ヒトガミがルーデウスを地下室へ行かせたのは、そこで本人を襲うためではなく、魔石病を運ぶネズミを家の中へ逃がし、ロキシーへ被害が届く未来を作るためだった。
しかも第1期から続くヒトガミの助言は、ルーデウスに「この程度なら従っても大丈夫」と思わせる信用を積み重ねる役割まで持っていたと老デウスは見抜いている。
地下室の罠を追うと、ヒトガミが恐れていたロキシーの未来、ルーデウスの子孫、そしてオルステッドとの戦いまで一本につながってくる。
第1章 結論|ヒトガミはなぜ地下室へ行かせた?ロキシーへ届く罠を動かすため
狙いはルーデウス本人ではなく、地下室のネズミを外へ出してロキシーへ被害を届かせること
ヒトガミがルーデウスを地下室へ行かせたのは、
地下にいる敵と戦わせたり、
本人をその場で殺したりするためではない。
地下室に入り込んでいたネズミを外へ逃がし、
その先でロキシーへ魔石病が届く流れを作ることが狙いだった。
老デウスが経験した未来では、
ルーデウスが地下室の扉を開けたことで、
中にいたネズミが家の生活空間へ逃げ込む。
そのネズミは台所へ入り、
残されていた食べ物をかじる。
そして後からロキシーが同じ食べ物を口にする。
地下室とロキシーは、
一見するとまったくつながっていない。
ロキシー自身が地下へ入るわけでもなく、
ネズミに直接噛まれるわけでもない。
ルーデウスが扉を開けるという小さな行動を間に置くことで、
家族にも本人にも罠だと気付かせにくくしている。
第3期第11話「ターニングポイント4」でも、
ヒトガミが求める行動は驚くほど軽い。
ルーデウスはアトーフェの追撃を振り切り、
ソーカス草を持ち帰ってナナホシのドライン病へ対応した後、
久しぶりに自宅へ戻る。
その夜にヒトガミが現れ、地下室を確認するよう促す。
危険な土地へ行けでもない。
誰かを殺せでもない。
魔王と戦えでもない。
自宅の地下を少し見てくれば終わる話に見えるため、
ルーデウスも人生を左右する罠とは結び付けられない。
そこへ未来から来た老デウスが割って入る。
老デウスは、
地下室へ向かおうとする若い自分を最優先で止める。
未来ではロキシーの発症から家族の崩壊まで経験し、
数十年かけてヒトガミを追い続けた本人。
その彼が最後に遡った出発点こそ、
地下室の扉を開けた一回の行動だった。
地下室は目的地ではなく、ヒトガミが未来を動かすために使った最初の一手だった
重要なのは、
ヒトガミが地下室そのものを欲しがっているわけではないこと。
地下に重要な宝物があるからでも、
ルーデウスへ何かを取らせたいからでもない。
必要なのは扉が開き、
ネズミが家の中へ出る状況だけだった。
そのため罠が成立した直後も、
ルーデウス本人には異変がない。
地下室を見て戻れば終わったように感じる。
ところが少し時間が経った後、
全く別の場所にいるロキシーへ結果が現れる。
原因と結果の距離が大きいことが、ヒトガミの手口になる。
第1期第21話「ターニングポイント2」では、
ヒトガミという名前を聞いたオルステッドが明確に反応した。
ルーデウス、エリス、ルイジェルドは赤竜の下顎で龍神と遭遇し、
ルーデウスがヒトガミとの関係を答えたことで状況が急変。
それまで普通に会話していたオルステッドが敵へ回る。
当時は、
なぜオルステッドがそこまで警戒するのかが見えにくかった。
地下室事件まで進むと、
ヒトガミが正面から敵を倒すだけの存在ではなく、
未来を見ながら人間の選択を少しずつ動かす存在だと分かってくる。
地下室へ行く。
ネズミが逃げる。
食べ物へ触れる。
ロキシーが口にする。
一つ一つは偶然に見えても、
ヒトガミにとってはその先の結果まで含めた一手になる。
だから地下室へ行かせた狙いを追う時、
見るべきなのは地下室の中身だけではない。
誰を最終的に傷つけたいのか。
なぜルーデウス自身へ直接手を出さないのか。
そこまで見て初めて、
ヒトガミの助言が持つ危険性が見えてくる。
第2章 なぜルーデウス本人を直接狙わない?小さな助言で家族側から未来を崩す
第1期から役立つ情報も与え、地下室の頼みを疑われにくい関係を作っていた
ヒトガミが厄介なのは、
登場した最初から露骨な敵として振る舞っていないこと。
第1期第9話「邂逅」で初めて現れた時も、
転移事件で魔大陸へ飛ばされたルーデウスへ、
目の前にいるスペルド族の男を頼るよう導いている。
その相手がルイジェルドだった。
ルーデウスは幼少期、
ロキシーからスペルド族を危険な存在として教えられていた。
緑色の髪と額の宝石を見れば、
本来なら距離を取ってもおかしくない。
それでもルイジェルドと行動した結果、
エリスと共に魔大陸を進む大きな戦力を得ることになる。
第1期第19話「ルート選択」では、
ヒトガミからリーリャとアイシャの居場所を聞き、
ルーデウスはシーローン王国の首都ラタキアへ向かう。
そこで兵士から逃げるアイシャと実際に遭遇。
転移事件で離ればなれになった家族を探す中、
ヒトガミの情報が現実の救出へ結び付いている。
だからルーデウスにとってヒトガミは、
不気味だから即座に無視できる存在ではない。
信用できない部分はある。
オルステッドが敵視していることも知っている。
それでも過去の情報が当たった事実があり、
全部が嘘だったとも切り捨てられない。
第2期第18話「ターニングポイント3」でも、
ギースからゼニス救出を求める手紙が届いた時期に、
ヒトガミは再びルーデウスへ助言する。
ルーデウスは悩んだ末、
妊娠中のシルフィたちを残してベガリット大陸へ向かう道を選ぶ。
つまり第11話の地下室は、
何年も接触してきた相手から突然出された小さな頼み。
しかも過去には役立った情報が複数ある。
その積み重ねがある状態で、
「家の地下を確認してほしい」と言われれば、
命を狙う計画だとは考えにくい。
直接殺すより「自分で選んだ行動」に見せる方が、ヒトガミとのつながりを悟られにくい
ヒトガミが地下室でルーデウスを直接殺した場合、
少なくとも敵意はすぐ露見する。
家族を襲わせても同じ。
ところがネズミを利用すれば、
ヒトガミ自身は表へ出ない。
ルーデウスが自分で地下室へ行き、
偶然ネズミが逃げたように見える。
ロキシーが後から体調を崩しても、
最初に疑うのは病気そのもの。
数日前にルーデウスが地下室を開けた行動まで、
すぐ原因として結び付けるのは難しい。
実際に老デウスの未来でも、
発症してから治療法を探す方向へ動き、
原因へ遡る頃には手遅れになっている。
ヒトガミは、
ルーデウスの家族愛まで逆に利用できる。
ロキシーが倒れれば、
ルーデウスは放置しない。
第2期転移迷宮編でも、
ゼニス救出のため危険なベガリット大陸へ向かい、
迷宮深部まで進んだ人物だからだ。
家族が危険なら自分から動く。
治療法があるなら取りに行く。
助けられる可能性があるなら危険も受け入れる。
ヒトガミがルーデウスの性格を知っていれば、
ロキシーへ被害を届かせるだけで、
その後は本人が自分の意思で別の危険へ進んでいく。
ここが直接攻撃との大きな違いになる。
ヒトガミが毎回命令する必要はない。
最初の一手だけ動かせば、
愛情、責任感、後悔によって、
ルーデウス自身が次の行動を選ぶ。
地下室という小さな頼みが最も効率的だった。
だから第11話で老デウスが現れたことは、
単にネズミ一匹を止めただけではない。
ヒトガミが何年もかけて築いた、
「助言を聞けば結果的に役立つこともある」という関係へ、
未来の本人が初めて決定的な答えを持ち込んだことになる。
ヒトガミは地下室で戦わない。
自分の姿を現してロキシーを襲うこともしない。
ルーデウスに一つだけ選択させ、
その結果が家族へ届くのを待つ。
この回りくどさこそ、
ターニングポイント4で見えてくるヒトガミの危険な手口になる。
第3章 ヒトガミはなぜロキシーを狙った?消したかったのは彼女の先に続く未来
ロキシー本人への恨みではなく、ルーデウスとの間に生まれる子供が問題だった
ヒトガミがロキシーを狙ったのは、
彼女自身が強敵だったからではない。
ロキシーは水王級魔術師として高い実力を持つが、
ヒトガミと直接戦う立場でもなく、
この時点でヒトガミへ敵意を向けている人物でもない。
問題になるのは、
ルーデウスと結ばれた後に続く家系だった。
第2期の転移迷宮では、
ルーデウスが迷宮内で孤立していたロキシーを救出する。
その後パウロを失ったルーデウスをロキシーが支え、
帰還後に二人は夫婦となる。
ここで、
本来なら成立しなかった可能性のある未来が現実へ近づく。
ロキシーはその後、
ルーデウスの子供を身ごもる。
そして二人の間に生まれるララは、
後にオルステッドも注目する存在になる。
ミグルド族の血を引きながら念話を使い、
獣族の聖獣レオとも特別な関係を持つ。
重要なのは、
ララが単独でヒトガミを倒すと決まっているわけではないこと。
それでもヒトガミが、
ロキシーとルーデウスの子供が生まれる未来を避けようとしている以上、
その誕生が将来の敗北へつながる要素だった可能性は高い。
だからヒトガミから見れば、
成長したララと後から争うより、
誕生する前に未来そのものを消した方が早い。
妊娠中のロキシーへ魔石病を届かせれば、
母親だけでなく、
その先に生まれるはずだった子供まで同時に失わせられる。
地下室の罠は、
ロキシー個人への攻撃ではない。
彼女が生き、
出産し、
その子供が成長する未来までまとめて潰す一手だった。
ロキシーの生存がオルステッド側の未来へつながることを、ヒトガミは先に潰そうとした
第1期第21話では、
オルステッドとヒトガミが敵対していることだけが先に示された。
しかし地下室事件まで進むと、
その争いがルーデウス一人の問題ではないことが見えてくる。
ヒトガミは、
ルーデウスの家族や子孫まで含めて未来を警戒している。
ルーデウスが誰と結婚するか。
誰が子供として生まれるか。
その子供が成長後に誰と関わるか。
そうした何十年先のつながりまで、
ヒトガミにとっては現在の危険として扱われる。
ロキシーは、
その未来を成立させる母親になる。
だから地下室で直接戦わせる必要はない。
ロキシー自身がヒトガミへ反抗する前に、
家庭の中で静かに排除できれば十分だった。
この点を見ると、
なぜヒトガミがルーデウス本人ではなく、
ロキシーへ被害が届く形を選んだのかも見えやすい。
ルーデウスを殺すことより、
将来ヒトガミへ不利益を与える可能性のある家系を断つこと。
そこに地下室の罠の本当の狙いがある。
第4章 なぜルーデウスは助言を聞いた?第1期から積み重なったヒトガミとの関係
第9話のルイジェルド、第19話のアイシャなど、過去の助言が実際に役立っていた
ルーデウスが地下室へ向かおうとした背景には、
ヒトガミとの長い接触がある。
第3期第11話だけを見れば、
怪しい相手の言葉を簡単に聞いたようにも見えるが、
実際には第1期から何度も助言を受け、
その情報が現実に役立った経験を持っている。
第1期第9話「邂逅」では、
魔大陸へ転移した直後のルーデウスへ、
ヒトガミがルイジェルドを頼るよう示す。
スペルド族を恐れていたルーデウスだったが、
結果としてルイジェルドはエリスと二人を守り、
魔大陸から帰還するための最大の支えになる。
第19話「ルート選択」では、
リーリャとアイシャに関する情報を与える。
ルーデウスはシーローン王国へ向かい、
実際にアイシャと遭遇。
転移事件で行方不明になった家族へ、
ヒトガミの助言を通して辿り着いている。
この経験がある以上、
ヒトガミの言葉を全部嘘として切り捨てるのは難しい。
不気味ではある。
目的も分からない。
それでも情報が当たる。
ルーデウスの中には、
警戒と信用が同時に残っていく。
オルステッドの警告を知っていても、地下室の頼みまで即座に拒絶する材料はなかった
もちろんルーデウスは、
ヒトガミを全面的に信用しているわけではない。
第1期第21話「ターニングポイント2」では、
赤竜の下顎でオルステッドと遭遇。
ヒトガミとの関係を答えた直後、
それまで会話していたオルステッドの態度が変わる。
ここでルーデウスは、
ヒトガミが世界の強者から強く敵視されていることを知る。
それでも、
なぜ危険なのかまでは分からない。
過去に自分を助ける情報があった事実も残っているため、
完全に関係を切るところまでは進まない。
第2期第18話「ターニングポイント3」でも、
ゼニス救出を巡る局面でヒトガミが再登場する。
ルーデウスは助言を聞きながら、
最終的には自分の意思でベガリット大陸へ向かう。
つまりこの頃には、
盲目的に従うのではなく、
参考にしながら自分で選ぶ関係へ変わっている。
だから第3期第11話で、
自宅の地下室を確認してほしいと言われても、
最大級の罠とは判断しにくい。
危険な国へ行けでもない。
家族を捨てろでもない。
自宅の一角を確認するだけ。
過去の助言が当たった経験。
オルステッドから感じた不信。
その両方を抱えた状態でも、
今回の頼みは小さすぎた。
だからルーデウスは、
自分で確認して終わらせようと考える。
地下室事件で重要なのは、
ルーデウスがヒトガミを信じ切っていたことではない。
完全に信用していない相手でも、
これまで役立った情報があり、
頼み自体が危険に見えなければ行動してしまう。
ヒトガミは、
その微妙な距離感を利用したことになる。
第5章 地下室のネズミはヒトガミが仕込んだ?確実なのは「逃げれば何が起きるか」を知っていたこと
老デウスは後年になってネズミが魔石病のキャリアだったと突き止める
地下室事件で気になるのが、
あのネズミをヒトガミ自身が用意したのかという点。
ここは、
分かっている事実と推測を分けた方がいい。
ヒトガミが自らネズミを捕まえ、
地下室へ置いた場面までは描かれていない。
一方で老デウスの日記には、
かなり後になってから、
ネズミが魔石病のキャリアだったことを突き止めた記録が残る。
つまりロキシーの病気は、
偶然発症した別件ではなく、
地下室から逃げたネズミまで原因を遡れる。
老デウスの未来では、
最初からそこへ気付けたわけではない。
ロキシーが倒れた時点では病気への対応が先。
クリフの識別眼によって魔石病だと判明し、
神級解毒魔術を求めてミリス神聖国へ向かう。
原因を探すより先に、
救命のため時間との戦いへ入っている。
その後ロキシーを失い、
ヒトガミへの復讐へ傾いた老デウスは、
世界各地を巡りながら情報収集を続ける。
長命種へ接触し、
ヒトガミの手掛かりを探し、
同時に魔術研究まで進める。
重力。
電気。
声。
治癒魔術。
何十年もの研究を続ける中で、
ようやく過去の出来事まで調べ直し、
ネズミが魔石病を運んでいた事実へ辿り着く。
ここまで時間が掛かったこと自体が重要。
若いルーデウスから見れば、
地下室で一匹のネズミが逃げただけ。
ロキシーが病気になっても、
数日前の地下室まで即座に疑う材料がない。
ヒトガミとの関係も表面へ出てこない。
「ネズミを置いた」とまでは断定できないが、地下室を開けさせた行動は明確にヒトガミへつながる
では、
ネズミそのものが偶然地下室へ入り込んだ可能性はあるのか。
そこまでは作品内で完全には潰されていない。
だから、
ヒトガミが魔石病のネズミを捕まえて運んできた、
と断言するのは一歩踏み込みすぎる。
ただし地下室の扉を開けるよう促したのは、
明確にヒトガミ。
そして老デウスは最終的に、
自分がヒトガミに騙され、
ネズミを外へ出し、
その結果ロキシーを失ったと結論付けている。
つまり重要なのは、
ネズミを誰が地下室へ入れたかだけではない。
そこにネズミがいる。
扉を開ければ逃げる。
逃げた先で食べ物へ触れる。
その結果ロキシーへ病が届く。
ヒトガミは、この流れを利用している。
第3期第11話で、
ヒトガミが地下室の中身を詳しく説明しないのも不自然ではない。
「危険なネズミがいる」と言えば、
ルーデウスは最初から警戒する。
魔術で処理する。
アイシャやリーリャへ確認させる。
罠そのものが成立しなくなる。
だから必要なのは、
事情を伏せたまま本人を地下へ行かせること。
地下室を確認する。
その程度の行動に見せれば、
ルーデウス自身が扉を開ける。
ヒトガミは姿を現さず、
結果だけを未来へ残せる。
地下室のネズミが偶然そこにいたとしても、
その偶然をヒトガミが利用したなら罠として成立する。
最初から配置したのなら、
さらに計画性が高かったことになる。
どちらの場合でも変わらないのは、
ルーデウスを地下室へ行かせた助言が破滅の起点だったことだ。
第6章 オルステッドはなぜヒトガミを警戒していた?地下室事件で危険な手口が具体化する
第1期第21話では名前を聞いただけで態度が変わり、ルーデウスを使徒として警戒した
ヒトガミの危険性を最初から強く示していた人物が、
龍神オルステッド。
第1期第21話「ターニングポイント2」で、
ルーデウスたちは赤竜の下顎を進む途中、
オルステッドとナナホシに遭遇する。
異常な反応を見せるのは、
まずエリスとルイジェルド。
二人はオルステッドを見ただけで顔色を変え、
身体まで震わせる。
一方ルーデウスは影響を受けにくく、
そのまま会話を続ける。
オルステッドは、
エリス。
ルイジェルド。
パウロ。
自分たちが知る人物について次々に情報を持っている。
ところがルーデウス本人だけは知らない。
そこで会話の中から、
ヒトガミとの接触を確認する。
その直後、
空気が変わる。
ルイジェルドが迎撃し、
エリスも戦いへ入るが、
二人ともオルステッドには届かない。
ルーデウスも魔術で応戦するが、
最後には胸を貫かれ、
一度死の瀬戸際まで追い込まれる。
この時点のアニメでは、
なぜ「ヒトガミを知っている」ことが、
そこまで危険視されるのかまでは見えない。
ルーデウス自身も、
夢へ出てきて助言する白い人物としてしか、
ヒトガミを十分には理解していない。
地下室事件まで進むと、
オルステッドが警戒していた相手の厄介さが具体的になる。
ヒトガミは戦場へ出てこない。
剣を振らない。
魔術でルーデウスを直接攻撃もしない。
夢の中で選択肢を一つ渡し、
人間自身に行動させる。
老デウスも数十年追い続け、最後は「ヒトガミがどこにいるか」から調べ直すことになる
地下室の罠を経験した未来のルーデウスは、
やがてヒトガミを殺すことだけを考えるようになる。
しかし大きな壁がある。
そもそもヒトガミが、
現実世界のどこにいるのか分からない。
夢の白い空間には現れても、
そこへ普通に歩いて行くことはできない。
そこで老デウスは、
何十年も世界中を旅する。
ヒトガミについて知る可能性が高いとして、
長く生きている人物を中心に探す。
水帝や北帝級の猛者とも戦い、
情報を求めながら魔術まで強化していく。
やがてベガリット大陸奥地で、
古代龍族の遺跡を発見する。
壁画には、
龍、人、魔、獣、海、天という六つの世界と、
その中心にある無の世界について記されていた。
そしてヒトガミが、
無の世界の中心にいることへ辿り着く。
老デウスはさらに、
召喚魔術や転移魔術を研究。
ペルギウスへも情報を求めるが、
ペルギウス自身はヒトガミについて詳しく知らず、
ラプラスがその名を聞いて激昂したという情報しか持っていない。
そこで老デウスは、
オルステッドなら何か知っているのではないかと考える。
第1期第21話で、
オルステッドだけがヒトガミへ強烈な警戒を見せたことが、
何十年後の未来でも残っている。
しかし老デウスの時間軸では、
現在のルーデウスのようにオルステッドと協力するところまで辿り着けない。
一人で情報を集め、
一人で無の世界へ近づこうとする。
最終的に老デウスが開発するのが、
過去へ戻るための転移魔術。
日記を起点にし、
自分がヒトガミへ騙され、
地下室からネズミを外へ出した時点まで戻ろうとする。
数十年の探索の終着点が、
ヒトガミ本人との直接戦闘ではなく過去改変になる。
この流れを見ると、
オルステッドが第1期からヒトガミを危険視していたことも重くなる。
ヒトガミは、
居場所すら簡単には掴めない。
本人は安全な場所にいながら、
使徒や助言を通して現実の選択だけを動かす。
地下室事件は、
その手口がルーデウスの家庭へ初めて決定的な形で届いた場面。
オルステッドが以前から警戒していた「ヒトガミ」という敵が、
遠い神話の存在ではなく、
家族一人の生死まで裏側から動かす相手だと分かる。
ここからルーデウスにとっても、
ヒトガミを見る目が完全に変わっていく。
第7章 地下室の助言で何が変わった?ヒトガミを頼る関係から対抗する関係へ
老デウスの警告によって、ルーデウスは初めて「助言の先にある未来」まで知る
第3期第11話「ターニングポイント4」で大きく変わるのは、
地下室へ行かなかったことだけではない。
第1期から続いてきた、
ヒトガミが情報を与え、
ルーデウスが自分で判断して動く関係そのものが崩れる。
未来の自分が現れ、
その助言の先で何が起きるかを直接伝えたからだ。
第1期第9話では、
ルイジェルドを頼るよう示され、
第19話ではアイシャとリーリャへつながる情報を得た。
第2期第18話でも、
ゼニス救出を巡る重要な局面へヒトガミが介入する。
ルーデウスは警戒しながらも、
情報そのものは利用できると考えてきた。
ところが地下室では、
同じ「助言」という形を使いながら、
その先にロキシーの魔石病が隠されていた。
しかもルーデウス本人には、
地下室へ入った直後に被害が出ない。
何も起きなかったように見えるまま、
ネズミ、食べ物、ロキシーという順番で結果が進む。
この未来を経験した老デウスは、
若い自分へ地下室を止めるだけでなく、
日記まで残す。
ロキシーを失ったこと。
クリフを失ったこと。
シルフィとの関係を壊したこと。
エリスの本心へ気付くのが遅れたこと。
その後ヒトガミを何十年も追ったこと。
若いルーデウスは、
まだ起きていない自分自身の失敗を先に読むことになる。
ここが過去のターニングポイントとの違い。
第1期第8話の転移事件では、
魔大陸へ飛ばされた後に生き残るしかなかった。
第21話のオルステッド戦でも、
遭遇した後で戦いへ巻き込まれている。
今回は、
事件が起きる前に未来を知る。
地下室へ行かない。
ロキシーの体調を確認する。
シルフィとの関係を失わないよう向き合う。
エリスについても、
未来と同じ誤解を残さないよう動き始める。
だからターニングポイント4は、
ヒトガミの罠を一度回避しただけの回ではない。
これまで未来を知らずに選んできたルーデウスが、
ヒトガミの助言には自分から見えない結果が隠されていると知る。
ここから二人の関係は、
以前と同じ形には戻れなくなる。
「地下室へ行け」はロキシー一人ではなく、オルステッドへ続く未来まで潰す一手だった
ヒトガミが地下室へ行かせた狙いを最後まで追うと、
ロキシーの魔石病だけでは終わらない。
ロキシーが生きる。
ルーデウスとの子供が生まれる。
その家系が続く。
さらにオルステッド側へつながる未来が残る。
ヒトガミから見れば、
現在の一人を倒すだけではなく、
将来、自分の敗北へつながる可能性そのものを消す必要がある。
だから剣士や魔王を送り込むのではなく、
家の地下室という極めて身近な場所を利用した。
未来を大きく変えるために、
現在では小さく見える行動を選ばせたことになる。
一方で老デウスがやったことも、
構造としては正反対。
ヒトガミが小さな行動から破滅を作ろうとしたなら、
老デウスは同じ一点へ戻り、
その行動だけを変えて未来を救おうとした。
地下室へ入る直前まで戻ったこと自体が、
そこが最大の分岐だった証拠になる。
第1期第21話で、
オルステッドはヒトガミとの接触を知っただけで、
ルーデウスを強く警戒した。
第3期第11話まで来ると、
当時その反応が極端に見えた背景も見え始める。
ヒトガミは表へ出ず、
助言を受けた人間自身に未来を動かさせる。
しかも地下室事件では、
その影響が一つの家庭へ入り込む。
ロキシー。
これから生まれる子供。
シルフィやエリスとの関係。
さらに何十年先のオルステッドとの戦い。
一度の助言が複数の未来へ枝分かれしている。
だから「ヒトガミはなぜ地下室へ行かせた?」への答えは、
ロキシーを病気にしたかったから、
だけでは足りない。
ロキシーが生き続け、
ルーデウスの家族が増え、
その子孫がヒトガミへ不利な未来を作る流れまで断ちたかった。
そして老デウスが現れたことで、
その計画は最初の入口で止められる。
若いルーデウスは、
ヒトガミの助言を受けるだけの立場から、
その裏側にある未来を読んで対抗する立場へ変わる。
地下室の扉は、
一匹のネズミを閉じ込めていた扉であると同時に、
ヒトガミが望む未来と、
老デウスが変えようとした未来の境目でもあった。
その扉を開けなかったところから、
ルーデウスとヒトガミの本格的な対立が始まっていく。
無職転生Ⅲまとめ
『無職転生Ⅲ』の記事を、第3期の放送範囲・ナナホシと転移事件・ペルギウスと空中城塞・未来ルーデウス・オルステッド・魔導鎧・エリスとの再会・ルーデウスの家族などに分けてまとめています。
ルーデウス、エリス、シルフィ、ロキシー、ナナホシ、ペルギウス、オルステッド、ゼニス、アリエル、クリフ、エリナリーゼなど、気になる人物や物語の謎はこちらから探せます。
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