PR

【霧尾ファンクラブ 】一方通行ラブコメ |好きの矢印が噛み合わない青春がしんどい

記事内に広告が含まれています。

『霧尾ファンクラブ』は、藍美と波が霧尾を好きなだけのラブコメではない。

藍美と波は霧尾を見ている。
桃瀬は波を見ている。
霧尾は簡単には近づかせない。
皐月や星羅も、二人の関係に影を落とす。

誰かの「好き」が、相手の「好き」とまっすぐ重ならない。

だから笑えるのに、胸がざわつく。
変な妄想で笑わせながら、片想いの痛さがずっと残る。

  1. 第1章 結論|霧尾ファンクラブは、好きの矢印が噛み合わないから面白い
    1. 藍美と波は霧尾を見ているのに、全員の気持ちは同じ場所へ向かない
    2. 一方通行なのに笑える、一方通行だから胸が痛い
  2. 第2章 第1話の入口|藍美と波の霧尾愛は、楽しいのに最初から一方通行
    1. 教室で霧尾を語る二人の熱量が、作品の変な面白さを作る
    2. 霧尾本人が応えていないから、二人の妄想だけがどんどん走る
  3. 第3章 藍美と波|同じ人を好きだから仲良くなり、同じ人を好きだから苦しくなる
    1. 二人で騒げる関係が、片想いの痛さを少しだけ軽くしていた
    2. 友情と恋敵の境目が、話数を重ねるほど揺れていく
  4. 第4章 桃瀬と波|まっすぐな好意が届かないからしんどい
    1. 桃瀬は悪くないのに、波の心には別の沈黙がある
    2. 第9話の呼び出しで、波の言えない気持ちが一気に濃くなる
  5. 第5章 皐月と霧尾|距離が近い人物が出るだけで、藍美と波が揺れる
    1. 霧尾の近くにいる皐月が、二人の片想いを現実へ戻す
    2. 皐月の存在で、藍美と波の妄想が一気に苦くなる
  6. 第6章 修学旅行と第9話|楽しいイベントほど、好きのズレが見えてしまう
    1. 修学旅行の浮いた空気でも、霧尾への矢印はきれいに重ならない
    2. 第9話では、楽しい青春の裏にあった沈黙が一気に濃くなる
  7. 第7章 まとめ|一方通行だから笑えて、一方通行だから胸が痛い
    1. 誰かの好きが、別の誰かの沈黙や不安を生む
    2. 噛み合わない矢印が、笑いとしんどさを同時に作っている

第1章 結論|霧尾ファンクラブは、好きの矢印が噛み合わないから面白い

藍美と波は霧尾を見ているのに、全員の気持ちは同じ場所へ向かない

『霧尾ファンクラブ』がただの片想いラブコメで終わらないのは、好きの矢印がきれいに並ばないから。
藍美は霧尾が好き。
波も霧尾が好き。
でも霧尾は、二人の熱量にまっすぐ応えてくれる相手ではない。
まずここで、最初の一方通行が生まれる。

しかも、そこへ桃瀬が入ってくる。
桃瀬は波を見ている。
波は桃瀬の好意に気づく。
でも波の心には、霧尾への気持ちと藍美との関係がある。
桃瀬がまっすぐ向かうほど、波の中の言えないものが濃くなる。
うおお、このズレがかなりしんどい。

第1話では、藍美と波の霧尾愛は勢いで笑える。
教室で霧尾への想いを語り、霧尾に近づく作戦を考え、残された学ランを見つけて一気にテンションが上がる。
霧尾本人がいなくても、霧尾の気配だけで二人の世界ができる。
この時点では、一方通行の恋が二人の友情を強くしている。

でも第5話あたりから、恋の矢印が増えて空気が変わる。
桃瀬の好意が波へ向いている。
藍美は、波と桃瀬、自分と霧尾でうまく収まるように感じる。
でも人の気持ちは、そんなにきれいに分かれない。
波が桃瀬を選べば終わり、藍美が霧尾を好きでいれば終わり、という単純な話にはならない。

さらに皐月のように、霧尾との距離が近い人物が出てくると、藍美と波の片想いは一気に現実に引き戻される。
自分たちがどれだけ霧尾を好きでも、霧尾のそばには別の人がいる。
霧尾に必要なのは自分たちではないかもしれない。
その気配が見えた瞬間、笑っていた妄想が急に痛くなる。

一方通行なのに笑える、一方通行だから胸が痛い

この作品の面白さは、一方通行の恋を暗くしすぎないところ。
藍美と波は、霧尾に届かない気持ちを二人で騒ぎに変える。
霧尾がそっけなくても、そこから勝手に意味を拾う。
霧尾が近くにいなくても、霧尾の話だけでテンションを上げる。
この暴走があるから、片想いの痛さがまず笑いになる。

でも、ずっと笑えるわけではない。
好きの矢印が増えるほど、笑いの下にある苦さが見えてくる。
桃瀬は波へ向かう。
波は霧尾と藍美の間で言葉を飲む。
藍美は波と霧尾の距離に不安になる。
霧尾は簡単に誰かへ心を開かない。
全員が少しずつ届かない場所を見ている。

キツ…。
誰か一人が悪いわけではない。
藍美も波も桃瀬も、それぞれちゃんと好きでいる。
でも、その好きが相手の好きと重ならない。
藍美と波は同じ霧尾を好きなのに、同じ気持ちでい続けられない。
桃瀬は波を好きなのに、波の心は別の場所で止まっている。

第7話の修学旅行のような楽しいイベントでも、そのズレは見えてくる。
霧尾と同じ自由行動班になる。
満田の協力もあって、藍美と波は霧尾へアピールしようとする。
本来なら青春ラブコメらしい浮かれる場面。
でも二人が同じ相手へ向かっている以上、楽しいだけでは終わらない。

第9話では、その一方通行がさらに濃くなる。
波と霧尾が話しているところを藍美が見てしまう。
桃瀬から波への呼び出しも入る。
藍美、波、桃瀬、霧尾。
それぞれの気持ちが教室や廊下の中で交差するのに、誰もすっきり同じ場所へ着地しない。

いやほんとそれ。
『霧尾ファンクラブ』は、好きの矢印が噛み合わないから笑える。
そして、噛み合わないまま進むから胸が痛い。
片想いをギャグにしているようで、実は片想いの逃げ場のなさも描いている。
そこが、この一方通行ラブコメのいちばんしんどくて面白いところ。

第2章 第1話の入口|藍美と波の霧尾愛は、楽しいのに最初から一方通行

教室で霧尾を語る二人の熱量が、作品の変な面白さを作る

第1話「拝啓、霧尾くん」は、藍美と波の霧尾愛を一気に見せる入口になっている。
教室の中で、二人は霧尾への想いを語り合う。
机、椅子、黒板、放課後の空気。
普通の学校の景色なのに、二人の会話が霧尾の名前に触れた瞬間、空気が一気に変わる。

藍美と波は、霧尾に近づきたい。
でも真正面から自然に距離を縮められるほど、恋は簡単ではない。
霧尾はそっけない。
二人の熱量にすぐ応える相手でもない。
だから二人は、実際に近づく前に言葉と妄想で走ってしまう。
この先走り方が、かなり変で面白い。

うおお、霧尾の学ランを見つける場面は、その面白さが分かりやすい。
霧尾本人ではない。
ただ残された学ラン。
それなのに、藍美と波にとっては霧尾そのものに近い存在になる。
手を伸ばす前の緊張。
見つめる時間。
教室の中で、学ランだけが急に特別な物になる。

普通なら、制服が置いてあるだけの場面。
でも二人の目には、霧尾の気配が残った宝物のように映る。
そこへ理性より先に気持ちが走る。
触れたい。
近づきたい。
でも怖い。
この過剰な反応がバカバカしいのに、本気だから笑える。
好きすぎる人間の変な行動が詰まっている。

ただ、この時点ですでに一方通行。
霧尾は二人の熱量を知らない。
二人がどれだけ盛り上がっても、霧尾本人の気持ちはそこへ向いていない。
藍美と波の中では大事件でも、霧尾からすれば何も起きていない。
この温度差が、作品の最初の笑いと痛さを作っている。

霧尾本人が応えていないから、二人の妄想だけがどんどん走る

藍美と波の霧尾愛は、最初から現実と少しズレている。
霧尾とたくさん話しているわけではない。
霧尾に特別扱いされているわけでもない。
それでも二人の中では、霧尾の存在がどんどん大きくなる。
現実の距離が遠いほど、妄想が育つ。

霧尾とハンバーガーを食べたい。
霧尾と相合傘をしたい。
霧尾と何か特別な時間を過ごしたい。
願望は普通の恋に見える。
でも藍美と波が語ると、そこに過剰な熱と変な勢いが入る。
現実にはまだ起きていないのに、二人の頭の中ではどんどん場面が膨らむ。

キツいけど、ここが青春っぽい。
好きな人と話せない。
距離が縮まらない。
だから頭の中だけで近づく。
教室で少し見かけただけで一日が変わる。
そっけない反応を受けても、二人で話せばなんとか笑える。
この感じが、一方通行の片想いそのものになっている。

藍美にとって、波がいることはかなり大きい。
一人で霧尾を好きだったら、片想いの痛さだけが強くなっていたかもしれない。
でも波がいる。
同じ熱で騒いでくれる。
自分の変な妄想を引かずに受け止めてくれる。
だから届かない恋でも、二人でいる間は楽しくなる。

波にとっても同じ。
霧尾への気持ちを隠さず出せる相手がいる。
好きすぎて変な方向へ行っても、藍美なら分かってくれる。
この安心感があるから、二人のファンクラブ的な空気が生まれる。
恋が報われていないのに、関係だけは妙に濃くなる。

いやほんとそれ。
第1話の時点で、すでに矢印は噛み合っていない。
藍美と波は霧尾へ向いている。
霧尾は二人へ向いていない。
でも藍美と波は、お互いを支えにしてその一方通行を笑いに変えている。
ここが『霧尾ファンクラブ』の入口であり、後半のしんどさにつながる土台になっている。

第3章 藍美と波|同じ人を好きだから仲良くなり、同じ人を好きだから苦しくなる

二人で騒げる関係が、片想いの痛さを少しだけ軽くしていた

藍美と波は、同じ霧尾を好きなのに、最初から分かりやすい敵同士には見えない。
むしろ、二人でいるから片想いを続けられているように見える。
霧尾のそっけなさで傷ついても、波がいれば藍美は騒げる。
藍美がいれば、波も霧尾への熱を隠さず出せる。

教室の机を挟んで、霧尾の話をする。
廊下で霧尾の姿を見つけて、声にならない反応をする。
霧尾の小さな行動を勝手に大きく受け取り、二人で勝手に意味を作る。
この時間があるから、藍美と波の片想いはただの孤独ではなくなる。

うおお、ここが序盤の明るさになっている。
霧尾に直接届かない恋でも、二人で語れば笑える。
霧尾とハンバーガーを食べたい。
霧尾と相合傘をしたい。
霧尾の近くで特別な時間を過ごしたい。
願望そのものは普通なのに、二人の熱量が乗ると妙におかしくなる。

でも、この関係は最初から危うい。
同じ人を好きだから、気持ちを共有できる。
同じ人を好きだから、相手の反応もよく分かる。
だからこそ、相手が霧尾に少しでも近づいたら見逃せない。
楽しく騒いでいた目が、そのまま嫉妬の目にもなってしまう。

一人なら片想いの痛さだけで済んだかもしれない。
でも二人で霧尾を好きになったことで、恋の痛さに友情の不安が重なる。
波が霧尾と話す。
藍美がそれを見る。
ただそれだけで、藍美の胸には好きな人を取られる怖さと、友だちが遠くなる怖さが同時に来る。

友情と恋敵の境目が、話数を重ねるほど揺れていく

藍美と波の関係は、序盤ではかなり近い。
一緒に霧尾を見ている。
一緒に霧尾の話をしている。
一緒に変な妄想で盛り上がっている。
その姿だけ見ると、仲良しの女子二人に見える。
でも霧尾が間にいる以上、その近さはずっと安全ではない。

キツ…。
仲が良い相手ほど、少しの変化が怖くなる。
波が何かを言わない。
波が霧尾と話している。
波が自分の知らない表情をしている。
その一つ一つが、藍美には大きく見える。
相手が遠い人なら気にしないことまで、波だから刺さる。

第5話あたりで、桃瀬の好意が波へ向いていることが見えてくると、藍美の心にも別の動きが出る。
波が桃瀬と向き合えば、自分は霧尾を好きでいられる。
波と桃瀬、自分と霧尾。
そんなふうにきれいに分かれれば、二人の関係も壊れないように見える。
でも、波の気持ちはそんな簡単には動かない。

この期待が少し怖い。
藍美は波を大事に思っている。
でも同時に、波が霧尾から離れてくれたら安心できる自分もいる。
友だちを応援したい気持ちと、自分の恋を守りたい気持ちが同時にある。
いやほんとそれ、このぐちゃぐちゃが青春のしんどさになっている。

波もまた、藍美を大切にしているからこそ言えない。
霧尾への気持ち。
桃瀬への返事。
自分の中にある迷い。
どれかを言葉にした瞬間、藍美との関係が変わるかもしれない。
だから言えない。
その沈黙が、藍美の不安をさらに強くする。

第9話で波と霧尾の会話を藍美が見たとき、この揺れは一気に表へ出る。
序盤では二人で笑えていた霧尾への片想い。
中盤では桃瀬の好意が入り、外から矢印が増える。
そして第9話では、波が自分の知らない場所で霧尾と話しているように見える。
この積み重ねが、友情と恋敵の境目をどんどん曖昧にしていく。

第4章 桃瀬と波|まっすぐな好意が届かないからしんどい

桃瀬は悪くないのに、波の心には別の沈黙がある

桃瀬と波の関係は、一方通行ラブコメのしんどさをかなり強く見せている。
桃瀬は波を見ている。
波に近づこうとする。
自分の気持ちをなかったことにせず、少しずつ前へ出る。
その姿は悪いものではない。
むしろ、かなりまっすぐ。

でも波の心には、桃瀬だけを見られない事情がある。
霧尾への気持ち。
藍美と一緒に霧尾を好きでいた時間。
桃瀬から向けられる好意への戸惑い。
それぞれが重なって、波の中では簡単に答えを出せない。
だから桃瀬の好意は、きれいに返ってこない。

うおお、ここが桃瀬のキツいところ。
桃瀬は波を雑に扱っていない。
ふざけて近づいているわけでもない。
ちゃんと波を見て、ちゃんと気持ちを持っている。
それなのに、波の視線の先には別の人がいる。
好意が本物だからこそ、届かない現実が痛い。

第5話では、波が桃瀬の好意に気づく流れが入る。
藍美は、波と桃瀬、自分と霧尾でうまくいけばいいと感じる。
でもその見方は、少し都合が良すぎる。
桃瀬の好意があるからといって、波の霧尾への気持ちが消えるわけではない。
波の心は、簡単に別の相手へ移れない。

桃瀬の存在は、波だけでなく藍美にも影を落とす。
桃瀬が波を好きなら、藍美は少し安心できるはず。
でも波が霧尾を見続けているなら、その安心は崩れる。
桃瀬の一方通行が、波の一方通行を浮かび上がらせ、さらに藍美の不安まで広げていく。
矢印が増えるほど、誰も楽にならない。

第9話の呼び出しで、波の言えない気持ちが一気に濃くなる

第9話では、桃瀬から波への呼び出しが大きな転機になる。
終業式の日。
教室には、帰り支度をする生徒の気配がある。
休みに向かう少し浮いた空気もある。
その中で、桃瀬は波へ向かう。
いつもの何気ない学校の時間が、急に告白の場面へ変わる。

桃瀬が波に気持ちを伝える場面は、まっすぐだからこそしんどい。
逃げていない。
ごまかしていない。
好きな気持ちを相手の前に置いている。
でも波は、その気持ちを受け止めながらも、同じ場所には立てない。
ここがかなり胸に来る。

キツ…。
桃瀬は言える。
波は言えない。
この差が、第9話の重さを作っている。
桃瀬は自分の気持ちを言葉にした。
でも波は、霧尾への気持ちも、藍美への後ろめたさも、桃瀬への申し訳なさも、全部まとめて簡単には言えない。

波が桃瀬を嫌っているなら、まだ単純だった。
でも波は、桃瀬の気持ちを雑に扱わない。
だからこそ返事が苦い。
桃瀬のまっすぐさを受け止めつつ、応えられない。
それは冷たい拒絶ではなく、どうにもならない距離として残る。

この呼び出しによって、藍美の不安もさらに強まる。
波が霧尾と話していた。
桃瀬から呼び出された。
波は何を言われ、何を返すのか。
藍美には見えない場所で、波の恋が動いているように見える。
友だちの知らない顔が増える怖さが、ここで一気に濃くなる。

いやほんとそれ。
桃瀬の好意は、波へまっすぐ向いている。
でも波の心は、霧尾と藍美の間で止まっている。
藍美は、その波の沈黙を見て不安になる。
一方通行の矢印が一本増えただけで、全員の胸が少しずつ痛くなる。
そこが『霧尾ファンクラブ』のラブコメとしてのしんどさになっている。

第5章 皐月と霧尾|距離が近い人物が出るだけで、藍美と波が揺れる

霧尾の近くにいる皐月が、二人の片想いを現実へ戻す

皐月が出てくると、藍美と波の一方通行はさらに痛く見える。
藍美と波は霧尾が好き。
二人で騒いで、妄想して、霧尾のそっけなさまで勝手に受け止めてきた。
でも皐月は、藍美たちとは違う距離で霧尾のそばにいる。
ここがかなり大きい。

霧尾に近い人物がいるだけで、藍美と波の世界は揺れる。
自分たちがどれだけ霧尾を好きでも、霧尾の近くには別の誰かがいる。
霧尾が自然に話せる相手。
霧尾の事情を知っているかもしれない相手。
自分たちが知らない霧尾の顔を見ているかもしれない相手。
そう思った瞬間、胸が一気に重くなる。

うおお、これはかなりしんどい。
藍美と波の霧尾愛は、二人で話している間は楽しい。
でも皐月が入ると、急に現実へ戻される。
妄想の中では霧尾と近づける。
でも現実では、霧尾の近くにいるのは自分たちではないかもしれない。
この差が痛い。

第6話「かくしごと」では、皐月と霧尾の距離が藍美たちを揺らす。
霧尾に必要なのは、自分たちより皐月なのかもしれない。
そう感じた瞬間、藍美の心は沈む。
霧尾を好きでいる気持ちが大きいほど、霧尾に近い誰かの存在は苦しくなる。

波も、ただ見ているだけではいられない。
皐月に直接聞こうとする流れが出ることで、波の行動力も見える。
不安を抱えたまま遠くから見ているだけではなく、確かめようとする。
でも確かめるほど、自分たちと霧尾の距離も見えてしまう。
ここがまたキツい。

皐月の存在で、藍美と波の妄想が一気に苦くなる

皐月がいることで、藍美と波の妄想は少し苦くなる。
霧尾とハンバーガーを食べたい。
霧尾と相合傘をしたい。
霧尾と特別な時間を過ごしたい。
そういう願望は、二人で話しているときは笑える。
でも霧尾の近くに別の人物がいると、その願望が急に遠く見える。

キツ…。
好きな人に近い誰かを見るだけで、自分の片想いの位置が分かってしまう。
どれだけ好きでも、霧尾の生活の中心に入れているわけではない。
霧尾の過去や本音に触れているわけでもない。
自分たちはファンクラブのように遠くから見ている。
その距離が、皐月の存在で一気に浮かび上がる。

藍美にとっては、霧尾を取られる怖さだけではない。
波と一緒に信じていた「二人で霧尾を好きでいる時間」まで揺れる。
皐月の存在が強く見えるほど、二人で騒いでいた時間が少し幼く見えてしまう。
楽しかった妄想が、現実の距離の前で急に弱くなる。

波にとっても、皐月は無視できない存在。
霧尾の近くにいる相手がいるなら、知りたい。
自分たちが知らない霧尾を見ているなら、確かめたい。
その気持ちは恋の不安でもあり、藍美と一緒に霧尾を追ってきた立場からの焦りでもある。
波が動くほど、片想いの熱が笑いだけでは済まなくなる。

皐月の存在は、霧尾が誰のものでもないことを見せる。
藍美のものでもない。
波のものでもない。
桃瀬のように波へ向かう矢印とも違う。
霧尾には霧尾の距離があり、霧尾の人間関係がある。
その現実が入ることで、一方通行ラブコメの痛さがさらに濃くなる。

いやほんとそれ。
藍美と波は霧尾を追っている。
でも霧尾の近くには、二人が知らない相手や事情がある。
皐月の存在は、その当たり前を突きつけてくる。
だから第6話の空気は、妄想ギャグの軽さだけでは終わらない。
好きなのに遠い、近づきたいのに届かないという苦さが残る。

第6章 修学旅行と第9話|楽しいイベントほど、好きのズレが見えてしまう

修学旅行の浮いた空気でも、霧尾への矢印はきれいに重ならない

修学旅行は、本来なら青春ラブコメでかなり楽しいイベント。
いつもの教室を離れて、移動があり、自由行動があり、普段とは違う景色がある。
その中で好きな人と同じ班になれたら、それだけで心が浮く。
藍美と波にとっても、霧尾と同じ自由行動班になることはかなり大きい。

第7話「修学旅行マジック」では、満田の協力もあって、藍美と波は霧尾と同じ自由行動班に入る。
ここだけ見れば、かなりラブコメらしい。
霧尾に近づける。
いつもの学校とは違う場所で話せる。
霧尾へアピールできる。
うおお、ここは二人にとって大チャンスに見える。

でも、この楽しいイベントでも矢印は噛み合わない。
藍美も霧尾を見ている。
波も霧尾を見ている。
二人とも同じ相手へ向かっているから、楽しいはずのアピールが少し競争になる。
一緒に盛り上がってきた友だちが、同じ相手へ一歩出ようとする。
ここで、仲良しと恋敵の線がまた揺れる。

修学旅行の景色、班行動の移動、霧尾の近くに立つ時間。
普段なら妄想で終わっていたことが、実際の距離として目の前に来る。
藍美が霧尾に何かを言う。
波が霧尾の反応を見る。
波が動けば、藍美も黙っていられない。
楽しいはずなのに、胸の奥がざわつく。

キツいのは、二人が本気で霧尾を好きなところ。
遊び半分なら、勝負も軽く見える。
でも藍美も波も、霧尾の一言で本気で揺れる。
だから修学旅行の浮いた空気の中でも、好きの矢印が外れるたびに痛い。
青春イベントが、そのまま一方通行のズレを見せる場所になっている。

第9話では、楽しい青春の裏にあった沈黙が一気に濃くなる

第9話になると、修学旅行のような浮き立つ空気とは違う重さが出る。
終業式の日。
教室のざわめき。
帰り支度をする生徒たち。
夏へ向かう少し軽い空気。
本来なら少し明るくなるはずの時間に、波と霧尾の会話が藍美の胸をざわつかせる。

藍美は、波と霧尾が話しているのを見る。
ただ話しているだけかもしれない。
でも藍美にはそう見えない。
波が自分の知らない霧尾に触れているように見える。
霧尾をめぐる一方通行が、今度は友情の不安へ変わる。

キツ…。
桃瀬から波への呼び出しも重なる。
桃瀬は波を見ている。
波は霧尾と藍美の間で言えないものを抱えている。
藍美は波の変化を気にしている。
霧尾は相変わらず遠い。
矢印が増えているのに、どれもきれいに結ばれない。

第1話では、二人で霧尾を好きでいることが楽しかった。
第5話では、桃瀬の好意で波の周りに別の矢印が生まれた。
第6話では、皐月という霧尾に近い存在が現実を見せた。
第7話では、修学旅行で霧尾へのアピールが表に出た。
そして第9話では、その全部が沈黙と不安になって返ってくる。

藍美と波は、同じ人を好きだから近かった。
でも同じ人を好きだから、波と霧尾の会話ひとつで空気が変わる。
桃瀬の告白ひとつで、波の沈黙が濃くなる。
皐月の存在ひとつで、自分たちの距離が遠く見える。
好きの矢印が噛み合わないまま、少しずつ全員の胸に刺さっていく。

いやほんとそれ。
『霧尾ファンクラブ』は、楽しいイベントほどしんどさが見える。
修学旅行も、終業式も、学校の明るい行事の中に恋のズレが入り込む。
笑える妄想、近づきたい願望、言えない沈黙。
その全部が重なって、一方通行ラブコメの苦さを濃くしている。

第7章 まとめ|一方通行だから笑えて、一方通行だから胸が痛い

誰かの好きが、別の誰かの沈黙や不安を生む

『霧尾ファンクラブ』の一方通行ラブコメが面白いのは、好きの矢印がきれいに結ばれないから。
藍美と波は霧尾を見ている。
桃瀬は波を見ている。
霧尾は簡単に誰かの熱量へ応えない。
皐月のように、霧尾の近くにいる人物も見えてくる。

第1話では、藍美と波の霧尾愛が勢いで笑える。
教室で霧尾を語り、学ランを見つけ、本人不在でも気持ちだけがどんどん走る。
うおお、変すぎるのに本気。
この一方通行は、最初は明るい。
届かない恋を、二人で笑いに変えている。

でも第5話で桃瀬の好意が波へ向くと、矢印が一気に増える。
藍美は、波と桃瀬、自分と霧尾で収まりそうに感じる。
でも波の心は簡単に動かない。
桃瀬のまっすぐな好意があるほど、波の霧尾への気持ちや藍美への沈黙が濃くなる。

第6話では、皐月と霧尾の距離が藍美たちを揺らす。
自分たちは霧尾を好き。
でも霧尾の近くには、自分たちが知らない相手がいる。
その現実が見えた瞬間、妄想の楽しさが少し苦くなる。
好きなのに遠い。
近づきたいのに届かない。
ここがかなりしんどい。

第7話の修学旅行では、楽しいイベントの中でズレが見える。
霧尾と同じ自由行動班。
本来なら浮かれる場面。
でも藍美も波も同じ霧尾を見ているから、アピールはそのまま競争にもなる。
仲良しの二人が、同じ相手へ一歩出ようとする。
青春っぽいのに、胸がざわつく。

噛み合わない矢印が、笑いとしんどさを同時に作っている

第9話では、そのズレがさらに濃くなる。
終業式の日、波と霧尾が話している。
藍美はそれを見てしまう。
ただの会話かもしれない。
でも藍美には、自分の知らない波と霧尾の時間に見える。
ここで友情と恋が一気に絡まる。

桃瀬から波への呼び出しも重なる。
桃瀬は言える。
波は言えない。
藍美は見てしまう。
霧尾は遠いまま。
キツ…。
誰か一人の恋だけではなく、全員の届かなさが同じ場面に集まってくる。

藍美と波は、霧尾を一緒に好きでいられたから近づいた。
でも同じ霧尾を好きだから、波が少し近づいたように見えるだけで苦しくなる。
桃瀬は波を好きだから前へ出る。
でも波の心は別の場所で止まる。
好きが増えるほど、誰かが楽になるどころか、沈黙と不安も増えていく。

いやほんとそれ。
『霧尾ファンクラブ』は、片想いをただかわいく見せる作品ではない。
好きすぎて変になる。
好きだから笑える。
好きだから嫉妬する。
好きだから言えない。
その全部が、教室、廊下、修学旅行、終業式の中で少しずつ積もっていく。

一方通行だから、藍美と波の妄想はおかしい。
一方通行だから、桃瀬の告白は痛い。
一方通行だから、皐月の距離感が刺さる。
一方通行だから、霧尾のそっけなさがずっと残る。
噛み合わない矢印が、笑いとしんどさを同時に作っている。

最後に残るのは、誰も簡単には報われない青春のざらつき。
霧尾を好きな藍美。
霧尾を好きな波。
波を好きな桃瀬。
近づけそうで近づけない霧尾。
その矢印がズレたまま進むから、『霧尾ファンクラブ』の一方通行ラブコメは面白くて、かなり胸に残る。

コメント

タイトルとURLをコピーしました