この記事は、藍美と波の関係性が、仲良し・恋敵・共犯者・依存の手前を行き来する怖さを追う内容。
第1章 結論|藍美と波の関係性は、仲良しだからこそ空気が重くなる
同じ人を好きだから近づいたのに、同じ人を好きだから苦しくなる
藍美と波の関係性は、最初だけ見るとかなり楽しそうに見える。
二人とも霧尾が好き。
霧尾の姿を見ただけで反応する。
霧尾の言葉ひとつで妄想が走る。
教室でも廊下でも、二人の世界はすぐ霧尾中心に変わる。
でも、その仲良しがだんだん重くなる。
同じ人を好きだから近づけた。
同じ人を好きだから笑い合えた。
でも同じ人を好きだから、どちらかが一歩進んだ瞬間に苦しくなる。
うおお、ここがこの二人の怖いところ。
第1話では、藍美と波の霧尾愛はまだ勢いで見られる。
教室で霧尾の話をして、霧尾にどう近づくかを考えて、霧尾の学ランを見つけて一気にテンションが上がる。
霧尾本人のいない場所でも、霧尾の存在だけで二人の会話が燃える。
この時点では、同じ人を好きなことが友情の燃料になっている。
ところが話が進むと、その燃料が少しずつ危なく見えてくる。
霧尾を好きな気持ちは、二人を近づける。
でも霧尾との距離が動き始めると、二人の間にも影が差す。
波が霧尾と話す。
藍美がそれを見る。
ただそれだけで、教室の空気が一気に重くなる。
第9話「言えない、言わない。」では、この重さがかなりはっきり出る。
終業式の日、波と霧尾が話している。
藍美はそれを見てしまう。
何を話していたのか。
どういう距離だったのか。
自分だけ知らないものがあるのか。
その不安が、藍美の中でじわじわ膨らむ。
仲良しの時間が長いほど、知らない顔を見た瞬間に怖くなる
藍美と波は、最初から敵同士ではない。
むしろかなり近い。
普通なら少し引かれそうな霧尾への熱量を、二人は互いに受け止め合っている。
霧尾のそっけなさすら、二人で語れば盛り上がる材料になる。
この近さがあるから、見ている側も序盤は楽しい。
教室の机、廊下のざわめき、休み時間の会話。
学校の何気ない場所で、藍美と波はすぐ霧尾の話に戻る。
霧尾がいれば大事件。
霧尾がいなくても、霧尾の制服や言葉の記憶だけで心が動く。
二人で勝手に意味を膨らませて、勝手に喜んで、勝手に苦しくなる。
この濃さが『霧尾ファンクラブ』の入口になっている。
キツいのは、仲が良いほど少しの沈黙が刺さるところ。
波が何かを言わない。
藍美が聞きたいのに聞けない。
笑っているのに、胸の中だけがざわつく。
相手が遠い人なら諦めもつく。
でも波は、ずっと霧尾の話を一緒にしてきた友だち。
だから第9話で藍美が見た「波と霧尾の会話」は、ただの嫉妬では済まない。
好きな人を取られるかもしれない怖さ。
大事な友だちが自分の知らない場所へ行ってしまう怖さ。
その二つが同時に来る。
恋の痛みと友情の不安が、同じ場面で重なる。
波も、藍美を傷つけたいわけではない。
でも言えることと言えないことがある。
霧尾への気持ち、桃瀬の好意、自分の中の迷い。
どれを口にしても、藍美との関係が変わりそうに見える。
だから波は言えない。
その沈黙が、藍美には余計に怖く見える。
いやほんとそれ。
藍美と波は、仲良しだから安全な関係ではない。
仲良しだから、知らない顔を見たときに傷が深くなる。
同じ人を好きで笑っていた時間が長いほど、同じ人を好きで苦しくなる瞬間も重い。
この関係性が、『霧尾ファンクラブ』の怖さになっている。
第2章 序盤の二人|霧尾を好きな気持ちが、藍美と波を強く結びつけていた
霧尾の話をしている時間だけは、二人だけの世界になっていた
序盤の藍美と波は、霧尾を好きな気持ちで強く結びついている。
第1話の教室から、二人の熱量はかなり濃い。
霧尾のことを考え、霧尾に近づく方法を話し、霧尾の一挙手一投足に反応する。
恋の話というより、もう生活の中心が霧尾になっている。
霧尾本人は、藍美たちへ分かりやすく優しくするタイプではない。
距離がある。
反応もそっけない。
でも藍美と波は、その距離すら勝手に受け取って盛り上がる。
近づけないからこそ妄想が膨らむ。
届かないからこそ二人で騒げる。
このズレた楽しさが序盤の勢いになっている。
うおお、霧尾の学ランを見つけたときの二人の反応は、その関係性がよく出る。
ただの制服ではない。
霧尾が着ていたもの。
霧尾の気配が残っているもの。
普通の教室にある学ランが、二人にとっては急に特別な物になる。
その場の空気が一気に変わる。
教室には机があり、椅子があり、黒板があり、いつもの学校の空気がある。
でも藍美と波の目には、霧尾の学ランだけが妙に光って見える。
手を伸ばす前の緊張。
近くで見たときの高揚。
何をしていいのか分からないのに、気持ちだけが先に走る感じ。
このバカバカしさと本気さが同時に来る。
この場面が大事なのは、二人が同じ熱で反応しているところ。
一人だけなら、ただの暴走に見えるかもしれない。
でも二人で同じように盛り上がるから、そこに安心感が生まれる。
藍美も波も、自分だけが変なのではないと思える。
霧尾を好きすぎる気持ちを、相手が否定しない。
一緒に好きでいられたから、恋敵という言葉では片づかない
藍美と波は、同じ霧尾を好きなのに、序盤では単純な恋敵に見えにくい。
むしろ、二人で同じ方向を向いている仲間に見える。
霧尾を見つけて喜ぶ。
霧尾の反応に揺れる。
霧尾にどう近づくかを考える。
その時間を二人で共有している。
一人で霧尾を好きだったら、藍美の片想いはもっと孤独だったかもしれない。
霧尾はそっけない。
簡単に振り向かない。
自分の熱量だけが空回りして、苦しくなる。
でも隣に波がいる。
同じ熱で反応してくれる友だちがいる。
だから片想いの痛さが、少し笑いに変わる。
キツ…。
でも、この近さは後から怖くなる。
霧尾を好きという一点でつながっている関係は、霧尾をめぐる変化に弱い。
どちらかが霧尾に近づいたら。
どちらかが霧尾と二人で話したら。
どちらかが相手に言えない気持ちを持ったら。
一気に空気が変わる。
第5話では、桃瀬の好意が波へ向いていることが見え始める。
藍美は、波と桃瀬、自分と霧尾でうまく収まるように感じる。
一見すると、藍美にとって都合の良い流れにも見える。
でも実際には、波の気持ちがそんな簡単に別方向へ動くわけではない。
ここから二人の関係に、外からの矢印が入ってくる。
星羅のように、藍美と波の関係が変わることに敏感な人物もいる。
二人がいつものように霧尾を見て笑うだけでは済まなくなる。
ファミレスや校外学習前の空気にも、少しずつぎこちなさが混じる。
霧尾、桃瀬、藍美、波。
恋の向きが増えるほど、二人だけの霧尾時間は揺れ始める。
いやほんとそれ。
藍美と波は、恋敵でありながら共犯者でもある。
同じ人を好きだから怖い。
でも同じ人を好きだから離れがたい。
序盤の明るさは、その危うさをまだ笑いで包んでいた。
だから第9話の重さは、急に来たものではない。
第1話から続いていた近さが、少しずつ形を変えた結果に見える。
第3章 恋敵ではなく共犯者|二人で騒ぐから片想いが楽しくなる
一人なら痛い恋も、藍美と波なら笑いに変えられる
藍美と波の関係性が面白いのは、恋敵なのに最初から敵対していないところ。
同じ霧尾を好き。
普通なら、それだけで少し気まずくなる。
相手が霧尾に近づけば胸がざわつき、何を話したのか気になって、笑顔の裏に少し棘が入る。
でも序盤の二人は、まず一緒に騒ぐ。
霧尾が教室にいる。
霧尾が廊下を歩く。
霧尾がそっけない態度を取る。
それだけで、藍美と波の会話は一気に熱を持つ。
一人で抱えたら苦しい片想いも、隣に同じ温度で反応する相手がいると、少しだけ笑えるものに変わる。
うおお、ここが序盤の救いになっている。
霧尾は簡単に振り向かない。
藍美たちの熱を受け止めるタイプでもない。
むしろ遠い。
だから本来なら、片想いの孤独がかなり強くなる。
でも藍美と波は、霧尾の遠さを二人で語ることで、自分たちの時間に変えている。
たとえば、霧尾とハンバーガーを食べたいとか、相合傘をしたいとか、普通の願望から少し変な方向へ妄想が走る。
霧尾本人がいない場所で、霧尾との距離を勝手に想像して、勝手に盛り上がる。
この勢いはかなりおかしい。
でも同時に、好きで苦しい気持ちを二人で持ち上げているようにも見える。
波がいるから、藍美は自分の熱量を隠さず出せる。
藍美がいるから、波も霧尾への気持ちを笑いながら出せる。
相手に引かれない安心感。
変なことを言っても受け止められる関係。
この安心感があるから、二人は霧尾への片想いを続けられる。
共犯者みたいな近さがあるから、後の沈黙が重くなる
藍美と波の関係は、恋敵というより共犯者に近い時間がある。
霧尾を好きすぎる自分たちを、二人だけで肯定している。
周囲から見たら変でも、二人の中では通じる。
霧尾の学ランを見て盛り上がる感覚も、霧尾のそっけなさに反応する感覚も、相手なら分かってくれる。
この距離がかなり濃い。
キツいのは、この近さが後から逃げ場をなくすところ。
最初からライバルとして距離を取っていたなら、傷ついてもまだ割り切れる。
でも藍美と波は、一緒に笑ってしまった。
一緒に霧尾を見てしまった。
一緒に妄想してしまった。
だから、どちらかが何かを隠した瞬間に、ただの恋敵よりずっと痛くなる。
波が霧尾と話していた。
藍美がそれを見た。
この場面が重くなるのは、二人がただの友人ではないから。
霧尾への気持ちを一緒に抱えてきた相手だから。
自分と同じ場所にいると思っていた相手が、もしかすると少し先へ行ったのかもしれない。
その感じが胸に刺さる。
第5話あたりから、桃瀬の好意が波へ向いていることも関係をややこしくする。
波が桃瀬に好かれている。
それなら、波は霧尾から少し離れるのかもしれない。
藍美からすると、そんな期待も一瞬生まれる。
でも波の心は、そんなに簡単に別の場所へ移らない。
ここがかなりしんどい。
藍美にとって、波が桃瀬へ向かえば安心できる部分もある。
自分は霧尾を好きでいられる。
波は桃瀬と向き合えばいい。
一見すると、きれいに分かれそうに見える。
でも人の気持ちは、席替えみたいに簡単には動かない。
波の中には霧尾が残っている。
いやほんとそれ。
藍美と波は、霧尾を一緒に好きでいられるから楽しかった。
でも霧尾を一緒に好きでいる限り、いつか苦しくなる。
共犯者みたいな近さと、恋敵としての怖さが同じ場所にある。
この矛盾が、『霧尾ファンクラブ』の関係性を重くしている。
第4章 第5話のズレ|桃瀬の登場で“二人だけの霧尾時間”に外から矢印が入る
波と桃瀬、藍美と霧尾で収まりそうに見えた瞬間が逆に怖い
第5話あたりで、藍美と波の関係に外から別の矢印が入ってくる。
桃瀬が波を見ている。
波も、その好意に気づく。
霧尾だけを見ていた二人の世界に、桃瀬という存在が入ってくる。
これで関係が少し楽になるかと思いきや、むしろ空気はややこしくなる。
藍美から見ると、波と桃瀬、自分と霧尾でうまく収まりそうに見える瞬間がある。
波が桃瀬のほうへ向かえば、霧尾をめぐる藍美の不安は少し軽くなる。
自分は霧尾を好きでいられる。
波も別の相手と向き合える。
一見、かなり都合の良い流れに見える。
うおお、でもそこが怖い。
藍美の頭の中では、関係がきれいに分かれたように見える。
でも波の心は、そんなに単純ではない。
桃瀬の好意を受け取ったからといって、霧尾への気持ちが消えるわけではない。
藍美が安心したい気持ちと、波の本当の気持ちの間にズレが生まれる。
このズレは、学校の中の普通の場面でじわじわ出る。
休み時間の会話。
ファミレスでの空気。
校外学習前のざわつき。
桃瀬が波の近くにいる。
藍美がそれを見る。
波がどう受け止めているのか分からない。
霧尾への気持ちがまだ残っているのかも分からない。
星羅のように、藍美と波の関係の変化に敏感な人物がいるのも大きい。
周りから見ても、二人の距離が少し違って見える。
いつも通り霧尾の話で盛り上がっているようで、どこかぎこちない。
一緒に笑っているのに、笑いの奥に別の不安が混じる。
ここで、仲良しの空気が少しずつ重くなる。
恋の矢印が増えるほど、二人だけの安全地帯が揺れていく
桃瀬の登場によって、藍美と波の関係はかなり複雑になる。
藍美と波が霧尾を好き。
桃瀬は波を気にしている。
霧尾は相変わらず距離がある。
この時点で、誰の気持ちも一直線には進まない。
学校の中で、目線だけがあちこちに飛んでいく。
桃瀬が波へ向かうことで、藍美は少し安心したい。
でも同時に、波が自分の知らない表情を見せるのも怖い。
波が桃瀬にどう返すのか。
本当に霧尾から離れるのか。
それとも霧尾への気持ちを抱えたまま、桃瀬の好意に向き合うのか。
藍美には全部が見えない。
キツ…。
友だちの恋を応援したい気持ちと、自分の恋を守りたい気持ちが同時にある。
波が幸せになればいい。
でも波が霧尾に近づくのは怖い。
波が桃瀬へ向かえば安心できる。
でもそれを自分が願っていること自体に、少し後ろめたさがある。
藍美の胸の中はかなりぐちゃぐちゃになる。
波にとっても、桃瀬の好意は簡単ではない。
桃瀬は悪い人ではない。
まっすぐで、波をちゃんと見ている。
でも波の心の中には、霧尾への気持ちと藍美への思いが残っている。
だから桃瀬に向き合うほど、自分が何を言えないのかがはっきりしてしまう。
藍美と波の二人だけの霧尾時間は、桃瀬の登場で少し形を変える。
それまで二人で共有していた片想いに、外から告白される側と見守る側という差が入る。
同じ場所にいたはずの二人が、少し違う立場になる。
ここが第5話以降の大きなズレになる。
いやほんとそれ。
桃瀬は、藍美と波の関係を壊そうとしているわけではない。
でも桃瀬の好意が入ったことで、二人の安全地帯は揺れる。
霧尾を一緒に好きでいられる関係から、霧尾と桃瀬をめぐって言えない気持ちが増える関係へ変わっていく。
第5話のズレは、第9話の重さへつながる大きな前触れになっている。
第5章 波の沈黙|言わないことで、藍美の不安がふくらむ
友だちだから聞きたい、友だちだから聞けない
波の沈黙が重いのは、藍美との距離が近いから。
遠い相手なら、何を隠していても諦めやすい。
でも波は違う。
霧尾の話を一緒にしてきた相手。
学ランで一緒に騒ぎ、霧尾のそっけなさを一緒に受け止め、妄想まで共有してきた相手。
だから何も言わないだけで、藍美の胸に引っかかる。
第9話で、波と霧尾が話しているところを藍美が見る。
教室のざわめき、終業式の浮いた空気、帰り支度をする生徒の動き。
その中で、波と霧尾だけが少し別の空気に見える。
何を話していたのか。
どういう距離だったのか。
波は何を知っているのか。
藍美の中で小さな疑問が一気に膨らむ。
うおお、ここがかなりキツい。
藍美は波を責めたいわけではない。
でも気になる。
聞きたい。
でも聞いたら、もう元の二人には戻れない気もする。
友だちだから聞けるはずなのに、友だちだからこそ聞けない。
この矛盾が、藍美の表情を重くしていく。
波も、藍美を苦しめようとして黙っているわけではない。
霧尾への気持ち。
桃瀬から向けられた好意。
藍美と一緒に霧尾を好きでいた時間。
どれも軽く扱えない。
だから簡単に言葉にできない。
言えば誰かが傷つく。
言わなくても誰かが不安になる。
波がじらすように見える場面も、ただ余裕があるからではない。
いつもの調子で振る舞えば、まだ普通の友だちでいられる。
霧尾の話で盛り上がれば、まだ今まで通りに戻れる。
でも一度生まれた違和感は消えない。
藍美は笑っていても、心の奥では波の言葉を待っている。
波がいつもの空気を続けようとするほど、違和感が濃くなる
波の難しさは、いつもの明るさを持っているところ。
完全に沈み込むわけではない。
藍美との会話も続ける。
霧尾の話にも戻ろうとする。
でも、いつも通りに見せようとするほど、藍美には逆に引っかかる。
何か隠しているのではないか。
本当は別のことを考えているのではないか。
そんな不安が消えない。
キツ…。
仲が悪い相手なら、距離を取れば済む。
でも藍美と波は近い。
隣で話す。
同じ教室にいる。
同じ霧尾を見てしまう。
だから、少しの沈黙も避けられない。
波が何も言わないまま笑うたびに、藍美の中で知らない顔が増えていく。
第5話で桃瀬の好意が見えた時点では、藍美の中に都合の良い期待もあった。
波が桃瀬へ向かえば、自分は霧尾を好きでいられる。
波と桃瀬、自分と霧尾。
そんなふうに気持ちが分かれれば、二人の関係も壊れないように見える。
でも第9話では、その期待が簡単ではないと分かる。
波は桃瀬に好意を向けられても、霧尾を切り離せない。
霧尾と話している姿を藍美に見られる。
桃瀬から呼び出される。
その一つ一つが、波の中の言えない部分を濃くしていく。
藍美にとっては、波の心がどこにあるのかますます分からなくなる。
ここで怖いのは、藍美が波を嫌いになりたいわけではないこと。
むしろ大事だから、余計に苦しい。
波を疑いたくない。
でも疑ってしまう。
霧尾のことを一緒に語ってきた時間を信じたい。
でも、波が自分に言わない何かを持っているように見える。
この揺れが、本当にしんどい。
いやほんとそれ。
波の沈黙は、藍美への拒絶ではない。
でも藍美には、置いていかれる合図のように見える。
同じ人を好きで笑っていた二人が、同じ人を好きだから言えなくなる。
その変化が、第9話の空気を一気に重くしている。
第6章 女子同士の空気が重い場面|好きな人より、友だちを失う怖さが刺さる
霧尾を取られる怖さと、波を失う怖さが同時に来る
藍美のしんどさは、霧尾への片想いだけでは収まらない。
霧尾が好き。
霧尾に近づきたい。
霧尾が誰と話しているのか気になる。
それだけなら、恋の嫉妬として分かりやすい。
でも相手が波になると、一気に話が重くなる。
波は、藍美にとって霧尾を一緒に見てきた友だち。
霧尾のそっけない態度で傷ついたときも、霧尾の小さな反応で浮かれたときも、隣にいた相手。
だから波が霧尾に近づくのは、単に恋敵が近づくのとは違う。
大事な友だちが、自分の知らない場所へ行ってしまうように見える。
うおお、ここが本当に怖い。
藍美は霧尾を取られたくない。
でも波も失いたくない。
波を恋敵として見たくない。
でも霧尾のことになると、心が勝手に反応してしまう。
好きな人と友だち、どちらも大事だから、どちらの不安も捨てられない。
学校の廊下、教室の端、休み時間の会話。
波が霧尾のことを話すだけで、藍美の心は少し揺れる。
いつもなら一緒に騒げる話題。
でも波が何かを隠しているように見えると、同じ話題が急に重くなる。
霧尾の名前が、二人をつなぐ言葉ではなく、二人の距離を測る言葉に変わってしまう。
桃瀬の存在も、この重さを増やす。
波が桃瀬から好意を向けられている。
それなら波は霧尾から離れるのか。
それとも霧尾への気持ちを抱えたまま、桃瀬にも向き合うのか。
藍美には分からない。
分からないから、余計に波の沈黙が怖くなる。
仲良しのまま嫉妬してしまうから、逃げ場がない
藍美と波の関係性が怖いのは、嫉妬しても嫌いになれないところ。
波を嫌いになれたら、まだ楽かもしれない。
霧尾をめぐる相手として距離を取ればいい。
でも藍美にとって波は、そんな簡単に切れる相手ではない。
一緒に笑ってきた時間がありすぎる。
キツ…。
藍美は波を大事に思っている。
それなのに、波と霧尾の距離が気になる。
波が何を知っているのか知りたい。
でも知るのが怖い。
波を信じたい。
でも霧尾のことになると、心の中に黒いものが出てくる。
この自分の感情にも苦しくなる。
波もまた、藍美を完全に置いていける人物ではない。
藍美と一緒に霧尾を見てきた時間がある。
その時間があるから、霧尾への気持ちを簡単に言えない。
桃瀬に対しても、藍美に対しても、霧尾に対しても、どこかで言葉が止まる。
誰かを選ぶだけでは済まない関係になっている。
この関係は、友情と恋がきれいに分かれていない。
藍美と波は友だち。
でも同じ人を好き。
同じ人を好きだから仲良くなった。
でも同じ人を好きだから嫉妬もする。
この絡まり方が、女子同士の空気を重くしている。
第1話の明るさを思い出すほど、第9話の重さが刺さる。
霧尾の学ランで盛り上がっていた二人。
霧尾のそっけなさを二人で面白がっていた二人。
あのときは同じ熱で笑えていた。
でも今は、同じ霧尾を見ているはずなのに、少しずつ違うことを考えている。
いやほんとそれ。
藍美と波の関係性は、仲良しだけでは終わらない。
恋敵だけでも片づかない。
共犯者のように近くて、嫉妬するほど苦しくて、でも離れたくない。
だから空気が重い。
笑える場面の奥に、この怖さがずっとある。
第7章 まとめ|霧尾ファンクラブの関係性は、仲良しと恋敵の境目がずっと揺れている
藍美と波は近いからこそ、少しの秘密で空気が変わる
藍美と波の関係性は、最初から単純ではない。
同じ霧尾を好き。
同じ熱量で騒げる。
同じ妄想で盛り上がれる。
この近さがあるから、二人の時間はかなり楽しい。
でも近いからこそ、少しの秘密が重くなる。
波が霧尾と話している。
藍美がそれを見る。
ただそれだけの場面でも、胸の奥がざわつく。
自分だけ知らない波がいるように見える。
うおお、ここが本当にしんどい。
第1話では、霧尾の学ランを見つけただけで二人の空気は一気に跳ねた。
霧尾の気配だけで、教室が特別な場所になる。
その明るさがあったから、第9話の沈黙が余計に重く見える。
第5話では、桃瀬の好意が波へ向いたことで、二人だけの霧尾時間に外から別の矢印が入った。
藍美は、波と桃瀬、自分と霧尾で収まるように感じる。
でも波の心はそんな簡単に動かない。
ここで、藍美の安心したい気持ちと波の本音がズレ始める。
第9話では、そのズレが一気に表へ出る。
終業式の教室。
帰り支度をする生徒たち。
波と霧尾の会話。
桃瀬から波への呼び出し。
普通の学校の中で、藍美の不安だけが濃くなっていく。
仲良し、共犯者、恋敵が混ざるから怖い
藍美と波は、仲良しとして笑える。
霧尾を好きすぎる者同士として、かなり変な方向まで一緒に走れる。
普通なら恥ずかしい妄想も、二人なら共有できる。
この安心感があるから、序盤はかなり楽しい。
でも同時に、二人は恋敵にもなり得る。
霧尾を好きなのは藍美だけではない。
波も同じ方向を見ている。
だから霧尾への距離が少しでも動くと、二人の関係まで揺れる。
楽しいはずの共有が、急に怖くなる。
キツ…。
波を嫌いになれたら、藍美はまだ楽だったかもしれない。
でも波は大事な友だち。
霧尾を一緒に見てきた相手。
一緒に笑ってきた相手。
だから嫉妬しても、簡単に距離を取れない。
波もまた、藍美を軽く扱えない。
霧尾への気持ちを言えば、藍美を傷つけるかもしれない。
言わなければ、藍美を不安にさせる。
桃瀬の好意に向き合っても、霧尾への気持ちは簡単に消えない。
どの選択にも、誰かの痛みがついてくる。
だから『霧尾ファンクラブ』の関係性は、笑えるのに怖い。
霧尾を好きな気持ちが二人をつないだ。
でも霧尾を好きな気持ちが、二人の間に沈黙も作った。
仲良しで、共犯者で、恋敵で、少し依存にも近い。
その全部が混ざっているから、空気が重くなる。
最後に残るのは、藍美と波がまだお互いを大事にしているという痛さ。
大事だから聞けない。
大事だから言えない。
大事だから嫉妬してしまう自分も苦しい。
霧尾を好きな二人の関係性は、明るいファンクラブごっこの奥で、ずっと危うく揺れている。


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