なった戦いだ。
ルーデウスが助かったのは、
オルステッドと同行していた
ナナホシが助命を求めたためだった。
つまり第21話を見た視聴者にとって、
オルステッドは強い知人ではない。
一度ルーデウスを死の寸前まで
追い込んだ相手として記憶される。
ここで「社長」という呼び名を聞けば、
なぜその人の下で働くのかと
疑問が湧くのは当然だ。
ルーデウスは怖さを忘れていないし、
エリスも彼を守れなかった日を覚えている。
後に同じ陣営へ入るという変化は、
第21話の戦いを消して成立するのではない。
あの出来事を背負ったまま起こる。
さらに、ルーデウスとオルステッドは
ヒトガミについて知ることが違う。
第1期のルーデウスには、
夢の中で助言する存在だった。
オルステッドには、戦うべき相手だ。
同じ名を聞いて反応が食い違ったことが、
第21話の衝突を生んでいる。
二人が後に組むためには、
まずその認識が変わらなければならない。
第3期第14話、ルーデウスはなぜ再び龍神に挑もうとするのか
第3期第14話までにルーデウスは、
ヒトガミの助言を疑うだけでは
済まないところへ追い込まれる。
老いた自分が持ってきた日記には、
家族を失っていく未来が記されていた。
第1期では助言者に見えた存在が、
現在の家庭を脅かしていると知る。
ルーデウスにはシルフィとロキシーがいる。
娘のルーシーも生まれ、
家にはゼニスや妹たちも暮らしている。
第2期でパウロを失った時、
取り戻せない命があることも知った。
老デウスの日記に書かれた惨状を、
ただの脅しとして聞き流せない。
守りたい顔が、今の家にそろっている。
それでもヒトガミに従う道は苦しい。
家族を狙った相手の言葉だからだ。
しかしオルステッドを倒せという要求を
拒めば、家族が次にどうなるか分からない。
第1期第21話で龍神の強さを
体で知っているルーデウスが
再び挑もうとするのは、
勝てる自信があるからではない。
ルーデウスは準備を進める一方で、
エリスへも手紙を出す。
その追伸には、オルステッドと戦い、
生きて戻れたら話を続けたいとある。
五年ぶりの関係をどうするかより先に、
生きて帰れるかを案じている。
エリスがその文面を聞いて急いだのも、
第1期の戦いを知っているからだ。
第14話の時点で見える龍神像は、
なお「倒さなければならない相手」だ。
ルーデウスには家族を守る条件があり、
エリスには過去の敗北がある。
二人ともオルステッドを
親しい味方として見ていない。
だから視聴者にとっても、
この先で彼を社長と呼ぶ展開は意外になる。
だがルーデウスが守りたい家族を
脅かしているのは誰なのか。
第1期には、その答えが見えていなかった。
ヒトガミの助言を受けるルーデウスを
オルステッドが敵と見た一方で、
ルーデウスはヒトガミの危険を
まだ十分には知らなかった。
第3期で、その食い違いが変わり始める。
第21話の敵が社長になる入口は、
最初から仲が良かったという話ではない。
同じ相手に追い詰められながら、
互いを敵だと思っていた二人が、
何を守り、誰と戦うのかを知ることだ。
ルーデウスが龍神へ挑む決断は、
命を懸けた対立であると同時に、
後の関係へ進む直前の出来事でもある。
第3章 ルーデウスはどうやってオルステッドの部下になる?【原作ネタバレ】
命を懸けた再戦の後、敵対関係が変わる
第3期第14話の先で、ルーデウスは
オルステッドとの再戦に向けて準備を進める。
第1期第21話では、魔術を使っても
胸を貫かれ、ほとんど何もできなかった。
今回は同じ失敗を避けるため、
装備と戦い方を考えて龍神を待つ。
彼の目的は名声でも雪辱でもない。
家族へ手を出させないことだ。
戦いはルーデウスにとって、
勝ち目の薄い相手への挑戦になる。
オルステッドの力は知っている。
それでもヒトガミに従わなければ、
シルフィやロキシー、子供たちを
失うかもしれないと恐れている。
嫌な相手の要求を受けてでも
家族を守ろうとしたところに、
この再戦の苦しさがある。
駆けつけたエリスも戦いに加わる。
第1期第21話では、龍神に剣を放って
一撃で退けられた彼女が、
今度はガルから学んだ対処を使う。
すぐに斬り込まず、相手の出方を待つ。
ルーデウスと共に戦える位置へ立つため、
剣の聖地で重ねた修行がここで生きる。
だが、エリスが来ても
オルステッドを簡単には倒せない。
ルーデウスは追い詰められ、
戦いを終える頃には深い傷を負う。
周囲にいる者たちも、
龍神をすぐ信じられる状況ではない。
初めて会った時の敗北だけでなく、
今まさに命を懸けて戦った直後なのだ。
ここで変わるのは、オルステッドが
ルーデウスを見る目である。
彼はこれまでルーデウスを、
ヒトガミに従う危険な存在と見ていた。
ところが目の前にいる男は、
ヒトガミを信じて動いているのではない。
家族を脅され、追い詰められた末に
龍神へ挑んできたと分かる。
オルステッドはルーデウスに、
ヒトガミの側を離れて
自分のもとへ来る道を示す。
ルーデウスの周囲にいるエリスや
シルフィは、その申し出を警戒する。
つい先ほどまで戦っていた相手の言葉を、
その場で信じられないのは当然だ。
第1期の記憶も、まだ残っている。
ルーデウス自身も、すぐに安心しない。
相手がオルステッドだから怖い。
しかし、ヒトガミの助言を受け続けても、
家族の安全は守れないと知っている。
龍神にはヒトガミと戦う力があり、
自分たちを守る手立てもあるという。
その可能性を前にして初めて、
倒す以外の選択を考える。
ルーデウスが確かめたかったのは、
会社に入れば得をするかではない。
ヒトガミから家族を守れるのか、だ。
オルステッドも絶対に安全だとは
言い切らないまま、方法を示す。
その言葉を聞いたルーデウスは、
家族を助けてほしいと願い、
龍神の配下になる道を選ぶ。
家族を守りたいルーデウスと、ヒトガミを追うオルステッドが手を組む
二人の目的は、最初から
まったく同じだったわけではない。
オルステッドはヒトガミを追っている。
ルーデウスが何より守りたいのは、
家で暮らす妻や子供たちだ。
だがヒトガミがその家族を狙う以上、
どちらの道も同じ敵へ向かっていく。
この関係では、オルステッドの強さと
ルーデウスにできることが違う。
龍神には第1期で三人を圧倒した
戦闘力と、長く積み重ねた知識がある。
一方のルーデウスは人と会い、
話を聞き、自分のつながりを通じて
協力を求めることができる。
腕力だけで決まる上下関係ではない。
ルーデウスには、オルステッドの
恐ろしさを知るという強みもある。
第1期第21話で胸を貫かれた記憶を
忘れたから配下になれたのではない。
怖い相手だと分かった上で、
ヒトガミに家族を握られ続けるより
ここで手を組む道を選んだ。
「社長」という軽い呼び方の前に、
命を賭けた決断がある。
後にルーデウスが呼び出しを受けると、
服装を気にしながら郊外の小屋へ向かう。
第1期なら龍神のいる場所へ
自分から行くなど考えられなかった。
それでも新しい上司の前に出るつもりで、
身なりを確かめ、戸をたたく。
恐怖と、いつものルーデウスらしい
仕事への身構え方が同居する場面だ。
エリスはその訪問にもついてくる。
彼女はオルステッドを疑い、
ルーデウスがだまされていないか
剣に手を掛けて警戒する。
ルーデウスは、もし本当に
裏切られたと分かったら
一緒に戦ってほしいと伝える。
配下になっても、周囲の不安まで
一日で消えたわけではない。
小屋でオルステッドと話すうちに、
ルーデウスは上下関係を明確にする。
龍神の下で働き、ヒトガミへ備える。
ただし家族から引き離され、
戻れないまま働き続けるつもりはない。
妻子に会う時間について尋ねる姿は、
彼が何のために危険な仕事を
引き受けたかを思い出させる。
オルステッドも、家族を守ろうとした
ルーデウスの姿を見ている。
ヒトガミの使徒かもしれないと
警戒していた相手を受け入れたのは、
ただ魔力が大きいからではない。
死にかけても家族を守ろうとした
意志を信じ、共に動くと決めた。
敵から上司と部下への変化には、
この相手への見方の変化がある。
第4章 オルステッドコーポレーションとは何をする集団?【原作ネタバレ】
ヒトガミの使徒に備え、各地の人物と協力関係を築く
オルステッドの配下になっても、
ルーデウスの仕事は毎日、
敵と剣や魔術を交えることではない。
ヒトガミは人に助言し、
自分に都合のよい行動へ導いていく。
誰がその言葉を聞いているのか、
次にどこで動くのかも見えにくい。
だから力のある龍神と魔術師が
二人で待つだけでは足りない。
最初に大きく関わるのが、
アスラ王国の王位を目指すアリエルだ。
彼女はラノア魔法大学で
シルフィと共に過ごしてきた人物。
ペルギウスの協力を得て
祖国へ戻る道を探している。
ルーデウスは、彼女が抱える問題と
ヒトガミへの備えをつなぎ、
協力できる道を考える。
ここで役立つのは、ルーデウスが
前の期から築いてきたつながりだ。
幼い頃から知るシルフィは、
アリエルの護衛として彼女を支える。
ザノバやクリフとは魔法大学で出会い、
ペルギウスともすでに顔を合わせた。
こうした関係を持つルーデウスなら、
龍神だけでは開きにくい扉へ行ける。
アリエルと話す場面でも、
ルーデウスは命令を届けるだけではない。
彼女が王になるために
何を必要としているかを聞き、
自分も手を貸したいと申し出る。
相手にも望みがあり、
こちらにも守りたい家族がある。
両方を見た上で協力を取りつけることが、
後の活動の土台になる。
問題は、ヒトガミの使徒が
敵だと名乗って現れるとは限らないことだ。
アリエルの近くにいるルークの行動にも、
注意を向けなければならなくなる。
彼をただ倒せば済む話ではない。
アリエルへの忠誠や、
シルフィとの長い関係もある。
誰を守り、誰を警戒するかを
人間関係ごと考える必要がある。
ペルギウスを訪ねることも、
力を増やすための重要な一歩だ。
第3期前半までにルーデウスは、
空中城塞で彼と話し、
すぐには動かせない人物だと知っている。
アリエルを助けたいだけでも、
龍神の名を出すだけでも足りない。
相手が何を見て判断するかを考え、
協力へつなげなければならない。
このように活動の中心には、
訪問し、話し、確かめる仕事がある。
ヒトガミに対抗するには、
使徒が動く前から備えを作り、
一つの事件が終わった後も
次の土地へ目を向ける必要がある。
「コーポレーション」という呼び名は、
戦いが日々の仕事になっていく
ルーデウスの暮らしにも合っている。
戦いだけでは済まない、交渉・連絡・事務所での仕事
オルステッドには強い力があるが、
その力だけで人を集めることは難しい。
第1期第21話では、姿を見ただけでも
周囲が強い恐怖を覚えていた。
本人が善意で近づいても、
相手が落ち着いて話せるとは限らない。
その隔たりを埋めるためにも、
ルーデウスの役割は大きい。
例えばアリエルとの協力では、
ルーデウスが先に彼女と話し、
どこまで助けるかを確かめる。
ヒトガミの使徒への備えと、
アリエル自身の王位への道を
同じ場で進めていく。
オルステッドがすべてを
力で決めるやり方では、
こうした関係は築きにくい。
やがてアリエルもオルステッドと向き合い、
互いに任せる仕事が生まれる。
ルーデウスが使徒への対応に動き、
アリエルはルークや貴族たちと話す。
一人で全部抱えるより、
それぞれが得意な場所へ立つ。
「社長」の下で動く集団という呼び方が、
ここでは具体的な働き方になる。
さらに活動が続くと、
オルステッドの事務所も登場する。
そこには連絡を取り、
来客に応じる秘書がいる。
ルーデウスが戻れば、
社長がいるかを尋ねて奥へ向かう。
第1期に龍神と向かい合った荒野から、
同じ相手を訪ねる場所が
仕事場へ変わっているのが面白い。
ただし、事務所があるから
普通の商売を営む会社だと
考えると話を取り違える。
仕事の先にあるのは、
ヒトガミの働きかけを見つけ、
家族と協力者を守りながら
将来の戦いへ備えることだ。
社長や社員という呼び名は、
長い活動を進める二人の
関係を分かりやすく表している。
ルーデウスにとっては、
報告や相談ができる相手がいることも大きい。
地下室の件では、家族に迫る危険を
一人で受け止めきれなかった。
オルステッドの配下になってからは、
龍神の知識を聞き、
各地で得た情報を持ち帰れる。
家族を守るための重荷を、
動ける仲間と分けられるようになる。
初登場時のオルステッドを知るほど、
「オルステッドコーポレーション」は
奇妙で、記憶に残る言葉だ。
胸を貫いた龍神のもとへ
ルーデウスが自分から通い、
人と人をつないで働く。
怖い相手との上下関係から始まったものが、
共通の敵に備える活動へ育っていく。
第5章 ルーデウスは社長のもとで何を任される?【原作ネタバレ】
各地へ足を運び、仲間を増やしていくルーデウス
オルステッドの配下になった
ルーデウスの最初の大きな仕事は、
アスラ王国の王位を目指す
アリエルを助けることだ。
第2期のラノア魔法大学でも
会っていた王女の問題が、
ヒトガミへの備えにつながっていく。
オルステッドは各地の人物や
今後起こり得る出来事を知っている。
しかし、その知識を持つだけで
アリエルを王にできるわけではない。
本人に会い、協力を頼み、
必要な相手との間をつなぐ人がいる。
そこで実際に動くのがルーデウスだ。
仕事の相談では、オルステッドが
方針を示し、ルーデウスが動くと決まる。
まずアリエルとルークに接触し、
ペルギウスの協力も視野に入れる。
だが、ルーデウスは言われたことを
そのまま伝えるだけではない。
シルフィが仕えるアリエルを
危険から守りたい思いも持っている。
第2期の魔法大学で、
ルーデウスはアリエルの周囲と
長く顔を合わせてきた。
シルフィは王女の護衛を務め、
ルークも彼女のそばにいる。
初対面の龍神が突然現れるより、
ルーデウスが話を持ち込む方が
相手の事情を聞ける。
過去に築いた関係が仕事になる。
ペルギウスへの働きかけも同じだ。
第3期前半で空中城塞を訪れた時、
アリエルは後ろ盾を求めていた。
しかし、望むだけでは
ペルギウスを動かせない。
ルーデウスは双方が何を求め、
どこで協力できるかを考える。
人と会って言葉を交わすことが、
龍神の戦いを前へ進める。
また、相手がヒトガミの使徒かどうかは、
見ただけで決まるものではない。
ルークへの疑いが生じても、
彼はアリエルを支えてきた人物だ。
シルフィにとっても近しい相手で、
乱暴に扱えば周囲との関係まで壊れる。
使徒への備えと、目の前の人を
どう守るかを同時に考えなければならない。
ルーデウスは魔術で戦うだけなら、
以前から強い。
しかし会社にたとえた時の仕事は、
強敵を倒す一回の戦闘より長い。
訪問の約束を取りつけ、
相手の返事を聞き、次の手を決める。
シャリーアからアスラへと動く過程には、
そうした積み重ねがある。
この働き方は、第1期の彼ともつながる。
魔大陸ではエリスとルイジェルドの間で
進む道を考え、町では人と交渉した。
第2期では魔法大学で仲間を増やし、
ゼニスを救うため遠い迷宮へ向かった。
社長の配下になって急に別人になるのではない。
これまで培った力を、今度は
家族の未来を守る仕事へ使うのだ。
アリエルらが加わり、一人ではできなかった仕事を分け合う
アリエルとの協力が形になると、
オルステッド側の動き方も変わる。
ルーデウスだけが各地へ行き、
全員を説得して戦うのではない。
アリエルには王女としての立場と、
貴族やルークへ働きかける力がある。
それぞれが動ける場所で
仕事を引き受けるようになる。
アリエルがオルステッドと話す場面では、
相手を怖がりながらも話を進める。
龍神の姿を見て平気になるわけではない。
それでも、自分が王になるために
力のある協力者が必要だと分かっている。
恐怖だけで席を立たず、
何を任せ合えるかを確かめる。
そこでアリエルは、
ルークや貴族たちへの対応を
自分に任せてほしいと申し出る。
ルーデウスにはヒトガミの使徒への
備えに力を使ってもらう。
オルステッドもその提案を受ける。
誰か一人に全て背負わせないことで、
王位争いと使徒への対応が進む。
この場面には「社長」と呼ばれる
オルステッドの姿がよく表れる。
彼は方針を示すが、
アリエルが持つ力まで奪わない。
何を担当したいかを聞き、
任せられる仕事を任せる。
強さだけで人を従わせるのでは、
同じ動きは生まれない。
ルーデウスにとっても助けになる。
使徒を警戒しながら、
アリエルのそばにいる全員の行動まで
自分で見張ることは難しい。
王女自身がルークや貴族と話せば、
彼は別の危険へ目を向けられる。
「仲間が増える」とは、
名前を並べることではない。
負担を分けられる人が増えることだ。
仕事に出るルーデウスへの
オルステッドの対応も具体的だ。
再戦で壊れた魔導鎧を見て、
今後使う装備について相談する。
闘気をまとえない彼のために
防具や魔力付与品も考える。
戦わせるだけではなく、
生きて帰るための支度をさせる。
ルーデウスが家族と過ごす時間を
求めた時も、オルステッドは
守ろうとした家族から
彼を引き離すつもりはないと伝える。
ルーシーの成長を見たい父親にとって、
これは小さな条件ではない。
何を守るために働くのかを、
上司も理解しているからだ。
こうして見ると「就職」という呼び名には、
賃金や装備だけでなく、
仕事の分担と帰る家が入っている。
ルーデウスは社長の指示で動くが、
家族を置き去りにして
命令だけをこなす部下にはならない。
オルステッドの目的と、
ルーデウスの暮らしが両立する形を
二人で作り始める。
第6章 怖い龍神なのに、なぜ「社長」として慕われる?【原作ネタバレ】
人を怖がらせる呪いが、仲間や事務所の仕事にも及ぼす影響
第1期第21話のオルステッドは、
ただ強いから怖がられたわけではない。
彼には、見た相手に嫌悪や恐怖を
抱かせる呪いがある。
ルイジェルドとエリスが警戒し、
ルーデウスも胸を貫かれたあの遭遇は、
力と呪いの両方が残る場面だった。
この呪いがある限り、
人を集めること自体が難しい。
オルステッドが事情を説明しても、
相手が顔を見ただけで身構える。
アリエルのように必要を感じて
話し合いを続ける人物でも、
恐れが完全に消えるわけではない。
強い龍神のもとに人が集まるには、
間に立つ者や接し方の工夫が要る。
ルーデウスはオルステッドと
向かい合って話すことができる。
第1期の戦いを覚えているから
相手を怖がらない、という話ではない。
危険を知りながらも、
呪いによって一方的に拒む状態には
ならず、自分で配下になると決めた。
社長と部下の会話が成り立つ
大切な違いだ。
それでもルーデウスの家族や
協力者まで同じようにはいかない。
エリスは再戦後も龍神を疑い、
ルーデウスとの面会についてくる。
守りたい相手を一度倒した男を、
すぐ信用しないのは自然だ。
オルステッドの側に入った後も、
家族の警戒と向き合う時間が必要になる。
後に登場する事務所では、
呪いを抱えたまま働く姿が見える。
秘書は受付にいて連絡を扱うが、
奥にいるオルステッドとは
顔を合わせず、文面を通じてやり取りする。
社長がいる建物で働きながら、
本人とは距離を取れる形にしている。
強い龍神にも、働く場での制約がある。
ルーデウスが事務所を訪れた際には、
建物の雰囲気からオルステッドが
中にいると感じ取る。
受付を通り、奥の社長へ会いに行く。
第1期には道で出会うだけで
命を落としかけた相手が、
今は仕事の報告をする相手になった。
同じ龍神への近づき方が変わっている。
だから社長と呼ばれる姿にも、
恐怖がなくなったわけではない。
本人は圧倒的に強く、
呪いも事務所から消えない。
その条件の中で、どうすれば
人が力を貸し、仕事を続けられるか。
ルーデウスが間に入り、
秘書が文面で連絡する光景は、
その答えの一つになっている。
秘書への気遣いに見える、初登場時とは違うオルステッド
事務所へ戻ったルーデウスは、
受付にいる秘書に社長の所在を聞く。
そこではルーデウスが「会長」、
オルステッドが「社長」と呼ばれる。
ルーデウス自身も、会長の方が
上の立場に聞こえると気にする。
呼び名のやり取りまで、
普通の職場に近づいている。
しかし秘書の働き方を見ると、
普通の職場とは言いきれない。
彼女は奥の部屋の社長と
直接顔を合わせないようにし、
文面による連絡を担っている。
オルステッドの呪いを知るほど、
この距離の取り方が必要だと分かる。
怖がる社員を叱って慣れさせるのではない。
ルーデウスは、仕事で困ったことが
あれば言うよう秘書に伝える。
できることは改善したいという言葉に、
彼女は驚いた様子を見せる。
だが驚いたのは、社長が反対のことを
言っていたからではない。
オルステッドからも同じように
不満があれば伝えてほしいと言われていた。
第1期第21話の印象が強いと、
この一場面は意外に映る。
あの時は、質問への答えを聞いた直後に
ルーデウスへ襲いかかった龍神だ。
その同じ人物が、事務所では
働く人の困り事を聞こうとする。
怖い見た目や呪いと、
相手への接し方は必ずしも同じではない。
ルーデウスへの態度にも表れる。
再戦で傷つけた相手を配下に迎え、
家族と会う時間を求められれば
その願いを退けない。
壊れた装備を見て次の備えを考え、
本人が知らないことには説明する。
仕事の危険は残っていても、
任せた部下を使い捨てる姿ではない。
だからルーデウスが
「オルステッドコーポレーション」を
働きやすい会社になぞらえるのも、
怖い顔との落差だけを狙った冗談ではない。
龍神は強い命令を出す一方で、
仕事を任せる相手の生活や装備、
働く場所にも目を向ける。
それを見たルーデウスだからこそ、
「社長」という言葉が口から出る。
もちろん、オルステッドは
誰とでも気軽に笑い合える人物にはならない。
受付の秘書にも、アリエルにも、
呪いを踏まえた距離が必要だ。
それでも、怖がられる自分のもとで
人が働けるようにすることはできる。
第1期の「近づけない龍神」と
後の「会いに行ける社長」をつなぐのは、
その積み重ねなのだ。
第7章 オルステッドコーポレーションはその後どうなる?【原作ネタバレ】
事務所で使われる「社長」「会長」という呼び名
オルステッドのもとで働くようになった後、
ルーデウスは各地へ出向き、
協力者を訪ね、仕事の結果を持ち帰る。
活動が続くと事務所も置かれ、
受付には連絡を扱う秘書が座る。
第1期第21話で龍神と向かい合った時には、
想像できなかった日常だ。
事務所を訪れたルーデウスは、
秘書から「会長」と呼ばれる。
一緒に来たアイシャにも「顧問」という
役職がついている。
ルーデウスが奥にいる
オルステッドの所在を尋ねる時には、
相手を「社長」と呼ぶ。
名前だけでなく、仕事場でも
その呼び名が使われている。
ここでルーデウスは、
自分が会長でオルステッドが社長では、
自分の方が偉く聞こえると気にする。
第1期第21話では命を奪われかけ、
再戦後には龍神の配下になった人が、
今度は役職の響きを心配している。
力関係は分かっているのに、
呼び方だけが少し噛み合わない。
そのやり取りは笑えるが、
二人の立場が消えたわけではない。
オルステッドが大きな方針を持ち、
ルーデウスが各地で人と会って動く。
アイシャにも仕事があり、
秘書は来客と文書を扱う。
「社長」という呼び名は、
一緒に働く人々が増えた後だから
事務所の中でも通じるようになった。
ルーデウスは別の土地へ行く時にも、
オルステッドコーポレーションという
呼び名を使っている。
アリエルとの協力を、
大きな後ろ盾として示そうとする場面だ。
第3期第14話でオルステッドを
倒そうとしていた頃とは違い、
龍神と結んだ関係を生かして
相手との交渉に臨んでいる。
ただ、名前に「コーポレーション」と
入っているからといって、
ヒトガミとの戦いが商売になるわけではない。
各地に人を訪ね、味方を作り、
使徒が動けば対処する。
ルーデウスが家庭へ戻れるように
備えることも、その活動の一部だ。
会社の言葉を使うことで、
長く続く仕事として見えてくる。
第1期第21話でルーデウスは、
オルステッドを止められなかった。
後に事務所の受付を通って
「社長」に会いに行けるのは、
あの日の出来事を忘れたからではない。
ヒトガミに家族を狙われた経験と、
龍神との再戦を越えたからだ。
軽い呼び名の中に、そこまでの道がある。
創立八周年の集まりに、ルーデウスたちとの関係がどう表れる?
MFブックスの記念短編では、
オルステッドコーポレーションの
創立八周年を祝う集まりが描かれる。
場所は事務所の地下。
部屋には飾りが置かれ、
大きなケーキにろうそくが立つ。
長い戦いの途中で、仲間たちが
一つの部屋へ集まった場面だ。
そこにはアリエル、ザノバ、クリフ、
リニア、プルセナ、アイシャらがいる。
第1期や第2期から登場してきた人物が、
それぞれ違う立場で仕事に関わっている。
魔法大学の友人も、王国を率いる人物も、
最初から龍神の仲間だったわけではない。
ルーデウスが各地で人とつながり、
活動を重ねた先にいる顔ぶれだ。
ところが、会場の空気は
明るい祝いの席とは少し違う。
ケーキの前にいるオルステッドを見て、
参加者たちは緊張している。
仮面で顔を隠していても、
何か重大な儀式が始まるのではと
身構えてしまう。
事務所を作り、人が集まっても、
龍神を怖がる気持ちは残るのだ。
ルーデウスが司会となり、
祝いのために集まったのだと伝える。
アリエルは皆の前に進み、
ヒトガミへ対抗する仲間として
オルステッドへ言葉を贈る。
二人が初めて会った頃なら、
同じ場所でこんな役を担うことは
考えにくかった。
アリエルもまた、協力を続けてきた一人だ。
オルステッド自身は、
突然用意された集まりに戸惑う。
それでもルーデウスに促され、
ケーキのろうそくへ向き直る。
火が消えると、周囲から拍手が起こる。
全員が心から気楽になった
華やかな宴、というわけではない。
怖い龍神と仲間たちの間に、
少しずつ場ができていく光景だ。
この短編で印象に残るのは、
オルステッドを別人に変えていないこと。
参加者はなお緊張し、
オルステッドも祝い方に慣れていない。
ルーデウスが間に入り、
何のために集まったかを伝えることで、
ようやく同じケーキを囲める。
第1期で人を遠ざけていた龍神のそばに、
これだけの人がいることが大きい。
第3期第14話の視聴者が
「オルステッドコーポレーション」と聞くと、
急に仲良くなる展開のように
感じるかもしれない。
だが原作で描かれるのは、
一度ルーデウスを倒した相手と手を組み、
怖がる人々の間をつなぎながら、
何年も同じ目的へ向かう道のりだ。
だから創立八周年を祝う席にも重みがある。
オルステッドが「社長」と呼ばれるのは、
恐ろしい龍神を笑いの対象にしたからではない。
ルーデウスが配下として働き、
各地の仲間が役割を持ち、
戻って報告できる場所ができたからだ。
あの第1期第21話を覚えていれば、
事務所の奥にいる社長へ
ルーデウスが自分から会いに行く姿だけで、
二人の関係がどれほど変わったか分かる。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。
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