無職転生のアリエル王女が王位を目指すのは、王族として権力を欲したからではなく、自分を守るために命を落とした従者たちの意志を背負ったから。
アスラ王国の王位継承争いで追われ、国外へ逃れたアリエルを支え続けたのがシルフィとルークであり、この三人の関係は主人と護衛だけでは終わらない。
アリエルが王になる道を追うと、王位継承そのものより、「誰の願いを背負って王になるのか」がこの人物の中心にあることが見えてくる
第1章 結論|アリエルが王を目指すのは、死んだ仲間の意志を背負ったから
最初から王位だけを欲しがっていた王女ではない
アリエルは、ただ王になりたいから王位を目指しているわけではない。
第二王女として生まれた時点で、王族の中にいる。
権力にも近い。
けれど、その立場は同時に命を狙われる立場でもあった。
アスラ王国の王位継承争いは、華やかな宮廷の裏で人が死ぬ世界になる。
ここがかなり重い。
王位を巡る争いは、誰が次の王になるかだけでは終わらない。
どの貴族が誰につくのか。
誰を排除するのか。
どこで裏切りが起きるのか。
その一つ一つが、アリエルの身近な人間の命へ直結していく。
アリエルの周囲にも、彼女を守ろうとする者たちがいた。
その中にはデリック・レッドバットのように、王女へ忠誠を向ける従者もいる。
ただ護衛するだけではない。
アリエルがどんな王になるべきか。
どんな未来を作るべきか。
そこまで考えて彼女のそばに立っていた。
でも、その関係は穏やかには続かない。
王位継承争いの中で、アリエルを守るために命を落とす者が出る。
忠臣が死ぬ。
護衛が減る。
自分が生き延びるたびに、誰かがその代わりに倒れていく。
アリエルにとって王位は、そこでただの野心ではなくなる。
キツ…。
自分が狙われた。
誰かが守った。
その人が死んだ。
それでも自分だけは生きている。
この積み重ねが続けば、「もう王位なんていらない」と逃げる道もあったはず。
でもアリエルは、そこで降りない。
むしろ逆。
死んだ人間たちが何を望んでいたのかを考える。
自分を守って終わりではなく、その先まで託していたことを受け取る。
だからアリエルの王への道は、個人的な欲望よりも「受け継ぐ」という色が強くなる。
うおお、ここで王女の見え方が変わる。
綺麗に笑う。
人前では余裕を見せる。
魔法大学では生徒会長として人をまとめる。
かなり堂々として見える。
でもその奥には、自分のために死んだ人間たちを忘れない重さが残っている。
アリエルは、王になれば全部報われると思っているわけではない。
死んだ人間が戻るわけでもない。
過去が消えるわけでもない。
それでも、その死を無意味にしないために自分が前へ出る。
ここが強い。
もしアリエルが王位を捨てれば、敵対勢力は喜ぶ。
彼女を支えた者たちの願いも途切れる。
命をかけた忠誠が、ただ王女を逃がしただけで終わる。
アリエルは、その結末を選ばない。
だから「王になる」という言葉は、本人一人の夢ではない。
デリック。
命を落とした従者たち。
彼女を守った騎士たち。
その人間たちの願いを抱えたまま進む。
アリエルが王位を目指すところには、いつも他人の死が重なっている。
ペルギウスの前で王として必要なものを問われた時も、その姿勢が出る。
力。
財力。
血筋。
人脈。
王になるために必要そうなものはいくつもある。
でもアリエルが選ぶのは、もっと自分の過去に近いものになる。
人の意志を継ぐこと。
うおお、この答えがアリエルらしい。
自分が一番優秀だから王になる、ではない。
自分だけが正しいから王になる、でもない。
自分へ託して死んだ人間の願いを、途中で切らない。
そのために王になる。
ここまで見ると、王位継承争いの見え方も変わる。
ただ第一王子派と第二王女派がぶつかる話ではない。
アリエルが何人もの死を背負いながら、自分の立場を取り戻していく話になる。
だから彼女の王への執着は、権力欲だけでは説明しきれない。
アリエルが王を目指すのは、王女だからではない。
王になれと言った人間がいる。
守って死んだ人間がいる。
自分へ未来を預けた人間がいる。
その意志を途中で捨てないために、アリエルは王位へ進んでいく。
シルフィとルークがそばにいるから、王への道が一人の戦いではなくなる
アリエルの王位への道には、ずっと隣にいる二人がいる。
シルフィ。
そしてルーク。
この二人は、ただの護衛として置かれているだけではない。
アリエルが最も危険な時期を一緒に越えてきた存在になる。
特にシルフィとの出会いは大きい。
フィットア領転移事件によって、シルフィは突然アスラ王国の王宮近くへ飛ばされる。
髪の色も変わる。
家族とも離れる。
ルーデウスとも離れる。
何も分からない状態で放り出された先にいたのがアリエルだった。
そこでシルフィは、偶然アリエルの危機へ関わる。
魔物が襲う。
王女の命が危ない。
その場でシルフィは魔術を使い、アリエルを守る。
そこから彼女はフィッツとして、アリエルの護衛へ入っていく。
ここがかなり大きい。
シルフィは最初から政治の世界へ入りたかったわけではない。
王位継承争いにも興味はない。
ただ生き延びた。
その中でアリエルを助けた。
そこから王女のそばに立つ人生が始まる。
一方のルークは、もっと早い段階からアリエルの側にいる。
王族に仕える騎士。
ノトス・グレイラット家の出身。
見た目も良く、女性好きなところも目立つ。
でもアリエルのそばでは、かなり重要な位置に立っている。
王女の身を守り、危険な局面でも離れない。
キツ…。
アリエル一人だけなら、王位継承争いの圧に押し潰されてもおかしくない。
身内が敵になる。
貴族の思惑が動く。
暗殺の危険がある。
宮廷の中でも安心できない。
そこにシルフィとルークがいる。
シルフィは魔術で守る。
ルークは騎士として守る。
でも二人の役割は、それだけではない。
アリエルが弱さを見せられる相手にもなる。
人前では王女。
生徒会では会長。
将来の王位候補。
でもずっとその顔だけでいられるわけではない。
怖い時もある。
迷う時もある。
逃げたい時もある。
それでもアリエルが前へ進めるのは、そばにいる二人が彼女を王女だけとして見ていないからでもある。
うおお、この三人の関係が強い。
主君と護衛。
それだけなら命令で動く。
でもアリエル、シルフィ、ルークは一緒に逃げる。
一緒に危険を越える。
一緒に国外へ出る。
そこまで積み重なると、単なる上下関係では足りなくなる。
特に国外逃亡は大きい。
王宮の中で守られている時とは違う。
敵の手から逃げる。
追われる。
安全な場所まで移動する。
その途中で誰が味方かも分からない。
命を預けるしかない時間が続く。
そこで残ったのが、この三人だった。
だからアリエルの王への道は、一人の王女が野心で進む話ではない。
シルフィとルークがその横に立つ。
二人がいることで、王位を目指す道そのものが「三人で生き延びてきた結果」に見えてくる。
第2期の魔法大学で見るアリエルは、かなり落ち着いている。
生徒会長として振る舞う。
シルフィをフィッツとしてそばに置く。
ルークも近くにいる。
ルーデウスへ接触する時も、状況を見ながら慎重に動く。
でもその落ち着きの前には、逃亡の日々がある。
そこを知ると、魔法大学の平穏さも違って見える。
王宮から逃げた三人が、やっと息をつける場所。
同時に、いつかアスラ王国へ戻るために力を蓄える場所。
アリエルにとって学校生活は、ただの青春ではない。
王へ戻るための途中になる。
第2章 アリエルはなぜ国外へ逃げた?アスラ王国の王位継承争い
第二王女であることが、ある時から命を狙われる立場へ変わった
アリエルはアスラ王国の第二王女。
王族として生まれ、普通なら宮殿の中で守られる立場に見える。
でも『無職転生』のアスラ王国では、王族であることが安全を意味しない。
むしろ王位へ近いほど、政争の中心へ引き込まれる。
王には後継者候補がいる。
王子がいる。
王女もいる。
その周囲には貴族が集まる。
誰を次の王にするかで、派閥ができる。
ここがかなり怖い。
王族同士だけが争うわけではない。
後ろには上級貴族がいる。
政治家がいる。
騎士がいる。
金も動く。
誰が次の王になるかで、自分の家の将来まで変わる人間が大量にいる。
だから王位継承争いは、簡単に終わらない。
アリエル本人が「争いたくない」と言っても、それだけでは抜けられない。
第二王女という存在そのものに利用価値がある。
支持者が集まれば、敵対派閥から見れば脅威になる。
本人にその気が薄くても、担ぎ上げられれば王位候補になる。
そして、敵から狙われる。
キツ…。
王女だから守られる。
普通ならそう考える。
でもここでは逆。
王女だから消したい。
王女だから生かしておけない。
その理屈が通る。
アリエルの周囲で人が死んでいくのも、この王位継承争いがあるから。
彼女を守る者が襲われる。
敵対勢力の手が伸びる。
宮廷の中にいても安心できない。
味方だった人間が、いつまで味方かも分からない。
そういう状況の中で、アリエルはアスラ王国に残り続けることが難しくなる。
そこで国外へ逃げる道が出てくる。
逃げると言っても、旅行ではない。
王女が正式に留学するだけでもない。
自分の命を守るため、支持者を残し、敵の目から離れる必要がある。
その移動自体が危険になる。
同行するのがシルフィとルーク。
ここで三人の距離がさらに近くなる。
王宮でなら、多くの護衛がいる。
使用人もいる。
騎士もいる。
でも逃亡中は、頼れる人数が限られる。
追撃を受ける可能性もある。
一つの判断ミスが命取りになる。
うおお、王女の立場が一気に変わる。
豪華な部屋。
宮廷の食事。
貴族に囲まれた生活。
そこから、追われる側へ回る。
アリエルが魔法大学にいる時だけを見ると、かなり余裕のある人物に見える。
人との会話もうまい。
笑顔も崩さない。
相手を見ながら言葉を選ぶ。
でも、その前に命を狙われて国外へ逃げた時間がある。
この経験が、アリエルをかなり強くしている。
王位は遠くなる。
国から離れる。
自分の支持基盤も弱くなる。
それでも死なずに残る。
ここで生き残ったこと自体が、後の再起につながる。
だから国外逃亡は敗北だけではない。
一度アスラ王国を離れる。
でも完全に王位を諦めたわけではない。
むしろ外から力を蓄える時間へ変わっていく。
ラノア魔法大学への逃亡が、アリエルにもう一度立ち上がる時間を与えた
アリエルたちが向かった先がラノア魔法大学。
ここではアスラ王国の宮廷から距離を取れる。
各国から学生が集まる。
魔術師もいる。
貴族の子弟もいる。
王宮とは違う人脈を作れる場所になる。
アリエルはそこで、ただ隠れて暮らすだけではない。
生徒会長になる。
人をまとめる。
学生たちから支持を集める。
各国の有力者とも接点を持つ。
少しずつ、自分の周囲へ人が集まる状態を作っていく。
ここがかなり強い。
国を追われた王女が、何も持たずに止まっていない。
別の場所で立場を作る。
人脈を増やす。
自分の存在感を高める。
アスラ王国へ戻る時に必要なものを、外で少しずつ手に入れていく。
もちろん、シルフィもそばにいる。
フィッツとしてアリエルの護衛を続ける。
男装し、白い髪を隠さず、サングラスをかける。
魔法大学では無口で謎の多い護衛として見られる。
でもアリエルにとっては、逃亡時代から命を預けてきた仲間になる。
ルークもいる。
女性へ声をかける軽い姿もある。
でもアリエルの護衛としては外れない。
王女の周囲を見る。
危険があれば動く。
シルフィとは違う形でアリエルを支える。
うおお、三人が一つの小さな陣営になっている。
アスラ王国では大きな派閥争いの中にいた。
でもラノア魔法大学では、まずこの三人から始まる。
王女。
魔術師。
騎士。
そこへ人脈が増えていく。
ルーデウスとの接触も、その中の大きな出来事になる。
シルフィにとってルーデウスは幼い頃から特別な存在。
アリエルも、その関係を見ている。
単に護衛を失いたくないから邪魔するのではなく、シルフィ自身の幸せも考える。
ここでアリエルとシルフィの関係が、主従だけではないことも見えてくる。
キツ…。
王位継承争いだけを考えるなら、優秀な護衛は手放したくない。
フィッツは強い。
無詠唱魔術も使える。
自分の命を守ってくれる。
政治的にも貴重な戦力になる。
それでもアリエルは、シルフィの人生まで自分の王位へ縛り付けるだけの人物にはならない。
この部分が、後の「王として何を受け継ぐか」にもつながる。
人を駒だけとして扱わない。
自分を支える人間にも人生がある。
その上で、自分についてきてくれる者を大切にする。
アリエルが人を集められるところには、こういう面もある。
だから魔法大学時代は、ただ安全な場所へ逃げ込んだ時間ではない。
王宮で失ったものを埋める。
新しい仲間と出会う。
シルフィやルークとの関係を深める。
そして、いつかアスラ王国へ帰るための覚悟を固めていく。
逃亡から再起へ。
アリエルは国外へ追われたことで王への道を失ったのではない。
一度遠ざかったからこそ、自分が何を背負って王位へ戻るのかを確かめる時間を得た。
その先で、再びアスラ王国へ向かう時が来る。
今度は逃げるためではない。
王位を取りに戻るために。
第3章 シルフィはなぜアリエルの護衛になった?転移事件から始まったフィッツの時間
王宮へ落ちたシルフィが、アリエルの命を救ったところから全部が始まる
シルフィとアリエルの関係は、最初から主従だったわけではない。
始まりは、フィットア領転移事件。
シルフィは突然、故郷から遠く離れたアスラ王国王都アルスへ飛ばされる。
しかも安全な場所ではない。
落ちた先は、アリエルがいた王城の白百合の庭園だった。
その時、アリエルは魔物に襲われていた。
現れたのはターミネートボア。
守護術師デリック・レッドバットが王女を守ろうとする。
でも強襲を止め切れず、デリックは命を落とす。
さらに魔物は、そのままアリエルへ迫る。
まさに護衛が一人倒れた直後だった。
そこへシルフィが飛んでくる。
うおお、出会い方が普通ではない。
自己紹介から始まるわけでもない。
王女と平民の少女が宮廷で偶然顔を合わせるわけでもない。
アリエルが死ぬ寸前。
その場へ落ちてきたシルフィが無詠唱魔術を放ち、魔物を倒してしまう。
シルフィ自身も、何が起きたのか分かっていない。
フィットア領にいたはず。
突然空へ放り出される。
気を失うほど魔力を使う。
目を覚ませば知らない場所。
鏡を見ると、自分の髪まで白く変わっている。
キツ…。
ルーデウスもいない。
家族もいない。
フィットア領がどうなったのかも分からない。
自分だけが見知らぬ王宮へ来ている。
まだ幼いシルフィには、かなり恐ろしい状況だった。
しかも目覚めたあと、すぐ安全になるわけではない。
突然現れた少女。
無詠唱魔術を使う。
ターミネートボアを一撃で倒す。
王宮の貴族たちから見れば、あまりにも正体不明。
本当に偶然来たのか、それとも誰かが送り込んだのか。
疑われるのも当然だった。
シルフィは尋問を受ける。
どこから来た。
誰の手の者だ。
誰に魔術を習った。
次々に質問される。
本人は正直に答えているのに、周囲は簡単には信じない。
中には、危険なら処分した方がいいという意見まで出る。
ここでアリエルが動く。
自分を救った恩人。
だから無礼な扱いは許さない。
アリエルは、正体不明のシルフィを守る側へ回る。
この一言がかなり大きい。
シルフィはアリエルの命を救った。
今度はアリエルが、宮廷の疑いからシルフィを守る。
まだ友人でもない。
まだ護衛でもない。
それでも最初から、助けた側と助けられた側が一方通行ではない。
さらにフィットア領消滅の報告が王都へ届く。
シルフィが言っていたことが、少しずつ現実とつながる。
転移事件が本当に起きた。
故郷そのものが消えた。
自分が帰りたくても、すぐ帰れる場所ではなくなった。
シルフィは完全に行き場を失う。
そこでアリエルが持ちかける。
自分の護衛にならないか。
ちょうど守護術師デリックが死んだ直後。
アリエルの守護騎士はルーク。
でも守護術師の席は空いている。
そこへ、目の前で魔物を倒したシルフィが入る。
うおお、ここでフィッツが生まれる。
ただし、シルフィ本人が「王女を守りたい」と最初から志願したわけではない。
王宮の政治も動く。
平民の少女をそのまま第二王女の守護術師にすることへ反発も出る。
出自が不明。
能力は高い。
しかも王女自身が気に入っている。
その結果、シルフィは身分や正体を隠す形で護衛になる。
名前はフィッツ。
白い髪。
少年のような服装。
無口な守護術師。
後に魔法大学でルーデウスと再会する時の、あのフィッツの姿につながっていく。
ここがかなり面白い。
第2期で最初にフィッツを見ると、謎の白髪の護衛に見える。
でもその裏には、転移直後の混乱。
デリックの死。
アリエル救出。
王宮での尋問。
そして居場所を失ったシルフィの時間が全部入っている。
フィッツは変装だけではない。
転移事件のあと、生きる場所を失ったシルフィが手に入れた新しい立場でもある。
護衛から友人へ変わり、シルフィはアリエルと一緒に国外へ逃げる
護衛になったあと、シルフィはアリエルのすぐそばで暮らすようになる。
最初は守護術師。
仕事として王女を守る。
でも時間が経つにつれて、それだけではなくなる。
アリエルはシルフィを身分の低い部下として距離を置かなかった。
かなり早い段階から、友人に近い相手として扱っている。
シルフィも少しずつ心を開く。
知らない王都。
知らない貴族社会。
自分の故郷は消えた。
そんな状況でアリエルとルークが身近な存在になる。
だから三人の関係は、王女と護衛という形から始まりながら、危険を一緒に越える仲間へ変わっていく。
でも宮廷の危険は消えない。
アリエルは王位継承争いの中心にいる。
敵対勢力は、アリエル本人だけを見ているわけではない。
護衛。
支持者。
側近。
彼女を支える人間すべてが狙われる可能性がある。
キツ…。
シルフィが強くても、全部を守れるわけではない。
王宮の敵は魔物だけではない。
暗殺。
政治。
裏切り。
貴族同士の駆け引き。
魔術だけでは防げない危険が増えていく。
そしてアリエルは、アスラ王国を離れることになる。
シルフィも同行する。
ルークも同行する。
ここで三人は、宮廷という大きな後ろ盾から離れる。
逃亡する側になる。
王都にいた頃なら、まだアリエルは第二王女として守られている。
でも国外へ逃げる道では違う。
誰に襲われるか分からない。
いつ敵が来るか分からない。
王女の肩書きだけでは命を守れない。
ここでシルフィの存在がさらに重くなる。
魔術を使える。
無詠唱で素早く対応できる。
治癒魔術も使える。
護衛としてかなり頼れる。
でもアリエルにとっては、それ以上に「一緒に逃げた人間」になる。
うおお、ここから主従だけでは説明しにくくなる。
危険な道を一緒に越える。
命を預ける。
国外まで逃げる。
その先でラノア魔法大学へ入る。
王宮から遠く離れた土地で、三人だけの時間が続いていく。
第2期で魔法大学にいるアリエルを見ると、余裕のある生徒会長に見える。
フィッツを横に置く。
ルークもいる。
学生たちをまとめる。
ルーデウスと話す時も、王族らしい落ち着きを崩さない。
でも三人は、そこへ遊びに来たわけではない。
一度国を追われている。
命を狙われている。
帰れば再び王位継承争いへ入る。
その事情を抱えたまま、魔法大学で生活している。
だからシルフィがフィッツとしてアリエルの隣に立つ姿には、かなり長い時間が入っている。
そしてルーデウスとの再会が起きる。
シルフィにとって、ルーデウスはずっと忘れられなかった相手。
でも同時に、アリエルも長く自分を支えてくれた人物。
ここでシルフィは、昔から好きだった人と、今まで一緒に生きてきた人の間に立つことになる。
ここでもアリエルの接し方が大きい。
優秀な護衛だから手元に残したい。
政治だけを考えれば、それもできる。
フィッツは強い。
王位を狙うアリエルにとって貴重な戦力になる。
でもアリエルは、シルフィの恋を完全には邪魔しない。
むしろルーデウスとの関係を進める側へ回る。
シルフィ本人が幸せになれる道を考える。
ここで「王女と護衛」だけではない関係がはっきり出てくる。
シルフィも、結婚したからアリエルとの関係を捨てるわけではない。
ルーデウスの妻になる。
家庭を持つ。
子供も生まれる。
それでもアリエルが王位を取りに戻る時には、再びそばに立つ。
ここが強い。
アリエルに命令されたからついていく、だけではない。
最初は行き場がなくてフィッツになった。
でも長く一緒に過ごした結果、自分の意志でアリエルを支える関係へ変わっている。
転移事件で偶然出会った二人。
片方は故郷を失った少女。
片方は王位継承争いの中にいた王女。
その二人が出会い、命を救い合い、最後には王位を取りに行くところまで一緒に進む。
だからアリエルとシルフィの関係は、単なる護衛契約では終わらない。
第4章 ルークはなぜ最後までアリエルについていく?家族より主君を選ぶ騎士の覚悟
女好きに見えるルークも、アリエルのそばではずっと守護騎士だった
ルーク・ノトス・グレイラットは、第一印象だけなら軽い人物に見えやすい。
女性が好き。
美人を見れば反応する。
言葉もどこか軽い。
ルーデウスと会った時も、女性を見る目の強さが目につく。
でもアリエルの隣に立っている時のルークは、それだけではない。
役割は守護騎士。
アリエルのすぐ近くに立つ。
何か起きれば、まず身体を入れられる位置にいる。
旅に出ても同じ。
王女が馬に乗れば近くを守る。
危険があれば、すぐ庇える場所へ移る。
ここがかなり大きい。
シルフィは魔術で守る。
ルークは剣と身体で守る。
役割は違う。
でも二人とも、アリエルが死なないために置かれている。
しかもルークは、シルフィが来る前から王女のそばにいる。
白百合の庭園でターミネートボアが現れた時も、その場にいる。
同僚だった守護術師デリックが倒れる。
アリエルが危険にさらされる。
自分も死ぬ可能性が高い。
そこへシルフィが現れ、魔物を倒す。
ルークにとっても、シルフィは命の恩人になる。
だから当初は得体の知れない平民の少女であっても、完全には敵視しない。
自分とアリエルを救った。
デリックの仇も討った。
その事実を見ている。
うおお、ここから三人がつながる。
アリエル。
ルーク。
そして新しくフィッツになったシルフィ。
宮廷では貴族たちの思惑が動く。
でも三人には、同じ魔物を前にして生き残った記憶がある。
そこが政治だけでは作れない結び付きになる。
その後、王位継承争いが激しくなる。
アリエルは国外へ逃げる。
ルークもついていく。
自分の家であるノトス・グレイラット家を離れる。
アスラ王国を離れる。
王女と一緒に、いつ戻れるか分からない生活へ入る。
キツ…。
貴族の息子として考えれば、かなり大きな選択。
家に残れば安全だった可能性もある。
父のそばにいれば、別の道も選べた。
でもルークはアリエル側に残る。
ラノア魔法大学へ行ってからも変わらない。
生徒会長になったアリエルのそばにいる。
フィッツと一緒に護衛する。
王女が人脈を作れば、その近くで支える。
国外にいる間も、アリエル陣営の中核から外れない。
だからルークの「女好き」という部分だけを見ると、人物像をかなり見誤る。
女性には軽い。
でも主君には重い。
ここがルークの面白いところになる。
アリエルとの関係も、単純な恋愛ではない。
ずっと側にいる。
命も守る。
危険な帰国にもついていく。
でも中心にあるのは、王女へ仕える騎士としての立場。
その覚悟が一番強く出るのが、アスラ王国へ戻る時になる。
父ピレモンが敵側へ回っても、最後に「あなたの騎士です」と答える
アリエルが王位を取りにアスラ王国へ戻ると、ルークにはかなり厳しい場面が待っている。
敵は遠い他人だけではない。
ルークの父。
ピレモン・ノトス・グレイラット。
自分の家族が、アリエルと同じ側に立ち続けるとは限らない。
王位継承争いでは、家の存続もある。
誰が次の王になるかで、ノトス家の立場も大きく変わる。
そこへ政治と家族の両方が絡む。
ここでルークが揺れる。
父が敵へ回ったと知る。
簡単には信じられない。
表情も崩れる。
それまでアリエルの隣で余裕を見せていた男が、露骨に動揺する。
キツ…。
これは剣で戦えば終わる問題ではない。
自分を育てた家。
父親。
血縁。
それと、長く仕えてきた主君。
どちらへ立つのかを迫られる。
さらにルークは、ルーデウスにも疑いを向ける。
襲撃への対応が早すぎる。
敵の動きを知っているように見える。
父の話もある。
不安が積み重なり、ルーデウスの提案へ反対する。
アリエル一行の空気が張る。
ルークは戻るべきだと主張する。
ペルギウスへ再び助力を求めた方がいい。
危険なまま進むのはおかしい。
王女を守る騎士として見れば、かなり自然な意見でもある。
でもアリエルは進む方を選ぶ。
ここで二人の間に、かなり鋭い場面が来る。
アリエルはルークへ問いかける。
自分は何者なのか。
その問いを受けたルークは、シルフィたちを見る。
そしてアリエルを見る。
目を逸らさず、膝をつく。
「あなたの騎士です」
この返答で、揺れていたルークが戻ってくる。
うおお、ここがルークの核心。
ノトス家の息子である前に。
父ピレモンの息子である前に。
今この場所で自分は何なのか。
その答えとして、アリエルの騎士を選ぶ。
アリエルも返す。
自分はあなたの王女。
それだけで二人の関係が戻る。
長い説明はいらない。
命令で縛る必要もない。
国外逃亡から魔法大学まで一緒に過ごしてきた時間がある。
だから「騎士」と「王女」という確認だけで足りる。
ここがかなり強い。
ルークは一度も迷わない完璧な忠臣ではない。
家族が絡めば揺れる。
疑う。
怖くなる。
判断も乱れる。
そこがむしろ人間らしい。
それでも最後に戻る場所がアリエルの隣になる。
さらに王位争いが進めば、ルークにはもっと厳しい選択が続く。
父の立場。
ノトス家。
アリエルの未来。
自分がどこで生きるか。
全部が一本につながってくる。
でも、王女を守る騎士としての軸は切れない。
うおお、だからシルフィとはまた違う。
シルフィは転移事件で偶然アリエルと出会った。
助けられ、助け、友人になった。
そこから自分の意志で残っていく。
ルークは最初から騎士としてそばにいた。
でも長い年月の中で、その忠誠を何度も試される。
家族とぶつかっても、最後には自分が誰の騎士なのかを選び直す。
この二人がいるから、アリエルの王位への道も重くなる。
シルフィは魔術で守る。
ルークは剣で守る。
でも本当に支えているのは、それだけではない。
王女が国を追われてもついていく。
ラノア魔法大学まで一緒に行く。
帰国する時も同行する。
命を狙われても離れない。
だからアリエル・シルフィ・ルークの三人は、王位継承争いのためだけに集まった陣営ではない。
一緒に生き延びてきた三人。
その時間があるから、アリエルが王を目指す時も、シルフィとルークが左右に立つ姿に重さが出てくる。
第5章 ラノア魔法大学でアリエルは何をしていた?逃亡先で築いた力が帰国へつながる
生徒会長として過ごした時間が、王女ではないアリエル自身の力を増やした
ラノア魔法大学にいるアリエルは、ただアスラ王国から逃げてきた王女ではない。
生徒会長として学校の中心へ立つ。
シルフィをフィッツとしてそばに置く。
ルークも側近として動く。
王宮から遠く離れた場所でも、自然に人の中心へ入っている。
ここがかなり大きい。
アスラ王国にいた頃なら、アリエルの周囲に人が集まるのは第二王女という身分も大きい。
でも魔法大学には、各国の王族や貴族の子弟、魔術師、研究者まで集まっている。
全員がアスラ王国の王女へ無条件で従うわけではない。
そこで人をまとめるには、アリエル自身の振る舞いが必要になる。
話す。
相手を見る。
相手が欲しいものを読む。
必要なら笑顔を見せる。
時には一歩引く。
誰かを強引に従わせるのではなく、人が自分の周囲へ残る形を作っていく。
うおお、逃亡先で王としての力が増えている。
国を追われた直後のアリエルが持っていたものは多くない。
王女という血筋。
ルーク。
シルフィ。
そして国外まで一緒に逃げた限られた側近たち。
そこから魔法大学で数年間を過ごし、少しずつ人とのつながりを増やしていく。
その一つがルーデウスとの関係。
ルーデウスは魔法大学へ入った時点で、かなり異質な学生だった。
無詠唱魔術を使う。
魔力量も桁外れ。
決闘でも強い。
さらにザノバやクリフ、リニア、プルセナといった人物たちとも関係を広げていく。
アリエルが、そんなルーデウスを見落とすはずがない。
でも、いきなり政治の駒として取り込もうとはしない。
そこにはシルフィがいる。
フィッツとして長く自分を守ってきたシルフィが、ルーデウスをずっと想っていることをアリエルは知っている。
だから二人の関係をどう動かすかにも気を配る。
ここが強い。
王位だけを考えるなら、シルフィをずっと護衛として囲っておく方が楽。
無詠唱魔術が使える。
実戦経験もある。
国外逃亡まで一緒に越えてきた。
アリエルにとって、かなり貴重な戦力になる。
でもアリエルは、シルフィの人生まで王位のために固定しない。
ルーデウスと再会しても、自分が誰なのか言い出せないシルフィ。
フィッツとして接する。
近くにいるのに名前を呼べない。
ルーデウスが自分へ気づいてくれない。
その姿を見ながら、アリエルはただ黙って護衛として働かせ続ける方を選ばない。
キツ…。
シルフィがルーデウスと結ばれれば、自分のすぐそばから離れる可能性もある。
結婚すれば家庭を優先する場面も増える。
王位争いだけを考えれば不利になる。
それでもアリエルは、シルフィが望んでいるものを無視しない。
だからシルフィとの関係も残る。
ルーデウスと結ばれる。
妻になる。
家を持つ。
子供も生まれる。
それでもアリエルが再びアスラ王国へ向かう時には、シルフィはその道へ関わっていく。
これは命令だけでは作れない。
アリエルがシルフィの人生を尊重した。
シルフィもアリエルの王への道を大切にする。
お互いに相手の人生を奪わないから、関係が切れない。
うおお、ここが王女としてかなり強い。
人を使うだけではない。
人を残す。
それも力になる。
ラノア魔法大学でアリエルが作ったものは、兵士の数ではない。
巨大な軍隊でもない。
でも人とのつながりが増えていく。
それが帰国する時、大きな形で見える。
アリエルがアスラ王国へ出発する日。
表向きは、お忍びでの帰国。
派手に送り出される予定ではない。
旅支度そのものも、第二王女の出立とは思えないほど質素なものになる。
ところが魔法都市シャリーアの入口へ行くと、話が違う。
魔法大学の教頭。
生徒会の役員。
魔術ギルドの本部長。
魔導具工房の長。
さらに各組織の代表や、魔法三大国の王族・貴族に関わる人間まで集まってくる。
うおお、これが数年間の結果。
追われてきた王女が、帰る時には大勢から見送られる。
しかもアスラ王国の家臣だけではない。
国外で出会った人間が集まっている。
アリエルがシャリーアでどれだけ人と関係を作ったのかが、一場面で見えてくる。
「お忍び」と言いながら、全然静かな出発にならない。
それだけ人が来る。
国を出た時とは真逆。
あの時は追われた。
敵から離れるために逃げた。
今度は人に見送られながら、自分から危険な国へ戻っていく。
この差がかなり大きい。
ラノア魔法大学は、アリエルが王位継承争いから逃げ込んだ場所。
でもそこで止まらなかった。
生徒会長になる。
人脈を作る。
シルフィとの関係を守る。
ルークと一緒に動く。
ルーデウスとの縁もできる。
そして最後には、その全部を持って帰る。
帰国の旅支度を見ると、アリエルが「守られる王女」から決断する側へ変わったと分かる
アスラ王国へ戻ると決めたあとのアリエルは、かなり具体的に動く。
ルークにはエルモアとクリーネへ連絡させる。
旅の準備を始めさせる。
シルフィとはラノア王国の関係者への挨拶回りへ向かう。
それぞれが別れを済ませる時間まで作る。
ここではもう、突然追われて逃げる王女ではない。
いつ出る。
誰を連れていく。
何を準備する。
どこへ挨拶する。
帰国後に何が起きるか。
自分の意思で一つずつ決めていく。
ここがかなり強い。
昔の国外逃亡では、選択肢が少なかった。
残れば殺されるかもしれない。
だから出る。
生き延びるために離れる。
でも今度は違う。
危険だと分かった上で、自分から戻る。
しかもアスラ王国では、国王の病状も動いている。
時間をかけすぎれば、次の王が決まる。
アリエルが国外で迷っている間に王位継承が終われば、勝負へ参加することすら難しくなる。
だから安全だけを優先して待つこともできない。
キツ…。
帰れば命を狙われる。
帰らなければ王位を失う。
待てば状況は悪くなる。
急げば敵の準備が整った場所へ飛び込むことになる。
その中でアリエルは帰国を選ぶ。
旅の人数も多くない。
アリエル。
ルーク。
シルフィ。
エルモア。
クリーネ。
さらにルーデウスたちが加わる。
巨大な軍を率いて凱旋するわけではない。
馬車と馬。
少人数。
かなり質素な移動になる。
うおお、それでも背後にあるものは昔と違う。
ペルギウスとの関係がある。
ルーデウスがいる。
シルフィがいる。
ルークがいる。
魔法都市シャリーアで築いた人脈もある。
表面の人数以上に、多くのつながりを持って帰る。
だからアリエルの強さは、剣を振る強さとは違う。
一人で敵を倒すわけではない。
巨大な魔術を使うわけでもない。
でも人を集める。
人に信じてもらう。
そして必要な時、その人たちが力を貸す。
王位を狙う人物として、ここがかなり重要になる。
アスラ王国は巨大。
一人の王だけでは動かない。
上級貴族。
騎士。
官僚。
地方の有力者。
さまざまな人間が国を支えている。
そこへ戻る以上、アリエルにも人を動かす力が必要になる。
だから魔法大学で生徒会長をしていた時間は、学園の中だけの話ではない。
国外で人と関わる。
立場の違う相手と話す。
自分へ協力してくれる人を増やす。
その積み重ねが、王位を取りに戻る時の力になっている。
でも、まだ足りない。
アスラ王国の政争をひっくり返すには、もっと大きな後ろ盾がいる。
そこでアリエルが正面から助力を求める相手が、甲龍王ペルギウスになる。
第6章 ペルギウスはなぜアリエルへ力を貸した?王として何を背負うのかを問われる
空中城塞の謁見で、アリエルは「国王になるため力を貸してほしい」と言い切る
アリエルが王位を取りに戻る前、大きな壁として立つのがペルギウス。
甲龍王ペルギウス・ドーラ。
空中城塞ケィオスブレイカーの主。
十二人の使い魔を従える。
かつての英雄でもあり、アスラ王国とも深い縁を持つ。
彼がどちらにつくかは、王位継承争いでも無視できない。
アリエルは、そのペルギウスとの謁見を求める。
服装を整える。
シルフィもルークも、第二王女の護衛にふさわしい格好へ変える。
そして謁見の間へ向かう。
ここから空気がかなり重い。
最奥にはペルギウス。
その周囲には十二の精霊。
アリエルが歩く。
シルフィとルークが膝をつく。
普段の魔法大学で見る生徒会長ではなく、アスラ王国第二王女として前へ出る。
うおお、ここで逃亡中の王女から完全に顔が変わる。
ペルギウスに何の用かと聞かれる。
アリエルは濁さない。
自分がアスラ王国国王になるため、力を貸してほしい。
真正面から言う。
これはかなり大きい。
昔なら、自分が王になるという話自体が遠かった。
国外へ逃げた。
王宮から離れた。
でも今は、大物を目の前にして、自分から「国王になる」と口にする。
ペルギウスはすぐ承諾しない。
逆に質問する。
王として最も重要なものは何か。
ここで問われているのは、血筋ではない。
軍事力でもない。
アリエルが本当に王になる人間なのか。
何を考えて王位を欲しているのか。
そこを試される。
キツ…。
間違えれば終わるかもしれない。
ペルギウスの力が得られない。
王位への道が一気に苦しくなる。
アリエルの後ろにはシルフィもルークもいる。
自分一人の面接ではない。
その場でアリエルが出した答え。
「意思を継ぐ」こと。
この言葉だけを見ると短い。
でもアリエルの過去を知ると、かなり重い。
アリエルの王への道は、人の死から始まっている。
デリック。
彼女を守って死んだ従者たち。
国外へ出るまでに失った人間。
自分が生きている代わりに、途中で倒れた者たち。
彼らはただ死んだのではない。
アリエルへ何かを託した。
この国をどうしてほしいのか。
どんな王になってほしいのか。
どんな未来を望んでいたのか。
その願いを切らずに続ける。
それがアリエルの答えになる。
うおお、第1章の話がここで戻ってくる。
王になりたいから頑張っている。
それだけではない。
死んだ人間の意思を持って、王位へ向かっている。
だからペルギウスへの答えも、自分一人の才能を誇るものにはならない。
でもペルギウスは、簡単に褒めない。
むしろ突いてくる。
他人の意思で王になるのか。
それで真の王と言えるのか。
かなり厳しい。
アリエルの答えを、弱さとして突く。
自分自身の強烈な野望ではなく、他人に左右された志なら王として足りないのではないか。
そういう形で揺さぶってくる。
ここでアリエルは引かない。
自分の志が他人に左右されたものであることを認める。
世間が想像するような真の王ではないかもしれない。
それでも、自分へ意思を託した者たちにとっての王であればいい。
ここがかなり強い。
「自分は完璧な王になる」と言わない。
「自分こそ正しい」とも言わない。
自分へ託した人間へ報いる。
その人たちが望んだ先へ進む。
アリエルは、自分の王としての形をそこで言い切る。
ペルギウスに拒まれる可能性があっても、自分の王道を曲げなかった
ペルギウスは、さらにアリエルを試す。
そんな答えで、本当に自分が力を貸すと思っているのか。
普通なら怖い。
ここまで来た。
ペルギウスの後ろ盾が欲しい。
彼がアリエル側につけば、アスラ王国の貴族たちへ与える影響も大きい。
何としても機嫌を取っておきたい相手になる。
でもアリエルは、そこで答えを変えない。
これが本当の自分の気持ち。
それを拒絶されるなら、ペルギウスの力は必要ない。
うおお、ここが一番強い。
力を借りに来たのに、必要ないと言う。
王位を取るためには欲しい。
でも、そのために自分が王になる根っこの部分まで曲げるつもりはない。
シルフィも驚く。
ルークも驚く。
その場にいる者たちの空気も変わる。
ペルギウス自身も目を見開く。
キツ…。
もし本当に怒らせたら終わる。
協力は得られない。
最悪、関係そのものが悪くなる。
アリエルにとってかなり危険な発言になる。
それでも言う。
自分の理想とペルギウスの理想があまりにも違うなら、その力は逆に足かせになる。
王になるためだけに、自分が目指すものまで捨てる気はない。
ここでアリエルが、単なる政治上手な王女ではないと分かる。
人に合わせるのは得意。
笑顔も使う。
相手を読む。
でも、全部を相手へ合わせるわけではない。
絶対に曲げないところがある。
それが、自分へ託された意思を継ぐこと。
うおお、だからペルギウスも動く。
最終的に、ペルギウスはアリエルへ力を貸す側へ回る。
問答の中で、アリエルが何を背負って王を目指しているのかを見る。
ただ王座を欲しがっている王女ではない。
自分の言葉を持っている。
そのためなら大物の力さえ手放す覚悟がある。
そこまで見せた結果、ペルギウスがアリエル側につく。
これは王位継承争いでかなり大きい。
ペルギウスはただ強いだけではない。
名前そのものに重みがある。
アスラ王国の歴史にも関わる。
そんな人物がアリエルを支持する。
それだけで、国内の有力者がアリエルを見る目も変わる。
でもアリエルが手に入れたのは、単なる有力者の名前ではない。
自分が何のために王になるのかを、もう一度言葉にした。
デリックたちの死。
亡くなった従者たち。
国外逃亡。
魔法大学で積み重ねた時間。
シルフィとルーク。
その全部を背負った答えが、「意思を継ぐ」になる。
ここがかなり重い。
もし王位だけが欲しかったなら、ペルギウスが望む答えを探せばいい。
相手が喜ぶ言葉を言う。
力を借りる。
目的を達成する。
政治だけなら、その方が効率的かもしれない。
でもアリエルはしない。
自分が王になったあと、何のために国を動かすのか。
そこが空っぽなら、王位を取ること自体に意味がなくなる。
だから一番重要な場面で、自分の本心を選ぶ。
そして協力を得たあと、いよいよアスラ王国への帰国が現実になる。
シャリーアを出る。
ペルギウスの力も加わる。
シルフィとルークがそばにいる。
ルーデウスたちも動く。
昔は命を守るために逃げた道。
今度は逆。
王位継承争いへ決着をつけるため、自分からアスラ王国へ戻っていく。
第7章 アリエルは王になれる?王位継承争いの決着と三人がたどり着く場所
アスラ王国へ戻ったアリエルは、逃げる王女ではなく王位を取りに来た人物になる
アリエルがアスラ王国へ戻る時、立場は昔とはまるで違う。
以前は命を狙われ、国外へ逃げるしかなかった。
でも今度は違う。
自分の意思で戻る。
そして、王位継承争いへ決着をつけるために王都へ向かう。
ここがかなり強い。
アリエルが帰国すれば、第一王子派も黙ってはいない。
王位を巡る争いは、誰が王族として正しいかだけでは決まらない。
どの上級貴族が味方するのか。
誰が宮廷を押さえているのか。
そして、どれだけ多くの有力者を動かせるのか。
そこまで全部が勝負になる。
特に大きいのが、上級大臣ダリウス・シルバ・ガニウス。
ダリウスは、ただの一貴族ではない。
王宮内部へ強い影響力を持ち、第一王子派を支える中心人物の一人。
アリエルが王位へ近づくには、この男を無視できない。
ペルギウスの協力だけで、全部が終わるわけでもない。
キツ…。
国外から戻っただけでは勝てない。
王女であるだけでも足りない。
ペルギウスに認められただけでも足りない。
アリエルは、王都へ戻ったあとに本当の政治戦へ入っていく。
しかも王位継承争いは、正面から剣を交える戦争だけではない。
証拠。
証言。
貴族の寝返り。
王宮の空気。
誰が誰の側につくのか。
一つの失脚が、派閥全体を崩すこともある。
ここでアリエルが国外で積み上げたものが効いてくる。
シルフィ。
ルーク。
ルーデウス。
ペルギウス。
魔法都市シャリーアで作った人脈。
一人で国へ戻ってきた王女ではない。
うおお、逃げた頃とは完全に違う。
昔のアリエルは、守ってくれる人間が死ぬたびに追い詰められていった。
王宮から離れるしかなかった。
でも帰国時には、自分の周囲に新しい人間がいる。
しかも、それぞれがただ命令で動いているわけではない。
シルフィは、自分の家庭を持ったあともアリエルを見捨てない。
ルークは家族との板挟みになっても、最後にはアリエルの騎士として立つ。
ルーデウスも、王位争いへ直接関係する中でアリエルを助ける。
そしてペルギウスという巨大な名前まで背後につく。
この状態になると、第一王子派も無視できない。
アリエルがただの亡命王女なら、戻ってきても押し返せる。
でもペルギウスまで動く。
ルーデウスもいる。
周囲の有力者もアリエル側へ目を向ける。
すると王宮の中でも、「本当に次の王になるかもしれない」という空気が生まれる。
ここが王位継承争いでかなり重要。
王になる人物は、最後に一人で勝つわけではない。
周囲がその人物を王として見始める。
その瞬間から空気が変わる。
昨日まで中立だった貴族も、次の王へ近づこうとする。
それまで第一王子側にいた者も、自分の立場を考え直す。
アリエルは、その流れを作っていく。
ダリウスの立場が崩れる。
第一王子派の力も揺れる。
ペルギウスがアリエル側に立つ。
上級貴族たちの前で、誰が次の王にふさわしいのかが目に見える形へ変わっていく。
うおお、ここで国外逃亡からの逆転が見えてくる。
追われて国を出た第二王女。
それが今度は、貴族たちから次代の王として見られる。
ただ生き残っただけではない。
逃亡していた時間まで、自分の力へ変えて戻ってきた。
でも、アリエルにとって王位を取ることだけが終着点ではない。
第1章から続いてきたものが、ここで戻る。
デリックの死。
十三人の従者たち。
国外へ逃げるまでに失った人間。
自分へ何かを託して倒れた者たち。
アリエルが王になるなら、その人たちの死を背負ったまま王になる。
だから勝った瞬間に、全部が軽くなるわけではない。
むしろ逆。
今度は国全体を背負う。
ここから本当に「王として生きる時間」が始まる。
王になったあとも、シルフィとルークとの関係は王女時代のまま切れない
アリエルが王位へ近づく中で、シルフィとルークの関係も変わっていく。
昔なら二人とも護衛。
アリエルを守る。
命令を聞く。
危険があれば前へ出る。
主従として見るなら、それだけでも十分だった。
でも長い時間を一緒に越えたことで、そこから先へ進んでいる。
シルフィはまず、自分の人生を持つ。
ルーデウスと結婚する。
家庭へ入る。
子供も生まれる。
フィッツとしてアリエルのそばだけにいる生活から離れる。
それでも、アリエルとの縁は消えない。
ここがかなり大きい。
もし二人の関係が完全な主従だけなら、護衛を辞めた時点で終わってもおかしくない。
でもそうならない。
アリエルが危険な王位争いへ戻る時、シルフィはまた関わる。
自分の家庭がありながら、それでも昔の友人を見捨てない。
うおお、ここまで来ると友人の色がかなり強い。
シルフィがアリエルを助けたのは、転移直後。
何も知らないまま魔物を倒した。
そこから護衛になる。
国外へ逃げる。
魔法大学で一緒に過ごす。
そして最後には、王へ向かうアリエルまで支える。
人生のかなり長い部分を一緒に越えている。
一方、ルークは別の形で残る。
ルークにはノトス・グレイラット家がある。
父ピレモンがいる。
血縁もある。
アリエルだけを見て生きている人物ではない。
だから王位争いでは、その家族が最大の迷いになる。
キツ…。
主君か。
父親か。
騎士としての立場か。
家の人間としての立場か。
どちらを選んでも、何かを失う。
ルークはそこで揺れる。
一時はルーデウスを疑う。
アリエルの進路にも異を唱える。
危険なら戻った方がいいと主張する。
完璧な忠臣のように、何も迷わず従うわけではない。
でも最後に選び直す。
自分は誰なのか。
アリエルから問われた時、ルークは膝をつく。
そして、自分はアリエルの騎士だと答える。
アリエルも、自分はルークの王女だと返す。
ここがかなり熱い。
王位継承争いの途中なのに、二人の間で必要なのは長い演説ではない。
「騎士」と「王女」。
それだけで関係が戻る。
長い時間があるから通じる。
王宮。
国外逃亡。
ラノア魔法大学。
帰国。
その全部を越えてきた二人だから、最後に立つ場所を確認するだけでいい。
うおお、シルフィとルークは似ているようで違う。
シルフィは友人としてアリエルを支える色が強くなる。
ルークは最後まで騎士として立つ。
でも二人とも、アリエルの王位そのものだけを見ているわけではない。
アリエルという人間についてきている。
ここがアリエルの強さにもつながる。
王女だから従わせた。
命令したから残った。
それだけなら、国外へ追われた時に人は離れてもおかしくない。
でもシルフィもルークも残った。
なぜ残ったのか。
一緒に生き延びたから。
助けられたから。
信頼したから。
弱いところも見たから。
それでも、この人を王にしたいと思ったから。
そこまで関係が積み上がっている。
だからアリエルが王になる結末は、彼女一人の成功ではない。
死んだ者たちの願い。
生き残った者たちの支え。
シルフィ。
ルーク。
ペルギウス。
ルーデウス。
さまざまな人間の力が重なっている。
そしてアリエル自身も、それを分かっている。
ペルギウスへ語った「意思を継ぐ」という言葉。
あれは王になる前だけの答えではない。
王になったあとも、自分が何を背負っているのかを示す言葉になる。
キツ…。
王位を取れば、死んだ人が帰ってくるわけではない。
国外逃亡の恐怖が消えるわけでもない。
失った時間も戻らない。
それでも、その人たちが望んだ先へ進むことはできる。
だからアリエルの王位継承争いは、単なる権力争いで終わらない。
最初は追われる王女。
次に逃亡者。
魔法大学では生徒会長。
ペルギウスの前では、王になる覚悟を問われる人物。
そして最後には、アスラ王国の未来を背負う側へ進んでいく。
そのすぐそばには、ずっとシルフィとルークがいる。
うおお、ここまで来ると三人の始まりが遠い。
魔物に襲われていた王女。
空から落ちてきたシルフィ。
剣を持って王女を守っていたルーク。
あの三人が国外まで逃げる。
魔法大学で過ごす。
それぞれの人生が動く。
それでも最後には、王位を目指す道で再び並ぶ。
アリエルが王を目指したのは、自分一人が頂点へ立ちたかったからではない。
自分へ未来を託した人がいた。
今も隣で支える人がいる。
その両方を背負って、途中で終わらせないために王位へ進んだ。
だからアリエルの物語を最後まで追うと、王冠そのものよりも強く残るものがある。
誰のために王になるのか。
誰と一緒にそこまで来たのか。
その答えが、シルフィとルークを含めたアリエルの歩みそのものになっている。


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