ナナホシの敬語が「すっげー違和感」に聞こえたのは、二人の仲が悪くなったからではなく、研究失敗やドライン病で何度もルーデウスに助けられ、今まで遠慮なく接してきた自分を急に意識したから。
第11話では「年上なのにぞんざいだった」と一度だけ距離を取り直すが、ルーデウスは敬語をやめさせ、これまで通りの関係へ戻している。
つまり「急によそよそしい」敬語ナナホシは、二人が離れた場面ではなく、むしろ第2期から積み上げた近さが逆に浮き彫りになった場面になる。
第1章 ナナホシはなぜルーデウスに敬語?仲が悪くなったわけではない
命を救われたことで、今までの接し方を急に申し訳なく感じた
第11話でナナホシが、
ルーデウスへ突然敬語を使ったため、
「なんで急によそよそしくなった?」
と感じた人は多い。
しかし二人の関係が悪化したわけではない。
むしろ逆。
今回まで積み重なった恩を、
ナナホシ自身が急に強く意識した結果になる。
ソーカス草によって、
ドライン病の症状がかなり改善した後。
ナナホシは、
ソーカス茶の入ったカップを両手で持ち、
ルーデウスへ頭を下げる。
普段ならかなり率直に話す彼女が、
ここでは珍しく丁寧な言葉を使う。
原作でもルーデウス自身が、
「珍しく、敬語だった」と違和感を覚える場面になる。
ナナホシが感謝しているのは、
単に薬を持ってきてもらったことではない。
第3期では、
彼女のドライン病を治すため、
ルーデウスたちはソーカス草を探す。
情報を得る。
魔大陸へ向かう。
キシリカと接触。
さらにアトーフェ側へ連行され、
最終的には戦闘まで発生する。
つまりナナホシから見れば、
自分一人の病気のために、
ルーデウスたちが危険な魔大陸へ入り、
不死魔王と関わり、
実際に命を落としかねない状況まで進んでいる。
「薬を取ってきてくれてありがとう」
程度の感謝では済まない。
自分のために、
どれだけ危険な行動を取ったかを知っている。
さらにナナホシは、
今回だけではないと振り返る。
以前にも面倒を見てもらった。
それなのに、
自分は酷いことも言った。
嫌な顔をせず助けてもらった。
そこで初めて、
今まで当然のように接していたルーデウスとの関係を、
自分から見直している。
この「前のとき」が重要になる。
第2期第9話「白い仮面」で、
ルーデウスは召喚魔術を調べるため、
サイレント・セブンスターを訪ねる。
白い仮面の特別生。
その正体が、
龍神オルステッドと一緒にいた少女。
さらに日本からこの世界へ転移してきたナナホシだと分かる。
二人は、
同じ日本を知る者同士。
しかし立場は違う。
ルーデウスは転生。
ナナホシは身体ごと転移。
ルーデウスはこの世界で家庭を作り始めている。
ナナホシは、
元の世界へ帰ることを最優先にしている。
同郷者でありながら、
生き方そのものはかなり違う。
第2期第10話では、
その二人が、
フィットア領転移事件。
召喚魔術。
転移。
異世界から来た仕組み。
複数の問題を一緒に調べるようになる。
周囲の人間には共有できない日本の知識も、
ルーデウス相手ならそのまま話せる。
ここから二人は、
単なる大学の知人ではなく、
特殊な研究仲間へ変わる。
ただしナナホシは、
もともと社交的な人物ではない。
研究を最優先。
必要なら率直に要求する。
相手の感情へ細かく配慮して、
丁寧に言葉を選ぶタイプでもない。
ルーデウス相手にも、
かなり遠慮のない口調を使ってきた。
だから第11話で、
急に頭を下げ、
丁寧な言葉を使うと、
視聴者にもルーデウスにも違和感が出る。
しかしその違和感こそ、
ナナホシの気持ちが変わった証拠。
距離を置きたいのではなく、
今までの距離が近すぎたのではないかと、
本人が急に意識してしまった。
「年上なのにぞんざいだった」と気づき、急に上下関係を作ろうとした
ナナホシが敬語になったもう一つのきっかけが、
ルーデウスの年齢。
彼女は、
考えてみればルーデウスは自分より年上なのに、
かなりぞんざいな口をきいていたと振り返る。
ここで出てくる「年上」は、
今の肉体年齢だけではない。
ルーデウスには、
日本で34歳まで生きた前世がある。
現在の肉体はまだ若い。
しかしナナホシからすれば、
日本人として話している相手の中身は、
自分よりずっと年長になる。
これまで研究仲間として遠慮なく話していたが、
病床で感謝を口にするうちに、
その年齢差まで急に意識し始める。
そこでルーデウスは、
こちらではまだ18歳だと返す。
ナナホシは、
元は何歳くらいだったのかと聞こうとする。
しかしルーデウスは、
そこを深掘りさせない。
年齢の話はやめよう。
さらに、
敬語もやめよう。
今まで通りで行こうと止める。
このやり取りを見ると、
ナナホシがよそよそしくなったわけではないことがはっきりする。
ナナホシ側が、
感謝。
負い目。
年齢差。
それまで気にしていなかったものを一度に意識し、
急に距離を作ろうとした。
その距離を、
ルーデウス側が必要ないと戻している。
つまり第11話で起きたのは、
二人の関係悪化ではない。
ナナホシが、
研究仲間として横並びだった関係を、
一度だけ「助けてもらった年上の相手」として見直した。
しかしルーデウスは、
そこへ上下関係を作ろうとしなかった。
ここが、
敬語ナナホシの一番大事なところになる。
ナナホシは、
ルーデウスから離れようとしたのではない。
むしろ自分が今まで近すぎたのではないかと、
初めて気にした。
その結果が、
急に丁寧になった口調として表へ出ただけになる。
第2章 なぜ第11話だけ急によそよそしく見えた?
普段のナナホシはルーデウスにかなり遠慮がなく、敬語との落差が大きい
第11話の敬語が、
あれほど違和感を持たれたのは、
普段のナナホシが、
ルーデウスへかなり率直に接してきたから。
最初から丁寧な人物なら、
敬語を使っても誰も気にしない。
今までの距離が近かったからこそ、
急な丁寧語がよそよそしく聞こえる。
第2期第9話「白い仮面」では、
ナナホシは最初から友好的だったわけではない。
サイレント・セブンスターとして、
白い仮面を付け、
召喚魔術の研究をしている。
ルーデウスが日本語を書いた紙を見せ、
日本人だと確かめようとする中で、
二人の共通点が明らかになる。
しかもナナホシにとって、
ルーデウスは完全な仲間とも言い切れない。
自分は突然異世界へ飛ばされ、
元の世界へ戻ることだけを考えている。
一方、
ルーデウスは前世で死亡し、
こちらへ転生。
この世界に家族。
友人。
生活。
複数の居場所を作っている。
それでも二人は、
日本語。
日本の常識。
転移。
召喚。
他の人物には説明しにくい話を共有できる。
第2期第10話では、
転移事件や召喚魔術について一緒に研究。
フィッツから見ても、
二人の間には自分が入れない妙なつながりがあるように映る。
この時期のナナホシは、
ルーデウスを先生扱いしない。
命の恩人扱いもしない。
研究対象について話す時は率直。
必要なことは要求する。
納得できなければ反論する。
二人の会話には、
年齢による上下関係より、
同じ日本を知る者同士の横並び感が強い。
だから第11話で、
「今回はありがとうございました」
と頭を下げた瞬間、
空気が変わって見える。
ルーデウス自身も、
いつものナナホシとの違いをすぐ感じる。
口調だけでなく、
姿そのものも普段とは違う。
病後のナナホシは、
いつもの張り詰めた表情が薄い。
寝起きのようにぼんやりしている。
髪にも寝癖が残る。
ソーカス茶のカップを両手で持ち、
温まりながらゆっくり飲む。
研究室で強気に指示を出すナナホシとは、
かなり違う姿になる。
原作ではルーデウスも、
身体が弱っているから、
気まで弱くなっているのだろうと考える。
つまり敬語だけが変化したわけではない。
体調。
表情。
姿勢。
話し方。
ナナホシ全体が、
一時的に弱い側へ回っている。
ここで第3期の病気発覚まで戻ると、
この変化にも納得しやすい。
ナナホシは、
以前から咳が続いている。
シルフィの前でも、
喉や胸を押さえながら何度も咳き込み、
解毒魔術を頼もうとする。
ただの風邪と思っていたものが、
後にドライン病だと分かる。
つまり第11話のナナホシは、
長く体調不良を抱え、
自分ではどうにもできない状態まで進んだ後。
普段なら、
研究で問題が出れば、
自分で原因を調べる。
魔法陣が失敗すれば、
次の方法を考える。
しかしドライン病は、
自分の研究だけでは解決できない。
その状況で、
ルーデウスたちが動く。
薬草を探す。
危険な魔大陸へ向かう。
戻ってくる。
ソーカス草を使う。
症状が改善する。
ナナホシにとって、
今回は自分の力で立て直したのではなく、
周囲に助けてもらって生き延びた形になる。
だから今までのように、
当然の顔で接することができなくなる。
自分はかなり助けてもらった。
前にも助けてもらった。
それなのに、
今までかなり雑な口をきいていた。
その自覚が一気に出るから、
第11話だけ口調が変わる。
病気で弱ったことで、普段隠していた感謝と負い目が表へ出た
ナナホシは、
感情が薄い人物ではない。
むしろ第2期から、
追い詰められた時にはかなり大きく崩れる。
普段は冷静。
研究優先。
他人へ遠慮が少ない。
その分、
限界を越えた時の落差が大きい。
第2期第15話「遥か」では、
長く続けてきた召喚研究で、
大きな実験へ挑む。
ルーデウスから大量の魔力を流し、
魔法陣を起動。
しかし結果は失敗。
研究室には、
叫び声や物が壊れる音まで響くほど、
ナナホシは取り乱す。
元の世界へ帰りたい。
そのために研究している。
成功しなければ帰れない。
異世界へ来た時から抱えてきた目的が、
一度の失敗で遠ざかる。
普段の冷静さが消え、
感情を抑えられなくなる。
その時も、
ルーデウスはナナホシを放置しない。
ザノバ。
クリフ。
周囲の知識を借り、
魔法陣そのものを一枚で完成させるのではなく、
複数層へ分ける発想を持ち込む。
ナナホシ一人では詰まっていた研究を、
周囲の力で前へ進める。
つまり第11話で、
ナナホシが言う「前のときも面倒を見てもらった」は、
単なる社交辞令ではない。
研究が壊れた時。
精神的に崩れた時。
今回、
身体まで壊れた時。
ルーデウスは、
何度もナナホシが一人で解決できない局面へ関わっている。
だから病後に弱気になると、
これまで意識しないようにしていた借りが、
一度に見えてくる。
助けてもらった。
それなのに遠慮なく話してきた。
酷いことまで言った。
年上の相手にもぞんざいだった。
そこで急に、
今までの態度を恥ずかしく感じる。
しかしルーデウスは、
それを求めていない。
敬語を使えとも、
恩人として扱えとも言わない。
年齢差も深掘りしない。
今まで通りでいい。
この一言によって、
ナナホシが作ろうとした上下関係を消す。
だから視聴者が感じた、
「急によそよそしい」は正しい。
実際に一瞬だけ、
ナナホシ自身が距離を作っている。
ただしその原因は嫌悪でも警戒でもない。
感謝が大きくなりすぎて、
これまでの近い距離のまま接することを、
本人が申し訳なく感じてしまったから。
第11話の敬語ナナホシは、
二人が遠くなった場面ではない。
むしろ、
今までどれだけ自然に近い距離で付き合っていたのかが、
敬語になったことで逆に見えた場面になる。
第3章 第2期第15話でもルーデウスは一度ナナホシを救っている
召喚実験の失敗で、ナナホシは研究室を壊すほど追い詰められた
第11話の敬語を、
今回のドライン病だけで見ると、
急に態度が変わったように見える。
しかしナナホシは以前にも、
自分一人では立ち直れないところまで追い詰められ、
その時もルーデウスたちに助けられている。
その代表が、
第2期第15話「遥か」になる。
ナナホシが異世界で続けている最大の目的は、
元の日本へ帰ること。
ルーデウスのように、
この世界で新しい人生を築こうとしているわけではない。
家族。
友人。
元いた学校。
自分が突然切り離された世界へ戻るため、
召喚魔術の研究へ時間を使い続けている。
第2期第10話「この気持ち」では、
ルーデウスと共に、
フィットア領転移事件。
転移。
召喚。
異世界から物体を呼び出す仕組み。
複数の問題を調べ始める。
この時点ではまだ、
ナナホシ一人の研究に、
ルーデウスが魔力面で協力する形が強い。
そして第15話。
ナナホシは、
長く準備してきた召喚実験へ挑む。
研究室には大きな魔法陣。
ルーデウスが魔力を流し、
ナナホシが術式の状態を確認。
成功すれば、
元の世界へ帰る方法へ一歩近づける。
彼女にとっては、
単なる授業の実験ではない。
ところが結果は失敗。
魔法陣は狙った働きをせず、
それまで積み上げた研究が、
一度に無駄になったように見える。
ナナホシは、
冷静に次の実験へ移れない。
研究室の中から、
怒鳴り声。
物が倒れる音。
破壊音。
普段の無表情な研究者とは別人のように崩れる。
ここで重要なのは、
失敗した術式だけではない。
ナナホシにとって、
異世界で一年過ごすことは、
日本へ帰れない時間が一年増えることでもある。
ラノア魔法大学では、
学生が入学。
卒業。
就職。
結婚。
少しずつ次の人生へ進んでいく。
ナナホシだけは、
帰還という一点から動けない。
第15話の題名「遥か」も、
この距離を強く感じさせる。
目の前には魔法陣がある。
魔力を供給できるルーデウスもいる。
研究環境も整ってきた。
それでも日本は、
簡単には届かないほど遠い。
実験失敗は、
その距離を改めて突きつける出来事になる。
ルーデウスは、
そんなナナホシを放置しない。
研究室で暴れたから、
面倒な人間として距離を置くのでもない。
ザノバ。
クリフ。
魔術や魔道具について知識を持つ仲間を集め、
何が失敗したのかを考え直す。
ナナホシ一人の研究だったものが、
複数人で取り組む問題へ変わる。
ここで出てくるのが、
魔法陣を一枚の大きな術式として完成させるのではなく、
複数の層へ分ける考え方。
ザノバが持つ魔道具への知識。
クリフの魔術理論。
ルーデウスの膨大な魔力。
ナナホシの召喚研究。
それぞれ別の得意分野を重ねることで、
行き詰まっていた研究が再び動き始める。
その後、
異世界から物体を呼び出す実験では、
ペットボトル召喚まで成功する。
ナナホシにとっては、
日本へ帰れる段階ではない。
それでも、
完全に閉じていた道に結果が出る。
第15話で絶望したところから、
研究そのものを立て直せたことになる。
だから第11話で、
ナナホシが「前のときも面倒を見てもらった」と振り返る時、
この出来事がかなり大きい。
自分が研究で壊れた時。
帰還を諦めかけた時。
ルーデウスは、
励ます言葉だけで終わらず、
実際に人を集め、
方法を変え、
結果が出るところまで付き合った。
今回のドライン病では、
さらに重い。
研究ではなく命そのもの。
薬草を探すため、
ルーデウスが魔大陸へ向かう。
アトーフェと関わる。
戦闘まで起きる。
第15話で研究を救われ、
第3期では生命まで救われる。
ナナホシの中で、
二度の出来事が重なっている。
助けられた回数が増えたことで、「研究仲間だから当然」が通らなくなった
第2期第15話の頃、
ナナホシはまだ、
ルーデウスの協力を研究に必要なものとして受け取っている。
ルーデウスには巨大な魔力がある。
召喚実験には、
大量の魔力が必要。
だから協力してもらう。
二人の関係には、
目的と役割がはっきりしている。
しかし研究が失敗した後、
ルーデウスは、
魔力を流すだけでは終わらなかった。
ザノバ。
クリフ。
他の人間まで巻き込み、
ナナホシ自身が見つけられなかった解決策を探す。
この時点から、
単なる魔力供給役以上の関わりになる。
その後の研究でも、
第四段階では、
巨大な多層魔法陣を使った実験へ進む。
百枚以上の紙を重ねたような術式。
ナナホシ。
クリフ。
ザノバ。
ルーデウス。
最初は一人で進めていた帰還研究が、
複数人の共同作業へ変わっている。
原作では、
実験が進む際、
クリフとザノバも同席する。
ナナホシ本人は、
そこまで人を集める必要を感じていない。
しかしルーデウスは、
前回のように失敗して暴れた場合も考え、
周囲にいてもらう。
技術だけでなく、
精神面まで支える体制が作られている。
つまりルーデウス側からすれば、
ナナホシを助けることは、
すでに特別な恩着せではない。
研究仲間として困っていれば助ける。
自分にできることがあれば動く。
その程度の感覚で続けている。
ところがナナホシ側は、
病気で一度止まったことで、
それまでの出来事を振り返る時間ができる。
研究で崩れた時も助けられた。
実験にも付き合ってもらった。
今回は病気を治すため、
危険な場所まで行ってもらった。
積み重ねを数え始めると、
これまで通りぞんざいに話すことへ急に抵抗が出る。
だから第11話の敬語は、
一回の感謝だけで生まれたものではない。
第2期第15話から続く、
「自分が止まるたびにルーデウスが前へ押してくれた」
という記憶が積み重なった結果になる。
第4章 ナナホシとルーデウスは友達?研究仲間?それとも同郷者?
二人を最初に近づけたのは、異世界で日本を知っている者が互いしかいなかったこと
ナナホシとルーデウスの関係を、
友達。
研究仲間。
同郷者。
どれか一つに決めるのは難しい。
三つとも少しずつ当てはまり、
同時にどれだけでも説明し切れない。
だから敬語になると、
普段より急に遠く感じる。
最初の強い接点は、
第2期第9話「白い仮面」。
フィットア領転移事件を調べるルーデウスは、
転移と召喚に共通点があると考え、
大学の特別生サイレント・セブンスターを訪ねる。
白い仮面を外した相手が、
オルステッドと一緒にいた少女だった。
さらにナナホシは、
日本語を理解する。
日本を知っている。
自分は転生ではなく、
ある瞬間に日本から身体ごとこの世界へ飛ばされたと話す。
ルーデウスにとって、
前世の日本を共有できる相手が、
異世界で初めて現れる。
それまでルーデウスは、
前世の記憶を基本的に隠して生きてきた。
ロキシー。
シルフィ。
エリス。
パウロ。
誰と親しくなっても、
自分が元日本人だったことまでは話せない。
だからナナホシとの会話だけ、
他の人物とは使う情報そのものが違う。
第2期第10話「この気持ち」では、
その特殊さがシルフィ側からも見える。
ルーデウスとナナホシが、
転移事件や召喚について話す。
二人だけに通じる言葉。
二人だけが知る世界。
フィッツとしてそばにいるシルフィは、
会話へ入り切れない。
そこに妙な絆を感じ、
距離の近さを意識する。
しかし二人の目的は、
同じではない。
ナナホシは帰りたい。
元の世界へ戻ることが最優先。
ルーデウスは、
前世へ帰りたいとは考えていない。
こちらで生まれ直し、
家族を作り、
今の人生を生きている。
この違いがあるため、
同郷者だから完全に分かり合えるわけでもない。
ナナホシからすれば、
この世界へ適応しているルーデウスは、
羨ましくもあり、
理解しにくい存在でもある。
ルーデウスから見ても、
日本へ戻ることだけを支えにするナナホシは、
自分とは違う。
それでも互いに、
日本を知っていることは大きい。
自動販売機。
学校。
食べ物。
日本語。
前世の常識。
異世界人へ最初から説明しなければ通じない話を、
二人の間では省略できる。
この共有部分が、
普通の研究仲間より近い距離を作っている。
仲が良いからこそ、急な敬語が「関係を切られたよう」に聞こえる
二人は、
典型的な親友のように、
毎日遊ぶ関係ではない。
ルーデウスには家庭がある。
ナナホシには研究がある。
互いに別の生活を送り、
必要がある時に会う。
しかし会えば、
かなり踏み込んだ話ができる。
ルーデウスは、
ナナホシの帰還研究へ魔力を提供する。
ナナホシは、
転移や召喚について知っていることを共有する。
ルーデウスがフィットア領転移事件を調べたい時には、
研究内容がそのまま手掛かりになる。
互いに相手がいないと進みにくい部分を持っている。
第2期第15話では、
その関係が研究だけではないことも見える。
ナナホシが召喚実験に失敗し、
精神的に崩れる。
ルーデウスは、
実験失敗という事実だけ直すのではなく、
ザノバやクリフまで集め、
もう一度立ち上がれる形へ持っていく。
第3期では、
さらにナナホシの病気へ踏み込む。
研究が止まるから薬を探すのではない。
このままではナナホシ自身が危ない。
ルーデウスは、
ペルギウスへ治療方法を求め、
ソーカス草の情報を追い、
魔大陸まで行く。
ここまで来ると、
単なる共同研究者では説明しにくい。
だからといって、
シルフィやロキシーのような家族でもない。
ザノバやクリフとも少し違う。
同じ日本を知り、
異世界へ来た事情を共有し、
研究でも何度も助け合う。
独特の位置にいる相手になる。
だから第11話で、
ナナホシが急に敬語を使うと、
ルーデウスも違和感を覚える。
昨日まで横に並んでいた人物が、
急に一歩後ろへ下がったように見える。
「助けてもらった人」
「年上の人」
とナナホシが自分から線を引いたため、
会話の温度が変わる。
そしてルーデウスは、
その線をすぐ消す。
敬語をやめよう。
今まで通りでいい。
ここで関係を、
恩人と患者。
年上と年下。
助けた側と助けられた側。
そういう上下へ変えない。
この反応そのものが、
二人の近さを示している。
もし本当に距離のある相手なら、
丁寧に話されても何も感じない。
敬語が不自然に聞こえるのは、
それまで自然に遠慮なく話していたからになる。
だから第11話の「敬語ナナホシ」は、
関係が冷えた場面ではない。
むしろ逆。
第2期第9話から積み重なった、
同郷者。
研究仲間。
助け合う相手。
その全部が一度に意識されたから、
ナナホシの方が急に礼儀を作ってしまった。
そしてルーデウスが、
その礼儀を必要ないと戻す。
ここまで見ると、
第11話で二人の距離は遠くなっていない。
一度遠ざけようとしたことで、
それまでどれだけ近いところにいたのかが、
逆にはっきり見えた場面になる。
第5章 ドライン病でナナホシはどこまで追い詰められていた?
第3期では咳から始まり、最後は自力で研究を続けられないところまで弱っている
第11話のナナホシが、
普段より弱気で丁寧に見えるのは、
単に命を助けてもらった直後だからではない。
そこへ至るまで、
かなり長く体調を崩している。
最初は咳。
少し休めば戻るように見える。
しかし症状は徐々に重くなり、
研究を続けること自体が難しくなっていく。
第3期では、
ナナホシが何度も咳き込み、
胸元を押さえる場面が出る。
最初の段階では、
風邪。
疲労。
研究のしすぎ。
その程度にも見える。
本人も大げさに騒がず、
普段通り研究を続けようとする。
ここが後の急変をさらに重くする。
ナナホシは、
第2期からずっと帰還研究を止めていない。
元の世界へ戻る。
その一点のため、
召喚魔法陣。
転移。
多層構造。
異世界からの物体召喚。
何度失敗しても、
次の実験へ進んできた。
だから体調不良でも、
簡単に研究を休む性格ではない。
ところが症状は、
本人の意志だけでは押し切れなくなる。
咳が増える。
身体が重くなる。
食事。
睡眠。
研究。
普段なら自分で管理できた生活が崩れる。
最終的には、
吐血するほど悪化。
そこで初めて、
普通の病気ではないことがはっきりする。
ペルギウス側で調べた結果、
病名はドライン病。
昔は存在したものの、
長い年月の中でほとんど見られなくなった病気。
特にナナホシの場合、
この世界の人間とは違う身体を持っていることが大きい。
魔力を持たない彼女の体内へ、
周囲の魔力が少しずつ蓄積していく。
ここが、
普通の風邪や感染症と違う。
休めば治る。
上級解毒魔術を使えば消える。
そういう病気ではない。
ナナホシ本人には、
この世界の魔力を自然に処理する仕組みがない。
時間が経つほど体内へ負担が溜まり、
症状だけが進んでいく。
第2期では、
ナナホシは研究で行き詰まっても、
まだ自分で立て直す余力があった。
第15話「遥か」で、
召喚実験に失敗。
叫ぶ。
物を壊す。
精神的には大きく崩れた。
それでも身体は動く。
翌日以降、
研究方法を変えることもできる。
ドライン病は違う。
頭では研究を続けたくても、
身体がついてこない。
自分が帰還方法を見つける前に、
この世界で死ぬ可能性が現実になる。
ナナホシにとって、
研究失敗よりはるかに重い状況になる。
ルーデウスも、
ここで放置しない。
病名が分かった後、
治療へ使える可能性のあるソーカス草を探す。
情報を追い、
魔大陸へ向かう。
キシリカ。
アトーフェ。
普段なら簡単には近づきたくない相手まで、
ナナホシを救うために辿っていく。
しかも第10話では、
薬草探しだけで終わらない。
アトーフェ側に捕まり、
話がこじれ、
実際の戦闘へ入る。
ルーデウス。
ザノバ。
周囲の仲間。
全員が、
ナナホシの治療へつながる情報を求めた結果、
命懸けの状況へ巻き込まれている。
ナナホシからすれば、
自分はその場にいない。
病床で待っている。
その間に、
ルーデウスたちは魔大陸で戦っている。
戻ってきた時、
ただ薬草を手渡されるのではない。
自分のために、
誰がどこまで危険を冒したかまで知ることになる。
だから第11話で、
ソーカス茶を両手で持ち、
ゆっくり飲むナナホシの姿は重い。
いつもの研究室。
いつもの立ち姿。
いつもの無表情。
そうではない。
生き延びた直後の、
まだ完全には戻っていない身体で、
ルーデウスへ向き合っている。
ソーカス草で助かっても完治ではなく、「この世界で死ぬかもしれない」は消えていない
ソーカス草を使えば、
その場でドライン病が完全に消えるわけではない。
症状を抑える。
体内へ溜まった魔力を抜く。
定期的に飲み続けることで、
危険な状態へ戻らないようにする。
つまり治療というより、
長く付き合うための方法に近い。
ナナホシにとって、
ここは大きい。
助かった。
もう安心。
日本へ帰るまで元気に研究できる。
そう単純にはならない。
ソーカス草が必要。
飲み続ける必要がある。
この世界にいる限り、
同じ問題が再び出る可能性も残る。
だから第11話のナナホシは、
元気になった後というより、
死なずに済む道をもらった直後になる。
自分では見つけられなかった。
研究で解決できなかった。
周囲の人に動いてもらった。
しかも命懸けで。
ここまで揃えば、
普段通りの態度へすぐ戻れなくても不思議ではない。
ルーデウスが、
ナナホシへ伝える言葉も大きい。
今すぐ元の世界へ帰れなくても、
こんな世界で死ぬことはない。
帰る方法を探す時間はまだある。
完全な解決ではない。
それでも、
死ぬ前に研究を終えなければならないという焦りを、
少しだけ下ろせる言葉になる。
ナナホシは、
第2期から帰還だけを見てきた。
この世界で結婚する気もない。
家庭を作る気もない。
長く暮らす予定すらない。
だから病気になることは、
帰還研究そのものが強制終了することと同じ。
そこから救われた意味は非常に大きい。
その状態で、
今までのルーデウスとの関係を振り返る。
研究で助けられた。
精神的に崩れた時も助けられた。
今回は命まで救われた。
ここまで来て、
「今まで通り雑に話していいのか」
と本人が急に気にし始める。
だから敬語は、
体調が戻った証拠ではない。
むしろ弱ったことで、
普段なら押し込めていた感謝や負い目が、
そのまま言葉へ出た結果になる。
第6章 ルーデウスはなぜナナホシに「敬語をやめろ」と言った?
ルーデウスにとってナナホシは、助けた患者でも年下の後輩でもない
ナナホシが敬語を使った時、
ルーデウスは、
そのまま受け入れない。
感謝されて気分が良くなり、
今後も丁寧に話してくれと言うわけでもない。
むしろ、
年齢の話を止め、
敬語もやめようとする。
ここには、
二人の特殊な関係が出ている。
ルーデウスの肉体年齢だけなら、
まだ十八歳前後。
ナナホシと極端な年齢差があるわけではない。
しかし中身には、
日本で三十四歳まで生きた前世の記憶がある。
ナナホシが、
考えてみれば年上なのにぞんざいだったと気にするのは、
この前世年齢まで意識したから。
ルーデウスへ、
元の世界では何歳だったのか。
そう聞こうとする。
しかしルーデウスは、
そこを掘り下げさせない。
この反応は、
単に年齢を知られたくないだけではない。
前世の年齢を持ち出すと、
今の二人の関係へ、
必要のない上下が生まれる。
年上。
年下。
敬う側。
敬われる側。
今まで存在しなかった枠を、
後から作ることになる。
第2期第9話「白い仮面」で再会した時から、
二人はそういう関係ではなかった。
ルーデウスが先生。
ナナホシが生徒。
その逆でもない。
互いに、
相手しか持っていない情報を交換する。
日本。
転移。
召喚。
フィットア領転移事件。
対等に話す必要がある関係だった。
第2期第10話でも、
研究の場では、
ナナホシが一方的に教わるわけではない。
彼女は召喚魔術。
ルーデウスは魔力と転生者としての経験。
互いに持っている材料を出す。
目的は違っても、
共同研究者として成立している。
第15話で召喚実験が失敗した後も、
ルーデウスがナナホシを助けるのは、
貸しを作るためではない。
研究が止まっている。
ならザノバやクリフも呼ぶ。
別のやり方を考える。
成功すれば一緒に前へ進む。
その積み重ねがある。
だから第11話で、
ナナホシが急に一歩下がると、
ルーデウス側にも違和感がある。
今まで横に並んでいた相手が、
急に「助けていただいた年上の方」になる。
二人の関係には、
そちらの方が不自然。
ルーデウスが敬語を止めるのは、
恩を忘れろという話ではない。
助けたことを、
今後の上下関係へ使わない。
感謝していても、
今まで通り話していい。
その線をはっきり引いている。
「今まで通りでいい」と戻したことで、二人は研究仲間以上の距離にいると分かる
ルーデウスは、
誰に対しても同じ距離で接する人物ではない。
ペルギウス。
王族。
教師。
年長者。
相手によって、
きちんと敬意を払う。
だからナナホシにだけ、
礼儀そのものを否定しているわけではない。
問題は、
急に変えたこと。
昨日までの関係。
研究室での話し方。
日本のことを共有する距離。
それを、
命を救われたからという一点だけで、
全部別の形へ変える必要はない。
ルーデウスはそこを戻している。
第2期で、
ナナホシが召喚研究に失敗した時。
ルーデウスは、
泣き崩れる彼女を見ても、
特別に腫れ物扱いし続けなかった。
立て直せる方法を探す。
研究へ戻す。
また普段通り話す。
今回も基本は同じ。
病気で弱った。
命を助けた。
だから以後ずっと患者扱いする。
そうはしない。
ソーカス草を飲み続ける必要はある。
完治ではない。
そこは現実として伝える。
しかし人間関係まで病人用に変えない。
ここが、
ナナホシにとっても救いになる。
もしルーデウスが、
命の恩人として一歩上へ立てば、
今後の研究でも遠慮が生まれる。
反論しにくい。
頼みにくい。
今までの率直なやり取りができなくなる。
それは二人の研究関係にも合わない。
さらに二人には、
日本という他の誰とも共有しにくい過去がある。
ルーデウスは、
この世界へ転生してから長い時間を過ごしている。
ナナホシは、
まだ日本へ戻ることだけを見ている。
考え方は違う。
だからこそ、
遠慮なく言い合える相手であることが重要になる。
第11話の場面では、
ナナホシが一度、
自分から関係を変えようとする。
助けられた。
年上だった。
これまで失礼だった。
だから丁寧にしよう。
その流れ自体は自然。
しかしルーデウスは、
そこへすぐ線を引く。
年齢はいい。
敬語もいらない。
今まで通りでいい。
この短いやり取りだけで、
二人の関係が「恩人と患者」へ変わるのを止めている。
そしてその後も、
病気については率直に話す。
ソーカス草は効く。
ただし完治ではない。
今後も飲み続ける必要がある。
帰還研究も、
すぐ終わるわけではない。
耳に優しいことだけを言うのではなく、
現実をそのまま共有する。
ここまで見ると、
ルーデウスが敬語を嫌がったのは、
距離を縮めたいからというより、
すでに十分近いところにいるからになる。
今さら形式だけ変える必要がない。
感謝していても。
命を救われていても。
二人の会話は、
今まで通りの方が自然。
だから第11話の「敬語やめよう」は、
小さな会話に見えてかなり大きい。
ナナホシが、
助けてもらった側として一歩下がる。
ルーデウスが、
その一歩を元へ戻す。
その往復によって、
二人がどんな関係でここまで来たのかが、
逆にはっきり見える場面になる。
第7章 「敬語ナナホシ」は距離が遠くなった場面ではなく、二人の近さが見えた場面
よそよそしさの正体は、感謝が大きくなりすぎてナナホシが一度だけ距離を取り直したこと
第11話のナナホシは、
確かにいつもよりよそよそしく見える。
頭を下げる。
丁寧な言葉を使う。
年齢差まで気にする。
普段なら遠慮なく話す相手へ、
急に礼儀を作ろうとする。
しかしここまで二人の関係を追うと、
その変化は距離が遠くなった証拠ではない。
むしろ逆。
近い距離で接してきたからこそ、
ナナホシ自身が後から、
「今までかなり甘えていたのではないか」
と気づいた結果になる。
第2期第9話「白い仮面」で再会した時、
二人は最初から親しいわけではなかった。
ナナホシは白い仮面を付け、
サイレント・セブンスターとして研究を続けている。
ルーデウスも、
オルステッドと一緒にいた少女として警戒。
そこから日本語。
日本の記憶。
異世界転移。
互いにしか共有できない事情が見えてくる。
第10話以降、
二人は研究で結び付く。
フィットア領転移事件。
召喚。
転移。
魔法陣。
ナナホシの帰還計画。
ルーデウスの知りたい世界の仕組み。
目的は違っても、
調べる対象は何度も重なる。
その関係は、
第15話「遥か」で一段深くなる。
ナナホシの召喚実験が失敗。
研究室から破壊音。
怒鳴り声。
普段の冷静さを失い、
一人では次へ進めない状態まで崩れる。
ルーデウスは、
それを見て距離を置かなかった。
ザノバ。
クリフ。
周囲の知識を集める。
一枚の魔法陣で行き詰まったなら、
多層構造へ変える。
ナナホシ一人の失敗を、
複数人で解く問題へ変える。
その結果、
異世界から物体を召喚するところまで研究が進む。
第3期では、
今度は研究ではなく身体が止まる。
咳。
体調不良。
吐血。
ドライン病。
帰還研究以前に、
この世界で生き続けられるかどうかの問題へ変わる。
ナナホシ自身の知識では、
解決できない。
そこでまたルーデウスが動く。
ペルギウスへ相談。
ソーカス草の情報を追う。
魔大陸へ向かう。
キシリカ。
アトーフェ。
危険な相手と関わり、
最後には戦闘まで経験する。
ナナホシは、
その間ずっと助けられる側にいる。
つまり第11話で、
彼女が急に敬語を使うまでには、
二回の大きな積み重ねがある。
研究で崩れた時に助けられた。
病気で倒れた時にも助けられた。
しかも今回は、
自分の命のために相手が危険な場所まで行っている。
ここまで来ると、
今までの遠慮のない態度が、
本人の中で急に気になり始める。
前にも面倒を見てもらった。
今回はさらに命まで救われた。
それなのに、
かなりぞんざいな話し方をしてきた。
年齢まで考えれば、
自分の方が失礼だったのではないか。
この感覚が、
第11話の敬語へそのまま出る。
だからナナホシは、
ルーデウスを嫌って距離を取ったわけではない。
感謝が大きくなりすぎた結果、
自分から一歩下がろうとした。
それが視聴者には、
「急によそよそしい」
と見えたことになる。
ルーデウスが「敬語はいらない」と戻したことで、二人の関係はむしろ以前よりはっきりした
ナナホシが一歩下がった時、
ルーデウスは、
その距離をそのままにしない。
年齢の話を止める。
前世で何歳だったのかも、
深く掘り下げさせない。
さらに、
敬語もやめようと伝える。
ここがかなり重要。
ルーデウスにとって、
ナナホシは、
自分が助けた患者ではない。
年下の後輩でもない。
命を救ってやった相手として、
上から接する存在でもない。
今まで通り話せる相手でいてほしい。
第2期から、
二人には上下関係がほとんどなかった。
ナナホシが研究について説明する。
ルーデウスが疑問をぶつける。
ルーデウスが大量の魔力を出す。
ナナホシが術式を組む。
どちらか一方が先生で、
もう片方が生徒という形ではない。
日本を知っていることも大きい。
ルーデウスは、
この世界で家族を作り、
生活を築いている。
ナナホシは、
日本へ帰ることを諦めていない。
進みたい方向は違う。
それでも、
日本語。
元の世界。
転移。
召喚。
二人にしか通じない話がある。
だから敬語へ変わると、
単に言葉遣いが丁寧になった以上の違和感が出る。
昨日まで横に並んでいた人が、
急に一歩後ろへ下がる。
今まで普通に言い合っていた相手が、
恩人扱いを始める。
ルーデウスが違和感を覚えるのも自然になる。
そしてルーデウスは、
その一歩を戻す。
助けた事実は消さない。
病気が重かったことも、
ソーカス草が必要なことも変わらない。
しかし人間関係だけは、
そこへ上下を作らない。
これまでと同じ距離でいいと示す。
この反応は、
第2期第15話ともつながる。
ナナホシが召喚実験失敗で壊れた時、
ルーデウスは、
その後ずっと腫れ物のように扱わなかった。
立ち直れる方法を探す。
研究へ戻す。
また普段通り話す。
一時的に弱ったことを、
恒久的な関係変更へしない。
第11話も同じ。
病気で弱った。
助けられた。
感謝した。
だから今後はずっと丁寧に接する。
そうはならない。
ルーデウスは、
ナナホシを以前の位置へ戻す。
研究仲間。
同郷者。
かなり遠慮なく話せる相手。
そこを変えない。
しかも敬語をやめさせた後、
ルーデウスは耳ざわりのいい話だけをしない。
ソーカス草で症状は抑えられる。
ただし完治ではない。
今後も飲み続ける必要がある。
帰還研究も、
すぐ終わるわけではない。
現実をそのまま話す。
この率直さも、
二人の関係をよく表している。
過剰に励まさない。
弱った相手だからと、
都合のいいことだけ言わない。
厳しい話でも、
必要なら普通に伝える。
それでも見捨てない。
ナナホシにとって、
その距離はかなり特殊になる。
家族ではない。
恋人でもない。
普通の友人とも少し違う。
しかし研究が壊れた時も、
身体が壊れた時も、
何度も助けられてきた。
しかも助けた側は、
その恩を上下関係へ変えようとしない。
だから第11話の「敬語ナナホシ」は、
一見すると距離が開いたように見える。
しかし最後まで見ると、
むしろ二人の関係がどれだけ近かったかを確認する場面になる。
ナナホシが一度離れる。
ルーデウスが戻す。
その往復だけで、
今まで築いてきた距離が見える。
「なんで急に敬語?」
という違和感は、
間違っていない。
実際にナナホシ自身が、
それまでの関係を一度変えようとしている。
ただしその変化の正体は、
嫌われた。
警戒された。
よそよそしくなった。
そういうものではない。
研究で助けられた。
命まで救われた。
今までの態度を振り返った。
感謝と負い目が一気に出た。
だから一度だけ、
ルーデウスを遠い位置へ置こうとした。
そしてルーデウスは、
そこへ置かせなかった。
敬語はいらない。
今まで通りでいい。
この短いやり取りによって、
第2期から続いてきた二人の関係が、
むしろ以前より分かりやすくなる。
第11話で見えたのは、
ナナホシがルーデウスから離れた瞬間ではない。
助けてもらった回数を初めて数え、
自分がどれだけ相手へ頼ってきたかを自覚した瞬間。
そしてルーデウスが、
それでも対等な位置へ戻した瞬間になる。
だから「敬語ナナホシ」は、
単なる口調変更の小ネタで終わらない。
同郷者。
研究仲間。
何度も助け合ってきた相手。
その全部が一度に表へ出たからこそ、
ほんの数分のよそよそしさが、
逆に二人の近さを一番はっきり見せる場面になった。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。
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