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【アニメBLACK TORCH】謎のフード男は何者?第7話で鉄輪たちと現れた人物の正体は桐原真司

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BLACK TORCH第7話「3 ON THREE」で鉄輪・呂蓮・鳴子と共に現れたフード男は、桐原零司の兄・桐原真司とみられる。
第6話で描かれた零司の過去とつなげると、謎の男がなぜ物ノ怪側に立ち、なぜ零司との対決が避けられないのかまで見えてくる。
さらに「3 ON THREE」が単なる三対三のバトルではなく、弐郎・一華・零司それぞれが別の壁とぶつかる戦いになっているところまで伝える

  1. 第1章 結論|第7話の謎のフード男は桐原真司
    1. 鉄輪・呂蓮・鳴子と並んでいた人物は零司の双子の兄
    2. 原作では鳴子を守る真司と零司が直接ぶつかっていく
  2. 第2章 桐原真司とは何者?零司が追い続けてきた双子の兄
    1. 同じ桐原家で育った兄弟だったが剣の才能が二人を分けていった
    2. 物ノ怪に魂を売った兄という零司の傷が現実の戦場へ戻ってきた
  3. 第3章 第6話ですでに出ていた|零司の幻覚に現れた真司
    1. 妖術対抗訓練で零司の前に現れたのは、忘れられない兄の姿だった
    2. 幻影だった兄が次の回で現実に現れるため、第7話の再会が重くなる
  4. 第4章 なぜ真司は鉄輪・呂蓮・鳴子と一緒にいるのか
    1. 真司は捕まった人質ではなく、鳴子を守る側として戦場に立っている
    2. 弐郎と羅睺とは逆方向へ進んだ「人間と物ノ怪」の組み合わせ
  5. 第5章 「3 ON THREE」は誰と誰の戦い?三つの対決が同時に動く
    1. 弐郎・一華・零司が別々の相手を受け持ち、比良坂町の戦いが分かれていく
    2. 鳴子は後方から町を支配し、三つの戦いを成立させる中心にいる
  6. 第6章 弐郎と零司はここまで何が違った?第1話から見る二人の戦い方
    1. 羅睺を助けた弐郎と、隠密として育った零司は最初から立っていた場所が違う
    2. 咬牙との敗北感と第6話の訓練を越え、零司は今度こそ兄本人へ向き合う
  7. 第7章 フード男の登場で戦いは羅睺争奪だけではなくなる
    1. 真司が現れたことで、黒の灯火それぞれの過去が現在の敵へつながっていく
    2. 真司を知っていると、第7話以降の零司の戦いがまったく違って見える

第1章 結論|第7話の謎のフード男は桐原真司

鉄輪・呂蓮・鳴子と並んでいた人物は零司の双子の兄

『BLACK TORCH』第7話「3 ON THREE」で、鉄輪、呂蓮、鳴子と共に現れたフード姿の男。
顔をほとんど隠したまま立つため、初見では新たな物ノ怪にも見える。
だが、この人物はまったく無関係な新キャラクターではない。
その正体は、桐原零司の双子の兄である桐原真司と見て間違いない。
第6話までに零司の過去を見ていた人ほど、この登場は重く映る場面になっている。

第7話では比良坂町に巨大な結界が張られ、町の人間たちが異常事態へ巻き込まれていく。
黒の灯火が現場へ向かうと、待ち構えていたのは鉄輪、呂蓮、鳴子。
そして、その三人のそばにもう一人だけ人間のような姿をしたフード男がいる。
物ノ怪たちの中へ自然に混ざっている時点で、普通の人間ではないことが伝わってくる。
しかも、この男が関わってくる相手は弐郎ではなく、零司だった。

ここで第6話「Turn Up」が効いてくる。
妖術対抗訓練に挑んだ零司は、幻影の中で自分の過去と向き合っていた。
そこで零司の心を強く縛っていた存在こそ、兄の真司。
零司にとって真司は、昔いなくなった家族というだけではない。
桐原家で剣を学んだ少年時代から続く、決着をつけなければ前へ進めない相手だった。

だから第7話のフード男は、「突然出てきた謎の男」では終わらない。
一話前まで零司の心の中にいた兄が、今度は現実の敵として姿を現したことになる。
幻影の中で向き合った直後、実際の戦場で本人と向き合う。
この流れによって、零司の過去が回想ではなく現在進行形の問題へ変わった。
「3 ON THREE」は、その転換が起きる回でもある。

原作では鳴子を守る真司と零司が直接ぶつかっていく

原作漫画まで見ると、フード男の立場はさらにはっきりする。
比良坂町で動く真司は、天鬼側にいる鳴子の護衛という位置に立っている。
鳴子は町全体に影響する大掛かりな術を使うため、簡単に接近を許すわけにはいかない。
そこへ黒の灯火が突入してくれば、鳴子を守る者が必要になる。
その役目を担うのが真司だった。

ここが零司にとって残酷なところ。
公儀隠密局に入り、物ノ怪と戦う側に立っている零司。
対して兄の真司は、人間でありながら物ノ怪側に立っている。
同じ桐原家で育ち、同じ剣を学んだ双子が、まったく逆の陣営から刃を向け合う。
単純な「兄弟再会」にはならない。

第1話の弐郎は、傷ついた黒猫の羅睺を助けたことから物ノ怪の世界へ踏み込んだ。
羅睺と融合したことで、公儀隠密局からも物ノ怪たちからも狙われる立場になる。
そこへ零司が現れた当初、彼は弐郎とは正反対だった。
感情のまま飛び出す弐郎に対し、零司は隠密としての規律と任務を優先する。
二人が衝突したのも、その立場の違いが大きかった。

ところが物語が進むほど、零司にも単純な優等生では済まない過去が見えてくる。
桐原家の跡継ぎ。
桐原流斬術の使い手。
冷静に戦える実力者。
表面だけなら隙の少ない人物なのに、兄の真司だけは別だった。
第6話で見えた傷が、第7話でとうとう本人の姿を取って目の前へ現れる。

フードを被せて顔を隠した登場も印象的だ。
零司の兄だと最初から分かる姿ではなく、「誰だ?」と思わせながら物ノ怪側に立たせる。
そのため鉄輪や呂蓮のような明確な異形とは違う不気味さが残る。
人間に見える。
だが人間側にはいない。
その違和感そのものが、現在の真司の危うい立場を表している。

第7話のフード男を知るうえで大事なのは、名前だけではない。
「桐原真司だった」で止めてしまうと、この登場の重さが半分しか見えない。
第6話まで零司を苦しめていた過去の中心人物が、第7話では物ノ怪側から現れた。
そこまでつながった瞬間、零司にとって今回の任務は単なる物ノ怪討伐ではなくなっている。

第2章 桐原真司とは何者?零司が追い続けてきた双子の兄

同じ桐原家で育った兄弟だったが剣の才能が二人を分けていった

桐原真司と零司は双子の兄弟。
二人は隠密の名家である桐原家に生まれ、幼い頃から桐原流斬術を学んできた。
現在の零司が刀を使った近接戦で高い実力を見せるのも、突然身につけた能力ではない。
子供の頃から積み重ねてきた修練が、その根底にある。
そして同じ場所で、兄の真司も剣を握っていた。

幼い頃から最初から憎み合っていた兄弟ではない。
むしろ真司は兄として零司と共に育ち、同じ家の中で同じ道を歩いていた。
ところが成長するにつれ、二人の間には無視できない差が現れてくる。
弟である零司が剣の才覚を発揮していく。
兄である真司にとって、それはただ試合に負けるという程度の話ではなかった。

桐原家は隠密の名家。
剣の強さは、そのまま家の中での評価や将来にもつながる。
兄として先を歩いていたはずなのに、弟が追いつき、さらに自分を越えていく。
真司の中に焦りや劣等感が積み重なっていくのは避けられなかった。
零司に悪意がなくても、零司が強くなること自体が真司を追い詰めていった。

一方の零司から見れば、真司は簡単に切り捨てられる存在ではない。
現在の零司は冷静で、感情を表に出さず、任務を優先する人物として登場する。
しかし兄に関することになると、その平静の奥に残っていたものが浮かび上がる。
第6話の妖術対抗訓練で真司が現れたこと自体、零司が今なお兄を心の深い場所に抱えている証拠だった。

芙蓉の訓練では、敵を斬れば終わりという状況ではなかった。
弐郎、一華、零司は、それぞれ自分の内側にあるものと向き合わされる。
一華には一華の傷があり、弐郎にも弐郎自身が避けられないものがある。
そこで零司の前に立つのが真司だった。
現在の零司を形作った過去として、兄の存在がそれほど大きいことが分かる。

第7話で真司本人が現れたことで、第6話の試練は前触れのように見えてくる。
幻影なら、最後には消える。
過去の記憶なら、現実へ戻れば距離を取れる。
だが比良坂町にいる真司は消えない。
敵側に立ち、実際に零司へ刃を向ける存在としてそこにいる。

物ノ怪に魂を売った兄という零司の傷が現実の戦場へ戻ってきた

真司を語るうえで外せないのが、妖刀「閻魔風」の存在。
真司は普通の人間の剣士として物ノ怪側へ加わっているわけではない。
物ノ怪である閻魔風をその身に宿した状態となっている。
その結果、零司とはまったく異なる道で人間離れした力へ近づいていった。
強さを求めた真司が選んだ道が、弟との距離を決定的に広げている。

ただし、ここで真司を「物ノ怪に操られている兄」とだけ見ると少し違う。
閻魔風が真司を操って好き勝手に動かしているわけではなく、真司自身の意識が残っている。
つまり、兄弟が敵味方に分かれている状況を、すべて物ノ怪のせいにはできない。
零司が向き合わなければならないのは、怪物に変えられた兄ではなく、自分の意思を持った真司になる。

それだけに兄弟対決は苦い。
弐郎と羅睺の場合、人間と物ノ怪が一つの身体を共有しながら、互いに言葉を交わして関係を築いてきた。
最初は羅睺の正体も分からず、弐郎自身も巨大な力に振り回された。
それでも二人は共に戦う方向へ進んでいる。
同じ「人間と物ノ怪が結び付いた存在」でも、真司はまったく違う場所に立っている。

弐郎は羅睺との出会いによって仲間を増やしていった。
零司や一華とは衝突しながらも、咬牙との戦いでは共に敵へ向かう。
第5話では弐郎と零司が二人で動いても、強大な物ノ怪である咬牙を簡単には崩せなかった。
そこで自分たちの力不足を突き付けられ、第6話の訓練へつながっている。
黒の灯火の三人は、少しずつ同じ側で戦う仲間へ変わってきた。

そこへ第7話で真司が入ってくる。
ようやく仲間との関係を築き始めた零司の前へ、かつて同じ家で育った兄が敵として戻ってくる。
鉄輪や呂蓮なら、倒すべき物ノ怪として刀を向ければいい。
だが真司にはそれができない。
家族であり、過去であり、零司自身の剣の原点にも関わる人物だからだ。

さらに真司は、天鬼側で鳴子を守る立場にいる。
鳴子へ近づくためには、その前にいる真司を越えなければならない。
任務を果たそうとすれば兄と戦う。
兄との戦いを避ければ、仲間たちの任務に影響する。
第7話「3 ON THREE」が零司に突き付けるのは、かなり厳しい選択になっている。

第1話から見れば、物語の中心には弐郎と羅睺がいた。
傷ついた黒猫を助けた少年が命を失い、羅睺との融合で生き延び、物ノ怪を巡る争いへ巻き込まれていく。
そこから黒の灯火が生まれ、零司や一華が加わったことで、物語は弐郎一人の戦いではなくなった。
それぞれが抱えていた過去まで、現在の敵とつながり始めている。

フード姿の真司は、その変化を強く感じさせる人物。
零司の回想にいる兄ではなく、今も生きて別の道を進んでいた兄。
しかも再会の場所は桐原家でも静かな街角でもなく、物ノ怪が待ち構える比良坂町の戦場だった。
兄弟が再び顔を合わせた時、昔と同じ関係へ戻れる状況ではもうない。

だから「BLACK TORCHの謎のフード男は何者?」への答えは、桐原真司という名前だけでは終わらない。
零司がずっと心の奥で追い続けてきた双子の兄。
剣の才能を巡って道が分かれ、物ノ怪の力にまで踏み込み、現在は敵側から弟の前へ戻ってきた人物。
第7話でフードが示しているのは、零司が避けてきた過去そのものが、とうとう現実の戦いへ追いついてきたということになる。

第3章 第6話ですでに出ていた|零司の幻覚に現れた真司

妖術対抗訓練で零司の前に現れたのは、忘れられない兄の姿だった

第7話でフード姿の男を見て、「この人物は誰だったのか」と感じた人もいるはず。
だが桐原真司は、第7話になって突然名前だけが浮かび上がった人物ではない。
一つ前の第6話では、零司の心の奥に残る存在としてすでに姿を見せていた。
そこで描かれたのは、兄弟の昔を穏やかに振り返るような場面ではない。
零司が今なお振り切れていない過去として、真司が目の前へ現れる場面だった。

第6話で弐郎、一華、零司が挑んだのは、芙蓉による妖術への対抗訓練。
これまでのように物ノ怪を見つけ、殴る、斬る、倒すという訓練ではなかった。
幻覚や精神への干渉を受けた時、それを自分自身で突破できるかが試される。
咬牙との戦いでは圧倒的な力を前に押し切られた三人だったが、
今度は腕力だけでは越えられない場所へ放り込まれている。

零司にとって、そこで突き付けられたものが真司だった。
普段の零司は冷静で、感情を荒らげる場面も少ない。
刀を握れば無駄なく動き、公儀隠密局の任務にも忠実。
弐郎のように感情をそのまま表へ出す人物とは正反対に見える。
しかし、その零司にも簡単には触れられない部分が残っていた。

それが双子の兄・真司との過去。
同じ桐原家に生まれ、同じ剣を学びながら、途中から別々の道へ分かれた兄弟。
零司にとって真司は、昔の家族写真の中にいるような存在ではない。
自分が現在の零司になるまでの過程に、深く食い込んでいる人物だった。
だから幻覚は、零司が最も見たくないところへ真っ直ぐ入り込んでくる。

第6話で真司が出てくることで、零司の強さにも違った見え方が生まれる。
零司は最初から自信満々だったわけではない。
自分の剣、自分の家、自分の兄。
そこに引っ掛かるものを抱えたまま、それでも前へ進んできた。
冷静な表情の裏側に、それほど大きな過去を隠していたことが見えてくる。

そして第6話だけなら、まだ真司は「零司の心の中にいる人物」だった。
妖術によって引き出された幻影なら、訓練を突破すればそこで終わる。
零司自身が乗り越えるべき記憶として見ることもできた。
ところが第7話「3 ON THREE」では、状況が一気に変わる。
今度は現実の比良坂町に、真司本人が立っている。

幻影だった兄が次の回で現実に現れるため、第7話の再会が重くなる

第6話から第7話を続けて見ると、この流れはかなり強烈。
零司は訓練の中で真司と向き合ったばかり。
その直後に始まった実戦で、物ノ怪側の一員として真司が現れる。
過去を振り切ったと思う暇すらない。
自分の頭の中にいた人物が、そのまま現実へ出てきたような再会になる。

しかも第7話の真司は、零司を懐かしそうに待っている兄ではない。
鉄輪、呂蓮、鳴子たちと同じ側にいる。
町に結界が張られ、黒の灯火が敵陣へ踏み込もうとする中で、
真司は明確に零司たちの進路を阻む位置へ立っている。
兄弟でありながら、立場は完全に敵味方へ分かれていた。

ここは第1話の零司から考えると、大きな変化でもある。
初期の零司は弐郎に対して厳しく、羅睺と融合した存在を簡単には信用しなかった。
人間と物ノ怪が一体になっている弐郎は、それだけで危険な存在にも見える。
公儀隠密局側の人間として見れば、その警戒は当然でもあった。
ところが零司自身の兄もまた、物ノ怪と深く関わった存在になっている。

弐郎に向けていた「人間と物ノ怪」という境界が、
今度は零司自身の家族へ返ってくる。
弐郎は羅睺と融合しながら、人間として仲間を守ろうとしている。
一方の真司は物ノ怪の力を得ながら、天鬼側で動いている。
同じように人間と物ノ怪が接近していても、辿り着いた場所は正反対だった。

第4話、第5話あたりでは、弐郎と零司の違いが目立っていた。
弐郎は考えるより先に身体が動き、危険でも誰かを助けようとする。
零司は任務と状況を見ながら動き、無謀な弐郎へ苛立ちを見せる。
それでも咬牙という共通の強敵を前にすれば、二人は並んで戦うようになる。
衝突していた二人の距離は、少しずつ変わっていった。

第6話ではさらに、外側の敵ではなく自分自身の弱い部分へ踏み込む。
その直後の第7話で真司が出てくるため、
零司にとって訓練は終わっていなかったようにも見える。
幻覚の中で兄と向き合えるか。
そして現実で兄に刀を向けられるか。
二つは似ているようで、まったく違う。

幻覚なら自分の心が生み出した相手。
だが現実の真司には、真司自身の感情と選択がある。
零司の思い通りには動かない。
昔の兄へ戻ってくれるとも限らない。
だから第7話から始まる兄弟の対峙は、第6話の再演ではなく、その先になる。

フードを被った姿にも、その距離が表れている。
零司の記憶の中にいる兄と、現在の真司は同じではない。
顔を隠し、敵の中へ立つ姿は、
「零司の知っていた兄が、そのまま戻ってきたわけではない」と感じさせる。
再会しているのに、昔より遠くなっている兄弟だった。

第4章 なぜ真司は鉄輪・呂蓮・鳴子と一緒にいるのか

真司は捕まった人質ではなく、鳴子を守る側として戦場に立っている

第7話のフード男を見た時、もう一つ気になるのが立ち位置。
鉄輪と呂蓮は明らかに物ノ怪側の敵として出てくる。
鳴子もまた、比良坂町を巻き込む大掛かりな術に関わっている。
その中に人間らしい姿をした真司が混ざっているため、
「捕まっているのか」「操られているのか」と考えたくなる。

しかし原作漫画まで踏み込むと、真司の立場はもっと明確。
真司は天鬼側におり、比良坂町では鳴子を護衛する位置に入る。
敵に拘束されて仕方なく立っているわけではない。
零司たちが鳴子へ迫れば、その前に真司が立ちはだかる。
自分の意思を失った人形として置かれている人物でもない。

鳴子は鉄輪のように真正面から殴り合うタイプとは役割が違う。
比良坂町で大きな影響を及ぼす術を使い、
戦場そのものへ圧力をかけていく存在。
その鳴子を自由に狙わせないためには、近くで守る者が必要になる。
そこへ配置されているのが真司だった。

この配置が零司にとって最悪。
敵の術者を止めるために前へ進めば、その途中に兄がいる。
真司を避けて鳴子だけを狙うことも難しい。
任務を遂行するには、過去から逃げることができない形になっている。
兄弟の問題と黒の灯火の任務が、同じ場所で重なってしまった。

一方で、真司がなぜそこまで物ノ怪側へ近づいたのかを見るには、
桐原家にいた頃へ戻る必要がある。
真司はもともと剣とは無縁だった人物ではない。
零司と同じ家に生まれ、同じ桐原流斬術を学んでいる。
だが弟の零司が才能を伸ばしていくにつれ、
兄として背負っていたものは次第に崩れていった。

強くなりたい。
弟に負けたくない。
桐原家の中で自分の価値を失いたくない。
そうした感情の先で、真司は普通の剣士の道から外れていく。
そして真司の現在を象徴する存在となるのが、妖刀「閻魔風」。
人間の剣だけでは届かなかった力へ、物ノ怪を通じて近づいていった。

弐郎と羅睺とは逆方向へ進んだ「人間と物ノ怪」の組み合わせ

真司を見ていると、『BLACK TORCH』第1話から続く弐郎と羅睺の関係と対照的。
弐郎は最初から物ノ怪の力を欲しがっていたわけではない。
山の中で傷ついた黒猫を見つけ、
相手が伝説級の物ノ怪だとも知らずに助けようとした。
その行動の果てに命を落とし、羅睺が身体へ融合したことで生き延びている。

つまり弐郎の場合、力を得ることが出発点ではなかった。
目の前にいる存在を見捨てられない性格が先にある。
羅睺との融合も、最強になるために弐郎が求めたものではない。
それでも共に過ごすうちに、二人は単なる宿主と物ノ怪ではなくなっていく。
口では反発しながら、互いを守る関係へ近づいている。

真司はそこが大きく違う。
彼の中には「強さ」が深く食い込んでいる。
弟の零司との比較。
桐原家での立場。
剣士としての自分。
そうしたものに追い詰められ、物ノ怪の力へ近づいていった。

同じ作品の中に、
人間と物ノ怪が結び付いた弐郎。
物ノ怪の力へ踏み込んだ真司。
二人が同時に存在することで、
「物ノ怪と関わった人間が必ず同じ方向へ進むわけではない」ことも見えてくる。

弐郎は羅睺の力を持ちながら、公儀隠密局の黒の灯火で戦う。
真司は桐原家の人間でありながら、天鬼側へいる。
生まれや所属だけでは、どちらに立つかは決まらない。
誰と出会い、何を求め、その力を何のために使うのか。
そこで二人の道は大きく分かれている。

そして零司は、その両方を近くで見ることになる。
最初は信用できなかった弐郎が、羅睺と共に仲間として戦う姿。
一方では、血のつながった兄が物ノ怪側に立つ姿。
零司にとって「物ノ怪だから敵、人間だから味方」という単純な線引きは、
物語が進むほど崩れていく。

第7話「3 ON THREE」で真司が鉄輪、呂蓮、鳴子と並んでいる光景は、
それを一目で見せる場面でもある。
見た目だけなら最も人間に近い真司が、敵陣の中にいる。
逆に物ノ怪の羅睺と融合した弐郎は、零司の隣で戦う仲間になっている。
第1話の頃とは、零司を取り巻く景色が完全に変わっていた。

だから真司が鳴子を守っていることは、
単なる敵キャラクターの配置では終わらない。
零司がこれまで信じてきたものへ、兄自身が突き付けてくる戦いになる。
そして鳴子へ到達するには、その兄を越えなければならない。
第7話からの零司は、任務と兄弟の過去を同時に背負って刀を抜くことになる。

第5章 「3 ON THREE」は誰と誰の戦い?三つの対決が同時に動く

弐郎・一華・零司が別々の相手を受け持ち、比良坂町の戦いが分かれていく

第7話「3 ON THREE」という題名からも分かる通り、
比良坂町で始まる戦いは、全員が一か所へ集まって敵一体を囲む形ではない。
黒の灯火側も物ノ怪側も、それぞれ異なる力と役目を持っている。
そのため戦場へ入った弐郎たちは、相手の能力に応じて別々の戦いへ引き込まれていく。
ここから弐郎、一華、零司がそれぞれ何を背負って戦う人物なのかも、はっきり見えてくる。

敵側で最も分かりやすく前へ出てくるのが鉄輪。
巨大な身体を持ち、細かな駆け引きよりも圧倒的な力で押し潰してくる物ノ怪になる。
そんな鉄輪と真正面からぶつかる位置に入るのが弐郎。
羅睺の力を身体へ宿し、自分自身も肉体を使って前へ飛び込む弐郎だからこそ、
巨体の鉄輪との戦いは力と力が正面衝突する組み合わせになる。

弐郎は第1話から、危険を前にしても先に身体が動く少年だった。
傷ついた黒猫だった羅睺を放っておけず、
正体が物ノ怪だと分かってからも簡単に見捨てることはしなかった。
その性格は黒の灯火へ入ってからも変わらない。
敵が大きかろうが強かろうが、目の前で誰かが危険なら前へ出る。

だから鉄輪のような相手とは相性がいいようで、同時に危険でもある。
弐郎は真正面からぶつかることを恐れない。
だが鉄輪もまた、正面から相手を壊せるだけの力を持っている。
羅睺の力があるから押し切れる、という単純な戦いにはならない。
一発まともに受ければ、弐郎側もただでは済まない相手になっている。

一方、一華が向き合う呂蓮は戦い方そのものが違う。
呂蓮は鉄輪のように身体の大きさで圧倒する相手ではなく、
人間の意識へ入り込み、幻覚や精神への干渉を使ってくる物ノ怪。
目の前に見えている敵だけを斬れば終わるとは限らない。
誰が敵なのか、自分が見ている景色が本物なのかまで揺さぶられる。

第6話で弐郎たちが芙蓉の妖術対抗訓練を受けていたことが、
ここへ来て実戦へそのままつながってくる。
あの訓練では、腕力や剣術だけではどうにもならない状況へ放り込まれた。
幻覚に飲まれれば、どれだけ身体能力が高くても本来の力を出せない。
呂蓮の存在によって、その危険が訓練ではなく現実の戦場へ持ち込まれる。

一華は黒の灯火の中でも、弐郎とはかなり違う戦い方をする人物。
直感で飛び込む弐郎より周囲を見て動き、
公儀隠密局の一員として物ノ怪への知識も持っている。
しかし精神へ入り込んでくる相手には、
冷静さそのものを崩される危険がある。
呂蓮との対峙は、一華の判断力まで試される戦いになる。

そして三つ目が、零司と真司。
ここだけは鉄輪や呂蓮との対決とは性質が違う。
零司の前に立つのは、初めて会う物ノ怪ではない。
同じ桐原家に生まれ、同じ剣を学んだ双子の兄。
敵の能力を知るだけでは解決できない、過去そのものとの戦いになる。

鳴子は後方から町を支配し、三つの戦いを成立させる中心にいる

「3 ON THREE」で少し分かりにくいのが鳴子の立場。
鉄輪、呂蓮、真司のように、それぞれ誰か一人と真正面から戦う姿だけを考えると、
敵側の人数が合わないようにも見える。
だが鳴子は、別の場所から戦場全体へ影響を与える役目を持っている。
比良坂町そのものを閉じ込める結界が、その大きな力になる。

つまり鳴子は、一対一で誰かを倒すことだけを狙っているわけではない。
町を覆い、外との行き来を制限し、
その内側で鉄輪や呂蓮たちが動ける状況を作る。
弐郎たちにとっては、目の前の敵を倒して終わりではない。
結界をどうにかしなければ、比良坂町そのものを救えない。

そこに真司が鳴子を守る立場で入っている。
鳴子を止めようと奥へ進めば、
零司の前へ真司が立ちはだかる。
戦場全体を動かしている相手へ近づこうとすると、
最も個人的な因縁を持つ兄と戦わなければならない。
零司だけは、任務と私情を完全に切り分けることが難しい。

鉄輪と弐郎。
呂蓮と一華。
真司と零司。
それぞれの戦いは、単に同じ強さの者同士を並べただけではない。
弐郎には肉体で押してくる相手、
一華には感覚や精神を揺さぶる相手、
零司には自分の過去を知る相手が待っている。

特に零司と真司は、同じ桐原流斬術を知る兄弟。
零司がどう剣を振るうのか。
どこで間合いを取るのか。
どんな癖を持っているのか。
赤の他人よりも、互いの戦い方を知っていても不思議ではない。

零司にとって、強い物ノ怪を斬るのとはまったく違う難しさがある。
幼い頃に同じ場所で剣を握っていた相手が、
今では敵として目の前で刀を構える。
昔の記憶があるほど、一つ一つの動きに過去が重なってくる。
それでも黒の灯火の一員として止まることはできない。

第5話では、弐郎と零司が共に咬牙へ挑んでも簡単には通用しなかった。
二人で攻めても相手の強さが上回り、
羅睺の力だけに頼って押し切れるほど物ノ怪との戦いは甘くないと突き付けられた。
その経験を経て、第6話では妖術への対抗まで叩き込まれる。
そして第7話では、今度は三人がそれぞれ別の相手を引き受けることになる。

一人が崩れれば、残りの仲間にも影響する。
鉄輪を止められなければ、弐郎のところから巨体の物ノ怪が抜けてくる。
呂蓮を自由にすれば、精神へ干渉する力が戦場全体を乱しかねない。
真司を越えられなければ、鳴子へ近づく道も開かない。
三つの戦いが別々に見えて、実際にはすべて同じ目的へつながっている。

だから「3 ON THREE」は単なる三対三という数字の題名ではない。
黒の灯火になった弐郎、一華、零司が、
初めてそれぞれの弱点まで突くような相手と同時に戦う局面になる。
第1話から集まってきた三人が、ここから本当の意味で一人ずつ戦場を任される。
比良坂町は、その力と覚悟が試される最初の大きな戦場になっている。

第6章 弐郎と零司はここまで何が違った?第1話から見る二人の戦い方

羅睺を助けた弐郎と、隠密として育った零司は最初から立っていた場所が違う

第7話で真司との戦いへ入る零司を見ると、
第1話から弐郎が歩いてきた道との違いも際立ってくる。
弐郎は物ノ怪の世界へ入りたくて入った少年ではない。
山で傷ついた黒猫を助けたことから、
伝説の物ノ怪・羅睺を巡る争いへ突然放り込まれた。
何も知らない高校生から始まった人物になる。

しかも弐郎は、自分が得をするかどうかで動かない。
生まれつき動物の言葉が分かり、
犬や猫が困っていれば放っておけない。
森で羅睺を見つけた時も同じだった。
相手が危険かもしれないと計算するより、
傷ついている存在を助ける方へ身体が動いた。

その行動によって、弐郎自身の人生は一変する。
羅睺を狙う物ノ怪との戦いに巻き込まれ、
命を失うほどの傷を負い、
羅睺が弐郎の身体へ入り込むことで生き延びる。
昨日まで普通に暮らしていた少年が、
人間でも純粋な物ノ怪でもないような立場へ変わってしまった。

それに対して零司は、戦う世界の外から来た人物ではない。
隠密の名家・桐原家で育ち、
幼い頃から剣を学び、
公儀隠密局の一員として物ノ怪へ対処する側にいる。
危険な存在へどう向き合うかを、弐郎よりはるか前から叩き込まれていた。

だから二人が最初から噛み合わないのは当然だった。
弐郎は目の前の命を優先する。
零司は任務や危険性を先に考える。
羅睺という強大な物ノ怪を身体に宿した弐郎を見れば、
零司の立場では無条件に信用できるはずがない。

一方、弐郎からすれば、
人を危険物のように扱う零司の態度は気に入らない。
自分の身体の中に羅睺がいるからといって、
自分まで怪物として決めつけられたくはない。
互いの第一印象からして良いとは言えず、
黒の灯火に入ったからすぐ仲間になれる二人ではなかった。

第4話「たりないふたり」では、その違いが正面から出てくる。
力はあるが直情的な弐郎。
技術と経験はあるが、自分だけで抱え込みやすい零司。
二人とも戦えるのに、二人とも何かが足りない。
一緒にいることで互いの弱いところまで見えてしまう組み合わせだった。

咬牙との敗北感と第6話の訓練を越え、零司は今度こそ兄本人へ向き合う

そんな二人の関係が動くのが、咬牙との戦い。
咬牙は羅睺を狙う物ノ怪の中でも、
それまで弐郎たちが相手にしてきた敵とは明らかに格が違う。
弐郎が羅睺の力を使い、
さらに零司が加わったからといって簡単に倒せる相手ではなかった。

ここで弐郎は、自分に大きな力があることと、
その力を自在に使いこなせることが別だと突き付けられる。
羅睺が伝説の物ノ怪だからといって、
弐郎自身が突然歴戦の戦士になったわけではない。
身体の動かし方、相手との駆け引き、力を出す瞬間。
足りないものはいくらでも残っていた。

零司にも同じことが言える。
桐原流斬術を身につけ、
隠密としての訓練を受けてきた零司でも、
強大な物ノ怪を前にすれば一人ですべてを解決できるわけではない。
むしろ弐郎と組まなければ届かない場面が出てくる。
嫌っていた相手の力を借りることも、戦うためには必要になる。

咬牙との戦いを経た二人は、
最初のようにただ反発しているだけではなくなる。
弐郎は零司が積み重ねてきた技術を知り、
零司も弐郎が無謀なだけの少年ではないと見始める。
命を懸けて誰かを助けようとする姿勢は、
任務だけでは説明できない強さにもなっていた。

第6話では、さらに別の壁が置かれる。
芙蓉の妖術対抗訓練で必要になるのは、
敵より速く動くことでも、大きな力を出すことでもない。
自分の心へ入り込んでくるものに飲まれず、
自分自身で現実へ戻ってくる力だった。

ここで零司の前へ真司が現れる。
咬牙なら剣を向ければいい。
相手が強くても、倒すべき敵だと決めて戦える。
しかし真司は零司の兄であり、
幼少期からの記憶と桐原家で起きた出来事を丸ごと背負った存在になる。

第6話では、その兄が幻覚として零司を縛る。
そして第7話では、幻覚ではない真司が実際に敵側で待っている。
一話の間に「心の中の兄」から「目の前の兄」へ変わった。
零司が訓練で得たものが本当に通用するのか、
すぐ次の実戦で問われることになる。

一方の弐郎も、鉄輪という分かりやすく強大な敵へ向かう。
第1話では羅睺に助けられなければ生き残れなかった少年。
第5話では咬牙の強さを前に、自分たちの不足を突き付けられた少年。
その弐郎が第7話では、自分が一つの戦場を受け持つ側になっている。
黒の灯火へ入った直後とは、背負っているものが違う。

零司も同じ。
最初は弐郎を監視し、危険な力を制御する側にいるように見えた。
だが話が進むほど、零司自身にも制御できていない過去があると分かる。
兄への感情。
桐原家で起きたこと。
自分の剣と真司の剣。
第7話では、それらから逃げられない位置まで来ている。

弐郎は突然手に入った力を、自分の力へ変えようとしている。
零司は昔から持っている剣で、過去を越えようとしている。
出発点はまったく違う二人だが、
第7話ではそれぞれが「自分にしか戦えない相手」の前へ立つ。
ここまで来ると、どちらが上かという単純な比較では見られない。

そして二人の違いがあるからこそ、黒の灯火は一つの形になっていく。
弐郎だけなら感情のまま突っ込み過ぎる。
零司だけなら、一人で背負ってしまう。
一華も加わり、互いに足りない部分を持った三人が同じ戦場へ立つ。
「3 ON THREE」は、その三人が別々に戦いながらも同じ目的へ向かう局面になる。

第1話で羅睺を拾った時、
弐郎がここまで物ノ怪との争いの中心へ入るとは想像しにくかった。
零司もまた、弐郎を警戒する隠密として現れた時には、
自分の兄が敵側から出てくることまでは表に見せていなかった。
二人の道が交わった先で、弐郎は鉄輪へ、零司は真司へ向かう。
第7話は、それぞれがここまで歩いてきたものを戦いの中で見せる回になっている。

第7章 フード男の登場で戦いは羅睺争奪だけではなくなる

真司が現れたことで、黒の灯火それぞれの過去が現在の敵へつながっていく

『BLACK TORCH』は第1話から、羅睺という強大な物ノ怪を中心に動いてきた。
羅睺を狙う物ノ怪が現れ、弐郎はその争いへ巻き込まれ、
公儀隠密局からも監視される立場になる。
最初の頃は、誰が羅睺の力を狙うのか、
弐郎がその力をどう扱うのかが大きな軸になっていた。

だが黒の灯火が結成され、弐郎、一華、零司が並んで動くようになると、
戦いは羅睺だけのものではなくなっていく。
第5話の咬牙戦では、弐郎と零司が共に強敵へ向かい、
第6話では三人それぞれが自分の内側にある弱さと向き合った。
そこから第7話へ入り、零司の過去にいた真司が現実の敵として姿を見せる。

ここで大きいのは、真司が単なる追加の強敵ではないところ。
鉄輪や呂蓮なら、まず相手の能力を見極めて倒すことを考えればいい。
だが真司の場合、零司がどんな幼少期を過ごし、
なぜ今のような性格になったのかまでつながっている。
戦えば戦うほど、兄弟の過去まで表へ出てくる相手になる。

第6話では、零司の心の中に真司が残っていることが示された。
そして第7話では、その存在が現実の比良坂町へ現れる。
零司にとっては過去を思い出すのではなく、
過去の方から現在へ追いついてきたような状況。
だから真司との再会は、他の物ノ怪との戦闘よりも個人的な重さを持つ。

一方で弐郎もまた、羅睺を巡る争いの中心にいるだけではない。
第1話では傷ついた黒猫を助けただけだった少年が、
今では黒の灯火の一員として鉄輪の前へ立つ。
誰かに守られる側から、自分が一つの戦場を受け持つ側へ変わっている。
一華も呂蓮との戦いを通じ、自分自身で危険な相手へ向き合う。

三人とも別々の相手を抱えながら、
最終的には同じ比良坂町を救うために動いている。
第7話「3 ON THREE」は、
黒の灯火がただ一緒に行動する集団ではなく、
それぞれが一人でも戦場を支えられる仲間になり始めたことを感じさせる。

真司を知っていると、第7話以降の零司の戦いがまったく違って見える

第7話でフード男だけを見れば、
「鉄輪たちと一緒にいる謎の男」という印象で終わる。
だがその正体が桐原真司だと分かると、
零司が彼を見る場面一つにも違う重さが出てくる。
初対面の敵を警戒している顔ではなく、過去を知る相手へ向けた緊張になる。

さらに真司は、零司と同じ桐原家で育った兄。
剣の技術だけでなく、
互いの性格や昔の姿まで知っている。
敵として強いだけなら倒せば終わる。
しかし真司を倒すことは、零司にとって自分の過去へ刃を向けることにもなる。

しかも現在の真司は、零司が知っていた兄のままではない。
妖刀・閻魔風と関わり、天鬼側に立ち、
鳴子を守る位置まで来ている。
昔の兄弟関係をそのまま取り戻せる状況ではない。
零司が何を言っても、真司自身が今の道を選んでいる可能性がある。

そこが弐郎と羅睺の関係とも対照的。
弐郎は物ノ怪と融合しながら、
むしろ人間として仲間を守る方向へ進んでいる。
真司は人間として生まれながら、
物ノ怪側へ近づいていった。
零司はその二つを同時に見る立場に置かれている。

第1話の頃の零司なら、
物ノ怪と融合した弐郎を危険な存在として見る方が自然だった。
だが物語が進むと、
人間だから安全、物ノ怪だから危険という単純な分け方では足りなくなる。
羅睺と弐郎は共に戦い、
人間である真司は敵側へいる。
誰と結びつき、何を選ぶかの方が重要になっていく。

だからフード男の正体が真司だと分かることは、
名前を一つ知るだけではない。
零司の過去、
桐原家で起きたこと、
妖刀・閻魔風、
そして天鬼側へ立つまでの流れまで、
第7話以降の戦いを見る入口になる。

比良坂町で零司が真司へ刀を向ける時、
そこには任務だけではないものが重なっている。
兄を止めたい気持ち。
昔の自分を越えたい気持ち。
黒の灯火の仲間を守らなければならない立場。
その全部を抱えて、零司は兄の前へ進むことになる。

『BLACK TORCH』第7話の謎のフード男は、桐原真司。
だが本当に重要なのは、その名前の先。
第6話まで零司の心を縛っていた兄が、
第7話では敵として現実の戦場へ立ったことにある。
ここから零司の戦いは、物ノ怪を斬るだけでは終わらなくなる。

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