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【アニメ幻想水滸伝】ジョウイとリリュウはなぜ敵対する?なぜ別々の道を選び、引き返せなくなったか

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『幻想水滸伝』のジョウイとリリュウは、大切な人を守りたいと願いながら、戦争を終わらせるために別々の道を選んでいく。
都市同盟への失望とハイランド側への転身をたどり、二人の選択がどこで分かれたのかを確かめる。
アナベルの死や、それぞれが背負う仲間と立場から、親友を思っていても引き返せなくなった経緯に迫る。

原作ゲーム『幻想水滸伝II』の結末までの
ネタバレあり。

  1. 第1章 ジョウイとリリュウは、 守るために選んだ道が分かれて敵対する
    1. 戦争を終わらせたい二人が、 同じ側に立てなくなる
    2. 友情だけでは取り消せない行動と立場が積み重なる
  2. 第2章 同じ場所へ帰りたかった二人―― 決別前の友情
    1. 夜襲と逃亡の中でも、 互いを助けようとしていた
    2. ジョウイが囮になる行動は、 後の敵対と矛盾しない
  3. 第3章 守りたいのに守れない―― ピリカの悲劇と力への願い
    1. 助けてもらった一家を、 今度は救えなかった
    2. 同じ無力さから、 別の強さを求めていく
  4. 第4章 ジョウイはなぜ 都市同盟を信じられなくなった?
    1. 丘上会議で目にしたのは、 まとまらない代表たち
    2. 協力を待つより、 一つの国へまとめる道に傾く
  5. 第5章 なぜハイランド側へ進んだ? アナベルの死と引き返せない選択
    1. 同盟への不信が、 アナベルを殺す行動へ変わる
    2. 王国の力を使うため、 親友のいる側と戦う
  6. 第6章 親友を思っているのに、 なぜ戦いをやめられない?
    1. どちらかが退けば済む話には、 もうならない
    2. 気遣いが残る再会でも、 相手の要求を受け入れられない
  7. 第7章 二人の友情は失われた? 対立の中に残る思いと原作の結末
    1. 国の戦いが終わっても、 ジョウイは約束の場所で待つ
    2. 原作には、 親友を倒すことだけで終わらない道がある

第1章 ジョウイとリリュウは、 守るために選んだ道が分かれて敵対する

原作で分かれる二人の選択
人物 選ぶ道 手放せないもの
リリュウ 同盟側で仲間と抵抗する 自分を信じる人々
ジョウイ 王国の力で統一を目指す 統一への考えと率いる国

戦争を終わらせたい二人が、 同じ側に立てなくなる

一緒に逃げ、一緒に故郷へ帰ろうとしていたジョウイが、
なぜリリュウの敵になるのか。
二人を見ていると、嫌いになったわけでもないのに、
どうして戦わなければならないのかと引っ掛かる。
その対立には、戦争を終わらせる手段の違いと、
別れた後にそれぞれが背負うものが関わっている。

原作ゲームでジョウイが選ぶのは、
ハイランドの力を使い、
この地を一つの国へまとめる道になる。
足並みのそろわない都市同盟では、
争いを止められないと考えたため。
一方の主人公は、都市同盟側で仲間を集め、
侵攻に抵抗する人々を率いていく。
二人とも守りたいものがあっても、
そのための行動が正面からぶつかる。

アニメでリリュウとして描かれる主人公と、
原作ゲームの主人公は、
同じ物語の中心にいる。
ただし、原作の後半で明かされるジョウイの考えを、
アニメ序盤ですでに全て語ったことにはできない。
序盤には、二人がともに戦い、力を求める姿があり、
その先の分岐は原作の展開を補いながら
たどることになる。

ジョウイにとって、戦争を終わらせることは、
単にルカ一人を倒すことではなくなっていく。
国や都市が互いに争う状態を変えなければ、
別の戦いが繰り返されると考えるため。
強い国へ全体をまとめるという考えは、
今いる仲間と侵攻を食い止める行動とは、
やがて両立しなくなる。

ここで、ジョウイが平和を望んでいるから、
選んだ行動の全てが優しくなるわけではない。
原作ではアナベルを殺し、
主人公たちと敵対する軍の側へ進んでいる。
守りたいという願いがあっても、
その道で命を奪われる人がいる。
彼の目的を知ることと、
行動の重さが消えることは別になる。

リリュウの側も、親友に会えたからというだけで、
周囲の人々を置いていくことはできなくなる。
戦いが進むにつれ、主人公には助けを求める仲間や、
身を寄せる人々が増える。
ジョウイと争いたくない気持ちがあっても、
彼の要求を受け入れれば、
自分を信じる側の未来が変わってしまう。

つまり、別々の道を選ぶきっかけと、
その後に戻れなくなる事情は同じではない。
最初は、どんな力なら戦争を止められるかという
考えが分かれていく。
その後には、殺してしまった相手、
守ると約束した人々、率いる軍や国が重なる。
考え直せば昨日へ戻れる段階から、
少しずつ遠ざかっていく。

この対立を、
二人の性格の違いだけへ押し込めることも難しい。
片方が冷酷で、片方が優しいから分かれた、
という出会いではない。
アニメのジョウイも、
リリュウを助けるため危険を引き受けている。
人を大切にするところが消えたのではなく、
その気持ちを抱えながら別の方法へ進んでしまう。

友情だけでは取り消せない行動と立場が積み重なる

だから、二人がまた話せば解決するはず、
と感じる場面がある一方で、
会話してもすぐ終わらない苦しさがある。
原作の再会では、
相手を案じる言葉と、譲れない要求が並んでいる。
親しい呼び方で話せても、
そこで背負っている立場までは
幼い日の二人へ戻らない。

また、輝く盾と黒き刃の紋章を得たことだけで、
二人の選択を全て説明することはできない。
紋章は物語の運命に深く関わるが、
ジョウイが同盟へ失望する場面や、
王国側で取る行動も描かれている。
何を見て、何を決めたかを抜かすと、
彼自身が選んでしまった道が見えにくくなる。

王国へ移ったことも、
ルカの虐殺をそのまま肯定したこととは重ならない。
原作のジョウイは、
国の権力を得て戦争を終わらせようとしている。
そのため、なぜあのルカの側へ行くのかという疑問には、
彼が何を利用し、
その先に何を変えようとしたかが関わる。
敵国へ戻る行動だけでは、
望んでいた終着点まで見えない。

リリュウとジョウイは、
最初から違う人を守りたいと考えていたわけではない。
故郷へ帰りたい思いも、
ナナミやピリカを危険にさらしたくない思いも、
重なっている。
近い願いから出発した二人が、
相手のやり方を受け入れられなくなるため、
敵になった後にも、
昔の関係が切れずに残ってしまう。

原作の結末も一つではなく、
二人の最後の関わり方には分岐がある。
そのため、二人はどうあっても殺し合うしかない、
と先に決めることもできない。
戦争の中で引き返しにくくなったことと、
人としてのつながりまで完全に失われたことは、
最後まで同じではない。

二人が敵対する背景には、
共通の願いがありながら、
相手の選択に従えなくなった事情がある。
ジョウイは統一へ向かう力を得ようとし、
リリュウは自分を信じて集まる人々と抗う。
親友への思いを残したまま、
それぞれの道を進めば相手の道を塞いでしまうところに、
この対立のつらさがある。

話の出発点にあるのは、
世界を動かしたいという大きな野心より、
無事に帰って身近な人と暮らしたいという二人になる。
その暮らしを壊され、
もう守れない側にはいたくないと願った先で、
別の力を求めていく。
対立の経緯は、その小さな願いからたどると、
単なる陣営替えとは違って見えてくる。

第2章 同じ場所へ帰りたかった二人―― 決別前の友情

夜襲と逃亡の中でも、 互いを助けようとしていた

ジョウイとリリュウの関係は、
戦場で偶然組んだ二人から始まるわけではない。
キャロで育ち、ともに学び、
ナナミも交えた時間を過ごしている。
相手が何を大切にしているかを、
戦争が始まる前から知っている。
その親しさがあるため、
後に敵側へ立った姿を見ても、
知らない相手として切り離せない。

アニメ第1話では、
二人は少年兵部隊に所属し、
故郷へ帰る日を前にしている。
帰還を待つ気持ちは、
敵を倒して名を上げたいというものではない。
長い兵役から離れ、
知っている街と人のいる暮らしへ戻る期待になる。
二人が見ていた未来には、
相手と敵として戦う姿はまだない。

ところが、夜襲によって部隊が壊滅し、
二人は命を狙われる。
逃げ切るため滝へ身を投じる場面には、
離れても再び会おうとする約束がある。
一緒にいられなくなる危険を前にして、
相手との再会を諦めていない。
後に約束の場所が関わる結末があることを知ると、
この別れにも別の重さが残る。

流れ着いた先で、
リリュウはビクトールたちに、
ジョウイはピリカ一家に助けられる。
敵地と考えていた場所で、
二人は別々の人の世話になっている。
ここで触れる相手は、
それぞれが思っていた敵国の兵士像だけでは収まらない。
後の選択には、戦場で敵味方を見た経験だけでなく、
救われた経験もある。

再会してからも、
二人は自分だけの安全を確保しようとして別れるのではない。
故郷へ戻り、
何が起きたのかを確かめようとする。
自分たちがなぜ追われるのかも十分には分からない中で、
相手とともに行動している。
疑いや不安を、
一人で抱えて別の道へ消えていく関係ではなかった。

キャロへ戻っても、
元の暮らしは待っていない。
自国側から追われる立場になり、
助けを求める先も変わっていく。
ここで二人は、故郷なら無条件で安心できる、
という見込みまで失っている。
それでも、相手との関係は残る。
帰る場所を失う出来事の中で、
互いの存在がいっそう近くなると考えられる。

アニメ第3話では、
紋章を得る前に、二人が出会い、
ともに育った記憶を追体験する流れがある。
新しい力を手にする場面の中に、
昔からの関係が置かれている。
これから自分が何を守るかという願いに、
相手と過ごした時間が重なっているため、
二人の力への思いも、
最初から互いを倒すためのものとは異なる。

ジョウイの出自も、
単純に恵まれた家の少年という一言では収まらない。
アニメの人物紹介では、
アトレイド家で育ち、
家名に縛られてきたことが示されている。
対するリリュウは、
ゲンカクに引き取られ、ナナミたちと育っている。
育った事情は異なっても、
二人は同じ街で親友になっている。

ジョウイが囮になる行動は、 後の敵対と矛盾しない

ただ、その違いを、
後の敵対が生まれた唯一の原因にすることはできない。
名家の出だから権力を求める、
養子として育ったから仲間を選ぶ、
と対応させるだけでは、実際の出来事が抜ける。
二人は育った場所だけで道を分けたのではなく、
その後に同じ戦争を見て、
別々の答えを選んでいる。

公式第4話の紹介には、
潜入任務で正体がばれた後、
ジョウイがリリュウを逃がすため
囮となる流れがある。
ここでの彼は、親友の命を守るため、
自分が捕まる危険を引き受けている。
都市同盟への不信を抱き始めたことと、
リリュウを大切にしていることが、
同じ時期に存在している。

この行動があると、
後のジョウイを見て、
あの優しさも演技にすぎなかったのか、
と疑いたくなるかもしれない。
けれど、同盟の仕組みを信じられなくなることと、
友人を嫌いになることは別になる。
味方側の政治に疑問を持っていても、
目の前の親友は守ろうとしている。
二つを分けると、
彼の変化が急な別人への交代ではなくなる。

むしろ、親友を助けるために
一人で危険へ残る姿は、
後に自分で重い選択を引き受けようとする
ジョウイにもつながって見える。
もちろん、囮になる行動から
暗殺の決意まで一つに断定はできない。
ただ、相手を守るために自分が動く、
という姿勢は、対立前の彼にもすでにある。

リリュウの側にも、
ジョウイが守ってくれた記憶が残る。
相手が敵側に立った後、
軍の指導者として警戒しなければならなくても、
かつて命をつないでくれた親友でもある。
戦場で見える立場と、
自分が知っている相手の姿が一致しない。
その食い違いが、
再会のたびに簡単には消えない。

二人の友情は、
戦争の前にだけ置かれた飾りではない。
ともに逃げ、助け合った経験が、
その後に相手を殺したくない気持ちや、
引き止めたい思いへつながる。
だから、対立が始まった後も、
以前の場面を思い出すことがある。
敵になった人物の中に、
助けてくれた同じ人が残っている。

最初に共有していたのは、
国を一つにする計画でも、
軍を率いる覚悟でもない。
生きて帰り、ナナミや親しい人と過ごす暮らしになる。
その願いを壊された二人が、
今度こそ守れる力を求める。
出発点が近いほど、
後に相手が差し出す道を
断らなければならない場面が、
いっそう苦しくなる。

第3章 守りたいのに守れない―― ピリカの悲劇と力への願い

助けてもらった一家を、 今度は救えなかった

トトの村が焼かれたとき、
ジョウイが失うのは、
知らない土地の平穏だけではない。
自分を助けてくれたピリカの両親が亡くなり、
少女だけが残される。
命を救われた相手に、
今度は自分が何もできなかった。
その出来事は、戦争がひどいと知ること以上に、
自分の力の届かなさを突き付ける。

ピリカにとっても、
ジョウイは家族のように慕う相手になっている。
彼が村へ戻れば、
以前と同じように一家が迎えるはずの場所が、
もう残っていない。
知っている人がいなくなることと、
生き残った子を前にすることが重なる。
その場で何か言葉を掛けても、
両親を戻してあげることはできない。

リリュウも、
ジョウイのそばで村の惨状とピリカを見ている。
片方だけが戦争の被害を知り、
もう片方は何も知らないまま道を選んだわけではない。
同じ場所に立ち、
同じ少女を助けようとしている。
それでも、この後に何を変えればいいと考えるかまで、
必ず同じになるとは限らない。

さらに砦でルカに追い詰められる出来事がある。
二人がピリカを守りたくても、
目の前の相手を簡単には止められない。
剣を持っていることと、
その場の暴力を押し返せることは違う。
逃げる手段を探さなければ、
自分たちも少女も危ない。
この経験が、力を求める気持ちにつながっていく。

ここで二人が望む力は、
戦いを楽しむためのものではない。
自分の近くにいる人を、
今度こそ失わずに済ませたいという願いから出ている。
けれど、守るための力を求めることは、
そのまま同じ方法を選ぶことにはならない。
強い剣、軍を動かす立場、
国を変える権力では、
できることも代償も異なる。

ピリカは砦を逃れた後、
恐怖で言葉を失っている。
命を助けられたから全て終わり、
とならない姿が二人の近くにある。
生きている相手へも、戦争の傷は残る。
その現実があれば、
目の前の敵を一度追い払うだけで十分なのかという
疑問が生まれても不思議ではない。

ただし、ピリカのために
ジョウイの選択が全部決まった、
と一人の少女へ結び付けることはできない。
後には都市同盟の会議を見て失望する経験もあり、
国のあり方への考えも語られる。
彼女の悲劇は大きな出発点になるが、
そこからどんな道へ進むかは、
ジョウイ自身の判断になる。

ピリカがジョウイの敵対を望んだわけでもない。
少女が親しく接してくれたことや、
助けを必要としていたことを、
彼の行動を正当化する材料に変えると、
本人の気持ちと離れてしまう。
守ると決めた相手がいることと、
その相手が選んだ方法を支持していることは別になる。

同じ無力さから、 別の強さを求めていく

アニメ第3話の紋章を得る場面では、
二人がともに力を求めている。
リリュウには輝く盾、
ジョウイには黒き刃が宿るが、
その時点で二人が敵として向かい合うわけではない。
別々の紋章を得ることと、
別の軍を率いて戦うことの間には、
まだ人の選択と出来事がある。

剣と盾という名前を見ると、
攻めるジョウイと守るリリュウへ分けたくなる。
しかし、二人の行動は、
その名前だけで決まっているわけではない。
ジョウイも人を守るため動き、
主人公側も敵へ攻め込む戦いをする。
紋章の印象を、
本人の心や全ての戦術へ
そのまま当てはめることはできない。

二人が得た力には大きな働きがあっても、
それだけで軍の進行や都市の判断を
全て変えられるわけではない。
村や砦の危機を見た後にも、
戦争は続く。
個人の力を得ることと、
争いの仕組みを変えることの間に距離がある。
その距離をどう埋めるかで、
二人の道も分かれていく。

ジョウイは、
ばらばらの勢力が争い続ける状態そのものを
変えようとする。
リリュウの側は、
傷ついた人や力を貸す人と出会い、
その人たちと抵抗を続ける。
前者は全体を一つにまとめる力へ向かい、
後者は異なる人が集まって戦う力へつながっていく。
この違いは、後の行動から見えてくる。

もっとも、どちらも、
最初から完成した計画を持っていたわけではない。
序盤の二人は、
追われる身として生き延びることで精いっぱいになる。
力への願いがあり、
その後に見た政治や人との関係が、
具体的な道を作っていく。
悲劇を見た瞬間に、
後半の全ての決断まで固まったと読む必要はない。

守りたい相手がいることは、
二人を結び付けるだけでなく、
焦らせるものにもなる。
次も同じように間に合わなかったら、
と考えれば、
ゆっくり話し合う時間さえ遠回りに見える可能性がある。
ジョウイが同盟の遅さへ不信を募らせる背景には、
抽象的な理想より、
すでに目にした被害がある。

それでも、早く止めたいという思いから選んだ道が、
すぐ犠牲を減らすとは限らない。
原作のジョウイは、
戦争を終わらせるために、
別の人を傷つける行動へ進む。
ここに、彼の選択を知っても
すっきり納得しきれないところがある。
守れなかった痛みが、
新しい痛みを生む行動へつながってしまう。

ピリカの悲劇が二人に残したものは、
同じ敵への憎しみだけではない。
もう無力なままでいたくないという願いもある。
その願いを、誰と、どんな形で実現するかが、
後の分岐になる。
同じ少女を守ろうとしていた二人が、
違う力を信じて進んでしまう。
その隔たりは、
次に目にする同盟の姿で広がっていく。

第4章 ジョウイはなぜ 都市同盟を信じられなくなった?

丘上会議で目にしたのは、 まとまらない代表たち

村を焼く軍が迫っているのに、
守る側の話し合いがまとまらない。
ジョウイが都市同盟へ不信を募らせる場面には、
そんなもどかしさがある。
公式第4話の紹介では、
王国軍への対応を話し合う代表たちが、
身勝手な主張をぶつけ合っている。
その姿が、
彼の考えを変えていく手掛かりになる。

都市同盟は、
一人の王が全てを決める一つの国とは異なる。
複数の都市や騎士団が、
それぞれの立場を持ちながらまとまっている。
原作の公式紹介にも、
地理的な事情から移動が難しく、
団結して外敵に当たることが容易ではないと説明されている。
同じ側なら自動的に協力できる、
という関係ではない。

代表たちには、
それぞれの領地や兵、政治的な事情がある。
けれど、実際に村を失った人を見ているジョウイには、
その事情を並べる間にも
犠牲が増えると映る可能性がある。
会議の中で交わされる言葉と、
外で起きている悲劇の間に距離がある。
その隔たりが、不信へつながっていく。

ここで彼が疑い始めるのは、
都市同盟にいる全員の優しさではなく、
この集まりで人々を守り切れるかという点になる。
ビクトールたちに助けられた経験まで消えるわけではない。
それでも、親切な人がいることと、
大きな軍を止める判断がそろうことは別になる。
個人への信頼だけでは、
会議の現実を埋められない。

この違いは、
ジョウイが味方を裏切ったという言葉だけでは見えにくい。
彼は、自分を助けてくれた人を
急に全員憎むようになったのではない。
救われた相手がいる同じ側で、
仕組みへの失望も深まっている。
人への親しみと政治への不信が重なるため、
進路を変えた後にも
人間関係だけは切れずに残る。

一方のリリュウは、
同じ会議を見たからといって、
そのまま王国へ戻る道を選ばない。
原作の主人公は、
後に同盟側の中心となり、
人々を集めて抵抗する。
ばらばらの人たちをまとめることが難しいと知りながら、
その関係を作る側へ進んでいる。
欠点のある同盟を離れるか、
そこから別のまとまりを作るかで道が異なる。

そのため、二人の違いを、
現実を知るジョウイと、
何も知らないリリュウという形にすることはできない。
主人公側も犠牲や身勝手さに直面している。
違うのは、
難しい現実の先に、どこへ力を求めるかになる。
同じ仕組みに問題を感じても、
選べる対処が一つとは限らない。

ジョウイは、原作で、
強大な一つの国を作ることへ進む。
国と同盟が並び立ち、
その中でも意見が割れる状態を、
争いが続く原因として捉えるため。
彼にとって統一は、
王になることだけを目的とした話ではなく、
争う勢力をなくすための方法になる。
戦争を止めたい願いが、
国の形を変える考えへ広がっている。

協力を待つより、 一つの国へまとめる道に傾く

ただ、その考えに至ったからといって、
統一すれば確実に平和になると
作品が保証しているわけではない。
力で相手を従わせる道には、
抵抗する人を倒す戦いが含まれる。
争いをなくしたいという目的と、
そのために争いを広げる手段が重なる。
主人公側から見れば、
受け入れられない被害もそこに生まれる。

ジョウイの考えは、短く言えば、
同盟の団結が整うのを待つより、
すでに大きな軍事力を持つ王国を使うほうへ向いている。
その選択には、
今すぐ状況を変えたい焦りも読み取れる。
協力が難しいなら
強い側で全体をまとめるという答えは、
会議で感じた行き詰まりとつながっている。

しかし、ハイランドにはルカがいる。
人を守るために、
村を焼く側の力を使うという選択には、
大きな矛盾が見える。
あれほど恐ろしい相手を知ったのに、
なぜその側へ行くのかと戸惑うところになる。
彼はルカのそばへ行けば穏やかに人を救えると
証明された道を選んだのではなく、
危険な権力へ近づいている。

原作では、ジョウイはその後、
王国の中枢へ入り込み、
最終的に自分が国を率いる立場へ進む。
王国に従うだけでなく、
その力を自分の目的へ向けようとする行動になる。
ルカを目標にして同じ暴力を楽しむことと、
ルカのいる国を使って統一を目指すことは、
同じ動機ではない。

それでも、その違いは
被害を受ける側の痛みを減らしてくれない。
いつか国を変えるために今は犠牲を出す、
という道を、
周囲がそのまま受け入れられるわけではない。
ジョウイが先の平和を考えるほど、
目の前の命をどう扱うかという問題が残る。
そこが、
リリュウたちとの衝突へ直結していく。

丘上会議の場面だけで、
彼のその後の選択が正しかったかまで決まるわけではない。
けれど、なぜ同盟側から離れようとしたのかをたどるうえでは、
具体的なきっかけになる。
幼い頃の性格や紋章の名を推測するより、
彼が何を見て失望したかが、
ここではっきり表れている。

同盟を信じられなくなることと、
王国のために人を殺すことの間には、
まだ大きな段差がある。
会議へ失望しただけなら、
別の働き方や抵抗も考えられる。
それでもジョウイは、
原作で取り消せない行動へ踏み出してしまう。
二人の道が分かれるだけでなく、
戻りにくくなるのは、その先になる。

第5章 なぜハイランド側へ進んだ? アナベルの死と引き返せない選択

ここからは原作のアナベルの死と、
その後の展開に触れる。

同盟への不信が、 アナベルを殺す行動へ変わる

ジョウイの選択が、
考え方の違いだけでは済まなくなるのが、
原作でアナベルを手にかける出来事になる。
都市同盟を信じられないと思うことと、
目の前の人の命を奪うことは同じではない。
彼はその間を越えてしまう。
ここから先は、
親友へ気持ちを打ち明ければ
元の場所へ戻れる話ではなくなる。

アナベルはミューズの市長で、
都市同盟の中心に立つ人物になる。
彼女を失うことは、
一人の政治家がいなくなるだけではない。
侵攻を受けている都市の判断や、
同盟側のまとまりにも響く。
ジョウイが起こした行動は、
彼とリリュウの間だけにとどまらず、
多くの人の状況を変えてしまう。

その相手は、
抽象的な同盟の欠点そのものではない。
二人を迎え、話をした一人の人になる。
同盟の体制へ疑問を持ったことを、
そのまま彼女を殺す行動の免除にはできない。
ジョウイの考えを知った後にも、
アナベルの死が重く残るのは、
その人の命を計画の途中へ置いてしまったためでもある。

原作では、この出来事の後にジョウイは姿を消し、
やがて王国側の人物として
主人公たちの前へ現れる。
親友が帰ってこない時間を経て、
今度は敵側にいる。
その間に彼が何を選んだかを、
待っている側は一緒に決められない。
道が分かれる過程そのものも、
二人の共同作業ではなくなっている。

リリュウの側からすれば、
親友の事情を知りたいと思っても、
同盟の人を殺した出来事はすでに起きている。
ジョウイと個人的に話せることと、
周囲が彼を受け入れられることは別になる。
自分が許すと決めれば全て終わる、
という種類の衝突ではないところが、
引き返しにくさを深めている。

ジョウイが王国側へ進んだのは、
原作では、そこにある大きな力を
統一へ向けようとしたためになる。
すぐ身を守るだけなら、
二人と一緒に逃げ続ける道も考えられる。
しかし彼は、国を変える側へ入り込もうとする。
自分の安全だけでなく、
争いの続く状態そのものへ手を伸ばしている。

ここには、
王国に従えば自動的に思いどおりになる、
という保証はない。
ルカの近くへ行き、信用を得て、
権力へ近づかなければならない。
もともと少年兵として戦争に巻き込まれた人物が、
今度はその中枢へ進んでいる。
受け身で巻き込まれるだけの立場から、
自分で他人の運命を変える側へ移っていく。

原作でジョウイはジルと結婚し、
最終的にハイランドの皇王になる。
ここまで来ると、
王国側へ一時的に身を隠していた、
という説明では収まらない。
彼自身が国を率いる人になっている。
昔の仲間へ戻ることは、
軍服を脱いで道を変えるだけでなく、
国に残る人々をどうするかという問題にもなる。

王国の力を使うため、 親友のいる側と戦う

王国の中には、
ルカだけでなく、
ジョウイを信じて動く人物もいる。
彼が皇王へ至る道は、
敵側にいる人を全て同じ残酷さへまとめることを難しくする。
守るべき相手が増えれば、
途中で自分だけ立場を降りることも簡単ではない。
彼の選択が、
他人の期待や忠誠と結び付いていく。

ただし、国を背負ったから
責任が全て後から押し付けられた、
とすることもできない。
ジョウイ自身が、
その力を得るために行動している。
望んだ目的へ近づくほど、
離れにくい立場にも近づいている。
その積み重ねが、
親友に戻りたい気持ちだけでは
動けなくなる事情を作っている。

ルカへの対応も、この変化と関わる。
原作では、
彼を倒すために王国側から情報が渡される流れがあり、
ジョウイはルカへ忠実に従い続ける人物ではない。
村を焼いた相手を、
そのまま理想の支配者として支えるだけの道ではなかった。
王国の力を握る目的と、
ルカ個人への服従は分けられる。

それでも、ルカがいなくなれば、
すぐ二人が同じ側へ戻るわけではない。
ジョウイが目指しているのは、
その一人を除くことだけでなく、
王国と同盟を一つにすることになる。
共通の脅威を倒せても、
その後にどんな国を作るかで衝突は残る。
ここで、敵対の中心が
ルカ個人だけではないと分かる。

親友と再び会えたなら、
あの頃のようにやり直せばいい。
そう感じる余地は、二人の会話に残っている。
けれど、ジョウイが帰ることで、
アナベルの命が戻るわけではない。
自分の行動が変えた都市や、
その後に命を預けた人々も残る。
以前の場所へ戻るための道は、
出来事のたびに複雑になっている。

彼が選んだ統一は、
主人公側が抵抗をやめれば進めやすくなる。
だから、親友を守りたい気持ちから退くことを求めても、
その要求は同盟側にとって降伏や放棄につながる。
ジョウイには救うつもりがあっても、
リリュウから見れば、
今いる仲間を置いていく提案にもなる。
このずれが、再会後の会話を行き詰まらせる。

ジョウイが引き返せなくなるのは、
悪役になり切ったからだけではない。
自分で選んだ行動の結果と、
その先に信じた国の形を手放せなくなっていくためになる。
一度奪った命も、
集めた人の期待も残る。
守るために得ようとした力が、
今度は自分の選択を狭くしていると考えられる。

そして、その向かい側には、
別の場所で同じように多くの人を背負い始めた
リリュウがいる。
ジョウイだけが重い立場になり、
親友は自由に戻れる場所で待っているわけではない。
二人が会えば昔の関係も思い出されるが、
互いにもう簡単には置いていけないものがあると
確かめることにもなる。

第6章 親友を思っているのに、 なぜ戦いをやめられない?

敵対後にも残る、親友を思う行動
原作の再会 見える行動
ミューズ 降伏を迫るが、ピリカの前で攻撃を止める
ロックアックス ナナミの危機をきっかけに共闘する

どちらかが退けば済む話には、 もうならない

原作で主人公が率いる側には、
さまざまな事情で集まった人々がいる。
村を守りたい人、
侵攻を止めたい人、
大切な相手を失った人もいる。
ジョウイと争いたくないという願いは、
その人たちを守りたい思いと並ぶ。
親友の手を取るだけなら簡単に見えても、
その一歩で置いていく相手が生まれてしまう。

ジョウイの側にも、
国を率いる立場と、
自分の進む道を信じる人々がある。
だから、リリュウに戦いから離れることを求められても、
自分も一緒に国を捨てるとは言えない。
相手には安全な場所へ行ってほしいが、
自分はやめられない。
その食い違いに、
二人の離れた時間が表れている。

ここで起きているのは、
二人が相手を知らないためのすれ違いだけではない。
親友の優しさも、意地も知っている。
それでも、
自分と同じ答えへ来てくれるとは限らない。
相手なら分かってくれるはずという期待が残っているぶん、
断られたときの距離も大きくなる。

原作の再会には、
主人公側が引くことを求めるジョウイと、
それはできないと応じる主人公側の姿がある。
一方的に憎しみをぶつけ合う会話ではない。
しかし、穏やかに話せることと、
同じ条件へ合意できることは異なる。
昔の友人としての言葉が戻っても、
軍を率いる側の判断は残っている。

ナナミが二人を引き止める場面がつらいのも、
そのためになる。
彼女には、一緒に暮らし、
過ごしてきた二人がいる。
国の将来を話し合う相手より先に、
そろって帰ってきてほしい家族や友人になる。
その願いを前にしても、
二人はすぐ同じ場所へ戻れない。

二人が立場を捨てれば、
戦争も自然に終わるとは限らない。
軍や都市には、
それぞれの思いで動く人がいる。
指導者がいなくなった後、
誰がどう守るのかという問題が残る。
ジョウイとリリュウの関係は、
戦争を始める全ての原因ではなく、
その大きな争いの中心へ置かれた関係にもなっている。

ミューズで行われる和平交渉に関わる場面では、
この距離が具体的な危険として現れる。
主人公たちは、
対等に話し合うつもりで赴いても、
王国側から降伏を迫られる。
断れば命が危ない状況になる。
向かいにいるのは、
会いたかった親友になる。
同じ相手が、
今は敵の軍も動かしている。

この要求は、
ジョウイから見れば戦争を終わらせる道でも、
主人公側から見れば
自分たちの抵抗を全て手放すことになる。
彼が大切な人を殺したくないとしても、
示している選択肢は厳しい。
優しい気持ちが残っているから、
相手にとっても優しい提案になるわけではない。

気遣いが残る再会でも、 相手の要求を受け入れられない

そこへピリカが現れ、
ジョウイへ駆け寄る。
彼は少女の前で主人公たちを殺すことをためらい、
攻撃を止める。
ここには、彼女や親友への思いが、
まだ行動に響くことが表れている。
敵対した時点で情が全てなくなったのなら、
このためらいも起こらない。

けれど、その場で命を奪うことを止めても、
ジョウイが統一を諦めるわけではない。
主人公たちも同盟側の人々を置いて
彼に従うわけではない。
親友を殺したくない気持ちは、
戦争をやめるための合意までは作れなかった。
生きてその場を離れられても、
対立は続いてしまう。

この点で、ピリカの存在を
二人を仲直りさせる便利なきっかけとは呼びにくい。
少女は、
自分が慕う相手へ会いに行っている。
一方で、大人たちは
彼女への思いを踏まえて動いている。
人を守りたいと始まった選択の中へ、
守りたかった本人まで取り込まれてしまうところに
苦さがある。

さらに原作のロックアックスでは、
ナナミが矢を受ける危機をきっかけに、
主人公とジョウイが共に敵へ向かう場面もある。
別の軍の側にいても、
同じ人の危機へ同時に動ける。
幼い頃からのつながりが、
戦場の立場を越えて現れる場面になる。

それでも、その一度の共闘が、
全ての戦争を終わらせるわけではない。
目の前の相手を倒すため力を合わせられることと、
その先に作る国へ合意できることには距離がある。
一緒に戦う姿を見られた喜びのそばで、
なぜこのまま戻れないのかという思いも残る。

二人にとっての引き返せなさは、
親友を大切に思わなくなった状態ではない。
相手を思ったまま、
自分が選んだ道と、
そこで守る人を手放せなくなっている。
友情が残るほど相手の命を守りたくなるが、
そのために要求することは相手の立場を壊す。
この矛盾が、再会のたびに繰り返される。

ジョウイへ昔の友情を思い出させても、
それだけで戦いを終えられるわけではない。
彼はそれを忘れてはいない。
自分が背負ったものや、
戦争を終わらせる手段を
どう捉え直すかまで関わる。
二人の最後の対面では、
国としての勝敗がついた後にも、
なお残る問題へ向き合うことになる。

第7章 二人の友情は失われた? 対立の中に残る思いと原作の結末

この章は原作ゲームの結末までのネタバレあり。

国の戦いが終わっても、 ジョウイは約束の場所で待つ

ジョウイとリリュウの対立は、
原作では王国との戦争の終わりだけで完結しない。
親友の選んだ国に勝ったとしても、
その本人との関係は残る。
敵の指導者として退けることと、
幼い頃から知る相手に会って言葉を交わすことは、
同じ決着ではない。

原作の最後に関わるのは、
かつて二人が再会を約束した場所になる。
逃げるため滝へ飛び込んだ頃、
そこには離れても会おうとする思いがあった。
長い戦いの後に、
またその場所で相手を待つ。
一緒に帰りたかった二人が、
国の勝敗を背負って向き合うところに、
最初の約束とは違う痛さがある。

ジョウイは、
単に敗れたから自分だけ逃げ延びようとしているわけではない。
王国を率いた側として、
同盟側の指導者に倒される形で決着をつけようとする。
自分の生死まで、
戦争を終わらせるためのものとして扱おうとしている。
国を動かす力を求めた先で、
最後には自分を差し出す方向へ進んでしまう。

その姿を見ていると、
もっと早く二人で話せていれば、
と考えたくなる。
けれど、この時点の問題は、
説明を聞いていなかったということだけではない。
ジョウイは人を殺し、国を率い、
主人公も多くの人と戦ってきている。
言葉にしなかった思いがあることと、
起きた出来事が取り消せることは異なる。

それでも、約束の場所へ来る相手を待っていることには、
二人の関係が残っている。
国のための相手としてだけなら、
幼い日の約束まで同じ形で持ち続ける必要はない。
最後に会おうとするのは、
どこかの軍の代表ではなく、
自分を知る親友になる。
ジョウイの行動には、
戦争の決着と個人的な願いが重なっている。

ここからの結末は、
原作では一つではない。
新しい国を率いる道へ進む結末も、
約束の場所でジョウイと向き合う結末もあり、
その対面の先も条件によって変わる。
したがって、
二人は最後に必ず殺し合って終わる、
と断定することはできない。
原作が持つ分岐を、
アニメの確定した結末へ置き換えることもできない。

条件を満たした結末では、
主人公がジョウイを倒すことを拒み、
ナナミを含む三人で再び歩み出す展開がある。
勝った側が親友の命を奪って
物語を閉じる道だけではない。
この存在によって、
別々の道へ進んだことが、
人として二度と会えないことと同じではないと分かる。

ただし、再出発が描かれるからといって、
ジョウイが奪った命や、
戦争で失われた人々まで戻るわけではない。
昔の仲間がそろえば、
全て初めからやり直せるという結末ではない。
二人が経験してしまったことは残る。
そのうえで、
これから相手とどう関わるかが変わっている。

原作には、 親友を倒すことだけで終わらない道がある

また、この結末は、
ジョウイの統一の考えが
全面的に正しかったと証明するものでもない。
彼の方法に伴った犠牲はあり、
主人公側がそれに抗って戦った事実もある。
相手をもう一度友人として迎えることと、
これまでの行動を全て同じように肯定することは
別になる。

ここまでたどると、
二人の敵対を、
親友なのに互いを理解しなかった失敗だけで
片づけることも難しい。
相手が大切と分かっていても、
その相手の示す条件では守れない人がいる。
理解と同意が一致しない場面が続いている。
近い関係だからこそ、
相手へ譲れば済むという話にはならなかった。

ジョウイは、
争う勢力が並び立つ状態をなくすため、
大きな国へ統一しようとした。
リリュウの側は、
その力によって奪われる人々のそばで、
仲間を集めて抵抗する道を進む。
守りたい願いは重なっていても、
相手が守ろうとする暮らしを、
自分の計画の中へ従わせなければならなくなっていた。

引き返せなくなった事情には、
考え方の違いだけでなく、
アナベルの死、率いる国や軍、
信じてついてきた人々がある。
親友への思いが消えていないからこそ、
その全てをどう扱えばいいかが苦しくなる。
どちらかの優しさが足りないと決めるだけでは、
二人が置いていけなかったものは見えてこない。

そして、戻れないという言葉も、
何もかも同じ重さで決まっているわけではない。
奪った命は戻せず、
過去の行動も消せない。
一方で、これから親友と会うか、
差し出された結末を受け入れるかには、
原作では選択が残っている。
変えられない過去と、
その後にまだ取れる行動が並んでいる。

アニメ序盤の二人は、
同じ場所へ帰り、
互いを助けようとしている。
その姿を知ってから原作の対立を見ると、
後の言葉がただの敵の要求には聞こえにくい。
そこには、自分を助けてくれたジョウイがいる。
けれど、親友だからこそ従えるわけでもない。
その間で、
リリュウは自分の守る相手を選び続ける。

ジョウイが敵になるのは、
昔の友情が全て偽物に変わったためではない。
大切な人を守りたい気持ちを、
強い国を作る道へ託し、
そのために親友のいる側と戦う選択を重ねたためになる。
リリュウもまた、
親友への思いだけでは手放せない仲間を得ている。
二人の道は、
互いの大切なものを抱えたまま離れていく。

それでも、原作の最後には、
勝敗がついた後に
相手とどう向き合うかが残る。
逃げるため交わした再会の約束は、
長い戦いの先でも二人を同じ場所へ連れてくる。
そこで会うのは、
国を背負う前から知っていた相手になる。
対立の中で消えなかった親しさが、
最後まで二人の選択に関わっている。

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