PR

【貸した魔力はリボ払い】魔力を返して何になる? 自然回復しても借金が消えない恐ろしい仕組み

記事内に広告が含まれています。

魔力を返して何になるのか。魔力が自然回復しても、レントから借りた魔力の返済義務は消えず、強制徴収されれば回復した魔力まで奪われる。
ガイたちは魔力回復の腕輪を手に入れたが、一日11,492MPの取り立てによって、強力な剣技や魔法を使う余裕を失ってしまった。
さらにリボ払いの利息が積み重なると、返済を続けても借金は減らない。借りたときの強さが、その後の戦闘力を奪う負担へ変わる仕組みだった。

  1. 第1章 魔力を返して何になる?自然回復しても借金が消えない仕組み
    1. 借りた魔力を使い切っても、返済する約束まで消えるわけではない
    2. 強制徴収では回復した魔力が引かれ、レントの魔蔵庫へ蓄えられる
  2. 第2章 魔力は自然回復するのに、なぜ返済が必要なのか
    1. 自分の魔力が回復することと、借りた魔力を返すことは別だった
    2. 魔力を借りれば強い技を連発できるが、返すときは未来の魔力が減る
  3. 第3章 ガイたちは強制徴収されると、なぜ急に弱くなるのか
    1. 一日11492MPを取り立てられ、強い技を使う余裕が消えた
    2. 魔力回復の腕輪を使っても、以前のように戦えなくなった
  4. 第4章 リボ払いの利息はどれほど恐ろしい?返済しても借金が減らない仕組み
    1. 十日ごとに8%の利息が増え、毎日の返済が消えてしまう
    2. 利息にも利息が付くため、放っておくほど返済が難しくなる
  5. 第5章 強制徴収された魔力はどこへ行く?レントは何に使えるのか
    1. 取り立てた魔力は消えずに、レントの無限の魔蔵庫へ入る
    2. 取り戻した魔力は、最大魔力量や新しい技を増やす力になる
  6. 第6章 借りた側に不利益しかない?魔力貸与が本当に役立つ場面
    1. リンカは魔力を借りたことで、以前より長く戦えるようになった
    2. 返せる範囲で借りれば、魔力貸与は仲間を強くする助けになる
  7. 第7章 魔力のリボ払いが恐ろしいのは、回復しても自由に使えないことだった
    1. ガイたちは強さを失ったのではなく、強さを使う魔力を失った
    2. 借り方と返し方が違えば、同じ魔力貸与でも仲間を救える

第1章 魔力を返して何になる?自然回復しても借金が消えない仕組み

借りた魔力を使い切っても、返済する約束まで消えるわけではない

『貸した魔力はリボ払い』で最初に気になるのは、
魔力を返すことに何の得があるのかという疑問だ。
魔法を使って減った魔力は、休めば自然に回復する。
それならガイたちは、レントから借りて強くなり、
あとから自分の魔力を回復すれば済むのではないか。
そう考えるのも無理はない。
ただ、そこにはレントが貸した魔力の問題が残っている。

レントの《魔蔵庫》は、使わずに余った魔力を貯め、
仲間へ《魔力貸与》するSランクのギフトだった。
原作第2話「魔蔵庫」では、眠っている間や休息中も
本人の魔力が少しずつ回復することが説明される。
ただし、最大値まで満たされれば回復は止まる。
レントは本来なら無駄になる回復分まで蓄え、
戦いで魔力不足になった仲間へ渡していたのである。

第1話「追放」でガイたちが強気だったのも、
魔力を借りられるありがたさを忘れていたからだ。
ガイは剣技を使い、ミサは攻撃魔法を放ち、
エルは負傷した仲間を回復する役目を担っていた。
三人が強い技を続けて使えた背景には、
レントが自分の回復分まで渡す支援があった。
直接敵を倒さなくても、使える魔力を増やせる。
それが断空の剣の戦いを支えていた。

ただし、《魔蔵庫》だけを持っていた頃のレントには、
貸した魔力を無理に返させる方法がなかった。
原作第2話では、スキルの名前は《魔力貸与》なのに
貸した分が戻ってこない不満を抱えていたと分かる。
仲間が強くなれば、次の冒険でもまた魔力を貸す。
その繰り返しが五年間も続いてしまった。
「借りる」という言葉だけが残り、
実際にはレントが魔力を与え続けていた状態だった。

ところが、追放されて《魔蔵庫》が進化すると変わる。
原作第6話「強制徴収」で明らかになったのは、
断空の剣へ貸した魔力が267万8078MPという数字だ。
これはガイたちが今持っている魔力ではない。
五年間、借りて使ってきた魔力の合計だった。
魔法を使い終わったから貸した分も消えた、
ということにはなっていなかったのである。

原作第7話「リボ払い」では、エムピーが
一括払い、分割払い、リボ払いという方法を示す。
三人の魔力を全部合わせても約3600MPしかなく、
百万を超える魔力を一度で返すことはできない。
だから何度にも分けて取り立てる必要がある。
ここで初めて、自然回復が返済にも使われる。
回復した魔力を自分の技へ使うか、借金を返すか。
強制徴収が始まると、返済を優先させられるのだ。

原作第6話には、貸した魔力の合計とは別に、
今すぐ取り立てられる143万5837MPという数字もある。
貸してから一年が過ぎた魔力だけが、
最初の取り立ての対象になっているためだ。
267万MPすべてを一度に取り戻すわけではない。
以前に貸した分を覚えておき、
返してもらえる時期になったものから取り立てる。
借りて使った魔力が、時間が過ぎただけでは
消えないことが分かる場面だった。

強制徴収では回復した魔力が引かれ、レントの魔蔵庫へ蓄えられる

原作第7話では、返済の仕組みが実際に動き出す。
エムピーは三人の回復量を調べたうえで、
一日当たり11492MPを徴収する計画を作った。
レントが《強制徴収》を実行した瞬間、
最初に回収された魔力は531MPしかなかった。
しかし、そこで取り立てが終わるわけではない。
残る10961MPも、相手が回復するたびに取り立てられる。

この場面を見ると、「自然回復すれば問題ない」
という考え方が通じないことが分かる。
ガイたちの魔力は確かに時間とともに戻ってくる。
ところが戻った分は、本人が技を使うより先に
《強制徴収》によって取り立てられてしまう。
休んで魔力を増やしても、自由に使える分が増えない。
魔力が回復しなくなったわけではなく、
回復した分を自分で使えなくなったのである。

原作第7話の作者補足では、三人の最大MPは約3600。
自然回復によって一日約8500MPを使える計算だ。
さらに魔力回復の腕輪三つで、一日約3000MPを補える。
合計すれば、一日約11500MPを使えることになる。
だが、そのうち11492MPを取り立てられれば、
手元に残るのは一日わずか10MP程度。
強い技を覚えていても、使う余裕がなくなってしまう。

取り戻した魔力は、どこかへ消えるわけでもない。
原作第9話「強制徴収実行」で示されるように、
初回の531MPはレントの魔蔵庫へ貯められる。
ただし、レント自身が一度に使える魔力まで
そのまま531MP増えるという話ではない。
魔蔵庫に貯めた魔力を、あとでどう使うかは別だ。
貸した魔力を取り戻せるようになったからといって、
レントが一気に最強になるわけではなかった。

しかも、毎日取り立てられるのは、
ガイたちが休んで回復した魔力も含まれる。
三人は、休めば自分の魔力が戻ってくる。
魔力回復の腕輪を使えば、それも補える。
ところが取り立てが続く間は、
その回復分がレントの魔蔵庫へ流れていく。
ガイたちには技を使える魔力が残りにくくなり、
レントには新しい魔力が少しずつ貯まっていく。
追放前とは立場が逆になったことが分かる。

第1話でガイたちは、腕輪さえあれば
レントはもう必要ないと考えていた。
けれど腕輪は、五年間の貸し借りを
なかったことにする道具ではなかった。
三人が自分たちの回復力を頼りにするほど、
エムピーが取り立てられる魔力も生まれる。
強くなるために借りてきた分が、
今度はレントの成長を助ける力へ変わっていく。
追放した相手が強くなっていくという皮肉がある。

ただし、毎日11492MPを取り立てる計画は、
《魔力貸与》を使った全員に決まっているものではない。
原作第7話では、エムピーが断空の剣の状況を見て
選んだ厳しいリボ払いの方法として登場する。
利息や返済額の詳しい怖さは、この後に明かされる。
まず気になるのは、魔力が自然回復しても
強制徴収が止まるわけではないということ。
返す側が自由に使える魔力だけが減っていくのだ。

第2章 魔力は自然回復するのに、なぜ返済が必要なのか

自分の魔力が回復することと、借りた魔力を返すことは別だった

ガイたちが借りた魔力を返す必要があるなら、
そもそも魔力が回復する世界で借金を作ることに
どんな問題があるのかと疑問に思うだろう。
回復魔法や剣技を使って魔力が減っても、
宿で休めば翌日にはまた戦える。
しかし自然回復は、使える魔力を元へ戻す働きだ。
過去に誰かから借りた魔力まで、
返したことになるわけではない。

原作第2話「魔蔵庫」では、魔力は起きていても
眠っていても一定の割合で回復すると語られる。
ただし満タンになれば、それ以上増えない。
普通の冒険者なら余った回復分は使われずに終わる。
そこへレントの《魔蔵庫》が入ると、
使わなかった回復分まで蓄えられる。
ガイたちが必要になった瞬間に渡せるため、
三人は自分の魔力量以上の戦いを続けられた。

例えば、魔力が残り少ないミサがいるとする。
次の強い魔法を撃ちたいのに、自分の残量が足りない。
そこでレントから魔力を借りれば、すぐ発動できる。
ミサが翌朝まで休んで回復を待つ必要はない。
敵が目の前にいる戦闘中に、
本来なら使えなかった魔力を先に使える。
《魔力貸与》の良さは、こうした場面にある。
後で回復できるからといって、
今借りることに価値がないわけではない。

一方、魔法を撃ち終わったあとのミサには、
レントから魔力を借りた事実が残っている。
翌日、自分の魔力が満タンになったとしても、
それは自分の魔力が回復したというだけ。
レントの《魔蔵庫》へ返したことにはならない。
借りた分を返すには、回復した自分の魔力から
あらためてレントへ渡す必要がある。
その分、次に使える魔力は少なくなってしまう。

五年間の断空の剣では、この返済が行われなかった。
レントは回復分を蓄え、必要になるたび仲間へ貸す。
ガイたちは借りた魔力で剣技や魔法を使い、
戦闘が終われば休んで自分の魔力を回復する。
そして新しい冒険では、またレントから借りる。
以前に借りた分を返さないまま、新しく借り続けたため、
原作第6話では総額が267万8078MPまで膨らんでいた。
一度に借りた量ではなく、五年間の合計なのだ。

「借りた魔力は使ったら消えるのだから、
何を返しているのか分からない」という疑問もある。
ここでは、使った魔法そのものを戻すわけではない。
ガイが過去に放った剣技を取り消すことも、
ミサが倒した魔物を元に戻すこともできない。
返すのは、それらを使うためにレントから
借りた分と同じ量の魔力だ。
過去の戦いで使った力を、
あとから自分の回復した魔力で返しているのである。

魔力を借りれば強い技を連発できるが、返すときは未来の魔力が減る

魔力貸与が借りる側にも得になるのは、
今すぐ強い技を使える時間を増やせるからだ。
ガイが大きな剣技を放ち、ミサが魔法を重ね、
エルが仲間を回復する。
自分の最大魔力量だけで戦っていれば、
どこかで技を控えなければならない。
しかし後ろからレントが補充してくれれば、
大きな戦いにも続けて挑む余裕が生まれる。

原作の作品紹介でも、断空の剣は本来なら
数発しか使えない技を何度も使えたため、
強敵を倒して急速に成長したと説明されている。
三人が五年間もレントの能力を使っていたのは、
借りることに確かな良さがあったからだ。
借金があるから最初から損だったのではない。
強くなる機会を先に受け取り、
返す段階になって大きな負担が出てきたのである。

仮に翌日の自然回復分に余裕があるなら、
借りた魔力を少しずつ返すことも考えられる。
魔力を使わず休む日が続けば、
その間の回復分を返済へ回せるからだ。
しかし、返済に使う魔力はその日の戦闘に使えない。
冒険で稼ぎ続けたい人ほど、この差は大きい。
借りた日の一撃が強くなる代わりに、
あとから技を使える回数が減る可能性がある。

ガイたちの例では、この負担が特に大きかった。
原作第7話の計算では、自然回復と腕輪を合わせて
三人が一日に使える魔力は約11500MP。
ところが徴収額は一日11492MPに設定された。
回復するから何度でも戦えると思っていたのに、
回復した魔力のほとんどが返済へ回されてしまう。
借りたことで以前より強く戦えたのに、
今度は戦う余裕がなくなるという厳しい結果だった。

ここでガイたちのギフトそのものが、
レントへ取り上げられたわけではない。
ガイの剣士としての経験が消えたわけでも、
ミサやエルが覚えた技を忘れたわけでもない。
技を使うための魔力が残らないから、
身に付けた力を十分に使えなくなる。
腕前はあるのに戦えないという結果が、
《強制徴収》の一番怖いところだった。

だから「魔力を返して何になる?」という疑問には、
貸した側と借りた側の両方から答えられる。
レントには魔力が戻り、自分の力として貯められる。
ガイたちは借りた分を返す代わりに、
これから使える魔力が減ってしまう。
自然回復は借金を消してくれるものではなく、
返済するための魔力を生み出す働きにもなる。
この違いを知ると、リボ払いの怖さも見えてくる。

第3章 ガイたちは強制徴収されると、なぜ急に弱くなるのか

一日11492MPを取り立てられ、強い技を使う余裕が消えた

レントを追放したガイたちは、
これで以前より自由に戦えると思っていた。
ダンジョンで手に入れた魔力回復の腕輪があれば、
もう《魔蔵庫》に頼らなくてもいい。
剣士ガイ、魔術士ミサ、回復士エルの三人なら、
この先も順調に強くなれると考えていた。
しかし実際には、追放した直後から戦い方が変わる。
強い技を使いたくても、魔力が残らなくなったからだ。

原作第7話「リボ払い」で、エムピーが選んだのは、
三人から毎日11492MPを取り立てる方法だった。
ガイたちの最大魔力量は、三人合わせて約3600MP。
休息による回復を一日分合わせれば約8500MP、
さらに三つの腕輪で約3000MPを補える。
これまでなら一日約11500MPを使える計算になる。
ところが、そのほとんどをレントへ返すことになる。
腕輪を手に入れても、自由な魔力は増えなかった。

数字だけ見ると、どうして一日11492MPも
取り立てられるのか不思議に思うかもしれない。
三人が一度に持てる魔力は、合計約3600MPしかない。
だからエムピーも、最初から全額を奪ったわけではない。
原作第7話で《強制徴収》を発動した直後、
取り戻せたのは531MPだった。
残り10961MPは、相手が回復するたびに徴収する。
一度に払えない分まで、後から追い掛けてくる仕組みだ。

ここで痛いのは、剣や魔法の腕前まで
その場で消えたわけではないところだ。
ガイには五年間で身に付けた剣技があり、
ミサには攻撃魔法、エルには回復の力がある。
しかし強い技ほど魔力を使う以上、
身体が覚えているからといって何度も出せない。
これまで当たり前に使ってきた技を、
肝心な場面で出せなくなってしまったのである。

原作第11話「断空の剣2:異変《上》」では、
追放から数日後の三人が実際に苦しんでいる。
Aランクに近いBランクの冒険者だったのに、
魔力不足で得意な技を十分に使えない。
ガイたちは稼ぎの悪さにいら立ち、
以前なら倒せた相手にも苦戦するようになる。
自分たちは強いと信じていただけに、
突然の不調を素直に受け止められない。

ガイが怒っていたのは、単なる気分の問題ではない。
冒険者は魔物を倒して報酬を得る仕事だ。
戦える回数が減れば、受けられる依頼も限られる。
危険な戦闘で手間取れば、道具や回復にも金がかかる。
稼ぐために迷宮へ入りたいのに、
魔力不足で以前のような成果を出せない。
原作第11話で赤字が続いていたのは、
強さの自信だけでなく生活まで揺らぎ始めた証拠だった。

しかも、レントが直接三人を追い掛けて
毎日魔力を奪っているわけではない。
離れた場所から《強制徴収》を始めると、
あとは回復に合わせて取り立てが続いていく。
怒ったガイがレントを見つけられなくても、
翌日になれば借りた魔力の返済が待っている。
三人が自慢していた腕輪さえ、
回復した分を取り立てられるために働いてしまう。

魔力回復の腕輪を使っても、以前のように戦えなくなった

第1話の追放場面を思い出すと、
腕輪を手に入れたときの三人は随分強気だった。
ガイはレントを役立たずと決めつけ、
ミサも、欲しいのは魔力であって
レント本人ではないという態度を示す。
エルも追放を止めようとはしなかった。
代わりの道具が見つかったなら、
長年の仲間へ頭を下げる必要もないと考えたのだろう。

けれど腕輪が補えるのは、一日一つ約1000MP。
三つ合わせても約3000MPにすぎない。
それまでレントから借り続けた魔力は、
原作第6話で267万8078MPに達していた。
目の前の不足を補う道具を見つけたことと、
過去に借りた魔力を返したことは違う。
三人はこれからの補充だけに目を向け、
残っていた貸し借りを確かめなかったのである。

それでも腕輪が役立たない品だったわけではない。
レントから取り立てられなければ、
三人にとって心強い道具になったはずだ。
魔力が切れたあとも回復分を足せるなら、
次の剣技や回復魔法につなげられる。
問題は腕輪の性能が急に落ちたことではない。
その回復分まで先に返済へ回されるため、
期待した使い方ができなくなったことだった。

原作第12話「断空の剣3:異変(下)」では、
ミサがこのままでは貯金が減ると口にする。
ガイも反論できず、三人の空気は険しくなる。
以前は格上の魔物へ挑んで実績を重ねていたのに、
今では毎日の稼ぎを心配しなければならない。
そこで三人はレントの居場所を探そうとする。
追放したときには不要だと言った相手を、
自分たちが困ってから探すことになった。

さらに皮肉なのは、周囲の冒険者たちの反応だ。
ガイたちはレントを追放した話を、
自分たちの手柄のように広めていた。
一方のレントは、情報収集や物資の手配で
ギルド職員やほかの冒険者との関係を築いていた。
そのため、レントが街を離れたことを
知っている人がいても、三人へ教えてはくれない。
戦闘以外でレントがしてきた仕事まで響いている。

ガイたちが急に弱く見えるのは、
五年間の成長が最初から偽物だったからではない。
技も経験も持っているのに、使う魔力が足りない。
そして、強さを支えていた仲間を自分たちで追放した。
この二つが重なったことで、
Aランク目前だった三人の冒険が苦しくなった。
腕輪を手にした瞬間の得意げな姿と、
数日後の赤字に苦しむ姿が、はっきり対照になっている。

第4章 リボ払いの利息はどれほど恐ろしい?返済しても借金が減らない仕組み

十日ごとに8%の利息が増え、毎日の返済が消えてしまう

ガイたちは毎日、魔力を取り立てられている。
それなら、いくら大きな借金でも、
返し続ければ少しずつ減っていくはずだ。
一日11492MPも返しているのだから、
いつかは払い終わると思うのも自然だろう。
ところが、この作品のリボ払いはそう簡単ではない。
返しているのに借金が減らない状態が続いてしまう。

原作第49話「レントの疑問」では、
貸していた本人のレントまで首をかしげている。
取り立てを始めてから、すでに三週間ほど。
毎日一万MP以上も受け取っているのだから、
合計すれば二十万MP以上は返ってきたはずだ。
それなのに、貸付の表示がほとんど変わっていない。
自分の魔力は戻っているのに、借金が減っていない。
レントが不思議に思うのも無理はなかった。

続く第50話「リボ払いの恐ろしさ」で、
エムピーがその仕組みを説明する。
ここで出てくるのが、元本と利息という言葉だ。
元本は、最初に貸していた魔力のこと。
利息は、借り続けていることで追加される魔力だ。
つまり、借りた分を返すだけでは終わらない。
返すまでの間に、支払う量が増えていくのである。

最初に徴収できた魔力は143万5837MP。
エムピーが設定した利息は、十日ごとに8%だった。
原作第7話「リボ払い」では、
十日間で増える利息が約11万4924MPとされている。
一方、ガイたちが毎日返すのは11492MP。
十日間払い続けても、合計は約11万4920MPだ。
返した魔力と、新しく増える利息がほとんど同じ。
これでは借金が減らないのも当然だった。

ガイたちにとっては、たまったものではない。
休んで魔力を回復しても、すぐ取り立てられる。
魔力回復の腕輪を使っても、自由に使える量は少ない。
強い剣技や魔法を満足に使えなくなり、
以前のように魔物を倒すことも難しくなっている。
それだけ苦労して返しているのに、
肝心の借金が減っていないのだから厳しい話だ。

しかも、この返済方法を考えたのはエムピーだった。
原作第7話では、ガイたちが一日に回復できる魔力を調べ、
その大部分を取り立てる計画を立てている。
一度に全額を返させることはできない。
そこで毎日少しずつ徴収しながら、
利息によって借金が残り続ける形を選んだ。
レントは細かな仕組みまで知らず、
エムピーに任せていたのである。

第1話でガイたちは、レントを役立たずと呼んだ。
魔力回復の腕輪さえあれば、
もう助けてもらう必要はないと考えていた。
しかし、五年間借り続けた魔力は消えていない。
今は腕輪で回復した魔力まで返済へ回され、
強くなったはずの三人が自由に戦えなくなっている。
あのとき軽く考えていた貸し借りが、
思いがけない形で自分たちへ返ってきたのだ。

利息にも利息が付くため、放っておくほど返済が難しくなる

原作第50話では、さらに驚く話が出てくる。
エムピーによれば、借金を返さずにいると、
増えた利息にも新しい利息が付いていくという。
最初に借りた魔力だけでなく、
あとから増えた分まで次の計算に入るのだ。
レントも話を聞いて戸惑っている。
一緒にいたリンカまで驚くほど、
厳しい仕組みになっていたのである。

例えば、百の魔力を借りたとする。
十日後に8%の利息が付けば、返す量は百八になる。
そのまま返さず、さらに十日が過ぎると、
今度は百八をもとに利息が付いてしまう。
次も、そのまた次も同じことが続く。
最初は小さな増え方に見えるかもしれない。
しかし長く借り続けるほど、
返さなければならない魔力は増えていく。

原作第50話では、まったく返済しなかった場合、
百日後には約2.16倍になる例も紹介されている。
最初に百借りただけなのに、
返す頃には二百以上になってしまう計算だ。
ただし、これは返済しない場合の話。
ガイたちは毎日魔力を取り立てられているので、
必ず同じ増え方になるわけではない。
それでも、利息の負担が重いことは変わらない。

もっと困るのは、毎日返している場合だ。
ガイたちは休息や腕輪で魔力を回復している。
しかし、取り立てられる量が多すぎるため、
戦闘へ回せる魔力はほとんど残らない。
それほど苦しい思いをして返済しても、
支払った分が利息に使われてしまう。
借金を減らしたくても減らせない。
そんな状態が長く続くことになる。

ここでレントは、当然の疑問を口にする。
これだけ毎日返しているのなら、
ガイたちはいつ払い終わるのだろうか。
ところがエムピーの答えは予想外だった。
この返済計画では、完済する日が来ないという。
レントもリンカも驚いてしまう。
元仲間へ怒りを抱いていたレントでさえ、
そこまで厳しいとは思っていなかったのだろう。

ただし、魔力を借りた人が全員、
同じ返済を求められるわけではない。
原作第7話ではエムピーも、
通常のリボ払いには借りる側の同意が必要だと話している。
ガイたちは五年間も借りた魔力を返さず、
そのままレントを追放してしまった。
だからこそ、厳しい条件での取り立てが始まった。
魔力貸与そのものが、
最初から相手を苦しめる能力というわけではない。

現実のリボ払いにも、毎月支払っているのに、
手数料の負担で残りがなかなか減らない場合がある。
ただし、作中の強制徴収や十日ごとに8%という条件は、
現実のカード払いと同じものではない。
この作品では、魔力を使って
返済の怖さが分かりやすく描かれている。
借りたときは便利でも、
返すときの負担まで考えなければならないのだ。

ガイたちがレントを追放したとき、
三人は自分たちの強さを信じていた。
剣技も魔法も成長し、腕輪まで手に入った。
もう誰かに魔力を借りる必要はない。
そう考えた気持ちも、分からなくはない。
けれど、これから借りなくて済むことと、
これまで借りた分を返さなくていいことは違う。

五年間、レントの支援で強い技を使い続けた三人。
その結果、Bランク冒険者まで成長した。
しかし追放後は、魔力が戻るたびに取り立てられ、
強い技を使うことさえ難しくなってしまった。
しかも利息が増えるため、借金は簡単に減らない。
かつて便利だった魔力貸与が、
今度は三人の冒険を苦しめる負担へ変わっている。
借りたときの強さと、返すときの苦しさ。
その両方が描かれているところに、
この作品のリボ払いの恐ろしさがある。

第5章 強制徴収された魔力はどこへ行く?レントは何に使えるのか

取り立てた魔力は消えずに、レントの無限の魔蔵庫へ入る

ガイたちから取り立てた魔力は、
一体どこへ行ってしまうのか。
三人の身体から消えるだけなら、
レントが取り返す価値も分かりにくい。
しかし原作第9話「強制徴収実行」では、
集めた魔力の行き先がはっきり示されている。
取り立てた分はレントの魔蔵庫へ入り、
今度は彼が使える魔力として蓄えられるのだ。

レントが《強制徴収》を実行すると、
最初に回収できたのは531MPだった。
何年も貸した総額を思えば小さな数字だが、
それまで一度も返ってこなかった魔力が、
初めて自分のもとへ戻ってきた瞬間でもある。
不足した10961MPについても、
ガイたちの魔力が回復するたびに回収が続く。
相手が今持っていないからといって、
返済そのものが終わるわけではなかった。

この場面でエムピーは大喜びする。
初めての取り立てを祝ってレントへ飛びつき、
新しい力が使えるようになったことまで知らせる。
レントの方は、次々に起こる変化に戸惑っている。
さっきまで幼馴染に捨てられ、
自分には価値がなかったのかと悩んでいた少年だ。
その彼が、ずっと貸すだけだった魔力を
自分の手で取り戻せるようになったのである。

ただ、ここで一つ気になることがある。
魔蔵庫へ531MPが入ったのなら、
レント本人の最大魔力量も531増えるのだろうか。
そう思いたくなるが、実際には別の話だ。
《無限の魔蔵庫》は魔力を置いておく場所であり、
本人が一度に使える魔力の上限とは違う。
原作第5話では、保管容量が「∞」になっても、
本人の最大魔力量は1210MPのままだった。

この違いは、強い技を使うときにも関わってくる。
たくさん貯めてあるからといって、
剣士ガイの技やミサの魔法を
レントがその場で全部使えるわけではない。
取り戻した魔力をどう役立てるか、
その使い道を覚える必要があった。
つまり強制徴収は、レントが突然完成された
最強の戦士になる力ではなかったのである。

しかも、取り立てられるのは相手が回復した分も含む。
ガイたちは、休めば自分の魔力が戻ってくる。
魔力回復の腕輪を使えば、それも補える。
ところが取り立てが続く間は、
その回復分がレントの魔蔵庫へ流れていく。
ガイたちには技を使える魔力が残りにくくなり、
レントには新しい魔力が少しずつ貯まっていく。
二人の立場が逆転したことが、数字にも表れていた。

第1話でガイたちは、腕輪さえあれば
レントはもう必要ないと考えていた。
けれど腕輪は、五年間の貸し借りを
帳消しにする道具ではなかった。
三人が自分たちの回復力を頼りにするほど、
エムピーの取り立てにも使える魔力が生まれる。
強くなるために借りてきた分が、
今度はレントの成長を助ける力へ変わる。
追放した相手が成長していくという皮肉がある。

取り戻した魔力は、最大魔力量や新しい技を増やす力になる

原作第10話「魔力運用」で、
レントはようやく魔力の使い道を知る。
新しく覚えた《魔力運用》は、
貯めた魔力や自分の魔力を使って、
本人の最大魔力量を増やせる能力だった。
初めに教えられたのは、100MPを使うと
最大魔力量が1MP増えるという方法。
派手な攻撃ではないが、今までできなかった成長だ。

レントは最初、これで強くなれるのかと疑う。
五年間も仲間に魔力を貸し続けながら、
新しい技を一つも覚えられなかったのだから、
簡単に期待できないのも当然だろう。
それでもエムピーの勧めで試してみると、
1000MPを使って最大魔力量が10増える。
1210MPだった上限が1220MPになった。
数字は小さくても、本人が選んで起こした変化だった。

ここで使っている魔力は、
誰かに渡して終わるものではない。
自分がこれから使える量を増やすための魔力だ。
今までレントは、ガイの剣技や
ミサの魔法を支えることばかり考えていた。
しかし追放後は、誰かの許可を待たずに
自分の成長へ魔力を回せるようになった。
本人が驚いたのも、数字以上にその変化だろう。

最大魔力量が増えれば、自然回復の量も増える。
《無限の魔蔵庫》になったレントは、
一時間で最大値の二割を回復できる。
増えた分をまた貯めたり、
次の成長へ回したりすることもできる。
返済を受け取るだけではなく、
自分自身の回復分も成長に使えるようになる。
だから彼の強さは、一度の徴収で終わらない。

さらに原作第14話「スキル購入」では、
《身体強化》や《気配感知》、
《剣術》などの名前が並ぶ画面が現れる。
レントはその数の多さに驚き、
欲しい技を選べることに胸を躍らせる。
例えば《身体強化》の最初の段階には
5000MPが必要になるため、
何でも無条件で手に入るわけではない。
それでも支援しかできなかった頃とは大違いだ。

エムピーは、魔力を使い切ってしまわず、
しばらく回復を待ってから買おうと勧める。
今すぐ全部使うか、後のために貯めるか。
レントはそこで初めて、自分の魔力について
将来を考えながら使い道を決められる。
追放前には考える余裕さえなかったことだ。
取り返した魔力は、昔の仲間への仕返しだけでなく、
新しい冒険を始めるための助けにもなっていた。

もちろん、すべての魔力が
最初からガイたちの返済だけで生まれるわけではない。
自分の身体が自然に回復した分も、
レントはこれからの成長へ使っていける。
取り立てる能力と、育てる能力は別だからこそ、
彼の強さは「相手を弱らせるだけ」で終わらない。
魔力の貸し借りが、レントの未来を
自分で決められる仕組みに変わったのである。

第6章 借りた側に不利益しかない?魔力貸与が本当に役立つ場面

リンカは魔力を借りたことで、以前より長く戦えるようになった

ガイたちの苦しむ姿だけを見ると、
レントから魔力を借りること自体が
危険な話に思えてくるかもしれない。
しかし原作第43話「リンカレベリング(下)」では、
同じ魔力貸与で助けられる人物も登場する。
新たな仲間のリンカだ。
彼女はレントの支援を受けて、
それまで続けられなかった戦いをやり遂げる。

リンカには《壱之太刀》という技がある。
高い力を出せる一方で、魔力が尽きやすく、
以前は二分ほどで使い続けられなくなっていた。
強い力を持っていても、すぐ疲れてしまうなら、
十分に経験を積むのは難しい。
本人に実力がないのではなく、
長く戦えるだけの魔力が足りなかった。
レントの《魔力貸与》は、そこを助けることになる。

原作第43話では、レントがリンカの魔力が減るたびに
自動で貸せるよう設定している。
リンカは魔力切れを気にせず技を使い、
ゴブリンの群れを次々と倒していく。
その日の終わりには、百三十体ほどの集団を
十二分で倒せるところまで成長した。
以前なら二分で止まっていた技を、
七時間近く使い続けたというのだから驚く。

しかも、その日は大きな成果が残った。
リンカの最大魔力量は10から14へ増える。
三年間冒険者をして増えた量が2だった彼女には、
一日で4増えるのは信じられない出来事だった。
戦いを終えてレントの方を振り向き、
うれしそうに成果を伝える姿が印象的だ。
魔力を借りたことで、今まで届かなかった
成長の機会まで手に入れることができたのである。

リンカは、自分が強くなれたのは
レントのおかげだと感謝する。
しかしレントは、魔力を貸したのは自分でも、
実際に戦ったのはリンカだと受け止める。
ここがガイたちとの大きな違いになっている。
誰か一人が全部の手柄を取るのではなく、
貸す側と戦う側が互いの働きを認めている。
同じ能力でも、使う相手が変われば
こんなに気持ちのいい場面になるのだ。

ただ、リンカが借りた魔力は
無料でもらったものではない。
原作では利息一割、返済期限なしという
条件が明かされている。
一日の貸付は600MPを少し超える程度で、
夜間や休みの日の余った魔力を
返済へ回すように設定されていた。
借りた分は返すが、戦闘を続けるのに
困らない範囲で返せるよう考えられている。

最初のリンカの自然回復では、
返済へ全部回しても一日30MPほどだった。
その数字だけを見ると、返し切れるのか
心配になるのも無理はない。
しかしレントは、すぐ全部返せとは求めない。
強くなって最大魔力量が増えれば、
自然に回復する量も増えていく。
エムピーはその先まで見込んで、
一か月足らずで返せる計画を立てていた。

この場面で分かるのは、
借りる人にとっても利益があるということだ。
先に魔力を借りて強敵へ挑み、
経験を積んで自分の力を伸ばす。
成長した後なら、以前より返済もしやすくなる。
返済することだけを押し付けるのではなく、
借りた人が強くなるまで支える貸し方だった。
ガイたちへの厳しい取り立てとは、
同じ《魔力貸与》とは思えないほど違っていた。

返せる範囲で借りれば、魔力貸与は仲間を強くする助けになる

原作第146話「魔蔵庫貸与」では、
さらに別の使い方も登場する。
レントは魔力だけでなく、
魔力を貯める場所そのものを
仲間へ貸せるようになるのだ。
普段は満タンになると止まってしまう自然回復も、
余った分を貯められれば無駄にならない。
休んでいる時間を次の戦いに生かせるようになる。

この話では、借りる側にも
どれほど借りられるか、いつ返すかが示される。
相手をどのくらい信頼できるかによって、
貸せる量や返済期限が変わる仕組みだ。
無制限に使わせて、あとで苦しめるためではない。
ちゃんと休んで回復すれば返していけるか、
その見通しを立てて借りることが大切になる。
強い技を使いたいからこそ、後の負担も考える。

借りる側の仲間は、休みの日に使わず消えていた
魔力まで役立てられることに気付く。
普段の冒険では、毎時間ずっと戦うわけではない。
夜は眠り、買い物をし、次の依頼を待つ日もある。
そんな時間に回復した分を貯めておけば、
大きな戦いで魔力切れを起こしにくくなる。
魔蔵庫を使う利点が、ここではよく分かる。

もちろん、借り過ぎれば危険になることは変わらない。
ガイたちも、レントから借りられるからと
五年間も魔力を受け取り続けていた。
その間に強くなったことは事実でも、
返済を考えずに使っていた分が後から響いた。
一方のリンカは、借りた魔力で成長し、
成長後に返していく道が考えられている。
同じ貸し借りでも、結果は大きく変わるのだ。

レントも以前は、仲間を助けたい一心で
魔力を貸し続けていた。
返してほしいと強く言うこともできず、
自分だけ成長が遅れる不満を抱えていた。
しかしリンカに対しては、利息を受け取りながら
彼女が強くなることも喜んでいる。
貸す側だけが我慢する関係でも、
借りる側だけが得をする関係でもない。
二人が前へ進めるところに、この力の良さがある。

「魔力は自然回復するのだから、借り得では?」
という疑問も、ここまで見ると変わってくる。
借りている間は、本来なら使えなかった強い技を使える。
返すときは、これから回復する魔力を使う。
その負担が小さければ、借りた人も成長できる。
返済が重すぎれば、ガイたちのように
せっかく覚えた技まで使いにくくなってしまう。
魔力貸与は怖い能力というだけではない。
どう貸し、どう返すかで、仲間を助ける力にもなる。

第7章 魔力のリボ払いが恐ろしいのは、回復しても自由に使えないことだった

ガイたちは強さを失ったのではなく、強さを使う魔力を失った

ガイたちがレントを追放したとき、
三人には自分たちだけで戦える自信があった。
剣技を磨いてきたガイも、魔法を覚えたミサも、
回復を任されていたエルも、以前より強くなっていた。
しかも魔力回復の腕輪まで手に入ったのだから、
もうレントから借りなくても困らないと思ったのだろう。
しかし、借りなくて済むことと、借りた分が消えることは違った。

原作第7話「リボ払い」でエムピーが選んだのは、
三人が一日に回復する魔力の大半を取り立てる方法だった。
自然回復と三つの腕輪を合わせた約11500MPに対し、
毎日の徴収額は11492MP。
三人の身体は休めば確かに魔力を回復する。
それなのに、戻った分を剣技や魔法へ使う前に、
貸した魔力の返済として引かれてしまう。

だからガイたちの剣術や魔術が、
一夜にして下手になったわけではない。
五年間の冒険で覚えた技は残っているし、
強敵と戦ってきた経験まで消えたわけでもない。
それでも魔力が足りなければ、得意な技を続けて出せない。
強い武器を持っていても、振るう力が残っていない。
追放後の三人が苦しんだのは、そんな状態だった。

原作第11話「断空の剣2:異変《上》」では、
以前のように魔物を倒せず、稼ぎも落ち始める。
強い敵を相手にして報酬を得てきた三人にとって、
魔力不足はそのまま生活の苦しさへつながった。
続く第12話では、貯金が減ることへの不安も出てくる。
役立たずだと追い出したレントを探そうとするのは、
自分たちの強さだけでは埋められない穴に気付いたからだ。

それでも「レントが全部の戦果を出した」とは言えない。
剣を振ったのはガイで、魔法を放ったのはミサだ。
エルも仲間を回復しながら、危険な冒険を支えていた。
三人には三人の努力があった。
ただ、その努力を続けられるように魔力を渡した人がいた。
五年間の貸し借りを忘れて、腕輪だけで十分と考えたことが、
追放後の苦しさを大きくしてしまった。

しかも返済は、一度苦しめば終わるものではなかった。
原作第49話では、取り立てを続けても貸付が減らず、
レント自身が不思議に思う場面がある。
第50話で明かされたのは、十日ごとに増える利息だ。
返した分のほとんどが、その追加の支払いに回るなら、
毎日魔力を失っても借金はなかなか減らない。
ガイたちの苦境は、腕輪一つで解決できる話ではなかった。

借り方と返し方が違えば、同じ魔力貸与でも仲間を救える

だからといって、レントの《魔力貸与》が
最初から借りる人を苦しめる力だったわけではない。
魔力が足りず、あと一度だけ技を出せれば勝てる。
そんな場面で仲間から魔力を分けてもらえるなら、
冒険者にとっては心強い助けになる。
実際、ガイたちもその便利さを使って強くなった。
問題は、借りた後のことを考えないまま使い続けた点にある。

原作第43話「リンカレベリング(下)」では、
リンカがレントから魔力を借りて戦う。
それまで魔力不足で長く使えなかった《壱之太刀》を、
レントが補充することで続けられるようになった。
魔物と戦える時間が増え、経験を重ねた結果、
最大魔力量も一日のうちに10から14へ伸びている。
誰かの魔力を借りたことで、自分の力まで育ったのだ。

しかもリンカは、貸してもらったことを当然と思わない。
レントのおかげで成長できたと喜び、感謝を伝える。
レントも、自分は魔力を渡しただけで、
実際に戦って頑張ったのはリンカだと受け止める。
第1話で互いを見下すようになった断空の剣とは、
二人が向き合う姿が大きく違う。
支える人も戦う人も、相手の働きをちゃんと見ている。

リンカの貸付には利息一割が付いているが、
返済期限はなく、休みの間の回復分から返せるように
考えられていた。
借りて強くなれば、魔力の回復量も増えていく。
その後に少しずつ返せるなら、今の戦いを助けてもらう
価値は十分にあるだろう。
ガイたちへの厳しい取り立てだけを見ていると、
忘れてしまいそうになる《魔力貸与》の長所がここにある。

そもそも、自然回復する魔力を借りることは、
ただで力が増えるという話ではない。
今すぐ必要な魔力を先に使える代わりに、
後から回復した分を返済へ回すことになる。
それが少しなら、次の冒険にも困らないかもしれない。
だが一日分の回復をほとんど取られれば、
翌日も、その次の日も、技を使う余裕がなくなってしまう。

魔力を返して何になるのか。
レントには、貸していた力が戻ってくる。
借りた側には、過去に受けた助けを返す負担が残る。
ガイたちはその負担を軽く見て、強制徴収に苦しんだ。
一方のリンカは、借りた魔力で成長しながら
返していく道を選んでいる。
同じ能力でも、相手との関係と返し方で結果は変わる。
借りたときの強さだけでなく、返すときの自分まで
考えさせるところが、この魔力のリボ払いの怖さなのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました