安吾が怪しい手紙で招かれた「秘密集団」は、本編に新たな敵組織が現れたという話ではなく、『文ストわん!』らしく安吾の立場を利用した第9わんのギャグとして見るのがポイント。
坂口安吾は本編では異能特務課に所属し、かつてポートマフィアへ潜入していたほど「秘密を探る側」の人物だからこそ、今度は正体の分からない会合へ呼び出される構図そのものが面白くなっている。
第1章 安吾が招かれた「秘密集団」は何だった?
本編につながる新組織というより、第9わんらしい会合として見る方が近い
第9わんで安吾のもとへ届くのは、いかにも何かが起こりそうな怪しい手紙。
そこには、普通の呼び出しとは違う空気がある。
そして安吾は、その手紙をきっかけに「秘密集団の会合」へ迎えられる。
誰が集まっているのか。
何のための会合なのか。
最初は、そこが見えない。
『文豪ストレイドッグス』で秘密の集まりと聞けば、かなり物々しく感じる。
武装探偵社とポートマフィア。
政府側の異能特務課。
海外から来た組合。
さらに猟犬や天人五衰まで、本編では表から見えない思惑を持つ集団が何度も動いてきた。
しかも今回、呼ばれるのは坂口安吾。
これが余計に怪しく見える。
安吾は本編で異能特務課に所属する人物。
ただ机に向かっているだけではなく、過去にはポートマフィア内部へ入り、裏側から情報を扱っていた。
秘密という言葉と、もともと相性がいい。
だから手紙一枚でも想像が広がる。
政府の裏の仕事なのか。
ポートマフィアと関係するのか。
新しい勢力が動き出したのか。
本編の安吾を知っているほど、何か重大な話が始まりそうに見えてくる。
でも、第9わんの秘密集団を、そこまで大きな設定として考える必要はない。
『文ストわん!』は、本編の人物や立場をそのまま使いながら、出来事だけを軽やかにずらしていく作品。
危険そうに見える入口があっても、
そのまま本編級の事件へ進むとは限らない。
むしろ、深刻そうな始まりから日常の可笑しさへ転がるところが特徴になる。
第4わんでも、ポオは謎のメッセージに導かれ、古めかしい洋館へ向かった。
洋館。
謎の呼び出し。
集まってくる人物たち。
本編なら、そのまま事件へつながってもおかしくない組み合わせになる。
でも『わん!2』では、その怪しさ自体が遊びになる。
何かありそうな場所へ行く。
緊張しそうな人物が集まる。
そこから、本編とは違う方向へ話が転がっていく。
第9わんの安吾も、この流れで見ると分かりやすい。
安吾が秘密集団へ呼ばれる。
この一文だけならかなり重い。
本編の安吾を知っていれば、なおさら重い。
ただし『わん!』では、
「秘密集団そのものが怖い」のではなく、
「安吾がそんな場所へ呼ばれている状況」が面白くなってくる。
安吾は、本来なら秘密を探る側にいる。
怪しい手紙が来たら、
差出人を見る。
目的を考える。
背後に何があるのかを疑う。
知らない集まりへ、何も考えず飛び込むような人物ではない。
その安吾が今度は、
自分が知らない側へ置かれる。
誰かが秘密を持っている。
安吾はそれを知らない。
そして、その秘密の中へ招かれる。
立場がひっくり返っている。
ここが第9わんの大きな面白さになる。
秘密集団の名前だけを知って終わる話ではない。
秘密を扱ってきた安吾が、
今度は秘密に包まれる側になる。
その反転が、安吾という人物に妙によく合っている。
本編で「秘密を抱えていた男」だからこそ会合が似合ってしまう
安吾は、本編でも最初からすべてを明かしていた人物ではない。
特に「黒の時代」を振り返ると、その印象は強い。
太宰治。
織田作之助。
坂口安吾。
三人は酒場ルパンで、何度も同じ時間を過ごしていた。
カウンターへ並ぶ。
酒を飲む。
他愛のない話をする。
写真まで残している。
あの時間だけを切り取れば、
三人は普通の友人同士にも見える。
でも安吾だけは、別の立場を抱えていた。
ポートマフィアにいながら、
そのままポートマフィアの人間だったわけではない。
さらにミミックにも関わる。
いくつもの組織の間で動きながら、
すべてを太宰や織田作に話すことはできなかった。
安吾は、友人の顔を持っていた。
組織の人間としての顔もあった。
政府側の人間としての顔もあった。
同じ人物の中に、
いくつもの立場が重なっていた。
そこが本編ではかなり重い。
だから安吾と「秘密」は切り離しにくい。
何かを隠している。
何かを知っている。
誰かと誰かの間にいる。
本編では、そんな役回りを何度も背負ってきた。
派手に戦わなくても、安吾が動くと裏側で大きな事情が動く。
異能力の「堕落論」も、その立場によく合っている。
物に残った記憶を読み取る。
誰が何をしたのか。
そこに何が残っているのか。
安吾は戦闘よりも、
情報へ近づくことで力を発揮する人物になる。
そんな安吾へ、怪しい手紙が届く。
これは妙に似合う。
太宰へ届けば、本人が面白がって遊び始めそうに見える。
中也へ届けば、怪しみながらも正面から乗り込みそうに見える。
でも安吾なら、
本当に何か裏の案件が始まったように見えてしまう。
第9わんは、そこを逆に使っている。
本編では秘密を抱えていた安吾。
本編では相手の事情を探る安吾。
本編では複数の組織をつなぐ安吾。
その人物が、今度は秘密集団から呼ばれる。
知っている側から、知らされる側へ。
探る側から、招かれる側へ。
秘密を持つ側から、秘密の扉の前へ立つ側へ。
ほんの少し立場を変えるだけで、
安吾らしさがそのまま笑いへ変わる。
『文ストわん!2』では、この安吾の生真面目さがすでに別の形でも使われている。
第5わんの「文スト保育園」では、
安吾が教育実習の先生としてやって来る。
本編の異能特務課とは、あまりにも違う場所になる。
そこには園児になった面々がいる。
いたずらが起こる。
オバケを怖がる。
太宰先生のぬいぐるみに落書きまでされる。
そんな騒がしい場所へ、
真面目な安吾先生が入ってくる。
ここでも安吾は、別人になっているわけではない。
真面目だから面白い。
堅い人物だから、
周囲が自由に動くほど差が出る。
第9わんの秘密集団も、その延長で見えてくる。
怪しい。
何かありそう。
安吾なら本当に裏事情がありそう。
そこまで思わせておいて、
『わん!』の世界へ戻ってくる。
本編で積み重ねた安吾の重さが、
第9わんではそのまま可笑しさへ変わっている。
第2章 怪しい手紙を受け取った安吾はどうやって会合へ向かった?
最初から正体を知っていたわけではないから、視聴者も一緒に警戒する
第9わんの入り口で効いているのは、一枚の手紙になる。
安吾が最初から会合の内容を知っているわけではない。
誰が待っているのか。
何の集まりなのか。
そこが見えないまま、話が始まる。
だから視聴者も安吾と同じ位置に置かれる。
『文豪ストレイドッグス』本編で、
怪しい手紙。
呼び出し。
秘密の会合。
この三つが並べば、穏やかではない。
敵対組織からの接触でも、
裏取引でもおかしくない。
しかも安吾は異能特務課の人間。
知ってはいけない情報に触れることもある。
表では出せない交渉に関わることもある。
過去にはポートマフィアと政府の間にもいた。
だから、安吾が呼び出されるだけで、
普通の待ち合わせには見えなくなる。
ここで面白いのは、安吾自身が騒がないこと。
太宰のように嬉々として飛びつくわけではない。
中也のように勢いだけで進むわけでもない。
まず状況を見る。
相手の意図を測る。
安吾らしい慎重さがある。
その慎重な人物が、
結局は手紙に導かれて会合へ向かう。
これだけで小さな緊張が生まれる。
本当に大丈夫なのか。
誰が待っているのか。
何をさせられるのか。
短い話でも、先を知りたくなる。
本編では、安吾が誰かを呼ぶ側に回る場面もあった。
情報を持つ。
仲介する。
誰と誰を会わせるかを知っている。
そういう立場が多い人物だった。
でも第9わんでは、安吾自身が呼ばれている。
ここでも立場が逆になる。
いつもなら事情を把握している側。
今回は事情を知らされる側。
いつもなら相手の裏を読む側。
今回は相手に導かれる側。
このズレが少しずつ効いてくる。
しかも、『わん!』では怪しい入口ほど、その後の落差が大きい。
第4わんのポオもそうだった。
謎のメッセージ。
古い洋館。
いかにも事件が起こりそうな導入。
でも、そこから本編級の惨事には進まない。
第9わんも、
怪しい手紙。
秘密集団。
会合。
言葉だけを並べると、かなり重い。
でも『わん!2』だと、
その重さそのものが前振りになる。
視聴者は少し構える。
安吾も真面目に受け止める。
その状態で会合の中身へ入る。
だからこそ、
そこに待っているものとの温度差が大きくなる。
この差が、第9わんの笑いを強くしている。
本編の「会合」は重かったから、第9わんでは同じ言葉が軽く響く
安吾にとって「会合」は、本来ならかなり重い言葉になる。
本編では、ポートマフィアと異能特務課。
政府と裏社会。
そうした勢力の間に立つことがあった。
誰を会わせるか。
何を伝えるか。
その判断が、人の運命にまでつながる。
「黒の時代」でもそうだった。
安吾は、ただ太宰や織田作と酒を飲んでいたわけではない。
その裏で別の立場を持ち、
表には出せない事情を抱えていた。
ミミックの問題。
政府側の思惑。
ポートマフィア側の動き。
その間を安吾は歩いていた。
太宰と織田作は、
安吾を友人として見ていた。
でも安吾は、
友人としての顔だけではいられなかった。
何かを知っている。
でも話せない。
その重さが、三人の関係を後から苦いものにしていく。
だから本編の安吾には、
「会合」や「秘密」が本当に重い。
そこには任務がある。
裏切りがある。
情報戦がある。
誰かの命にまでつながることがある。
気軽に参加できる集まりではない。
ところが第9わんでは、
同じ安吾が秘密集団の会合へ招かれる。
言葉だけなら、過去と同じくらい怪しい。
でも、舞台は『文ストわん!』。
ここで一気に空気が変わる。
本編なら何かを失うかもしれない。
『わん!』なら何か妙なことに巻き込まれるかもしれない。
本編なら相手の正体を疑う。
『わん!』なら相手の正体が分かった瞬間に、
別の可笑しさが出てくる。
同じ安吾でも、世界の温度が違う。
この違いを知っていると、第9わんはかなり見やすい。
秘密集団という言葉に引っ張られて、
新しい敵なのかと深刻に考えすぎなくていい。
むしろ本編での安吾を思い出した方が、
今回の立場のズレがよく見える。
秘密を知る男だった。
裏側を読む男だった。
組織と組織の間に立つ男だった。
その安吾が今度は、
怪しい手紙一枚に導かれ、
自分が知らない集まりの中へ入っていく。
ここが第9わんの芯になる。
秘密集団の正体だけなら、一言で終わる。
でも、
なぜ安吾が呼ばれるとこんなに怪しく見えるのか。
なぜその怪しさが笑いへ変わるのか。
そこまで見ると、この短い話がぐっと安吾らしく見えてくる。
『文ストわん!2』は、第1わんから本編の人物像を崩しすぎない。
真面目な人物は真面目なまま。
自由な人物は自由なまま。
敵対していた人物も、
性格そのものは残したまま日常へ放り込まれる。
だからこそ、普段との落差が出る。
第8わんでは、
武装探偵社とポートマフィアが合同運動会へ集まった。
本編なら命を懸けてぶつかる二つの組織が、
競技で本気になる。
対立は残っている。
でも向かう先だけが違う。
第9わんの安吾も同じ。
秘密。
会合。
怪しい呼び出し。
安吾に似合う材料はそのまま残る。
でも、それが本編とは違う場所へ着地する。
だから『わん!』らしい。
怪しい手紙を受け取る。
相手の正体が見えない。
それでも会合へ向かう。
そして、秘密の中へ迎えられる。
この流れそのものが、
本編の安吾を知っている人ほど面白くなる。
安吾は、長い間秘密の中心にいた人物。
だから第9わんでは、
秘密の外側へ置かれた瞬間が目立つ。
自分が事情を知らされる。
自分が呼ばれる。
自分が会合の正体を確かめる側になる。
その小さな逆転が、今回の安吾を一番面白くしている。
第3章 なぜ安吾が「秘密集団」に呼ばれると妙に似合う?
異能特務課の安吾は、もともと表と裏の境界に立つ人物
安吾が秘密集団へ呼ばれる。
この状況が妙に似合うのは、
安吾自身がずっと秘密と情報の近くにいた人物だから。
現在は異能特務課に所属し、
表には出にくい異能力事件へ関わっている。
過去にはポートマフィアの内部にも入っていた。
ただ所属していただけではない。
裏側から情報を扱い、
複数の組織の間を動いていた。
安吾は最初から、単純な一つの立場だけで生きてきた人物ではない。
だから怪しい手紙が届くだけで、
何か裏の案件が始まりそうに見える。
政府の仕事なのか。
ポートマフィアと関係するのか。
知らない勢力が動いたのか。
安吾だからこそ、視聴者も少し警戒する。
でも第9わんでは、
その立場が少しひっくり返る。
本編の安吾は秘密を知る側。
情報を探る側。
誰かの動きを読む側だった。
今回は、安吾自身が呼ばれる。
誰が待っているのか分からない。
何のための会合なのかも見えない。
いつも事情を知っていそうな安吾が、
今度は事情を知らない側へ置かれる。
ここが面白い。
秘密集団だから安吾が怪しく見えるのではない。
安吾だから、
秘密集団という言葉が本当に何かありそうに見えてしまう。
第5わんの「文スト保育園」でも、
安吾は教育実習の先生として登場した。
異能特務課で働く人物が、
園児たちの中へ入っていく。
場所は違っても、
真面目な性格そのものは変わらない。
だから周囲との温度差が出る。
安吾は太宰のように遊ばない。
中也のように勢いで押し切らない。
きちんと状況を受け止める。
その生真面目さが、
『わん!』では笑いへ変わりやすい。
秘密集団への招待も同じ。
安吾の経歴はそのまま。
真面目さもそのまま。
ただ置かれる場所だけが少し変わる。
それだけで、
本編では重かった人物像が別の面白さを見せる。
「堕落論」まで考えると、安吾は秘密を追う側の人物に見える
安吾の異能力は「堕落論」。
物に残された記憶を読み取る力になる。
派手な攻撃ではない。
でも、
何が起きたのかを探るには向いている。
物を見る。
残った記憶を読む。
そこから過去へ近づく。
安吾は能力まで、
情報を追う人物として作られている。
だから、
そんな安吾が何も知らない状態は目立つ。
誰かが情報を持っている。
安吾はまだ知らない。
その相手から手紙が届き、
会合へ呼ばれる。
いつもなら追う側。
今回は追われる側に近い。
いつもなら知る側。
今回は知らされる側。
この逆転が、
第9わんの安吾を面白くしている。
第6わんでは、
敦と芥川も本編の因縁を残したまま、
蕎麦屋や雨宿りのような日常へ置かれていた。
戦う関係そのものは消えない。
ただ場所が変わる。
それだけで見え方が変わる。
安吾も同じ。
秘密と縁が深い人物であることは変わらない。
でも第9わんでは、
その秘密が国家や裏社会の重大事件ではなく、
怪しい手紙と会合へ変わっている。
本編を知っているほど、
最初は重く見える。
でも『わん!』だと分かっているから、
その先の落差を楽しめる。
安吾が選ばれたこと自体が、
今回の笑いを強くしている。
第4章 太宰・織田作・安吾の「黒の時代」を知ると見え方が変わる
三人で酒を飲んでいた頃、安吾は大きな秘密を抱えていた
安吾と秘密を考えるなら、
外せないのが「黒の時代」。
太宰。
織田作。
安吾。
三人は酒場ルパンで何度も同じ時間を過ごしていた。
カウンターに並ぶ。
酒を飲む。
他愛のない話をする。
写真まで残している。
あの場面だけなら、
普通の友人同士にも見える。
でも安吾には別の立場があった。
ポートマフィアにいる。
政府側ともつながっている。
さらにミミックを巡る動きにも関わる。
友人として笑いながら、
全部を話すことはできなかった。
そこが安吾の重さになる。
同じ席にいる。
でも同じ情報を持っているわけではない。
太宰や織田作が知らないことを、
安吾だけが抱えている。
やがてミミックが動く。
織田作の周囲にも危険が迫る。
組織同士の思惑が重なり、
安吾の立場もただの友人では済まなくなる。
本編の安吾にとって、
秘密や会合は軽い言葉ではない。
誰と誰が会うのか。
何が取引されるのか。
その結果、
誰の運命が動くのか。
だから第9わんで、
また安吾と「秘密」「会合」が並ぶと、
本編を知っている人ほど一瞬構える。
安吾。
怪しい手紙。
秘密集団。
言葉だけなら、
黒の時代にも似合いそうな組み合わせになる。
でも今回は『文ストわん!2』。
そこが決定的に違う。
本編のように、
一つの秘密が誰かの死へつながる話ではない。
重そうな入口を使いながら、
もっと軽い方向へ進んでいく。
この落差があるから、
第9わんの安吾は面白い。
昔なら重かった材料が、
今度は安吾を巻き込む可笑しさへ変わる。
本編を知っているほど、
その変化がよく見える。
『わん!』では、重かった関係も別の時間として見られる
本編では、
太宰と織田作と安吾の三人の時間は続かなかった。
織田作は死ぬ。
太宰の人生も大きく変わる。
安吾との間にも、
簡単には消えない距離が残る。
だから『わん!』で三人が並ぶと、
それだけで少し特別に見える。
本編では戻らない時間を、
別の形でまた見られるから。
第9わんの秘密集団も、
同じ感覚で見ることができる。
本編で安吾を苦しめた「秘密」という言葉が、
今回は悲劇ではなく、
妙な会合への入口になる。
安吾の過去は消えない。
黒の時代もある。
太宰や織田作との関係もある。
でも『わん!』では、
その重さだけを背負い続けなくていい。
怪しい手紙を受け取る。
秘密集団へ向かう。
何が待っているのか分からない。
ここまでは本編の安吾らしい。
でも、その先は『わん!』になる。
昔なら危険だった言葉が、
今回は笑える方向へ変わる。
その切り替わりが、
第9わんの安吾を見る面白さになっている。
第5章 秘密集団は異能特務課や天人五衰と関係する?
「秘密集団」という言葉だけで、本編の組織へ直結させない方がいい
第9わんで気になるのは、
やはり「秘密集団」という呼び方。
文スト本編には、
実際に秘密を抱えた組織がいくつもある。
だから名前だけ聞くと、
どこかと関係するのではと思いたくなる。
まず浮かびやすいのが異能特務課。
安吾自身が所属している。
異能力者に関わる事件を扱い、
武装探偵社やポートマフィアとも接点を持つ。
表からは見えにくい仕事も多い。
秘密集団という響きとは、かなり近い。
でも第9わんの会合を、
そのまま異能特務課の裏組織として見る必要はない。
公式でも、
安吾が怪しい手紙を受け取り、
秘密集団の会合へ迎えられるという形になっている。
異能特務課の任務として向かうとは示されていない。
ここはかなり大事。
安吾がいる。
秘密の会合がある。
だから異能特務課。
そう単純につながる話ではない。
天人五衰とも別に考えた方がいい。
本編の天人五衰は、
フョードルやニコライ、シグマらが関わる危険な集団。
武装探偵社を追い詰め、
国家規模で状況を動かしてきた。
名前を聞くだけでも緊張が走る存在になる。
『わん!2』には、
その天人五衰側の人物も普通に登場する。
フョードル。
ニコライ。
シグマ。
本編では命を懸けてぶつかる人物たちまで、
小さな姿で日常の中へ入ってくる。
猟犬も同じ。
条野採菊。
末広鉄腸。
大倉燁子。
福地桜痴。
本編では武装探偵社を追い詰めた側の人物まで、
『わん!2』では同じ舞台へ並んでいる。
だから、
第9わんに「秘密集団」と出てきたからといって、
本編の新しい敵組織まで想像しなくていい。
『わん!2』そのものが、
本編では敵味方に分かれていた人物を、
同じ日常へ集める作品になっている。
第6わんでは、
敦と芥川が蕎麦屋で出くわす。
また別の日には、
突然の雨から逃げ込んだ軒先でも隣り合う。
本編なら激しく戦う二人が、
日常の中でもなぜか顔を合わせてしまう。
それでも因縁は消えない。
会えば張り合う。
言葉を交わせば空気が変わる。
本編の関係は残っている。
ただし、
命懸けの戦場だけが舞台ではなくなる。
秘密集団も同じ見方ができる。
本編にありそうな言葉を使う。
安吾という似合いすぎる人物を置く。
一瞬だけ重大事件のように見せる。
でも、そのまま本編へ戻るわけではない。
むしろ、
「本当に異能特務課の話なのか」
「天人五衰なのか」
と考えさせるくらい怪しく見えるから、
会合の正体が分かった時の差が大きくなる。
本編の組織を知っていることは、
第9わんを見る邪魔にはならない。
逆に、
知っているほど最初の警戒が強くなる。
その警戒が外れるところまで含めて、
『わん!』らしい楽しみ方になる。
本編では敵味方だった人物が同居するから、組織名より人物を見る方が分かりやすい
『わん!2』では、
武装探偵社だけを追っていればいいわけではない。
ポートマフィア。
組合。
猟犬。
天人五衰。
本編の各勢力から、
次々と人物が入ってくる。
これはかなり大きい。
本編では、
所属する組織がそのまま立場を決めることが多かった。
武装探偵社なら探偵社側。
ポートマフィアなら裏社会側。
猟犬なら追う側。
天人五衰なら敵側。
でも『わん!2』では、
その線引きがかなり柔らかくなる。
敵だから毎回戦うとは限らない。
同じ場所にいてもいい。
日常の妙な出来事へ、
一緒に巻き込まれることもある。
だから第9わんも、
「秘密集団はどの勢力なのか」だけで見ると狭くなる。
むしろ、
そこへ誰がいるのか。
安吾がどう反応するのか。
本編の関係と何が違うのか。
人物を見る方が面白い。
安吾は政府側の人間。
でも過去にはポートマフィアへ入っていた。
太宰や織田作とも深く関わった。
武装探偵社とも接点がある。
一つの組織だけでは語りにくい人物になる。
だから秘密集団へ招かれても、
完全な場違いには見えない。
むしろ、
「また安吾が何か裏に関わっている」
と一瞬思わせることができる。
そこから『わん!』の空気へ落ちる。
この流れがあるから、
組織の正体を大きく広げるより、
安吾という人物の立ち位置を見た方が、
第9わんは分かりやすくなる。
第6章 『わん!2』では安吾の生真面目さが何度も笑いになる
第5わんの「安吾先生」も、真面目だからこそ周囲との落差が大きかった
第9わんだけを見ると、
安吾が突然ギャグ担当になったようにも見える。
でも『わん!2』では、
すでに安吾の生真面目さが何度も使われている。
その分かりやすい例が、
第5わんの「文スト保育園」。
安吾は教育実習の先生として登場する。
本編なら異能特務課。
政府側の仕事。
危険な異能力事件。
そんな場所にいる人物が、
今度は保育園へやって来る。
周囲には、
小さくなったおなじみの面々がいる。
子供らしい騒ぎが起こる。
妙な遊びが始まる。
大人の安吾は、
その中で真面目に立っている。
ここが面白い。
安吾自身は、
急に陽気な人物になったわけではない。
性格を変えて笑わせているわけでもない。
むしろ、
いつもの真面目さを残している。
真面目に対応する。
真面目に困る。
真面目に周囲を見る。
そのたびに、
子供たちの自由さとの差が広がる。
安吾は動かなくても、
周囲との温度差だけで面白くなる。
本編でも、
安吾は騒ぎの中心で暴れる人物ではない。
太宰のように自分から混乱を起こさない。
中也のように感情を前へ出し続けない。
一歩引いて、
状況を見ていることが多い。
だから『わん!』へ入ると、
そこがそのまま強みになる。
周囲が騒ぐ。
安吾は真面目。
周囲が妙なことを始める。
安吾は普通に受け止めようとする。
その差だけで場面が成立する。
第9わんの秘密集団も同じ。
怪しい手紙が来る。
知らない会合へ呼ばれる。
普通なら、
太宰が面白がって先に突っ込んでも不思議ではない。
でも安吾だから、
妙に真剣に見える。
これは危険なのでは。
何か裏があるのでは。
視聴者まで少し身構える。
安吾の真面目さが、
会合そのものを必要以上に怪しく見せる。
そこから正体が見えてくる。
すると今度は、
真剣に見ていた安吾との落差が出る。
安吾が大袈裟に笑いを取らなくてもいい。
真面目であればあるほど、
周囲との違いが勝手に面白くなる。
本編では重かった安吾が、日常では「巻き込まれる人」になる
本編の安吾には、
かなり重い場面が多い。
黒の時代。
ミミック。
異能特務課。
太宰との距離。
織田作を巡る過去。
何かを知っている。
でも全部は話せない。
組織のために動く。
個人の感情だけでは決められない。
そういう重さを、
安吾はずっと抱えている。
その安吾が『わん!』へ来ると、
少し肩の荷が下りる。
国家を背負わなくていい。
重大な交渉をしなくていい。
誰かの生死を決める情報を、
毎回抱える必要もない。
保育園へ行く。
妙な会合へ呼ばれる。
日常の中へ入る。
そして周囲に巻き込まれる。
本編ではあまり見られない安吾が出てくる。
ここが安吾の『わん!』での魅力になる。
本人は変わらない。
眼鏡を掛けている。
真面目。
理屈で考える。
少し堅い。
でも世界の方が変わる。
本編なら危険な呼び出し。
『わん!』なら妙な出来事の入口。
本編なら秘密を握る。
『わん!』なら秘密を知らされない。
立場だけが少しずつ逆になる。
だから第9わんは、
秘密集団の正体だけを見るより、
「安吾がまた巻き込まれている」
という見方をすると面白い。
第5わんでは保育園。
第9わんでは秘密集団。
場所はまったく違う。
でも共通しているのは、
生真面目な安吾が、
自分とは少し温度の違う世界へ入っていくこと。
安吾は大声で騒がなくてもいい。
派手に転ばなくてもいい。
困った顔をする。
真面目に受け止める。
その姿があるだけで、
周囲の妙さが強く見える。
本編で重い役割を背負った人物だからこそ、
『わん!』で日常へ放り込まれると新鮮になる。
秘密集団という言葉も、
そんな安吾を巻き込むための場所として見ると、
第9わんの可笑しさがより分かりやすくなる。
第7章 安吾は「秘密を知る男」から「秘密へ招かれる男」になった
第9わんで一番面白いのは、安吾の立場が逆になっていること
第9わんの秘密集団は、
正体だけを見れば短い話になる。
でも安吾という人物まで重ねると、
見え方が変わってくる。
本編の安吾は、
ずっと秘密を知る側にいた。
ポートマフィアの内部に入る。
異能特務課ともつながる。
ミミックの事情にも触れる。
太宰や織田作にも、
全部は話せないことを抱えていた。
安吾は、
知らない人ではなく、
知りすぎている人だった。
何が起きているのか分かる。
でも言えない。
その重さが、
本編の安吾には何度もついて回った。
第9わんでは、
そこが逆になる。
怪しい手紙が届く。
誰が送ったのか分からない。
何の会合なのかも見えない。
安吾自身が、
秘密の外側へ置かれる。
これはかなり新鮮。
本編なら、
安吾が相手の事情を知っている。
今回は、
相手の方が何かを知っている。
安吾がその中へ招かれる。
だから第9わんは、
「秘密集団とは何だったのか」だけで終わらない。
なぜ安吾が呼ばれたのか。
なぜ妙に似合って見えるのか。
そこまで見ると、
この短い話の面白さがはっきりする。
安吾は秘密と縁が深い。
でも今回は、
秘密を抱える役ではない。
秘密に巻き込まれる役になる。
その小さな反転が、
『わん!2』らしい。
本編を知っているほど、怪しい手紙から会合までの落差を楽しめる
本編の安吾を知らなくても、
第9わんは楽しめる。
怪しい手紙が届く。
秘密集団へ呼ばれる。
その先に何があるのか気になる。
それだけでも話は成立している。
でも黒の時代を知っていると、
一段違って見える。
安吾と秘密。
安吾と会合。
この二つは、
本編ではかなり重い言葉だった。
太宰と織田作と酒を飲む。
その裏で、
安吾だけは別の立場を持っている。
友人として同じ席にいても、
全部を話すことはできない。
その秘密が、
三人の時間にも影を落としていく。
そんな安吾が今度は、
怪しい手紙を持っている。
秘密集団へ向かう。
本編だけを知っていれば、
また何か重い話が始まりそうに見える。
でも今回は『わん!』。
そこで空気が変わる。
国家の陰謀へ進まない。
ポートマフィアとの取引にもならない。
安吾の過去を、
もう一度苦しい方向へ引っ張る話でもない。
本編で重かった要素を残しながら、
別の表情へ変えていく。
そこが第9わんの楽しさになる。
第5わんでは、
安吾が保育園の先生になった。
第9わんでは、
秘密集団へ招かれる。
どちらも本編の安吾から見れば、
かなり変わった場所になる。
でも本人は変わらない。
真面目。
冷静。
状況をきちんと受け止める。
だから周囲との落差が出る。
第9わんの秘密集団も、
新たな巨大勢力として見るより、
安吾の経歴と性格を使った話として見る方が分かりやすい。
秘密を知っていた男。
秘密を抱えていた男。
秘密のために、
友人にも全部を話せなかった男。
その安吾が今回は、
自分の知らない秘密へ招かれる。
そこに、
第9わんの一番大きな可笑しさがある。
安吾だから怪しく見える。
安吾だから本編を思い出す。
そして『わん!』だから、
その怪しさを重くしすぎずに楽しめる。
秘密集団の正体だけを追うより、
「なぜ安吾だったのか」まで見る。
そうすると第9わんは、
安吾の過去と『わん!』の軽さが、
きれいに重なった一話として見えてくる。


コメント