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【アニメBLACK TORCH】羅睺その後はどうなる?妖気を全て弐郎へ託した後の正体と再び同化するまで

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羅睺は第9話で妖気の全てを弐郎へ託しても、死亡したわけでも、存在そのものが消えたわけでもない。
力を失った羅睺そのものは天鬼側に奪われ、弐郎の中には「黒き凶星」と呼ばれた圧倒的な妖力だけが残るため、二人はいったん“本体と力”に分かれた状態になる。

  1. 第1章 羅睺その後はどうなる?妖気を失っても消滅はしない
    1. 羅睺は妖気を弐郎へ残し、自分自身は天鬼に奪われた
    2. 「羅睺の本体」と「羅睺の力」が初めて完全に分かれた
  2. 第2章 羅睺はなぜ全ての妖気を弐郎へ託したのか
    1. 天鬼への服従を受け入れたように見せた羅睺の最後の反逆
    2. 第1話で命を救われた弐郎へ、今度は羅睺が全部を返した
  3. 第3章 羅睺の妖気だけを受け継いだ弐郎はどうなった?
    1. 圧倒的な妖力に振り回され、自我を失って暴走する
    2. 羅睺がいないことで「力だけ持つ危険」が一気に表へ出る
  4. 第4章 羅睺は「力」ではなく弐郎を支えていた存在だった
    1. これまでの融合時は羅睺が妖力の暴走を抑える側でもあった
    2. 咬牙たちとの戦いでも羅睺だけではなく弐郎の判断が必要だった
  5. 第5章 羅睺の妖気を弐郎は自分の力として扱えるようになる?
    1. 寿正と無明の森へ向かい、妖力を制御する修行へ入る
    2. 圧倒的な力を使える時間は最初から長くない
  6. 第6章 羅睺その後の最大の転機は弐郎との「再同化」
    1. 弐郎は力を手に入れても羅睺本人を救うため天鬼へ向かう
    2. 最後は再び一つになり、天鬼との決着へ進む
  7. 第7章 羅睺の正体は「最強の力」から弐郎の相棒へ変わっていく
    1. 黒き凶星として恐れられた物ノ怪が、一人の人間を信じるまで
    2. 力を全部渡しても弐郎が羅睺自身を取り戻そうとした

第1章 羅睺その後はどうなる?妖気を失っても消滅はしない

羅睺は妖気を弐郎へ残し、自分自身は天鬼に奪われた

第9話「ONE」で最初に押さえたいのは、羅睺が妖気を全て弐郎へ渡しても、そのまま消滅したわけではないこと。
弐郎の中には、羅睺が持っていた圧倒的な妖気が残る。
一方で羅睺自身は、天鬼側へ奪われた状態になる。
つまり第9話で起きたのは、羅睺の死ではない。
今まで一体化していた「羅睺自身」と「羅睺の力」が、初めて大きく分かれた状態になる。

ここがかなり重要。
これまでの弐郎と羅睺は、二人で一つに近い形で戦ってきた。
弐郎が前へ出る。
羅睺が妖気を貸す。
弐郎だけでは届かない物ノ怪へ、その力で食らいつく。
だから見る側からすると、羅睺の妖気と羅睺本人がほとんど同じものに見えていた。

でも第9話では、その前提が崩れる。
羅睺はいない。
なのに妖気だけは弐郎の中にある。
しかも公式でも、羅睺から全ての妖気を託された弐郎が特務一課の監視下へ置かれたとされている。
つまり隠密局が警戒しているのは、羅睺本人ではなく、
羅睺級の妖力を一人で抱え込んだ弐郎になる。

ここで弐郎の状態も大きく変わる。
今までは羅睺と相談できた。
口喧嘩もできた。
力を借りる時にも、そこには羅睺という意思があった。
でも第9話では、その羅睺が横にいない。
残っているのは巨大な妖気だけ。
弐郎は、羅睺の力を持っているのに羅睺を失った状態へ落とされる。

だから弐郎は落ち着いていられない。
奪われた羅睺を取り戻すため、天鬼のもとへ向かおうとする。
久澄たち特務一課が止めても聞かない。
今すぐ行く。
羅睺を取り返す。
その気持ちだけが前へ出る。
そこへ、制御し切れない巨大な妖力まで重なっていく。

そして弐郎は、羅睺の圧倒的な妖力に振り回される。
自我を失う。
周囲へ激しく攻撃する。
第9話で描かれるのは、
「羅睺の力を全部もらったから最強になった」
という単純な強化ではない。
むしろ羅睺がいなくなったことで、力だけを持つ危険さが一気に表へ出ている。

ここを見ると、羅睺その後を考えるうえで大きな点が見えてくる。
羅睺は妖気そのものではない。
強大な力を持っている。
でも、その力を扱う意思も持っている。
弐郎と会話する。
判断する。
止める。
時には弐郎の無茶を呆れながら見ている。
その存在まで含めて羅睺だった。

妖気だけが弐郎へ残ると、その違いがはっきりする。
力はある。
でも相棒がいない。
弐郎は今まで以上に強大な妖気を持ちながら、
その力に振り回される。
だから第9話の分離は、
弐郎が強くなった場面であると同時に、
羅睺の存在がどれほど重要だったかが見える場面でもある。

羅睺その後は、少なくとも第9話の段階では「死亡」ではない。
天鬼側へ奪われた羅睺。
弐郎側へ残された妖気。
二つが離れて存在している。
だから弐郎の目的も、
新しい力を使いこなすことだけでは終わらない。
羅睺本人を取り戻すことが次の大きな目的になる。

「羅睺の本体」と「羅睺の力」が初めて完全に分かれた

この分離が強く見えるのは、第1話から二人の関係を見てきたから。
羅睺は最初から、弐郎の武器として登場したわけではない。
森の中で傷つき倒れていた黒猫。
弐郎が見つけた時には、
まず一匹の傷ついた動物として目の前にいる。
弐郎は、その時点で羅睺の正体を知らない。

弐郎には、動物と話せる力がある。
近所の犬や猫にも自然に声をかける。
困っている動物がいれば放っておけない。
だから黒猫の羅睺に対しても、
最初から「伝説の物ノ怪の力を手に入れたい」と近づいたわけではない。
傷ついているから助ける。
その弐郎らしい行動から二人の関係が始まる。

ところが羅睺の正体は、普通の黒猫ではない。
かつて「黒き凶星」と呼ばれた伝説の物ノ怪。
他の物ノ怪たちが、その力を求めるほどの存在。
弐郎が出会った時点で、
すでに羅睺を巡って複数の思惑が動いている。
それでも弐郎の態度は大きく変わらない。

危険な物ノ怪だから見捨てる。
力があるから利用する。
そのどちらにもならない。
目の前にいる羅睺を助ける。
この最初の選択が、
後で羅睺が弐郎へ力を託すところまでつながっていく。
二人の関係は最初から、能力の貸し借りだけではなかった。

その後、弐郎と羅睺は同じ身体で戦う関係になる。
羅睺の妖力が弐郎へ流れる。
弐郎の身体能力と忍術。
羅睺の物ノ怪としての力。
二つが重なることで、
人間だけでは戦えない相手へ向かえるようになる。

この時期には、弐郎自身も羅睺の力を頼りにしている。
強い物ノ怪が現れる。
羅睺の妖気を使う。
危機を突破する。
それだけ見ると、
羅睺の価値は強大な妖力にあるようにも見える。
でも第9話で二人を分離すると、その見方が崩れる。

弐郎の中には、羅睺の力がある。
むしろ今まで以上に大きく残っている。
それなのに弐郎は、
「これでいい」とはならない。
羅睺の妖気を持っているから満足するのではなく、
天鬼に奪われた羅睺本人を取り戻そうとする。
ここが二人の関係を一番分かりやすく見せている。

もし弐郎が欲しかったのが羅睺の力だけなら、
第9話の状態はある意味で目的達成になる。
伝説級の妖気が自分の中にある。
羅睺本人と分け合う必要もない。
でも弐郎の反応は正反対。
危険を承知で天鬼のもとへ向かおうとする。
欲しいのは力ではなく、羅睺が戻ってくることになる。

だから「羅睺その後」を見る時、
妖気を失った羅睺は価値を失ったのか、
という見方はほぼ逆になる。
力が弐郎側へ移ったことで、
羅睺本人の価値がむしろはっきりする。
黒き凶星としての妖気。
伝説の物ノ怪としての強さ。
それらを全部外しても、
弐郎にとって羅睺は取り戻したい相棒のままになる。

第2章 羅睺はなぜ全ての妖気を弐郎へ託したのか

天鬼への服従を受け入れたように見せた羅睺の最後の反逆

羅睺が全ての妖気を弐郎へ渡した場面は、
単純な力の譲渡ではない。
天鬼との戦いで弐郎たちは追い詰められる。
羅睺自身も自由に動ける状況ではなくなる。
そこで羅睺は、
天鬼の思い通りになったように見せながら、
最後に自分の力だけを弐郎へ残す。

ここには、羅睺らしい意地がある。
羅睺はもともと誰かへ素直に従う性格ではない。
長く生きた物ノ怪として自負がある。
自分の力にも誇りがある。
人間を簡単には信用しない。
そんな羅睺が、
自分の最も大きな財産である妖気を全部弐郎へ託す。

これは、第1話の羅睺から考えるとかなり大きい。
最初の羅睺は、
人間と仲良く暮らすために現れた存在ではない。
黒き凶星と恐れられた物ノ怪。
他の物ノ怪から狙われるほど強大。
弐郎に対しても、
最初から従順な猫だったわけではない。
口も悪く、態度も大きい。

それでも弐郎と行動する時間が増える。
公儀隠密局へ関わる。
物ノ怪との戦いを重ねる。
弐郎が無茶をする。
羅睺が文句を言う。
それでも危険な時には互いに助ける。
そういう積み重ねの先で、
羅睺が「全部」を渡すところまで来る。

全ての妖気を渡すことは、
一部を貸すのとは違う。
自分自身が戦うために必要な力まで残さない。
弐郎だけを強化して、
自分は安全な場所へ逃げる選択でもない。
むしろ自分が天鬼側へ残る状況で、
弐郎へ生き残るための力を全部押し込む。

ここには、羅睺の判断がある。
天鬼へ力を渡したくない。
弐郎を死なせたくない。
そして自分の力を誰へ託すのか。
その答えとして弐郎を選んでいる。
黒き凶星と呼ばれた力を、
最終的に預ける相手が一人の人間になった。

しかも弐郎は、その巨大な力をすぐには使いこなせない。
第9話では暴走する。
だから羅睺が弐郎の完成度を見て、
「もう一人でも大丈夫だ」と判断したわけでもない。
未熟なのは分かっている。
それでも託す。
そこには能力評価だけではない信頼がある。

羅睺の最後の反逆は、
天鬼へ攻撃を当てることだけではない。
自分を奪われても、
自分の力まで好きにはさせない。
その力を弐郎側へ残す。
天鬼から見れば、
羅睺を手に入れても本来欲しかった妖気がない。
羅睺自身が最後に主導権を握った形になる。

第1話で命を救われた弐郎へ、今度は羅睺が全部を返した

羅睺がなぜ弐郎を選んだのかを見るなら、
第1話の出会いへ戻るのが一番分かりやすい。
弐郎は森で傷ついた黒猫を見つける。
その時点では、
羅睺が伝説級の物ノ怪だとは知らない。
ただ傷ついている。
だから助けようとする。

弐郎はもともと、困っている相手を放っておけない。
相手が人間か動物かもあまり関係ない。
損得を考える前に身体が動く。
その性格は、
後に物ノ怪との戦いへ巻き込まれてからも変わらない。
羅睺は最初から、その無鉄砲さを目の前で見ている。

そして弐郎は羅睺を守ろうとして危険へ飛び込む。
羅睺の力を手に入れるためではない。
秘密組織へ入るためでもない。
助けた相手を途中で見捨てられない。
その結果、自分の命まで危険にさらす。
ここで羅睺と弐郎の関係が決定的に変わる。

羅睺は、弐郎へ借りを作ったままにはしない。
弐郎を救う。
自分の力を使う。
二人が同じ身体で動く関係へ進む。
最初は弐郎が羅睺を助けた。
次は羅睺が弐郎を助ける。
二人の関係には、
最初からこの貸し借りがある。

でも物語が進むほど、
単純な借りではなくなっていく。
一度助けてもらったから返す。
それだけなら、どこかで終わる。
ところが羅睺は弐郎と行動を続ける。
危険な戦いにも付き合う。
弐郎も羅睺を単なる妖力の供給源として扱わない。
二人の関係が少しずつ相棒へ変わっていく。

第9話で全妖気を託す場面は、
その積み重ねの到達点の一つになる。
第1話では弐郎が、
正体も知らない羅睺を助けた。
今度は羅睺が、
自分の持つものをほとんど全部弐郎へ渡す。
最初の救助が、反対方向から返ってくる。

しかも今回は、
ちょっとした恩返しではない。
黒き凶星として恐れられた力そのもの。
他の物ノ怪が狙うほどの妖気。
羅睺という存在を強者にしていた中心を、
弐郎へ残す。
それだけ弐郎が、
羅睺にとって特別な相手へ変わっている。

だから「なぜ妖気を全部渡したのか」は、
天鬼への対策だけでは終わらない。
もちろん天鬼へ力を渡さないためという面はある。
弐郎を生き残らせる必要もある。
でも、最終的に誰へ託すのかという選択には、
第1話から積み重ねた二人の関係が入っている。

第9話で羅睺が失ったのは、
単なる戦闘用の妖力ではない。
自分が何百年も持ってきた力。
その全てを弐郎へ渡した。
だから次に問われるのは、
弐郎がその力をどう扱うのか。
そして力を持った弐郎が、
それでも羅睺本人を取り戻そうとするのかになる。

この段階では、
羅睺その後はまだ終わっていない。
むしろ全てを託したところから、
弐郎と羅睺の関係が次の段階へ入る。
力を貸す物ノ怪と、
借りる人間。
そこから、
互いに自分の持つものを預けられる相棒へ変わっていく。

第3章 羅睺の妖気だけを受け継いだ弐郎はどうなった?

圧倒的な妖力に振り回され、自我を失って暴走する

第9話で羅睺から全ての妖気を託された弐郎は、単純に強くなったわけではない。
確かに身体の中には、黒き凶星と恐れられた羅睺の力が残っている。
物ノ怪たちが狙い続けてきたほど巨大な妖気。
それを一人の人間がまとめて抱え込んだ。
でも弐郎には、その力を完全に扱う準備ができていなかった。

羅睺を奪われた弐郎は、すぐに天鬼のもとへ向かおうとする。
久澄たちが止めても聞かない。
頭にあるのは、羅睺を取り戻すこと。
冷静に作戦を立てる余裕もない。
そこへ身体の中で膨れ上がる巨大な妖気まで重なり、弐郎自身の感情と力が一気に暴走へ向かう。

今までの弐郎なら、羅睺が横にいた。
危険な時には声をかける。
無茶をすれば文句を言う。
力を出す場面でも、羅睺自身の意思がそこにある。
でも第9話では、その相棒がいない。
妖気だけが残り、弐郎は羅睺の助言なしで巨大な力と向き合わなければならなくなる。

結果として弐郎は、自分を保てなくなる。
羅睺を助けたいという焦り。
天鬼への怒り。
奪われたことへの悔しさ。
そこへ妖力が重なり、周囲へまで攻撃を向ける。
自分の目的のために使うはずだった力が、逆に弐郎自身を飲み込み始める。
この暴走が、第9話で最も大きな変化になる。

ここで見えるのは、
「羅睺の妖気を全部もらえば、弐郎は羅睺以上に自由に戦える」
という単純な話ではないこと。
力が大きいほど、扱う側にもそれだけの制御が必要になる。
弐郎は身体能力も高い。
忍術も使える。
物ノ怪との戦いにも慣れてきた。
それでも羅睺の全妖気は、簡単に自分のものにはならない。

これまでの戦いでは、弐郎は羅睺と一緒に力を使っていた。
自分一人の感覚だけで妖気を爆発させていたわけではない。
羅睺という本来の持ち主がいる。
その羅睺が妖気の性質を理解している。
弐郎は人間側の身体と技術を担当し、
羅睺は物ノ怪側の力を支える。
二人が揃うことで、初めて危険な力を戦闘へ変えられていた。

だから第9話の暴走は、
弐郎が弱くなったから起きたわけではない。
むしろ逆。
今までより圧倒的に大きな力を持ったからこそ、
その力に弐郎の精神と身体が追いついていない。
羅睺を失った穴が、
戦闘力ではなく制御の部分で一気に表へ出る。

特務一課が弐郎を監視するのも自然になる。
目の前にいるのは、普通の忍ではない。
伝説級の物ノ怪が持っていた妖気を丸ごと抱えた少年。
しかも本人は羅睺を奪われて冷静さを失っている。
もし完全に暴走すれば、
敵だけではなく味方や周囲まで巻き込む可能性がある。
弐郎自身が新しい危険人物になってしまう。

ここが羅睺その後を考えるうえで大きい。
妖気を失った羅睺だけが弱体化したのではない。
羅睺から離れたことで、
弐郎側にも別の弱点が生まれている。
力を全部もらったのに安定しない。
むしろ羅睺がいないことで、その力の危険性が増している。
二人は離れたことで、互いの役割を失った状態になる。

羅睺がいないことで「力だけ持つ危険」が一気に表へ出る

第9話の弐郎を見ると、
羅睺の妖気は武器というより巨大な生き物に近い。
持っているだけでは使えない。
感情が乱れれば、力まで乱れる。
怒りが強くなれば、妖気も膨れ上がる。
弐郎自身の精神状態が、そのまま戦闘力と危険性へ直結している。

これは今までの弐郎とは違う。
以前は無茶をしても、
どこかで羅睺と会話できた。
弐郎が前のめりになれば、
羅睺が現実を見る。
羅睺が人間を信用しなければ、
弐郎が相手を信じて動く。
二人の性格が違うからこそ、
極端な方向へ行き過ぎない場面も多かった。

ところが羅睺がいなくなると、その均衡が消える。
弐郎は羅睺を助けたい。
その一点へ集中する。
止められるほど、焦る。
待てと言われるほど、今すぐ行きたくなる。
そこへ妖気が反応し、
冷静な判断より感情の勢いが前へ出てしまう。

ここで羅睺の存在が、
単なる妖力供給ではなかったと分かる。
羅睺は弐郎へ力を貸していた。
でも同時に、
その力が何なのかを知っている存在でもあった。
どこまで出せるのか。
何が危険なのか。
物ノ怪として、弐郎には分からない感覚を持っている。

弐郎は忍としての訓練を受けている。
身体を動かす技術。
敵の動きを読む力。
刃物や忍具を扱う経験。
そういう人間側の技術はある。
でも妖気そのものを扱う経験は別。
羅睺と一緒だったから、
そこを補いながら戦えていた。

だから羅睺の全妖気を得た瞬間、
弐郎は完成するどころか新しい課題を抱える。
今までは羅睺がいた。
今度は自分で抑える必要がある。
今までは借りる力だった。
今度は身体の中にある力になる。
この差は大きい。
持ち主が変われば、同じ妖気でも扱い方は変わる。

しかも弐郎には、
羅睺を取り戻すという目的がある。
逃げる選択ができない。
危険だから力を封じて暮らすこともできない。
天鬼へ向かうなら、
羅睺の妖気を使えるようになる必要がある。
だから暴走は失敗で終わるのではなく、
次に乗り越えなければならない壁になる。

羅睺その後を追うと、
弐郎自身の成長も同時に始まっている。
羅睺がいなくなった。
だから弐郎は、
羅睺に頼っていた部分まで自分で背負わなければならない。
力の大きさだけではない。
判断。
制御。
感情。
全部を含めて、自分で戦える状態へ進む必要が出てくる。

第9話は、二人を引き離した回。
でもその分離によって、
弐郎がどれだけ羅睺へ頼っていたのか、
羅睺がどれだけ弐郎を支えていたのかがはっきりする。
力を全部渡したのに、
二人の関係が消えない。
むしろ離れたことで、
相棒としての必要性がさらに強く見える。

第4章 羅睺は「力」ではなく弐郎を支えていた存在だった

これまでの融合時は羅睺が妖力の暴走を抑える側でもあった

第1話以降の弐郎と羅睺を見ると、
二人の強さは単純な足し算ではない。
弐郎の身体能力。
忍としての技術。
羅睺の妖気。
物ノ怪としての知識。
それぞれ違うものを持ち寄り、
一つの戦闘力へ変えてきた。
だからどちらか一方だけ残しても、同じ形にはならない。

弐郎は最初から戦える少年。
祖父から忍術を叩き込まれ、
人間相手なら身体能力だけでもかなり高い。
動物と話せる力もある。
危険へ飛び込む度胸もある。
でも物ノ怪の世界には、
人間側の常識だけでは届かない相手がいる。
そこで羅睺の存在が必要になる。

羅睺は逆に、
強大な妖気を持っている。
黒き凶星と呼ばれ、
他の物ノ怪から恐れられる。
ただ第1話で弐郎と出会った時には、
黒猫の姿で傷ついていた。
どれだけ伝説級の力を持っていても、
状況によっては一人で全てを解決できない。
そこで弐郎との関係が始まる。

二人が一体になってからは、
弐郎が羅睺の妖気を使って戦う場面が増える。
弐郎の速さ。
近接戦闘。
忍術。
そこへ妖気が乗ることで、
普通の人間では相手にできない物ノ怪へも踏み込める。
でも同時に、
羅睺自身が弐郎の中にいることが大きかった。

羅睺は敵について知っている。
物ノ怪同士の感覚が分かる。
弐郎には見えない危険にも気づける。
そして何より、
妖気が自分の力だからこそ、
その大きさと危険性を分かっている。
弐郎は身体を動かす。
羅睺は妖気を支える。
この役割分担が、二人の戦いを成立させていた。

第9話でそれがなくなる。
羅睺は天鬼側。
妖気は弐郎側。
今まで一つだったものが、
二つへ切り離される。
すると弐郎は、巨大な力だけを持つ状態になる。
ここで暴走すること自体が、
羅睺が今までどれだけ裏側を支えていたかの証明になる。

つまり羅睺は、
弐郎に力を与える電池ではない。
妖気の持ち主。
物ノ怪としての判断役。
危険な時に会話できる相棒。
それら全部を担っていた。
だから力だけ残っても、
以前と同じ戦い方にはならない。

ここが第9話の面白いところ。
羅睺がいなくなった瞬間、
弐郎は羅睺の強さを手に入れる。
なのに二人でいた時より不安定になる。
数字だけなら強化。
実戦では危険。
この食い違いによって、
二人が「融合していた」ことの本当の価値が見えてくる。

咬牙たちとの戦いでも羅睺だけではなく弐郎の判断が必要だった

これまでの物ノ怪との戦いを振り返っても、
羅睺が全部を決めていたわけではない。
敵が現れる。
羅睺が危険だと分かっている。
それでも弐郎は、
目の前で困っている相手がいれば飛び込む。
羅睺なら避ける場面でも、
弐郎の判断で戦いへ向かうことがある。

この違いは、二人の性格から来ている。
羅睺は長く生きた物ノ怪。
人間への警戒も強い。
裏切りや争いも知っている。
簡単には他人を信用しない。
一方の弐郎は、
相手が誰でも目の前の困り事を見れば身体が動く。
その無鉄砲さを羅睺が何度も見ることになる。

咬牙のように羅睺の力を狙う存在が現れると、
羅睺自身の過去まで戦いへ入ってくる。
敵は羅睺を伝説の物ノ怪として見る。
強大な妖気。
黒き凶星。
手に入れれば大きな力になる存在。
でも弐郎だけは、
そこへ羅睺本人として接し続ける。

だから二人の戦いは、
羅睺が弐郎へ力を貸すだけではない。
弐郎も羅睺へ、
人間側で生きる場所を作っていく。
最初は傷ついた黒猫。
次第に一緒に食べる。
言い合う。
戦う。
公儀隠密局とも関わる。
そうした日常まで積み重なり、
二人の関係が戦闘以外へ広がっていく。

この積み重ねがあるから、
第9話で妖気だけ残っても弐郎は満足しない。
力はある。
戦う材料もある。
それでも羅睺を取り戻したい。
黒き凶星の妖気ではなく、
口の悪い黒猫の羅睺まで必要としている。
ここで二人の関係がはっきりする。

羅睺の側も同じ。
もし弐郎を単なる器として見ているなら、
全妖気を託す必要はない。
もっと強い人間を探す。
自分が生き残ることを優先する。
でも羅睺は弐郎を選ぶ。
第1話から積み重ねた行動を見て、
最後に自分の全部を預ける。

だから羅睺その後の問題は、
「妖気が戻れば元通り」だけではない。
二人が離れたことで、
互いに何を担っていたのかが見える。
弐郎には羅睺の力が必要だった。
羅睺には弐郎の身体と判断が必要だった。
さらに戦いを越えて、
互いの存在そのものまで必要になっている。

第9話の分離は、
二人の関係を壊したように見える。
でも実際には、
相棒としての価値を確認する場面にもなっている。
力だけあっても足りない。
羅睺本人がいないと足りない。
弐郎がそう感じているから、
次に進む目的が「もっと強くなる」だけではなく、
「羅睺を取り戻す」になる。

ここから先は原作漫画のネタバレを含みます。アニメの先を知りたくない方はご注意ください。

第5章 羅睺の妖気を弐郎は自分の力として扱えるようになる?

寿正と無明の森へ向かい、妖力を制御する修行へ入る

第9話で羅睺の全妖気を受け取った弐郎には、大きな課題が残る。
力そのものは、すでに身体の中にある。
でも感情が乱れれば暴走する。
羅睺を助けたいと思うほど焦り、その焦りへ妖気まで引っ張られる。
この状態のまま天鬼へ向かっても、羅睺を救う前に弐郎自身が崩れる可能性が高い。

そこで必要になるのが、妖気を自分で制御する力。
これまでは羅睺がいた。
弐郎が無茶をしても、羅睺という妖気の本来の持ち主が一緒にいる。
でも今度は違う。
羅睺抜きで、黒き凶星の妖気と向き合わなければならない。
弐郎にとっては、今までとは別の修行が必要になる。

その先で関わってくるのが祖父の寿正。
弐郎に忍術を教えてきた人物でもあり、
本人の身体能力や戦い方をよく知っている。
ただ今回扱うのは、人間の忍術だけではない。
羅睺から受け取った巨大な妖力。
これを自分の意思で出し入れできるところまで持っていかなければならない。

弐郎は無明の森へ向かい、自分の中にある妖気と真正面から向き合っていく。
ここで大事なのは、
羅睺の力をもっと増やす修行ではないこと。
すでに力の量なら十分すぎるほどある。
問題は、その力を出した時に弐郎自身が弐郎のままでいられるかどうかになる。

第9話では、妖気に飲み込まれた。
羅睺を助けたいという気持ちまで、
暴走の引き金になった。
だから次に必要なのは、
怒りを消すことでも、
羅睺を諦めることでもない。
強い感情を抱えたまま、それでも自分で力を止められる状態になること。

ここは弐郎の成長としてかなり大きい。
これまでの弐郎は、
危険を見たら飛び込む。
誰かが困っていれば助ける。
考えるより先に身体が動く。
その勢いが魅力でもあった。
でも羅睺級の妖気を持った後は、その勢いだけでは危険になる。

一歩間違えば、
助けたい相手まで傷つける。
味方を巻き込む。
天鬼へたどり着く前に力を使い果たす。
だから弐郎は、
「強く出す」より先に「止められる」必要がある。
羅睺の妖気を持ったことで、
戦う技術以上に自制が問われるようになる。

これは第1話の弐郎から見ると大きな変化。
最初は身体能力と忍術で飛び込む少年。
そこへ羅睺の妖気が加わる。
そして最後には、
巨大な力を持っていても、それを自分で選んで使う人物へ進む。
羅睺を失った時間が、
弐郎自身の成長へ直結していく。

圧倒的な力を使える時間は最初から長くない

ただし修行を始めたからといって、
すぐ羅睺の全妖気を自由自在に扱えるわけではない。
弐郎の中にある力は巨大。
だから制御できるようになっても、
長時間好きなだけ使える状態にはならない。
最初は、絶大な妖気を扱える時間そのものが短い。

ここが天鬼戦へ向けた大きな不安になる。
力はある。
でも時間がない。
使えば圧倒的に強くなる。
ただし長く維持できない。
つまり戦闘では、
どこで妖力を出すのかという判断まで重要になる。

羅睺と一緒だった頃なら、
互いに話しながら戦えた。
敵の力を見る。
危険を判断する。
出すべき時に出す。
でも今の弐郎は一人。
妖気を使う瞬間も、
止める瞬間も、
自分で決めなければならない。
力の制御と戦闘判断が同時に求められる。

だから弐郎は、
羅睺の妖気を受け取った瞬間より、
それを短時間でも自分で制御できるようになった時の方が本当に強い。
力の量は変わらない。
変わったのは弐郎側。
借り物だった妖気を、
自分の判断で戦闘へ使えるところまで進んだことになる。

それでも羅睺の代わりになったわけではない。
ここはかなり大事。
弐郎が妖気を制御できるようになっても、
「もう羅睺はいらない」にはならない。
むしろ羅睺を助けるために、
羅睺からもらった力を使えるようになろうとしている。
目的は最初から救出のまま変わらない。

弐郎が欲しいのは、
黒き凶星の妖気だけではない。
羅睺本人。
だから修行は、
最強になるための寄り道ではない。
羅睺を救うために必要な準備。
自分一人で戦えるようになった先で、
もう一度相棒を迎えに行くための時間になる。

ここまで来ると、第9話の「全てを託す」の見え方も変わる。
羅睺は弐郎を完成した戦士として選んだわけではない。
まだ暴走する。
まだ制御できない。
それでも渡した。
弐郎なら、その力と向き合って前へ進むと信じたから託したとも見える。

そして弐郎は、その信頼へ応える。
妖気に飲まれたままでは終わらない。
自分の力として扱う。
羅睺を取り戻すために使う。
第9話で一度分かれた二人の関係が、
ここから弐郎側の成長によって再び近づいていく。

第6章 羅睺その後の最大の転機は弐郎との「再同化」

弐郎は力を手に入れても羅睺本人を救うため天鬼へ向かう

妖気を制御できるようになった弐郎が次に向かうのは、
当然ながら羅睺の救出。
ここで重要なのは、
弐郎にはすでに羅睺の力があること。
戦闘だけを考えれば、
羅睺本人を取り戻さなくても巨大な妖気を使える。
それでも弐郎は天鬼へ向かう。

この選択で、二人の関係がはっきりする。
弐郎が欲しかったのは力ではない。
黒き凶星の妖気を手に入れて満足するわけではない。
羅睺がいない。
それだけで足りない。
だから危険な天鬼のもとへ行き、
羅睺本人を取り戻そうとする。

第1話では、
正体も知らない黒猫を助けた。
第9話では、
その黒猫から全ての妖気を託された。
そして今度は、
その力を持った弐郎が羅睺を助けに行く。
救う側と救われる側が何度も入れ替わっている。
この往復が、二人の関係の大きな特徴になる。

羅睺もまた、
最初の頃とは大きく変わっている。
人間へ簡単に心を許さない。
自分の力を狙う相手を警戒する。
弐郎の無鉄砲さにも呆れる。
それでも最後には、
自分の全ての妖気を弐郎へ渡す。
口では悪態をついても、行動では大きく信頼している。

だから救出は、
単に捕まった仲間を取り返す展開ではない。
羅睺が弐郎へ預けたもの。
弐郎が羅睺から受け取ったもの。
その全部を持って、
弐郎側からもう一度羅睺へ返しに行く展開になる。
二人の貸し借りが、ここでさらに深くなる。

天鬼は羅睺そのものを狙う。
羅睺が持っていた力。
黒き凶星としての存在。
その価値を見ている。
一方で弐郎が取り戻したいのは、
強さを失ったとしても羅睺本人。
ここにも二つの見方の差が出る。

敵にとって羅睺は価値ある力。
弐郎にとって羅睺は相棒。
だから妖気を失った後の羅睺をどう見るかで、
弐郎と敵側の違いがはっきりする。
力が無いなら不要。
弐郎はそうならない。
むしろ力を全部もらった後だからこそ、
羅睺本人を救う行動がより強く響く。

最後は再び一つになり、天鬼との決着へ進む

そして羅睺その後の大きな答えになるのが、
弐郎との再同化。
第9話で一度分かれた二人は、
そのまま別々に終わるわけではない。
弐郎は羅睺を取り戻す。
そして最終局面では、
再び一つになって天鬼との戦いへ進んでいく。

ここが最初の同化とは違う。
第1話の頃は、
弐郎の命を救うための同化だった。
突然巻き込まれた事件。
弐郎も羅睺も、
先のことまで理解して選んだ関係ではない。
状況に押される形で、
二人の共同生活と共同戦線が始まった。

でも再同化は違う。
二人はすでに互いを知っている。
何度も言い合った。
何度も戦った。
一度離れた。
弐郎は羅睺なしで妖気と向き合った。
羅睺もまた、自分の力を全部弐郎へ預けた。
その後で、もう一度一つになる。

だから再同化は、
元に戻っただけではない。
一度離れたからこそ、
互いの必要性を分かった後の融合になる。
最初は偶然に近い。
最後は選び直した関係。
同じ一体化でも、中身が大きく違う。

弐郎も成長している。
羅睺の妖気をただ借りる少年ではない。
自分の中で制御する経験をした。
暴走もした。
短い時間でも、自分の意思で大きな力を使えるようになった。
その弐郎が羅睺と再び一つになる。
以前より二人の役割が対等に近づいている。

羅睺の側も、
弐郎へ全部を任せられるところまで変わった。
人間を信用しなかった物ノ怪。
その羅睺が、
自分の妖気を全て預けた相手。
さらに救出された後、
再び同じ身体で戦う。
弐郎への信頼がなければ成立しない。

そして相手は天鬼。
羅睺を奪った存在。
弐郎と羅睺を分けた相手。
その天鬼へ、
もう一度二人で向かう。
第9話で壊された関係が、
より強い形で戻って戦うことになる。

だから羅睺その後は、
「妖気を失って弱いまま終わる」ではない。
力を失う。
弐郎と離れる。
弐郎が妖気を制御する。
羅睺を取り戻す。
再び同化する。
この流れ全部が、二人を本当の相棒へ近づけていく。

第9話だけを見ると、
羅睺が全てを失ったように見える。
でも先まで見ると、
あの分離は終わりではない。
むしろ一度離れることで、
弐郎が羅睺の力だけではなく羅睺本人を選ぶ展開へつながる。
そして最後には、二人が自分たちの意思で再び一つになる。

羅睺その後の最大の変化は、
弱体化そのものではない。
力を失ったことで、
弐郎との関係が試されること。
その結果、
妖気があるから一緒にいるのではなく、
互いを必要としているから一緒に戦う関係だと分かる。
再同化は、その答えになる。

第7章 羅睺の正体は「最強の力」から弐郎の相棒へ変わっていく

黒き凶星として恐れられた物ノ怪が、一人の人間を信じるまで

羅睺という存在は、最初から特別だった。
ただの物ノ怪ではない。
黒き凶星と呼ばれる。
他の物ノ怪からも恐れられる。
その力を欲しがる者まで現れる。
周囲から見れば、まず「圧倒的な妖気を持つ存在」になる。

咬牙たちが羅睺を見る時も、
そこには強さへの執着がある。
天鬼も羅睺を狙う。
公儀隠密局も、
弐郎と羅睺の状態を危険視する。
羅睺という名前の周囲には、
いつも巨大な力への警戒が付きまとう。

でも弐郎だけは、最初から少し違う。
第1話で出会った時、
目の前にいたのは傷ついた黒猫。
伝説の物ノ怪だから助けたわけではない。
圧倒的な妖気を持っているから近づいたわけでもない。
傷ついている。
だから助ける。
弐郎の出発点は、それだけだった。

ここが後になるほど効いてくる。
羅睺が強いから一緒にいる。
力を借りられるから必要としている。
そういう関係なら、
第9話で妖気を全部受け取った時点で終わってもいい。
弐郎の中には、
羅睺が持っていた最大の価値とも言える妖気が残っているからだ。

でも弐郎は、そこで満足しない。
羅睺本人を取り戻そうとする。
妖気はある。
戦う力もある。
修行すれば、その力を使えるようにもなる。
それでも足りない。
弐郎が求めているのは、
黒き凶星の力ではなく羅睺そのものになる。

この違いはかなり大きい。
敵側は羅睺の妖気を見る。
弐郎は羅睺を見る。
周囲は危険な物ノ怪として見る。
弐郎は口の悪い相棒として見る。
力を失った後でも、
弐郎の中で羅睺の価値は下がらない。
むしろ妖気を失ったことで、その差がはっきりする。

羅睺の側も変わっている。
最初は人間へ簡単に心を許さない。
自分の方が長く生きている。
強さにも自信がある。
弐郎の無茶には何度も呆れる。
それでも戦いを重ねるうちに、
弐郎という人間を少しずつ信用するようになる。

その到達点が、
全妖気を託す選択になる。
自分の最も大きな力。
黒き凶星として恐れられた根拠。
他の物ノ怪が狙ってきたもの。
それを一人の人間へ全部預ける。
羅睺にとっても、簡単にできる選択ではない。

だから羅睺の正体を「最強の物ノ怪」で終わらせると、
物語の後半が見えにくくなる。
最初は強さが目立つ。
でも最後に重要になるのは、
その強い羅睺が誰を信じたのか。
そして誰に自分の全部を預けたのか。
そこへ弐郎との関係が入ってくる。

力を全部渡しても弐郎が羅睺自身を取り戻そうとした

第9話以降で一番はっきりするのは、
弐郎と羅睺の関係が力の貸し借りだけではなかったこと。
弐郎は羅睺の妖気を全部持っている。
もし欲しかったものが強さなら、
これ以上危険を冒す必要はない。
天鬼のところへ行かなくてもいい。
羅睺本人を助けなくても、力だけは手元に残っている。

でも弐郎は行く。
暴走するほど焦る。
修行して妖気を制御する。
そして羅睺を助けるため、
天鬼へ向かう。
ここまで行動する時点で、
弐郎にとって羅睺は武器ではない。
失った相棒になる。

この流れは、第1話ときれいにつながっている。
最初は弐郎が黒猫を助ける。
次に羅睺が弐郎を救う。
二人で戦う。
そして第9話では、
羅睺が自分の全妖気を弐郎へ託す。
その後は弐郎が、
その力を使って羅睺本人を取り戻しに行く。

何度も助ける側が入れ替わる。
どちらか一方だけが守る関係ではない。
弐郎だけが羅睺を救うわけでもない。
羅睺だけが弐郎へ力を与えるわけでもない。
その時に持っているものを、
必要な方へ渡していく。
この往復が二人を相棒にしていく。

だから再同化も、
ただ元へ戻っただけではない。
一度分かれた。
羅睺の力だけが弐郎へ残った。
それでも弐郎は羅睺本人を選んだ。
羅睺もまた、
自分の全てを預けた弐郎のもとへ戻る。
その上で、もう一度一つになる。

最初の同化は、生き残るための選択だった。
再同化は、
互いを知った後で選び直す関係になる。
一緒に戦ってきた時間。
離れた時間。
弐郎が妖気を制御した時間。
羅睺が力を失った時間。
その全部を通った後で、
二人は再び同じ側へ立つ。

ここまで来ると、
羅睺その後の答えもはっきりする。
妖気を失って価値がなくなるわけではない。
死亡して終わるわけでもない。
力を全部弐郎へ渡したことで、
逆に「羅睺本人が必要なのか」が試される。
そして弐郎は、迷わず羅睺本人を選ぶ。

羅睺にとっても、
弐郎はただの器ではなくなる。
自分の妖気を入れて戦わせる身体。
そんな扱いでは終わらない。
自分の力を全部渡せる相手。
自分を取り戻しに来る相手。
もう一度一緒に戦える相手。
そこまで関係が変わっている。

だから『BLACK TORCH』で羅睺が持つ一番大きな変化は、
弱体化ではない。
黒き凶星として恐れられる存在から、
弐郎が失いたくない相棒へ変わったこと。
そして羅睺自身も、
人間を簡単には信じなかった物ノ怪から、
一人の人間へ全部を託せる存在へ変わったことになる。

第9話で妖気を全部渡した場面は、
羅睺の終わりではない。
むしろ二人の関係を確かめる分岐点。
力だけ残して離れたからこそ、
弐郎が欲しかったのは羅睺の妖気ではなく羅睺本人だったと分かる。
その答えが、
羅睺その後の一番大きな結末になる。

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